JPH07132942A - ポリオレフィン製ファスナー付包材およびその製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン製ファスナー付包材およびその製造方法

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JPH07132942A
JPH07132942A JP5289835A JP28983593A JPH07132942A JP H07132942 A JPH07132942 A JP H07132942A JP 5289835 A JP5289835 A JP 5289835A JP 28983593 A JP28983593 A JP 28983593A JP H07132942 A JPH07132942 A JP H07132942A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 焼却しても有毒ガスなどの発生がなく、リサ
イクルが容易など地球環境に優しいポリオレフィン系樹
脂あるいはその組成物を用いて優れた特性を有するファ
スナー付包材およびその製造方法を開発する。 【構成】 高周波誘電加熱により融着・溶断されてなる
スライダー付ファスナー部と包材本体とからなるファス
ナー付包材において、該ファスナー部および該包材本体
はそれぞれ特定の特性を有するポリオレフィン系樹脂あ
るいはその組成物からなることを特徴とするポリオレフ
ィン製ファスナー付包材により目的を達成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリオレフィン製ファ
スナー付包材およびその製造方法に関するものであり、
さらに詳しくは高周波誘導加熱により融着・溶断可能で
ある特定のポリオレフィン系樹脂あるいはその組成物を
用いて製造される、焼却しても有毒ガスなどの発生がな
く、リサイクルが容易など地球環境に優しいポリオレフ
ィン製ファスナー付包材およびその製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリ塩化ビニルのフィルムやシー
トを使用して高周波誘導加熱により融着・溶断して製造
されたファスナー付包材が知られている。しかしポリ塩
化ビニルはフィルムやシートの溶融成形時に塩酸、塩素
などの酸性有毒ガスが発生して作業環境を悪化する、押
出機などの成形加工機を腐食する、可塑剤の安全性の問
題がある、又焼却すると上記有害ガスが発生して地球環
境を汚染するなどの問題がある。
【0003】一方、ポリオレフィン系樹脂あるいはその
組成物はポリ塩化ビニルのような問題が全くなく、焼却
しても有毒ガスなどの発生がなく地球環境に優しい素材
であるが、ポリオレフィン系樹脂あるいはその組成物は
高周波誘導加熱による融着・溶断が困難であり、上記の
ようなポリ塩化ビニル製ファスナー付包材は製造されて
いなかった。ポリオレフィン系樹脂あるいはその組成物
は通常のヒートシール法、超音波融着法などにより融着
可能であるので、これらの方法により上記ポリ塩化ビニ
ル製ファスナー付包材を製造する試みがなされている
が、製造効率が悪く、コスト高になる欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、焼却
しても有毒ガスなどの発生がなく地球環境に優しいポリ
オレフィン系樹脂あるいはその組成物を用いて、高周波
誘導加熱法により安価に効率よく製造できる上、優れた
特性を有するファスナー付包材を提供することである。
【0005】
【問題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
の結果、ファスナー部と包材本体とをそれぞれ別個の高
周波誘導加熱により融着・溶断可能な特定のポリオレフ
ィン系樹脂あるいはその組成物を用いて製造することに
より、従来のポリ塩化ビニル用高周波ウエルダーを用い
て容易に優れた特性を有するポリオレフィン製ファスナ
ー付包材を得ることができることを見出し、本発明を成
すに至った。
【0006】本発明の第一の発明は、高周波誘導加熱に
より融着・溶断されてなるスライダー付ファスナー部と
包材本体とからなるファスナー付包材において、該ファ
スナー部および該包材本体はそれぞれ下記の特性を有す
るポリオレフィン系樹脂あるいはその組成物からなるこ
とを特徴とするポリオレフィン製ファスナー付包材であ
る。 該ファスナー部:誘電率2.3以上で高周波誘導加熱に
より融着・溶断可能であると共に該ファスナー雌雄嵌合
強度1.0Kg以上となる剛性を有し、かつ該ファスナ
ー部同士のシール強度が4.8Kg/15mm以上、該
ファスナー部と該包材本体とのシール強度が2.5Kg
/15mm以上となるポリオレフィン系樹脂あるいはそ
の組成物。 該包材本体:誘電率2.3以上で高周波誘導加熱により
融着・溶断可能であり、かつ該包材本体同士のシール強
度が2.9Kg/15mm以上、該ファスナー部と該包
材本体とのシール強度が2.5Kg/15mm以上が得
られるようなポリオレフィン系樹脂あるいはその組成
物。
【0007】本発明の第二の発明は、下記の工程からな
ることを特徴とする請求項1記載のポリオレフィン製フ
ァスナー付包材の製造方法である。 (1)請求項1記載のポリオレフィン系樹脂あるいはそ
の組成物を用いてファスナー雌部およびファスナー雄部
を異型成形する。 (2)請求項1記載のポリオレフィン系樹脂あるいはそ
の組成物を用いて包材本体用フィルムあるいはシートを
成形する。 (3)ファスナー雌部あるいはファスナー雄部を包材本
体用フィルムあるいはシートの一端に高周波誘導加熱に
より融着する工程。 (4)ファスナー雄部あるいはファスナー雌部を該包材
本体用フィルムあるいはシートの他端に高周波誘導加熱
により融着するか、あるいはファスナー雄部あるいはフ
ァスナー雌部を他の包材本体用フィルムあるいはシート
の一端に高周波誘導加熱により融着する工程。 (5)一端にファスナー雄部を他端にファスナー雌部を
高周波誘導加熱により融着した該包材本体用フィルムあ
るいはシートの該ファスナー雄部と該ファスナー雌部と
をスライダーを用いて雌雄嵌合させるか、あるいはファ
スナー雌部あるいはファスナー雄部を包材本体用フィル
ムあるいはシートの一端に高周波誘導加熱により融着し
たものと、ファスナー雄部あるいはファスナー雌部を他
の包材本体用フィルムあるいはシートの一端に高周波誘
導加熱により融着したものの該ファスナー雄部と該ファ
スナー雌部とをスライダーを用いて雌雄嵌合させ、高周
波誘導加熱により融着・溶断してスライダーが付いたフ
ァスナー付包材を製造する工程。
【0008】
【作用】図1および図2は、本発明のポリオレフィン製
ファスナー付包材1およびファスナー部を開いた状態を
示す斜視図である。スライダー2、ファスナー部3、包
材本体4、ファスナー雌部本体11aのあるファスナー
雌部3a、ファスナー雄部本体11bのあるファスナー
雄部3b、ファスナー雌部本体11aとファスナー雄部
本体11bの雌雄嵌合部11、ファスナー部3同士のシ
ール部12、ファスナー部3と包材本体4とのシール部
13、包材本体4同士のシール部14などから構成され
ている。
【0009】図3〜図8に本発明のポリオレフィン製フ
ァスナー付包材の他の実施態様を示す。図9は、本発明
のポリオレフィン製ファスナー付包材のファスナー雌部
3aおよびファスナー雄部3b[横型レールファスナー
3PVH(吉田工業(株)製)成形用金型を用いて異型
成形したもの]の拡大説明図である。本発明のポリオレ
フィン製ファスナー付包材はこれらに限定されるもので
はなく、大きさ、厚さ、形状、色、透明性、印刷の有無
など使用目的により適宜決めることができる。本発明の
ポリオレフィン製ファスナー付包材の前面の包材本体に
透明なものを使用し、後面の包材本体に不透明なものを
使用して内容物を入れた時、外から内容物が見えるよう
にしたり、前面と後面との色を変えたりすることも適宜
選択して行われる。スライダー2の材質、形状、様式な
どは公知のものを使用することができ、材質としては例
えばポリオキシメチレン樹脂、ナイロンなどのエンジニ
ヤリング樹脂を挙げることができる。ファスナーの雌雄
嵌合方式も特に限定されるものではなく、公知のものを
用いることができる。
【0010】本発明においては、ファスナー部3と包材
本体4とをそれぞれ別個の高周波誘導加熱により融着・
溶断可能な特定のポリオレフィン系樹脂あるいはその組
成物を用いることが肝要である。
【0011】該ファスナー部用ポリオレフィン系樹脂あ
るいはその組成物は、ファスナー雌部3aおよびファス
ナー雄部3bを押出成形などの公知の成形方法により反
りや曲がりなしに容易に寸法精度よく異型成形すること
ができ、かつ誘電率(JISK6760に準じて測定し
たもの)2.3以上で高周波誘導加熱により融着・溶断
可能であると共に、厚さ約300μmの該ファスナー雌
部3aと同厚さの該ファスナー雄部3b[横型レールフ
ァスナー3PVH(吉田工業(株)製)成形用金型を用
いて異型成形したもの]を嵌合させてその雌雄嵌合強度
を1800 方向、引張速度250mm/分で試験した
時、1.0Kg/15mm以上となるような剛性を有す
ると共に、下記条件で高周波誘導加熱により融着した該
ファスナー部3同士のシール部12のシール強度を18
0 方向、引張速度250mm/分で試験した時、4.
