JPH07128891A - 印刷用感光性樹脂組成物およびそれを用いる印刷用樹脂板 - Google Patents

印刷用感光性樹脂組成物およびそれを用いる印刷用樹脂板

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JPH07128891A
JPH07128891A JP21353494A JP21353494A JPH07128891A JP H07128891 A JPH07128891 A JP H07128891A JP 21353494 A JP21353494 A JP 21353494A JP 21353494 A JP21353494 A JP 21353494A JP H07128891 A JPH07128891 A JP H07128891A
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compound
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photosensitive resin
phthalocyanine
compd
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JP21353494A
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English (en)
Inventor
Hisaichi Muramoto
壽市 村本
Kazunori Kanda
和典 神田
Yutaka Kanai
裕 叶井
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Nippon Paint Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 負コロナ帯電方式としても良好な光感度を示
し、近赤外領域の半導体レーザー光を光源とするレーザ
ー製版システムにも有用な印刷用感光性組成物の提供。 【構成】 (a)フタロシアニン化合物、(b)チオ尿素化合
物、および(c)縮合多環キノン化合物、ビスアゾ化合
物、シアニン化合物、キナクリドン化合物およびそれら
の混合物から成る群より選択される化合物を結着剤樹脂
中に分散した負帯電型印刷用感光性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は印刷用感光性樹脂組成物
およびそれを用いる印刷用樹脂板に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真方式による製版方法とは、陽極
酸化などの方法で親水化処理された支持体上に、例えば
フタロシアニン化合物のような光導電性物質を主成分と
して結着剤樹脂中に分散させた感光層を設けた平版印刷
原版に対して、コロナ帯電により、一様に表面帯電させ
た後、例えば、488nmに発振波長を有するアルゴンレ
ーザ、あるいは633nmのHe−Neレーザ、あるいは7
80nmの半導体レーザ等の可視から近赤外領域に波長を
有する光源を用いて、別途コンピュータからのデジタル
信号に対応した静電潜像を平版印刷原版上に形成し、次
いで、電子トナーを用いて、その潜像を可視化する。続
いて、加熱によりトナー画像を定着させた後、アルカリ
性水溶液により非画像部を溶出することにより刷版材が
得られる一連の方法である。この際、用いるトナーはア
ルカリ性水溶液に不溶のトナーを選択する必要がある。
また、乾式トナーよりもより解像力の優れた微粒度の湿
式トナーを用いることが望ましい。
【0003】かかる電子写真方式による平版印刷版とし
ては、例えば、特開平4−212967号公報に示され
ているように、X型メタルフリーフタロシアニンもしく
はチタニルフタロシアニンを結着樹脂中に分散させた感
光性組成物を導電性支持体上に設けられたものが挙げら
れるが、それらは正帯電では良好な光感度を有するもの
の、負帯電においては十分な光感度を有さず実用レベル
にほど遠い。また、負帯電の場合、正帯電に比較し、暗
減衰速度が早く、不安定であるなど不利な面が存在す
る。
【0004】しかしながら、負帯電型の印刷版は従来よ
り酸化亜鉛を含有する感光層を設けた紙やポリエステル
を支持体とする印刷版に代表されるように、当該業界に
おいて汎用化されてきており、負コロナ帯電方式での電
子写真方式によるさらに高度な製版技術の開発が望まれ
ている。そのためには、エネルギー源として最も安価な
半導体レーザ光を利用するに十分な光感度を有する有機
半導体としてのフタロシアニンの利用が必要である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は負コロナ帯電
方式としても良好な光感度を示し、近赤外領域の半導体
レーザ光を光源とするレーザ製版システムにも適用可能
な近赤外から可視光領域で高感度を有する電子写真方式
印刷用感光性組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は(a)フタ
ロシアニン化合物、(b)チオ尿素化合物、および(c)縮合
多環キノン化合物、ビスアゾ化合物、シアニン化合物、
キナクリドン化合物およびそれらの混合物から成る群よ
り選択される化合物を結着剤樹脂中に分散した負帯電型
印刷用感光性樹脂組成物を提供する。また、本発明は上
記感光性組成物を用いる印刷用感光性樹脂板を提供す
る。
【0007】なお、上記成分(a)〜(c)の内で、それぞれ
単独または2種の組み合わせで感光性組成物に用いた例
があるが(特開昭56−146145号、特開昭63−
97966号、特開昭58−65438号、特開昭58
−65439号、特開平2−188758号、特開平2
−188759号、特開平4−100052号公報)、
3種全てを配合し、優れた特性を得た例はない。特に、
