JPH07127491A - 車輪スリップ制御装置 - Google Patents

車輪スリップ制御装置

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JPH07127491A
JPH07127491A JP5275792A JP27579293A JPH07127491A JP H07127491 A JPH07127491 A JP H07127491A JP 5275792 A JP5275792 A JP 5275792A JP 27579293 A JP27579293 A JP 27579293A JP H07127491 A JPH07127491 A JP H07127491A
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JP
Japan
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slip
wheel
control
drive
occurrence
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Application number
JP5275792A
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English (en)
Inventor
Shinsuke Yamamoto
真輔 山本
Kenji Sasahara
健治 笹原
Junichi Sakamoto
淳一 坂本
Seiichi Nakajima
誠一 中島
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は駆動車輪のスリップ発生を推定して
駆動車輪のスリップ発生を抑制し、走行安定性を高める
ように構成された車輪スリップ制御装置を提供すること
を目的とする。 【構成】 車輪スリップ制御装置は、車両の走行状態を
検出する走行状態検出手段A1と、走行状態検出手段A
1により検出されたデータに基づいて駆動車輪A2のス
リップ発生の有無を推定するスリップ発生推定手段A3
と、スリップ発生推定手段A3により駆動車輪A2のス
リップ発生が推定されたとき、駆動車輪A2に伝達され
る駆動力を減少するように制御する駆動力制御手段A4
と、よりなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は車輪スリップ制御装置に
係り、特に駆動車輪のスリップ発生を推定して駆動車輪
に伝達される駆動力を抑制するよう構成された車輪スリ
ップ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より車両加速時に生ずる駆動車輪の
スリップを防止するため、スリップ発生時には駆動車輪
の回転を抑制する車輪スリップ制御装置が開発されてい
る。この種の車輪スリップ制御装置としては、例えば特
開平4−123938号公報に見られるような構成の装
置がある。この公報の装置では、車両の走行速度が所定
値以下でアクセル開度が所定値以上のとき、エンジンの
トルク制御開始しきい値を小さい値に変更することによ
りトラクション制御開始時期を早めて車輪の大スリップ
を防止するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、上記公報の
構成では、加速時に駆動車輪がスリップし、スリップ率
が予め設定されたしきい値以上になると、トラクション
制御を開始して車輪の大スリップを防止するため、車両
の走行状態が一時的に不安定な状態となってから駆動車
輪のスリップが減少する。ところが、アクセル開度が大
きいと、エンジン回転数も高くなっており、エンジンの
出力トルクが急増して過大なスリップが発生しやすい。
よって、トラクション制御を開始する前に過大なスリッ
プが発生する場合があり、トラクション制御を開始して
から車両が安定状態に戻るまでの時間が長くなる。
【0004】又、トルク制御開始しきい値は、路面の凹
凸による車輪速度の乱れ(一時的な見かけ上のスリッ
プ)のみならず、駆動系の振動やタイヤ径の補正誤差も
考慮して設定する必要がある。そのため、トルク制御開
始しきい値をあまりにも低い値に設定してしまうと、例
えば駆動車輪が路面の凹凸を通過するたびに駆動力制御
が行われてしまうため、トルク制御開始しきい値を低い
値に設定するのには限界がある。
【0005】ところが、タイヤの横力は、スリップ率=
0%のとき最大となる。この横力は、スリップ率の増加
とともに減少するため、最大横力発生付近では微少なス
リップ発生時でも前後輪の横力のバランスが崩れ車両が
不安定となる。
【0006】従って、上記従来の装置では、トラクショ
ン制御開始時期を早めて車輪の大スリップを防止してい
るが、路面状態やタイヤ横力及びアクセル開度等の条件
に寄りトラクション制御が開始されるまでに車両が不安
定となり、運転者に不快感を与えやすいといった課題が
ある。
【0007】そこで、本発明は上記問題点に鑑み、車両
の走行状態より車輪のスリップ発生の有無を推定してス
リップ発生を防止するように構成された車輪スリップ制
御装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】図1は本発明になる車輪
スリップ制御装置の原理図である。
【0009】同図中、本発明は、車両の走行状態を検出
する走行状態検出手段A1と、該走行状態検出手段A1
により検出されたデータに基づいて駆動車輪A2のスリ
ップ発生の有無を推定するスリップ発生推定手段A3
と、該スリップ発生推定手段A3により前記駆動車輪A
2のスリップ発生が推定されたとき、前記駆動車輪A2
に伝達される駆動力を減少するように制御する駆動力制
御手段A4と、よりなることを特徴とする。
【0010】
【作用】本発明は、スリップ発生推定手段A3が車両の
走行状態より車輪のスリップ発生の有無を推定し、駆動
車輪A2のスリップ発生が推定されたとき、駆動力制御
手段A4が駆動車輪A2に伝達される駆動力を減少する
ように制御することにより、駆動車輪A2がスリップし
始める前に駆動車輪A2に伝達される駆動力を減少させ
て車両の走行状態を安定に保つことが可能になる。
【0011】
【実施例】図2乃至図4に本発明になる制動制御装置の
第1実施例を示す。
【0012】各図中、本発明を加速スリップ制御装置及
