JPH07133914A - 自己再循環バーナ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 窒素酸化物の低減効果をより高めるようにし
た自己再循環バーナを提供する。 【構成】 軸心上にバーナガン１０を配置し空気導入室
３に連通したバーナ外筒９を、バーナポート１との間に
所要の間隙１９を形成して配設し、空気導入室３内に、
燃焼用空気１７をバーナガン１０に沿って吹出すようバ
ーナガン１０の周囲に小径の吹出し部２１を形成し、間
隙１９と連通して燃焼ガス循環室２２を形成する仕切板
２３を配設し、仕切板２３に燃焼ガス循環室２２を吹出
し部２１に連通する吸入口部２５を形成している自己再
循環バーナであって、バーナガン１０の外周に間隙を有
して配置され、空気導入室３の上流側位置に空気分岐管
２９を介して接続され、吸入口部２５近傍にバーナガン
１０と交差する方向に放射状に開口した空気吹き出し口
３０を備えた冷却用空気吹込管２４を設け、空気分岐管
２９に流量調整ダンパ２８を配設する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、燃焼用空気中の酸素濃
度を低くし、窒素酸化物を低減し得る自己再循環バーナ
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来から種々のバーナにおいて燃焼によ
る窒素酸化物の発生を低減する技術が提案されている。

【０００３】即ち、バーナによる燃焼時に、燃焼用空気
に燃焼排ガスを混入すると、緩慢燃焼が行われて燃焼温
度が抑えられることにより窒素酸化物（ＮＯx）の発生
を低減できることが従来から知られており、このため、
オイルバーナ或いはガスバーナ等においては、空気に対
してボイラ等の燃焼排ガスを混合し、通常２１％程度で
ある空気の酸素濃度を１６％〜１８％程度の酸素濃度ま
で低下させた燃焼排ガス混合空気をバーナに供給するこ
とにより、緩慢燃焼を行わせて窒素酸化物の発生を抑え
るようにしている。

【０００４】図３は、上記した如き自己再循環バーナの
一例を示すもので、炉壁管によって構成される炉壁に耐
火材２によってバーナポート１が形成され、該バーナポ
ート１は空気導入室３に連通されており、空気導入室３
及びバーナポート１に亘って排ガス循環バーナ４が配設
されている。

【０００５】該排ガス循環バーナ４は、耐火材２の外側
壁にバーナ取付けフランジ５によって取付けられたバー
ナ外筒９を備えており、該バーナ外筒９は、炉内６側の
ファンネル７と該ファンネル７の空気導入室３側に連設
されたバーナスリーブ８とから構成されている。前記バ
ーナ外筒９の軸心上には、空気導入室３の外部から該空
気導入室３内を挿通して延びるバーナガン１０が配設さ
れており、該バーナガン１０のバーナノズル１１先端と
所要の間隔を隔てた位置にはバーナガン１０と直交する
方向の板状のデフューザ１２がファンネル７内に固定さ
れている。

【０００６】又、図中、１３は炉内６にて燃焼した後排
出される排ガス１４の一部を導く排ガス循環ダクトであ
り、該排ガス循環ダクト１３の排ガス１４を、空気ダク
ト１５及び空気導入ダンパ１６を介して前記空気導入室
３に供給する燃焼用空気１７に混合するようになってい
る。１８は空気導入室３内に導入された排ガス混合空気
１７ａをバーナ外筒９内へ案内するガイド板である。

【０００７】而して、バーナガン１０のバーナノズル１
１から噴射されてデフューザ１２によって周方向に飛散
した燃料は、デフューザ１２の炉内６側にて排ガス混合
空気１７ａと混合して燃焼する。

【０００８】このとき、前記排ガス混合空気１７ａは、
燃焼用空気１７に排ガス１４を混入しており酸素濃度が
低下されているので、緩慢燃焼により燃焼温度が抑えら
れて窒素酸化物の発生が低減される。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来装置においては、燃焼用空気１７に炉内６から取り出
した排ガス１４を混入するようにしているために、大掛
かりな排ガス循環ダクト１３を配設する必要があり、装
置が高価になると共に、排ガス混合のための運転費が増
加するという問題があった。