金属フタロシアニン化合物とチオ尿素化合物との間で金
属フタロシアニン化合物の光励起に基づく効果的な光増
感電子移動反応が生じることが1973年ロシアのPe
tsol'dらによって報告されて以来、フタロシアニ
ン化合物等の有機光半導体とチオ尿素化合物を含む感光
層を有する印刷用感光性光樹脂組成物に関する事例が特
開昭58−65438号、同58−65439号、前記
の特開平2−188758号および同2−188759
号に示されているが、いずれも本発明が解決しようとす
る課題に対して不十分な特性レベルでしかなかった。
【0008】本発明に用いられるフタロシアニン化合物
は一般に(IX)式
【0009】
【化5】
【0010】によって表わされる金属フタロシアニンお
よび無金属フタロシアニンである。
【0011】金属フタロシアニンとしては、α、β、
ε、m、π、ρ、χ等の種々の結晶形のものあるいはア
モルファスのもの、ハロゲン原子により置換されたもの
または無置換のもので、中心に配位される金属として
銅、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、バナジウム、
モリブデン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、チタ
ンあるいはこれらの酸化物のものを用いることができる
が、下記(I)式で表わされるフッ素化亜鉛フタロシアニ
ンが最も好ましい。
【0012】
【化6】
【0013】(式中、Rはアリール基を示す。)
【0014】上記アリール基とは、フェニル基またはナ
フチル基であり、フェニル基は炭素数1〜4のアルキル
基で置換されていてもよい。
【0015】フッ素化亜鉛フタロシアニンの具体例とし
ては、特公平4−73950号において示されている各
種のものが使用できる。さらに、その製造方法は特開昭
64−45474号に示されている。また、無金属フタ
ロシアニンとしては、X型の結晶形を有するものが好ま
しい。
【0016】以上掲げられたフタロシアニン化合物は7
80nm〜830nmの半導体レーザに適合する波長に吸収
スペクトルを有することが認められており、いずれも本
発明において使用することができる。
【0017】本発明で使用するチオ尿素系化合物として
は、一般式(II)または(III)
【0018】
【化7】
【0019】(式中、R1、R2、R3およびR4は同一ま
たは異なって、炭素数1〜6までのアルキル基、炭素数
6〜12までのアリール基を表わし、R5およびR6同一
または異なっていても良く、水素、炭素数1〜5のアル
キル基またはフェニル基を示し、Aはフェニレン基また
は炭素数1〜18のポリメチレン基またはアルキレン基
を示す。)に示されるものであり、具体的には、式(II)
に相当するものとして、N,N'−ジメチルチオ尿素、
N,N'−ジエチルチオ尿素、N,N'−ジプロピルチオ尿
素、N,N'−3−ジブチルチオ尿素、トリメチルチオ尿
素、テトラメチルチオ尿素等のアルキルチオ尿素化合
物、1−フェニルチオ尿素、1−(o−トリル)チオ尿
素、1−(p−トリル)チオ尿素、1−(p−メトキシフェ
ニル)チオ尿素、1−(p−エトキシフェニル)チオ尿素、
1−(o−クロロフェニル)チオ尿素、1−(m−クロロフ
ェニル)チオ尿素、1−(p−クロロフェニル)チオ尿素、
1−(3,4−ジクロロフェニル)チオ尿素、N−ベンゾ
イル−N'−フェニルチオ尿素、1−(p−メチルスルホ
ニルフェニル)チオ尿素、N,N'−ジ−フェニル−チオ
尿素、N,N'−ジ(o−トリル)チオ尿素、N,N'−ジ
(p−トリル)チオ尿素、N,N'−ジエチル−N,N'−ジ
フェニルチオ尿素等のフェニルチオ尿素化合物およびN
−フェニル−N'−ナフチルチオ尿素、N,N'−ジナフ
チルチオ尿素等のナフチルチオ尿素化合物等が挙げられ
る。
【0020】また、式(III)に相当するものとして、N,
N'−ビス(フェニルチオカルバモイル)−1,4−フェニ
レンジアミン、N,N'−ビス(p−クロロフェニルチオ
カルバモイル)−1,4−フェニレンジアミン、N−(p
−クロロフェニルチオカルバモイル)−N'−(フェニル
チオカルバモイル)−1,4−フェニレンジアミン、N,
N'−ビス(p−ブロモフェニルチオカルバモイル)−1,
4−フェニレンジミアン、N−(p−クロロフェニルチ
オカルバモイル)−N'−(p−ブロモフェニルチオカル
バモイル)−1,4−フェニレンジアミン、N−(p−メ
チルフェニルチオカルバモイル)−N'−(p−シアノフ
ェニルチオカルバモイル)−1,4−フェニレンジアミ
ン、N−(p−エチルフェニルチオカルバモイル)−N'
−(p−ニトロフェニルチオカルバモイル)−1,4−フ
ェニレンジアミン、N,N'−ジエチル−N,N'−ビス
[N−エチル−N−(p−クロロフェニル)チオカルバモ
イル]−1,4−フェニレンジアミン、N,N'−ビス(フ
ェニルチオカルバモイル)エチレンジアミン、N,N'−
ビス(p−クロロフェニルチオカルバモイル)エチレンジ
アミン、N,N'−ビス(p−ブロモフェニルチオカルバ
モイル)エチレンジアミン、N,N'−ビス(p−クロロフ
ェニルチオカルバモイル)ヘキサメチレンジアミン、N,
N'−ビス(p−シアノフェニルチオカルバモイル)ヘキ
サメチレンジアミン等のビスチオ尿素化合物をあげるこ
とができる。以上のチオ尿素化合物の中で本発明におい
て、特に好ましく用いられるものはフェニルチオ尿素、
ナフチルチオ尿素、および分子中に芳香環を有するビス
チオ尿素化合物である。
【0021】本発明の成分(c)は縮合多環キノン化合
物、ビスアゾ化合物、シアニン化合物、キナクリドン化
合物およびそれらの混合物から成る群から選択される化
合物である。縮合多環キノン化合物は(IV)〜(VIII)に示
す化合物またはそれらの混合物である。
【0022】
【化8】
【0023】
【化9】
【0024】(式中、Xは同一または異なってハロゲン
原子であって、nは0〜4までの整数を表わす。)