びアンチスキッド制御装置を備えた車両に適用した例を
次に示す。尚、図2及び図3は本実施例のフロントエン
ジン・リアドライブ(FR)方式の自動車のエンジンブ
レーキ系統及び制御系統の概略図である。
【0013】各図中、車両には、4輪操舵装置1,加速
スリップ制御装置2及びアンチスキッド制御装置3と、
が備えられ、加速スリップ制御回路4と、エンジン用制
御回路5と、エンジン用制御回路5からの指令により駆
動トルクを調整する駆動トルク調整部6と、4輪操舵用
制御回路7とが備えられている。
【0014】4輪操舵装置1の詳細な構成は、図3に示
すように、大略、左右前輪FW1,FW2を操舵する前
輪操舵機構Aと、左右後輪RW1,RW2を操舵する後
輪操舵機構Bと、前輪操舵機構Aに連動して後輪操舵機
構Bを電気的に制御する4輪操舵用制御回路7とよりな
る。
【0015】前輪操舵機構Aは操舵ハンドル11を有し
ており、この操舵ハンドル11は操舵軸12を介してピ
ニオンギヤ13に接続されている。このピニオンギヤ1
3はラックバー14と噛合し、操舵ハンドル11の回転
運動をラックバー14の往復運動に変換して伝達するも
のである。ラックバー14の両端には左右タイロッド1
5a,15b及び左右ナックルアーム16a,16bを
介して左右前輪FW1,FW2が操舵可能に連結されて
いる。
【0016】又、ラックバー14は操舵ハンドル11の
回動による軸方向の変位に応じて左右前輪FW1,FW
2を操舵する。操舵軸12の中間には四方弁からなる制
御バルブ17が組み付けられている。制御バルブ17
は、操舵軸12に作用する操舵トルクに応じて、エンジ
ン18により駆動される油圧ポンプ21からの作動油を
パワーシリンダ22の一方の油室へ供給するとともに、
パワーシリンダ22の他方の油室内の作動油をリザーバ
23へ排出するように機能する。
【0017】パワーシリンダ22は、作動油の吸排に応
じてラックバー14を軸方向に駆動することにより、左
右前輪FW1,FW2の操舵を助勢する。
【0018】後輪操舵機構Bは、ラックバー14と同様
に軸方向に変位して左右後輪RW1,RW2を操舵する
リレーロッド31を有する。リレーロッド31の両端に
は、前記前輪操舵機構Aの場合と同様に、左右タイロッ
ド32a,32b及び左右ナックルアーム33a,33
bを介して左右後輪RW1,RW2が操舵可能に連結さ
れている。
【0019】リレーロッド31は車体に支持されたハウ
ジング34により軸方向に変位可能に支持され、ハウジ
ング34内にはパワーシリンダ35が形成されている。
パワーシリンダ35は作動油の吸排に応じてリレーロッ
ド31を軸方向へ駆動するものであり、リレーロッド3
1に固定されたピストン35aにより左右油室35b,
35cに区画されている。これらの左右油室35b,3
5c内にはスプリング36a,36bがプレロードを付
与された状態でリレーロッド31を貫通させるようにし
て組み込まれており、スプリング36a,36bはそれ
らの弾発力によりリレーロッド31を中立位置に附勢し
ている。
【0020】又、ハウジング34内には、パワーシリン
ダ35とともに油圧倣い機構を構成するスプールバルブ
37が組み込まれている。このスプールバルブ37はハ
ウジング34内に軸方向に液密的且つ摺動可能に収容さ
れたバルブスリーブ37aと、ハウジング34に固定さ
れたバルブスリーブ37bと、からなり、バルブスリー
ブ37aの左方向への変位に応じて、エンジン18によ
り駆動される油圧ポンプ38からの作動油をパワーシリ
ンダ35の左油室35bへ供給するとともに、パワーシ
リンダ35の右油室35c内の作動油をリザーバ23へ
排出する。又、バルブスリーブ37aが右方向へ変位す
ると、スプールバルブ37は油圧ポンプ38からの作動
油をパワーシリンダ35の右油室35cへ供給するとと
もに、パワーシリンダ35の左油室35b内の作動油を
リザーバ23へ排出する。
【0021】バルブスリーブ37aの右端部には、貫通
孔37a1 が設けられており、貫通孔37a1 にはレバ
ー41が貫通されている。レバー41の中間部分には球
型の節状隆起部41aが設けられ、レバー41は節状隆
起部41aの外周面にて貫通孔37a1 の内周面に傾動
且つ摺動可能に係合している。又、レバー41の下端部
はピストン35aの外周上に設けた環状溝35a1 内に
回動可能且つ上下方向に摺動可能に嵌合され、レバー4
1の上端部はピン42に回動可能に接続されている。
【0022】ピン42の両端部は、ハウジング34に設
けた支持孔34a,34b内に進退可能且つ回転不能に
侵入している。又、ピン42の外周上にはラック歯42
aが形成され、ラック歯42aにはステップモータ43
の回転軸に固定されたウォーム44が噛合している。こ
の場合、ステップモータ43が右回転又は左回転すると
ピン42は右方向又は左方向に変位するようになってい
る。
【0023】又、エンジン18の出力トルクは、図2に
示すようにトランスミッション19により減速され、プ
ロペラシャフト20a及び差動装置20b,ドライブシ
ャフト20c,20dを介して左右後輪RW1,2に伝
達される。
【0024】4輪操舵用制御回路7には、前後方向及び
横方向の加速度を検出する加速度センサ45と、車体の
垂直軸回りの回転角速度を検出するヨーレートセンサ4
6と、左右後輪RW1,2の回転速度を検出する駆動車
輪速度センサ47と、左右前輪FW1,2の回転速度を
検出する従動車輪速度センサ48と、操舵ハンドル11
の操舵角を検出するハンドル操舵角センサ50と、左右
前輪FW1,2の舵角を検出する前輪操舵角センサ51
と、左右後輪RW1,2の舵角を検出する後輪操舵角セ
ンサ52と、が接続されている。
【0025】4輪操舵用制御回路7はバス7aに夫々接
続されたROM7b,CPU7c,RAM7d及びI/
O(入出力インターフェース)7eからなる。ROM7
bは後輪操舵角を演算するための各係数を記憶してい
る。CPU7cは、イグニッションスイッチ(図示せ
ず)の閉成から開成まで、そのときの走行状態に応じた
後輪操舵角を演算するためのプログラムを繰り返し実行
するように動作制御するもので、RAM7dは後輪操舵
角を演算するためのプログラムの実行に必要な各データ
を記憶するものである。
【0026】次に、前述した加速スリップ制御装置2及
びアンチスキッド制御装置3について説明する。
【0027】図4に示すように、加速スリップ制御装置
2を有する車両には、ブレーキマスタシリンダ62と、
