JPH071299Y2 - 自動車のドアガラス支持構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案はサッシュレスドアにおける自動車のドアガラ
ス支持構造に関する。

（従来の技術） 自動車のドアには、第８図に示すようにドア本体１の上
端側にサッシュが設けられていない、いわゆるサッシュ
レスドアが用いられる。このようなサッシュレスドアに
おいては、ドアガラス２を全閉したときのドアガラス２
の支持剛性を高めるために、通常第９図に示すような支
持構造が取られている。

すなわち、ドア本体１はアウタパネル３とインナパネル
４とによって形成され、インナパネル４はドリトリム５
によって覆われている。これらパネル３、４がなすドア
本体１の上端にはドアガラス２が出入りする開口部６が
形成されている。上記アウタパネル３の上端にはアウタ
ベルトラインモール７が取付けられ、インナパネル４の
上部を覆ったドアトリム５の上記開口部６に対向する側
面にはインナベルトラインモール８が取付けられてい
る。

各ベルトラインモール７、８にはアウタエザストップ９
とインナウエザストリップ11がそれぞれ設けられてい
る。また、アウタベルトラインモール７にはアウタスタ
ビライザ12が取着され、インナパネル４の上部にはイン
ナスタビライザ13がアーム14によって取着されている。
各スタビライザ13、14はドアガラス２の外面と内面とに
それぞれ圧接し、ドアガラス２を高い剛性で支持してい
る。さらに、ドアガラス２の下端部内面にはフック15が
ドアガラス２の外面側からワッシャ16を介して通された
ねじ17によって取付けられている。このフック15はドア
ガラス２を全閉にしたときにインナスタビライザ13が取
付けられたアーム14に係合し、インナスタビライザ13を
ドアガラス２の内面へさらに強く押付け、ドアガラス２
全閉時における支持剛性を向上させるようになってい
る。

ところで、このようなドアガラス２の支持構造による
と、その支持剛性を高めるためには各スタビライザ12、
13をドアガラス２の外面と内面とに強く圧接させなけれ
ばならない。しかしながら、各スタビライザ12、13をド
アガラス２の外面と内面とに強く圧接させると、ドアガ
ラス２の昇降時にこれらの摺動面間に入込んだ砂などの
塵埃がドアガラス２に食込み、その表面に傷を付けると
いうことがある。

このような問題をなくすためには、各スタビライザ13、
14のドアガラス２に対する圧接を弱くすれば、これらの
摺動面間に入込んだ塵埃がドアガラス２の面に食込むの
を防止することができる。しかしながら、ドアガラス２
に対する各スタビライザ13、14の圧接度合を弱くする
と、ドアガラス２の全閉時における支持剛性も低下する
から、高速走行時にドアガラス２が外方へ吸い出される
という問題が生じる。

（考案が解決しようとする課題） このように、従来はスタビライザをドアガラスに強く圧
接させて支持剛性を高めるようにしていたので、スタビ
ライザとドアガラスとの摺動面間に塵埃が入込むと、ガ
ラス面を傷付けるということがあった。

この考案は上記事情にもとずきなされたもので、その目
的とするところは、昇降時にドアガラスにスタビライザ
を強く圧接させなくとも、ドアガラスを全閉時には高い
剛性で支持できるようにした自動車のドアガラス支持構
造を提供することにある。

［考案の構成］ （課題を解決するための手段及び作用） 上記課題を解決するためにこの考案は、ドアガラスが閉
じられた状態において、このドアガラスの内面と外面と
がそれぞれインナスタビライザとアウタスタビライザと
で支持されるドアガラスの支持構造において、上記イン
ナスタビライザとアウタスタビライザの少なくとも一方
をドアガラスの一方の面に対して離間させて配置すると
ともに、上記ドアガラスの一方の面に、ドアガラスを閉
じた状態において上記一方のスタビライザに圧接するス
ペーサを設けた。

このような構造とすることにより、ドアガラスを閉じて
スペーサが一方のスタビライザに圧接した時にだけドア
ガラスの支持剛性を高めることができ、昇降時にはスタ
ビライザがドアガラスに強く圧接することがないように
した。