【0025】(IV)式で表される縮合多環キノンの具体例
としては、インダンスロン、ジクロロインダンスロン、
ジブロモインダンスロン、ジフルオロインダンスロン等
が挙げられる。
【0026】また、(v)式で表される縮合多環キノンの
具体例としては、アンザンスロン、ジブロモアンザンス
ロン、テトラブロモアンザンスロン、ジクロロアンザン
スロン、テトラクロロアンザンスロン、ジフルオロアン
ザンスロン、テトラフルオロアンザンスロン等が挙げら
れる。
【0027】また(VI)式で表される縮合多環キノンの具
体例としては、フラバンスロン、ジクロロフラバンスロ
ン、テトラクロロフラバンスロン、ジブロモフラバンス
ロン、テトラブロモフラバンスロン、ジフルオロフラバ
ンスロン、テトラフルオロフラバンスロン等が挙げられ
る。
【0028】また(VII)式で表される縮合多環キノンの
具体例としては、ピランスロン、ジブロモピランスロ
ン、テトラブロモピランスロン、ジクロロピランスロ
ン、テトラクロロピランスロン、ジフルオロピランスロ
ン、テトラフルオロピランスロン等が挙げられる。
【0029】さらに(VIII)式で表される縮合多環キノン
の具体例としては、イソビオランスロン、ジクロロイソ
ビオランスロン、テトラクロロイソビオランスロン、ジ
ブロモイソビオランスロン、テトラブロモイソビオラン
スロン、ジフルオロイソビオランスロン、テトラフルオ
ロイソビオランスロン等が挙げられる。以上に示した縮
合多環キノン化合物の中で、本発明において特に好まし
く用いられるのは(V)式のアンザンスロン類、(VI)式の
フラバンスロン類および(VII)式のピランスロン類であ
る。
【0030】本発明で用いるビスアゾ化合物は、カラー
・インデックスネームで示される次の様なものが挙げら
れる:C.I.Disperse Yellow 7、
C.I.Disperse Orange 13および
21、C.I.Disperse Orange14、
C.I.Solvent Red 23、24、25お
よび27、C.I.Solvent Black3。ま
た、特開昭61−124951、特開昭62−2261
56、特開昭62−272272、特開昭63−979
65、特開昭63−97966、特開平1−25786
2、特開平3−37656、特開平3−37658、特
開平3−37665等に記載されているビスアゾ化合物
はいずれも用いることができる。
【0031】キナクリドン化合物の例としては、例えば
カラー・インデックスネームで示される次の様なものが
挙げられる:C.I.Pigment Violet
19、C.I.Pigment Red 122等。
【0032】シアニン化合物の具体例としては、3,3'
−ジエチル−2,2'−オキサトリカルボシアニンヨウ化
物、1,3,3,1'3',3'−ヘキサメチル−2,2'−イ
ンドトリカルボシアニン、3,3'−ジエチル−2,2'−
チアトリカルボシアニンヨウ化物、3,3'−ジエチル−
2,2'−チアトリカルボシアニン臭化物、3,3'−ジエ
チル−2,2'−セレナトリカルボシアニンヨウ化物、
1,3,3,1',3',3'−ヘキサメチル−2,2'−(4,
5,4',5'−ジベンゾ)インドトリカルボシアニンパー
クロライド、3,3'−ジエチル−2,2'−(4,5,4',
5'−ジベンゾ)チアトリカルボシアニンヨウ化物、1,
1'−ジエチル−2,2'−キノトリカルボシアニンヨウ
化物、1,1'−ジエチル−4,4'−キノトリカルボシア
ニンヨウ化物、3,3'−ジメチル−2,2'−オキサトリ
カルボシアニンヨウ化物、3,3'−ジエチル−2,2'−
オキサトリカルボシアニンパークロレート、1,3,3,
1',3',3'−ヘキサメチル−2,2'−インドトリカル
ボシアニンパークロレート、3,3'−ジエチル−2,2'
−(6,7,6',7'−ジベンゾ)−チアトリカルボシアニ
ンヨウ化物、3,3'−ジオクタデシル−2,2'−チアカ
ルボシアニンヨウ化物、3,3'−ジオクタデシル−2,
2'−チアカルボシアニンパークロレート、3,3'−ジ
オクタデシル−2,2'−チアシアニンパークロレート、
1,1'−ジオクタデシル−3,3,3',3'−テトラメチ
ル−インドカルボシアニンヨウ化物、3,3'−ジオクタ
デシル−2,2'−オキサカルボシアニンパークロレー
ト、3,3'−ジオクタデシル−2,2'−オキサシアニン
パークロレート、1,1'−ジオクタデシル−3,3,3',
3'−テトラメチル−2,2'−インドトリカルボシアニ
ンパークロレート、1,1'−ジオクタデシル−3,3,
3',3'−テトラメチル−2,2'−インドジカルボシア
ニンパークロレート、1,1'−ジオクタデシル−11−
ブロモ−4,4'−キノジカルボシアニンパークロレー
ト、1,1'−ジオクタデシル−3,3,3',3'−テトラ
メチル−2,2'−(4,5,4',5'−ジベンゾ)インドジ
カルボシアニンパークロレート、3,3'−(ジ−n−プ
ロピル)−2,2'−オキサカルボシアニンヨウ化物、3,
3'−(ジ−n−ペンチル)−2,2'−オキサカルボシア
ニンヨウ化物、3,3'−(ジ−n−ヘキシル)−2,2'−
オクタカルボシアニンヨウ化物、3,3'−(ジ−n−プ
ロピル)−2,2'−オキサジカルボシアニンヨウ化物、
3,3'−(ジ−n−プロピル)−2,2'−チアジカルボシ
アニンヨウ化物、1−カルボキシエチル−3'−エチル
−4,2'−キノチアジカルボシアニンヨウ化物、1,1'
−ジエチル−3,3,3',3'−テトラメチル−2,2'−
インドトリカルボシアニンヨウ化物等が挙げられる。ま
た、成分(c)として掲げた以上の化合物の中で、本発明
の効果を発揮せしめるのに最も好ましい化合物として
は、縮合多環キノン化合物単独または、それと他の化合
物との混合物である。
【0033】本発明で使用する結着剤樹脂は上記フタロ
シアニン化合物、チオ尿素化合物およびキノン化合物を
良く分散もしくは溶解するものが好ましいが、さらに組