従動車輪である左右前輪FW1,2のホイールシリンダ
65,66及び駆動車輪である左右後輪RW1,2のホ
イールシリンダ69,70との間に油圧源71,アンチ
スキッド制御用油圧回路72及び加速スリップ制御用油
圧回路73が備えられている。
【0028】上記ブレーキマスタシリンダ62の第一油
圧室62aから左右前輪FW1,2のホイールシリンダ
65,66に至るブレーキ油圧回路には、左,右前輪ア
ンチスキッド制御用容量制御弁74,75が配設されて
いる。又、上記ブレーキマスタシリンダ62の第二油圧
室62bから左右後輪RW1,2のホイールシリンダ6
9,70に至るブレーキ油圧回路には、プロポーショニ
ングバルブ76、後輪アンチスキッド制御用容量制御弁
77,並列に配設された第一ソレノイドバルブ78と逆
止弁79,及び加速スリップ制御用容量制御弁80が設
けられている。
【0029】アンチスキッド制御時には、第一ソレノイ
ドバルブ78は励磁されないで図示の位置にあるため、
後輪アンチスキッド制御用容量制御弁77と加速スリッ
プ制御用容量制御弁80とは連通状態に保たれる。又、
加速スリップ制御用容量制御弁80の制御入力ポート8
0aと直列に配設された第二ソレノイドバルブ81、第
三ソレノイドバルブ82が励磁されないで共に図示の位
置にあるため、上記加速スリップ制御用容量制御弁80
は油圧源71のリザーバ83と連通状態に保たれる。
【0030】従って、加速スリップ制御用容量制御弁8
0のピストン80cは、スプリング80dの付勢により
図示の位置に保たれる。このとき、上記後輪アンチスキ
ッド制御用容量制御弁77は、その第一制御入力ポート
77aに連通する後輪第一切換弁84に直列接続された
後輪第二切換弁85との励磁・非励磁の組み合わせによ
り以下の三状態に変化する。
【0031】(1)油圧源71のポンプ駆動モータ86
により駆動されるポンプ87及びその油圧を蓄積するア
キュムレータ88からの油圧をブレーキ操作量に応じた
油圧に変換するレギュレータ89の出力ポート89a
と、上記第一制御入力ポート77aとの連通状態、
(2)第一制御入力ポート77a、レギュレータ89、
リザーバ83の各々との遮断状態、(3)第一制御入力
ポート77aとリザーバ83との連通状態。
【0032】又、第二制御入力ポート77bは、レギュ
レータ89の出力ポート89aと常時連通する。従っ
て、上記三状態に対応して後輪アンチスキッド制御用容
量制御弁77は、次のように作動する。
【0033】即ち、第一制御入力ポート77aを有する
第一油圧室77c内の圧力が増圧(1)、圧力保持
(2)又は減圧(3)され、この第一油圧室77c内の
圧力に応じてブレーキ油圧室77dの容積が変化する。
これにより、後輪アンチスキッド制御用容量制御弁77
は、第一ソレノイドバルブ78又は逆止弁79を介して
左右後輪ホイールシリンダ69,70内の圧力を増圧
(1)、圧力保持(2)又は減圧(3)する。
【0034】尚、左前輪第一,第二切換弁90,91、
右前輪第一,第二切換弁92,93の励磁、非励磁によ
り、左,右前輪アンチスキッド制御用容量制御弁74,
75も左右前輪ホイールシリンダ65,66に対して同
様に作用する。上記のような各切換弁84,85,9
0,91,92,93の励磁・非励磁は、図示しないア
ンチスキッド制御回路により行われる。
【0035】又、加速スリップ制御時には、上記第一ソ
レノイドバルブ78が励磁されて遮断状態に切り換わ
る。そのため、第一ソレノイドバルブ78と逆止弁79
とにより、後輪アンチスキッド制御用容量制御弁87と
加速スリップ制御用容量制御弁80との連通が遮断され
る。このとき、上記加速スリップ制御用容量制御弁80
は、その制御入力ポート80aに連通する第二,第三ソ
レノイドバルブ81,82の励磁・非励磁の組み合わせ
により以下の四状態に変化する。
【0036】(11)アキュムレータ88と制御入力ポ
ート80aとの連通状態、(12)アキュムレータ88
と制御入力ポート80aとの絞り弁を介した連通状態、
(13)リザーバ83と制御入力ポート80aとの絞り
弁を介した連通状態、(14)リザーバ83と制御入力
ポート80aとの連通状態、従って、上記四状態に対応
して加速スリップ制御用容量制御弁80は次のように作
動する。
【0037】即ち、制御入力ポート80aを有する制御
油圧室80b内の圧力が増圧(11),徐々に増圧(1
2),徐々に減圧(13),又は徐々に減圧(14)さ
れることにより制御油圧室80b内の容積が変化し、ピ
ストン80cがスプリング80dの付勢力に抗して図4
中左右方向に移動する。
【0038】これにより、ブレーキ油圧室80eの出力
ポート80fから油圧が左・右後輪ホイールシリンダ6
9,70に供給される。従って、左・右後輪RW1,2
のホイールシリンダ69,70内の圧力を増圧(1
1),徐々に増圧(12),徐々に減圧(13),又は
減圧(14)する。
【0039】図2及び図5に示すように、加速スリップ
制御回路4には、ブレーキペダル94aの操作に応じて
オン・オフ信号を出力するペダルスイッチ94、及び前
述した加速度センサ45、ヨーレートセンサ46、駆動
車輪速度センサ47、従動車輪速度センサ48、減速比
検出センサ49、ハンドル操舵角センサ50、前輪操舵
角センサ51、後輪操舵角センサ52、が接続されてい
る。
【0040】さらに、加速スリップ制御回路4には、エ
ンジン18のエンジン回転を検出するエンジン回転速度
検出センサ98と、エンジン18への吸気量を検出する
吸気量検出センサ99と、エンジン18へ供給される燃
料噴射量を検出する燃料噴射量検出センサ100と、ス
ロットルバルブ開度を検出するスロットルバルブ開度検
出センサ101と、エンジン18へ供給される過給圧を
検出する過吸圧検出センサ102(ターボエンジンの場
合に装備される)と、が接続されている。 又、加速ス
リップ制御回路4は、上記各センサから出力された検出
信号に基づいて上記第一乃至第三ソレノイドバルブ7
8,81,82及びポンプ駆動モータ86を駆動制御す
る。
【0041】又、加速スリップ制御装置2は、上記セン
サ45〜49から出力された検出信号に基づいて車速と
車輪回転速度との差によりスリップ発生を検知し、ブレ
ーキによる加速スリップ制御に先立ってエンジンの吸入
空気量を調節することによって加速度スリップ制御を行
っている。
【0042】即ち、加速スリップ制御装置2は、RW
1,2に駆動力を与えるエンジンの吸気管112に設け
