JPH07131382A - スペクトル拡散信号復調装置 - Google Patents

スペクトル拡散信号復調装置

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JPH07131382A
JPH07131382A JP29908593A JP29908593A JPH07131382A JP H07131382 A JPH07131382 A JP H07131382A JP 29908593 A JP29908593 A JP 29908593A JP 29908593 A JP29908593 A JP 29908593A JP H07131382 A JPH07131382 A JP H07131382A
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良男 武内
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の相関除去方式による干渉除去に比べ
て、はるかに少ない処理で、ほぼ完全に干渉除去をする
ことができるスペクトル拡散信号復調装置を提供するこ
と。 【構成】 本発明は、複数のスペクトル拡散信号が合成
された信号を入力信号とし、該入力信号に含まれる個々
のスペクトル拡散信号毎に個別に割り当てられた拡散符
号と該入力信号との相関値をそれぞれのスペクトル拡散
信号のシンボル毎に求めて得られた値を第0次の相関検
出値とする手段11〜1Kと、前記入力信号と該第0次
の相関検出値とを入力として、第1次の残留誤差信号と
第1次の相関検出値及び第0次と第1次の相関検出値の
和を出力する第1段の相互干渉除去回路21と、前段の
相互干渉除去回路の出力信号を入力として、該第1段の
相互干渉除去回路と同等の動作をする第2段から第N段
までの相互干渉除去回路21〜2Nから構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はスペクトル拡散信号復調
装置に関し、特にセルラー通信システム、構内無線通信
システムあるいは無線ラン(LAN) システム等に用いられ
るスペクトル拡散信号復調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スペクトル拡散信号による符号分割多元
接続 (CDMA) を行うシステムにおいては、複数の信号が
同一帯域を伝送されるため、周知のように、各信号に割
り当てられた符号間の相関によって信号間の干渉が生
じ、信号数が増えるに従って特性が劣化する。さらに信
号レベルにばらつきがある場合は、小さいレベルの信号
が大きいレベルの信号から受ける干渉が相対的に大きな
ものとなり、小さいレベルの信号の特性の劣化が大きく
なってしまう。
【0003】このような信号間の干渉を低減することに
より、特性を改善する方式がいくつか提案されている。
その一つは複製信号除去方式と呼ばれるものである。こ
の方式は、それぞれの信号の複製信号を生成し、もとの
信号から差し引くことにより干渉を低減する方式であ
り、図8に示されているような構成の装置により実現さ
れている。同図の装置は信号数Kが3の場合を示してお
り、11、12、13は相関器、501、502、50
3は再変調器、511、512、513は加算器、52
は遅延器、531、532、533は減算器、541、
542、543は相関器である。
【0004】スペクトル拡散方式としては直接拡散方式
を想定し、時刻tにおける受信信号r(t) を下記の式
(1) で表す。なお、ここではベースバンドの信号処理を
想定し、信号は全て複素信号で表されるとしている。
【0005】
【数1】 ここで、同時に伝送される信号の個数をK、k番目の信
号の受信振幅レベルをak 、k番目の信号のi番目のシ
ンボルの情報ビットをbk (i) 、k番目の信号の拡散符
号をck (τ)(|ck (τ)| =1,0≦τ<T,
T:シンボル周期)、k番目の信号の遅延量をτk 、伝
送路上で付加される雑音をn(t) としている。 受信信
号r(t) に対し、相関器11〜13は下記の式(2) で示
される処理を各信号のシンボル毎に行い相関値yk (i)
を出力する。なお、 * は複素共役を表す。
【0006】
【数2】 次に、再変調器501〜503は、下記の式(3) によっ
てそれぞれの相関値毎に再変調することによって複製信
号uk (t) を生成する。
【0007】
【数3】 次に、n番目の信号に着目してそれ以外の信号による干
渉を除去する場合には、まず加算器511〜513によ
って、次式(4) の演算を行い、n番目の信号以外の信号
の複製信号の和vn (t) を求める。
【0008】
【数4】 続いて、減算器531〜533において、次式(5) によ