成物が感光後、静電画像をトナー現像した上で、アルカ
リ水溶液で非画像部を溶解削除して刷版を作製するため
に、アルカリ可溶性であることが必要である。
【0034】かかるアルカリ可溶性を結着剤樹脂に付与
するためには、樹脂が水酸基、酸無水物基、カルボキシ
ル基、スルホン酸基、リン酸基等の親水性官能基を有す
ることが必要であり、かかる官能基を有する基体樹脂と
しては、例えば、スチレン/マレイン酸共重合体樹脂、
スチレン/マレイン酸モノエステル共重合体、(メタ)ア
クリル酸/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)
アクリル酸/アクリル酸エステル/メタクリル酸エステ
ル共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸/(メタ)アク
リル酸エステル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重
合体、安息香酸ビニル/クロトン酸、酢酸ビニル/クロ
トン酸/(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のスチレ
ン、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、酢酸
ビニル、安息香酸ビニル等とアクリル酸、メタクリル
酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸等
のカルボン酸含有単量体あるいは二塩基酸モノエステル
単量体との共重合体や更にメタクリル酸アミド、ビニル
ピロリドン、フェノール性水酸基、スルホン酸基、リン
酸基を有する単量体から成る共重合体を挙げることが出
来る。また、特開平4−274428号および特開平4
−258956号で掲げられているバインダー樹脂を用
いても良い。また、以上に掲げたアルカリ可溶性結着剤
樹脂の内、本発明において好ましく用いられるものは、
ガラス転位温度が40℃以上、樹脂酸価50以上300
以下、および数平均分子量で10,000以上の樹脂で
ある。ガラス転位温度が40℃未満であれば、支持体上
の樹脂層が脆弱となる結果、印刷時の耐刷性が不十分と
なる。樹脂酸価が50未満であれば、アルカリ可溶性が
乏しくなり、また300を越えると樹脂層のアルカリ可
溶性が強すぎる結果、サイドエッチングが生じ易くなり
画質が低下する。さらに、樹脂の数平均分子量が10,
000未満である場合は樹脂層が脆弱になる結果、耐刷
性が不十分となる。
【0035】感光層中の成分(a)、(b)および(c)の割合
は、(a)+(b)+(c)+結着剤樹脂=100重量%とした
場合、(a)+(b)+(c)/組成物全体が5〜70重量%で
あり、好ましくは15〜40重量%である。5重量%よ
り小さいとコロナ放電により十分な帯電量が得られず、
従って不十分なトナー濃度を有する可視画像しか形成さ
れない。70重量%より大きいと組成物中の結着剤樹脂
が不足するため、組成物自体が印刷に伴う機械的強度が
低下する。また、(a)フタロシアニン化合物に対する(b)
チオ尿素化合物の割合は0.05〜20倍重量であり、
好ましくは0.2〜5倍重量である。0.05倍より少
ないと、電荷移動効率が著しく低下するため光感度が不
十分となる。20倍を越えると、暗減衰速度が増大する
ため、静電潜像の長時間保存が困難になる。さらに、
(a)フタロシアニン化合物に対する(c)縮合多環キノン化
合物、ビスアゾ化合物、シアニン化合物あるいはキナク
リドン化合物より選択される少なくとも一種類以上の化
合物の割合は同じ0.05〜20倍重量であり、好まし
くは0.2〜5倍重量である。0.05倍より少ないと
光照射後の残留電位が増加するため鮮明なトナー画像が
得られない。20倍を越えると、やはり暗減衰速度が増
大に転じるため、静電潜像の長時間保存が困難になる。
【0036】本発明の感光性組成物は、例えば、前記の
(a)〜(c)の化合物を適当な有機溶媒中に溶解した結着剤
樹脂の溶液に加え、一般的な分散装置、例えば、ペイン
トシェーカー、ボールミル、サンドミル、アトライター
等により均一に分散させ、これを導電性基板上に塗布し
た後、加熱乾燥することにより作製される。塗布は通
常、ドクターブレード、バーコーター(ワイヤーバー)、
ロールコーター等を用いて行われる。
【0037】本発明の組成物調製時に用いる適当な溶媒
としては、例えば、ベンゼン、トルエンあるいはキシレ
ンのような芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、エチ
ルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン
のようなエーテルおよび環状エーテル類、酢酸エチル、
酢酸ブチルのようなエステル類、メチルセロソルブ、エ
チルセロソルブ、ブチルセロソルブのようなセロソルブ
(エチレングリコールモノアルキルエーテル類)またはそ
れらの混合物等が挙げられる。
【0038】本発明の感光性樹脂板は、導電性支持体上
に上記組成物から成る感光層を設けたものである。感光
層の厚さは単層型の場合、1〜20μm、好ましくは2
〜10μmである。また、複層型の場合、主にフタロシ
アニン化合物(電荷発生物質)、および縮合多環キノン化
合物、ビスアゾ化合物、シアニン化合物、あるいはキナ
クリドン化合物より選択される少なくとも一種類以上の
化合物を含む電荷発生層(CGL)が支持体上に設けら
れ、さらにそのうえに正孔移動物質(チオ尿素化合物)を
含有する電荷移動層(CTL)が設けられている場合で
は、CGLは0.01〜5μm、好ましくは0.1〜2
μmであり、CTLは1〜15μm、好ましくは2〜8μ
mである。
【0039】以上に示した適正範囲を越えて、感光層の
厚さが非常に薄いと感光体の表面電位が低くなり、トナ
ー現像で画像部にトナーが少量しか付着しないため、定
