JPH07133589A - 抗菌性繊維および繊維の抗菌加工方法 - Google Patents

抗菌性繊維および繊維の抗菌加工方法

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JPH07133589A
JPH07133589A JP4005190A JP519092A JPH07133589A JP H07133589 A JPH07133589 A JP H07133589A JP 4005190 A JP4005190 A JP 4005190A JP 519092 A JP519092 A JP 519092A JP H07133589 A JPH07133589 A JP H07133589A
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JP
Japan
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chitosan
fiber
polymer
antibacterial
emulsion
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Withdrawn
Application number
JP4005190A
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English (en)
Inventor
Takeshi Yoshikawa
斌 吉川
Katsumasa Tsuruya
勝正 鶴谷
Kanetoshi Umeyama
金寿 梅山
Toshio Onozaki
利夫 小野崎
Shinichi Kuwamura
慎一 桑村
Fumio Yoshino
文夫 吉野
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TOCHIGI PREF GOV
DIC Corp
Tochigi Prefecture
Original Assignee
TOCHIGI PREF GOV
Tochigi Prefecture
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 洗濯等によっても抗菌効果が損なわれ難い、
耐久性に富む抗菌性繊維、および加工に際して、抗菌性
を保持できるとともに容易に作業できるようにした繊維
の抗菌加工方法を提供することにある。 【構成】 水性媒体中で、キトサン分解物の存在下、
α,β−エチレン不飽和単量体を重合させる。得られる
エマルジョン状のキトサン−高分子複合化物と有機バイ
ンダーの混合溶液を繊維にコーティングした後に、熱処
理して、キトサン−高分子複合化物を繊維表面に付着さ
せる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗菌性を有するキトサ
ン分解物と、高分子化合物とを物理的に複合化せしめた
キトサン−高分子複合化物を用い、この複合化物を繊維
素材に付着せしめることによって、抗菌効果が得られる
ようにした抗菌性繊維および繊維の抗菌加工方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、高分子キトサンは酢酸等の有
機酸と造塩結合し、4級塩を形成することによって、抗
菌性が発現することが知られている。また特開平2−4
1473号公報には、高分子キトサンの主鎖を切断して
低分子量化せしめたキトサン分解物を得、次いで、それ
を塩類とすることによっても抗菌性が発現することが開
示されている。また本発明者等の最近の研究によって、
このキトサン分解物の塩類は中性およびアルカリ性領域
においても抗菌性が発現することが解明されている。こ
れら抗菌性を有する高分子キトサン塩、およびキトサン
分解物の塩、さらに中和によって塩が脱離したキトサン
分解物などのキトサン誘導体は、これらを繊維に付着せ
しめて抗菌性繊維を得るなどの実用化が大いに期待され
ている。しかしながら、これらのキトサン誘導体は水溶
性であるため、そのまま繊維に付着せしめた場合には洗
濯等によって繊維の抗菌効果が損なわれ易いという不都
合があり、実用性が乏しいものであった。また同じ理由
で、これらキトサン誘導体を繊維に付着せしめて抗菌加
工を施す際には、水性媒体を用いると繊維の抗菌効果が
低下するなど好ましくなかった。これに対して、有機溶
剤系の媒体を用いると作業性、安全性、加工費用などの
点で問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】よって本発明の課題
は、洗濯等によっても抗菌効果が損なわれ難い、耐久性
に富む抗菌性繊維を提供すること、および加工に際し
て、抗菌性を保持できるとともに容易に作業できるよう
にした繊維の抗菌加工方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】かかる課題は、キトサン
分解物と高分子化合物とを物理的に複合化せしめてキト
サン−高分子複合化物とし、これを繊維表面に付着せし
めることによって解決される。