8Kg/15mm以上であり、該ファスナー部3と厚さ
約100μmの該包材本体4とのシール部13の同シー
ル強度が2.5Kg/15mm以上を示すものであるこ
とが好ましい。
【0012】該ファスナー部の剛性が低く、雌雄嵌合強
度が1.0Kg/15mm以下であると雌雄嵌合が各種
の用途に対して実用上不十分となる。シール部12のシ
ール強度が4.8Kg/15mm以下であると強度が不
十分であり、使用時にシール部12の一部あるいは全部
剥離などが起こり、スライダー2が脱落するなどの不都
合が起こる。シール部13のシール強度が2.5Kg/
15mm以下であると強度が不十分であり実用上好まし
くない。さらに、該ファスナー雌部3aとファスナー雄
部3bとの嵌合が容易であり、スライダー2の摺動回数
を重ねても摺動面が荒れたりせず、またスライダー2の
摺動時に削りかすがでず、容易に摺動させることができ
るポリオレフィン系樹脂あるいはその組成物であること
が望ましい。
【0013】高周波ウエルド条件; 高周波ウエルダー(精電舎電子工業株式会社製:KW−
4000TR、高周波出力4KW、発振周波数40.4
6±0.599%) ウエルド形式およびウエルド巾:ローレット、3mm
巾。 ウエルド圧力:40kg/cm2 。 ウエルド時間:3〜4秒(但し、ファスナー部3と包材
本体4の場合のみ1.3秒とする)。 ウエルドバー温度:70〜75℃。
【0014】上記の特性を有していればエチレン酢酸ビ
ニル共重合体、エチレンアクリル酸共重合体、エチレン
メタクリル酸共重合体、エチレンアクリル酸アルキルエ
ステル共重合体、エチレンメタクリル酸アルキルエステ
ル共重合体、アイオノマーなどの2元あるいは3元以上
の共重合体あるいはそれらの混合物などのポリオレフィ
ン系樹脂であってもよく、あるいは高密度ポリエチレ
ン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポ
リプロピレンなどと前記ポリオレフィン系樹脂などとの
組成物であっても差し支えない。
【0015】該ファスナー部用ポリオレフィン系樹脂あ
るいはその組成物は、該包材本体用ポリオレフィン系樹
脂あるいはその組成物より特に剛性が要求される場合が
多いので上記の雌雄嵌合強度が1.0Kg/15mm以
上となるような剛性を有することが肝要である。
【0016】一方、該包材本体用ポリオレフィン系樹脂
あるいはその組成物は、シートやフィルムを押出成形な
どの公知の成形方法により容易に成形することができ、
かつ誘電率2.3以上で高周波誘導加熱により融着・溶
断可能であると共に、上記条件で高周波誘導加熱により
融着した厚さ約100μmの該包材本体4同士のシール
部14のシール強度が2.9Kg/15mm以上、該フ
ァスナー部3と該包材本体4とのシール部13の同シー
ル強度が2.5Kg/15mm以上を示すものであるこ
とが好ましい。シール部14のシール強度が2.9Kg
/15mm以下であると強度が不十分であり実用上好ま
しくない。また、シール部13のシール強度が2.5K
g/15mm以下であると強度が不十分であり実用上好
ましくない。
【0017】上記の特性を有していれば該ファスナー部
の場合と同様にエチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン
アクリル酸共重合体、エチレンメタクリル酸共重合体、
エチレンアクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレ
ンメタクリル酸アルキルエステル共重合体、アイオノマ
ーなど2元あるいは3元以上の共重合体あるいはそれら
の混合物などのポリオレフィン系樹脂であってもよく、
あるいは高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線
状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどと前記ポリ
オレフィン系樹脂などとの組成物であっても差し支えな
い。
【0018】以上の該ファスナー部3と該包材本体4を
使用すれば、使用する高周波ウエルダーやウエルド条件
は特に限定されるものではなく、通常ポリ塩化ビニルで
用いられている市販の高周波ウエルダーおよびウエルド
条件を使用することができる。しかし環境温度や高周波
ウエルドするフィルムやシートの温度、厚さなどの諸条
件が変化しても優れた高周波ウエルドを行うために、ウ
エルドバー温度は40〜100℃、好ましくは50〜8
0℃、より好ましくは70〜75℃とし、ウエルドバー
と受台の間に高周波ウエルドするフィルムやシートを介
在させた時、受台と高周波ウエルドするフィルムやシー
トの間にテフロンコートクロスなどの易剥離性絶縁シー
トをさらに介在させると、高周波ウエルドしたフィルム
やシートの引き剥がれ性がよく、スパークを発してフィ
ルムやシートが焼けたり、ちじんだりしないので好まし
い。また、ウエルドバーの表面を剥離性にすることも好
ましい。
【0019】図10の(a)〜(f)および図11の
(a)〜(f)に本発明のポリオレフィン製ファスナー
付包材の製造工程例を示す。まず図10の(a)に示す
ように、(1)上記ポリオレフィン系樹脂あるいはその
組成物を用いてファスナー雌部3aおよびファスナー雄
部3bを押出成形などの公知の成形方法により反りや曲
がりなしに寸法精度よく異型成形し、一方、(2)上記
ポリオレフィン系樹脂あるいはその組成物を用いて押出
成形などの公知の成形方法により包材本体4用フィルム
あるいはシートを成形して用意する。次いで、図10の
(b)〜(c)に示すように、(3)ファスナー雄部3
bを包材本体4用フィルムあるいはシートの一端に公知
の高周波ウエルダーを用いて高周波誘導加熱により融着
し、(4)ファスナー雌部3aを該包材本体4用フィル
ムあるいはシートの他端に高周波誘導加熱により融着す
る。そして図10の(d)〜(f)に示すように、
(5)ファスナー部をウエルドした該包材本体4を折り
曲げて、該ファスナー雄部3bと該ファスナー雌部3a
とをスライダー2を用いて雌雄嵌合させ、複数個取りの
場合は複数のスライダーを用いて雌雄嵌合させて、高周
波誘導加熱により融着・溶断してスライダー2が付いた
ファスナー付包材1を製造する。
【0020】また、図11の(a)に示すように、
(1)上記ポリオレフィン系樹脂あるいはその組成物を
用いてファスナー雌部3aおよびファスナー雄部3bを
押出成形などの公知の成形方法により反りや曲がりなし
に寸法精度よく異型成形し、一方、(2)上記ポリオレ
フィン系樹脂あるいはその組成物を用いて押出成形など
の公知の成形方法により包材本体4および4’用フィル
ムあるいはシートを成形して用意する。次いで、図11
の(b)〜(c)に示すように、(3)ファスナー雄部
3bを包材本体4用フィルムあるいはシートの一端に公
知の高周波ウエルダーを用いて高周波誘導加熱により融
着し、(4)ファスナー雌部3aを包材本体4’用フィ
ルムあるいはシートの一端に高周波誘導加熱により融着
する。そして図11の(d)〜(f)に示すように、
(5)ファスナー部をウエルドした該包材本体4と4’
