JPH07126675A - 潤滑剤 - Google Patents

潤滑剤

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JPH07126675A
JPH07126675A JP27057393A JP27057393A JPH07126675A JP H07126675 A JPH07126675 A JP H07126675A JP 27057393 A JP27057393 A JP 27057393A JP 27057393 A JP27057393 A JP 27057393A JP H07126675 A JPH07126675 A JP H07126675A
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JP27057393A
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Hideki Murayama
英樹 村山
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 潤滑性、耐摩耗性に優れた潤滑剤を提供す
る。 【構成】 潤滑性を有する化合物をゲスト化合物とし、
多座配位子をホスト化合物としてホストゲスト錯体を形
成して潤滑剤とする。潤滑剤(ゲスト化合物)が、多座
配位子(ホスト化合物)と静電相互作用により、ホスト
ゲスト錯体を形成することにより、優れた潤滑性、耐摩
耗性を有し、耐久性に優れた潤滑剤が得られる。特に、
本発明の潤滑剤を磁気記録媒体に適用した場合には、非
常に薄い膜厚で良好な潤滑性と充分な耐久性を有するの
で、データ記録密度を増大させることができるととも
に、信頼性の高い磁気記録媒体を製造することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高速で摺動する固体接
触界面において薄膜で潤滑機能を発現する潤滑層として
使用される潤滑剤に関するものである。具体的には、情
報産業等で利用される高記録密度の磁気記録媒体におけ
る潤滑層の形成に使用される潤滑剤に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】情報産業等で利用される高記録密度の磁
気記録媒体の代表的な例である薄膜型磁気記録媒体は、
通常、磁性金属またはその合金をメッキ、蒸着またはス
パッタリング法等によって非磁性基板上に披着して製造
される。実際の使用時においては磁気ヘッドと磁気記録
媒体とが高速で接触摺動するので、摩耗損傷を受けた
り、磁気特性の劣化を起こしたりする。
【0003】このような欠点を解決する方法として、磁
性層上に保護膜や潤滑層を設けることによって接触摺動
の際の静/動摩擦を極力低減させ、耐摩耗性を向上させ
ることが提案されている。保護膜としては、炭素質膜、
酸化物膜、窒素物膜及びホウ化物膜等が利用される。潤
滑剤としては液体潤滑剤または固体潤滑剤が使用される
が、一般的には液体潤滑剤であるパーフルオロポリエー
テル化合物がディスク表面に塗布されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】磁気記録媒体は、その
使用時においてディスク媒体が停止状態から急速に回転
加速され、これに伴い、浮上ヘッドスライダに浮力が与
えられてヘッドは浮上する。使用後に電源が切断される
とディスク媒体を回転させているモータが停止し、ヘッ
ドと媒体とが高速で接触を起こして摺動する。
【0005】ところが、近年、面記録密度を高めるため
にヘッドの低浮上化とディスク回転の高速化が求められ
ており、媒体基板はより平滑になる方向にある。動摩擦
係数を低減するために液体潤滑膜を設けることは非常に
有効であるが、液体潤滑膜を厚くしていくと、ヘッドと
ディスクとの間に液体潤滑剤の表面張力によるメニスカ
スが形成されて、吸着現象(sticking)が生じることが知
られている。このため静摩擦係数が増加し、往々にして
ヘッドがディスクに張り付いたまま動作不能となること
が指摘されている。
【0006】すなわち、ヘッドの飛行高さを低下させる
ために基板を平滑にするに従い、液体潤滑剤では上記吸
着現象が非常に発生し易くなるという深刻な欠点があ
り、また、吸着を防ぐために膜厚を減ずると充分な耐久
性が得られなくなるという問題がある。これらの現象を
回避するために、メニスカスを作らない固体の潤滑剤が
望まれ、以前から高級アルコール、高級脂肪族アミン、
高級脂肪酸やその金属塩等が提案されている。
【0007】しかしながら、高級アルコールあるいは高
級脂肪族アミン系の固体潤滑剤は、初期においては良好