【0005】
【作用】本発明で用いられるキトサン−高分子複合化物
は、キトサン分解物と高分子化合物とを物理的に複合化
せしめたものでる。ここで、物理的に複合化するとは、
キトサン分解物と高分子化合物とが化学的な結合をする
ことなしに、これらを一体化せしめることを言う。そし
て好ましくは粒子状の形態とされ、このときキトサン分
解物は、粒子状の高分子化合物の粒子内に分布してもよ
いし、高分子化合物の表面にあってもよく、さらには高
分子化合物中に微分散の状態で分散した状態であっても
よい。例えば、マイクロカプセル等の形態にすることが
できる。このようにして得られる複合化物は、キトサン
分解物と高分子化合物との間に化学的結合がないことに
よりキトサン分解物由来の抗菌性を有する。また、キト
サン分解物は、高分子化合物と複合化されているので徐
放性を有するとともに、水等による外的作用に対して耐
久性が向上する。よって、キトサン−高分子複合化物を
繊維に付着せしめることによって、洗濯等に対する耐久
性を有し、長期間に渡って抗菌性を発現できる抗菌性繊
維が得られる。さらに複合化に際してキトサン分解物を
粒子中に局在化させることによって、抗菌性の効果時間
を任意に制御することもできる。
【0006】また、キトサンを分解物として用いる理由
は以下の通りである。高分子キトサンの酢酸水溶液を、
分散媒体中で高分子化合物と複合化して粒子状の複合化
物を形成する場合には、高分子キトサン自体が高分子電
解質であるために凝集剤として機能する。このことによ
り、複合化物を調製するための分散系が破壊されてしま
い、効率よく複合化物を得るのが困難である。さらに、
複合化物を得るために分散系のpHを中性あるいはアル
カリ性に調節すると、造塩化した酢酸塩等の脱離によ
り、キトサン由来の抗菌性が消失するという問題がある
(繊維学会誌第47巻4号 平成3年4月10日発行
社団法人繊維学会)。以上の理由から、キトサン分解物
が好適に用いられる。
【0007】本発明の繊維の抗菌加工方法は、キトサン
−高分子複合化物と有機バインダーを含有する組成物を
繊維に付着せしめるものである。ここで用いられる有機
バインダーとは、乾燥、硬化などの操作によってフィル
ムを形成するものである。したがって、キトサン−高分
子複合化物をこのような有機バインダーと混合して、粉
末状、エマルジョン状、あるいはフィルム状の組成物と
し、この組成物を繊維表面に散布、塗布、含浸、あるい
は積層等により接触せしめた状態で、乾燥、硬化等を行
うことによって容易に繊維の抗菌加工処理を行うことが
できる。
【0008】以下、本発明を詳しく説明する。本発明の
抗菌性繊維は、繊維表面にキトサン分解物と高分子化合
物とを物理的に複合化せしめたキトサン−高分子複合化
物を付着してなるものである。本発明において抗菌加工
の対象とされる繊維素材は、糸、布帛、不織布、わた及
びこれらのものと他の高分子材料(ウレタン樹脂、ポリ
エステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニ
ル樹脂、セルロース等)を複合しシート状としたものな
どである。
【0009】本発明においてキトサン分解物とは、高分
子キトサンをセルラーゼ、キトサナーゼ、キチナーゼ等
の酵素や、過酸化水素、塩酸等を利用して分解し、キト
サン分解物塩を得、その後、このキトサン分解物塩を塩
基性化合物(アンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液
等)により中和して得られたものを総称して言う。
【0010】キトサン分解物は、例えば以下のようにし
て得ることができる。まず、好ましくは1重量%の酢酸
水溶液に2重量%の粉末状の高分子キトサンを溶解した
溶液を調製し、キトサン基質に対する酵素であるセルラ
ーゼを5重量%〜50重量%を添加する。次いで、加温
して、好ましくは40〜50℃の温度条件で攪拌処理を
行うことにより、高分子キトサンは低分子量化されてキ
トサン分解物塩が得られる。このとき、処理時間を好ま
しくは24〜48時間とすると、キトサンの平均分子量
を概ね28万〜1100に低下させることができる。さ
らに、好ましくは100℃、30分間の加熱処理を施し
て分解反応を停止する。冷却後、溶液を水酸化ナトリウ
ム水溶液を用いて約pH7に調整することによって、キ
トサン分解物を得ることができる。
【0011】本発明で用いられるキトサン−高分子複合
化物は、上記キトサン分解物を各種の複合化法によって
高分子化合物と複合化することによって得られる。この
高分子化合物としては、アクリル樹脂系、ポリエステル
樹脂系、ウレタン樹脂系、アミノ樹脂系、多糖類系、無
機系などの高分子化合物を用いることができる。
【0012】キトサン−高分子複合化物の製造は(1)
エマルジョン重合法によってエマルジョン状のキトサン
−高分子複合化物を得る方法、あるいは(2)スプレー
ドライ法によって、粉末状のキトサン−高分子複合化物
を得る方法によって行うことができる。そして、高分子
化合物を構成する単量体類として、α,β−エチレン性
不飽和単量体類が好適に用いられる。
【0013】キトサン−高分子複合化物を製造する第1