着してもトナー像の完全な被膜が形成されず画像部に微
細な空隙やピンホールのようなトナーが存在しない部分
が生ずる。そのため、アルカリ水溶液で感光体の非画像
部を溶解除去して刷版を作製する際に、アルカリ水溶液
がトナー画像の空隙やピンホールを浸透して画像物の感
光層を部分的に溶解除去されるので好ましくない。
【0040】また、逆に以上示した適正範囲を越えて感
光層が厚いと感光体上にはトナー画像の完全な被膜は形
成できるが、アルカリ水溶液で感光体の非画像部を溶解
する際に時間を要するばかりではなく、サイドエッチン
グにより、細線や微細な網点などの画像部の感光層も除
去され易いので好ましくない。
【0041】上記感光組成物の支持体への塗布に続い
て、乾燥を行い、感光層を得る際の乾燥条件は加熱温度
40〜200℃で、好ましくは70〜150℃の範囲で
あることが望ましい。また、乾燥時間は設定温度にもよ
るが、1〜30分程度がよい。上記乾燥条件を下回る温
度、時間で乾燥を行った場合、感光層中に残留溶媒が多
量に残ることとなり、コロナ帯電特性や暗減衰に基づく
帯電保持率が低下する。また、上記乾燥条件を上回る温
度、時間で乾燥を行った場合、高温のため感光層が支持
体に強く融着したり、あるいは、結着剤樹脂中の未反応
官能基による重合反応を促進したり、さらに、フタロシ
アニンの結晶形の変化を引き起こしたりする結果、アル
カリ溶出性の低下や、帯電特性、光感度の低下を招くこ
とになる。
【0042】本発明の印刷版の支持体には、例えば、ア
ルミニウム等の金属板、または金属箔、アルミニウム等
の金属を蒸着したプラスチックフィルム、あるいは導電
処理を施した紙などが用いられ、これらは親水化処理し
て使用される。これらの支持体の中でもアルミニウム板
が好適に使用される。
【0043】また、アルミニウム板の表面の親水化処理
加工の方法は、公知の方法、例えば砂目立て、陽極酸化
法を用いることができる。砂目立て処理方法には、機械
的粗面化法、電気化学的粗面化法、化学的表面選択溶解
法等がある。機械的粗面化法には、ボール研磨法、ブラ
シ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法
を用いることができる。また、電気化学的粗面化法に
は、塩酸あるいは硝酸電解液中で、交流か直流により行
う方法がある。
【0044】上記処理を施されたアルミニウム板は、陽
極酸化処理される。陽極酸化処理に用いられる電解質と
しては、硫酸、リン酸、シュウ酸等、あるいはそれらの
混酸が用いられ、それらの電解質やその濃度は電解質の
種類によって適宜決定される。陽極酸化皮膜量は0.1
0〜10g/m2がよく、さらには、0.5〜5.0g/m2
の範囲が好適である。さらに、陽極酸化処理後に、アル
カル金属ケイ酸塩水溶液やシリケート電着処理したもの
も好適な支持体として使用できる。
【0045】
【作用】負コロナ帯電後の組成物に対して、白色光ある
いは半導体レーザー光を照射することにより、光帯電性
物質であるフタロシアニン化合物もしくは縮合多環キノ
ン化合物、ビスアゾ化合物、シアニン化合物あるいはキ
ナクリドン化合物より選択される少なくとも一種類以上
の化合物が光励起され、両者間のエネルギー移動、さら
には電子移動反応が起こると推定される。結果として生
じるフタロシアニンの正孔にたいして、チオ尿素化合物
が電子供与性物質として作用することにより正孔を感光
層表面へ効果的に移動させ、感光層表面の負電荷を効率
良く中和するものと推定される。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、負帯電用感光性組成物
として、可視および近赤外光領域、特に半導体レーザ光
波長領域(780nm)において高感度を示し、かつ、光照
射後の残留電位が低いなど、解像度の高いトナー画像を
与える印刷原版が得られる。また、上記印刷原版を使用
すれば、印刷時に地汚れ等の問題のない高品位の印刷物
が得られる。
【0047】
【実施例】本発明を実施例により、さらに詳細に説明す
る。本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
各例中の「部」はすべて断りのない限り、すべて「重量部」
を示す。
【0048】製造例1(結着剤樹脂の合成例) 撹拌機、ジムロート(冷却器)、窒素導入管を装備した1
リットル容量のフラスコ中にあらかじめエチルセロソル
ブ200部を仕込み、85℃まで昇温した後、別途イソ
ブチルメタクリレート124.8部、エチルヘキシルメ
タクリレート13.8部、メタクリル酸61.4部およ
びラジカル重合開始剤V−59(2,2'−アゾビス(2−
メチルブチロニトリル)、和光純薬製)1.4部を混合溶
解したものを滴下ロートより3時間かけてフラスコ中に
滴下した。さらに、3時間加熱し、溶液重合反応を終了
した。得られた樹脂は固形分50%、数平均分子量2
0,000、重量平均分子量65,000および酸価20
0であった。
【0049】実施例1 オクタフルオロ−オクタキス(フェニルチオ)亜鉛フタロ
シアニン(日本触媒製)10部、N,N'−ジエチルチオ尿
素10部、アンザンスロン2部および製造例1で合成し
た樹脂溶液100部をキシレン/エチルセロソルブ=2
/1(w/w)混合溶剤300部に分散した後、適量のガラ
スビーズと共に容器に仕込み、ペイントシェーカーを用
いて感光層用塗料を作製した。この塗料をワイヤーバー
(バーコーター)を用いて、あらかじめ表面を親水化処理
したアルミニウム板上に塗布、100℃で25分間乾燥
し、感光層の膜厚5μmの電子写真式平版印刷版を作製
した。印刷原版の帯電特性と光感度を川口電機製「ペー
パーアナライザーEPA−8100」を用いて測定し
た。測定条件は−7.5KVのコロナ帯電電圧を印加し
た直後の感光体の表面電位V0(V)、電圧印加後、10
秒間経過時の表面電位V10(V)を測定し、印刷原版の暗