られているサブスロットルバルブ114を、その駆動用
モータ116に制御信号を出力して閉じることにより、
アクセルペダル118に連動する主スロットルバルブ1
19が急速に開くことによる過大なスリップを防止して
いる。又、上記説明では、吸気管112に設けられてい
るサブスロットルバルブ114とアクセルペダル118
に連動する主スロットルバルブ119との2個のスロッ
トルバルブを備えて夫々が別々の動き方をする構成とな
っているが、アクセルペダル118の開度とトラクショ
ン制御の目標開度とを比較して最適な開度となるように
1個のスロットルバルブをスロットルバルブ駆動モータ
で駆動する構成としても良い。
【0043】ここで、加速スリップ制御回路4の構成を
図5を参照して説明する。
【0044】加速スリップ制御回路4は、CPU120
a,ROM120b,RAM120c,バックアップR
AM120d等を中心に論理演算回路として構成され、
コモンバス120eを介して入力ポート120f及び出
力ポート120gに接続されて外部との入出力を行う。
【0045】前述した駆動車輪速度センサ47,従動車
輪速度センサ48の検出信号は波形整形回路120hを
介して、それ以外の各センサからの検出信号は直接入力
ポート120fからCPU120aに入力される。
【0046】又、加速スリップ制御回路4には、前述し
た第一乃至第三ソレノイドバルブ78,81,82、ポ
ンプ駆動モータ86及びサブスロットルバルブ駆動用モ
ータ116の駆動回路120i〜120nが備えられ、
CPU120aは出力ポート120gを介して上記駆動
回路120i〜120nに制御信号を出力する。
【0047】ここで、加速スリップ制御回路4のCPU
120aが実行する処理につき図6を併せ参照して説明
する。
【0048】CPU120aは図6に示すS1〜S21
の処理を所定時間毎に繰り返し実行する。図6中、ステ
ップS1(以下「ステップ」を省略する)では、駆動車
輪となる左右後輪RW1,2の回転速度を検出する駆動
車輪速度センサ47からの信号を読み取り駆動車輪速度
R を算出するとともに、従動車輪となるFW1,2の
回転速度を検出する従動車輪速度センサ48からの信号
を読み取り従動車輪速度VF を算出する。
【0049】次のS2では、トラクション制御開始基準
速度VS を算出し、S3で前述した各センサ45〜5
2,98〜102からの検出値に基づいて現在の走行状
態判別値A(n)を求める。
【0050】そして、S4では、駆動車輪速度VR とト
ラクション制御開始基準速度VS とを比較して加速スリ
ップ発生の有無を判別する。このS4において、VR
SのときはS5に進み、VR <VS のときはS9に進
む。もし、S4において、V R >VS のときは駆動車輪
速度VR がトラクション制御開始基準速度VS よりも充
分に大きいので、スリップが駆動車輪となる左・右後輪
RW1,2で発生したものと判断してS5に進む。
【0051】S5では、スリップが駆動車輪で発生した
ため、走行状態判別記憶値A’と現在の走行状態判別値
A(n)を比較し、前回のトラクション制御より現在の
走行状態判別値A(n)が低い状態でスリップ発生して
いるか否か(走行状態変化があるか)を判断する。も
し、S5において、A(n)≦A’ときはS6に進み、
A(n)>A’ときはS7に進む。
【0052】S6では、走行状態判別記憶値A’を現在
の値A(n)に更新する。
【0053】又、S7では、スリップが駆動車輪で発生
しているため、車両不安定状態であると判定する。そし
て、S8に進み、トラクション制御を開始して駆動車輪
のスリップを防止する。即ち、サブスロットルバルブ駆
動モータ116に制御信号を出力してエンジンの吸気管
112に設けられたサブスロットルバルブ114を閉じ
る。これにより、アクセルペダル118に連動する主ス
ロットルバルブ119が急速に開いても、駆動車輪とな
る左右後輪RW1,2の過大なスリップ発生を防止する
ことができる。
【0054】図7は車両走行状態(滑り易さ)と駆動ト
ルクとの関係の一例を示している。同図中、上記S7の
ように滑り易い状態の場合には、S8において滑り易い
状態での駆動トルクTaになるようにトラクション制御
が行われる。よって、駆動トルクが過大とならないよう
に制限されて左右後輪RW1,2のスリップ発生が防止
される。
【0055】又、本実施例の車両は、前述したアンチス
キッド制御用油圧回路72及び加速スリップ制御用油圧
回路73を備えた加速スリップ制御装置2を有するた
め、加速スリップ制御時には、図4に示す第一ソレノイ
ドバルブ78が励磁されて遮断状態に切り換わる。その
ため、第一ソレノイドバルブ78と逆止弁79とによ
り、後輪アンチスキッド制御用容量制御弁77と加速ス
リップ制御用容量制御弁80との連通が遮断される。こ
のとき、上記加速スリップ制御用容量制御弁80は、前
述した(11)〜(14)の四状態に変化して制御入力
ポート80aを有する制御油圧室80b内の圧力が増圧
(11),徐々に増圧(12),徐々に減圧(13),
又は減圧(14)されることにより制御油圧室80b内
の容積が変化し、ピストン80cが図4中左右方向に移
動する。
【0056】これにより、ブレーキ油圧室80eの出力
ポート80fから油圧が左・右後輪ホイールシリンダ6
9,70に供給される。従って、左・右後輪ホイールシ
リンダ69,70内の圧力を増圧(11),徐々に増圧
(12),徐々に減圧(13),又は徐々に減圧(1
4)して左右後輪RW1,2のスリップ発生を防止す
る。
【0057】上記S4において、VR <VS のときはS
9に進み、前述した各センサの走行状態判別値A(n)
が走行時に考えられる限界値Amaxを越えたかどうか
を判定する。もしS9において、A(n)>Amaxの
ときはS10に進み、A(n)≦AmaxのときはS1
4に進む。
【0058】S10では、各センサの走行状態判別値A
(n)が限界値Amaxを越えているため、この走行状
態判別値A(n)を記憶する。これにより、限界値Am
axが更新されて過去のデータが学習される。続いて、
走行状態判別値A(n)が限界値Amaxを越えている
ため、更なる駆動トルクの増加は、スリップ発生につな
がるため、駆動トルクの増加量ΔTがΔT1 だけ微少増
加となるように駆動トルクの増加を制限する(S1
1)。
【0059】次のS12では、A(n)>Amaxのた
め、車両不安定状態付近であると推定する(スリップ発