の方法として、エマルジョン重合法について説明する。
具体的にはキトサン分解物、水、および必要により乳化
剤の存在下で、α,β−エチレン性不飽和単量体類を反
応容器中に滴下し、重合開始剤の存在下で、乳化重合法
によって重合させることにより、エマルジョン状の複合
化物水性分散液を得ることができる。この乳化重合は0
〜100℃、好ましくは30〜90℃の温度で行われ
る。ここで、水はイオン交換水が好ましく用いられる。
また、滴下されるα,β−エチレン性不飽和単量体類は
乳化された状態でもよく、滴下は、分割してあるいは連
続して行うことができる。キトサン分解物の使用量は、
α,β−エチレン性不飽和単量体類の総量に対し0.0
1〜5重量%の範囲が好ましい。5重量%を越えると反
応系中の分散状態が不安定になり好ましくない。0.0
1重量%以下の場合には、抗菌性の効果が少なく満足す
る性能が発現しない。α,β−エチレン性不飽和単量体
類の総量と水の比率は最終固形分量が水の1〜60重量
%、好ましくは15〜55重量%の範囲になるように設
定される。またα,β−エチレン性不飽和単量体類の組
成は、得られるエマルジョン粒子のガラス転移点が−1
0℃〜50℃の範囲となるように好ましく設定される。
【0014】また、このような乳化重合をするにあた
り、予め水相中にエマルジョン粒子を存在させて重合を
行うシード重合法を用いて、粒子径を成長もしくは制御
して、キトサン分解物を粒子中に任意に局在化させるこ
ともできる。具体的にはキトサン分解物を含有するプレ
エマルジョンの存在下で、α,β−エチレン性不飽和単
量体類(必要に応じてキトサン分解物を含有させても良
い)を追加重合させる。このことにより先に合成したキ
トサン分解物を含有するプレエマルジョン表面上に、
α,β−エチレン性不飽和単量体類を堆積重合させるこ
とができる。この方法によってキトサン−高分子複合化
物を得るには、プレエマルジョンが固形分基準で0.1
〜50重量部存在する条件下において、α,β−エチレ
ン性不飽和単量体類50〜99.9重量部を重合させれ
ばよい。
【0015】上記α,β−エチレン性不飽和単量体の具
体例としては以下の化合物が例示される。(メタ)アク
リル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン
酸などのカルボキシル基含有単量体や、無水マレイン
酸、無水イタコン酸などの多価カルボン酸無水基含有不
飽和単量体等のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸
類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレ
ングリコールモノ(メタ)アクリレート等などの(メ
タ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル類や、マ
レイン酸などの多価カルボン酸のジ−ヒドロキシアルキ
ルエステル類などの不飽和基含有ポリヒドロキシアルキ
ルエステル類等で代表される水酸基含有単量体類;(メ
タ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリ
ルアミド、N−アルコキシメチル化(メタ)アクリルア
ミド、ジアセトンアクリルアミド等で代表されるカルボ
ン酸アミド基含有単量体類;p−スチレンスルホンアミ
ド、N−メチル−p−スチレンスルホンアミド、N,N
−ジメチル−p−スチレンスルホンアミド等で代表され
るスルホン酸アミド基含有単量体類;N,N−ジメチル
アミノエチル(メタ)アクリレートなどのN,N−ジア
ルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類で代表さ
れる3級アミノ基含有単量体類;(メタ)アクリロニト
リルで代表されるシアノ基含有単量体類;2−アクリル
アミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのスルホン
酸基を有する単量体;メチル(メタ)アクリレート、エ
チル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレー
ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロ
ヘキシル(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜8の直
鎖、分岐もしくは環状のアルキル基を有する(メタ)ア
クリル酸アルキルエステル類;スチレン、α−メチルス
チレン、p−tert−ブチル−スチレン、p−メチル
スチレンなどのスチレンもしくは、その誘導体などの芳
香族ビニル化合物;酢酸ビニル、安息香酸ビニル、「ベ
オバ(商品名)」(ビニルエステル、シェル社製)など
のビニルエステル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フ
ッ化ビニル、エチレン、プロピレン、ブタジエン等のオ
レフィン類;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエ
