JPH07132308A - 圧延反り予測・制御装置 - Google Patents

圧延反り予測・制御装置

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JPH07132308A
JPH07132308A JP5302254A JP30225493A JPH07132308A JP H07132308 A JPH07132308 A JP H07132308A JP 5302254 A JP5302254 A JP 5302254A JP 30225493 A JP30225493 A JP 30225493A JP H07132308 A JPH07132308 A JP H07132308A
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measuring device
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rolled material
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茂 小川
Yasuhiro Higashida
康宏 東田
Kenji Yamada
健二 山田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、圧延後の圧延材先端に生じる圧延
反りを予測し、これを防止あるいは軽減する反り予測・
制御装置を提供する。 【構成】 圧延荷重測定装置,圧延トルク測定装置,ロ
ール周速度測定装置を有する板圧延機1aと、圧延荷重
測定装置,圧延トルク測定装置,ロール周速度測定装置
の出力データに基づいて圧延材の変形抵抗の上下面の
差,摩擦係数の上下面の差を算出する圧延分析演算装置
2aと、前記演算結果より、反り曲率,または上下ロー
ル周速度の差の操作量を算出する反り予測・制御演算装
置3aと、上下ロール周速度差の操作量に基づいてロー
ル周速度を制御する制御装置4aとから構成される反り
予測・制御装置である。 【効果】 圧延材の反りを未然に防止して操業のトラブ
ルを回避し、圧延材の平坦度を向上してコストの低減お
よび品質向上を図り得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、少なくとも2本のロー
ルを用いて板材の厚さを圧減する圧延加工において、圧
延後の圧延材先端に生じる圧延反りを予測・制御する装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】板圧延材の先端に生じる圧延反りは、圧
延板の平坦度不良の一つであるが、圧延後の矯正が非常
に困難である上に、板厚の大きい領域での圧延反りは、
圧延設備を破壊したり、通板トラブルを引き起こすこと
もあるため、従来圧延操業における重大問題として、そ
の防止技術に関する研究開発がなされてきた。
【0003】その結果、温度偏差等に起因する圧延材の
変形抵抗の上下差,摩擦係数の上下差,ロール周速の上
下差,入側テーブルと圧延機の下作業ロール上端との高
低差,すなわちピックアップ量等が圧延反りに及ぼす影
響が明確になりつつあり、定常的および継続的に生じる
反りに対しては、温度偏差,ピックアップ量または圧延
材入射角,上下ロール周速差等の制御によって反りを防
止する技術が既に公開されている。
【0004】例えば、特願平3−198838号には、
圧延材温度の上下差を水冷によって制御し、さらに異周
速圧延方法やピックアップ制御方法によって反りを制御
する方法や、また特願平1−164210号には、圧延
材入射角を可変にすることによって反りを低減する方
法、また特願昭61−280140号には、検出された
反り量に応じてピックアップ量等を制御する方法が開示
されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のような反り制御
の従来法は、何れも圧延材の反りを検出してから制御を
実施する方法であるため、特に問題となる圧延材先端の
反りを制御できるのは、反りを検出した圧延パスの次の