生推定手段)。そして、S13に進み、トラクション制
御を実行して駆動トルクを制限する(駆動力制御手
段)。即ち、前述したS8と同様、サブスロットルバル
ブ駆動モータ116に制御信号を出力してエンジンの吸
気管112に設けられたサブスロットルバルブ114を
閉じるとともに、図4に示す第一ソレノイドバルブ78
が励磁されて遮断状態に切り換わることにより、後輪ア
ンチスキッド制御用容量制御弁77と加速スリップ制御
用容量制御弁80との連通が遮断されて左右後輪RW
1,2の過大なスリップ発生を防止する。
【0060】従って、図7に示すように、上記S12の
ように車両不安定状態付近であると判定した場合には、
S13において滑り易い状態での駆動トルクTaになる
ようにトラクション制御が行われる。よって、駆動トル
クが過大とならないように制限されて左右後輪RW1,
2のスリップ発生が抑制されるとともに操作性が向上す
る。
【0061】又、上記S9において、A(n)≦Ama
xのときはS14に進み、走行状態判別値A(n)が前
回の車両不安定状態(付近)の記憶値A’−Kを越えた
か否かを判断する。尚、−K(安全マージン)を設定す
ることによりスリップ開始前から駆動力制限を開始して
安全性の向上を図る。
【0062】よって、S14においては、A(n)>
A’−KのときはS15に進み、A(n)≦A’−Kの
ときはS17に進む。S15では、まだスリップが発生
しておらず、車両走行状態が走行限界以下であると判断
する。よって、現在の走行状態判別値A(n)をそのま
ま走行状態判別記憶値A’に更新する。
【0063】そして、S16では、過大な駆動トルクの
増加でスリップ発生の可能性があるため、駆動トルクの
増加量ΔTがΔT2 だけ少量増加となるように駆動トル
クの増加を制限する。その後、前述したS12,S13
を実行する。即ち、S12では、車両不安定状態付近で
あると推定する。そして、S13でトラクション制御を
実行して駆動トルクを制限する。
【0064】又、上記S14において、A(n)≦A’
−KのときはS17に進み、走行状態判別値A(n)が
急変したか否かを判断する。即ち、S17では、前回の
不安定状態の記憶値以下でも操舵ハンドル11の急激な
操作に対して安定性を確保するため、A(n)−A(n
−1)>1.2{A(n−1)−A(n−2)}のとき
はS18に進み、A(n)−A(n−1)≦1.2{A
(n−1)−A(n−2)}のときはS20に進む。
【0065】S18では、まだスリップが発生しておら
ず、車両走行状態が走行限界以下であると判断する。よ
って、現在の走行状態判別値A(n)をそのまま走行状
態判別記憶値A’に更新する。
【0066】そして、S19では、過大な駆動トルクの
増加でスリップ発生の可能性があるため、駆動トルクの
増加量ΔTがΔT3 だけ少量増加となるように駆動トル
クの増加を制限する。その後、前述したS12,S13
を実行する。即ち、S12では、車両不安定状態付近で
あると判定する。そして、S13でトラクション制御を
実行して駆動トルクを制限する。
【0067】上記S17において、A(n)−A(n−
1)≦1.2{A(n−1)−A(n−2)}のときは
S20に進み、スリップ発生の可能性が非常に少なく車
両不安定状態付近ではないと判断する。そして、駆動ト
ルクの制限制御を実行する必要がないと判断する。
【0068】上記のように、S9では前述した各センサ
の走行状態判別値A(n)が走行時に考えられる限界値
Amaxを越えたかどうかをチェックし、A(n)>A
maxのときには車両不安定状態付近であると推定す
る。又、S14では走行状態判別値A(n)が前回の車
両不安定状態(付近)の記憶値A’−Kを越えたか否か
をチェックし、A(n)>A’−Kのときには車両不安
定状態付近であると推定する。又、S17では走行状態
判別値A(n)が急変したか否かをチェックし、急変し
たときには車両不安定状態付近であると推定する。そし
て、車両が不安定状態に入る前に車両不安定状態付近で
あると推定してS13の駆動トルクを制限するため、駆
動車輪である左右後輪RW1,2がスリップする前にト
ラクション制御を実行して駆動トルクを制限することが
でき、常に車両走行状態を安定状態に保つことができ
る。
【0069】図8は上記トラクション制御を実行する際
の操舵ハンドル11の舵角と駆動トルクとの関係の一例
を示す。同図中、操舵ハンドル11の舵角が0°,90
°,180°のときの駆動トルクの変化がわかる。即
ち、走行状態判別値A(n)が限界値Amaxを越えた
場合は駆動トルクの増加量ΔTをΔT1 に制限し、A’
<A(n)<Amaxのときは駆動トルクの増加量ΔT
をΔT2 に制限し、A(n)<A’のときは駆動トルク
の増加量ΔTをΔT3 に制限する。
【0070】従って、操舵ハンドル11の操舵角を検出
するハンドル操舵角センサ50からの検出信号に基づい
て駆動トルクを上記のように制限することにより常に車
両走行状態を安定状態に保つことができる。
【0071】次に上記のように駆動トルクを制限する方
法(駆動力制御手段)の変形例について説明する。
【0072】図9は上記トラクション制御を実行する際
にシリンダに供給される吸気量を制御して駆動トルクを
制限する場合の一例を示す。同図中、走行状態判別値A
(n)に応じた駆動トルクの増加量ΔTを得るため、ス
ロットルバルブ開度を検出するスロットルバルブ開度検
出センサ101からの検出信号に基づいてΔt時間当た
りの主スロットルバルブ119の開度をΔθ1 ,Δ
θ2 ,Δθ3 (Δθ1 <Δθ2 <Δθ3 )に調整する。
【0073】即ち、走行状態判別値A(n)が限界値A
maxを越えた場合はサブスロットルバルブ114の開
度をΔθ1 に制限して駆動トルクの増加量ΔTをΔT1
に保ち、A’<A(n)<Amaxのときはサブスロッ
トルバルブ114の開度をΔθ2 に制限して駆動トルク
の増加量ΔTをΔT2 に保ち、A(n)<A’のときは
サブスロットルバルブ114の開度をΔθ3 に制限して
駆動トルクの増加量ΔTをΔT3 に保つようにする。
【0074】又、上記シリンダへの吸気量を制御するの
と同様に吸気圧力をΔP1 ,ΔP2,ΔP3 に制御する
ようにしても良い。従って、シリンダへの吸気量又は吸
気圧力を制御することにより駆動トルクを上記のように
制限することができ、常に車両走行状態を安定状態に保
つことができる。
【0075】図10は上記トラクション制御を実行する