を重ねて、該ファスナー雄部3bと該ファスナー雌部3
aとをスライダー2を用いて雌雄嵌合させ、複数個取り
の場合は複数のスライダーを用いて雌雄嵌合させて、高
周波誘導加熱により融着・溶断してスライダー2が付い
たファスナー付包材1’を製造する。公知の高周波ウエ
ルダーを用いて高周波誘導加熱により融着・溶断できる
ので作業は容易であり、効率よく本発明のポリオレフィ
ン製ファスナー付包材を製造することができる。
【0021】
【実施例】以下本発明を実施例により、具体的に説明す
るが、本発明はこれら実施例によって限定されるもので
はない。 (実施例1)下記の組成の誘電率2.5〜2.7のポリ
オレフィン系樹脂組成物を用いて、図9に示す厚さ約3
00μmのファスナー雌部3aおよびファスナー雄部3
bを押出成形により成形した[横型レールファスナー3
PVH(吉田工業(株)製)成形用金型を用いた]が、
寸法精度よく異型成形できた。 エチレン・メチルメタクリレート共重合体(商品名;アクリフトWK307 住友化学(株)製、エチレン75重量%、MMA25重量%、EMMAと略 す) 70重量% 高密度ポリエチレン(商品名;ハイゼックス3300F、HDPEと略す) 30重量% 滑剤(脂肪酸アマイド) 500ppm
【0022】下記の組成の誘電率2.4のポリオレフィ
ン系樹脂組成物を用いて押出成形により厚さ約100μ
mの包材本体4用シートを成形した。成形性は良好であ
った。 EMMA 70重量% HDPE 20重量% EVA 3重量% 帯電防止剤 2重量% 白色顔料 5重量% 但し、上記EVAはエチレン酢酸ビニル共重合体(商品
名;エバテートH4011、VA含有量20重量%、住
友化学(株)製)である。次いで、ファスナー雌部3a
を包材本体4用シートの一端に上記の高周波ウエルダー
を用いて上記条件で高周波誘導加熱により融着し、ファ
スナー雄部3bを該包材本体4用シートの他端に同様に
して高周波誘導加熱により融着した。そしてファスナー
雄部とファスナー雌部とをポリオキシメチレン樹脂製ス
ライダーを用いて雌雄嵌合させ、4連型を用いて200
0ショット/日の製造速度で同様にして高周波誘導加熱
により融着・溶断して、本発明のスライダーが付いたフ
ァスナー付包材を製造した。この包材のファスナー雌雄
嵌合強度、ファスナー部同士のシール強度、ファスナー
部と包材本体とのシール強度、包材本体同士のシール強
度、スライダーをスライドさせた時のスライド性などを
試験した結果をまとめて表1に示す。
【0023】(実施例2)下記の組成の誘電率2.5〜
2.7のポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例
1と同様にして図9に示す厚さ約300μmのファスナ
ー雌部3aおよびファスナー雄部3bを押出成形により
寸法精度よく異型成形した。 EMMA 70重量% HDPE 30重量% 滑剤(脂肪酸アマイド) 1000ppm 実施例1で成形した包材本体を用いて、実施例1と同様
にして、本発明のスライダーが付いたファスナー付包材
を製造した。この包材のファスナー雌雄嵌合強度、ファ
スナー部同士のシール強度、ファスナー部と包材本体と
のシール強度、包材本体同士のシール強度、スライダー
をスライドさせた時のスライド性などを試験した結果を
まとめて表1に示す。
【0024】(実施例3)下記の組成の誘電率2.5〜
2.7のポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例
1と同様にして図9に示す厚さ約300μmのファスナ
ー雌部3aおよびファスナー雄部3bを押出成形により
寸法精度よく異型成形した。 EMMA 70重量% HDPE 30重量% 滑剤(脂肪酸アマイド) 1000ppm 以上の組成物に対してEVAを12重量%配合した組成
物。実施例1で成形した包材本体を用いて、実施例1と
同様にして、本発明のスライダーが付いたファスナー付
包材を製造した。この包材のファスナー雌雄嵌合強度、
ファスナー部同士のシール強度、ファスナー部と包材本
体とのシール強度、包材本体同士のシール強度、スライ
ダーをスライドさせた時のスライド性などを試験した結
果をまとめて表1に示す。
【0025】(比較例1)アイオノマー(商品名;ハイ
ミラン1652、三井デュポン(株)製)を用いて、実
施例1と同様にして図9に示す厚さ約300μmのファ
スナー雌部3aおよびファスナー雄部3bを押出成形に
より異型成形した。実施例1で成形した包材本体を用い
て、実施例1と同様にして、スライダーが付いたファス
ナー付包材を製造した。この包材のファスナー雌雄嵌合
強度、ファスナー部同士のシール強度、ファスナー部と
包材本体とのシール強度、包材本体同士のシール強度、
スライダーをスライドさせた時のスライド性などを試験
した結果をまとめて表1に示す。ファスナー雌雄嵌合強
度は高いが、ファスナー成形性が悪くファスナーがやや
反ったり、曲がったりした。また、スライダーの摺動が
重く、スライダー摺動時に削りかすがでた。ファスナー
同士の融着ができず、シール性が悪い。
【0026】(比較例2)EMMAとアイオノマーとの
重量比1:2の組成物を用いて、実施例1と同様にして
図9に示す厚さ約300μmのファスナー雌部3aおよ
びファスナー雄部3bを押出成形により異型成形した。
実施例1で成形した包材本体を用いて、実施例1と同様
にして、スライダーが付いたファスナー付包材を製造し
た。この包材のファスナー雌雄嵌合強度、ファスナー部
同士のシール強度、ファスナー部と包材本体とのシール
強度、包材本体同士のシール強度、スライダーをスライ
ドさせた時のスライド性などを試験した結果をまとめて
表1に示す。ファスナー雌雄嵌合強度は高いが、ファス
ナー成形性が悪く、ファスナーが反ったり、曲がった
り、寸法精度が悪いので雌雄嵌合しない時があった。ス
ライダーの摺動が重い。ファスナー同士の融着ができ
ず、シール性が悪い。
【0027】(比較例3)アイオノマーとEVA(商品
名;エバテートH4011、VA含有量10重量%、住
友化学(株)製)の重量比1:2の組成物を用いて、実
施例1と同様にして図9に示す厚さ約300μmのファ
スナー雌部3aおよびファスナー雄部3bを押出成形に
より異型成形した。実施例1で成形した包材本体を用い
て、実施例1と同様にして、スライダーが付いたファス
ナー付包材を製造した。この包材のファスナー雌雄嵌合
強度、ファスナー部同士のシール強度、ファスナー部と
包材本体とのシール強度、包材本体同士のシール強度、
スライダーをスライドさせた時のスライド性などを試験
した結果をまとめて表1に示す。ファスナー雌雄嵌合強
度は高いが、ファスナー成形性が悪く、ファスナーがや
や反ったり、曲がったり、寸法精度が悪いので雌雄嵌合
しない時があった。スライダーの摺動が重い。ファスナ
ー同士の融着ができず、シール性が悪い。
【0028】(比較例4)PVC製ファスナー雌部3a
およびPVC製ファスナー雄部3b(吉田工業(株)
製、商品名;3PVH)を用い、実施例1で成形した包
材本体を用いて、実施例1と同様にして、スライダーが
付いたファスナー付包材を製造した。この包材のファス