圧延パス以降に限定されることになる。この場合反り検
出を行った圧延パスと、反り制御を実施しようとする圧
延パスで、制御しないままでは同じ傾向の反り挙動を示
すことが前提条件になる。
【0006】しかしながら圧延反りは、このような定常
的かつ継続的なものばかりではなく、むしろある時ある
圧延パスで突然発生する場合が多く、従来の反り制御法
を適用しても、なお反りに起因する圧延トラブルや圧延
形状不良の問題は根強く残っているのが現状である。
【0007】本発明の目的は、圧延材の先端が圧延機か
ら完全に脱出し、場合によっては大きな反りになる前
に、反りの方向およびその程度を予測し、これを防止あ
るいは軽減することができる圧延反り予測・制御装置を
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】第1の本発明は、少なく
とも2本のロールを有し、上下少なくともどちらか一方
のロール側に負荷される圧延荷重を測定する圧延荷重測
定装置と、上下ロールに負荷される圧延トルクを上下ロ
ールそれぞれ独立に測定する圧延トルク測定装置および
上下ロールの周速度をそれぞれ独立に測定するロール周
速度測定装置を有し、上下ロールのロール周速度をそれ
ぞれ独立に制御可能に構成してなる板圧延機と、該圧延
機で圧延材先端を圧延開始した時点の上記圧延荷重測定
装置,圧延トルク測定装置,ロール周速度測定装置の出
力データに基づいて、少なくとも圧延材の変形抵抗の上
面側と下面側の差と、摩擦係数の上面側と下面側の差と
を算出する圧延分析演算装置と、以上の前記測定装置の
出力データおよび前記演算結果より、現在の圧延条件を
継続した場合に発生すると推定される該圧延材の反り曲
率,またはその原因となる圧延材出側速度の上下面差を
算出し、該圧延反りを防止するための上下ロール周速度
の差の操作量を算出する反り予測・制御演算装置と、該
上下ロール周速度差の操作量に基づいてロール周速度を
制御する制御装置とから構成される圧延反り予測・制御
装置である。
【0009】また第2の本発明は、少なくとも2本のロ
ールを有し、上下少なくともどちらか一方のロール側に
負荷される圧延荷重を測定する圧延荷重測定装置と、上
下ロールに負荷される圧延トルクを上下ロールそれぞれ
独立に測定する圧延トルク測定装置と、上下ロールの周
速度をそれぞれ独立に測定するロール周速度測定装置お
よび圧延材の上下面の温度をそれぞれ独立に測定する温
度計を有し、上下ロールのロール周速度をそれぞれ独立
に制御可能に構成してなる板圧延機と、該圧延機で圧延
材先端を圧延開始した時点の上記圧延荷重測定装置,圧
延トルク測定装置,ロール周速度測定装置の出力データ
およびその圧延開始前に上記上下面温度計で測定した圧
延材の上下面温度データを分析して、少なくとも圧延材
の変形抵抗の上面側と下面側の差と、摩擦係数の上面側
と下面側の差とを算出する圧延分析演算装置と、以上の
前記測定装置の出力データおよび前記上下面温度データ
および前記演算結果より、現在の圧延条件を継続した場
合に発生すると推定される該圧延材の反り曲率,または
その原因となる圧延材出側速度の上下面差を算出し、該
圧延反りを防止するための上下ロール周速度の差の操作
量を算出する反り予測・制御演算装置と、該上下ロール
周速度差の操作量に基づいてロール周速度を制御する制
御装置とから構成される圧延反り予測・制御装置であ
る。
【0010】ここでロール周速度とは、ロール回転によ
るロール表面速度であり、単位時間当たりのロール回転
数にロール胴部の外周長を乗ずることによって求められ
る。一般にロール胴部の外周長は、ロール直径から既知
であるので、ロール周速度の測定および制御は、単位時
間当たりのロール回転数の測定および制御と実質的に等
価である。
【0011】
【作用】上述したように、圧延反り制御の従来法が定常
的かつ継続的な反りに限定される最大の原因は、圧延の
各パス毎に反りの方向および大きさを正確に予測する手
段がないことにある。
【0012】このような問題点を解決するために本発明
では、各圧延パス毎に圧延材先端が圧延開始された直後
の圧延データを分析し、その圧延条件が継続した場合の