際のターボチャージャ付きエンジンの過給圧制御の一例
を示す。
【0076】同図中、ターボチャージャに2個のタービ
ンA,Bが装備され、タービンAの方がタービンBより
大型であり、タービンA,Bからの過給圧を選択的に供
給することにより、走行状態判別値A(n)に応じた駆
動トルクの増加量ΔTを得る。即ち、エンジン18へ供
給される過給圧を検出する過給圧検出センサ102から
の検出信号に基づいて、シリンダに供給される過給圧を
調整して駆動トルクの増加量ΔTを変更させる。
【0077】例えば、走行状態判別値A(n)が限界値
Amaxを越えない場合はタービンA,Bからの過給圧
をシリンダに供給し、走行状態判別値A(n)が限界値
Amaxを越えた場合は両方のタービンA,Bからの過
給圧供給を停止させて駆動トルクの増加量ΔTをΔT1
に保ち、A’<A(n)<AmaxのときはタービンB
からの過給圧のみを供給して駆動トルクの増加量ΔTを
ΔT2 に保ち、A(n)<A’のときはタービンAから
の過給圧のみを供給して駆動トルクの増加量ΔTをΔT
3 に保つようにする(ΔT1 <ΔT2 <ΔT3 )。
【0078】尚、タービンA,Bからシリンダに供給さ
れる過給圧を切り換える手段としては、例えばタービン
A,Bにより加圧された吸気をエンジンに供給する吸気
管路に設けられたウエストゲートバルブを開閉すること
によりシリンダへの過給圧供給を切り換える構成が考え
られる。このウエストゲートバルブは、エンジンの高回
転時に過給圧が過剰になると開弁して過給圧を外部に逃
がす働きをする弁であり、このウエストゲートバルブを
開閉させることにより過給圧を切り換えることができ
る。
【0079】従って、ターボチャージャのタービン作動
個数を変更することにより過給圧が図10(A)に示す
ように調整されて駆動トルクを上記のように制限するこ
とができ、常に車両走行状態を安定状態に保つことがで
きる。
【0080】図11及び図12に上記トラクション制御
を実行する際に燃料噴射制御を行う場合の制御パターン
の一例を示す。
【0081】図11は急なアクセルの踏み込み時などの
加速要求に応じて一時的に燃料を多く噴射して駆動トル
クの増大を図るための非同期噴射を行うか否かにより駆
動トルクの増加量を調整する場合の制御パターンを示
す。従って、駆動トルクの制限なしの場合と駆動トルク
の増加量ΔTをΔT3 に保つ場合は、非同期噴射を行
い。駆動トルクの増加量ΔTをΔT2 又はΔT1 に保つ
場合は、非同期噴射を行わない。
【0082】図12は6気筒エンジンに対する燃料カッ
ト調整を行う場合の制御パターンを示す。同図中、例え
ば駆動トルクの制限なしの場合は全シリンダに燃料を噴
射し、駆動トルクの増加量ΔTをΔT3 に保つ場合は、
1番のシリンダへの燃料噴射をカットし、駆動トルクの
増加量ΔTをΔT2 に保つ場合は、1番と4番のシリン
ダへの燃料噴射をカットし、駆動トルクの増加量ΔTを
ΔT1 に保つ場合は、1番と3番と5番のシリンダへの
燃料噴射をカットするようにする。
【0083】そして、上記図11の非同期噴射を行うか
否かの制御を行うとともに図12に示す燃料カットの制
御を行うことにより、駆動トルクを上記のように制限す
ることができ、常に車両走行状態を安定状態に保つこと
ができる。
【0084】図13に上記6気筒エンジンに対するトラ
クション制御を実行する際の点火時期制御の制御パター
ンの一例を示す。
【0085】同図中、例えば駆動トルクの制限なしの場
合は全シリンダの点火時期を通常点火とし、駆動トルク
の増加量ΔTをΔT3 に保つ場合は、1番のシリンダの
点火を禁止して他にシリンダの点火時期を通常点火とす
る。又、駆動トルクの増加量ΔTをΔT2 に保つ場合
は、1番と4番のシリンダの点火を禁止するとともに2
番のシリンダの点火時期を遅らせる。又、駆動トルクの
増加量ΔTをΔT1 に保つ場合は、1番と3番と5番の
シリンダの点火を禁止するとともに2番と4番のシリン
ダの点火時期を遅らせる。
【0086】このように、各シリンダ毎の点火時期を禁
止したり、あるいは点火時期を遅らせることにより、駆
動トルクを上記のように制限することができ、常に車両
走行状態を安定状態に保つことができる。
【0087】図14及び図15はトラクション制御を実
行する際に可変吸気システムにより吸気管長調整又は吸
気管面積調整の制御する場合の一例を示す。
【0088】図14に示す可変吸気システム121で
は、前述した吸気量検出センサ99からの検出信号に基
づいて吸気管長又は吸気管面積を変更することにより体
積効率を切り換えてシリンダ122への吸気量を調整す
るようになっており、例えば吸気管123の途中のサー
ジタンク124内を2分割している隔壁に設けられたバ
タフライ形の吸気制御弁125の開閉により、吸気系路
を切り換えて実質的な吸気管長又は吸気管面積を変更す
ることができる。
【0089】図16に示すように、エンジンの回転数と
体積効率との関係は上記吸気制御弁125を開弁又は閉
弁させることにより変化する。同図中、エンジンの回転
数が低回転域では、吸気制御弁125を開にすると体積
効率が低下し、吸気制御弁125を閉にすると体積効率
が高くなる。これに対し、エンジンの回転数が高回転域
では、低回転域の場合と逆の関係になり吸気制御弁12
5を閉にすると体積効率が低下し、吸気制御弁125を
開にすると体積効率が高くなる。
【0090】従って、上記吸気制御弁125を開閉制御
することにより、吸気管長又は吸気管面積を変更して体
積効率の制御を行うことができるので、例えばエンジン
の回転数が低回転域において、駆動トルクの制限なしあ
るいは駆動トルクの増加量ΔTをΔT3 に保つ場合は、
上記吸気制御弁125を閉弁させ、駆動トルクの増加量
ΔTをΔT2 又はΔT1 に保つ場合は、上記吸気制御弁
125を開弁させる。
【0091】又、エンジンの回転数が高回転域におい
て、駆動トルクの制限なしあるいは駆動トルクの増加量
ΔTをΔT3 又はΔT2 に保つ場合は、上記吸気制御弁
125を開弁させ、駆動トルクの増加量ΔTをΔT1
保つ場合は、上記吸気制御弁125を閉弁させる。
【0092】このように、吸気管長又は吸気管面積を変
更することにより、駆動トルクを上記のように制限する
ことができ、常に車両走行状態を安定状態に保つことが
できる。
【0093】又、前述した図7乃至図16に示す各トラ
クション制御方法うちに一つを単独で実行するようにし