り、遅延された受信信号r(t-D) からこの信号vn (t)
を差し引くことにより、n番目の信号以外の信号を除去
した信号wn (t) が得られる。
【0009】
【数5】 次に、相関器541〜543によって、この信号w
n (t) に対して次式(6) による相関zn (i) をシンボル
毎に求めることにより、干渉除去された信号に対する相
関検波が達成される。
【0010】
【数6】 1〜K番目の信号のそれぞれに着目して、上記の式(4)
、(5) および(6) による処理を行うことにより、全て
の信号について干渉除去及び相関検波が達成される。こ
のようにして得られるそれぞれの信号の相関検波出力に
対して位相同期等を行い、ビット判定することにより、
それぞれの信号の復調を行うことができる。
【0011】信号間の干渉を除去することにより特性を
改善するもう一つの方式として、相関除去方式がある。
この方式は、予めわかっている符号間の相関値を用いて
相関除去を行う方式であり、この方式を実現する構成例
を図9に示す。同図において、11、12、・・、1K
は相関器、61は相関除去回路である。
【0012】受信信号は先程と同様に式(1) により表さ
れるものとし、簡単のため信号間でシンボルタイミング
が同期しているものとして、下記の条件(7) が成立する
ものとする。
【0013】
【数7】 このとき、受信信号r(t) を十分に短い間隔ΔTでサン
プリングし、シンボル毎のサンプルを下記のようにベク
トルで表現する。
【0014】
【数8】 ここで、 ( )T は転置を表す。また信号の受信振幅レベ
ルとビット情報の積をベクトル化し、下記のように表
す。
【0015】
【数9】 同様に、それぞれの信号の拡散符号ck (τ)を間隔Δ
Tでサンプリングしてベクトルにより、下記のように表
す。
【0016】
【数10】 さらに、全ての拡散符号ベクトルによって拡散符号行列
Cを下記のように定義する。
【0017】
【数11】 雑音n(t) についても間隔ΔTでサンプリングしてシン
ボル毎のサンプルを下記のようにベクトルで表現する。
【0018】
【数12】 以上のような表現を用いると、前記の式(1) は次式(9)
のように変形できる。
【0019】
【数13】 また、前記式(2) による相関器11〜1Kの処理は、下
式(10)のように表される。
【0020】
【数14】 ここで、相関器11〜1Kの出力をベクトル化し、下記
のように定義する。
【0021】
【数15】 そうすると、前記式(10)は下式(11)のように表すことが
できる。
【0022】
【数16】
【0023】この式(11)に式(9) を代入して変形するこ
とにより、下式(12)が得られる。
【数17】 ここで、Hは次式(13)により定義され、符号間の相関を
表す相関行列となる。
【0024】
【数18】 相関器出力に対して、相関除去回路61では次式(14)に
よる処理を行う。
【0025】
【数19】 ここで、ベクトルd(i) は下式のように表すことができ
る。
【0026】
【数20】 各要素dk (i) はそれぞれの相関器出力から相互相関が
除去されたものとなる。符号行列Cはあらかじめわかっ
ているので、相関行列Hもあらかじめ計算することがで
き、逆行列H-1も予め求めておくことができる。
【0027】以上のような相関除去により得られた信号
は、式(14)に式(12)を代入することにより、下式のよう
に表される。
【0028】
【数21】 わかりやすくするために、d(i) をベクトルの要素毎の
式で表すと、下式(15)のようになる。
【0029】
【数22】 これはつまり、相関除去された信号dk (i) は、もとの
信号の振幅レベルakと情報ビットbk (i) の積に雑音
成分n´k (i) が加わったものとなり、同時に受信され
る他の信号の影響は一切受けないことになる。すなわ
ち、信号間の相互干渉がなくなることを意味しており、
干渉除去された検波信号が得られることになる。この干
渉除去されたそれぞれの検波信号に対して位相同期等を
行い、ビット判定することにより、それぞれの信号の復
調を行うことができる。
【0030】なお、相関除去方式についてはシンボル同
期している場合についての動作を示したが、同期してい
ない場合についても、文献 "Near-far Resistance of M
ultiuser Detectors in Asynchronous Channels" (R. L
upas, S. Verdu, IEEE Trans. Com, Vol. 38, No. 4, A
pril 1990) に示されるように、同期の場合と同等に相
関除去を行うことができる。すなわち、非同期の信号個
数Kに対して、十分に長い複数のシンボル(シンボル数
