JPH07138244A - 2−オキセタノン組成物 - Google Patents
2−オキセタノン組成物Info
- Publication number
- JPH07138244A JPH07138244A JP28950193A JP28950193A JPH07138244A JP H07138244 A JPH07138244 A JP H07138244A JP 28950193 A JP28950193 A JP 28950193A JP 28950193 A JP28950193 A JP 28950193A JP H07138244 A JPH07138244 A JP H07138244A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- oxetanone
- carboxylic acid
- polymerization
- acid anhydride
- anhydride
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Epoxy Compounds (AREA)
- Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【構成】 液状の2−オキセタノンに対し、0.00
1〜20重量%のオレイン酸無水物あるいはミリスチン
酸無水物などの下記一般式で表されるカルボン酸無水物
を含有してなる2−オキセタノン組成物に関する。 R1−COOCO−R2 (式中、R1およびR2は炭素数7〜21の飽和または不
飽和脂肪族炭化水素基である。) 【効果】 本発明の2−オキセタノンの安定化組成物
は、高度に精製した2−オキセタノンの自然重合を抑
制し、安定に保存が可能であり、モノマーを直接的に
消費する事なく、使用時に単蒸留などの簡単な操作で
高純度の2−オキセタノンを分離可能であり、さらに
特に2−オキセタノンを分離する事なく、そのまま気相
重合に用いることができるという極めて有用な特性を有
する。本発明により、2−オキセタノン精製後の保存安
定化が可能となり、ポリ(2−オキセタノン)の製造が
随時行うことができる。また、溶剤などを用いない合理
的な重合方法とされる気相重合がプロセス的に可能とな
った。
1〜20重量%のオレイン酸無水物あるいはミリスチン
酸無水物などの下記一般式で表されるカルボン酸無水物
を含有してなる2−オキセタノン組成物に関する。 R1−COOCO−R2 (式中、R1およびR2は炭素数7〜21の飽和または不
飽和脂肪族炭化水素基である。) 【効果】 本発明の2−オキセタノンの安定化組成物
は、高度に精製した2−オキセタノンの自然重合を抑
制し、安定に保存が可能であり、モノマーを直接的に
消費する事なく、使用時に単蒸留などの簡単な操作で
高純度の2−オキセタノンを分離可能であり、さらに
特に2−オキセタノンを分離する事なく、そのまま気相
重合に用いることができるという極めて有用な特性を有
する。本発明により、2−オキセタノン精製後の保存安
定化が可能となり、ポリ(2−オキセタノン)の製造が
随時行うことができる。また、溶剤などを用いない合理
的な重合方法とされる気相重合がプロセス的に可能とな
った。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、環境中で微生物の作用
により分解するプラスチック材料であるポリ(2−オキ
セタノン)のモノマーである2−オキセタノンの安定化
に関するものである。
により分解するプラスチック材料であるポリ(2−オキ
セタノン)のモノマーである2−オキセタノンの安定化
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】2−オキセタノンから合成されるポリエ
ステルであるポリ(2−オキセタノン)は、微生物の作
用により環境中で分解されることが知られている。近年
の深刻な廃棄物問題の対策の一つとして、環境中で分解
するプラスチックが望まれており、ポリ(2−オキセタ
ノン)は、まさにその要望されているプラスチック材料
である。
ステルであるポリ(2−オキセタノン)は、微生物の作
用により環境中で分解されることが知られている。近年
の深刻な廃棄物問題の対策の一つとして、環境中で分解
するプラスチックが望まれており、ポリ(2−オキセタ
ノン)は、まさにその要望されているプラスチック材料
である。
【0003】2−オキセタノンからポリ(2−オキセタ
ノン)への重合反応式は、下式の通りである。
ノン)への重合反応式は、下式の通りである。
【0004】
【化1】
【0005】ポリ(2−オキセタノン)を得るための2
−オキセタノンの重合については、多くの検討が為され
ている。2−オキセタノンは、アニオン、配位アニオン
およびカチオン重合でも重合が進行することが知られて
いる。
−オキセタノンの重合については、多くの検討が為され
ている。2−オキセタノンは、アニオン、配位アニオン
およびカチオン重合でも重合が進行することが知られて
いる。
【0006】この多様な重合性は、モノマーである2−
オキセタノンの高い反応性を反映したものである。2−
オキセタノンの高い反応性は、逆に2−オキセタノンの
保存安定性の難しさを表している。高度に精製された2
−オキセタノンは、常温下のみならず、−20℃といっ
た極低温下でも徐々に重合が進行し、一昼夜で再び再生
操作を必要とする場合がある。
オキセタノンの高い反応性を反映したものである。2−
オキセタノンの高い反応性は、逆に2−オキセタノンの
保存安定性の難しさを表している。高度に精製された2
−オキセタノンは、常温下のみならず、−20℃といっ
た極低温下でも徐々に重合が進行し、一昼夜で再び再生
操作を必要とする場合がある。
【0007】従来、2−オキセタノンは、工業的には酢