時の電荷保持率をV10/V0(%)の値で評価した。帯電
した印刷原版の表面に白色光をフィルターを通して分光
して得られた780nm単色光を用いて露光することによ
り光感度を測定した。光強度を1.4Luxとして、露光
後の表面電位が初期表面電位の1/2に減少するのに要
する露光量E1/2(Lux・Sec)と、露光開始後の40秒
間経過時の残留電位VR40(V)を測定した。これらの測
定値に基づいて印刷原版の帯電特性と光感度を評価し
て、その結果を表1にまとめた。
【0050】実施例2 オクタフルオロ−オクタキス(フェニルチオ)亜鉛フタロ
シアニン(日本触媒製)10部、N,N'−ジフェニルチオ
尿素10部、ピランスロンオレンジ10部および製造例
1で合成した樹脂溶液100部を実施例1で示した混合
溶媒340部に分散した後、実施例1と同様の方法で塗
料を作製、支持体上に塗布および乾燥した試料に関して
帯電特性と光感度を測定した。その結果を同じく表1に
まとめた。
【0051】実施例3 オクタフルオロ−オクタキス(フェニルチオ)亜鉛フタロ
シアニン(日本触媒製)10部、N,N'−ジ(o−トリル)
チオ尿素10部、ピランスロンオレンジ3〜4ブロム付
加体5部および製造例1で合成した樹脂溶液140部を
実施例1で示した混合溶媒390部に分散した後、実施
例1と同様の方法で塗料を作製、支持体上に塗布および
乾燥した試料に関して帯電特性と光感度を測定した。そ
の結果を同じく表1にまとめた。
【0052】実施例4 ファストゲンブル−8120B(X型メタルフリーフタ
ロシアニン、大日本インキ製)10部、N,N'ビス−(フ
ェニルチオカルバモイル)1,4−フェニレンジアミン1
0部、イソビオラスロン2部および製造例1で合成した
樹脂溶液100部を実施例1で示した混合溶剤300部
に分散した後、実施例1と同様の方法で塗料を作製、支
持体上に塗布および乾燥した試料に関して帯電特性と光
感度を測定した。その結果を同じく表1にまとめた。
【0053】実施例5 ファストゲンブル−8120B(X型メタルフリーフタ
ロシアニン、大日本インキ製)10部、N,N'ビス−(フ
ェニルチオカルバモイル)1,4−フェニレンジアミン1
0部、インダンスロン10部および製造例1で合成した
樹脂溶液100部を実施例1で示した混合剤340部に
分散した後、実施例1と同様の方法で塗料を作成、支持
体上に塗布および乾燥した試料を関して帯電特性と光感
度を測定した。その結果を同じく表1にまとめた。
【0054】実施例6 T−22フタロシアニン(チタニルフタロシアニン、山
陽色素製)10部、N,N'−ジ(o−トリル)チオ尿素1
0部、フラバンスロン2クロロ付加体5部および製造例
1で合成した樹脂溶液140部を実施例1で示した混合
溶媒390部に分散した後、実施例1と同様の方法で塗
料を作製、支持体上に塗布および乾燥した試料に関して
帯電特性と光感度を測定した。その結果を同じく表1に
まとめた。
【0055】実施例7 β型銅フタロシアニン10部、N,N−ジフェニルチオ
尿素10部、インダンスロン5部および製造例1で合成
した樹脂溶液140部を実施例1で示した混合溶媒39
0部に分散した後、実施例1と同様の方法で塗料を作
製、支持体上に塗布および乾燥した試料に関して帯電特
性と光感度を測定した。その結果を同じく表1にまとめ
た。
【0056】実施例8 オクタフルオロ−オクタキス(フェニルチオ)亜鉛フタロ
シアニン(日本触媒製)8部、N,N'−p−ジトリルチオ
尿素10部、フラバンスロン2クロロ付加体10部およ
び製造例1で合成した樹脂溶液100部を実施例1で示
した混合溶媒330部に分散した後、支持体上に塗布お
よび乾燥した試料に関して帯電特性と光感度を測定し
た。その結果を表2にまとめた。
【0057】実施例9 ファストゲンブル−8120B(X型メタルフリーフタ
ロシアニン、大日本インキ製)8部、N−ベンゾイル−
N'−フェニルチオ尿素10部、イソビオラスロン2ク
ロロ付加体10部および製造例1で合成した樹脂溶液1
20部を実施例1で示した混合溶媒310部に分散した
後、支持体上に塗布および乾燥した試料に関して帯電特
性と光感度を測定した。その結果を表2にまとめた。
【0058】実施例10 オクタフルオロ−オクタキス(フェニルチオ)亜鉛フタロ
シアニン(日本触媒製)10部、ピランスロンオレンジ3
部、N,N'−ジ(o−トリル)チオ尿素3部および製造例
1で合成した樹脂溶液80部を実施例1で示した混合溶
剤220部に分散した後、実施例1と同様の方法で塗料
を作製、支持体上に塗布および乾燥を施して、電荷発生
層(CGL)として1μmの膜を形成した。次いで、1,3
−(o−ジトリル)−2−チオ尿素20部を同じく製造例
1で合成した樹脂溶液100部を実施例1で示した混合
溶剤290部に分散した後、実施例1と同様の方法で塗
料を作製、支持体上に塗布および乾燥を施して、電荷移
動層(CTL)として4μmの膜をCGLの上層に形成す
ることで、CGLと合わせて、5μmの感光層を得た。
得られた試料に対して、実施例1と同様の方法によって
帯電特性と光感度を測定した。その結果を表1にまとめ
た。
【0059】実施例11 実施例2で得られた印刷原版にたいして、白色光(タン
グステンランプ光)で露光する以外は、実施例1と同様
の方法で帯電特性および光感度を測定した。その結果を
表4にまとめた。
【0060】実施例12 実施例4で得られた印刷原版に対して、白色光(タンズ
クテンランプ光)で露光する以外は、実施例1と同様の
方法で帯電特性および光感度を測定した。その結果を表
4にまとめた。
【0061】実施例13 オクタフルオロ−オクタキス(フェニルチオ)亜鉛フタロ
シアニン(日本触媒製)10部、N,N'−ジフェニルチ
オ尿素10部、以下に構造を示すビスアゾ化合物10部
および製造例1で合成した樹脂溶液100部を実施例1
で示した混合溶媒340部に分散した後、実施例1と同
様の方法で塗料を作製、支持体上に塗布および乾燥した
