JPH07131239A - 多重円形配列アレーアンテナ - Google Patents

多重円形配列アレーアンテナ

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JPH07131239A
JPH07131239A JP27083893A JP27083893A JPH07131239A JP H07131239 A JPH07131239 A JP H07131239A JP 27083893 A JP27083893 A JP 27083893A JP 27083893 A JP27083893 A JP 27083893A JP H07131239 A JPH07131239 A JP H07131239A
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antenna
array
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circular
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Abstract

(57)【要約】 【目的】所望の指向特性を多重の円形配列アレーによっ
て最適に実現する。 【構成】希望する指向特性により求められる、円形配列
アレーアンテナの1つに給電する振幅を基準とした給電
振幅比および給電位相に従って、円形配列アレーアンテ
ナに電力を分配し、前記アンテナ素子の各々に対しては
等電力で給電を行ない、一周で給電位相差が2mπ(Ra
d.)(ただし、mは1以上の整数)になるように、前記
アンテナ素子の各々の前記円形上の配置位置に基づい
て、給電位相をそれぞれずらし、s重目(sは、中心か
ら何重目の円形配列アレーアンテナであるかを示し、1
からSまであるものとする)の円形配列アレーアンテナ
の半径をrsとし、k0は自由空間波数を示すとすると、
m次(ただし、mは自然数である)のべッセル関数Jm
に対し、Jm(λs)=0を与えるλs(λsはベッセル関
数のゼロ点を示し、0<λ1<λ2<…<λs<…<λS
から、rs=λs/k0に近似する値を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多重円形配列アレーア
ンテナに対する配列方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、赤道上空の静止衛星との通信に用
いられるアンテナとして、例えば、円錐ビームを形成す
るアレーアンテナが知られている。この円錐ビームアン
テナについては、特公平1−20802号公報に示され
ている技術がある。該従来技術に記載されている1重の
円形配列アレーアンテナの場合、円形配列内の各アンテ
ナ素子に対する給電位相、配列半径によって指向特性を
設計することが可能である。しかし、この場合、配列半
径、および、給電位相によって、円錐ビームの指向特性
は一意的に決定される。従来の構成では、配列半径を小
さくしても、円錐ビーム方向の設定には、限界があっ
た。このため、ある天頂角の特定範囲内で、ある値以上
のビームの強さを実現しようとしても、希望する指向特
性を得ることは困難となる。
【0003】そこで、多重円形配列を用いて、それぞれ
の円形配列アレーアンテナの指向特性を合成することに
より、全体として所望の指向特性を得ることを考える。
【0004】従来、多重円形配列アレーアンテナを用い
るアンテナとして、特開昭58−95407号公報に記
載されている技術がある。図2に、該従来例におけるア
レー配列を示す。図2において、1は主ビーム方向を示
す線、2はアンテナの天頂を示す線、3はマイクロスト
リップアンテナを示す。また、アンテナの天頂からの傾
きθを天頂角といい、主ビームの方向を天頂角θ0
し、円形配列の基準アンテナから円形配列の中心を挟む
方位角をφとする。該従来例では、円錐ビームを形成す
る方法として、中心に1つのアンテナ素子とその周囲に
円形状に6つのアンテナ素子とを配列し、中心のアンテ
ナ素子の給電に対して、周囲のアンテナ素子には、ほぼ
逆位相で、かつ、給電振幅の総和がほぼ同じになるよう
に中心のアンテナ素子と比べて1:6の振幅で給電する
方法について述べられている。また、中心のアンテナ素
子の代わりに円形に配列された複数のアンテナ素子を用
い、複数のアンテナ素子に対してほぼ同振幅同位相で給
電し、その周囲に円形状に6つのアンテナ素子を配列
し、上記の方法と同様に給電する方法について述べられ
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来例では、内側
と外側との円形配列アレーアンテナのそれぞれ2つの半
径を変えることによって円錐ビームを形成するという構
成については述べられている。しかし、円形配列アレー
アンテナの個数が多くなれば設計変数(円形配列アレー
アンテナの半径)が多くなり、円形配列アレーアンテナ
が構成されている平面に垂直で、円形配列の中心点を通
る鉛直軸、すなわち天頂方向に対して軸対称な任意の円
錐ビームの最適設計が行なえるような設計方法について
は述べられていない。このため、ある天頂角の特定範囲
内で、ある値以上のビームの強さを実現しようとして
も、それを実現する円形配列アレーアンテナを設計する
ことは困難であった。
【0006】本発明は、上記課題を解決するために、希
望する指向特性のビームを実現することが可能な多重円
形配列アレーアンテナを提供することを目的とする。
【0007】また、他の目的としては、円形配列アレー
アンテナの各々の最適な半径を備える多重円形配列アレ
ーアンテナを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、少なくとも2つ以上のアンテナ素子を備
える円形配列アレーアンテナを、同心円上にS重(S
は、2以上の整数)に配列した多重円形配列アレーアン
テナにおいて、前記円形配列アレーアンテナの前記アン
テナ素子の各々に給電する給電部を有し、前記給電部
は、電力を出力する給電回路と、前記円形配列アレーア
ンテナの各々に、希望する指向特性により求められる、
前記円形配列アレーアンテナの1つに給電する振幅を基
準とした給電振幅比および給電位相に従って、前記円形
配列アレーアンテナの各々に電力を分配すると共に、前
記アンテナ素子の各々に対しては等電力で給電を行なう
ように前記電力を分配する分配部と、前記円形配列アレ
ーアンテナの各々において、一周で給電位相差が2mπ
(Rad.)(ただし、mは1以上の整数)になるように、前
記アンテナ素子の各々の前記円形上の配置位置に基づい
て、前記アンテナ素子の各々に給電する給電位相をそれ
ぞれずらす位相調整手段とを備える。前記円形配列アレ
ーアンテナの各々は、s重目(sは、中心から何重目の
円形配列アレーアンテナであるかを示し、1からSまで
あるものとする)の円形配列アレーアンテナの半径をr