反りの方向と大きさを推定し、これを防止するためのロ
ール周速度の上下差の操作量を演算して、制御できる圧
延反り予測・制御装置を提供している。
【0013】ロールバイト内の力学的現象として圧延材
の変形を考えることとし、上下非対称性を考慮するた
め、上下別個の圧延条件に基づく圧延が成立していると
仮定して解析するものとする。この場合、ロールバイト
出側における圧延反りの要因となり得る力学的および幾
何学的パラメータには、以下のものが挙げられる。
【0014】変形抵抗の板厚方向平均値km および上
下差kdf 。 摩擦係数の上下平均値μm および上下差μdf 。 入側張力の上下平均値σm および上下差σdf 。 圧下量の平均値Δhm および上下差Δhdf。 上ロールの周速度VT および下ロールの周速度V
B
【0015】ここで、下添字dfで表記している上下差
は、上下差の1/2を表すものとして定義しており、下
添字T,Bで表現される上ロール側および下ロール側の
各力学パラメータおよび幾何学パラメータは、それぞれ
次式にように表現される。
【0016】
【数1】
【0017】
【数2】
【0018】
【数3】
【0019】
【数4】
【0020】
【数5】
【0021】
【数6】
【0022】
【数7】
【0023】
【数8】
【0024】圧延材の入射角あるいはピックアップ量
は、反りに大きな影響を与えることはよく知られている
が、これらのパラメータは、ロールバイト入口において
圧延材が受けるせん断歪の上下差の発生原因となり、こ
れが加工硬化特性を通じて変形抵抗に上下差を生じる要
因となったり、テーブルローラからの反力あるいは自重
によってロールバイト入口で圧延材に作用する曲げモー
メントを通じて後方張力の上下差として作用したりし、
その結果、圧下量の上下差の発生要因となったりする。
【0025】このように圧延材の入射角あるいはピック
アップ量の効果は、ロールバイト近傍の力学パラメータ
としては、上記のkdf,σdf,Δhdfで表現されるもの
と考えることができ、ロールバイト近傍の圧延材の変形
を力学的に解析するとき、上記〜のパラメータが独
立なパラメータとなる。
【0026】なお本発明は、圧延材の先端反りを対象と
しており、出側張力は常に零と見なすことができるた
め、上記独立変数からは除外している。
【0027】上記〜のパラメータの中で、直接的に
測定できるのはのうちの平均圧下量Δhm と、のV
T ,VB である。平均圧下量Δhm を測定するには、圧
延機の入側板厚および出側板厚を測定すればよく、ロー
ル周速度VT ,VB は、ロール回転速度を直接測定する
ことによって測定できる。
【0028】なおΔhm の測定には、圧延荷重測定から
ゲージメータ式を用いて入側板厚・出側板厚を演算して
もよいが、上下ロール周速度VT ,VB に関しては精度
の高い測定が要求されるので、本発明の反り予測・制御
装置では、上下ロール周速度をそれぞれ独立に測定する
装置を装備することが必要である。
【0029】これらに対して、残りのパラメータkm
df,μm ,μdf,σm ,σdf,Δhdfは直接的に測定
することは本質的に困難なパラメータである。本発明の
圧延反り予測・制御装置は、これらの力学的パラメータ
を圧延材の先端を圧延開始した時点の圧延データより同
定して、その同定結果に基づいて当該圧延材がロールバ
イトを出た時の反りを予測し、これを防止するための上
下ロール周速度差の操作量を演算し、これに基づいて反
り制御するものである。
【0030】ところで、上ロール側,下ロール側をそれ
ぞれ独立した圧延現象として解析する場合、圧延荷重計
算や圧延トルク計算のため、上ロール側の入側板厚
T ,出側板厚hT ,下ロール側の入側板厚HB ,出側
板厚hB が必要となる。
【0031】これらを出側板厚hとΔhm ,Δhdfから
求める方法としては、例えば、出側板厚を上下半分に分
割して入側板厚は出側板厚の中心線を水平に延長して案
分する方法、あるいは出側板厚は上下の接触弧長比に基
づいて決める方法等、種々の方法が考えられるが、何れ
にしてもHT ,hT ,HB ,hB は、既知量であるhと
Δhm を表記外とした場合、未知量Δhdfの関数として