M)にわたる期間MTを同期した1シンボルの期間と見
なすと、期間MTにおいてMKの同期した信号が伝送さ
れていると見なすことができるから、信号数MKの場合
の相関除去を行うことによって非同期の場合の相関除去
を行うことができる。
【0031】
【発明が解決しようとする課題】従来の複製信号除去方
式では、符号間の相関のために、前記式(2) によって得
られる相関器出力中に干渉信号の影響が現われ、従って
前記式(3) によって生成される複製信号は干渉の影響に
よる誤差を含んでいる。すなわち、式(5) によって干渉
除去された信号Zn (i) は、干渉が完全に除去されたも
のとはなっておらず、干渉が完全に除去される場合と比
べて特性は劣化してしまう。特に、信号数が多い場合及
び信号間のレベル差が大きい場合は除去しきれない干渉
の影響が大きく、特性劣化が大きくなるという問題があ
る。
【0032】また従来の複製信号除去方式では、それぞ
れの信号毎に前記式(4) の処理を行わなければならない
ので、式(5) の処理と合わせて、信号数Kの2乗にほぼ
等しい回数の加減算を、ディジタル処理の場合はサンプ
ル毎に行う必要があり、信号数が多い場合に処理量が膨
大となるという問題がある。
【0033】一方、従来の相関除去方式は、前記したよ
うに、完全に干渉が除去された検波信号を得ることがで
きるが、次のような問題がある。すなわち、信号数の増
減があると相関行列Hの大きさが変わるため、相関除去
の処理に用いる逆行列H-1を再計算しなければならな
い。また、拡散符号の変更/変化があった場合、前記式
(8) で定義される拡散符号行列Cが変化するので、式(1
3)で定義される相関行列Hも変化する。したがって、や
はり逆行列H-1の再計算が必要となる。シンボル同期し
ていない場合に、信号遅延量が変化する場合も、同様に
拡散符号間の相関が変化してしまうため、非同期の場合
について定義される相関行列が変化し、相関除去に用い
る逆行列の再計算が必要となる。
【0034】行列Hの大きさはシンボル同期している場
合にはK×K,非同期の場合にはMK×MKであり、例
えば信号数Kが100の場合、シンボル同期していても
100×100の大きさの行列の逆行列を計算しなけれ
ばならない。さらにシンボルが同期していない場合は例
えば(M=)10シンボルにわたる相関行列を用いると
すると1000×1000の大きさの行列の逆行列を計
算しなければならず、これは膨大な処理量となる。すな
わち、ボイスアクチベーション等により、信号のオン/
オフが頻繁に発生する場合や、移動通信において遅延量
の変化が速い場合などは、逆行列計算をリアルタイムで
行うことが困難となり、すなわち相関除去受信機の適用
は不可能となってしまう。
【0035】また、シンボル長より長い符号で拡散する
場合は、シンボル毎に異なる符号を用いるのと同等であ
り、この場合シンボル毎に相関行列Hが異なり、シンボ
ル毎に異なる逆行列H-1 を適用しなければならないた
め、やはり処理量の増大という問題が生ずる。
【0036】本発明は、上述の従来技術の問題点を解決
するものであり、従来の複製信号除去方式と同等の処理
を少ない処理量により実現するスペクトル拡散信号復調
装置を提供することを目的とする。
【0037】また、本発明は、回路規模の若干の増大を
許容する場合に、従来の複製信号除去方式より優れかつ
相関除去方式に近い復調特性を達成し、さらに相関除去
方式よりはるかに少ない処理で干渉除去を行い、拡散符
号の変更,信号遅延量の変化にも容易に対応できるスペ
クトル拡散信号復調装置を提供することを目的とする。
【0038】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、請求項1の発明は、複数のスペクトル拡散信号が合
成された信号を入力信号とするスペクトル拡散信号復調
装置において、該入力信号に含まれる個々のスペクトル
拡散信号毎に個別に割り当てられた拡散符号と該入力信
号との相関値を、それぞれのスペクトル拡散信号のシン
ボル毎に求めて得られた値を第0次の相関検出値とする
手段と、前記入力信号と該第0次の相関検出値とを入力
として、第1次の残留誤差信号、第1次の相関検出値、
ならびに第0次および第1次の相関検出値の和を出力す
る第1段目の相互干渉除去回路と、前段の相互干渉除去
回路の出力信号を入力として、該第1段の相互干渉除去
回路と同等の動作をする複数段の相互干渉除去回路とを
具備した点に特徴がある。
【0039】また、請求項3の発明は、該入力信号に含
まれる個々のスペクトル拡散信号毎に個別に割り当てら
れた拡散符号と該入力信号との相関値を、それぞれのス
ペクトル拡散信号のシンボル毎に求めて得られた値を第
0次の相関検出値とする手段と、前記入力信号の遅延信