sとし、k0は自由空間波数を示すとすると、m次(ただ
し、mは自然数である)のべッセル関数Jmに対し、Jm
(λs)=0を与えるλs(λsはベッセル関数のゼロ点
を示し、0<λ1<λ2<…<λs<…<λS)から、rs
=λs/k0に近似する値を求め、当該求めた値をそれぞ
れの半径とすることができる。
【0009】また、前記1重の円形配列アレーアンテナ
のアンテナ素子の素子数をN個(ただし、Nは2以上の
整数)としたときに、前記位相調整手段は、前記円形の
一周の給電位相差を、2pNπ(Rad.)(ただし、pは
自然数)にする場合を除くようにする。
【0010】前記分配部は、前記円形配列アレーアンテ
ナの各々に電力の分配をするための、前記給電振幅比に
従って不等分配する第1の分配器と、前記アンテナ素子
の各々に対応して設けられ、前記アンテナ素子の各々に
前記電力を分配するための第2の分配器とを備えること
ができる。
【0011】さらに、前記多重円形配列アレーアンテナ
の少なくとも一重部分を円形状のループアンテナにより
構成することができる。
【0012】少なくとも2つ以上のアンテナ素子を備え
る円形配列アレーアンテナを、同心円上にS重(Sは、
2以上の整数)に配列した多重円形配列アレーアンテナ
の設計方法としては、s重目(sは、中心から何重目の
円形配列アレーアンテナであるかを示し、1からSまで
あるものとする)の円形配列アレーアンテナの半径をr
sとし、k0は自由空間波数を示すとすると、m次(ただ
し、mは自然数である)のべッセル関数Jmに対し、Jm
(λs)=0を与えるλs(λsはベッセル関数のゼロ点
を示し、0<λ1<λ2<…<λs<…<λS)から、rs
=λs/k0に近似する値を求め、当該求めた値をそれぞ
れの半径とし、前記円形配列アレーアンテナの1つに給
電する振幅を基準とし、希望する指向特性から、前記円
形配列アレーアンテナの各々の給電電力の給電振幅比お
よび給電位相を求め、前記円形配列アレーアンテナの一
周で給電位相差が2mπ(Rad.)(ただし、mは1以上の
整数)になるように、前記アンテナ素子の各々の前記円
形上の配置位置に基づいて、前記アンテナ素子の各々に
給電する給電位相を求める。
【0013】
【作用】本発明は、上記したように構成するが、まず、
円形配列アレーアンテナの1重の場合の作用を示し、つ
ぎに多重にする場合の作用を述べる。
【0014】給電部の位相手段は、前記円形の一周で給
電位相差が2mπ(Rad.)(ただし、mは2以上の整数)
になるように、前記アンテナ素子の各々の前記円形上の
配置位置に基づいて、前記アンテナ素子の各々に給電す
る給電位相をそれぞれずらす。これは、円形に配列され
たアンテナ素子に対して、次の数1式で表されるよう
に、基準となるアンテナ素子A1とn番目のアンテナ素
子An(ただし、アンテナ素子数をN(ただし、Nは2
以上の整数)個としたときに、nは、1からNまでの整
数で、アンテナ素子番号を示す)とが、円形配列の中心
Oに対して作る角度φnのm(ただし、mは2以上の整
数を表す)倍の給電位相ψnとすることである。
【0015】
【数1】ψn=m×φn ・・・・・・・・(1) このとき、まず、円形に等間隔に配列されたアンテナ素
子に対して給電位相を1周で2mπ(Rad.)、つまりNを
アンテナ素子の総数として、隣あうアンテナ素子ごとに
2mπ/N(Rad.)の給電位相差で給電した場合の指向特
性を求める。この場合、円形配列アレーの中心Oに対し
て対称に位置するアンテナ素子は、必ずしも逆相に給電
されない。例えば、m=2の場合、1周で4π(Rad.)と
なり、円形配列の配列中心Oに対して対称に位置するア
ンテナ素子への給電位相差は2π(Rad.)となり逆相給電
とはならない。
【0016】以下、このような場合について、図8を用
いてその作用を説明する。図8において、Nはアンテナ
素子の総数、nは、アンテナ素子番号であり、1からN
までの整数を示す。A1からANまでのアンテナ素子が円
形に等間隔に配置されている。rは配列半径、Oは配列
中心、ψnはn番目のアンテナ素子に対する給電位相、
φnはn番目のアンテナ素子Anの基準アンテナ素子A1
からの配列中心Oを挟んだ角度を示す。図8において
は、N個のアンテナ素子A1からANを半径をrとして等
間隔に円形に配列し、各アンテナ素子に対しては数1式
に従って給電位相を決めている。すなわち、アンテナ素
子Anに対する給電位相は、基準アンテナ素子A1と円形
配列の中心Oが挟む角度φnのmを自然数としてm倍で
給電する。図8に示すようにアンテナ素子が等間隔に円
周上に配列されていた場合、アレーアンテナの指向特性
を表す式F(θ,φ)は、アンテナ素子の指向特性を表
す式g(θ,φ)とアンテナ素子の空間配置、給電振
幅、および、給電位相の効果を含む項を表すアレーファ
クターf(θ,φ)を用いて次の数2式で表される。
【0017】
【数2】 F(θ,φ)=g(θ,φ)・|f(θ,φ)|……(2) 但し、以下の数3および数4式で表せる。
【0018】
【数3】
【0019】
【数4】
【0020】上記数3式からアンテナ素子が有限個であ
ることに起因する円周方向の非一様性を無くして数3式
を簡単化するために、アンテナ素子数Nを無限大まで拡
張する。これは、数3式の級数項を積分することによ
り、アレーファクターは次の数5式のように求められ
る。
【0021】
【数5】
【0022】ただし、uは数6に示すように表すことが
できる。
【0023】
【数6】
【0024】また、k0は自由空間波数、Cは比例定
数、θは天頂角、φは方位角、mは自然数である。
【0025】従って、アンテナ素子数を無限大にしたと
きにはアレーファクターは数5式のようにm次のベッセ
ル関数に収束する。すなわち、円形配列アレーによって
円錐ビームを形成する場合、その限界は数5式で表され
る。つまり、数5式に示されるように、配列中心Oに対
して対称に位置する2素子に対する給電位相差が逆相で
なくても、円形配列アレーならば天頂に対して電波を放
射しない円錐ビームを形成することができることがわか
る。ここで、ベッセル関数の次数mは円形に配列された
アンテナ素子に図8に示すように一周で給電位相差が2
mπ(Rad.)になるようにすることに対応している。
【0026】次に、具体的に、天頂方向に対して利得を
持たないような円錐ビームが形成されていることを天頂
方向のアレーファクターを用いて示す。この場合、天頂
方向は、θ=0であり、そのときのアレーファクターが
0の場合に、天頂方向に対して利得を持たないことを示
している。
【0027】前述と同様に、一周で2mπ(Rad.)の給電
位相差が付くように円形配列アレーの各アンテナ素子に
対して給電する場合を考える。この場合、まず、従来の
ように、円形配列の中心Oに対して対称に位置する2つ
のアンテナ素子におけるアレーファクターを考えてみ
る。2つのアンテナ素子に対する給電位相は、初期給電
位相をδ(Rad.)とすると、δ(Rad.)、δ+mπ(Rad.)