な潤滑性を示すものの、時間の経過とともに摩擦係数の
増加が顕著であり充分な性能が得られない。高級脂肪酸
はかなり摩擦係数の低レベル維持の効果が認められる
が、一般に融点が低く、50°C以上の環境でヘッドと
接触するような状況では液状になり易いため、磁気ヘッ
ドの吸着を引き起こす傾向があるという欠点を持つ。こ
のような欠点を回避するために、高級脂肪酸をより融点
の高い金属塩として用いる方法が提案されている(例え
ば、特開昭63−281220等)。高級脂肪酸の金属
塩は良好な潤滑性を有するものの、一般の有機溶剤に対
する溶解性が劣るという欠点があり、塗布工程上の制約
を受ける他に、ディスク媒体に塗布する際に均一な塗布
膜を得難く、被膜厚みの不均一化が著しいなどの問題が
ある。特に基板が平滑化すると、この不均一化の傾向は
著しい。ディスク媒体に潤滑剤を塗布した際に、均一な
塗布膜とならず、被膜厚みが不均一である場合には、ヘ
ッドとディスクの間の直接接触の可能性を高め、またヘ
ッド汚れの原因となったり、ヘッドの飛行不安定化の原
因となる恐れがあり、ヘッドクラッシュなどの深刻な結
果を引き起こすことになりかねない。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、均一な
薄膜潤滑層を形成し、形成した潤滑層が優れた潤滑性と
耐久性を有する潤滑剤を提供することにあり、この目的
は、ホスト化合物とゲスト化合物とから形成されるホス
トゲスト錯体よりなる潤滑剤、特にホスト化合物とし
て、金属イオンまたは有機イオンを取り込む機能を有す
る多座配位子を用いたホストゲスト錯体よりなる潤滑剤
により達成される。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
潤滑剤を構成するホストゲスト錯体において、ゲスト化
合物としては、潤滑作用を担う分子骨格とホスト化合物
と結合するための結合サイトとを有するものが用いら
れ、例えば、長鎖脂肪酸の金属塩、長鎖脂肪族アミン
類、長鎖脂肪族アミンの塩等が挙げられる。結合サイト
に続く長鎖分子骨格は、分岐鎖状または直鎖状の飽和ま
たは不飽和の高級脂肪族炭化水素鎖、芳香族残基やヘテ
ロ原子を含む前記高級脂肪族炭化水素鎖、或いは前記高
級脂肪族炭化水素鎖の一部または全部がポリエーテル鎖
を形成している長鎖分子骨格など、潤滑作用を有するも
のであれば結合の種類によらず選択することができる。
【0010】ホスト化合物としては、金属イオンまたは
有機イオンを効果的に取り込む機能を有する多座配位子
が好ましく用いられ、特に、ドナー原子が3個以上ある
ような化合物が好適である。例えば、O原子またはN原
子をドナー原子として持つものとして、環状エステル、
ポリエーテル類、ポリオール類、ポリアミン類、クラウ
ンエーテルと総称される環状エーテル類、クリプタンド
あるいはクリプテートと総称される環状エーテルアミン
類、環状アミン類、ポルフィリンやフタロシアニン等の
大環状配位子、シクロファン、ポリペプチドおよびこれ
らの化学修飾体などが挙げられ、なかでもクラウンエー
テルやクリプタンド等の環状配位子が特に有効である。
また、上記構造においてO、N原子のかわりに、同様に
孤立電子対を持つS原子をドナー原子とした多座配位子
も用いられる。
【0011】これらの多座配位子は、金属イオンあるい
は有機イオンと強い錯体を形成し、例えば、クラウンエ
ーテルやクリプタンド等の環状配位子は、その内孔にO
やNの孤立電子対を向け、金属イオン等に対して強い親
和性を有するために、その錯体形成の平衡が102 〜1
10の範囲で錯体形成側に傾き、極めて強く金属イオン
を取り込むことができる。すなわち、これらの環状配位
子は孤立電子対に関する静電相互作用を主な駆動力とし
てOやN等がドナー原子として配位し、金属陽イオンを
効果的に内孔に取り込む。これらの多座配位子は、単座
配位子に比べると、OやN等のドナー原子が最初からメ
チレンブリッジでつながれているため、カチオンのまわ
りに配位するとき新たなドナー間の反発はほとんどな
く、エンタルピー的に錯形成が有利となり、また、配位
子が規則正しく配列しているためにエントロピー的にも
優れているという大きな特長がある。環状の多座配位子
以外に直鎖状の多座配位子も有効であるが、一般に環状
のものは直鎖状のものよりも錯体の安定性が増大するこ
とが知られている。これは、カチオンを取り囲むとき、
直鎖状の多座配位子の場合には、単座配位子に比べては
るかに優れているとはいえ、両末端のドナー原子間の静
電的および立体的反発があることや不利なエントロピー
変化のためであろうと考えられる。上記の環状配位子に
ついては幾つもの総説があり、例えば代表的なクラウン