号と該第0次の相関検出値とを入力として、第0次と第
1次の相関検出値の和を出力する第1段の相互干渉除去
回路と、前記入力信号を段数分だけ遅延した信号と前段
の相互干渉除去回路の出力信号とを入力として、該第1
段の相互干渉除去回路と同等の動作をする複数段の相互
干渉除去回路とを具備した点に特徴がある。
【0040】
【作用】本発明による第1段目の干渉除去によって得ら
れる相関検波出力は、従来の複製信号除去方式と同等で
ある。しかしながら、本発明の処理は、従来の複製信号
除去方式と異なり、全ての複製信号の和を受信信号から
差し引いて得られる残留誤差信号に対して再度符号との
相関を求めるので、ディジタル処理の場合にサンプル毎
に行う加算の回数は信号個数Kに等しくなり、従来の複
製信号除去方式に比べて少ない回数ですむ。このため、
特に信号数Kが大きい場合に複製信号除去方式に比べて
少ない処理量で同等の復調特性を達成することができ
る。
【0041】また、本発明による多段階の干渉除去を行
う場合は、残留誤差信号に対して干渉除去の処理を繰り
返すので、最終的に得られる相関検波出力に含まれる干
渉信号成分は従来の複製信号除去方式に比べてわずかな
ものとなり、段数を増やすほど従来の相関除去方式の特
性に近づく。さらに本発明では、拡散符号及び遅延さえ
わかっていれば、相関行列H及びその逆行列H-1を求め
ずに処理を行うことができるので、総合的な処理量は相
関除去方式より少なくすむ。このため、拡散符号の変更
及び信号遅延量の変化があっても、それに対処するため
に多くの処理を行う必要はないので容易に対応可能であ
る。
【0042】
【実施例】以下に、本発明を図面を参照して詳細に説明
する。図1および図2は、本発明による多段階の干渉除
去を行うスペクトル拡散信号復調装置の一実施例の構成
を示すブロック図である。図1は、前記スペクトル拡散
信号復調装置の全体の構成を示すものであり、11、1
2、・・、および1Kは相関器、21、22、・・、お
よび2Nは相互干渉除去回路である。なお、第1〜第N
段相互干渉除去回路21〜2Nは、同一または同等の構
成を有している。
【0043】図2は、図1の相互干渉除去回路の一具体
例の構成を示すブロック図であり、図2において20
1、202、・・、および20Kは再変調器、210は
加算器、211は遅延器、212は減算器、221、2
22、・・、および22Kは相関器、231、232、
・・、および23Kは遅延器、241、242、・・、
および24Kは加算器である。ここでは、干渉除去の段
数をNとしている。
【0044】次に、前記再変調器201の一具体例を図
3を参照して説明する。なお、前記再変調器201、2
02、・・、および20Kの各々は同一または同等の構
成を有しているので、ここでは再変調器201を代表に
あげて説明する。
【0045】図3において、71はラッチ回路、72は
符号信号発生器、73は乗算器である。ラッチ回路71
は、シンボル毎に入力される信号をラッチして、1シン
ボルの期間にわたってその値を保持して出力する。符号
信号発生器72は、シンボルタイミングに合わせてあら
かじめ設定されている符号信号を発生させる。乗算器7
3は、ラッチ回路の出力と符号信号を乗じた結果を出力
する。
【0046】図4は前記相関器221の一具体例を示す
ブロック図である。なお、前記相関器221、222、
・・、および22Kの各々は同一または同等の構成を有
しているので、ここでは相関器221を代表にあげて説
明する。
【0047】図4において、81は符号信号発生器、8
2は乗算器、83はシンボル積分器である。符号信号発
生器81はシンボルタイミングに合わせてあらかじめ設
定されている符号信号を発生させる。乗算器82は、符
号信号と入力信号を乗じた結果を出力する。シンボル積
分器83は入力される信号を1シンボルにわたって積分
した結果を出力するものであり、例えば図5のように構
成される。図5において、831は加算器、832はサ
ンプル遅延器、833はラッチ回路である。サンプル遅
延器832の出力はシンボルタイミング毎に0にリセッ
トされ、加算器831によって入力信号と遅延器832
の出力を加算し、その結果を遅延器832で遅延して再
度加算器831によって入力信号と足し合わされるとい
う処理が1シンボルの期間にわたって繰り返されるた
め、次のシンボルタイミングの時点では、加算器831
の出力は入力信号を1シンボルにわたって積分した値と
なっている。ラッチ回路833は、シンボルタイミング
に応じてこの積分値をラッチし、1シンボルの期間にわ
たってその値を保持して出力する。
【0048】なお、以上の説明においてはハードウェア
により処理を実現する例を示しているが、本実施例はこ
れに限定されず、汎用のプロセッサ及びメモリ等から構