となる。この2素子が作る天頂方向のアレーファクター
をθ=0とし、φについての項を消して(φは、この場
合考慮しないため)、f(0)を計算すると、数7式の
ようになる。
【0028】
【数7】
【0029】数7式をみてみると、mが奇数の場合、つ
まり、円形配列アレーに対する給電位相が一周で2π、
6π、10π(Rad.)等の場合はexp(jmπ)は−1となる
ので天頂方向のアレーファクターは必ず0になるが、m
が偶数の場合、つまり、円形配列アレーに対する給電位
相が一周で4π、8π、12π(Rad.)等の場合はexp(jm
π)は1となり、天頂方向のアレーファクターは0には
ならない。すなわち、天頂方向に対して利得を持ってし
まい、円錐ビームとはならない。しかし、本発明におい
ては、中心Oに対して対称に位置する2つのアンテナ素
子だけでなく、アレーアンテナとして用いるすべてのア
ンテナ素子から放射する電界により天頂方向の利得をな
くすようにしている。
【0030】図9を参照してこのことを説明する。図9
に示すような実線で示している4つの互いに直交してい
るアンテナ素子を用いて、現在考えている2素子に加え
て、その2素子に直交する別の2素子のアンテナ素子を
合わせて全部で4素子のアンテナ素子を考える。上記と
同様に、円形配列に対して一周で2mπ(Rad.)の給電位
相差を付けた場合、円形配列の中心に対して対称に位置
する2つのアンテナ素子の給電位相差はmπ(Rad.)にな
るが、4つのアンテナ素子に対する給電位相は、初期給
電位相をδ(Rad.)とすると、δ(Rad.)、δ+mπ/2
(Rad.)、δ+mπ(Rad.)、δ+3mπ/2(Rad.)とな
る。天頂方向のアレーファクターをθ=0とし、φにつ
いての項を消して(φは、この場合考慮しないため)、
f(0)を計算すると、数8式に示すようになる。
【0031】
【数8】
【0032】このようにして、mが奇数の場合、天頂方
向に対して利得を持たない指向特性が得られることが示
せる。
【0033】ただし、以下に述べるような理由から、ア
ンテナ素子数をN個とすると、2mπ(Rad.)が一周で2
pNπ(Rad.)(ただし、pは自然数)で給電する場合は
除く。
【0034】まず、mが偶数の場合を考える。m=2
m’(m’は自然数)とすると、お互いに直交する4つ
のアンテナ素子の天頂方向に作る指向特性のアレーファ
クターf(0)は次の数9式のようになる。
【0035】
【数9】
【0036】数9式をみてみると、m’が奇数の場合、
円形配列アレーに対する給電位相が一周で4π、12
π、20π(Rad.)等の場合はexp(jm'π)は−1となるの
で天頂方向のアレーファクターは必ず0になる。また、
m’が偶数の場合、つまり、mが4の倍数の場合は、円
形配列アレーに対する給電位相が一周で8π、16π、
24π(Rad.)等の場合はexp(jm'π)は1となり、天頂方
向のアレーファクターは0にはならない。これは、例え
ば、4素子のアンテナ素子を円形に並べた場合、一周で
8π(Rad.)の給電位相差がつくように給電を行うと、各
アンテナ素子の給電位相差は2π(Rad.)となり同相給電
となってしまい、アレーアンテナの天頂方向に対して電
波を放射し、利得を持ってしまうことを意味する。すな
わち、アンテナ素子数をN個とすると、一周で2pNπ
(Rad.)で給電する場合、アンテナ素子数Nを無限大にし
て取れば理論上は上記数5式のように示せても実際のア
ンテナ素子数Nは有限個なので、2pNπ(Rad.)で給電
すると各アンテナ素子間の給電位相差は同相となりアレ
ーアンテナの天頂方向に対して電波を放射してしまい、
利得を持ってしまう。これは、m=pNであるときを除
くことを意味する。
【0037】したがって、アンテナ素子数をN個とし一
周で2pNπ(Rad.)で給電する場合を除いて、一周で2
mπ(Rad.)の給電位相差が付くように各アンテナ素子に
対して給電を行うと円形配列アレーアンテナの場合、必
ず天頂方向に対して電波を放射しない円錐ビームを形成
する指向特性となる。
【0038】つぎに、円形配列アレーアンテナを多重に
する場合の作用を示す。ここでは、S重(ただし、Sは
2以上の整数)の円形配列アレーアンテナについて述べ
る。前述したように、s重目(sは、中心から何重目の
円形配列アレーアンテナであるかを示し、1からSまで
あるものとする)の円形配列の各アンテナ素子は、円形
配列の中心点に対して一定間隔ずつになるように等間隔
で並べ、各アンテナ素子に対する給電振幅は等振幅と
し、給電位相差を一定間隔ずつつけて一周で2mπ(m
は自然数)になるようにする。このような場合、s重目
の円形配列アレーのアレーファクターfs(θ、φ)は
次の数10式のように決定される。
【0039】
【数10】
【0040】ここで、us=k0ssinθ、φsnは、
s重目円形配列アレー内の基準アンテナ素子とn番目の
アンテナ素子が配列中心Oとなす角度、ψsnは、s重目
円形配列アレー内のn番目のアンテナ素子に対する基準
アンテナ素子との給電位相差を示す。
【0041】また、この場合、次の数11式を満たす。
【0042】
【数11】
【0043】数10式から、アンテア素子数が有限個で
あることに起因する方位角方向φの指向特性の非一様性
を無くすために、アンテナ素子数Nを無限大にすると次
の数12式のようになる。
【0044】
【数12】
【0045】ここで、ベッセル関数の次数mは、前述の
ように、円形配列アレー内の等間隔に並べられた各アン
テナ素子に対して、給電位相を一定位相ずつ付けて、円