酸、無水酢酸、あるいはアセトンを熱分解してケテンを
発生させ、このケテンをホルムアルデヒドと結合させる
ことで合成されてきた。この際、副製する酢酸や無水酢
酸、ジケテン、アクリル酸などが、2−オキセタノン中
に混入して、2−オキセタノンの重合性を阻害する。更
にこれらの副製物は2−オキセタノンの重合を阻害する
ばかりでなく、2−オキセタノンとの分離が非常に難し
いという大きな問題点を有していた。単なる蒸留操作だ
けでは十分な重合特性を有する精製された2−オキセタ
ノンを得ることはできない。従って、従来より2−オキ
セタノンの精製方法に関して多くの検討が積み重ねられ
てきた。
酸、無水酢酸、あるいはアセトンを熱分解してケテンを
発生させ、このケテンをホルムアルデヒドと結合させる
ことで合成されてきた。この際、副製する酢酸や無水酢
酸、ジケテン、アクリル酸などが、2−オキセタノン中
に混入して、2−オキセタノンの重合性を阻害する。更
にこれらの副製物は2−オキセタノンの重合を阻害する
ばかりでなく、2−オキセタノンとの分離が非常に難し
いという大きな問題点を有していた。単なる蒸留操作だ
けでは十分な重合特性を有する精製された2−オキセタ
ノンを得ることはできない。従って、従来より2−オキ
セタノンの精製方法に関して多くの検討が積み重ねられ
てきた。
【0008】例えば、ドイツ特許1954719には、
金属および非金属酸化物による酸成分の除去処理方法、
ドイツ特許2135190には、アルカリ土類金属の水
酸化物による酸成分の除去処理方法、あるいは、フラン
ス特許1341074には、水素化カルシウム、シリカ
ゲル、モレキュラーシーブス、イオン交換樹脂、および
イソシアネート化合物による水および酸成分除去方法な
どが開示されている。このような状況から、従来、精製
後の2−オキセタノンは即座にポリ(2−オキセタノ
ン)の製造に移行することが一般的であり、2−オキセ
タノンの精製に多くの検討が重ねられてきたのに比べ
て、精製したあとの2−オキセタノンの安定化について
は、あまり検討が為されてこなかった。
金属および非金属酸化物による酸成分の除去処理方法、
ドイツ特許2135190には、アルカリ土類金属の水
酸化物による酸成分の除去処理方法、あるいは、フラン
ス特許1341074には、水素化カルシウム、シリカ
ゲル、モレキュラーシーブス、イオン交換樹脂、および
イソシアネート化合物による水および酸成分除去方法な
どが開示されている。このような状況から、従来、精製
後の2−オキセタノンは即座にポリ(2−オキセタノ
ン)の製造に移行することが一般的であり、2−オキセ
タノンの精製に多くの検討が重ねられてきたのに比べ
て、精製したあとの2−オキセタノンの安定化について
は、あまり検討が為されてこなかった。
【0009】しかし、高度に精製した2−オキセタノン
をある期間保存することも要求されている。例えば、精
製したモノマーを一時貯蔵する場合、または移送する場
合などである。
をある期間保存することも要求されている。例えば、精
製したモノマーを一時貯蔵する場合、または移送する場
合などである。
【0010】従来、2−オキセタノンの安定化剤として
は、僅かに報告されているものがある。イギリス特許1
122939号には、ピクリン酸のようなジ−およびト
リニトロフェノール類、およびトリフェニルホスフィ
ン、トリフェニルアミン、ジエチルエーテルのようなル
イス塩基と酸フッ化ホウ素のようなボロントリハライド
との付加化合物が開示されている。また、特公昭46−
21377号には、酸化ベリリウム、酸化マグネシウ
ム、酸化カルシウムなどの金属酸化物が開示されてい
る。しかしながら、前者は危険性のため取り扱いが難し
く、後者はその安定化の機能が不十分である。
は、僅かに報告されているものがある。イギリス特許1
122939号には、ピクリン酸のようなジ−およびト
リニトロフェノール類、およびトリフェニルホスフィ
ン、トリフェニルアミン、ジエチルエーテルのようなル
イス塩基と酸フッ化ホウ素のようなボロントリハライド
との付加化合物が開示されている。また、特公昭46−
21377号には、酸化ベリリウム、酸化マグネシウ
ム、酸化カルシウムなどの金属酸化物が開示されてい
る。しかしながら、前者は危険性のため取り扱いが難し
く、後者はその安定化の機能が不十分である。
【0011】要求される2−オキセタノンの安定化剤と
は、基本的に2−オキセタノンの重合を抑制するもの
であることが必須である。しかし、従来から知られてい
る2−オキセタノンの重合を抑制する多くの化合物は、
併せて2−オキセタノンを重合不可能な他の物質に変換
する作用を持っているものが多い。例えば、水は2−オ
キセタノンをヒドロキシプロピオン酸に変化させる。従
って、安定化剤には2−オキセタノンの化学的変化を
引き起こさないという特性も要求される。また、重合
を行うに際して、簡単な分離操作で分離され精製2−オ
キセタノンが容易に再生されるという特性が要求され
る。無水酢酸や酢酸等は蒸留などで分離するのは不可能
であり、手間のかかる再生処理操作が必要である。
は、基本的に2−オキセタノンの重合を抑制するもの
であることが必須である。しかし、従来から知られてい
る2−オキセタノンの重合を抑制する多くの化合物は、
併せて2−オキセタノンを重合不可能な他の物質に変換
する作用を持っているものが多い。例えば、水は2−オ
キセタノンをヒドロキシプロピオン酸に変化させる。従
って、安定化剤には2−オキセタノンの化学的変化を
引き起こさないという特性も要求される。また、重合
を行うに際して、簡単な分離操作で分離され精製2−オ
キセタノンが容易に再生されるという特性が要求され
る。無水酢酸や酢酸等は蒸留などで分離するのは不可能
であり、手間のかかる再生処理操作が必要である。
【0012】以上の様な要求項目を満足する安定化剤は
未だ見いだされていない。