成される回路を用いて、ソフトウェアにより同様の処理
を実現することも可能である。
【0049】次に、本実例の動作を説明する。図1の相
関器11〜1Kは、前記式(1) で表される受信信号r
(t) に対し、下記の式(16)で示される処理を各信号のシ
ンボル毎に行い、得られた第0次相関検出値y
k (0) (i) が第1段の相互干渉除去回路21に入力され
る。なお以下の説明においては、ベースバンドの信号処
理を想定し、信号は全て複素信号で表されるとしている
が、IF帯等において同等の処理を実現しても構わな
い。
【0050】
【数23】 図2に示される第j段(1≦j≦N)の相互干渉除去回
路は、第(j−1)次残留誤差信号e(j-1) (t) ( ただ
し、e(0) (t) =r(t) )、第(j−1)次相関検出値
k (j-1) (i) 及び第0次から第(j−1)次までの相
関検出値の和dk (j-1) (i) を入力として処理を行う。
まず再変調器201〜20Kにおいては、下記の式(17)
によってそれぞれの相関検出値毎に再変調することによ
って複製信号uk (j) (t) を生成する。
【0051】
【数24】 さらに、加算器210において次式(18)により全ての複
製信号uk (j) (t) の和v(j) (t) を求める。
【0052】
【数25】 減算器212において、前記式(18)によって得られた信
号v(j) (t) を、第(j−1)次残留誤差信号e(j-1)
(t) を遅延した信号から次式(19)にしたがって差し引く
ことにより、第j次残留誤差信号e(j) (t) を得る。
【0053】
【数26】 相関器221〜22Kは下記の式(20)で示される処理を
各信号のシンボル毎に行い、第j次相関検出値yk (j)
(i) を得る。
【0054】
【数27】 加算器241〜24Kは、得られた第j次相関検出値y
k (j) (i) を、次式(21)にしたがって第(j−1)次ま
での相関検出値の和dk (j-1) (i) にたすことにより第
j次までの相関検出値の和dk (j) (i) を得る。なお、
第(j−1)段においてdk (j-1) (i) はyk (j) (i)
より時間的にはDだけ先に得られているので、回路構成
上遅延器231〜23Kによる遅延を入れている。
【0055】
【数28】 以上のようにして得られた第j次残留誤差信号e
(j) (t) ,第j次相関検出値yk (j) (i) 及び第j次ま
での相関検出値の和dk (j) (i) を第j段の相互干渉除
去回路より出力する。
【0056】そして、最後の第N段の相互干渉除去回路
より出力される第N次までの相関検出値の和d
k (N) (i) に対して位相同期等を行った後ビット判定す
ることにより、それぞれの信号の復調を行うことができ
る。
【0057】本実施例によれば、後述の説明から明らか
になるように、前記相関検出値の和dk (N) (i) は、段
数Nを増加させると、従来の相関除去方式による検波値
k(i) に近付くことになり、ほぼ完全に干渉が除去さ
れた検波信号を得ることができるようになる。
【0058】次に、本発明の第2実施例について説明す
る。図6および図7は、該第2実施例の構成を示すブロ
ック図である。図6において、11、12、・・、およ
び1Kは相関器、31、32、・・、および3Nは相互
干渉除去回路、41、42、・・、および4Nは遅延器
である。また、図7において、301、302、・・、
および30Kは再変調器、310は加算器、312は減
算器、221、222、・・、および22Kは相関器、
231、232、・・、および23Kは遅延器、24
1、242、・・、および24Kは加算器である。
【0059】図6における相関器11〜1Kの動作は図
1における動作と全く同じであり、前記式(1) で表され
る受信信号r(t) に対し、式(16)で示される処理を各信
号のシンボル毎に行い、得られた第0次相関検出値yk
(0) (i) が第1段目の相互干渉除去回路31に入力され
る。
【0060】図7に示される第j段目の相互干渉除去回
路は、受信信号を遅延した信号r(t-jD) 及び第0次か
ら第(j−1)次までの相関検出値の和dk (j-1) (i)
を入力として処理を行う。まず、再変調器301〜30
Kにおいては、以下の式(22)によって再変調することに
よって複製信号pk (j) (t) を生成する。
【0061】
【数29】 さらに、加算器310において次式(23)により全ての複
製信号pk (j) (t) の和q(j) (t) を求める。
【0062】
【数30】 減算器312において、受信信号を遅延した信号r(t-j
D)から、前記信号q(j) (t) を次式(24)にしたがって差
し引くことにより第j次残留誤差信号e(j) (t) を得
る。
【0063】