ナー雌雄嵌合強度、ファスナー部同士のシール強度、フ
ァスナー部と包材本体とのシール強度、包材本体同士の
シール強度、スライダーをスライドさせた時のスライド
性などを試験した結果をまとめて表1に示す。ファスナ
ー部と包材本体が融着できず、シール性が悪い。
【0029】(比較例5)HDPEを用いて、実施例1
と同様にして図9に示す厚さ約300μmのファスナー
雌部3aおよびファスナー雄部3bを押出成形により異
型成形した。実施例1で成形した包材本体を用いて、実
施例1と同様にして、スライダーが付いたファスナー付
包材を製造した。この包材のファスナー雌雄嵌合強度、
ファスナー部同士のシール強度、ファスナー部と包材本
体とのシール強度、包材本体同士のシール強度、スライ
ダーをスライドさせた時のスライド性などを試験した結
果をまとめて表1に示す。ファスナー雌雄嵌合強度は高
いが、ファスナー同士の融着ができず、シール性が悪
い。
【0030】(比較例6)EVA(商品名;エバテート
H4011、VA含有量5重量%、住友化学(株)製)
を用いて、実施例1と同様にして図9に示す厚さ約30
0μmのファスナー雌部3aおよびファスナー雄部3b
を押出成形により異型成形した。実施例1で成形した包
材本体を用いて、実施例1と同様にして、スライダーが
付いたファスナー付包材を製造した。この包材のファス
ナー雌雄嵌合強度、ファスナー部同士のシール強度、フ
ァスナー部と包材本体とのシール強度、包材本体同士の
シール強度、スライダーをスライドさせた時のスライド
性などを試験した結果をまとめて表1に示す。ファスナ
ー雌雄嵌合強度が低く、ファスナー同士の融着ができ
ず、シール性が悪い。
【0031】(比較例7)EVA(商品名;エバテート
H4011、VA含有量7重量%、住友化学(株)製)
を用いて、実施例1と同様にして図9に示す厚さ約30
0μmのファスナー雌部3aおよびファスナー雄部3b
を押出成形により異型成形した。実施例1で成形した包
材本体を用いて、実施例1と同様にして、スライダーが
付いたファスナー付包材を製造した。この包材のファス
ナー雌雄嵌合強度、ファスナー部同士のシール強度、フ
ァスナー部と包材本体とのシール強度、包材本体同士の
シール強度、スライダーをスライドさせた時のスライド
性などを試験した結果をまとめて表1に示す。ファスナ
ー成形性、スライド性が悪く、ファスナー雌雄嵌合強度
が低く、ファスナー同士の融着ができず、シール性が悪
い。
【0032】(比較例8)EVA(商品名;エバテート
H4011、VA含有量15重量%、住友化学(株)
製)を用いて、実施例1と同様にして図9に示す厚さ約
300μmのファスナー雌部3aおよびファスナー雄部
3bを押出成形により異型成形した。実施例1で成形し
た包材本体を用いて、実施例1と同様にして、スライダ
ーが付いたファスナー付包材を製造した。この包材のフ
ァスナー雌雄嵌合強度、ファスナー部同士のシール強
度、ファスナー部と包材本体とのシール強度、包材本体
同士のシール強度、スライダーをスライドさせた時のス
ライド性などを試験した結果をまとめて表1に示す。フ
ァスナー成形性、スライド性が悪く、ファスナー雌雄嵌
合強度は高いが、ファスナー同士の融着ができず、シー
ル性が悪い。
【0033】ファスナー成形性の評価; ○;反り、曲がりがなく、寸法精度よく成形できる。 △;反り、曲がりがややでる。寸法精度がやや悪い。 ×;反り、曲がりがでる。寸法精度が悪い。成形不能の
場合もある。 スライド性の評価; ○;スライダーをスムースに摺動でき、けずりかすがで
ない。 △;20〜30回のスライダーの摺動でけずりかすがで
る。 ×;スライダーをスムースに摺動できない。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】本発明はポリオレフィン製ファスナー付
包材に関するものであり、ファスナー部と包材本体とを
それぞれ別個の高周波誘導加熱により融着・溶断可能な
特定のポリオレフィン系樹脂あるいはその組成物を用い
ることにより寸法精度よくファスナー部を異型成形でき
ると共に、ファスナー雌雄嵌合強度、ファスナー部同士
のシール強度、ファスナー部と包材本体とのシール強
度、包材本体同士のシール強度、スライダーをスライド
させた時のスライド性などの優れたポリオレフィン製フ
ァスナー付包材を、従来のポリ塩化ビニル用高周波ウエ
ルダーを用いて容易に安価に効率よく製造することがで
きる。本発明のポリオレフィン製ファスナー付包材は、
焼却しても有毒ガスなどの発生がなく、リサイクルが容
易など地球環境に優しいポリオレフィン系樹脂あるいは
その組成物を用いているので産業上の利用価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のポリオレフィン製ファスナー付包材
の斜視図である。
【図2】 本発明のポリオレフィン製ファスナー付包材
のファスナー部を開けた時の斜視図である。
【図3】 本発明の他のポリオレフィン製ファスナー付
包材の斜視図である。
【図4】 本発明の他のポリオレフィン製ファスナー付
包材の斜視図である。
【図5】 本発明の他のポリオレフィン製ファスナー付
包材の斜視図である。
【図6】 本発明の他のポリオレフィン製ファスナー付
包材の斜視図である。
【図7】 本発明の他のポリオレフィン製ファスナー付
包材の斜視図である。
【図8】 本発明の他のポリオレフィン製ファスナー付
包材の斜視図である。
【図9】 ファスナー雌部3aおよびファスナー雄部3
bの拡大斜視図である。
【図10】 本発明のポリオレフィン製ファスナー付包
材の製造工程を示す説明図である。
【図11】 本発明のポリオレフィン製ファスナー付包
材の他の製造工程を示す説明図である。
【符号の説明】
1、1’、1a、1b、1c、1d、1e、1f 包材 2 スライダー 3 ファスナー部 3a ファスナー雌部 3b ファスナー雄部 4 包材本体 11 雌雄嵌合部 11a ファスナー雌部本体 11b ファスナー雄部本体 12 ファスナー部同士のシール部 13 ファスナー部と包材本体とのシール部 14 包材本体同士のシール部
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年1月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 ポリオレフィン製ファスナー付包材お
よびその製造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリオレフィン製ファ
スナー付包材およびその製造方法に関するものであり、
さらに詳しくは高周波誘電加熱により融着・溶断可能で
ある特定のポリオレフィン系樹脂あるいはその組成物を
用いて製造される、焼却しても有毒ガスなどの発生がな
く、リサイクルが容易など地球環境に優しいポリオレフ
ィン製ファスナー付包材およびその製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリ塩化ビニルのフィルムやシー
トを使用して高周波誘電加熱により融着・溶断して製造