形配列アレー一周で2mπ(Rad.)の位相差を付けて給電
することに対応している。φは基準アンテナ素子からの
円形配列中心に対する方位角を示し、Cは比例係数であ
る。一重の円形配列アレーの指向特性は、アンテナ素子
数が有限個であることに起因する方位角方向φの指向特
性の非一様性を無視すれば、特徴的にm次のベッセル関
数で表される。
【0046】次に、一般的に0<x<1で定義された任
意の関数h(x)は、次の数13式、および数14式で
表されるようにベッセル級数を用いて展開することがで
きる。
【0047】
【数13】
【0048】ここでAsは次の数14式を満たす。
【0049】
【数14】
【0050】数13式で表されるように、任意の関数
は、ベッセル関数の級数で表すことができる。また、一
方、一重円形配列アレーの指向特性は数12式によって
特徴的にm次のベッセル関数で表されている。従って、
任意の関数h(x)を実現したい所望の指向特性と関連
づけることができれば、所望の指向特性はベッセル級数
展開することができる。次に、この数13式のベッセル
関数と数12式で表される一重円形配列アレーの指向特
性とを関連づけることができるならば、所望の指向特性
を一重の円形配列アレーの重ね合わせで実現することが
可能となる。
【0051】今、数12式で表されているベッセル級数
展開できる任意の関数h(x)は、0<x<1で定義さ
れている。また、現在考えている所望の指向特性は、方
位角方向φの指向特性の不均一性を考慮に入れていない
ため、方位角方向φに関する項を考慮しないと、天頂か
らの角度θだけの関数となる。したがって、x=sin
θと変数変換し、0<θ<π/2とすれば、0<sin
θ<1となる。すなわち、θを天頂角を表す変数とみな
すことができ、しかも、x=sinθと変数変換したこ
とにより、所望の指向特性の変数sinθは0から1で
定義することができる。上記の事を考慮し、所望の指向
特性を表す関数をH(θ)と定義すれば、その定義域θ
は天頂角を表し、任意の関数h(x)と所望の指向特性
を表す関数H(θ)とを対応ずけることができる。よっ
て、所望の指向特性H(θ)をベッセル級数展開する
と、次の数15式および数16式で表される。
【0052】
【数15】
【0053】ここでAsは次の数16式を満たす。
【0054】
【数16】
【0055】数15式を見てみると、所望の指向特性H
(θ)は、m次のベッセル関数に重みAsをかけたもの
の無限級数和になっている。従って、所望の指向特性を
数12式で示す1重の円形配列アレーの指向特性を示す
ベッセル関数によって級数展開を行なうためには、us
=λssinθ=k0ssinθ、すなわちrs=λs
0と対応づければ良いことがわかる。結局、円形配列
アレーの半径rsを、λs/k0とおくと、数15式は、
1重の円形配列アレーアンテナの指向特性を特徴的に表
す数12式の級数和であるとみなすことができる。これ
により、所望の指向特性は、円形配列アレーの半径をλ
sに比例するように固定し、各円形配列のアンテナ素子
への給電位相差を一周で2mπ(Rad.)に固定すると、所
望の指向特性H(θ)を無限個の円形配列アレーの重ね
あわせで表現できることがわかる。その時の給電振幅は
sであり、Asの符号は基準とする円形配列に対する給
電位相との位相差を表すことになる。従って、多重円形
配列アレーの各s重目の円形配列の半径rsをm次のベ
ッセル関数Jm(λ)=0を満たす小さい方からs番目
のλsに比例するようにrs=λs/k0と決め、s重目円
形配列に対する給電振幅比を|As|とする。また、s重
目円形配列に対する給電位相を任意の基準円形配列に対
して、給電振幅比Asの符号にしたがって、Asの符号が
正ならs重目円形配列に対する基準円形配列の相対的な
給電位相差を0、負ならπ(Rad.)とする。各円形配列内
のアンテナ素子は等間隔に配列し、各アンテナ素子に対
する給電振幅は等振幅、隣あうアンテナ素子に対する給
電位相は一定間隔ずつ付けて、円形配列一周で2mπ(R
ad.)の位相差が付くように給電する。この場合、mは、
各円形配列アレーアンテナで同じになるようにする。上
記のように、アンテナ素子を配列し、各円形配列、アン
テナ素子に対する給電振幅、位相で給電すると、数15
式、数16式によって所望の指向特性H(θ)を無限の
円形配列アレーによって実現するための給電振幅、給電
位相が決定できる。
【0056】ここまでは、無限個の円形配列アレーの組
合せによって所望の指向特性H(θ)を実現するための
方法について述べたが、実際には、無限個の円形配列ア
レーを実現することは不可能であり、有限個の円形配列
アレーアンテナで実現することになる。所望の指向特性
を1次、または、2次微分可能なように多項式近似や関
数近似したあとにベッセル級数展開を行なうと収束が早
くなり、より少ない有限級数和、例えばS重までの級数
和で所望の指向特性H(θ)を近似することが可能とな
る。すなわち、より少ない円形配列アレーで所望の指向
特性H(θ)を実現することができる。また、全体の指
向性に対する寄与の小さい、すなわち、相対的に小さな
振幅Asの円形アレーを間引くことも可能である。
【0057】ベッセル関数は、直交系の関数なので、も
との所望指向特性H(θ)、または、H(θ)を多項式
近似したものや関数近似したものをベッセル関数の有限
級数で近似したものは、もとの所望指向特性H(θ)、
または、もとの所望指向特性H(θ)を多項式近似した
ものや関数近似したものとの誤差の2乗を最小にする最
小2乗誤差の意味で最適化されている。
【0058】以上は、もとの所望指向特性H(θ)との