【数31】 式(21)より、次式(25)が成立する。
【0064】
【数32】 この式(25)、式(22)、および式(23)を式(24)に代入し、
式(17)、(18)を用いて変形することにより式(19)が得ら
れることから、図7の構成において式(22)、式(23)およ
び式(24)の処理により得られる第j次残留誤差信号e
(j) (t) は図2の構成において式(17)、式(18)、および
式(19)の処理により得られる第j次残留誤差信号e(j)
(t) と全く同等となることがわかる。相関器221〜2
2Kの処理及び第j次までの相関検出値の和d
k (j) (i) を得る処理は、図2の構成におけるそれらの
処理と同じであり、式(20)及び式(21)にしたがって処理
される。以上のようにして得られた第j次までの相関検
出値の和dk (j) (i) を第j段の相互干渉除去回路より
出力する。
【0065】最後の第N段の相互干渉除去回路より出力
される第N次までの相関検出値の和dk (N) (i) に対し
て位相同期等を行った後ビット判定することにより、そ
れぞれの信号の復調を行うことができる。この第2実施
例においても、前記第1実施例と同様の効果を期待する
ことができる。
【0066】前記第1、第2実施例において、同時に伝
送される信号数が増減する場合は、あらかじめ想定され
る最大の信号数に対応できるように回路を構成し、実際
に伝送されている信号数の分だけ相関器、再変調器等の
対応する回路を動作させることにより、信号数の増減に
対処することができる。また、信号数の増減等に伴い、
使用される拡散符号が変更される場合は、相関器,再変
調器等の対応する回路で使用する符号もそれに合わせて
変更することにより対処することができる。さらに、拡
散符号の周期が複数シンボルの期間にわたる場合でも、
シンボル毎に異なる拡散符号が用いられているのと同等
であるので、拡散符号が変更される場合と同様に対処す
ることができる。
【0067】移動通信におけるようにそれぞれの信号の
伝送遅延が変化する場合でも、瞬時瞬時におけるそれぞ
れの信号の遅延τk をそれぞれの信号に対応する相関器
及び再変調器において使用することにより対処すること
ができる。
【0068】ここで、従来の複製信号除去方式と本発明
によるスペクトル拡散信号復調方式を比較すると、前記
式(1) で表される同一の受信信号に対して、式(2) 及び
式(16)で表される相関器の処理は等価であるから、次式
が成立する。
【0069】
【数33】 さらに、式(3) 及び式(17)で表される再変調器の出力も
等価となり、次式が成立する。
【0070】
【数34】 したがって、式(4) と式(18)から次式が成立する。
【0071】
【数35】 これを式(5) に代入して式(19)の関係を使って変形する
と、次式の関係が得られる。
【0072】
【数36】 この関係を用いて式(6) を変形すると、次式のようにな
る。
【0073】
【数37】 すなわち、従来の複製信号除去方式によって得られる相
関検波出力zn (i) と本発明による1段の干渉除去を行
うスペクトル拡散信号復調方式によって得られる相関検
波出力dn (1) (i) が同等であることがわかる。
【0074】次に、従来の相関除去方式との比較を行う
ために、まず信号間でシンボルタイミングが同期してい
ると仮定し、式(7) の条件が成り立っているとする。こ
のとき図1及び図2の構成における各部の信号を次のよ
うにベクトルで表現する。
【0075】
【数38】 ベクトル表現を用いると、前記の式(16)は次のように変
形できる。
【0076】
【数39】 また、前記式(17)、式(18)、式(19)、式(20)および式(2
1)はそれぞれ以下の式(26)、式(27)、式(28)、式(29)及
び式(30)のように変形できる。
【0077】
【数40】
【0078】
【数41】
【0079】
【数42】
【0080】
【数43】
【0081】
【数44】 式(26)、式(27)および式(28)を用いると、式(29)は次式
(31)のように変形できる。なお、EはK×Kの大きさの
単位行列を表す。
【0082】
【数45】 したがって、第N次までの相関検出値の和は、下記の式
(32)のように表される。
【0083】
【数46】 行列(E=H)の行列式の絶対値が1より小さければ、
N→∞のとき、次式のようになる。
【0084】
【数47】 したがって、次の関係(33)が成立する。
【0085】
【数48】 この結果、本発明によるスペクトル拡散信号復調方式に
より得られる検波値dK (N) (i) は段数Nを増加させる
と、式(14)を参照すると明かなように、相関除去方式に
よる検波値dk (i) に近づくことがわかる。
【0086】信号間でシンボルタイミングが同期してい