されたファスナー付包材が知られている。しかしポリ塩
化ビニルはフィルムやシートの溶融成形時に塩酸、塩素
などの酸性有毒ガスが発生して作業環境を悪化する、押
出機などの成形加工機を腐食する、可塑剤の安全性の問
題がある、又焼却すると上記有害ガスが発生して地球環
境を汚染するなどの問題がある。
【0003】一方、ポリオレフィン系樹脂あるいはその
組成物はポリ塩化ビニルのような問題が全くなく、焼却
しても有毒ガスなどの発生がなく地球環境に優しい素材
であるが、ポリオレフィン系樹脂あるいはその組成物は
高周波誘電加熱による融着・溶断が困難であり、上記の
ようなポリ塩化ビニル製ファスナー付包材は製造されて
いなかった。ポリオレフィン系樹脂あるいはその組成物
は通常のヒートシール法、超音波融着法などにより融着
可能であるので、これらの方法により上記ポリ塩化ビニ
ル製ファスナー付包材を製造する試みがなされている
が、製造効率が悪く、コスト高になる欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、焼却
しても有毒ガスなどの発生がなく地球環境に優しいポリ
オレフィン系樹脂あるいはその組成物を用いて、高周波
誘電加熱法により安価に効率よく製造できる上、優れた
特性を有するファスナー付包材を提供することである。
【0005】
【問題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
の結果、ファスナー部と包材本体とをそれぞれ別個の高
周波誘電加熱により融着・溶断可能な特定のポリオレフ
ィン系樹脂あるいはその組成物を用いて製造することに
より、従来のポリ塩化ビニル用高周波ウエルダーを用い
て容易に優れた特性を有するポリオレフィン製ファスナ
ー付包材を得ることができることを見出し、本発明を成
すに至った。
【0006】本発明の第一の発明は、高周波誘電加熱に
より融着・溶断されてなるスライダー付ファスナー部と
包材本体とからなるファスナー付包材において、該ファ
スナー部および該包材本体はそれぞれ下記の特性を有す
るポリオレフィン系樹脂あるいはその組成物からなるこ
とを特徴とするポリオレフィン製ファスナー付包材であ
る。 該ファスナー部:誘電率2.3以上で高周波誘電加熱に
より融着・溶断可能であると共に該ファスナー雌雄嵌合
強度1.0Kg以上となる剛性を有し、かつ該ファスナ
ー部同士のシール強度が4.8Kg/15mm以上、該
ファスナー部と該包材本体とのシール強度が2.5Kg
/15mm以上となるポリオレフィン系樹脂あるいはそ
の組成物。 該包材本体:誘電率2.3以上で高周波誘電加熱により
融着・溶断可能であり、かつ該包材本体同士のシール強
度が2.9Kg/15mm以上、該ファスナー部と該包
材本体とのシール強度が2.5Kg/15mm以上が得
られるようなポリオレフィン系樹脂あるいはその組成
物。
【0007】本発明の第二の発明は、下記の工程からな
ることを特徴とする請求項1記載のポリオレフィン製フ
ァスナー付包材の製造方法である。 (1)請求項1記載のポリオレフィン系樹脂あるいはそ
の組成物を用いてファスナー雌部およびファスナー雄部
を異型成形する。 (2)請求項1記載のポリオレフィン系樹脂あるいはそ
の組成物を用いて包材本体用フィルムあるいはシートを
成形する。 (3)ファスナー雌部あるいはファスナー雄部を包材本
体用フィルムあるいはシートの一端に高周波誘電加熱に
より融着する工程。 (4)ファスナー雄部あるいはファスナー雌部を該包材
本体用フィルムあるいはシートの他端に高周波誘電加熱
により融着するか、あるいはファスナー雄部あるいはフ
ァスナー雌部を他の包材本体用フィルムあるいはシート
の一端に高周波誘電加熱により融着する工程。 (5)一端にファスナー雄部を他端にファスナー雌部を
高周波誘電加熱により融着した該包材本体用フィルムあ
るいはシートの該ファスナー雄部と該ファスナー雌部と
をスライダーを用いて雌雄嵌合させるか、あるいはファ
スナー雌部あるいはファスナー雄部を包材本体用フィル
ムあるいはシートの一端に高周波誘電加熱により融着し
たものと、ファスナー雄部あるいはファスナー雌部を他
の包材本体用フィルムあるいはシートの一端に高周波
加熱により融着したものの該ファスナー雄部と該ファ
スナー雌部とをスライダーを用いて雌雄嵌合させ、高周
誘電加熱により融着・溶断してスライダーが付いたフ
ァスナー付包材を製造する工程。
【0008】
【作用】図1および図2は、本発明のポリオレフィン製
ファスナー付包材1およびファスナー部を開いた状態を
示す斜視図である。スライダー2、ファスナー部3、包
材本体4、ファスナー雌部本体11aのあるファスナー
雌部3a、ファスナー雄部本体11bのあるファスナー
雄部3b、ファスナー雌部本体11aとファスナー雄部
本体11bの雌雄嵌合部11、ファスナー部3同士のシ
ール部12、ファスナー部3と包材本体4とのシール部
13、包材本体4同士のシール部14などから構成され
ている。
【0009】図3〜図8に本発明のポリオレフィン製フ
ァスナー付包材の他の実施態様を示す。図9は、本発明
のポリオレフィン製ファスナー付包材のファスナー雌部
3aおよびファスナー雄部3b[横型レールファスナー
3PVH(吉田工業(株)製)成形用金型を用いて異型
成形したもの]の拡大説明図である。本発明のポリオレ
フィン製ファスナー付包材はこれらに限定されるもので
はなく、大きさ、厚さ、形状、色、透明性、印刷の有無
など使用目的により適宜決めることができる。本発明の
ポリオレフィン製ファスナー付包材の前面の包材本体に
透明なものを使用し、後面の包材本体に不透明なものを
使用して内容物を入れた時、外から内容物が見えるよう
にしたり、前面と後面との色を変えたりすることも適宜
選択して行われる。スライダー2の材質、形状、様式な
どは公知のものを使用することができ、材質としては例
えばポリオキシメチレン樹脂、ナイロンなどのエンジニ
ヤリング樹脂を挙げることができる。ファスナーの雌雄
嵌合方式も特に限定されるものではなく、公知のものを
用いることができる。
【0010】本発明においては、ファスナー部3と包材
本体4とをそれぞれ別個の高周波誘電加熱により融着・
溶断可能な特定のポリオレフィン系樹脂あるいはその組
成物を用いることが肝要である。
【0011】該ファスナー部用ポリオレフィン系樹脂あ
るいはその組成物は、ファスナー雌部3aおよびファス
ナー雄部3bを押出成形などの公知の成形方法により反
りや曲がりなしに容易に寸法精度よく異型成形すること
ができ、かつ誘電率(JISK6760に準じて測定し
たもの)2.3以上で高周波誘電加熱により融着・溶断
可能であると共に、厚さ約300μmの該ファスナー雌
部3aと同厚さの該ファスナー雄部3b[横型レールフ
ァスナー3PVH(吉田工業(株)製)成形用金型を用
いて異型成形したもの]を嵌合させてその雌雄嵌合強度
を180°方向、引張速度250mm/分で試験した
時、1.0Kg/15mm以上となるような剛性を有す
ると共に、下記条件で高周波誘電加熱により融着した該
ファスナー部3同士のシール部12のシール強度を18
0°方向、引張速度250mm/分で試験した時、4.