ても良いし、あるいは複数のトラクション制御方法を組
み合わせて実行するようにしても良いのは勿論である。
【0094】図17及び図18に本発明の第2実施例を
示す。
【0095】両図は、エンジンからの駆動トルクが伝達
される伝達系路の設けられた無段変速機131を介して
駆動車輪である左右後輪RW1,2に伝達される構成を
示す。無段変速機131は、大略、無段変速機用制御回
路132と、無段変速機用制御回路132からの指令に
より作動する油圧制御弁133と、エンジンからの駆動
トルクが電磁クラッチ134を介して伝達される駆動側
プーリ135と、ベルト136を介して駆動側プーリ1
35からの駆動トルクを伝達される従動側プーリ137
と、よりなる。
【0096】駆動側プーリ135は、電磁クラッチ13
4に連結された回転プーリ本体135aと、回転プーリ
本体135aの軸135bに沿って摺動自在に取り付け
られた摺動体135cとを組み合わせてなる。この摺動
体135cは、油圧制御弁133の切り替え動作により
油圧が供給されると、軸方向に摺動してベルト136の
巻き掛け位置を外側(大径方向)に移動させる。
【0097】又、従動側プーリ137は、駆動車輪を駆
動する車軸に連結された回転プーリ本体137aと、回
転プーリ本体137aの軸137bに沿って摺動自在に
取り付けられた摺動体137cとを組み合わせてなる。
この摺動体137cは、油圧制御弁133の切り替え動
作により油圧が供給されると、軸方向に摺動してベルト
136の巻き掛け位置を外側(大径方向)に移動させ
る。
【0098】従って、油圧制御弁133からの油圧が駆
動側プーリ135又は従動側プーリ137に供給される
ことによりベルト136の入力側,出力側の巻き掛け位
置が移動して減速比が無段階に調整される。
【0099】ここで、上記無段変速機用制御回路132
が実行する処理につき説明する。
【0100】図18中、S8’,S13’,S21’以
外の処理は前述した図6のフローチャートと同一の処理
を行う。尚、本実施例の場合、路面の摩擦係数μが走行
状態判別値A(n)として演算される。路面の摩擦係数
μを判定する方法としては、例えば前輪と後輪との回転
速度の差により検出することができる。
【0101】従って、S20で路面の摩擦係数μが高く
車両走行状態が安定であると判定したときは、S21’
に進み、摩擦係数μの高い路面を走行しているので、駆
動車輪である左右後輪RW1,2がスリップする可能性
が少ないので、無段変速機131は加速性能を重視した
減速比を設定する。尚、サブスロットルバルブ114に
よるスロットル開度制御は行わない。そのため、エンジ
ン回転数に応じたトルク特性は、図19(A)のI線図
に示すように高トルクを発生するような特性となる。
【0102】又、S7で路面の摩擦係数μが低く車両が
不安定状態であると判定したときは、S8’に進み、路
面の摩擦係数μに応じた低トルク特性となるように無段
変速機131の減速比及びサブスロットルバルブ114
のスロットル開度を制御する。そのため、エンジン回転
数に応じたトルク特性は、図19(A)のIII 線図に示
すように低トルクを発生するように制御される。又、ス
ロットル開度は、図19(B)のIII 線図に示すように
増加率が小さい。この場合、トルク特性がエンジン回転
数に拘わらず低トルクで一定となるように制御する。従
って、駆動車輪のスリップ発生が推定されたとき、伝達
系路に設けられた無段変速機131における駆動力の変
化を抑制するため、駆動車輪のスリップ発生を抑制でき
るとともに、スリップ発生領域での運転操作性の向上を
図ることができる。
【0103】サブスロットルバルブ114の目標開度T
H2は、次式により求まる。
【0104】 TH2=min(k×TH1,全開値) …(1) 但し、kはスロットル開度によって決まる定数で、図1
9(C)に示すようにスロットル開度が大きい程駆動ト
ルクが大きくなるように決められる。
【0105】又、無段変速機131の減速比は、前述し
た油圧制御弁133からの油圧が駆動側プーリ135又
は従動側プーリ137に供給されることによりベルト1
36の入力側,出力側の巻き掛け位置が移動して調整さ
れ、スロットル開度とエンジン回転数との2次元マップ
により設定される。
【0106】ここで、上記無段変速機131の減速比の
決め方について説明する。
【0107】エンジントルクTE と駆動トルクTT との
関係は、次式で表せる。
【0108】 TT =TE ・i …(2) iは無段変速機131の減速比である。但し、伝達効率
は無視する。
【0109】又、エンジントルクTE はスロットル開度
を一定とすると、 TE =f(NE) …(3) となり、エンジン回転数NEの関数として表せる。次
に、上記(3)式を(2)式に代入すると、 TT =f(NE)×i …(4) となる。そして、駆動トルクTT を一定に制御する場
合、図20において、エンジン回転数NEがいかなる値
になろうとも上記(4)式が成立するように減速比iを
1 〜i2 の範囲で無段階に制御する。全スロットル開
度について、上記減速比iの設定を行う。
【0110】又、図18のS12において、車両が不安
定状態付近であると判定したときは、S13’に進み、
路面の摩擦係数μに応じた中トルク特性となるように無
段変速機131の減速比及びサブスロットルバルブ11
4のスロットル開度を制御する。そのため、エンジン回
転数に応じたトルク特性は、図19(A)のII線図に示
すように中トルクを発生するように制御される。
【0111】この場合の駆動トルクは、図19(A)の
II線図に示すように摩擦係数μが高い路面を走行すると
きのトルク図19(A)のI線図よりも低くなるように
制御される。そのため、まだ車両が不安定状態に入る前
であるので、アクセルが踏み込まれたときには、駆動ト
ルクがS8’で制御される低トルク図19(A)のIII
線図よりも大きい中トルクが発生させて走行することが
できる。
【0112】駆動トルクTT を低トルクTTLから中トル
クTTMに増加させる場合、急激なトルク増加を防ぐた
め、時間の関数S(図21参照)を用いて次式より駆動
トルクTT を算出する。
【0113】 TT =(1−S)×TTL+S×TTM …(5) この(5)式より算出された駆動トルクTT を基に、図
20より減速比iを求める。
【0114】
【発明の効果】上述の如く、上記請求項1の発明によれ
ば、スリップ発生推定手段が車両の走行状態より車輪の