誤差の2乗を最小にするという意味で最適化をかけるこ
とを意味するが、数15式を有限級数で打切り、線形計
画法を用いてベッセル関数に対する重みAsを求めるこ
とにより、拘束条件下で最適化をかけることも可能とな
る。
【0059】つぎに、実際に、半径を求める方法を以下
に示す。
【0060】上述したベッセル関数は、超越関数なので
解析的に求めることは困難なので、近似式や公式集から
ベッセル関数のゼロ点の数表を利用する。表1に、m次
のベッセル関数のゼロ点の数表を示す。
【0061】
【表1】
【0062】上記表1から、まず、一番内側の1重の円
形配列アレーアンテナの半径r1を求める。電波の自由
空間波数k0は、自由空間波長λを用いると、k0=2π
/λとなるので、r1=λ1/k0⇒r1/λ=λ1/2π
となる。例えば、m=1として、1周で2π(Ra
d.)の給電位相差で給電する場合には、1重目の配列
半径(電波の自由空間波長λで規格化した半径r1
λ)は、表1に示す(m1−s1)のときの値を参照
し、r1/λ=3.83/(3.14×2)=0.61
となる。
【0063】同様に、2重目、3重目、4重目の半径を
求めると、1.12,1.62,2.12とそれぞれも
とめることができる。また、1周で、4π、6π、8π
でそれぞれ給電するときには、m=2,3,4の場合の
ゼロ点を用いて計算をすればよい。
【0064】以上のようにしてもとめた半径において、
希望する指向特性H(θ)を、35度から55度のとき
に利得が得られるようにした場合に、1重から5重の円
形配列アレーアンテナの指向特性のシミュレーションの
結果を図7に示す。
【0065】図7において、縦軸は絶対利得、横軸は天
頂角θを示す。また、この時の給電位相差は、m=1、
つまり1周で2π(Rad.)とし、アンテナの素子数は無限
大にしている。この時の配列半径は、自由空間波長λで
規格化して1重目が0.61、2重目が1.12、3重
目が1.62、4重目が2.12、5重目が2.62で
ある。また、給電電力比は、上記数16式より求める
と、A1:A2:A3:A4:A5=0.91:(−1.0
6):0.14:0.85:(−0.92)となる。こ
こで、負の符号がついているものは、その給電位相が正
の符号のものに対して逆相であることを示す。また、図
7において、1重円形配列アレーアンテナの指向特性
は、数15式においてs=1までを求め、2重円形配列
アレーアンテナの指向特性は、s=2まで求めている。
つまり、S重円形配列アレーアンテナの指向特性は、数
15式においてs=Sまでそれぞれ求めている。
【0066】以上のように、半径を求め、希望する指向
特性から給電電力の比を求めることができる。さらに、
円形配列アレーアンテナの多重する数を増やすことによ
りより最適な指向特性をもった多重円形配列アレーアン
テナを設計することができる。
【0067】
【実施例】以下、図面を参照して実施例を説明する。本
実施例においては、所望の指向特性H(θ)に基づい
て、各アンテナ素子の配列、給電振幅、給電位相、円形
配列の半径、各円形配列間の相対的な給電位相、給電振
幅を決定し、最適な指向特性を実現する多重円形配列ア
レーを設計する。本実施例においては、配列半径を決め
ることにより、各円形配列アレーの給電位相、給電振幅
は一度の計算で決定することができ、非常に最適化がか
けやすくなる。
【0068】図1に、第1の実施例として、1重目8素
子、2重目16素子のアンテナ素子を用いた2重円形配
列の場合のアンテナ素子の構成図を示す。図1におい
て、3はアンテナ素子であり、複数のアンテナ素子が、
等間隔になるように配置されている。アンテナ素子とし
ては、パッチアンテナやヘリカルアンテナを利用するこ
とができる。
【0069】本実施例において、所望の指向特性をH
(θ)とする。各円形配列アレーのアンテナ素子への給
電位相差を一周で2π(Rad.)、つまり、360度にした
場合、最内部の円形配列アレーを基準円形配列とする
と、その半径rsを、周波数に合わせて上述したよう
に、rs=λs/k0の式よりm=1およびs=1として
求める。つまり、1次のベッセル関数J1(λ)=0を
満たす最初の解λ1、および、電波の自由空間波数k0
用いてλ1/k0によって半径r1を決定する。また、円
形配列アレー一周で2π(Rad.)の給電位相差を付けるの
で、1重目の円形配列アレーの隣あう8つのアンテナ素
子毎に、それぞれ、π/4(Rad.)、つまり、45度づつ
給電位相差を付け、8素子全部合わせて1周で、2π(R
ad.)、つまり、360度で給電を行う。
【0070】同様に、m=1およびs=2として1次の
ベッセル関数J1(λ)=0を満たす2番目の解λ2、お
よび、電波の自由空間波数k0を用いてλ2/k0によっ
て2重目の円形配列の半径を決定する。また、一重目の
円形配列アレーと同様に、2重目の円形配列アレーの隣
あうアンテナ素子毎に、それぞれ、π/8(Rad.)、つま
り、22.5度づつ給電位相差を付け、16素子全部合
わせて1周で、2π(Rad.)、つまり、360度で給電を
行う。この時、1次のベッセル関数の1番目の解と2番
目の解との関係により、その半径は、基準円形配列アレ
ーの半径の1.83倍となる。
【0071】また、各円形配列アレーに対する給電振幅
は、上記数16式によって決定され、一重目に対しては
|A1|、2重目に対しては|A2|とする。また、A1、A2
の符号によって、それぞれの円形配列アレーに対する相
対的な給電位相を決める。つまり、A1、A2がそれぞれ
異符号なら、どちらかの円形配列アレーに対する給電位