未だ見いだされていない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】高度に精製された2−
オキセタノンの保存安定性を改良する2−オキセタノン
の安定化組成物の開発を課題とした。
オキセタノンの保存安定性を改良する2−オキセタノン
の安定化組成物の開発を課題とした。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、特定のカルボン
酸無水物が、高度に精製した2−オキセタノンを安定に
保存できることを見いだし、本発明を完成するに至っ
た。
を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、特定のカルボン
酸無水物が、高度に精製した2−オキセタノンを安定に
保存できることを見いだし、本発明を完成するに至っ
た。
【0015】即ち、本発明は、2−オキセタノン、並び
に該2−オキセタノンに対し0.001〜20重量%の
下記一般式で表されるカルボン酸無水物を含有してなる
2−オキセタノン組成物である。
に該2−オキセタノンに対し0.001〜20重量%の
下記一般式で表されるカルボン酸無水物を含有してなる
2−オキセタノン組成物である。
【0016】R1−COOCO−R2 (式中、R1およびR2は炭素数7〜21の飽和または不
飽和脂肪族炭化水素基である。)本発明において用いら
れるカルボン酸無水物は、特定の構造、即ち、上記一般
式中のR1およびR2が、炭素数7〜21の飽和または不
飽和脂肪族炭化水素基であることが必要である。炭素数
7未満の場合、安定化効果は十分に発現するが、重合を
行うに際して分離即ち精製2−オキセタノンの再生とい
う必要特性に関して不十分である。一方、炭素数が21
を超えるカルボン酸無水物の場合、2−オキセタノンと
の分離は容易に達成されるが、2−オキセタノンへの溶
解性が悪くなり安定化効果が不十分である。しかも入手
が難しく実用的でない。
飽和脂肪族炭化水素基である。)本発明において用いら
れるカルボン酸無水物は、特定の構造、即ち、上記一般
式中のR1およびR2が、炭素数7〜21の飽和または不
飽和脂肪族炭化水素基であることが必要である。炭素数
7未満の場合、安定化効果は十分に発現するが、重合を
行うに際して分離即ち精製2−オキセタノンの再生とい
う必要特性に関して不十分である。一方、炭素数が21
を超えるカルボン酸無水物の場合、2−オキセタノンと
の分離は容易に達成されるが、2−オキセタノンへの溶
解性が悪くなり安定化効果が不十分である。しかも入手
が難しく実用的でない。
【0017】本発明において好適に用いられるカルボン
酸無水物を具体的に挙げると次のとおりである。
酸無水物を具体的に挙げると次のとおりである。
【0018】即ち、オクタノイックアンハイドライド
(octanoic anhydride)、デカノイックアンハイドライ
ド(decanoic anhydride)、ラウリン酸無水物(lauric
anhydride)、パルミチン酸無水物(palmitic anhydri
de)、ステアリン酸無水物(stearic anhydride)、ミ
リスチン酸無水物(myristic anhydride)、ドコサノイ
ックアンハイドライド(docosanoic anhydride)などの
飽和脂肪族カルボン酸無水物類;リノレン酸無水物(li
noleic anhydride)、オレイン酸無水物(oleicanhydri
de)、ミリストレイックアンハイドライド(myristolei
c anhydride)などの不飽和脂肪族カルボン酸無水物類
である。これらのカルボン酸無水物類の中でも不飽和カ
ルボン酸無水物類が、2−オキセタノンへの溶解性がよ
り良好であるため、より好ましく用いられる。
(octanoic anhydride)、デカノイックアンハイドライ
ド(decanoic anhydride)、ラウリン酸無水物(lauric
anhydride)、パルミチン酸無水物(palmitic anhydri
de)、ステアリン酸無水物(stearic anhydride)、ミ
リスチン酸無水物(myristic anhydride)、ドコサノイ
ックアンハイドライド(docosanoic anhydride)などの
飽和脂肪族カルボン酸無水物類;リノレン酸無水物(li
noleic anhydride)、オレイン酸無水物(oleicanhydri
de)、ミリストレイックアンハイドライド(myristolei
c anhydride)などの不飽和脂肪族カルボン酸無水物類
である。これらのカルボン酸無水物類の中でも不飽和カ
ルボン酸無水物類が、2−オキセタノンへの溶解性がよ
り良好であるため、より好ましく用いられる。
【0019】上記カルボン酸無水物は単独で使用しても
良く、あるいは複数混合して用いることも何等問題なく
実施可能である。
良く、あるいは複数混合して用いることも何等問題なく
実施可能である。
【0020】カルボン酸無水物の使用態様は特に限定さ
れず、単に精製した2−オキセタノンに添加し混合する
だけでよい。一般的に実施される使用態様としては、液
体や固体のカルボン酸無水物をそのまま添加する方法、
2−オキセタノンの重合に影響を及ぼさない溶剤に溶解
した溶液として添加する方法などが好適に実施される。
場合に応じて、シリカゲルなどの無機固体表面上に担
持、付着させた状態で添加する方法なども採用し得る。
れず、単に精製した2−オキセタノンに添加し混合する
だけでよい。一般的に実施される使用態様としては、液
体や固体のカルボン酸無水物をそのまま添加する方法、
2−オキセタノンの重合に影響を及ぼさない溶剤に溶解
した溶液として添加する方法などが好適に実施される。
場合に応じて、シリカゲルなどの無機固体表面上に担
持、付着させた状態で添加する方法なども採用し得る。
【0021】上記2−オキセタノンの重合に影響を及ぼ