【００１０】本発明は、上述の実情に鑑み、簡単な構成
により従来のような大掛かりな排ガス循環ダクト等を設
けることなしに排ガスを自己再循環させることができ且
つ燃焼温度の上昇を抑えて窒素酸化物の発生を低減でき
る自己再循環バーナを提供することを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明は、炉外の空気導
入室側に連通し軸心上にバーナガンを配置したバーナ外
筒を、耐火材で形成されたバーナポートとの間に所要の
間隙を形成するよう配設し、前記空気導入室内に、燃焼
用空気を前記バーナガンに沿って吹出し得るよう該バー
ナガンの周囲に小径の吹出し部を形成すると共に、前記
間隙と連通して燃焼ガス循環室を形成する仕切板を配設
し、該仕切板に前記燃焼ガス循環室を前記吹出し部に連
通する吸入口部を形成した自己再循環バーナであって、
前記バーナガンの外周に間隙を有して配置され、前記空
気導入室の上流側位置に空気分岐管を介して接続されて
いると共に、前記吸入口部近傍にバーナガンと交差する
方向に放射状に開口した空気吹き出し口を備えた冷却用
空気吹込管を設け、前記空気分岐管に流量調整ダンパを
配設したことを特徴とする自己再循環バーナ、及び、冷
却用空気吹込管をバーナガンの軸方向に位置調整可能と
したことを特徴とする請求項１記載の自己再循環バー
ナ、にかかるものである。

【００１２】

【作用】請求項１の発明では、空気導入室に供給された
燃焼用空気は、仕切板と冷却用空気吹込管との間の小径
の吹出し部からバーナガンに沿ってバーナ外筒内に所要
流速で吹出し、この吹出しによるエゼクタ効果により、
吸入口部から燃焼ガス循環室内を吸引し、よって炉内燃
焼ガスの一部がバーナポートとバーナ外筒との間の間隙
から燃焼ガス循環室に吸引され、更に吸入口部からバー
ナ外筒内に吸引される。よって、前記吹出し部からの燃
焼用空気に炉内燃焼ガスが混合されて酸素濃度が低下さ
れた後、バーナノズルから噴射された燃料と混合して燃
焼するので、緩慢燃焼により窒素酸化物の発生が低減さ
れるようになる。

【００１３】この時、空気導入室の上流側から導いた新
鮮な空気を、冷却用空気吹込管の空気吹き出し口から前
記吸入口部近傍に向けて吹き出すと、燃焼用空気と炉内
燃焼ガスの混合を良好に行わせて均一化することができ
ると共に、空気吹き出し口からの新鮮な空気によって燃
焼ガス混合空気の温度を低下させることができるため、
火炎の温度を下げて窒素酸化物の発生を低減することが
できる。

【００１４】又、バーナの低燃焼時に、冷却用空気吹込
管の空気吹き出し口から吹き出される新鮮な空気が、炉
内燃焼ガスの再循環を抑えるように作用することになる
ため、炉内燃焼ガスの再循環量の増加が抑えられて火炎
の温度が低下され、よってバーナ低燃焼時の窒素酸化物
の増加が防止される。上記空気吹き出し口から吹き出す
新鮮な空気の量は、バーナの燃焼状態等に応じて、流量
調整ダンパにより任意に調節することができる。

【００１５】また、冷却用空気吹込管の位置を、バーナ
ガンの軸方向に位置調整可能としているので、空気吹き
出し口の位置を変更して最も効果的な位置に設定するこ
とができる。

【００１６】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ説
明する。

【００１７】図１及び図２は本発明の一実施例であり、
図中図３と同一の構成部分については同一の符号を付す
ことによって説明を省略するものとし、以下、本発明に
特有の構成についてのみ説明して行く。

【００１８】図１に示す如く、バーナ外筒９は、バーナ
取付けフランジ５によりバーナポート１との間に所要の
間隙１９が形成される径を有して取付けられており、前
記バーナ取付けフランジ５には開口部２０が穿設されて
前記間隙１９が、空気ダクト１５及び空気導入ダンパ１
６を介して燃焼用空気１７が導入される空気導入室３側
に連通するようになっている。

【００１９】又、空気導入室３内の空気導入ダンパ１６
出口とバーナガン１０との間には、前記空気導入ダンパ
１６からの燃焼用空気１７をバーナガン１０に沿って吹
出し得るよう該バーナガン１０の周囲に小径の吹出し部
２１を形成すると共に、前記間隙１９に開口部２０を介
して連通する燃焼ガス循環室２２を形成するようにした
仕切板２３が配設されている。