相をもう一方の円形配列アレーに対してπ(Rad.)ずら
す。このように、各円形配列アレーの配列半径r1
2、給電振幅A1、A2、給電位相を決めると、2重円
形配列アレーの場合で、所望の指向特性H(θ)に最も
近い指向特性を実現することができる。ここまでは、2
重の円形配列アレーの各設計変数の決定の方法について
述べているが、3重、4重の円形配列アレーの場合も上
記と同様に決定していく。
【0072】次に、各円形配列内のアンテナ素子に対し
て異なる給電位相で給電する方法について説明する。給
電位相を調整する位相調整手段としては、大きく分けて
2つの方法がある。一つは給電線路の長さを利用する場
合と、もう一つはアンテナ素子への給電点の位置を利用
する場合とがある。給電線路の長さを利用する方法と
は、電波が給電線路を通るときの波長をLとして、例え
ば、各給電点までにπ/4(Rad.)、つまり、45度づつ
給電位相差を付ける場合、それぞれの給電点までの線路
の長さをL/8ずつ長くまたは短くする。もしくは、π
/8(Rad.)、つまり、22.5度づつ給電位相差を付け
る場合、L/16ずつ長く、または短くする方法であ
る。また、アンテナ素子への給電点の位置を利用する方
法とは、例えば、パッチアンテナを用いる場合、π/4
(Rad.)、つまり、45度づつ給電位相差を付ける場合に
は、パッチアンテナの給電点を隣あうパッチアンテナ素
子の給電点と、パッチアンテナ素子の中心に対して45
度ずらせば良く、また、π/8(Rad.)、つまり、22.
5度づつ給電位相差を付ける場合、パッチアンテナの給
電点を隣あうパッチアンテナ素子の給電点と、パッチア
ンテナ素子の中心に対して、22.5度ずらせば良い。
同様に、アンテナ素子として、ヘリカルアンテナ素子を
用いる場合は、π/4(Rad.)、つまり、45度づつ給電
位相差を付けるには、ヘリカルアンテナの巻始めの角度
を、隣あうヘリカルアンテナの巻始めの角度に対して4
5度ずらせば良く、また、π/8(Rad.)、つまり、2
2.5度づつ給電位相差を付ける場合、ヘリカルアンテ
ナの巻始めの角度を隣あうヘリカルアンテナの巻始めの
角度に対して、22.5度ずらせば良い。このアンテナ
素子の給電点の位置を利用して、給電位相差を付ける方
法は、2π(Rad.)の給電位相差しか付けることができ
ないため、2π(Rad.)以上の給電位相差を付ける場合
には、給電線路の長さを利用する方法により実現すれば
よい。
【0073】図3および図4に、上記の2種類の給電方
法を用いた場合の給電構成図を示す。図3および図4に
おいて、5は内側の円形配列を示し、6は外側の円形配
列を示す。7は内側の円形配列に対する給電線路、8は
外側の円形配列に対する給電線路、9は、不等分配器で
あり、数16式で表された重みに合わせて設計されてい
る。給電線路7および給電線路8は、アンテナ素子に電
力を分配するための不等分配器9を介し、給電回路10
に接続する。給電回路10は、各アンテナ素子に対して
給電をして、各アンテナ素子に対する分岐部分では、不
等分配器9により給電線路内での損失を考慮して不等分
配されている。不等分配器9としては、ウィルキンソン
型などのY型電力分配器や、ハイブリッド回路(3dB
方向性結合器)などを利用すればよい。ハイブリッド回
路としては、ブランチライン型、1/4波長分布結合
型、ラットレース型、位相反転型などがある。これら
は、分配する電圧比をそれぞれ設定できるようになって
いるので、給電線路内での損失を考慮して電圧比をあら
かじめ設定しておく。不等分配器9によって、数16式
によって計算された振幅を実現することができる。ま
た、不等分配器9の代わりに等分配器と減衰器を用いて
数16式によって計算された振幅による給電を行っても
よい。
【0074】図3は、1重目、2重目の円形配列に対
し、一周で2πの位相差を付けて、それぞれのアンテナ
素子に対して給電を行なうために、線路長で位相を変化
させて給電する方法を示している。つまり、一重目の円
形配列アレー内の各隣あうアンテナ素子には、45度の
位相差を付けるために、L/8ずつ給電線路の長さを変
化させ、二重目の円形配列アレー内の各隣あうアンテナ
素子には、22.5度の位相差を付けるために、L/1
6ずつ給電線路の長さを変化させている。各々のアンテ
ナ素子3に対しては同電力が給電されるように、分配器
11により、電力が分配される。分配器11の構成も不
等分配器9と同様に構成することができる。
【0075】また、図4では、それぞれ1周で2π(Ra
d.)の給電位相差、つまり、一重目の円形配列内のアン
テナ素子に対しては、それぞれ、45度と、二重目の円
形配列内のアンテナ素子に対しては、22.5度の給電
位相差を付ければよいので、給電線路の長さは等しく
し、アンテナ素子に対する給電点の位置を変化させる方
法を採っている。また、これらを合わせて、一重目のア
ンテナ素子に対しては、図4で示されるように等長の給
電線で給電し、給電位相差はアンテナ素子の給電点の位
置によって付け、2重目のアンテナ素子に対しては、図
3で示されるように線路長を変化させて給電位相差を付
けても良い。
【0076】このように、配列方法が決定された14重
円形配列アレーによる指向特性の図を図5に示す。図5
において、縦軸はアレーアンテナから放射された電波の
強さを示し、横軸は、アレーアンテナの天頂方向からの
傾きθを表す。ここでは、希望する指向特性として、傾
きθを35度から55度の間で利得をもち、それ以外は
利得をもたないような指向特性とする。また、図5にお
いて、細い線が所望の指向特性、太線が本発明を適用し