さない溶剤としては、活性プロトン並びに窒素、リンな
どの元素を含まず、基本的に炭素、水素、酸素または塩
素からなる有機溶剤であり、カルボン酸無水物を溶解す
る溶剤であれば何等制限なく用いられる。
さない溶剤としては、活性プロトン並びに窒素、リンな
どの元素を含まず、基本的に炭素、水素、酸素または塩
素からなる有機溶剤であり、カルボン酸無水物を溶解す
る溶剤であれば何等制限なく用いられる。
【0022】好適に用いられる溶剤としては、例えば、
アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;テトラ
ヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル
などのエーテル類;ジメチルアセトアミドなどのアミド
類;塩化メチレン、クロロフォルムなどの塩素系炭化水
素;アセトニトリル、トルエンなどが挙げられる。
アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;テトラ
ヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル
などのエーテル類;ジメチルアセトアミドなどのアミド
類;塩化メチレン、クロロフォルムなどの塩素系炭化水
素;アセトニトリル、トルエンなどが挙げられる。
【0023】カルボン酸無水物の使用量は、2−オキセ
タノンに対し、0.01〜20重量%、より好ましくは
0.1〜5重量%が好ましい範囲である。0.01重量
%未満では安定化の効果があまり認められないか、ある
いは保存安定化の期間が非常に短くなってしまう。一
方、20重量%を超えても、その安定化効果は変わらな
い。このカルボン酸無水物の使用量は、保存期間の長
短、保存温度の高低に応じて上記範囲から適宜選択され
る。
タノンに対し、0.01〜20重量%、より好ましくは
0.1〜5重量%が好ましい範囲である。0.01重量
%未満では安定化の効果があまり認められないか、ある
いは保存安定化の期間が非常に短くなってしまう。一
方、20重量%を超えても、その安定化効果は変わらな
い。このカルボン酸無水物の使用量は、保存期間の長
短、保存温度の高低に応じて上記範囲から適宜選択され
る。
【0024】カルボン酸無水物による2−オキセタノン
の安定化効果は、カルボン酸無水物の2−オキセタノン
への溶解性にある程度依存している傾向がある。しかし
ながら、溶解成分にのみ依存しているわけでなく、2−
オキセタノンに溶解性の低いカルボン酸無水物が不均一
に混在しているような状態でも保存安定化の作用は発現
する。但し、不均一な状態の場合は、2−オキセタノン
との接触をより緊密にするため、その使用量を多めにす
るとか攪拌混合を実施するなどの方法が好ましく実施さ
れる。
の安定化効果は、カルボン酸無水物の2−オキセタノン
への溶解性にある程度依存している傾向がある。しかし
ながら、溶解成分にのみ依存しているわけでなく、2−
オキセタノンに溶解性の低いカルボン酸無水物が不均一
に混在しているような状態でも保存安定化の作用は発現
する。但し、不均一な状態の場合は、2−オキセタノン
との接触をより緊密にするため、その使用量を多めにす
るとか攪拌混合を実施するなどの方法が好ましく実施さ
れる。
【0025】本発明の組成物を利用するに際しては、2
−オキセタノンからポリ(2−オキセタノン)を得る製
造態様に応じて異なった利用方法が選択される。
−オキセタノンからポリ(2−オキセタノン)を得る製
造態様に応じて異なった利用方法が選択される。
【0026】例えば、2−オキセタノンを高度に精製し
た後、即座にポリ(2−オキセタノン)の製造実施に移
行せず、ある期間保存や移送を行う際には、カルボン酸
無水物は保存安定剤として利用される。次に、この安定
化保存している2−オキセタノンを用いて、ポリ(2−
オキセタノン)を溶液重合、バルク重合、沈澱重合など
液相重合を行う際には、本発明の安定化剤は2−オキセ
タノンと分離しなければならない。この場合、該安定化
組成物から1〜100mmHg程度の減圧下に単蒸留に
近い蒸留によって2−オキセタノンを気化分離した後、
液化して液相重合原料として使用する。これにより十分
な高分子量のポリ(2−オキセタノン)を生成し得る高
純度の2−オキセタノンがほぼ定量的に回収される。
た後、即座にポリ(2−オキセタノン)の製造実施に移
行せず、ある期間保存や移送を行う際には、カルボン酸
無水物は保存安定剤として利用される。次に、この安定
化保存している2−オキセタノンを用いて、ポリ(2−
オキセタノン)を溶液重合、バルク重合、沈澱重合など
液相重合を行う際には、本発明の安定化剤は2−オキセ
タノンと分離しなければならない。この場合、該安定化
組成物から1〜100mmHg程度の減圧下に単蒸留に
近い蒸留によって2−オキセタノンを気化分離した後、
液化して液相重合原料として使用する。これにより十分
な高分子量のポリ(2−オキセタノン)を生成し得る高
純度の2−オキセタノンがほぼ定量的に回収される。
【0027】一方、ポリ(2−オキセタノン)を気相重
合によって製造する場合には、カルボン酸無水物は熱重
合抑制剤として利用される。2−オキセタノンの気相重
合は、液相の2−オキセタノンをガス化させて行う。ガ
ス化の際、ガス化を促進するため100℃以下、より好
ましくは70℃以下での加熱、不活性ガスの通気、減
圧、および攪拌などの方法が採用され、2−オキセタノ
ンは高温状態に曝される。また、気相重合は連続重合に
より実施される場合もあり、2−オキセタノンが比較的
長時間高温状態に保持される。従って、気相重合におい
ては、2−オキセタノンの高温下での安定化が要求さ
れ、前記、カルボン酸無水物がその働きをなす。本発明
の組成物からガス化された2−オキセタノン中にはカル
ボン酸無水物は殆ど混入しないのでそれ以上の分離操作
