JPH07138244A - 2−オキセタノン組成物 - Google Patents

2−オキセタノン組成物

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JPH07138244A
JPH07138244A JP28950193A JP28950193A JPH07138244A JP H07138244 A JPH07138244 A JP H07138244A JP 28950193 A JP28950193 A JP 28950193A JP 28950193 A JP28950193 A JP 28950193A JP H07138244 A JPH07138244 A JP H07138244A
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JP
Japan
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oxetanone
carboxylic acid
polymerization
acid anhydride
anhydride
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Haruo Nishida
治男 西田
Mitsuhiro Yamashita
光弘 山下
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Tokuyama Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 液状の2−オキセタノンに対し、0.00
1〜20重量%のオレイン酸無水物あるいはミリスチン
酸無水物などの下記一般式で表されるカルボン酸無水物
を含有してなる2−オキセタノン組成物に関する。 R1−COOCO−R2 (式中、R1およびR2は炭素数7〜21の飽和または不
飽和脂肪族炭化水素基である。) 【効果】 本発明の2−オキセタノンの安定化組成物
は、高度に精製した2−オキセタノンの自然重合を抑
制し、安定に保存が可能であり、モノマーを直接的に
消費する事なく、使用時に単蒸留などの簡単な操作で
高純度の2−オキセタノンを分離可能であり、さらに
特に2−オキセタノンを分離する事なく、そのまま気相
重合に用いることができるという極めて有用な特性を有
する。本発明により、2−オキセタノン精製後の保存安
定化が可能となり、ポリ(2−オキセタノン)の製造が
随時行うことができる。また、溶剤などを用いない合理
的な重合方法とされる気相重合がプロセス的に可能とな
った。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、環境中で微生物の作用
により分解するプラスチック材料であるポリ(2−オキ
セタノン)のモノマーである2−オキセタノンの安定化
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】2−オキセタノンから合成されるポリエ
ステルであるポリ(2−オキセタノン)は、微生物の作
用により環境中で分解されることが知られている。近年
の深刻な廃棄物問題の対策の一つとして、環境中で分解
するプラスチックが望まれており、ポリ(2−オキセタ
ノン)は、まさにその要望されているプラスチック材料
である。
【0003】2−オキセタノンからポリ(2−オキセタ
ノン)への重合反応式は、下式の通りである。
【0004】
【化1】
【0005】ポリ(2−オキセタノン)を得るための2
−オキセタノンの重合については、多くの検討が為され
ている。2−オキセタノンは、アニオン、配位アニオン
およびカチオン重合でも重合が進行することが知られて
いる。
【0006】この多様な重合性は、モノマーである2−
オキセタノンの高い反応性を反映したものである。2−
オキセタノンの高い反応性は、逆に2−オキセタノンの
保存安定性の難しさを表している。高度に精製された2
−オキセタノンは、常温下のみならず、−20℃といっ
た極低温下でも徐々に重合が進行し、一昼夜で再び再生
操作を必要とする場合がある。
【0007】従来、2−オキセタノンは、工業的には酢
酸、無水酢酸、あるいはアセトンを熱分解してケテンを
発生させ、このケテンをホルムアルデヒドと結合させる
ことで合成されてきた。この際、副製する酢酸や無水酢
酸、ジケテン、アクリル酸などが、2−オキセタノン中
に混入して、2−オキセタノンの重合性を阻害する。更
にこれらの副製物は2−オキセタノンの重合を阻害する
ばかりでなく、2−オキセタノンとの分離が非常に難し
いという大きな問題点を有していた。単なる蒸留操作だ
けでは十分な重合特性を有する精製された2−オキセタ
ノンを得ることはできない。従って、従来より2−オキ