下記(5)〜(8)式にて一義的に与えられる。
【0032】
【数9】
【0033】
【数10】
【0034】
【数11】
【0035】
【数12】
【0036】単スタンド圧延の場合、入側の全張力は零
にならなければならず、またタンデム圧延の場合でも、
圧延材先端を咬み込んだ瞬間の全張力はほぼ零であるか
ら、入側の全張力が零という次の関係式が成立しなけれ
ばならない。
【0037】
【数13】
【0038】この式に前記(3a)式,(3b)式を代
入して整理すると、次(9)式を得る。
【0039】
【数14】
【0040】(5)式および(7)式を用いてHT ,H
B を消去すると、式(9)は既知の関数 外1 を用い
て次(10)式のように書き改めることができる。
【0041】
【外1】
【0042】
【数15】
【0043】この(10)式を用いることにより、未知
数σm は直ちに消去することができる。
【0044】さて残りの未知パラメータは、km
df,μm ,μdf,σdf,Δhdfであるが、このうちk
m ,μm は上下平均値であり、上下非対称現象である圧
延反りに対して本質的な影響は小さく、上ロール側と下
ロール側の差異を表す4個のパラメータkdf,μdf,σ
df,Δhdfがより本質的なパラメータである。
【0045】さらにこれら4個のパラメータの中でも、
反りの発生原因として重要なパラメータは変形抵抗の上
下差kdfと摩擦係数の上下差μdfであり、後方張力の上
下差σdfと圧下量の上下差Δhdfは、kdf,μdfが原因
となって、力学的なバランスをとるために発生する上下
差で、むしろ結果的に発生するものである。従って圧延
反りを予測するには、kdf,μdfを同定することが必須
要件となる。
【0046】図1は、第1の本発明の圧延反り予測・制
御装置の構成と、その作用を示している。
【0047】図において1aは板圧延機であり、圧延荷
重測定装置,上下圧延トルク測定装置,上下ロール周速
度測定装置を有し、上下ロール周速度をそれぞれ独立に
制御可能となっており、圧延材先端を圧延開始した時点
の、圧延荷重測定装置,上下圧延トルク測定装置,上下
ロール周速度測定装置の出力データを採取する。
【0048】2aは圧延分析演算装置であり、上記採取
した出力データを分析し、少なくとも圧延材の変形抵抗
の上下面差kdfと、摩擦係数の上下面差μdfを算出す
る。
【0049】3aは反り予測・制御演算装置であり、k
df,μdfの演算結果と、圧延荷重,上下圧延トルク,上
下ロール周速度の測定データより、現在の圧延条件のま
まで発生すると推定される該圧延材の反り曲率κ,また
は圧延材出側速度の上下面差Wを算出し、該圧延反りを
防止するための上下ロール周速度の差の操作量δVdf
算出する。
【0050】4aはロール周速度制御装置であり、反り
予測・制御演算装置で演算された上下ロール周速度差の
操作量δVdfに基づいて、該板圧延機の上下ロール周速
度を制御する。
【0051】まず圧延荷重測定装置,上下圧延トルク測
定装置,上下ロール周速度測定装置を有し、上下ロール
周速度をそれぞれ独立に制御可能な板圧延機1aで、圧
延材先端を圧延開始した時点の、圧延荷重,上下圧延ト
ルク,上下ロール周速度のデータを採取する。
【0052】次に圧延分析演算装置2aにおいて上記圧
延データを分析し、少なくとも圧延材の変形抵抗の上下
面差kdfと、摩擦係数の上下面差μdfを算出する。
【0053】この方法には、例えば、圧延機の設定計算
に用いる圧延モデル式をプロセスコンピュータ内で連立
して解いてkdfとμdfを計算する方法や、昭和61年度
日本塑性加工学会春季講演会論文集,第235頁〜第2
38頁の山田らの論文「剛塑性有限要素法による非対称
圧延の解析」に開示されているような、オフラインの解
析モデルを用いて種々の場合の計算を予め実行してお
き、圧延荷重,上下圧延トルク,上下ロール周速度と圧
延材変形抵抗の上下面差と摩擦係数の上下面差の関係を
線形近似して影響係数マトリクスとして算出してプロセ
スコンピュータ内に記憶しておき、この影響係数マトリ
クスを用いてプロセスコンピュータ内でkdfとμdfを計