（実施例） 以下、この考案の実施例を図面を参照して説明する。な
お、第９図に示す従来構造と同一部分には同一記号を付
して説明を省略する。

第１図乃至第３図はこの考案の第１の実施例を示し、こ
の実施例においてはアウタスタビライザ12がドアガラス
２の外面に対して所定の隙間ｃで離間する状態で設けら
れている。また、ドアガラス２の下端部外面には円盤状
のスペーサ21が一側面を接合させて取付けられている。
このスペーサ21は周辺部の断面形状がくさび状に形成さ
れ、ドアガラス２を全閉にするとその他側面がアウタス
タビライザ12に強く圧接する厚さに設定されている。そ
して、このスペーサ21はフック15をドアガラス２に取付
けるための第９図に示すワッシャ16も兼ねている。

このような構成によれば、ドアガラス２を開いていると
き（昇降時）には第２図に示すようにドアガラス２の外
面とアウタスタビライザ12との間に隙間ｃが生じる。し
たがって、アウタスタビライザ12とドアガラス２の外面
との間に塵埃が入込んでも、その塵埃がドアガラス２の
外面に食込むようなことがない。

一方、ドアガラス２を全閉にすると、第１図に示すよう
に上記スペーサ21の他側面がアウタスタビライザ12に強
く圧接する。したがって、ドアガラス２はスペーサ21を
介してアウタスタビライザ12とインナスタビライザ13と
で挟圧されることになるから、高速走行時に外方へ吸い
出されることのない十分な支持剛性（面圧）で支持され
る。

なお、上記スペーサはワッシャ状のものに代わり、第４
図と第５図とに示す第２の実施例のような形状のスペー
サ21aであってもよい。

第６図と第７図はこの考案の第３の実施を示し、この実
施例はインナスタビライザ13がドアガラス２の内面に対
して所定の隙間ｃで離間する状態で設けられている。ド
アガラス２の内面に設けられたフック15には、ドアガラ
ス２を全閉にした状態でインナスタビライザ13を保持し
たアーム14に係合する係合部22と、インナスタビライザ
13に圧接するスペーサ部23とが一体に成形された側面形
状がほぼコ字状をなしている。

このような構成によれば、ドアガラス２を開いていると
き（昇降時）にはドアガラス２の内面とインナスタビラ
イザ13との間に隙間ｃがあるため、その隙間ｃによって
ドアガラス２の外面とアウタスタビライザ12との圧接状
態（面圧）も弱くなっている。したがって、アウタスタ
ビライザ13とドアガラス２の外面との間に塵埃が入込ん
でも、その塵埃がドアガラス２の外面に食込むようなこ
とがない。

一方、ドアガラス２を全閉にすると、フック15のスペー
サ部23がインナスタビライザ13に強く圧接する。したが
って、ドアガラス２はスペーサ部23を介してアウタスタ
ビライザ12とインナスタビライザ13とで挟圧されること
になるから、十分な支持剛性（面圧）で支持されること
になる。

〔考案の効果〕

以上述べたようにこの考案は、インナスタビライザとア
ウタスタビライザとの少なくとも一方をドアガラスの一
方の面に対して離間させて配置するとともに、上記ドア
ガラスの一方の面にドアガラスを閉じたときに上記一方
のスタビライザに圧接するスペーサを設けるようにし
た。したがって、ドアガラスは閉じたときには上記スペ
ーサを介して一対のスタビライザにより高い剛性で支持
され、また昇降時にはスペーサがスタビライザから外れ
ることによってスタビライザとの圧接状態が弱くなるか
ら、ドアガラスとスタビライザとの間に入込んだ塵埃が
ガラス面に食込むのを防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の第１の実施例を示すドアガラスを閉
じた状態のドアの断面図、第２図は同じくドアガラスの
昇降時の断面図、第３図は同じくスペーサの正面図、第
４図はこの考案の第２の実施例を示すスペーサの斜視
図、第５図は同じく正面図、第６図はこの考案の第３の
実施例を示すドアガラスを閉じた状態のドアの断面図、
第７図は同じくフックの斜視図、第８図は自動車の側面
図、第９図は従来のドアガラスの支持構造の断面図であ
る。 ２……ドアガラス、12……アウタスタビライザ、13……
インナスタビライザ、21……スペーサ、23……スペーザ
部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ドアガラスが閉じられた状態において、こ
   のドアガラスの内面と外面とがそれぞれインナスタビラ
   イザとアウタスタビライザとで支持されるドアガラスの
   支持構造において、上記インナスタビライザとアウタス
   タビライザの少なくとも一方をドアガラスの一方の面に
   対して離間させて配置するとともに、上記ドアガラスの
   一方の面に、ドアガラスを閉じた状態において上記一方
   のスタビライザに圧接するスペーサを設けたことを特徴
   とする自動車のドアガラス支持構造。