は必要ない。一般に、連続気相重合に際しては、カルボ
ン酸無水物は、2−オキセタノンに対し0.1〜20重
量%の範囲で用いられ、2−オキセタノンに溶解性の高
いカルボン酸無水物が好適に選択される。
合によって製造する場合には、カルボン酸無水物は熱重
合抑制剤として利用される。2−オキセタノンの気相重
合は、液相の2−オキセタノンをガス化させて行う。ガ
ス化の際、ガス化を促進するため100℃以下、より好
ましくは70℃以下での加熱、不活性ガスの通気、減
圧、および攪拌などの方法が採用され、2−オキセタノ
ンは高温状態に曝される。また、気相重合は連続重合に
より実施される場合もあり、2−オキセタノンが比較的
長時間高温状態に保持される。従って、気相重合におい
ては、2−オキセタノンの高温下での安定化が要求さ
れ、前記、カルボン酸無水物がその働きをなす。本発明
の組成物からガス化された2−オキセタノン中にはカル
ボン酸無水物は殆ど混入しないのでそれ以上の分離操作
は必要ない。一般に、連続気相重合に際しては、カルボ
ン酸無水物は、2−オキセタノンに対し0.1〜20重
量%の範囲で用いられ、2−オキセタノンに溶解性の高
いカルボン酸無水物が好適に選択される。
【0028】本発明の2−オキセタノン組成物には、共
重合物を得る目的で2−オキセタノンと共重合可能な成
分が共存していてもよい。共重合成分としては、2−オ
キセタノンの重合に大きな影響を与えない成分であれば
何等制限がないが、一般的に2−オキセタノンに対して
10mol%以下であることが好ましい。混在可能な共
重合成分のなかでも、4−メチル−2−オキセタノン、
4,4−ジメチル−2−オキセタノン、δ−バレロラク
トン、ε−カプロラクトンなどのラクトン類、エチレン
オキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイ
ドなどのオキシラン類が生分解性機能の保持の点でより
好ましい。
重合物を得る目的で2−オキセタノンと共重合可能な成
分が共存していてもよい。共重合成分としては、2−オ
キセタノンの重合に大きな影響を与えない成分であれば
何等制限がないが、一般的に2−オキセタノンに対して
10mol%以下であることが好ましい。混在可能な共
重合成分のなかでも、4−メチル−2−オキセタノン、
4,4−ジメチル−2−オキセタノン、δ−バレロラク
トン、ε−カプロラクトンなどのラクトン類、エチレン
オキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイ
ドなどのオキシラン類が生分解性機能の保持の点でより
好ましい。
【0029】
【作用】本発明の2−オキセタノンの安定化組成物中の
カルボン酸無水物は、高度に精製した2−オキセタノ
ンの自然重合を抑制し、単蒸留などの簡単な操作で2
−オキセタノンと分離可能であり、2−オキセタノン
とは直接反応しにくく、そのためモノマーの回収率がほ
ぼ定量的であり、さらに特に気相重合において該組成
物からガス化された2−オキセタノン中に該カルボン酸
無水物が混入しないのでガス状2−オキセタノンを直接
気相重合に使用し得るという有用な特性を有している。
このような特性を発現するに至った理由は、現在のとこ
ろ明確ではないが、以下のような作用によるものと推測
される。
カルボン酸無水物は、高度に精製した2−オキセタノ
ンの自然重合を抑制し、単蒸留などの簡単な操作で2
−オキセタノンと分離可能であり、2−オキセタノン
とは直接反応しにくく、そのためモノマーの回収率がほ
ぼ定量的であり、さらに特に気相重合において該組成
物からガス化された2−オキセタノン中に該カルボン酸
無水物が混入しないのでガス状2−オキセタノンを直接
気相重合に使用し得るという有用な特性を有している。
このような特性を発現するに至った理由は、現在のとこ
ろ明確ではないが、以下のような作用によるものと推測
される。
【0030】即ち、2−オキセタノンの自然重合を開始
する主要因となるのは、おそらく精製2−オキセタノン
中に含まれる微量のイオンであると考えられる。カルボ
ン酸酸無水物は、これらのイオンによって開始された重
合の成長末端イオンと効率よく反応し新たなカルボン酸
無水物構造と遊離のカルボン酸を形成する。下記にアニ
オン重合成長末端とカルボン酸無水物との反応式を示し
た。
する主要因となるのは、おそらく精製2−オキセタノン
中に含まれる微量のイオンであると考えられる。カルボ
ン酸酸無水物は、これらのイオンによって開始された重
合の成長末端イオンと効率よく反応し新たなカルボン酸
無水物構造と遊離のカルボン酸を形成する。下記にアニ
オン重合成長末端とカルボン酸無水物との反応式を示し
た。
【0031】
【化2】
【0032】ここで重要な事は、イオン重合成長末端と
カルボン酸無水物との反応が、イオン重合成長末端と2
−オキセタノンとの反応、即ち、重合反応よりもより効
率よく起こるためカルボン酸無水物が重合抑制剤として
作用できるものと予測される。
カルボン酸無水物との反応が、イオン重合成長末端と2
−オキセタノンとの反応、即ち、重合反応よりもより効
率よく起こるためカルボン酸無水物が重合抑制剤として
作用できるものと予測される。
【0033】カルボン酸無水物の特徴の二番目は、単蒸
留などの簡単な操作で2−オキセタノンと分離できると
いう点である。2−オキセタノンは、脂肪族カルボン酸
や低分子量の非環状カルボン酸無水物とは共沸しやすく
分離が難しい。そのために、アルカリ処理等の煩雑な精
製処理を必要としていた。本発明におけるカルボン酸無
水物の場合は、それ自体が共沸し難く、さらに重要なこ
とは上記反応式に示したようにイオン重合成長末端との
反応後に生成するカルボン酸イオンが遊離カルボン酸と
なっても、それ自体が2−オキセタノンに比べ高沸点で
あるため、単蒸留などの簡単な操作で2−オキセタノン