試料に関して帯電特性と光感度を測定した。その結果を
表5にまとめた。
【0062】
【化10】
【0063】実施例14 オクタフルオロ−オクタキス(フェニルチオ)亜鉛フタロ
シアニン(日本触媒製)10部N,N'−ジフェニルチオ尿
素10部、以下に構造を示すビスアゾ化合物10部およ
び製造例1で合成した樹脂溶液100部を実施例1で示
した混合溶媒340部に分散した後、実施例1と同様の
方法で塗料を作製、支持体上に塗布および乾燥した試料
に関して帯電特性と光感度を測定した。その結果を同じ
く表5にまとめた。
【0064】
【化11】
【0065】実施例15 オクタフルオロ−オクタキス(フェニルチオ)亜鉛フタロ
シアニン(日本触媒製)10部N,N'−ジフェニルチオ尿
素10部、以下に構造を示すシアニン化合物10部およ
び製造例1で合成した樹脂溶液100部を実施例1で示
した混合溶媒340部に分散した後、実施例1と同様の
方法で塗料を作製、支持体上に塗布および乾燥した試料
に関して帯電特性と光感度を測定した。その結果を同じ
く表5にまとめた。
【0066】
【化12】
【0067】実施例16 オクタフルオロ−オクタキス(フェニルチオ)亜鉛フタロ
シアニン(日本触媒製)10部N,N'−ジフェニルチオ尿
素10部、以下に構造を示すシアニン化合物10部およ
び製造例1で合成した樹脂溶液100部を実施例1で示
した混合溶媒340部に分散した後、実施例1と同様の
方法で塗料を作製、支持体上に塗布および乾燥した試料
に関して帯電特性と光感度を測定した。その結果を同じ
く表5にまとめた。
【0068】
【化13】
【0069】実施例17 オクタフルオロ−オクタキス(フェニルチオ)亜鉛フタロ
シアニン(日本触媒製)10部N,N'−ジフェニルチオ尿
素10部、以下に構造を示すキナクリドン化合物10部
および製造例1で合成した樹脂溶液100部を実施例1
で示した混合溶媒340部に分散した後、実施例1と同
様の方法で塗料を作製、支持体上に塗布および乾燥した
試料に関して帯電特性と光感度を測定した。その結果を
同じく表5にまとめた。
【0070】
【化14】
【0071】実施例18 オクタフルオロ−オクタキス(フェニルチオ)亜鉛フタロ
シアニン(日本触媒製)10部N,N'−ジフェニルチオ尿
素10部、ピランスロンオレンジ5部以下に構造を示す
ビスアゾ化合物5部および製造例1で合成した樹脂溶液
100部を実施例1で示した混合溶媒340部に分散し
た後、実施例1と同様の方法で塗料を作製、支持体上に
塗布および乾燥した試料に関して帯電特性と光感度を測
定した。その結果を表1にまとめた。
【0072】
【化15】
【0073】実施例19 実施例1で作製した印刷原版に波長780mmの半導体レ
ーザーを光源とした走査露光型製版機「1440EZプ
レートセッター」(米国プリントウェア社製)と液体現像
剤(プリントウェア社製1440EZ用正電荷トナー)を
用いて、帯電、露光、液体現像、定着の操作によりトナ
ー画像を形成させた。その後、米国プリントウェア社製
アルカリ現像液(1440EZ用ディベロッパー)を用い
て、トナーの付着していない非画像部分の感光層を溶解
除去した後、さらにガム液による保護処理を行うことに
よりトナー画像を画線部として残した平版印刷版を作製
した。
【0074】得られた各印刷版を(株)濱田印刷機械製作
所小型オフセット印刷機ハマダスター7000CDXに
取り付け、市販のインクを用いて上質紙に印刷した。そ
の結果、何れの印刷版も非画線部を汚す事なくきれいに
10万部印刷できた。
【0075】実施例20 実施例3で作製した印刷原版に波長633mmのHe−N
eレーザーを光源としたレーザー製版装置と液体現像剤
を用いて、帯電、露光、液体現像、定着の操作によりト
ナー画像を形成させた。その後、アルカリ現像液を用い
て、トナーの付着していない非画像部分の感光層を溶解
除去することにより、トナー画像を画線部として残した
平版印刷版を作製した。
【0076】得られた各印刷版を(株)濱田印刷機械製作
所小型オフセット印刷機ハマダスター7000CDXに
取り付け、市販のインクを用いて上質紙に印刷した。そ
の結果、何れの印刷版も非画線部を汚す事なくきれいに
10万部印刷できた。
【0077】比較例1 オクタフルオロ−オクタキス(フェニルチオ)亜鉛フタロ
シアニン(日本触媒製)8部、N,N'−p−ジトリル−2
−チオ尿素10部および製造例1で合成した樹脂溶液1
00部を実施例1で示した混合溶媒330部に分散した
後、支持体上に塗布および乾燥した試料に関して帯電特
性と光感度を測定した。その結果を表2にまとめた。
【0078】比較例2 オクタフルオロ−オクタキス(フェニルチオ)亜鉛フタロ
シアニン(日本触媒製)8部、フランバンスロン2クロロ
付加体10部および製造例1で合成した樹脂溶液100
部を実施例1で示した混合溶媒330部に分散した後、
支持体上に塗布および乾燥した試料に関して帯電特性と
光感度を測定した。その結果を表2にまとめた。
【0079】比較例3 オクタフルオロ−オクタキス(フェニルチオ)亜鉛フタロ
シアニン(日本触媒製)8部を製造例1で合成した樹脂溶
液100部を実施例1で示した混合溶媒233部に分散
した後、支持体上に塗布および乾燥した試料に関して帯
電特性と光感度を測定した。その結果を表2にまとめ
た。
【0080】比較例4 ファストゲンブル−8120B(X型メタルフリーフタ
ロシアニン、大日本インキ製)8部、N−ベンゾイル−
N'−フェニルチオ尿素10部および製造例1で合成し
た樹脂溶液120部を実施例1で示した混合溶媒310
部に分散した後、支持体上に塗布および乾燥した試料に
関して帯電特性と光感度を測定した。その結果を表2に
まとめた。
【0081】比較例5 ファストゲンブル−8120B(X型メタルフリーフタ
ロシアニン、大日本インキ製)8部、イソビオランスロ
ン10部および製造例1で合成した樹脂溶液120部を