【００２０】該仕切板２３は、耐火材２の外側面に固定
した固定板２３ａと、該固定板２３ａに沿ってバーナガ
ン１０の軸方向へ位置調節可能な移動板２３ｂから構成
されており、該移動板２３ｂは前記空気導入室３位置に
おいてバーナガン１０を包囲するように設けた冷却用空
気吹込管２４との間で前記吹出し部２１を形成する絞り
部２３ｃを有しており、該絞り部２３ｃはバーナスリー
ブ８の内径方向内側まで延びており、前記絞り部２３ｃ
と、バーナスリーブ８の空気導入室３側端部とによっ
て、前記燃焼ガス循環室２２と吹出し部２１を連通する
吸入口部２５を形成している。

【００２１】更に、前記冷却用空気吹込管２４は、バー
ナ後面板２６を貫通して図１及び２に示すように、バー
ナガン１０の外周に所要の間隔を有して配置されてお
り、冷却用空気吹込管２４の外側端部はフレキシブル管
２７、及び流量調整ダンパ２８を備えた空気分岐管２９
を介して前記空気導入室３の上流側、例えば空気導入ダ
ンパ１６の出口部に接続している。

【００２２】前記冷却用空気吹込管２４の内側端部は、
前記吸入口部２５付近まで延びており、該吸入口部２５
近傍に向けてバーナガン１０と交差するように開口した
空気吹き出し口３０を有し、該空気吹き出し口３０から
新鮮な温度の低い空気を吹き出すようにしている。

【００２３】又、前記冷却用空気吹込管２４がバーナ後
面板２６を貫通している位置には、案内管３１が設けら
れており、フレキシブル管２７の作用により冷却用空気
吹込管２４を案内管３１に沿ってバーナガン１０の軸方
向に位置調整し、その位置を止めねじ３２で固定できる
ようにしている。

【００２４】以下、上記実施例の作用を説明する。

【００２５】空気導入ダンパ１６から空気導入室３に導
入された燃焼用空気１７を、仕切板２３の絞り部２３ｃ
と冷却用空気吹込管２４との間の吹出し部２１からバー
ナガン１０に沿ってバーナ外筒９内に、例えば秒速７０
〜８０Ｍで吹出すと、前記燃焼用空気１７の吹出しによ
るエゼクタ効果により、吸入口部２５より燃焼ガス循環
室２２内が吸引され、炉内燃焼ガス３３の一部が炉内６
から間隙１９、開口部２０を介して燃焼ガス循環室２２
に吸引されて吸入口部２５からバーナ外筒９内に吸引さ
れる。よって、前記燃焼用空気１７と炉内燃焼ガス３３
はバーナ外筒９内において混合され、酸素濃度が低下さ
れた燃焼ガス混合空気３４となって、バーナノズル１１
から噴射される燃料と混合して燃焼する。従って、燃焼
が緩慢燃焼となって燃焼温度が抑えられ、窒素酸化物の
発生が低減される。

【００２６】この時、前記吹出し部２１から吹き出され
る燃焼用空気１７と再循環される高温の炉内燃焼ガス３
３との混合が良好に行われにくく、そのために、混合さ
れない高温の炉内燃焼ガス３３及び酸素濃度が高い燃焼
用空気１７にバーナノズル１１からの燃料が噴射される
ことにより高温燃焼が行われて、窒素酸化物の低減効果
を充分に発揮できない場合が生じる。また、特にバーナ
の低燃焼時に、前記エゼクタ効果が利きすぎてしまう為
に、高温の炉内燃焼ガス３３の混合比率が高くなって燃
焼ガス混合空気３４の温度が上昇し、よって窒素酸化物
の発生が増大してしまうことがあった。

【００２７】この為、空気分岐管２９により空気導入室
３の上流側から導いた新鮮な空気を、冷却用空気吹込管
２４の空気吹き出し口３０から、前記吸入口部２５付近
に向けて吹き出すことにより、燃焼用空気１７と炉内燃
焼ガス３３の混合を良好に行わせて燃焼ガス混合空気３
４の酸素濃度を均一に低下させることができると共に、
空気吹き出し口３０からの新鮮な空気によって炉内燃焼
ガス３３を冷却することができ、よって燃焼ガス混合空
気３４の温度を低下させて火炎の温度を下げ、窒素酸化
物の発生を低減することができる。

【００２８】又、バーナの低燃焼時には、前記冷却用空
気吹込管２４の空気吹き出し口３０から吹き出される新
鮮な空気が、炉内燃焼ガス３３の再循環を抑えるように
作用することになるため、燃焼ガス混合空気３４の温度
が上昇するのを防止して、窒素酸化物の発生を低減する
ことができる。