セタノンの精製方法に関して多くの検討が積み重ねられ
てきた。
【0008】例えば、ドイツ特許1954719には、
金属および非金属酸化物による酸成分の除去処理方法、
ドイツ特許2135190には、アルカリ土類金属の水
酸化物による酸成分の除去処理方法、あるいは、フラン
ス特許1341074には、水素化カルシウム、シリカ
ゲル、モレキュラーシーブス、イオン交換樹脂、および
イソシアネート化合物による水および酸成分除去方法な
どが開示されている。このような状況から、従来、精製
後の2−オキセタノンは即座にポリ(2−オキセタノ
ン)の製造に移行することが一般的であり、2−オキセ
タノンの精製に多くの検討が重ねられてきたのに比べ
て、精製したあとの2−オキセタノンの安定化について
は、あまり検討が為されてこなかった。
【0009】しかし、高度に精製した2−オキセタノン
をある期間保存することも要求されている。例えば、精
製したモノマーを一時貯蔵する場合、または移送する場
合などである。
【0010】従来、2−オキセタノンの安定化剤として
は、僅かに報告されているものがある。イギリス特許1
122939号には、ピクリン酸のようなジ−およびト
リニトロフェノール類、およびトリフェニルホスフィ
ン、トリフェニルアミン、ジエチルエーテルのようなル
イス塩基と酸フッ化ホウ素のようなボロントリハライド
との付加化合物が開示されている。また、特公昭46−
21377号には、酸化ベリリウム、酸化マグネシウ
ム、酸化カルシウムなどの金属酸化物が開示されてい
る。しかしながら、前者は危険性のため取り扱いが難し
く、後者はその安定化の機能が不十分である。
【0011】要求される2−オキセタノンの安定化剤と
は、基本的に2−オキセタノンの重合を抑制するもの
であることが必須である。しかし、従来から知られてい
る2−オキセタノンの重合を抑制する多くの化合物は、
併せて2−オキセタノンを重合不可能な他の物質に変換
する作用を持っているものが多い。例えば、水は2−オ
キセタノンをヒドロキシプロピオン酸に変化させる。従
って、安定化剤には2−オキセタノンの化学的変化を
引き起こさないという特性も要求される。また、重合
を行うに際して、簡単な分離操作で分離され精製2−オ
キセタノンが容易に再生されるという特性が要求され
る。無水酢酸や酢酸等は蒸留などで分離するのは不可能
であり、手間のかかる再生処理操作が必要である。
【0012】以上の様な要求項目を満足する安定化剤は
未だ見いだされていない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】高度に精製された2−
オキセタノンの保存安定性を改良する2−オキセタノン
の安定化組成物の開発を課題とした。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、特定のカルボン
酸無水物が、高度に精製した2−オキセタノンを安定に
保存できることを見いだし、本発明を完成するに至っ
た。
【0015】即ち、本発明は、2−オキセタノン、並び
に該2−オキセタノンに対し0.001〜20重量%の
下記一般式で表されるカルボン酸無水物を含有してなる
2−オキセタノン組成物である。
【0016】R1−COOCO−R2 (式中、R1およびR2は炭素数7〜21の飽和または不
飽和脂肪族炭化水素基である。)本発明において用いら
れるカルボン酸無水物は、特定の構造、即ち、上記一般
式中のR1およびR2が、炭素数7〜21の飽和または不
飽和脂肪族炭化水素基であることが必要である。炭素数
7未満の場合、安定化効果は十分に発現するが、重合を
行うに際して分離即ち精製2−オキセタノンの再生とい
う必要特性に関して不十分である。一方、炭素数が21
を超えるカルボン酸無水物の場合、2−オキセタノンと
の分離は容易に達成されるが、2−オキセタノンへの溶
解性が悪くなり安定化効果が不十分である。しかも入手
が難しく実用的でない。
【0017】本発明において好適に用いられるカルボン
酸無水物を具体的に挙げると次のとおりである。
【0018】即ち、オクタノイックアンハイドライド
(octanoic anhydride)、デカノイックアンハイドライ
ド(decanoic anhydride)、ラウリン酸無水物(lauric
anhydride)、パルミチン酸無水物(palmitic anhydri
de)、ステアリン酸無水物(stearic anhydride)、ミ
リスチン酸無水物(myristic anhydride)、ドコサノイ
ックアンハイドライド(docosanoic anhydride)などの
飽和脂肪族カルボン酸無水物類;リノレン酸無水物(li
noleic anhydride)、オレイン酸無水物(oleicanhydri
de)、ミリストレイックアンハイドライド(myristolei