ポキシ基含有単量体類;イソシアネートエチル(メタ)
アクリレートなどのイソシアネート基含有単量体および
そのブロック化物などの(ブロック化)イソシアネート
基含有単量体類;エチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート等などの、
分子中に重合性不飽和基を2個以上有する単量体類;ビ
ニルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオ
キシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリ
ロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−
(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラ
ンなどの加水分解性シリル基含有単量体類などであり、
これらの単量体類は、最終的に使用される要求性能に応
じて、1種あるいは2種以上が適宜選択して用いられ
る。
【0016】乳化剤としてはアニオン型乳化剤、非イオ
ン型乳化剤、カチオン型乳化剤の他、反応性乳化剤、ア
クリルオリゴマー等の界面活性能を有する物質が挙げら
れ、これらのうち、非イオン型およびアニオン型乳化剤
が、重合中の凝集物の生成が少ないこと、および安定な
エマルジョンが得られることから好ましく用いられる。
非イオン型乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル、エチ
レンオキサイドープロピレンオキサイドブロック共重合
体等のものが代表的であり、アニオン型乳化剤として
は、アルキルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩、アル
キルサルフェートアルカリ金属塩、ポリオキシエチレン
アルキルフェノールサルフェートアルカリ金属塩等があ
る。さらに上述のアニオン型乳化剤の替わりに,もしく
は併用で、ポリカルボン酸あるいはスルホン酸塩よりな
る水溶性オリゴマーを用いることができる。さらにポリ
ビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース等の水
溶性高分子物質を保護コロイドとして用いることもでき
る。そして、これらの乳化剤等の使用量は総単量体量に
対して0.1〜10重量%程度が好適である。
【0017】また、重合開始剤としては乳化重合に一般
的に使用されているものであれば特に限定されないが、
具体例としては、過酸化水素などの水溶性無機過酸化
物;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナト
リウムなどの過硫酸塩類;クメンハイドロパーオキサイ
ド、ベンゾイルパーオキサイドなどの有機過酸化物類;
アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシアノ吉草酸な
どのアゾ系開始剤類などがあり、これらは1種で用いて
も、あるいは併用してもよい。使用量は総単量体量に対
して、0.1〜2重量%が好ましい。尚、これらの重合
開始剤と金属イオンおよび還元剤とを併用して、低温で
重合を行う公知のレドックス重合法によって重合を行う
こともできる。
【0018】このようにして得られたエマルジョン状の
複合化物水性分散液はそのまま用途に供することもでき
るが、この系中から、水性媒体を除去して粉末化するこ
とによって、粉末状のキトサン−高分子複合化物を得る
ことができる。ここで水性媒体の除去方法としては、1
00〜250℃の温度による噴霧乾燥(スプレードライ
法)、50〜70℃の温度によるトレイ乾燥、又は流動
床乾燥等を用いることができるが、キトサン−高分子複
合化物の熱による変性を生じさせ難いという理由により
スプレードライ法が好ましい。そして、得られる粉末粒
子は、一般に1次粒子(エマルジョン状態での粒子径を
有する微粒子)の凝集体(2次粒子)であり、このもの
は必要に応じて、分散剤、乳化剤、保護コロイド等を加
えて水に再分散することができる。
【0019】キトサン−高分子複合化物を製造する第2
の方法として、スプレードライ法について説明する。こ
の方法は、水性媒体中でキトサン分解物とα,β−エチ
レン性不飽和単量体の重合体とを混合させ、次いで、水
性媒体を系中から除去することによって粉末状のキトサ
ン−高分子複合化物を得る方法である。具体的には、ま
ず水性媒体中で、上述の単量体類を用いてエマルジョン
重合を行い、予めキトサン分解物を含有しないエマルジ
ョン状の重合体分散液を調製しておく。次いで、この分
散液とキトサン分解物とを混合した後、スプレードライ
法により水性媒体を除去する。このような方法において
は、重合体の分散液とキトサン分解物の混合物が、スプ
レードライによる乾燥工程を経ることにより、キトサン
分解物が重合体上に熱により固定化されて、キトサン分
解物と高分子化合物との複合体が形成される。このとき
に重合体と混合されるキトサン分解物の量は、重合体固
形分に対し0.01〜5重量%の範囲が好ましい。