て求めた指向特性である。この14重円形配列アレーの
各円形配列の半径rsはrs=λs/k0の式で、各円形配
列の相対的な給電振幅、給電位相は数16式で、各円形
配列内のアンテナ素子に対する給電位相は一周で2π(R
ad.)になるようにそれぞれもとめている。この図から、
多重円形配列アレーを用いるとかなり所望の指向特性に
近い指向特性を実現できることがわかる。このように、
単純な円錐ビームを作るだけでなく、例えば、天頂角θ
で30度と60度の2つの方向にピークをもち、天頂軸
に対して軸対称なビームを形成するアレーアンテナを簡
単に設計することも可能である。
【0077】また、図6には、3重の円形配列アレーを
3重の円形ループアンテナアレーに置き換えた場合の例
を示す。図6において、10aは、基準となる給電点を
示し、10bは、他の給電点であり、給電点10aにお
いて各円形ループに給電される給電位相と予め90度位
相をずらして給電される。また、11a、11b、11
cは、それぞれ異なる誘電率をもつ誘電体基板を示し、
これらは同一平面上に形成される。図6においては、点
線101で示す円の内側が同一の誘電率を持つ誘電体基
板11aであり、点線101で示す円と点線102によ
り示す円とによりはさまれる間の部分が誘電体基板11
bであり、点線102で示す円と点線103により示す
円とによりはさまれる間の部分が誘電体基板11cであ
る。これらの誘電体基板の上に導電性のアンテナ素子が
円状に配置される。各円形ループ1周で2π(Rad.)の給
電位相差を設けるのに、本実施例においては、誘電率に
よって電波の管内波長Lが異なるという現象を利用す
る。すなわち、各円形ループ1周の長さが1波長分にな
るようにすればよいので、前述のように決定される半径
から1周の長さが決定されるので、その1周の長さを電
波の管内波長Lとし、そのような波長が生じるような誘
電率を求める。例えば、上述したように、最内部の円形
ループの半径を求めると、自由空間波長で規格化して
0.61となり、2番目、3番目の円形ループの半径は
1.12、1.62とそれぞれ求められる。これによ
り、電波の管内波長Lが0.61λ×2×3.14=
3.83λとなるような誘電率をもつ誘電体基板11a
を用いる。誘電体基板11bおよび11cも同様に誘電
率を選択する。また、給電方法は、予め90度の位相差
をつけた給電線路を図6における給電点10aと10b
とに給電するようにする。ここで、φ=90度(φは円
形配列の中心Oに対して作る角度)とし、給電点10a
と給電点10bとの位置を円形配列の中心Oに対して9
0度の角度をなすような位置に配置する。このようにす
ると、各円形ループアンテナに給電された信号は、1周
で2π(Rad.)の位相差を持つようになり、その円形ルー
プアンテナから放射される指向特性は、数5式において
m=1で表される。また、m=2の場合で給電を行なう
場合は、予め90度位相をずらした給電線路において、
φ=45度、つまり、給電点10aと給電点10bとの
位置を円形配列の中心Oに対して45度の角度をなすよ
うな位置に配置する。また、この時の最内部(S=1)
の円形ループの半径r1は、表1におけるm=2とS=
1とでの値5.14を用いて、自由空間波長で規格化し
た値で0.83となる。このときの誘電体基板11aの
誘電率は、円形ループ1周で電波が2波長あればよいの
で、電波の管内波長Lが0.83λ×2×3.14÷2
=2.62λとなるように選択する。誘電体基板11b
および11cも同様に誘電率を選択する。このようにす
ると、円形ループアンテナに対して1周で4π(Rad.)の
給電位相差を持つようになる。その後、各円形ループア
ンテナに体する給電電力比は数14式から求めると所望
の指向特性に最も近い最適化された指向特性を得ること
ができる。同様に、m=3、4、5…の場合にもそれぞ
れ求めることができる。
【0078】上記実施例によれば、多重円形配列のs重
目の円形配列の半径を、m次のベッセル関数Jmに対し
てJm(λ)=0を満たすs番目のλsに比例するように
決定することにより、各円形アレーのパラメータの設定
が容易になり、アレーの構成されている平面に垂直で円
形配列の中心点を通る鉛直軸、即ち天頂方向に対称な指
向特性の最適パターンを得ることができる。
【0079】
【発明の効果】本発明によれば、多重円形配列アレーア
ンテナにおいて、希望する指向特性のビームを実現する
ことが可能となる。また、円形配列アレーアンテナの各
々の最適な半径を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す構成図。
【図2】従来の技術によって円錐ビームを形成するため
のアンテナ構成図。
【図3】2重円形配列アレーに対する給電方法を示した
構成図。
【図4】2重円形配列アレーに対する別の給電方法を示
した構成図。
【図5】本発明を適用したアンテナの指向特性を示す説
明図。
【図6】本発明を円形ループアンテナのアレーに適用し
た場合の実施例を示す構成図。
【図7】本発明を適用したアンテナの指向特性を示す説
明図。
【図8】本発明による円形配列アレーに対するアンテナ
素子に対する給電方法を表す説明図。
【図9】本発明を適用した給電方法によって円形配列ア
レーに給電した場合の配列中心に対して対称に位置する
4つのアンテナ素子の給電位相を示した説明図。
【符号の説明】
1…主ビームを示す線、2…天頂方向、3…マイクロス
トリップアンテナ、4…円形ループアンテナ、5…一重
目の円形配列アレー、6…二重目の円形配列アレー、7
…一重目の円形配列内のアンテナ素子に対する給電線、