算する方法等を採用することが可能である。
【0054】さらに反り予測・制御演算装置3aにおい
て、kdfとμdfの演算結果と、圧延荷重,圧延トルク,
上下ロール周速度の測定データより、現在の圧延条件の
ままで発生すると推定される該圧延材の反り曲率κまた
は圧延材出側速度の上下面差Wを算出し、該圧延反りを
防止するための上下ロール周速度の差の操作量δVdf
算出する。
【0055】この方法にも、圧延機の設定計算に用いる
圧延モデル式をプロセスコンピュータ内で連立して解い
て演算する方法や、オフラインの解析モデルを用いて予
め影響係数マトリクスを算出しておき、これを利用して
プロセスコンピュータ内で演算する方法等を採用するこ
とが可能である。
【0056】最後にロール周速度制御装置4aによっ
て、上記演算された上下ロール周速度差の操作量に基づ
いて該板圧延機の上下ロール周速度を制御することによ
って、圧延反りの発生を防止することが可能となる。
【0057】図2には、第2の本発明の圧延反り予測・
制御装置の構成とその作用を示しているが、第2の本発
明の特徴は、板圧延機1bに圧延材の上下面温度測定装
置を有し、これによる上下面温度測定結果より圧延材の
変形抵抗の上下面差kdfを変形抵抗式より求め、未知数
を減らし、その他の圧延データより少なくとも摩擦係数
の上下面差μdfを求め、さらに反り予測および上下ロー
ル周速度差の操作量をより精度良く演算するところにあ
り、その他の作用は、第1の本発明と同様である。
【0058】
【実施例】実施例1として、本発明の反り予測・制御装
置では、圧延荷重測定装置,上下ロールそれぞれ独立に
圧延トルクを測定する装置を備えているので、圧延材先
端を圧延開始した時点の圧延荷重測定値P,圧延トルク
測定値GT ,GB が得られる。
【0059】これらの測定値と、プロセスコンピュータ
で実行するために利用している圧延荷重計算式,および
圧延トルク計算式による計算値が一致するという条件よ
り、次の(11)〜(14)式の方程式が得られる。
【0060】
【数16】
【0061】
【数17】
【0062】
【数18】
【0063】
【数19】
【0064】ここで(11)〜(14)式中の 外2,
外3,外4,外5 は、それぞれ上下圧延荷重,上下圧
延トルク計算式を表しており、既知関数である。
【0065】(11)〜(14)式右辺括弧内の独立変
数からは、ロール直径や平均板厚圧下量Δhm 等の既知
量は省略しており、また入側板厚HT ,HB 、出側板厚
T,hB は、(5)〜(8)式を代入することによっ
て、Δhdfの関数として表現している。
【0066】従って(11)〜(14)式は、(1a)
〜(3b)式を考慮することによって未知変数km ,k
df,μm ,μdf,σdf,Δhdfに関する方程式系となっ
ている。なおσm は、(10)式により既に消去されて
いるものとする。
【0067】利用できる方程式系としては、(11)〜
(14)式の他に入側材料の適合条件式がある。すなわ
ち圧延材先端圧延時を考慮の対象としているため、入側
材料は十分長く、自重の影響もあって入側材料速度は上
下面で等しくなるという条件である。上ロール側および
下ロール側の先進率をそれぞれfT ,fB とする場合、
この条件は次(15)式で表現される。
【0068】
【数20】
【0069】ここでロール周速度VT ,VB はロール周
速度測定装置からの出力で既知であり、fT ,fB は、
圧延理論から上記未知数km ,kdf,μm ,μdf
σdf,Δhdfおよび既知の圧延条件の既知関数として表
現できるから、(15)式は既知関数Fを用いて次(1
6)式のように表現することが可能である。
【0070】
【数21】
【0071】以上の(11)〜(14)式および(1
6)式が、利用できる5個の方程式系である。これに対
して求めるべき未知数は現状では6個である。しかしな
がら圧延反りが上下非対称変形挙動に基づくという事実
より、これら残る6個の未知変数km ,kdf,μm ,μ
df,σdf,Δhdfのうち、圧延反りの予測に本質的に重
要となるのが上ロール側と下ロール側の差を示すkdf
μdf,σdf,Δhdfの4個であり、上下平均値を表すk