8Kg/15mm以上であり、該ファスナー部3と厚さ
約100μmの該包材本体4とのシール部13の同シー
ル強度が2.5Kg/15mm以上を示すものであるこ
とが好ましい。
【0012】該ファスナー部の剛性が低く、雌雄嵌合強
度が1.0Kg/15mm以下であると雌雄嵌合が各種
の用途に対して実用上不十分となる。シール部12のシ
ール強度が4.8Kg/15mm以下であると強度が不
十分であり、使用時にシール部12の一部あるいは全部
剥離などが起こり、スライダー2が脱落するなどの不都
合が起こる。シール部13のシール強度が2.5Kg/
15mm以下であると強度が不十分であり実用上好まし
くない。さらに、該ファスナー雌部3aとファスナー雄
部3bとの嵌合が容易であり、スライダー2の摺動回数
を重ねても摺動面が荒れたりせず、またスライダー2の
摺動時に削りかすがでず、容易に摺動させることができ
るポリオレフィン系樹脂あるいはその組成物であること
が望ましい。
【0013】高周波ウエルド条件; 高周波ウエルダー(精電舎電子工業株式会社製:KW−
4000TR、高周波出力4KW、発振周波数40.4
MHz±0.599%) ウエルド形式およびウエルド巾:ローレット、3mm
巾。 ウエルド圧力:40kg/cm。 ウエルド時間:3〜4秒(但し、ファスナー部3と包材
本体4の場合のみ1.3秒とする)。 ウエルドバー温度:70〜75℃。
【0014】上記の特性を有していればエチレン酢酸ビ
ニル共重合体、エチレンアクリル酸共重合体、エチレン
メタクリル酸共重合体、エチレンアクリル酸アルキルエ
ステル共重合体、エチレンメタクリル酸アルキルエステ
ル共重合体、アイオノマーなどの2元あるいは3元以上
の共重合体あるいはそれらの混合物などのポリオレフィ
ン系樹脂であってもよく、あるいは高密度ポリエチレ
ン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポ
リプロピレンなどと前記ポリオレフィン系樹脂などとの
組成物であっても差し支えない。
【0015】該ファスナー部用ポリオレフィン系樹脂あ
るいはその組成物は、該包材本体用ポリオレフィン系樹
脂あるいはその組成物より特に剛性が要求される場合が
多いので上記の雌雄嵌合強度が1.0Kg/15mm以
上となるような剛性を有することが肝要である。
【0016】一方、該包材本体用ポリオレフィン系樹脂
あるいはその組成物は、シートやフィルムを押出成形な
どの公知の成形方法により容易に成形することができ、
かつ誘電率2.3以上で高周波誘電加熱により融着・溶
断可能であると共に、上記条件で高周波誘電加熱により
融着した厚さ約100μmの該包材本体4同士のシール
部14のシール強度が2.9Kg/15mm以上、該フ
ァスナー部3と該包材本体4とのシール部13の同シー
ル強度が2.5Kg/15mm以上を示すものであるこ
とが好ましい。シール部14のシール強度が2.9Kg
/15mm以下であると強度が不十分であり実用上好ま
しくない。また、シール部13のシール強度が2.5K
g/15mm以下であると強度が不十分であり実用上好
ましくない。
【0017】上記の特性を有していれば該ファスナー部
の場合と同様にエチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン
アクリル酸共重合体、エチレンメタクリル酸共重合体、
エチレンアクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレ
ンメタクリル酸アルキルエステル共重合体、アイオノマ
ーなど2元あるいは3元以上の共重合体あるいはそれら
の混合物などのポリオレフィン系樹脂であってもよく、
あるいは高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線
状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどと前記ポリ
オレフィン系樹脂などとの組成物であっても差し支えな
い。
【0018】以上の該ファスナー部3と該包材本体4を
使用すれば、使用する高周波ウエルダーやウエルド条件
は特に限定されるものではなく、通常ポリ塩化ビニルで
用いられている市販の高周波ウエルダーおよびウエルド
条件を使用することができる。しかし環境温度や高周波
ウエルドするフィルムやシートの温度、厚さなどの諸条
件が変化しても優れた高周波ウエルドを行うために、ウ
エルドバー温度は40〜100℃、好ましくは50〜8
0℃、より好ましくは70〜75℃とし、ウエルドバー
と受台の間に高周波ウエルドするフィルムやシートを介
在させた時、受台と高周波ウエルドするフィルムやシー
トの間にテフロンコートクロスなどの易剥離性絶縁シー
トをさらに介在させると、高周波ウエルドしたフィルム
やシートの引き剥がれ性がよく、スパークを発してフィ
ルムやシートが焼けたり、ちじんだりしないので好まし
い。また、ウエルドバーの表面を剥離性にすることも好
ましい。
【0019】図10の(a)〜(f)および図11の
(a)〜(f)に本発明のポリオレフィン製ファスナー
付包材の製造工程例を示す。まず図10の(a)に示す
ように、(1)上記ポリオレフィン系樹脂あるいはその
組成物を用いてファスナー雌部3aおよびファスナー雄
部3bを押出成形などの公知の成形方法により反りや曲
がりなしに寸法精度よく異型成形し、一方、(2)上記
ポリオレフィン系樹脂あるいはその組成物を用いて押出
成形などの公知の成形方法により包材本体4用フィルム
あるいはシートを成形して用意する。次いで、図10の
(b)〜(c)に示すように、(3)ファスナー雄部3
bを包材本体4用フィルムあるいはシートの一端に公知
の高周波ウエルダーを用いて高周波誘電加熱により融着
し、(4)ファスナー雌部3aを該包材本体4用フィル
ムあるいはシートの他端に高周波誘電加熱により融着す
る。そして図10の(d)〜(f)に示すように、
(5)ファスナー部をウエルドした該包材本体4を折り
曲げて、該ファスナー雄部3bと該ファスナー雌部3a
とをスライダー2を用いて雌雄嵌合させ、複数個取りの
場合は複数のスライダーを用いて雌雄嵌合させて、高周
誘電加熱により融着・溶断してスライダー2が付いた
ファスナー付包材1を製造する。
【0020】また、図11の(a)に示すように、
(1)上記ポリオレフィン系樹脂あるいはその組成物を
用いてファスナー雌部3aおよびファスナー雄部3bを
押出成形などの公知の成形方法により反りや曲がりなし
に寸法精度よく異型成形し、一方、(2)上記ポリオレ
フィン系樹脂あるいはその組成物を用いて押出成形など
の公知の成形方法により包材本体4および4’用フィル
ムあるいはシートを成形して用意する。次いで、図11
の(b)〜(c)に示すように、(3)ファスナー雄部
3bを包材本体4用フィルムあるいはシートの一端に公
知の高周波ウエルダーを用いて高周波誘電加熱により融
着し、(4)ファスナー雌部3aを包材本体4’用フィ
ルムあるいはシートの一端に高周波誘電加熱により融着
する。そして図11の(d)〜(f)に示すように、
(5)ファスナー部をウエルドした該包材本体4と4’
を重ねて、該ファスナー雄部3bと該ファスナー雌部3
aとをスライダー2を用いて雌雄嵌合させ、複数個取り
の場合は複数のスライダーを用いて雌雄嵌合させて、高
周波誘電加熱により融着・溶断してスライダー2が付い
たファスナー付包材1’を製造する。公知の高周波ウエ
ルダーを用いて高周波誘電加熱により融着・溶断できる
ので作業は容易であり、効率よく本発明のポリオレフィ
ン製ファスナー付包材を製造することができる。
【0021】
【実施例】以下本発明を実施例により、具体的に説明す
るが、本発明はこれら実施例によって限定されるもので
はない。 (実施例1)下記の組成の誘電率2.5〜2.7のポリ
オレフィン系樹脂組成物を用いて、図9に示す厚さ約3