スリップ発生の有無を推定し、駆動車輪のスリップ発生
が推定されたとき、駆動力制御手段が駆動車輪に伝達さ
れる駆動力を減少するように制御するため、駆動車輪が
スリップしはじる前に駆動車輪に伝達される駆動力を減
少させて車両の走行状態を安定に保つことができる。
【0115】又、請求項2の発明によれば、スリップ発
生推定手段により前記車輪のスリップ発生が推定された
とき、エンジン出力トルクの変化を抑制するため、駆動
車輪のスリップ発生を抑制できるとともに、操作性の向
上を図ることができる。
【0116】又、請求項3の発明によれば、駆動車輪に
駆動力を伝達する伝達系路に設けられ、スリップ発生推
定手段により車輪のスリップ発生が推定されたとき、伝
達系路における駆動力の変化を抑制するため、駆動車輪
のスリップ発生を抑制できるとともに、スリップ発生領
域での運転操作性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる車輪スリップ制御装置の原理図で
ある。
【図2】車両に装備された各制御回路及びセンサを説明
するための概略構成図である。
【図3】4輪操舵装置の概略構成図である。
【図4】車輪スリップ制御装置の概略構成図である。
【図5】車輪スリップ制御装置のブロック図である。
【図6】CPUが実行する処理を説明するためのフロー
チャートである。
【図7】車両状態値と駆動トルクとの関係を説明するた
めのグラフである。
【図8】操舵ハンドルの舵角別に車両状態値と駆動トル
クとの関係を説明するためのグラフである。
【図9】スロットル開度の増加率を説明するためのグラ
フである。
【図10】ターボチャージャ付きエンジンの過給圧制御
の一例を説明するための図である。
【図11】燃料噴射量調整の一例を説明するための図で
ある。
【図12】燃料カット調整の一例を説明するための図で
ある。
【図13】点火時期調整の一例を説明するための図であ
る。
【図14】吸気制御弁を有する可変吸気システムの概略
構成図である。
【図15】吸気制御弁の開閉制御の一例を説明するため
の図である。
【図16】吸気制御弁の開閉制御によるエンジン回転数
と体積効率との関係を説明するための図である。
【図17】本発明の第2実施例に適用された無段変速機
の概略構成図である。
【図18】制御回路が実行する処理を説明するためのフ
ローチャートである。
【図19】トルク特性を説明するためのグラフである。
【図20】エンジン回転数と減速比との関係を説明する
ためのグラフである。
【図21】時間の定数Sの変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 4輪操舵装置 2 加速スリップ制御装置 3 アンチスキッド制御装置 4 加速スリップ制御回路 5 エンジン用制御回路 6 駆動トルク調整部 7 4輪操舵用制御回路 11 操舵ハンドル 22,35 パワーシリンダ 43 ステップモータ 45 加速度センサ 46 ヨーレートセンサ 47 駆動車輪速度センサ 48 従動車輪速度センサ 50 ハンドル操舵角センサ 51 前輪操舵角センサ 52 後輪操舵角センサ 62 ブレーキマスタシリンダ 65,66,69,70 ホイールシリンダ 72 アンチスキッド制御用油圧回路 73 加速スリップ制御用油圧回路 74,75 左右前輪アンチスキッド制御用容量制御弁 76 プロポーショニングバルブ 77 後輪アンチスキッド制御用容量制御弁 78 第一ソレノイドバルブ 79 逆止弁 80 加速スリップ制御用容量制御弁 81 第二ソレノイドバルブ 82 第三ソレノイドバルブ 94 ペダルスイッチ 98 エンジン回転速度検出センサ 99 吸気量検出センサ 100 燃料量噴射量検出センサ 101 スロットルバルブ開度検出センサ 102 過給圧検出センサ 112 吸気管 114 サブスロットルバルブ 118 アクセルペダル 119 主スロットルバルブ 121 可変吸気システム 125 吸気制御弁 131 無段変速機 132 無段変速機用制御回路 133 油圧制御弁 135 駆動側プーリ 136 ベルト 137 従動側プーリ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中島 誠一 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の走行状態を検出する走行状態検出
    手段と、 該走行状態検出手段により検出されたデータに基づいて
    車輪のスリップ発生の有無を推定するスリップ発生推定
    手段と、 該スリップ発生推定手段により前記車輪のスリップ発生
    が推定されたとき、前記駆動車輪に伝達される駆動力を
    減少するように制御する駆動力制御手段と、 よりなることを特徴とする車輪スリップ制御装置。
  2. 【請求項2】 前記駆動力制御手段は、前記スリップ発
    生推定手段により前記車輪のスリップ発生が推定された
    とき、エンジン出力トルクの変化を抑制することを特徴
    とする請求項1の車輪スリップ制御装置。
  3. 【請求項3】 前記駆動力制御手段は、前記駆動車輪に
    駆動力を伝達する伝達系路に設けられ、前記スリップ発
    生推定手段により前記車輪のスリップ発生が推定された
    とき、前記伝達系路における駆動力の変化を抑制するこ
    とを特徴とする請求項1の車輪スリップ制御装置。
JP5275792A 1993-11-04 1993-11-04 車輪スリップ制御装置 Pending JPH07127491A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011137429A (ja) * 2009-12-29 2011-07-14 Kawasaki Heavy Ind Ltd 車両の特性評価システム及び制御システム、並びに騎乗型車両及びバンク車両の特性評価方法
US9233672B2 (en) 2009-12-28 2016-01-12 Kawasaki Jukogyo Kabushiki Kaisha Control system in vehicle and method of controlling vehicle
JP2017171254A (ja) * 2016-03-25 2017-09-28 トヨタ自動車株式会社 車両の制御装置

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