m ,μm の推定精度は反り予測に対しては、さほど重要
ではないことは明らかである。
【0072】特に摩擦係数の平均値μm に関しては、温
度依存性も少なく各圧延パス毎に変化する要素も少ない
ため、例えば、設定計算機能で使用している値、あるい
は前圧延パスの圧延荷重および圧延トルクから逆算した
値を用いても、反り予測・制御精度を実質的に悪化させ
ることはない。
【0073】そこで、μm にこのような値を使用するも
のとすると、未知数はkm ,kdf,μdf,σdf,Δhdf
の5個となる。従って上記5個の非線形方程式を解くこ
とによって解を求めることが可能となる。
【0074】この非線形方程式の解法にはNewton-Raphs
on法を用いるが、本発明では当該圧延パスの制御を考え
ているため、計算時間をできるだけ短くする必要があ
る。このため、各関数の各未知数に関する偏微係数マト
リクスおよびその逆マトリクスは、圧延開始前の設定条
件に基づいて予め計算しておくことが好ましい。
【0075】さらに計算時間の短縮が要求される場合
は、解が完全に収束するまで繰り返し計算をするのでは
なく、第1あるいは第2近似解に基づいて次の反り制御
の手続きに入ることも可能である。
【0076】以上のようにして、km ,kdf,μdf,σ
df,Δhdfの値が求められれば、すでに既知量となって
いるμm ,σm ,Δhm ,VT ,VB と併せて、圧延反
りの要因となり得る力学的、および幾何学的パラメータ
がすべて求められたことになる。
【0077】上ロール側の圧延材のロールバイト出口速
度vT ,下ロール側の圧延材のロールバイト出口速度v
B は、先進率をそれぞれfT ,fB として、次(17
a)式,(17b)式で計算される。
【0078】
【数22】
【0079】
【数23】
【0080】ここで反り曲率をκとするとき、κは幾何
学的関係によりvT ,vB から次(18)式で計算する
ことができる。ここでfT ,fB は、上記の各パラメー
タおよび既知の圧延条件から、先進率計算式によって計
算できるものである。
【0081】
【数24】
【0082】なおhは出側板厚であり、反り曲率κは上
側に反る方向を正としている。(18)式で予測される
反りを防止するための上下ロール周速度差の操作量は、
上下圧延材速度差Wすなわち下記(19)式を零とする
ように決める。
【0083】
【数25】
【0084】ここで、上下ロール周速度差の制御量の半
分を(20)式のようにするとき、上下ロール周速度は
それぞれVT +δVdf,VB −δVdfとなるから、(1
9)式は(21)式のようになる。
【0085】
【数26】
【0086】
【数27】
【0087】ここでδVdf=0のときのWの初期値をW
0 とするとき、W=0となるδVdfの値を求めるには、
dW/d(δVdf)を計算して先ず第一次近似解として
次(22)式を用いる。
【0088】
【数28】
【0089】さらに精度の高いδVdfの値が必要な場合
は、VT ,VB の値を(22)式の計算結果によって更
新して以上の手続きを繰り返せばよい。なおdW/d
(δVdf)の計算では、正確にはfT ,fB がδVdf
関数であることを考慮しなければならないが、近似的に
これを無視して、∂W/∂(δVdf)で代用する方法も
ある。
【0090】(22)式の計算結果に基づいてロール周
速度を制御することにより、反りの発生を防止すること
ができる。
【0091】実施例2として、上記実施例1に、さらに
圧延材の上下面温度測定装置を有する圧延反り予測・制
御装置で、圧延材の上下面温度測定装置による温度測定
結果より、設定計算に用いる変形抵抗計算式によって、
圧延材の変形抵抗の上下面差kdfを算出する。
【0092】kdfがこのように当初から与えられるの
で、未知パラメータはkm ,μdf,σdf,Δhdfとな
る。さらに温度測定結果と温度測定から圧延開始までの
時間経過を考慮して、変形抵抗の平均値km も既知とす
ることができる。
【0093】この場合、未知パラメータはμdf,σdf
Δhdfの3個となり、前記実施例1で説明した5個の方
程式系のうちの3個を用いて、より迅速に反り予測およ