と分離可能である。
留などの簡単な操作で2−オキセタノンと分離できると
いう点である。2−オキセタノンは、脂肪族カルボン酸
や低分子量の非環状カルボン酸無水物とは共沸しやすく
分離が難しい。そのために、アルカリ処理等の煩雑な精
製処理を必要としていた。本発明におけるカルボン酸無
水物の場合は、それ自体が共沸し難く、さらに重要なこ
とは上記反応式に示したようにイオン重合成長末端との
反応後に生成するカルボン酸イオンが遊離カルボン酸と
なっても、それ自体が2−オキセタノンに比べ高沸点で
あるため、単蒸留などの簡単な操作で2−オキセタノン
と分離可能である。
【0034】本発明の組成物中のカルボン酸無水物の特
徴の三番目は、2−オキセタノンの回収率が高いという
点である。従来公知のピクリン酸のようなジ−およびト
リニトロフェノール類は酸性物質であるため、2−オキ
セタノンと直接反応する。それに対し、カルボン酸無水
物はそのままでは2−オキセタノンとの反応は殆ど起こ
らない。
徴の三番目は、2−オキセタノンの回収率が高いという
点である。従来公知のピクリン酸のようなジ−およびト
リニトロフェノール類は酸性物質であるため、2−オキ
セタノンと直接反応する。それに対し、カルボン酸無水
物はそのままでは2−オキセタノンとの反応は殆ど起こ
らない。
【0035】本発明の安定化組成物中のカルボン酸無水
物の特徴の四番目は、2−オキセタノンから予め分離す
る事なく、重合時に組成物から直接2−オキセタノンを
ガス化させてそのまま気相重合に用いることができると
いう極めて有用な特性である。気相重合において最も重
要な点は、気相中のガス状2−オキセタノンの高い濃度
と純度である。高い濃度を得るためには、液相からの気
化を促進する必要があり、そのために加熱、減圧、曝気
等の手段が実施される。従って、気相重合においては、
通常の保存時よりも高い温度で2−オキセタノンを安定
に保持しなければならない。また、安定化剤が気相中に
混在して重合を阻害してはいけないので気相中には混入
しないような安定化剤が要求される。カルボン酸無水物
は両者を満足する。
物の特徴の四番目は、2−オキセタノンから予め分離す
る事なく、重合時に組成物から直接2−オキセタノンを
ガス化させてそのまま気相重合に用いることができると
いう極めて有用な特性である。気相重合において最も重
要な点は、気相中のガス状2−オキセタノンの高い濃度
と純度である。高い濃度を得るためには、液相からの気
化を促進する必要があり、そのために加熱、減圧、曝気
等の手段が実施される。従って、気相重合においては、
通常の保存時よりも高い温度で2−オキセタノンを安定
に保持しなければならない。また、安定化剤が気相中に
混在して重合を阻害してはいけないので気相中には混入
しないような安定化剤が要求される。カルボン酸無水物
は両者を満足する。
【0036】従来、2−オキセタノンの気相重合につい
ては検討された事が無いため、気相重合の際に用いられ
る安定化剤についても公知技術としては存在しない。本
発明の保存安定剤としてのカルボン酸無水物は、従来公
知の保存安定化剤である酸化カルシウムなどの金属酸化
物に比べて気相重合時の安定化剤として有効であること
が見いだされた。このような効果の違いは、有機物であ
るカルボン酸無水物と無機物である金属酸化物の2−オ
キセタノンへの溶解性の違いにあると予測される。2−
オキセタノン中に分子レベルで共存し、熱重合成長イオ
ンを効率よく捕捉するためと予測される。
ては検討された事が無いため、気相重合の際に用いられ
る安定化剤についても公知技術としては存在しない。本
発明の保存安定剤としてのカルボン酸無水物は、従来公
知の保存安定化剤である酸化カルシウムなどの金属酸化
物に比べて気相重合時の安定化剤として有効であること
が見いだされた。このような効果の違いは、有機物であ
るカルボン酸無水物と無機物である金属酸化物の2−オ
キセタノンへの溶解性の違いにあると予測される。2−
オキセタノン中に分子レベルで共存し、熱重合成長イオ
ンを効率よく捕捉するためと予測される。
【0037】
【発明の効果】本発明の2−オキセタノンの組成物は、
高度に精製した2−オキセタノンの自然重合を抑制
し、安定に保存が可能であり、モノマーと直接的に反
応することがなく、使用時に単蒸留などの簡単な操作
で高純度の2−オキセタノンを分離可能であり、さらに
特に気相重合において組成物からガス化させた2−オ
キセタノン中にカルボン酸無水物が混入しないのでガス
状2−オキセタノンを直接気相重合に供し得るというき
わめて有用な特性を有する。
高度に精製した2−オキセタノンの自然重合を抑制
し、安定に保存が可能であり、モノマーと直接的に反
応することがなく、使用時に単蒸留などの簡単な操作
で高純度の2−オキセタノンを分離可能であり、さらに
特に気相重合において組成物からガス化させた2−オ
キセタノン中にカルボン酸無水物が混入しないのでガス
状2−オキセタノンを直接気相重合に供し得るというき
わめて有用な特性を有する。
【0038】本発明により、2−オキセタノン精製後の
長期間の保存安定化が可能となり、ポリ(2−オキセタ
ノン)の製造が随時行うことができる。また、溶剤など
を用いない合理的な重合方法とされる気相重合がプロセ
ス的に可能となった。
長期間の保存安定化が可能となり、ポリ(2−オキセタ
ノン)の製造が随時行うことができる。また、溶剤など
を用いない合理的な重合方法とされる気相重合がプロセ
ス的に可能となった。
【0039】本発明の製造方法により、生分解機能を有
する高分子量ポリ(2−オキセタノン)を工業的に効率
よく生産することができ、生ゴミ用ゴミ袋、紙おむつ、
衛生用品、農業用マルチフィルム、釣り糸などの生分解
性を必要とする用途への応用が可能である。
する高分子量ポリ(2−オキセタノン)を工業的に効率
よく生産することができ、生ゴミ用ゴミ袋、紙おむつ、