00μmのファスナー雌部3aおよびファスナー雄部3
bを押出成形により成形した[横型レールファスナー3
PVH(吉田工業(株)製)成形用金型を用いた]が、
寸法精度よく異型成形できた。 エチレン・メチルメタクリレート共重合体(商品名;アクリフトWK307 住友化学(株)製、エチレン75重量%、MMA25重量%、EMMAと略 す) 70重量% 高密度ポリエチレン(商品名;ハイゼックス3300F、HDPEと略す) 30重量% 滑剤(脂肪酸アマイド) 500ppm
【0022】下記の組成の誘電率2.4のポリオレフィ
ン系樹脂組成物を用いて押出成形により厚さ約100μ
mの包材本体4用シートを成形した。成形性は良好であ
った。 EMMA 70重量% HDPE 20重量% EVA 3重量% 帯電防止剤 2重量% 白色顔料 5重量% 但し、上記EVAはエチレン酢酸ビニル共重合体(商品
名;エバテートH4011、VA含有量20重量%、住
友化学(株)製)である。次いで、ファスナー雌部3a
を包材本体4用シートの一端に上記の高周波ウエルダー
を用いて上記条件で高周波誘電加熱により融着し、ファ
スナー雄部3bを該包材本体4用シートの他端に同様に
して高周波誘電加熱により融着した。そしてファスナー
雄部とファスナー雌部とをポリオキシメチレン樹脂製ス
ライダーを用いて雌雄嵌合させ、4連型を用いて200
0ショット/日の製造速度で同様にして高周波誘電加熱
により融着・溶断して、本発明のスライダーが付いたフ
ァスナー付包材を製造した。この包材のファスナー雌雄
嵌合強度、ファスナー部同士のシール強度、ファスナー
部と包材本体とのシール強度、包材本体同士のシール強
度、スライダーをスライドさせた時のスライド性などを
試験した結果をまとめて表1に示す。
【0023】(実施例2)下記の組成の誘電率2.5〜
2.7のポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例
1と同様にして図9に示す厚さ約300μmのファスナ
ー雌部3aおよびファスナー雄部3bを押出成形により
寸法精度よく異型成形した。 EMMA 70重量% HDPE 30重量% 滑剤(脂肪酸アマイド) 1000ppm 実施例1で成形した包材本体を用いて、実施例1と同様
にして、本発明のスライダーが付いたファスナー付包材
を製造した。この包材のファスナー雌雄嵌合強度、ファ
スナー部同士のシール強度、ファスナー部と包材本体と
のシール強度、包材本体同士のシール強度、スライダー
をスライドさせた時のスライド性などを試験した結果を
まとめて表1に示す。
【0024】(実施例3)下記の組成の誘電率2.5〜
2.7のポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例
1と同様にして図9に示す厚さ約300μmのファスナ
ー雌部3aおよびファスナー雄部3bを押出成形により
寸法精度よく異型成形した。 EMMA 70重量% HDPE 30重量% 滑剤(脂肪酸アマイド) 1000ppm 以上の組成物に対してEVAを12重量%配合した組成
物。実施例1で成形した包材本体を用いて、実施例1と
同様にして、本発明のスライダーが付いたファスナー付
包材を製造した。この包材のファスナー雌雄嵌合強度、
ファスナー部同士のシール強度、ファスナー部と包材本
体とのシール強度、包材本体同士のシール強度、スライ
ダーをスライドさせた時のスライド性などを試験した結
果をまとめて表1に示す。
【0025】(比較例1)アイオノマー(商品名;ハイ
ミラン1652、三井デュポン(株)製)を用いて、実
施例1と同様にして図9に示す厚さ約300μmのファ
スナー雌部3aおよびファスナー雄部3bを押出成形に
より異型成形した。実施例1で成形した包材本体を用い
て、実施例1と同様にして、スライダーが付いたファス
ナー付包材を製造した。この包材のファスナー雌雄嵌合
強度、ファスナー部同士のシール強度、ファスナー部と
包材本体とのシール強度、包材本体同士のシール強度、
スライダーをスライドさせた時のスライド性などを試験
した結果をまとめて表1に示す。ファスナー雌雄嵌合強
度は高いが、ファスナー成形性が悪くファスナーがやや
反ったり、曲がったりした。また、スライダーの摺動が
重く、スライダー摺動時に削りかすがでた。ファスナー
同士の融着ができず、シール性が悪い。
【0026】(比較例2)EMMAとアイオノマーとの
重量比1:2の組成物を用いて、実施例1と同様にして
図9に示す厚さ約300μmのファスナー雌部3aおよ
びファスナー雄部3bを押出成形により異型成形した。
実施例1で成形した包材本体を用いて、実施例1と同様
にして、スライダーが付いたファスナー付包材を製造し
た。この包材のファスナー雌雄嵌合強度、ファスナー部
同士のシール強度、ファスナー部と包材本体とのシール
強度、包材本体同士のシール強度、スライダーをスライ
ドさせた時のスライド性などを試験した結果をまとめて
表1に示す。ファスナー雌雄嵌合強度は高いが、ファス
ナー成形性が悪く、ファスナーが反ったり、曲がった
り、寸法精度が悪いので雌雄嵌合しない時があった。ス
ライダーの摺動が重い。ファスナー同士の融着ができ
ず、シール性が悪い。
【0027】(比較例3)アイオノマーとEVA(商品
名;エバテートH4011、VA含有量10重量%、住
友化学(株)製)の重量比1:2の組成物を用いて、実
施例1と同様にして図9に示す厚さ約300μmのファ
スナー雌部3aおよびファスナー雄部3bを押出成形に
より異型成形した。実施例1で成形した包材本体を用い
て、実施例1と同様にして、スライダーが付いたファス
ナー付包材を製造した。この包材のファスナー雌雄嵌合
強度、ファスナー部同士のシール強度、ファスナー部と
包材本体とのシール強度、包材本体同士のシール強度、
スライダーをスライドさせた時のスライド性などを試験
した結果をまとめて表1に示す。ファスナー雌雄嵌合強
度は高いが、ファスナー成形性が悪く、ファスナーがや
や反ったり、曲がったり、寸法精度が悪いので雌雄嵌合
しない時があった。スライダーの摺動が重い。ファスナ
ー同士の融着ができず、シール性が悪い。
【0028】(比較例4)PVC製ファスナー雌部3a
およびPVC製ファスナー雄部3b(吉田工業(株)
製、商品名;3PVH)を用い、実施例1で成形した包
材本体を用いて、実施例1と同様にして、スライダーが
付いたファスナー付包材を製造した。この包材のファス
ナー雌雄嵌合強度、ファスナー部同士のシール強度、フ
ァスナー部と包材本体とのシール強度、包材本体同士の
シール強度、スライダーをスライドさせた時のスライド
性などを試験した結果をまとめて表1に示す。ファスナ
ー部と包材本体が融着できず、シール性が悪い。
【0029】(比較例5)HDPEを用いて、実施例1
と同様にして図9に示す厚さ約300μmのファスナー
雌部3aおよびファスナー雄部3bを押出成形により異
型成形した。実施例1で成形した包材本体を用いて、実
施例1と同様にして、スライダーが付いたファスナー付
包材を製造した。この包材のファスナー雌雄嵌合強度、
ファスナー部同士のシール強度、ファスナー部と包材本
体とのシール強度、包材本体同士のシール強度、スライ
ダーをスライドさせた時のスライド性などを試験した結
果をまとめて表1に示す。ファスナー雌雄嵌合強度は高
いが、ファスナー同士の融着ができず、シール性が悪
い。
【0030】(比較例6)EVA(商品名;エバテート
H4011、VA含有量5重量%、住友化学(株)製)
を用いて、実施例1と同様にして図9に示す厚さ約30
0μmのファスナー雌部3aおよびファスナー雄部3b
を押出成形により異型成形した。実施例1で成形した包
材本体を用いて、実施例1と同様にして、スライダーが
付いたファスナー付包材を製造した。この包材のファス
ナー雌雄嵌合強度、ファスナー部同士のシール強度、フ
ァスナー部と包材本体とのシール強度、包材本体同士の
シール強度、スライダーをスライドさせた時のスライド