び反り防止のための上下ロール周速度差の操作量の計算
が可能となる。
【0094】実施例3として、圧延荷重測定値および圧
延トルク測定値から、圧延材の変形抵抗の上下面差kdf
および摩擦係数の上下面差μdfを算出する際に、実施例
1および2で述べたように、圧延理論に基づいた設定計
算式をプロセスコンピュータの中で解く方法ではなく、
予め求めておいた影響係数マトリクスを用いる方法につ
いて説明する。
【0095】例えば、昭和61年度日本塑性加工学会春
季講演会論文集,第235頁〜第238頁の山田らの論
文「剛塑性有限要素法による非対称圧延の解析」に開示
されているようなオフラインの解析モデルを用いると、
各圧延条件に対して次(23)式で定義される影響係数
マトリクス 外6 (3×3行列)を計算することが可
能である。
【0096】
【外6】
【0097】
【数29】
【0098】上記(23)式では、それぞれの数値は下
記の通りである。
【0099】
【数30】
【0100】
【数31】
【0101】
【数32】
【0102】
【数33】
【0103】
【数34】
【0104】またP:圧延荷重,ld :接触弧長(上下
平均値),Gdf:圧延トルク上下差,Gm :圧延トルク
上下平均値,kdf:変形抵抗上下差,km :変形抵抗上
下平均値,μdf:摩擦係数上下差,μm :摩擦係数上下
平均値,Vdf:ロール周速度上下差,Vm :ロール周速
度上下平均値,κ:反り曲率である。
【0105】影響係数マトリクス 外7 の各成分の値
は、圧延条件によって変化するが、これをモデル式化す
るか、テーブル化してプロセスコンピュータに記憶して
おけば、各圧延条件毎に圧延開始前の設定計算で、当該
圧延条件に対応する 外8の値をメモリー内に呼び出し
ておくことが可能である。
【0106】
【外7】
【0107】
【外8】
【0108】このような準備をした上で、圧延材先端を
圧延開始した時点の圧延荷重測定値,および圧延トルク
測定値より、規格化された変形抵抗上下差 外9 およ
び摩擦係数上下差 外10 を次のようにして求める。
【0109】
【外9】
【0110】
【外10】
【0111】設定条件で与えられたロール周速度を(2
3)式に代入した上で、 外11,外12 に関する式
を抽出すると次(25)式を得る。
【0112】
【外11】
【0113】
【外12】
【0114】
【数35】
【0115】従って、圧延荷重および圧延トルク測定値
より 外13,外14 が得られるから、(25)式を
逆に解いた次(26)式を用いて 外15,外16 を
求める。
【0116】
【外13】
【0117】
【外14】
【0118】
【数36】
【0119】
【外15】
【0120】
【外16】
【0121】このようにして求められた 外17,外1
8 を 外19 の設定条件とともに(23)式に代入
することにより、現在の圧延条件のままで発生すると推
定される反り曲率κ0 が計算できる。
【0122】
【外17】
【0123】
【外18】
【0124】
【外19】
【0125】次に反りを防止するための規格化されたロ
ール周速度差の操作量 外20 は、(23)式より次
(27)式で求められる。
【0126】
【外20】
【0127】
【数37】
【0128】(27)式の計算結果に基づいてロール周
速度を制御することにより、反りの発生を防止すること
ができる。
【0129】実施例4として、上記実施例3に、さらに
圧延材の上下面温度測定装置を有する圧延反り予測・制
御装置で、圧延材の上下面温度測定装置による温度測定
結果と温度測定から圧延開始までの時間経過を考慮し
て、設定計算に用いる変形抵抗計算式によって圧延材の
変形抵抗の上下面差および変形抵抗の平均値を計算し、
外21 を算出する。
【0130】
【外21】
【0131】外22 がこのように当初から与えられる
ので、未知パラメータは 外23のみとなる。従って、
実施例3で説明した影響係数マトリクスを用いて、より
迅速に反り予測および反り防止のための上下ロール周速
度差の操作量の計算が可能となる。
【0132】 〔発明の名称〕以上説明したように本発明の圧延反り予