エーテル、クリプタンドおよびこれらの類縁体につい
て、その合成法、構造、取り込みカチオン一覧の詳細な
表がJ.J.Christensen 等により Chem.Revs.,74, 351 (1
974). に記載されている。また、物質としての安定性の
面から見ると、環状の多座配位子は熱的にも安定なもの
が多く、例えばポルフィリンなどの大環状配位子は50
0°C以上でも安定であることはよく知られている。ま
た、一般にクラウンエーテルも熱的に安定で、例えば、
ジベンゾ−18−クラウン−6は380°Cで蒸留する
ことも可能であることが報告されている(C.J.Pederson
et al., Angev.Chem.,Int`L Ed. 11,16(1972). )。
【0012】錯体形成の際の、環状配位子の内孔サイズ
と取り込み易いカチオンのサイズとの間には、密接な関
係のあることがわかっている。例えば、18−クラウン
−6の内孔径は2.6〜3.2Åであり、これとほぼ一
致するイオン直径(2.66Å)を持つアルカリ金属イ
オンのK+ と非常に安定な錯体を形成する(メタノール
中での錯化平衡定数logK=6.05)ことが知られ
ている。
【0013】このように安定な錯体を形成するホストゲ
スト錯体を利用して、ゲスト化合物とホスト化合物との
錯体を形成することにより、優れた特性を有する潤滑剤
を得ることができる。図1は、18−クラウン−6誘導
体とステアリン酸カリウムがホストゲスト錯体を形成す
る様子を示した概念図であり、ゲスト分子中のカチオン
であるK+ がクラウンエーテルの内孔にトラップされ、
+ のカウンターアニオンであるステアレートが、イオ
ン対としての末端カルボキシル基をトラップされたK+
に向けてクラウンエーテル上に配位することになる。
【0014】潤滑剤分子とクラウンエーテルとを混合し
てホストゲスト錯体を形成した溶液をディスク上に塗布
した場合、基板とより相互作用を持つクラウンエーテル
錯体の側が基板表面に位置し、その上に潤滑剤分子が配
位した層構成となる。基板上のクラウンエーテルにステ
アレートの末端カルボキシル基が配位するということ
は、すべてのアルキル鎖部分が基板に対して上を向いて
配向することを意味しており、潤滑層全体の配向性が向
上することとなって、理想的な潤滑層の構造をとること
から、ほぼ単分子層の膜厚でも優れた潤滑能および耐久
性を得ることができる。
【0015】これらの高級脂肪酸の金属塩等の有機酸塩
の他にも、アミンなどの有機化合物も多座配位子と静電
相互作用によってホストゲスト錯体を形成し、同様に優
れた特性を有する潤滑剤を得ることができる。例えば、
ゲスト潤滑剤分子として長鎖脂肪族アミンを用いた場合
には、18−クラウン−6誘導体とのホストゲスト錯体
は図2のように示される。この場合にもステアリン酸カ
リウムをゲスト化合物として用いた場合と同様、多座配
位子と相互作用する結合サイトが配位子側にくることに
より、潤滑剤部分が多座配位子の上に立つ錯体が形成さ
れる。
【0016】上記のホスト化合物およびゲスト化合物よ
りなるホストゲスト錯体は、溶媒にホスト化合物および
ゲスト化合物を溶解または分散させることにより、溶液
または分散液として得られるが、それぞれの溶液または
分散液を予め調製したのち、2種類の溶液または分散液
を混合することによっても得ることができる。ホストゲ
スト錯体の大きな特長として、ゲスト化合物が金属塩の
ように有機溶媒に不溶な場合でも、有機溶媒に可溶なホ
スト化合物と錯体を形成することにより、ホストゲスト
錯体として汎用の有機溶媒に溶解する。例えば、代表的
な潤滑剤であるステアリン酸カリウムなどの高級脂肪酸
の金属塩は、クロロホルムなどの有機溶媒にほとんど溶
解しないが、代表的なホスト化合物である18−クラウ
ン−6とのホストゲスト錯体は有機溶媒によく溶解す
る。これはカリウムイオンをクラウンエーテルがそのな
かに取り込んで可溶化するためである。したがって、ホ
ストゲスト錯体の形成に際しては、汎用の有機溶媒が用
いられ、通常、沸点の比較的低い有機溶媒、例えばクロ
ロホルム等のハロゲン系溶媒、トルエン等の炭化水素系
溶媒、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、メタノー
ル等のアルコール系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶
媒等が、単独または混合溶媒として用いられる。
【0017】得られたホストゲスト錯体の溶液または分
散液は、そのまままたは濃度を調整したのち、潤滑剤と
して固体表面に塗布することができる。濃度は、ホスト
化合物やゲスト化合物の種類によって、また用いる溶媒
の種類によっても異なるが、通常、錯体の溶液中濃度と