【００２９】上記空気吹き出し口３０から吹き出す新鮮
な空気の流量は、バーナの燃焼状態等に応じて、空気分
岐管２９に備えた流量調整ダンパ２８により任意に調節
することができる。

【００３０】冷却用空気吹込管２４は、止めねじ３２に
よってバーナガン１０の軸方向に位置調整可能としてい
るので、空気吹き出し口３０の位置を変更して、最も効
果的な位置に設定することができる。

【００３１】尚、本発明は、上述の実施例にのみ限定さ
れるものではなく、空気分岐管による空気の取出し位置
は任意に選定し得ること、その他本発明の要旨を逸脱し
ない範囲内において種々変更を加え得ること、等は勿論
である。

【００３２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の自己再循
環バーナによれば、小径の吹出し部から吹出す燃焼用空
気のエゼクタ効果により、吸入口部から炉内燃焼ガスを
吸引して自己循環させるようにしているので、吹出し部
からの燃焼用空気に炉内燃焼ガスを簡単な構成で何等の
運転費も要することなく混合させることができ、酸素濃
度が低下された燃焼ガス混合空気により燃焼温度を低下
させて窒素酸化物の発生を低減することができる。

【００３３】この時、空気導入室の上流側から導いた新
鮮な空気を、冷却用空気吹込管の空気吹き出し口から吸
入口部近傍に向けて吹き出すようにしているので、燃焼
用空気と炉内燃焼ガスの混合を良好に行わせて燃焼ガス
混合空気の酸素濃度を均一に低下させることができ、且
つ空気吹き出し口からの新鮮な空気によって燃焼ガス混
合空気の温度を低下させることができるため、火炎の温
度を下げて窒素酸化物の発生を更に低減することができ
る。又、バーナの低燃焼時に、冷却用空気吹込管の空気
吹き出し口から吹き出される新鮮な空気が、炉内燃焼ガ
スの再循環を抑えるように作用することになるため、炉
内燃焼ガスの再循環量の増加が抑えられて火炎の温度が
低下され、よってバーナ低燃焼時の窒素酸化物の増加が
防止される。更に、空気分岐管に流量調整ダンパを備え
ているために、空気吹き出し口から吹き出す新鮮な空気
の量を、バーナの燃焼状態等に応じて、最適な任意の量
に調節することができる。

【００３４】また、冷却用空気吹込管の位置を、バーナ
ガンの軸方向に位置調整可能としているので、空気吹き
出し口の位置を変更して最も効果的な位置に設定するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の縦断面図である。

【図２】図１の冷却用空気吹込管の断面図である。

【図３】従来例の縦断面図である。

【符号の説明】

１ バーナポート ２ 耐火材 ３ 空気導入室 ６ 炉内 ９ バーナ外筒 １０ バーナガン １７ 燃焼用空気 １９ 間隙 ２１ 吹き出し部 ２２ 燃焼ガス循環室 ２３ 仕切板 ２４ 冷却用空気吹込管 ２５ 吸入口部 ２８ 流量調整ダンパ ２９ 空気分岐管 ３０ 空気吹き出し口

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 池辺 弘茂 広島県呉市昭和町４番41号 石川島汎用ボ イラ株式会社本社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 炉外の空気導入室側に連通し軸心上にバ
   ーナガンを配置したバーナ外筒を、耐火材で形成された
   バーナポートとの間に所要の間隙を形成するよう配設
   し、前記空気導入室内に、燃焼用空気を前記バーナガン
   に沿って吹出し得るよう該バーナガンの周囲に小径の吹
   出し部を形成すると共に、前記間隙と連通して燃焼ガス
   循環室を形成する仕切板を配設し、該仕切板に前記燃焼
   ガス循環室を前記吹出し部に連通する吸入口部を形成し
   た自己再循環バーナであって、前記バーナガンの外周に
   間隙を有して配置され、前記空気導入室の上流側位置に
   空気分岐管を介して接続されていると共に、前記吸入口
   部近傍にバーナガンと交差する方向に放射状に開口した
   空気吹き出し口を備えた冷却用空気吹込管を設け、前記
   空気分岐管に流量調整ダンパを配設したことを特徴とす
   る自己再循環バーナ。
2. 【請求項２】 冷却用空気吹込管をバーナガンの軸方向
   に位置調整可能としたことを特徴とする請求項１記載の
   自己再循環バーナ。