測・制御装置を採用することにより、反りの方向および
その程度を予測し、圧延材先端に発生し勝ちな圧延反り
を未然に防ぐことが可能となり、圧延操業のトラブルを
避けることができるうえに、更に圧延材の平坦度も大幅
に向上せしめることができ、圧延コストの低減および圧
延材の品質向上に大きな効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の本発明の反り予測・制御装置の構成例を
示す図面である。
【図2】第2の本発明の反り予測・制御装置の構成例を
示す図面である。
【符号の説明】
1a,1b 板圧延機 2a,2b 圧延分析演算装置 3a,3b 反り予測・制御演算装置 4a,4b ロール周速度演算装置
【外2】
【外3】
【外4】
【外5】
【外22】
【外23】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも2本のロールを有し、上下少
    なくともどちらか一方のロール側に負荷される圧延荷重
    を測定する圧延荷重測定装置と、上下ロールに負荷され
    る圧延トルクを上下ロールそれぞれ独立に測定する圧延
    トルク測定装置および上下ロールの周速度をそれぞれ独
    立に測定するロール周速度測定装置を有し、上下ロール
    のロール周速度をそれぞれ独立に制御可能に構成してな
    る板圧延機と、該圧延機で圧延材先端を圧延開始した時
    点の上記圧延荷重測定装置,圧延トルク測定装置,ロー
    ル周速度測定装置の出力データに基づいて、少なくとも
    圧延材の変形抵抗の上面側と下面側の差と、摩擦係数の
    上面側と下面側の差とを算出する圧延分析演算装置と、
    以上の前記測定装置の出力データおよび前記演算結果よ
    り、現在の圧延条件を継続した場合に発生すると推定さ
    れる該圧延材の反り曲率,またはその原因となる圧延材
    出側速度の上下面差を算出し、該圧延反りを防止するた
    めの上下ロール周速度の差の操作量を算出する反り予測
    ・制御演算装置と、該上下ロール周速度差の操作量に基
    づいてロール周速度を制御する制御装置とから構成され
    る圧延反り予測・制御装置。
  2. 【請求項2】 少なくとも2本のロールを有し、上下少
    なくともどちらか一方のロール側に負荷される圧延荷重
    を測定する圧延荷重測定装置と、上下ロールに負荷され
    る圧延トルクを上下ロールそれぞれ独立に測定する圧延
    トルク測定装置と、上下ロールの周速度をそれぞれ独立
    に測定するロール周速度測定装置および圧延材の上下面
    の温度をそれぞれ独立に測定する温度計を有し、上下ロ
    ールのロール周速度をそれぞれ独立に制御可能に構成し
    てなる板圧延機と、該圧延機で圧延材先端を圧延開始し
    た時点の上記圧延荷重測定装置,圧延トルク測定装置,
    ロール周速度測定装置の出力データおよびその圧延開始
    前に上記上下面温度計で測定した圧延材の上下面温度デ
    ータを分析して、少なくとも圧延材の変形抵抗の上面側
    と下面側の差と、摩擦係数の上面側と下面側の差とを算
    出する圧延分析演算装置と、以上の前記測定装置の出力
    データおよび前記上下面温度データおよび前記演算結果
    より、現在の圧延条件を継続した場合に発生すると推定
    される該圧延材の反り曲率,またはその原因となる圧延
    材出側速度の上下面差を算出し、該圧延反りを防止する
    ための上下ロール周速度の差の操作量を算出する反り予
    測・制御演算装置と、該上下ロール周速度差の操作量に
    基づいてロール周速度を制御する制御装置とから構成さ
    れる圧延反り予測・制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010172927A (ja) * 2009-01-29 2010-08-12 Jfe Steel Corp 圧延材の先端反り制御方法

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