c anhydride)などの不飽和脂肪族カルボン酸無水物類
である。これらのカルボン酸無水物類の中でも不飽和カ
ルボン酸無水物類が、2−オキセタノンへの溶解性がよ
り良好であるため、より好ましく用いられる。
【0019】上記カルボン酸無水物は単独で使用しても
良く、あるいは複数混合して用いることも何等問題なく
実施可能である。
【0020】カルボン酸無水物の使用態様は特に限定さ
れず、単に精製した2−オキセタノンに添加し混合する
だけでよい。一般的に実施される使用態様としては、液
体や固体のカルボン酸無水物をそのまま添加する方法、
2−オキセタノンの重合に影響を及ぼさない溶剤に溶解
した溶液として添加する方法などが好適に実施される。
場合に応じて、シリカゲルなどの無機固体表面上に担
持、付着させた状態で添加する方法なども採用し得る。
【0021】上記2−オキセタノンの重合に影響を及ぼ
さない溶剤としては、活性プロトン並びに窒素、リンな
どの元素を含まず、基本的に炭素、水素、酸素または塩
素からなる有機溶剤であり、カルボン酸無水物を溶解す
る溶剤であれば何等制限なく用いられる。
【0022】好適に用いられる溶剤としては、例えば、
アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;テトラ
ヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル
などのエーテル類;ジメチルアセトアミドなどのアミド
類;塩化メチレン、クロロフォルムなどの塩素系炭化水
素;アセトニトリル、トルエンなどが挙げられる。
【0023】カルボン酸無水物の使用量は、2−オキセ
タノンに対し、0.01〜20重量%、より好ましくは
0.1〜5重量%が好ましい範囲である。0.01重量
%未満では安定化の効果があまり認められないか、ある
いは保存安定化の期間が非常に短くなってしまう。一
方、20重量%を超えても、その安定化効果は変わらな
い。このカルボン酸無水物の使用量は、保存期間の長
短、保存温度の高低に応じて上記範囲から適宜選択され
る。
【0024】カルボン酸無水物による2−オキセタノン
の安定化効果は、カルボン酸無水物の2−オキセタノン
への溶解性にある程度依存している傾向がある。しかし
ながら、溶解成分にのみ依存しているわけでなく、2−
オキセタノンに溶解性の低いカルボン酸無水物が不均一
に混在しているような状態でも保存安定化の作用は発現
する。但し、不均一な状態の場合は、2−オキセタノン
との接触をより緊密にするため、その使用量を多めにす
るとか攪拌混合を実施するなどの方法が好ましく実施さ
れる。
【0025】本発明の組成物を利用するに際しては、2
−オキセタノンからポリ(2−オキセタノン)を得る製
造態様に応じて異なった利用方法が選択される。
【0026】例えば、2−オキセタノンを高度に精製し
た後、即座にポリ(2−オキセタノン)の製造実施に移
行せず、ある期間保存や移送を行う際には、カルボン酸
無水物は保存安定剤として利用される。次に、この安定
化保存している2−オキセタノンを用いて、ポリ(2−
オキセタノン)を溶液重合、バルク重合、沈澱重合など
液相重合を行う際には、本発明の安定化剤は2−オキセ
タノンと分離しなければならない。この場合、該安定化
組成物から1〜100mmHg程度の減圧下に単蒸留に
近い蒸留によって2−オキセタノンを気化分離した後、
液化して液相重合原料として使用する。これにより十分
な高分子量のポリ(2−オキセタノン)を生成し得る高
純度の2−オキセタノンがほぼ定量的に回収される。
【0027】一方、ポリ(2−オキセタノン)を気相重
合によって製造する場合には、カルボン酸無水物は熱重
合抑制剤として利用される。2−オキセタノンの気相重
合は、液相の2−オキセタノンをガス化させて行う。ガ
ス化の際、ガス化を促進するため100℃以下、より好
ましくは70℃以下での加熱、不活性ガスの通気、減
圧、および攪拌などの方法が採用され、2−オキセタノ
ンは高温状態に曝される。また、気相重合は連続重合に
より実施される場合もあり、2−オキセタノンが比較的
長時間高温状態に保持される。従って、気相重合におい
ては、2−オキセタノンの高温下での安定化が要求さ
れ、前記、カルボン酸無水物がその働きをなす。本発明
の組成物からガス化された2−オキセタノン中にはカル
ボン酸無水物は殆ど混入しないのでそれ以上の分離操作
は必要ない。一般に、連続気相重合に際しては、カルボ
ン酸無水物は、2−オキセタノンに対し0.1〜20重
量%の範囲で用いられ、2−オキセタノンに溶解性の高
いカルボン酸無水物が好適に選択される。
【0028】本発明の2−オキセタノン組成物には、共
重合物を得る目的で2−オキセタノンと共重合可能な成
分が共存していてもよい。共重合成分としては、2−オ