8…2重目の円形配列内のアンテナ素子に対する給電
線、9…不等分配器。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも2つ以上のアンテナ素子を備え
    る円形配列アレーアンテナを、同心円上にS重(Sは、
    2以上の整数)に配列した多重円形配列アレーアンテナ
    において、 前記円形配列アレーアンテナの前記アンテナ素子の各々
    に給電する給電部を有し、 前記給電部は、 電力を出力する給電回路と、 前記円形配列アレーアンテナの各々に、希望する指向特
    性により求められる、前記円形配列アレーアンテナの1
    つに給電する振幅を基準とした給電振幅比および給電位
    相に従って、前記円形配列アレーアンテナの各々に電力
    を分配すると共に、前記アンテナ素子の各々に対しては
    等電力で給電を行なうように前記電力を分配する分配部
    と、 前記円形配列アレーアンテナの各々において、一周で給
    電位相差が2mπ(Rad.)(ただし、mは1以上の整数)
    になるように、前記アンテナ素子の各々の前記円形上の
    配置位置に基づいて、前記アンテナ素子の各々に給電す
    る給電位相をそれぞれずらす位相調整手段とを備えるこ
    とを特徴とする多重円形配列アレーアンテナ。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記円形配列アレーア
    ンテナの各々は、s重目(sは、中心から何重目の円形
    配列アレーアンテナであるかを示し、1からSまである
    ものとする)の円形配列アレーアンテナの半径をrs
    し、k0は自由空間波数を示すとすると、m次(ただ
    し、mは自然数である)のべッセル関数Jmに対し、Jm
    (λs)=0を与えるλs(λsはベッセル関数のゼロ点
    を示し、0<λ1<λ2<…<λs<…<λS)から、rs
    =λs/k0に近似する値を求め、当該求めた値をそれぞ
    れの半径とすることを特徴とする多重円形配列アレーア
    ンテナ。
  3. 【請求項3】請求項2において、前記1重の円形配列ア
    レーアンテナのアンテナ素子の素子数をN個(ただし、
    Nは2以上の整数)としたときに、 前記位相調整手段は、前記円形の一周の給電位相差を、
    2pNπ(Rad.)(ただし、pは自然数)にする場合を
    除くことを特徴とする多重円形配列アレーアンテナ。
  4. 【請求項4】請求項1において、前記分配部は、前記円
    形配列アレーアンテナの各々に電力の分配をするため
    の、前記給電振幅比に従って不等分配する第1の分配器
    と、前記アンテナ素子の各々に対応して設けられ、前記
    アンテナ素子の各々に前記電力を分配するための第2の
    分配器とを備えることを特徴とする多重円形配列アレー
    アンテナ。
  5. 【請求項5】請求項1において、前記多重円形配列アレ
    ーアンテナの少なくとも一重部分を円形状のループアン
    テナにより構成することを特徴とする多重円形配列アレ
    ーアンテナ。
  6. 【請求項6】少なくとも2つ以上のアンテナ素子を備え
    る円形配列アレーアンテナを、同心円上にS重(Sは、
    2以上の整数)に配列した多重円形配列アレーアンテナ
    において、 前記円形配列アレーアンテナの各々は、s重目(sは、
    中心から何重目の円形配列アレーアンテナであるかを示
    し、1からSまであるものとする)の円形配列アレーア
    ンテナの半径をrsとし、k0は自由空間波数を示すとす
    ると、m次(ただし、mは自然数である)のべッセル関
    数Jmに対し、Jm(λs)=0を与えるλs(λsはベッ
    セル関数のゼロ点を示し、0<λ1<λ2<…<λs<…
    <λS)から、rs=λs/k0に近似する値を求め、当該
    求めた値をそれぞれの半径とすることを特徴とする多重
    円形配列アレーアンテナ。
  7. 【請求項7】少なくとも2つ以上のアンテナ素子を備え
    る円形配列アレーアンテナを、同心円上にS重(Sは、
    2以上の整数)に配列した多重円形配列アレーアンテナ
    の設計方法であって、 s重目(sは、中心から何重目の円形配列アレーアンテ
    ナであるかを示し、1からSまであるものとする)の円
    形配列アレーアンテナの半径をrsとし、k0は自由空間
    波数を示すとすると、m次(ただし、mは自然数であ
    る)のべッセル関数Jmに対し、Jm(λs)=0を与え
    るλs(λsはベッセル関数のゼロ点を示し、0<λ1
    λ2<…<λs<…<λS)から、rs=λs/k0に近似す
    る値を求め、当該求めた値をそれぞれの半径とし、 前記円形配列アレーアンテナの1つに給電する振幅を基
    準とし、希望する指向特性から、前記円形配列アレーア
    ンテナの各々の給電電力の給電振幅比および給電位相を
    求め、 前記円形配列アレーアンテナの一周で給電位相差が2m
    π(Rad.)(ただし、mは1以上の整数)になるように、
    前記アンテナ素子の各々の前記円形上の配置位置に基づ
    いて、前記アンテナ素子の各々に給電する給電位相を求
    めることを特徴とする多重円形配列アレーアンテナの設
    計方法。
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