【0020】以上述べた方法の他にも、キトサン−高分
子複合化物の製造方法としては、通常、マイクロカプセ
ルの製造等に実施されている各種の方法を用いることが
できる。例えば、化学的調製法として界面重合法、in
−situ重合法、コアセルベーション法、液中乾燥法
などの方法、あるいは、物理的調製法としてハイブリダ
イゼーション法などを用いることができる。
【0021】本発明の抗菌性繊維は、このようなキトサ
ン−高分子複合化物を繊維表面に付着せしめて、繊維を
抗菌加工することによって得られる。この場合、キトサ
ン−高分子複合化物を繊維に付着せしめ繊維を抗菌加工
する方法は特に限定されないが、エマルジョン状の、あ
るいは粉末状のキトサン−高分子複合化物および有機バ
インダーを用いて、粉末状、エマルジョン状、あるいは
フィルム状などの組成物とし、これらを適宜の付着加工
方法によって繊維に付着せしめることによって行うのが
好ましい。
【0022】ここで、用いられる有機バインダーの例と
しては、室温乾燥、強制乾燥、焼付け乾燥などの乾燥、
あるいは硬化によってフイルムを形成するものであり、
通常繊維処理加工用、塗料用として使用されているもの
であれば特に支障なく使用できる。その具体例として
は、水性エマルジョン型樹脂;溶剤型のアクリル系ラッ
カー型樹脂、ウレタン樹脂、イソシアネート硬化型樹
脂、非水分散型樹脂、アクリル−メラミン樹脂、ポリエ
ステル−メラミン樹脂、アルキッド樹脂、アルキッド−
メラミン樹脂;あるいはこれらの水性系樹脂;アクリル
系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系
の粉末樹脂等が例示できる。これらの有機バインダー
は、キトサン−高分子複合化物の形態によってエマルジ
ョン状のものあるいは粉末状のものなど適宜選択して使
用される。
【0023】またこの組成物は、有機バインダーの他に
以下に示すような種々の添加剤類も配合することができ
る。例えば、重質炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウ
ム、マイカ、酸化チタンを初めとして、カオリン、超微
粒子状シリカ、亜鉛華、カーボンブラック等の無機顔料
もしくは充填剤;フタロシアニン系、アゾ系、キナクリ
ドン系等の有機顔料もしくは、その分散顔料等の顔料
類;チッソサイザーCS−12(チッソ(株)製品)、
ブチルカルビトールアセテート、ブチルセロソルブ、ジ
ブチルフタレート等の造膜助剤あるいは可塑剤類;アニ
オン系、ノニオン系の各種界面活性剤類;ピロリン酸、
トリポリリン酸、ポリカルボン酸の塩類、ナフタレンス
ルホン酸の塩類等の分散剤;シリコン系もしくはアクリ
ル系オリゴマーなどの消泡剤;その他防腐剤などが挙げ
られるが、これらの配合量は使用条件、目的に応じ適宜
決定される。これら以外にも繊維処理あるいは塗料用途
として常用される添加剤で有れば特に支障なく使用でき
る。
【0024】以下、繊維の抗菌加工方法について具体的
に説明する。下記第1表に組成物の形態に応じた特に好
ましい付着加工方法の例をまとめて示す。
【0025】
【表1】
【0026】キトサン−高分子複合化物が粉末状の場合
には、有機バインダーとして粉末状の熱融着型樹脂が好
ましく用いられ、熱融着によって好適に付着加工するこ
とができる。この熱融着型樹脂としてはエポキシ樹脂、
ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹
脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂等が例示される。ま
ず、粉末状のキトサン−高分子複合化物と熱融着型樹脂
を任意の割合で混合する。このときの混合割合は好まし
くは1:2〜1:10程度とされる。次いで、粉体混合
物を繊維上に全面一様に、あるいは水玉、縞状など部分
的に散布して、これに熱処理を施す。この熱処理は、ベ
ーキング機、ヒートセット機、熱プレス機、熱ロール、
ネットコンベア式乾燥機等の加熱装置を用いて行うこと
ができ、このときの熱処理温度は好ましくは130〜1
80℃程度とされる。また、好ましい加工処理速度は1
0〜100m/min程度とされる。好ましい実施態様
としてその一例を説明すると、まず、キトサン−高分子
複合化物とエポキシ樹脂を主成分とする微粒子状熱融着
樹脂とを重量比で1:2〜1:10の比率でよく混合す
る。次に、この粉体混合物を繊維上に粉体用スプレー、
ふるい、あるいはへら等により散布する。さらに、粉体
混合物を散布した繊維を加熱装置に導き、140℃〜1
50℃で3分間熱処理を行う。このようにしてキトサン
−高分子複合化物を繊維上に付着せしめることができ
る。
【0027】また、キトサン−高分子複合化物がエマル
ジョン状の場合には、その複合化物水性分散液に適宜の
有機バインダーを添加混合してフィルム状に成形するこ
とができる。この成形は、ガラス板上への流延乾燥、押
出成形、インフレーション成形、コーティング剥離法等
によって行うことができる。そして、繊維とフィルムの
付着加工はラミネート加工によって好適に行うことがで
きる。このラミネート加工は、繊維またはキトサン−高