ない場合についても、十分に長い複数のシンボル (シン
ボル数M) にわたる期間MTにおける各信号をベクトル
表現して変形することにより、同期の場合と同様に段数
Nを増加させると相関除去方式による検波値に近づくこ
とが導かれる。すなわち、シンボルタイミングが同期し
ている場合及び非同期の場合のいずれについても、本発
明によるスペクトル拡散信号復調方式により得られる検
波値は段数Nを増加させると相関除去方式による検波値
に近づき、したがって復調特性も相関除去方式の特性に
近づくことがわかる。
【0087】
【発明の効果】従来の複製信号除去方式と本発明による
第1段階の干渉除去を行うスペクトル拡散信号復調方式
を比較すると、前述のように、従来の複製信号除去方式
によって得られる相関検波出力zn (i) と、本発明によ
る第1段階の干渉除去を行うスペクトル拡散信号復調方
式によって得られる相関検波出力dn (1) (i) は同等で
ある。
【0088】一方、処理量に関しては、相関器及び再変
調器の処理は同等であり、また、本発明による方式にお
ける相関値の足し算は各信号について1シンボルに1回
行うだけでよいので他の処理に比べて処理量としては殆
ど無視できる。よって処理量として差が出るのは、ディ
ジタル処理の場合にサンプル毎に行う必要がある加減算
であり、従来の複製信号除去方式の場合は、前記式(4)
の処理と式(5) の処理のために信号数Kの2乗にほぼ等
しい回数の加減算をサンプル毎に必要とするのに対し、
本発明による第1段階の干渉除去を行うスペクトル拡散
信号復調方式では、前記式(18)及び式(19)の処理のため
にサンプル毎にK回の加減算を行えばよい。
【0089】すなわち、本発明による第1段階の干渉除
去を行うスペクトル拡散信号復調方式によれば、従来の
複製信号除去方式より少ない処理量で同等の復調特性を
得ることができ、しかも信号数が多いほど従来方式に対
する処理量の削減の度合いが大きくなる。
【0090】本発明による多段階の干渉除去を行うスペ
クトル拡散復調方式では、前述のように段数を増やすと
従来の相関除去方式による特性に近づき、遠近問題にも
強くなる。また、本発明によれば、信号数の増減があっ
ても、各段において信号数に対応する分だけ再変調器及
び相関器等の回路を動作させれるようにすることで対処
できる。また拡散符号の変更/変化,遅延の変化などが
あっても、対応する相関器や再変調器等の回路内で用い
る拡散符号や遅延の値を変更するだけで対処できる。
【0091】すなわち、従来の相関除去方式が、信号数
の増減,拡散符号の変更/変化、遅延の変化に対して逆
行列の再計算という膨大な処理を伴うのに対して、本発
明によればそれらに対処するための特別な処理は必要な
いことから、特に移動通信のように信号の増減、拡散符
号の変更/変化、遅延の変化が頻繁に発生するような環
境において、総合的には本発明によれば従来の相関除去
方式に比べて極めて少ない処理で相関除去方式に近い特
性を得ることができる。
【0092】以上のことから、本発明は、CDMAによ
って不特定多数の信号が同一帯域を伝送され、しかも信
号の遅延量が時々刻々変化し、信号数の増減およびそれ
に伴う拡散符号の変更が頻繁に生ずるセルラー移動通信
システムにおけるスペクトル拡散信号復調装置として適
し、それらのシステムのチャネル容量の増大、通信品質
の向上および装置の小形化・低電力化に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のスペクトル拡散信号復調装置の第1
実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】 図1の相互干渉除去回路の一具体例を示すブ
ロック図である。
【図3】 再変調器の一具体例を示すブロック図であ
る。
【図4】 相関器の一具体例を示すブロック図である。
【図5】 図4のシンボル積分器の一具体例を示すブロ
ック図である。
【図6】 本発明のスペクトル拡散信号復調装置の第2
実施例の構成を示すブロック図である。
【図7】 図6の相互干渉除去回路の一具体例を示すブ
ロック図である。
【図8】 従来の複製信号除去によるスペクトル拡散信
号復調装置の一例を示すブロック図である。
【図9】 従来の相関除去によるスペクトル拡散信号復
調装置の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
11、12、・・、1K…相関器、21、22、・・、
2N…相互干渉除去回路、201、202、・・、20
K…再変調器、210…加算器、211…遅延器、21
2…減算器、221、222、・・、22K…相関器、
231、232、・・、23K…遅延器、241、24