キセタノンの重合に大きな影響を与えない成分であれば
何等制限がないが、一般的に2−オキセタノンに対して
10mol%以下であることが好ましい。混在可能な共
重合成分のなかでも、4−メチル−2−オキセタノン、
4,4−ジメチル−2−オキセタノン、δ−バレロラク
トン、ε−カプロラクトンなどのラクトン類、エチレン
オキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイ
ドなどのオキシラン類が生分解性機能の保持の点でより
好ましい。
【0029】
【作用】本発明の2−オキセタノンの安定化組成物中の
カルボン酸無水物は、高度に精製した2−オキセタノ
ンの自然重合を抑制し、単蒸留などの簡単な操作で2
−オキセタノンと分離可能であり、2−オキセタノン
とは直接反応しにくく、そのためモノマーの回収率がほ
ぼ定量的であり、さらに特に気相重合において該組成
物からガス化された2−オキセタノン中に該カルボン酸
無水物が混入しないのでガス状2−オキセタノンを直接
気相重合に使用し得るという有用な特性を有している。
このような特性を発現するに至った理由は、現在のとこ
ろ明確ではないが、以下のような作用によるものと推測
される。
【0030】即ち、2−オキセタノンの自然重合を開始
する主要因となるのは、おそらく精製2−オキセタノン
中に含まれる微量のイオンであると考えられる。カルボ
ン酸酸無水物は、これらのイオンによって開始された重
合の成長末端イオンと効率よく反応し新たなカルボン酸
無水物構造と遊離のカルボン酸を形成する。下記にアニ
オン重合成長末端とカルボン酸無水物との反応式を示し
た。
【0031】
【化2】
【0032】ここで重要な事は、イオン重合成長末端と
カルボン酸無水物との反応が、イオン重合成長末端と2
−オキセタノンとの反応、即ち、重合反応よりもより効
率よく起こるためカルボン酸無水物が重合抑制剤として
作用できるものと予測される。
【0033】カルボン酸無水物の特徴の二番目は、単蒸
留などの簡単な操作で2−オキセタノンと分離できると
いう点である。2−オキセタノンは、脂肪族カルボン酸
や低分子量の非環状カルボン酸無水物とは共沸しやすく
分離が難しい。そのために、アルカリ処理等の煩雑な精
製処理を必要としていた。本発明におけるカルボン酸無
水物の場合は、それ自体が共沸し難く、さらに重要なこ
とは上記反応式に示したようにイオン重合成長末端との
反応後に生成するカルボン酸イオンが遊離カルボン酸と
なっても、それ自体が2−オキセタノンに比べ高沸点で
あるため、単蒸留などの簡単な操作で2−オキセタノン
と分離可能である。
【0034】本発明の組成物中のカルボン酸無水物の特
徴の三番目は、2−オキセタノンの回収率が高いという
点である。従来公知のピクリン酸のようなジ−およびト
リニトロフェノール類は酸性物質であるため、2−オキ
セタノンと直接反応する。それに対し、カルボン酸無水
物はそのままでは2−オキセタノンとの反応は殆ど起こ
らない。
【0035】本発明の安定化組成物中のカルボン酸無水
物の特徴の四番目は、2−オキセタノンから予め分離す
る事なく、重合時に組成物から直接2−オキセタノンを
ガス化させてそのまま気相重合に用いることができると
いう極めて有用な特性である。気相重合において最も重
要な点は、気相中のガス状2−オキセタノンの高い濃度
と純度である。高い濃度を得るためには、液相からの気
化を促進する必要があり、そのために加熱、減圧、曝気
等の手段が実施される。従って、気相重合においては、
通常の保存時よりも高い温度で2−オキセタノンを安定
に保持しなければならない。また、安定化剤が気相中に
混在して重合を阻害してはいけないので気相中には混入
しないような安定化剤が要求される。カルボン酸無水物
は両者を満足する。
【0036】従来、2−オキセタノンの気相重合につい
ては検討された事が無いため、気相重合の際に用いられ
る安定化剤についても公知技術としては存在しない。本
発明の保存安定剤としてのカルボン酸無水物は、従来公
知の保存安定化剤である酸化カルシウムなどの金属酸化
物に比べて気相重合時の安定化剤として有効であること
が見いだされた。このような効果の違いは、有機物であ
るカルボン酸無水物と無機物である金属酸化物の2−オ
キセタノンへの溶解性の違いにあると予測される。2−
オキセタノン中に分子レベルで共存し、熱重合成長イオ
ンを効率よく捕捉するためと予測される。
【0037】
【発明の効果】本発明の2−オキセタノンの組成物は、
高度に精製した2−オキセタノンの自然重合を抑制
し、安定に保存が可能であり、モノマーと直接的に反
応することがなく、使用時に単蒸留などの簡単な操作
で高純度の2−オキセタノンを分離可能であり、さらに
特に気相重合において組成物からガス化させた2−オ