分子複合化物フィルムに有機バインダーを塗布した後、
プレスロール等で熱圧着することによって行われる。フ
ィルム成形、あるいは付着加工に用いられる有機バイン
ダーは適宜選択することができ、これらを同種のものと
することもできる。好ましくは、キトサンの有機酸塩、
ポリビニルアルコール、アクリル、酢酸ビニル、エポキ
シ、ポリエステル、メラミン等の樹脂が使用できる。こ
のラミネートによる加工において、好ましい加工条件
は、キトサン−高分子複合化物フィルムと有機バインダ
ーとの比率が10:1〜30:1、熱処理温度100〜
160℃、加工処理速度50〜200m/min程度と
される。
【0028】さらに、キトサン−高分子複合化物がエマ
ルジョンの場合に、これにアクリル、酢酸ビニル等の有
機バインダーを添加混合し、ナイフコーター、ロールコ
ーター、ボトムコーター等により繊維上にコーティング
するコーティング法によって塗布した後、熱処理等によ
って硬化せしめ、付着加工することができる。このコー
ティング法による加工において、好ましい加工条件は、
混合されるキトサン−高分子複合化物と有機バインダー
との比率が1:1〜1:5、混合によって得られる組成
物はその粘度が5〜100Cp、不揮発成分が5〜20
%とされ、また熱処理温度100〜160℃、加工処理
速度10〜100m/min程度とされる。
【0029】あるいは、上記、複合化物と有機バインダ
ーの混合溶液を、これに繊維を浸漬しロールで絞るパデ
ィング法によって、繊維に含浸せしめた後、熱処理等に
よって硬化せしめ、付着加工することができる。このパ
ディング法による加工において、好ましい加工条件は、
混合されるキトサン−高分子複合化物と有機バインダー
との比率が1:1〜1:5、混合によって得られる組成
物はその粘度が5〜50Cp、不揮発成分が1〜10%
とされ、また熱処理温度100〜160℃、加工処理速
度5〜50m/min程度とされる。
【0030】このようにして、繊維素材にキトサン−高
分子複合化物を付着せしめることができ、長期間に渡っ
て抗菌効果を発現することができる抗菌性繊維が得られ
る。さらに、好ましくは、素材として用いられる繊維中
の水酸基、カルボキシル基、スルフヒドリル基等の官能
基、あるいは有機バインダー中の官能基と反応性のある
官能基を含有する単量体をα,β−エチレン性不飽和単
量体の重合時に用いるとよい。このような、官能基含有
単量体の具体例としては、N−メチロール化(メタ)ア
クリルアミドなどのメチロール基含有単量体類、グリシ
ジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有単量体
類、イソシアネートエチル(メタ)アクリレートなどの
イソシアネート基含有単量体およびそのブロック化物な
どの(ブロック化)イソシアネート基含有単量体類など
が挙げられる。これら官能基含有単量体をキトサン−高
分子複合化物中に導入させることにより、複合化物と繊
維表面あるいは有機バインダーとが部分的に反応し、も
しくは親和性が向上して、複合化物あるいは組成物の繊
維素材への付着性を向上できる。
【0031】
【実施例】以下に本発明の実施例を示す。実施例中、部
は重量部を表す。 (参考例1)キトサン分解物を調製した。まず、1重量
%酢酸水溶液に対して粉末状高分子キトサン(片倉チッ
カリン(株)製、脱アセチル化度82%のもの)を2重量
%溶解して、高分子キトサン酢酸溶液を調製した。次い
で、溶液中の高分子キトサンに対して0.5重量%のセ
ルラーゼ酵素を添加し、40℃で2〜3時間酵素処理し
た。その後、酵素反応を停止させるため100℃の加熱
処理をした。このときの酵素処理時間と高分子キトサン
の酢酸水溶液の粘度の関係を図1に示す。3時間の酵素
処理によりこの溶液の粘度は4,000Cpから100
pに低下した。また、この粘度から計算される高分子
キトサンの平均分子量は、3時間の酵素処理によって5
0万から3万8千に低下した。さらに、2重量%水酸化
ナトリウム水溶液を用いて酵素反応終了後の水溶液のp
Hをほぼ中性にして、酢酸を脱離したキトサン分解物を
調製した。このようにして約2重量%のキトサン分解物
水溶液(A−1)を得た。
【0032】(参考例2)エマルジョン重合法によりキ
トサン−高分子複合化物を調製した。乳化重合において
は前述のシード重合法を用いた。攪拌装置、還流冷却
管、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に、上記参考
例1で得られたキトサン分解物の水溶液(A−1)25
部、イオン交換水106.5部、および乳化剤0.6部
(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(HLB
13)0.2部と、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ
0.4部との混合物)を入れて、75℃まで昇温させ、
キトサン分解物を溶解した。次いで、メチルメタクリレ
ート(MMA)19部とエチレングリコールジメタクリ
レート(EDMA)1部の混合物、および過硫酸カリウ
ム0.06部とイオン交換水1.2部の混合物を各別に