性などを試験した結果をまとめて表1に示す。ファスナ
ー雌雄嵌合強度が低く、ファスナー同士の融着ができ
ず、シール性が悪い。
【0031】(比較例7)EVA(商品名;エバテート
H4011、VA含有量7重量%、住友化学(株)製)
を用いて、実施例1と同様にして図9に示す厚さ約30
0μmのファスナー雌部3aおよびファスナー雄部3b
を押出成形により異型成形した。実施例1で成形した包
材本体を用いて、実施例1と同様にして、スライダーが
付いたファスナー付包材を製造した。この包材のファス
ナー雌雄嵌合強度、ファスナー部同士のシール強度、フ
ァスナー部と包材本体とのシール強度、包材本体同士の
シール強度、スライダーをスライドさせた時のスライド
性などを試験した結果をまとめて表1に示す。ファスナ
ー成形性、スライド性が悪く、ファスナー雌雄嵌合強度
が低く、ファスナー同士の融着ができず、シール性が悪
い。
【0032】(比較例8)EVA(商品名;エバテート
H4011、VA含有量15重量%、住友化学(株)
製)を用いて、実施例1と同様にして図9に示す厚さ約
300μmのファスナー雌部3aおよびファスナー雄部
3bを押出成形により異型成形した。実施例1で成形し
た包材本体を用いて、実施例1と同様にして、スライダ
ーが付いたファスナー付包材を製造した。この包材のフ
ァスナー雌雄嵌合強度、ファスナー部同士のシール強
度、ファスナー部と包材本体とのシール強度、包材本体
同士のシール強度、スライダーをスライドさせた時のス
ライド性などを試験した結果をまとめて表1に示す。フ
ァスナー成形性、スライド性が悪く、ファスナー雌雄嵌
合強度は高いが、ファスナー同士の融着ができず、シー
ル性が悪い。
【0033】ファスナー成形性の評価; ○;反り、曲がりがなく、寸法精度よく成形できる。 △;反り、曲がりがややでる。寸法精度がやや悪い。 ×;反り、曲がりがでる。寸法精度が悪い。成形不能の
場合もある。 スライド性の評価; ○;スライダーをスムースに摺動でき、けずりかすがで
ない。 △;20〜30回のスライダーの摺動でけずりかすがで
る。 ×;スライダーをスムースに摺動できない。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】本発明はポリオレフィン製ファスナー付
包材に関するものであり、ファスナー部と包材本体とを
それぞれ別個の高周波誘電加熱により融着・溶断可能な
特定のポリオレフィン系樹脂あるいはその組成物を用い
ることにより寸法精度よくファスナー部を異型成形でき
ると共に、ファスナー雌雄嵌合強度、ファスナー部同士
のシール強度、ファスナー部と包材本体とのシール強
度、包材本体同士のシール強度、スライダーをスライド
させた時のスライド性などの優れたポリオレフィン製フ
ァスナー付包材を、従来のポリ塩化ビニル用高周波ウエ
ルダーを用いて容易に安価に効率よく製造することがで
きる。本発明のポリオレフィン製ファスナー付包材は、
焼却しても有毒ガスなどの発生がなく、リサイクルが容
易など地球環境に優しいポリオレフィン系樹脂あるいは
その組成物を用いているので産業上の利用価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のポリオレフィン製ファスナー付包材
の斜視図である。
【図2】 本発明のポリオレフィン製ファスナー付包材
のファスナー部を開けた時の斜視図である。
【図3】 本発明の他のポリオレフィン製ファスナー付
包材の斜視図である。
【図4】 本発明の他のポリオレフィン製ファスナー付
包材の斜視図である。
【図5】 本発明の他のポリオレフィン製ファスナー付
包材の斜視図である。
【図6】 本発明の他のポリオレフィン製ファスナー付
包材の斜視図である。
【図7】 本発明の他のポリオレフィン製ファスナー付
包材の斜視図である。
【図8】 本発明の他のポリオレフィン製ファスナー付
包材の斜視図である。
【図9】 ファスナー雌部3aおよびファスナー雄部3
bの拡大斜視図である。
【図10】 本発明のポリオレフィン製ファスナー付包
材の製造工程を示す説明図である。
【図11】 本発明のポリオレフィン製ファスナー付包
材の他の製造工程を示す説明図である。
【符号の説明】 1、1’、1a、1b、1c、1d、1e、1f 本発
明のポリオレフィン製ファスナー付包材の例 2 スライダー 3 ファスナー部 3a ファスナー雌部 3b ファスナー雄部 4 包材本体 11 雌雄嵌合部 11a ファスナー雌部本体 11b ファスナー雄部本体 12 ファスナー部同士のシール部 13 ファスナー部と包材本体とのシール部 14 包材本体同士のシール部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 22:00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高周波誘導加熱により融着・溶断されて
    なるスライダー付ファスナー部と包材本体とからなるフ
    ァスナー付包材において、該ファスナー部および該包材
    本体はそれぞれ下記の特性を有するポリオレフィン系樹
    脂あるいはその組成物からなることを特徴とするポリオ
    レフィン製ファスナー付包材。 該ファスナー部:誘電率2.3以上で高周波誘導加熱に
    より融着・溶断可能であると共に該ファスナー雌雄嵌合
    強度1.0Kg/15mm以上となる剛性を有し、かつ
    該ファスナー部同士のシール強度が4.8Kg/15m
    m以上、該ファスナー部と該包材本体とのシール強度が
    2.5Kg/15mm以上となるポリオレフィン系樹脂
    あるいはその組成物。 該包材本体:誘電率2.3以上で高周波誘導加熱により
    融着・溶断可能であり、かつ該包材本体同士のシール強
    度が2.9Kg/15mm以上、該ファスナー部と該包
    材本体とのシール強度が2.5Kg/15mm以上が得
    られるようなポリオレフィン系樹脂あるいはその組成
    物。
  2. 【請求項2】 下記の工程からなることを特徴とする請
    求項1記載のポリオレフィン製ファスナー付包材の製造
    方法。 (1)請求項1記載のポリオレフィン系樹脂あるいはそ
    の組成物を用いてファスナー雌部およびファスナー雄部
    を異型成形する。 (2)請求項1記載のポリオレフィン系樹脂あるいはそ
    の組成物を用いて包材本体用フィルムあるいはシートを
    成形する。 (3)ファスナー雌部あるいはファスナー雄部を包材本
    体用フィルムあるいはシートの一端に高周波誘導加熱に
    より融着する工程。 (4)ファスナー雄部あるいはファスナー雌部を該包材
    本体用フィルムあるいはシートの他端に高周波誘導加熱
    により融着するか、あるいはファスナー雄部あるいはフ
    ァスナー雌部を他の包材本体用フィルムあるいはシート
    の一端に高周波誘導加熱により融着する工程。 (5)一端にファスナー雄部を他端にファスナー雌部を
    高周波誘導加熱により融着した該包材本体用フィルムあ
    るいはシートの該ファスナー雄部と該ファスナー雌部と
    をスライダーを用いて雌雄嵌合させるか、あるいはファ
    スナー雌部あるいはファスナー雄部を包材本体用フィル
    ムあるいはシートの一端に高周波誘導加熱により融着し
    たものと、ファスナー雄部あるいはファスナー雌部を他
    の包材本体用フィルムあるいはシートの一端に高周波誘
    導加熱により融着したものの該ファスナー雄部と該ファ
    スナー雌部とをスライダーを用いて雌雄嵌合させ、高周
    波誘導加熱により融着・溶断してスライダーが付いたフ
    ァスナー付包材を製造する工程。
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