衛生用品、農業用マルチフィルム、釣り糸などの生分解
性を必要とする用途への応用が可能である。
【0040】
【実施例】本発明を、実施例により、さらに詳細に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。
【0041】実施例1〜5 30ml容量のネジ口密栓付試験管中に、2−オキセタ
ノンを2g(27.8mmol)および表1に示したカ
ルボン酸無水物を3重量%取り、次ぎに、開始剤として
テトラメチルアンモニウムアセテートのアセトニトリル
溶液(2.065x10-7 mol/μl)0.1ml(2.065x10-5 m
ol)を5mmx70mmのアルミプレート上に塗布し乾
燥した。乾燥後、アルミプレートをネジ口試験管のネジ
口栓に取り付け、試験管に栓をすることにより、密閉と
同時に開始剤が付着したアルミプレートを試験管内の気
相部に固定した。この試験管を40℃の恒温槽中に静置
することにより気相重合を開始した。重合開始後、液相
の粘度の変化と開始剤を担持したアルミプレート上の変
化を調べた。その結果は表1に併記した。比較例1の安
定化剤を添加しない系と比べて2−オキセタノンが安定
化されている事が明かであった。また、アルミプレート
上には、ポリ(2−オキセタノン)が白色固体として析
出し時間と共に増大した。135時間後、アルミプレー
トを取り出し、アルミプレート上に析出、増大したポリ
(2−オキセタノン)を秤量した。ポリ(2−オキセタ
ノン)の重量平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフ
ィーによって分析した。結果を表1に併記した。分子量
の結果から、実施例で用いた安定化剤は、2−オキセタ
ノンの気相重合に影響を与えていないことが明かであ
る。
ノンを2g(27.8mmol)および表1に示したカ
ルボン酸無水物を3重量%取り、次ぎに、開始剤として
テトラメチルアンモニウムアセテートのアセトニトリル
溶液(2.065x10-7 mol/μl)0.1ml(2.065x10-5 m
ol)を5mmx70mmのアルミプレート上に塗布し乾
燥した。乾燥後、アルミプレートをネジ口試験管のネジ
口栓に取り付け、試験管に栓をすることにより、密閉と
同時に開始剤が付着したアルミプレートを試験管内の気
相部に固定した。この試験管を40℃の恒温槽中に静置
することにより気相重合を開始した。重合開始後、液相
の粘度の変化と開始剤を担持したアルミプレート上の変
化を調べた。その結果は表1に併記した。比較例1の安
定化剤を添加しない系と比べて2−オキセタノンが安定
化されている事が明かであった。また、アルミプレート
上には、ポリ(2−オキセタノン)が白色固体として析
出し時間と共に増大した。135時間後、アルミプレー
トを取り出し、アルミプレート上に析出、増大したポリ
(2−オキセタノン)を秤量した。ポリ(2−オキセタ
ノン)の重量平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフ
ィーによって分析した。結果を表1に併記した。分子量
の結果から、実施例で用いた安定化剤は、2−オキセタ
ノンの気相重合に影響を与えていないことが明かであ
る。
【0042】比較例1〜4 実施例1〜5におけるカルボン酸無水物を表1に示した
化合物に代えた以外は実施例1〜5と同様の方法で2−
オキセタノンの気相重合を行った。液相の変化、ポリ
(2−オキセタノン)の収量、および重量平均分子量の
結果を表1に併記した。酸化カルシウムは、2−オキセ
タノンの安定化性能が不十分であり、n-酪酸無水物およ
びiso-酪酸無水物は、気相中にカルボン酸無水物もしく
は無水物由来のカルボン酸が蒸気として混入し、ポリ
(2−オキセタノン)の分子量を低下させている。
化合物に代えた以外は実施例1〜5と同様の方法で2−
オキセタノンの気相重合を行った。液相の変化、ポリ
(2−オキセタノン)の収量、および重量平均分子量の
結果を表1に併記した。酸化カルシウムは、2−オキセ
タノンの安定化性能が不十分であり、n-酪酸無水物およ
びiso-酪酸無水物は、気相中にカルボン酸無水物もしく
は無水物由来のカルボン酸が蒸気として混入し、ポリ
(2−オキセタノン)の分子量を低下させている。
【0043】
【表1】
【0044】実施例6 30ml容量のナス型フラスコ中に2−オキセタノン1
0gおよびオレイン酸無水物0.3gを添加し、窒素雰
囲気下、40度恒温槽中で磁気攪拌を行った。60時間
後、2−オキセタノンの粘度上昇は認められなかった。
次に、減圧蒸留により2−オキセタノンを単離した。溜
出温度は45℃/10mmHg、回収率は96%であ
り、ほぼ定量的に精製2−オキセタノンとして回収し
た。
0gおよびオレイン酸無水物0.3gを添加し、窒素雰
囲気下、40度恒温槽中で磁気攪拌を行った。60時間
後、2−オキセタノンの粘度上昇は認められなかった。
次に、減圧蒸留により2−オキセタノンを単離した。溜
出温度は45℃/10mmHg、回収率は96%であ
り、ほぼ定量的に精製2−オキセタノンとして回収し
た。
【0045】回収した2−オキセタノン3g(41.6
mmol)を30ml容量の2口フラスコ中に取り、次
にヘキサン10mlおよび重合開始剤としてテトラメチ
ルアンモニウムアセテート/アセトニトリル溶液(2.06
5x10-7 mol/μl)20μl(4.13μmol)を添加
した。次に、これを窒素雰囲気下、40℃で激しく攪拌
しながら重合を行った。10時間後、ポリ(2−オキセ
タノン)は白色固体として生成した。重量測定から重合
率は98.2%、サイズ排除クロマトグラフから数平均
分子量は134200であった。
mmol)を30ml容量の2口フラスコ中に取り、次
にヘキサン10mlおよび重合開始剤としてテトラメチ
ルアンモニウムアセテート/アセトニトリル溶液(2.06