1時間で上記反応容器内に滴下した。滴下終了後 同温
度に1時間保持した。次いで、ドデシルベンゼンスルホ
ン酸ソーダ0.2部をイオン交換水20部に溶解させた
溶液に、スチレン(St)73部、ジビニルベンゼン
(DVB)4部、アクリル酸(AA)1部、N−メチロ
ール化アクリルアミド2部を加えて混合し、乳化させ
た。得られた混合物、および過硫酸カリウム0.24部
をイオン交換水4.8部に溶解させたものを各別に2時
間で上記反応容器内に滴下した。滴下終了後、同温度に
3時間保持した。反応終了後、室温まで冷却し、200
メッシュの スクリーンでろ過してキトサン−高分子複
合化物の水性分散液を調製した(B−1)。得られた水
性分散液(B−1)は不揮発分(NV)40%、pH
4.8、コールターカウンターモデルN−4による平均
粒子径が0.25μmである白色エマルジョンであり、
エマルジョン固形分当り0.5重量%のキトサン分解物
を含有するものであった。
【0033】(参考例3)エマルジョン重合法で得られ
た複合化物水性分散液から、粉末状の複合化物を調製し
た。参考例2で得られたキトサン−高分子合化物の水性
分散液(B−1)をモービルマイナー型スプレードライ
ヤー(デンマーク,ニロアトマイザー社製)で乾燥、粉
末化して、粉末状のキトサン−高分子複合化物を調製し
た。このとき、スプレードライヤーの運転条件は、入口
温度200℃、排熱温度70℃、アトマイザーの回転数
25000rpm/min、(B−1)の供給速度50
0g/hrとした。得られた複合化物は、含水量0.7
%、平均2次粒子径15μmなる1次粒子の凝集体であ
り、固形分当り0.5重量%のキトサン分解物を含有す
るものであった。以下これを(B−2)と記載する。
【0034】(参考例4)スプレードライ法でキトサン
−高分子複合化物を調製する際に、キトサン分解物と混
合されるα,β−エチレン性不飽和単量体の重合体を調
製した。参考例2と同じ反応容器を用い、参考例1のキ
トサン分解物の代わりにイオン交換水を用いる他は同様
にして重合を行い、キトサン酢酸塩を含有しない微粒子
重合体を調製した。得られたエマルジョン(A−2)は
NV.40.0%、pH4.8,コールターカウンター
モデルN−4による平均粒子径が0.23μmである白
色エマルジョンであった。
【0035】(参考例5〜7)スプレードライ法により
キトサン−高分子複合化物を調製した。上記参考例4で
得られたキトサン分解物を含有しないα,β−エチレン
性不飽和単量体の重合体の白色エマルジョン(A−2)
と、上記参考例1で得られたキトサン分解物(A−1)
を下記第2表に示す3通りの配合でそれぞれ混合し、参
考例2と同様のスプレードライヤーの運転条件でそれぞ
れ粉末化した。得られた粉末状複合化物の含水量、平均
粒子径(2次粒子径)、および微粒子表面に固定化され
たキトサン分解物含有量を同じく第1表に示した。尚、
この参考例5〜7で得られた複合化物を以下それぞれ
(B−3)、(B−4)、(B−5)と記載する。
【0036】
【表2】
【0037】(実施例1)キトサン−高分子複合化物を
フィルム状に成形し、繊維にラミネート加工を施した。
参考例2で得られたエマルジョン状の水性分散液(B−
1)90部に、アクリル樹脂エマルジョン10部を添加
混合し、ガラス板上に流延乾燥してフィルムを作製し
た。一方、綿メリヤス生地原布にアクリル樹脂エマルジ
ョンを均一に塗布した。この綿メリヤス生地原布上に上
記フィルムを積層させた状態で、プレスロールを用いて
熱圧着した。このようにしてキトサン−高分子複合化物
が付着された加工生地を得た。
【0038】(実施例2)エマルジョン状のキトサン−
高分子複合化物を用い、繊維にコーティング加工を施し
た。参考例2で得られたエマルジョン状の(B−1)8
0部にアクリル樹脂エマルジョン20部を添加混合して
得られた混合液を、リバ−スコ−ティング法により綿メ
リヤス生地原布に塗布した。ここで、リバ−スコ−ティ
ング法とは、ロ−ルを用いて塗工剤を基材へ塗布するロ
−ルコ−ティング法の一種で、コ−ティングロ−ルが繊
維基材の進行方向と反対に回転して高精度の塗工を得る
方法である。しかる後に、100〜150℃で5分間の
乾熱処理を施して、キトサン−高分子複合化物が付着さ
れた加工生地を得た。
【0039】(実施例3)エマルジョン状のキトサン−
高分子複合化物を用い、繊維にパディング加工を施し
た。参考例2で得られたエマルジョン状の(B−1)8
0部にアクリル樹脂エマルジョン20部を添加混合して
得られた混合液中に綿メリヤス生地原布を浸漬し、ロ−
ルで均一に絞ってパディング加工を行った。しかる後
に、100〜150℃で5分間の乾熱処理を施して、キ
トサン−高分子複合化物が付着された加工生地を得た。
【0040】(実施例4)粉末状のキトサン−高分子複
合化物を用い、有機バインダーと混合して熱融着加工を
施した。まず、参考例5で得られた粉末状の複合化物
(B−3)と、微粒子状熱融着樹脂(ファインデック、
大日本インキ化学工業(株)製)とを重量比1対2でよ
く混合した。次いで、この粉体混合物をへらを用いて綿
メリヤス生地上に全面一様に散布した。さらに、粉体混