キセタノン中にカルボン酸無水物が混入しないのでガス
状2−オキセタノンを直接気相重合に供し得るというき
わめて有用な特性を有する。
【0038】本発明により、2−オキセタノン精製後の
長期間の保存安定化が可能となり、ポリ(2−オキセタ
ノン)の製造が随時行うことができる。また、溶剤など
を用いない合理的な重合方法とされる気相重合がプロセ
ス的に可能となった。
【0039】本発明の製造方法により、生分解機能を有
する高分子量ポリ(2−オキセタノン)を工業的に効率
よく生産することができ、生ゴミ用ゴミ袋、紙おむつ、
衛生用品、農業用マルチフィルム、釣り糸などの生分解
性を必要とする用途への応用が可能である。
【0040】
【実施例】本発明を、実施例により、さらに詳細に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。
【0041】実施例1〜5 30ml容量のネジ口密栓付試験管中に、2−オキセタ
ノンを2g(27.8mmol)および表1に示したカ
ルボン酸無水物を3重量%取り、次ぎに、開始剤として
テトラメチルアンモニウムアセテートのアセトニトリル
溶液(2.065x10-7 mol/μl)0.1ml(2.065x10-5 m
ol)を5mmx70mmのアルミプレート上に塗布し乾
燥した。乾燥後、アルミプレートをネジ口試験管のネジ
口栓に取り付け、試験管に栓をすることにより、密閉と
同時に開始剤が付着したアルミプレートを試験管内の気
相部に固定した。この試験管を40℃の恒温槽中に静置
することにより気相重合を開始した。重合開始後、液相
の粘度の変化と開始剤を担持したアルミプレート上の変
化を調べた。その結果は表1に併記した。比較例1の安
定化剤を添加しない系と比べて2−オキセタノンが安定
化されている事が明かであった。また、アルミプレート
上には、ポリ(2−オキセタノン)が白色固体として析
出し時間と共に増大した。135時間後、アルミプレー
トを取り出し、アルミプレート上に析出、増大したポリ
(2−オキセタノン)を秤量した。ポリ(2−オキセタ
ノン)の重量平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフ
ィーによって分析した。結果を表1に併記した。分子量
の結果から、実施例で用いた安定化剤は、2−オキセタ
ノンの気相重合に影響を与えていないことが明かであ
る。
【0042】比較例1〜4 実施例1〜5におけるカルボン酸無水物を表1に示した
化合物に代えた以外は実施例1〜5と同様の方法で2−
オキセタノンの気相重合を行った。液相の変化、ポリ
(2−オキセタノン)の収量、および重量平均分子量の
結果を表1に併記した。酸化カルシウムは、2−オキセ
タノンの安定化性能が不十分であり、n-酪酸無水物およ
びiso-酪酸無水物は、気相中にカルボン酸無水物もしく
は無水物由来のカルボン酸が蒸気として混入し、ポリ
(2−オキセタノン)の分子量を低下させている。
【0043】
【表1】
【0044】実施例6 30ml容量のナス型フラスコ中に2−オキセタノン1
0gおよびオレイン酸無水物0.3gを添加し、窒素雰
囲気下、40度恒温槽中で磁気攪拌を行った。60時間
後、2−オキセタノンの粘度上昇は認められなかった。
次に、減圧蒸留により2−オキセタノンを単離した。溜
出温度は45℃/10mmHg、回収率は96%であ
り、ほぼ定量的に精製2−オキセタノンとして回収し
た。
【0045】回収した2−オキセタノン3g(41.6
mmol)を30ml容量の2口フラスコ中に取り、次
にヘキサン10mlおよび重合開始剤としてテトラメチ
ルアンモニウムアセテート/アセトニトリル溶液(2.06
5x10-7 mol/μl)20μl(4.13μmol)を添加
した。次に、これを窒素雰囲気下、40℃で激しく攪拌
しながら重合を行った。10時間後、ポリ(2−オキセ
タノン)は白色固体として生成した。重量測定から重合
率は98.2%、サイズ排除クロマトグラフから数平均
分子量は134200であった。
【0046】従って、オレイン酸無水物は、2−オキセ
タノンの保存安定化に優れており、且つ容易に2−オキ
セタノンから分離可能であり、2−オキセタノンの重合
に影響を与えないことが明かとなった。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2−オキセタノン、並びに該2−オキセ
    タノンに対し0.001〜20重量%の下記一般式で表
    されるカルボン酸無水物を含有してなる2−オキセタノ
    ン組成物。 R1−COOCO−R2 (式中、R1およびR2は炭素数7〜21の飽和または不
    飽和脂肪族炭化水素基である。)
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