5x10-7 mol/μl)20μl(4.13μmol)を添加
した。次に、これを窒素雰囲気下、40℃で激しく攪拌
しながら重合を行った。10時間後、ポリ(2−オキセ
タノン)は白色固体として生成した。重量測定から重合
率は98.2%、サイズ排除クロマトグラフから数平均
分子量は134200であった。
【0046】従って、オレイン酸無水物は、2−オキセ
タノンの保存安定化に優れており、且つ容易に2−オキ
セタノンから分離可能であり、2−オキセタノンの重合
に影響を与えないことが明かとなった。
タノンの保存安定化に優れており、且つ容易に2−オキ
セタノンから分離可能であり、2−オキセタノンの重合
に影響を与えないことが明かとなった。
Claims (1)
- 【請求項1】 2−オキセタノン、並びに該2−オキセ
タノンに対し0.001〜20重量%の下記一般式で表
されるカルボン酸無水物を含有してなる2−オキセタノ
ン組成物。 R1−COOCO−R2 (式中、R1およびR2は炭素数7〜21の飽和または不
飽和脂肪族炭化水素基である。)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28950193A JPH07138244A (ja) | 1993-11-18 | 1993-11-18 | 2−オキセタノン組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28950193A JPH07138244A (ja) | 1993-11-18 | 1993-11-18 | 2−オキセタノン組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07138244A true JPH07138244A (ja) | 1995-05-30 |
Family
ID=17744096
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28950193A Pending JPH07138244A (ja) | 1993-11-18 | 1993-11-18 | 2−オキセタノン組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07138244A (ja) |
-
1993
- 1993-11-18 JP JP28950193A patent/JPH07138244A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP0385000B1 (en) | Atmospheric pressure process for preparing cyclic esters | |
KR101119861B1 (ko) | 고순도 폴리락틱산, 또는 그 유도체, 그 염, 및 그의 정제방법 | |
EP0038930A1 (en) | Method to increase reactor capacity for polycondensation of polyesters | |
JPH02124848A (ja) | 遊離脂肪酸からエステル化したプロポキシル化グリセリンを製造する方法 | |
WO2011089802A1 (ja) | グリコリドの製造方法 | |
US6084059A (en) | Production process for organometallic fine particle and catalyst for polymerization | |
WO2006085484A1 (ja) | ラクトン化合物の開環重合法および開環重合用活性炭触媒 | |
JPH07500089A (ja) | ポリオール化合物の製造方法 | |
JP3901219B2 (ja) | ポリテトラメチレンエーテルの二酢酸エステルを回収するための改良された方法 | |
JPS641491B2 (ja) | ||
JPH07138244A (ja) | 2−オキセタノン組成物 | |
US5391707A (en) | Process for the production of dioxanone | |
JP3162544B2 (ja) | ポリヒドロキシカルボン酸の製造方法 | |
JP5132309B2 (ja) | 環状エステルの製造方法 | |
US5641816A (en) | Process for the production of polyol compounds | |
JPH07145104A (ja) | ポリグリセリン脂肪酸エステルの製造方法 | |
JP2002105195A (ja) | アルキレンオキシド重合用触媒の製造方法 | |
JPH0530822B2 (ja) | ||
JPH0790062A (ja) | 2−オキセタノン組成物 | |
JP3852543B2 (ja) | ポリテトラメチレンエーテルグリコールの製造方法 | |
US2916474A (en) | Process of preparing polymeric terephthalic esters by interchange between a glycol and a dialkyl ester of terephthalic acid | |
JP3817751B2 (ja) | ポリグリセリン脂肪酸エステルの製造方法 | |
JPS60203634A (ja) | ポリオキシブチレン‐ポリオキシアルキレングリコール中のオリゴマー環状エーテルの含量を減少させる方法 | |
US20220169801A1 (en) | Synthesis of polyester based polymers without use of organic solvents | |
WO2006098437A1 (ja) | ポリエーテルポリオール類の製造方法 |