2、・・、24K…加算器、31、32、・・、3N…
相互干渉除去回路、41、42、・・、4N…遅延器、
301、302、・・、30K…再変調器、310…加
算器、312…減算器。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のスペクトル拡散信号が合成された
    信号を入力信号とするスペクトル拡散信号復調装置にお
    いて、 該入力信号に含まれる個々のスペクトル拡散信号毎に個
    別に割り当てられた拡散符号と該入力信号との相関値
    を、それぞれのスペクトル拡散信号のシンボル毎に求め
    て得られた値を第0次の相関検出値とする手段と、 前記入力信号と該第0次の相関検出値とを入力として、
    第1次の残留誤差信号、第1次の相関検出値、ならびに
    第0次および第1次の相関検出値の和を出力する第1段
    目の相互干渉除去回路と、 前段の相互干渉除去回路の出力信号を入力として、該第
    1段の相互干渉除去回路と同等の動作をする複数段の相
    互干渉除去回路とを具備したことを特徴とするスペクト
    ル拡散信号復調装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のスペクトル拡散信号復
    調装置において、 第j(ただし、jは1以上の整数)段目の前記相互干渉
    除去回路は、 第(j−1)次の相関検出値を、対応するスペクトル拡
    散信号に割り当てられた前記拡散符号と乗ずることによ
    り第j次の再拡散信号を生成する手段と、 全てのスペクトル拡散信号について得られた該第j次の
    再拡散信号を、対応するスペクトル拡散信号のシンボル
    タイミングに合わせて足し合わせて得られる信号を第j
    次の複製信号とする手段と、 第(j−1)次の残留誤差信号あるいは入力信号を遅延
    した信号より該第j次の複製信号を差し引いて得られる
    信号を第j次の残留誤差信号とする手段と、 前記拡散符号と該第j次の残留誤差信号の相関値をそれ
    ぞれのスペクトル拡散信号のシンボル毎に求めて得られ
    た値を第j次の相関検出値とする手段と、 第0次から第(j−1)次までの相関検出値の和に該第
    j次の相関検出値を加えることにより第0次から第j次
    までの相関検出値の和を求める手段とから構成されるよ
    うにしたことを特徴とするスペクトル拡散信号復調装
    置。
  3. 【請求項3】 複数のスペクトル拡散信号が合成された
    信号を入力信号とするスペクトル拡散信号復調装置にお
    いて、 該入力信号に含まれる個々のスペクトル拡散信号毎に個
    別に割り当てられた拡散符号と該入力信号との相関値
    を、それぞれのスペクトル拡散信号のシンボル毎に求め
    て得られた値を第0次の相関検出値とする手段と、 前記入力信号の遅延信号と該第0次の相関検出値とを入
    力として、第0次と第1次の相関検出値の和を出力する
    第1段の相互干渉除去回路と、 前記入力信号を段数分だけ遅延した信号と前段の相互干
    渉除去回路の出力信号とを入力として、該第1段の相互
    干渉除去回路と同等の動作をする複数段の相互干渉除去
    回路とを具備したことを特徴とするスペクトル拡散信号
    復調装置。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載のスペクトル拡散信号復
    調装置において、 第j(ただし、jは1以上の整数)段目の相互干渉除去
    回路は、 第0次から第(j−1)次までの相関検出値の和を対応
    するスペクトル拡散信号に割り当てられた前記拡散符号
    と乗ずることにより第j次の再拡散信号を生成する手段
    と、 全てのスペクトル拡散信号について得られた該第j次の
    再拡散信号を、対応するスペクトル拡散信号のシンボル
    タイミングに合わせて足し合わせて得られる信号を第j
    次の複製信号とする手段と、 入力信号を段数jに対応する分だけ遅延した信号より該
    第j次の複製信号を差し引いて得られる信号を第j次の
    残留誤差信号とする手段と、 前記拡散符号と該第j次の残留誤差信号との相関値をそ
    れぞれのスペクトル拡散信号のシンボル毎に求めて得ら
    れた値を第j次の相関検出値とする手段と、 第0次から第(j−1)次までの相関検出値の和に該第
    j次の相関検出値を加えることにより第0次から第j次
    までの相関検出値の和を求める手段とから構成されたこ
    とを特徴とするスペクトル拡散信号復調装置。
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