実施例1で示した混合溶媒310部に分散した後、支持
体上に塗布および乾燥した試料に関して帯電特性と光感
度を測定した。その結果を表2にまとめた。
【0082】比較例6 ファストゲンブル−8120B(X型メタルフリーフタ
ロシアニン、大日本インキ製)8部を製造例1で合成し
た樹脂溶液を実施例1で示した混合溶液233部に分散
した後、支持体上に塗布および乾燥した試料に関して帯
電特性と光感度を測定した。その結果を表2にまとめ
た。
【0083】比較例7 実施例2のN,N'−ジフェニルチオ尿素に替えて正孔輸
送物質としてN−エチルカルバゾールを同量用いた以外
は、実施例2と同様の方法で試料を得て、その帯電特性
と光感度を測定した。その結果を表3にまとめた。
【0084】比較例8 実施例2のピランスロンオレンジに替えて、電子受容性
物質としてペリノンオレンジを同量用いた以外は実施例
2と同様の方法で試料をえて、その帯電特性を測定し
た。その結果を表3にまとめた。
【0085】比較例9 実施例6のN,N'−o−ジトリルチオ尿素に替えて、正
孔輸送物質を2,5−ビス(4−ジメチルアミノフェニ
ル)−1,3,4−オキサジアゾールを同量用いた以外は
実施例6と同様の方法で試料を得て、その帯電特性を測
定した。その結果を表3にまとめた。
【0086】比較例10 実施例6のフラバンスロン2クロロ付加体に替えて、電
子受容性物質としてペリノンオレンジを同量用いた以外
は実施例6と同様の方法で試料を得て、その帯電特性を
測定した。その結果を表3にまとめた。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】表2からも明らかなように、本発明のフタ
ロシアニン・チオ尿素・縮合多環キノン化合物からなる
感光体はフタロシアニン・チオ尿素感光体に比較して、
暗減率に基づく電荷保持率、残留電位において良好な特
性を示した。また、フタロシアニン・縮合多環キノン感
光体に比較して、光感度、残留電位において良好な特性
を示した。さらに、フタロシアニンのみの感光体に比較
して、電荷保持率、光感度および残留電位の全てにおい
てかなり良好な特性を示した。
【0090】
【表3】
【0091】表3からも明らかなように、本発明のフタ
ロシアニン・チオ尿素・縮合多環キノン化合物からなる
感光体はフタロシアニン・ペリノン・チオ尿素感光体に
比較して、暗減率に基づく電荷保持率が良好であった。
また、フタロシアニン・カルバゾール・チオ尿素に比較
して光感度、残留電位において良好な特性を示した。
【0092】
【表4】
【0093】表4からも明らかな様に、本発明の感光体
は白色光で露光した場合においても高い光感度を示し
た。
【0094】
【表5】
【0095】表5からも明らかな様に、フタロシアニン
化合物と併用する光導電性物質として、ビスアゾ化合
物、シアニン化合物およびキナクリドン化合物を用いた
場合においても、縮合多環キノン化合物を用いた場合よ
りも暗減衰に基づく電位保持率および光感度が若干劣る
ものの、実用的には十分なレベルに到達することを示し
た。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)フタロシアニン化合物、(b)チオ尿素
    化合物、および(c)縮合多環キノン化合物、ビスアゾ化
    合物、シアニン化合物、キナクリドン化合物およびそれ
    らの混合物から成る群より選択される化合物を結着剤樹
    脂中に分散した負帯電型印刷用感光性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 フタロシアニン化合物(a)が金属フタロ
    シアニン化合物である請求項1記載の感光性樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】 金属フタロシアニン化合物が式(I) 【化1】 (式中、Rはアリール基を示す。)で表わされるフッ素化
    亜鉛フタロシアニンである請求項2記載の感光性樹脂組
    成物。
  4. 【請求項4】 フタロシアニン化合物(a)が無金属フタ
    ロシアニン化合物である請求項1記載の感光性樹脂組成
    物。
  5. 【請求項5】 チオ尿素化合物(b)が式(II):または式
    (III) 【化2】 (式中、R1、R2、R3およびR4は同一または異なっ
    て、炭素数1〜6までのアルキル基、炭素数6〜12ま
    でのアリール基を表わし、R5およびR6同一または異な
    っていても良く、水素、炭素数1〜5のアルキル基また
    はフェニル基を示し、Aはフェニレン基または炭素数1
    〜18のポリメチレン基またはアルキレン基を示す。)
    で表わされる化合物である請求項1記載の感光性樹脂組
    成物。
  6. 【請求項6】化合物(c)が縮合多環キノン化合物である
    請求項1記載の感光性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 縮合多環キノン化合物(c)が下記式(I
    V)、(V)、(VI);または(VIII) 【化3】 【化4】 (式中、Xは同一または異なっていても良いハロゲン原
    子であって、nは0〜4までの整数を表わす。)で表さ
    れる化合物である請求項1記載の感光性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 導電性支持体上に光導電層を形成した印
    刷用感光性樹脂板において、該光導電層が請求項1〜6
    のいずれかに記載した感光性樹脂組成物である印刷用感
    光性樹脂板。
  9. 【請求項9】 請求項1記載の印刷用感光性樹脂板に対
    して、負帯電を行った後、電子写真方式によりトナー画
    像を得る製版プロセス。
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