合物を散布した綿メリヤス生地をテフロンフィルムでサ
ンドイッチ状に包み込み、これを乾熱試験機を用いて熱
処理した。このときの熱処理は150℃で3分間とし
た。また、粉体混合物の固着量は原布1g当り約0.5
gとした。得られた綿メリヤス加工生地のキトサン分解
物付着量は、原布1g当り0.37mgであった。 (実施例5,6)また、参考例6および7で得られた複
合化物(B−4)および(B−5)をそれぞれ用いて、
実施例4と同様にして綿メリヤス生地を加工した。得ら
れた綿メリヤス加工生地のキトサン分解物付着量は、原
布1g当りそれぞれ0.67mgおよび1.1mgであ
った。
【0041】(試験例1〜3)実施例4〜6で得られた
3種類のキトサン分解物含有量が異なる綿メリヤス加工
生地について抗菌試験を行った。抗菌試験はグラム陽性
菌の表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)
を使用し、通常のシェークフラスコ法と平板混釈法の組
合せ法により行った。まず、三角フラスコ中に所定の培
養菌液を含むpH7.2の1/300モルのリン酸緩衝
液20mlを入れ、さらに加工生地1gを入れた。この
試験液に10℃で毎分80回の振とうを加えて一定時間
培養した。培養開始後、所定時間ごとに三角フラスコ中
から所定量の試験液を採取し、これをpH7.2の1/
15モルのリン酸緩衝液で希釈した。この希釈液1ml
をペトリ皿に採取し、標準寒天培地で混釈後、35℃の
フラン器中に入れ48時間培養した。培養後、ペトリ皿
中に発生したコロニーの数を測定し、その値より三角フ
ラスコの試験液1ml中に存在する生菌数を求めた。こ
の結果を図2のグラフに示す。図2のグラフにおいて横
軸は三角フラスコ中での培養時間、縦軸は三角フラスコ
中の試験液1ml中に存在する生菌数をそれぞれ示す。
尚、グラフ中破線は生地を用いずに培養菌液のみを同様
の条件で培養したコントロール試験の結果を示す。
【0042】(比較試験例1)実施例4において、複合
化物(B−3)を混合しない微粒子状熱融着樹脂を用い
た場合も同様にして、綿メリヤス加工生地を用意し、上
記試験例1と同様にして抗菌試験を行った。結果を図2
のグラフに示す。 (比較試験例2)加工しない状態の綿メリヤス生地原布
を用意し、上記試験例1と同様にして抗菌試験を行っ
た。結果を図2のグラフに示す。
【0043】図2のグラフの結果より、綿メリヤス加工
生地の抗菌性能は、加工生地中のキトサン分解物の含有
量が多いほど優れていた。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように本発明の抗菌性繊維
は、繊維表面に、キトサン分解物と高分子化合物とを物
理的に複合化せしめたキトサン−高分子複合化物を付着
してなるものである。また、本発明の繊維の抗菌加工方
法は、キトサン−高分子複合化物と有機バインダーを含
有する組成物を繊維表面に付着せしめるものである。し
たがって、抗菌性の持続時間が長く、洗濯に対する耐久
性等、優れた耐久性を有する抗菌性繊維が得られる。ま
た、キトサン分解物の抗菌性を損なうことなく、容易に
繊維に抗菌加工を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】高分子キトサン酢酸水溶液の酵素による処理時
間と粘度の関係を示すグラフである。
【図2】キトサン−高分子複合化物を生地に加工した場
合の抗菌試験の結果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小野崎 利夫 栃木県宇都宮市今宮1の13の1 (72)発明者 桑村 慎一 奈良県北葛城郡広陵町馬見中1−4−2− 206 (72)発明者 吉野 文夫 大阪府泉大津市尾井千原3−5−504

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維表面に、キトサン分解物と高分子化
    合物とを物理的に複合化せしめたキトサン−高分子複合
    化物を付着してなる抗菌性繊維。
  2. 【請求項2】 キトサン分解物と高分子化合物とを物理
    的に複合化せしめたキトサン−高分子複合化物と有機バ
    インダーを含有する組成物を繊維表面に付着せしめるこ
    とを特徴とする繊維の抗菌加工方法。
  3. 【請求項3】 上記組成物を粉末状とし、これを熱融着
    によって繊維に付着加工せしめることを特徴とする請求
    項2記載の繊維の抗菌加工方法。
  4. 【請求項4】 上記組成物をエマルジョン状とし、これ
    を繊維にコーティングした後、硬化処理することを特徴
    とする請求項2記載の繊維の抗菌加工方法。
  5. 【請求項5】 上記組成物をエマルジョン状とし、これ
    を繊維に含浸せしめた後、硬化処理することを特徴とす
    る請求項2記載の繊維の抗菌加工方法。
  6. 【請求項6】 上記組成物をフィルム状とし、これを繊
    維にラミネート加工することを特徴とする請求項2記載
    の繊維の抗菌加工方法。
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