し0.1〜5g/lで用いられる。潤滑剤の固体表面へ
の塗布方法としては、通常、浸漬法が採用されるが、潤
滑剤溶液をテープ等にしみこませ、固体表面に荷重をか
けて接触させて被膜を形成する方法、パッドを固体表面
上で回転させながら添着させる方法、あるいはスプレー
法やLB膜法が用いられる。
【0018】本発明の潤滑剤は、種々の固体表面に適用
可能であり、ポリマー、炭素、金属、酸化物、窒化物、
ホウ化物などに広く適用される。特に、磁気記録媒体の
表面潤滑層として適用すれば、ヘッドの浮上高さを低く
することができるので、ディスクのデータ記録密度を増
大させることが可能となるとともに、長期にわたり信頼
性の高いディスクシステムを構築することが可能とな
る。
【0019】図3は、本発明の潤滑剤を表面に塗布した
磁気記録媒体の構成を示すものである。非磁性基板1上
に磁性層2、保護膜3、潤滑層4が順次形成された磁気
記録媒体において、潤滑層4がゲスト化合物(潤滑剤分
子)とホスト化合物(多座配位子)とのホストゲスト錯
体型潤滑剤からなることを示す。本発明の潤滑剤を磁気
記録媒体に適用するにあたり、非磁性基板としては、通
常、無電解メッキ法により形成したニッケル・リン層を
設けたアルミニウム合金板またはガラス基板が用いられ
るが、そのほかにもセラミック基板、樹脂基板等を用い
ることもできる。コバルト、コバルト合金等の薄膜磁性
層は、非磁性基板上に、直接または必要に応じて下引層
を介して、無電解メッキ法、スパッタリング法等により
形成される。薄膜磁性層の膜厚は、磁気記録媒体として
要求される特性により決定され、通常、200〜150
0Åである。本発明の潤滑剤を適用する場合、薄膜磁性
層上の保護膜は、必ずしも不可欠のものではなく、磁性
膜の硬度や弾性率等の物理物性を鑑みて、必要に応じて
形成される。保護膜としては炭素質膜、酸化物膜、窒化
物膜、ホウ化物膜等が用いられ、スパッタリング法、イ
オンプレーティング法、プラズマ重合法等により形成さ
れる。保護膜として好ましく用いられるのは、無定形炭
素、水素化カーボン等の炭素質膜であり、通常、50〜
500Å、好適には、100〜300Åの膜厚で用いら
れる。
【0020】塗布後の基板上におけるホストゲスト錯体
の配向を考えると、極性基を有しているホスト化合物側
がより基板表面と相互作用を持って配向し、図1に示さ
れたような独特の潤滑層の構造をとることから、ほぼ単
分子層の膜厚で優れた潤滑能および耐久性が得られる。
この場合、潤滑剤であるホストゲスト錯体が基板表面に
固着していることが好ましいが、必ずしも固着していな
くてもその独特の潤滑剤骨格によって、優れた潤滑性と
耐久性を発現する。潤滑層の膜厚は用いるホスト化合物
およびゲスト化合物によって異なるが、通常、10〜1
00Å、好ましくは、10〜50Åである。
【0021】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに具体的に説
明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施
例に限定されるものではない。 実施例1 ステアリン酸カリウムおよび4,4’−ジアミノジベン
ゾ−18−クラウン−6をそれぞれの濃度が1mmol
/lとなるようにクロロホルムに溶解し、ホストゲスト
錯体のクロロホルム溶液(錯体としての濃度0.674
g/l)を調製した。
【0022】平滑なアルミニウム合金の基板上にスパッ
タリング法によりクロム下地層(2000Å)、コバル
ト合金の磁性薄膜(400Å)および炭素保護膜(30
0Å)を形成した直径3.5インチの磁気ディスクを、
上記溶液に浸した後、引き上げることにより、ディスク
の表面に厚さ17Åの均一な潤滑膜を形成した。形成し
た潤滑層の膜厚は、ディスク上の異なる8点(片面)に
おいてほぼ同一の値であった。潤滑層を形成したディス
クについて、薄膜ヘッドを用いて、荷重9.5gf、摺
動線速0.32m/sec(半径30mm、100rp
m)で連続摺動試験を行ない、連続摺動10分後と連続
摺動2時間後の摩擦力を測定した。結果を表1に示す。
【0023】実施例2 ステアリン酸カリウムおよびジベンゾ−18−クラウン
−6をそれぞれ1mmol/lおよび2mmol/lの
濃度(合計で1.03g/l)となるようにクロロホル
ムに溶解し、ホストゲスト錯体のクロロホルム溶液を調
製した。この溶液に、実施例1と同様のディスクを浸し
た後、引き上げることにより、ディスクの表面に厚さ1
6Åの均一な潤滑膜を形成した。
【0024】本実施例は、ジベンゾ−18−クラウン−
6がステアリン酸カリウムより大過剰に系中に存在する
ことにより、フリーのステアリン酸カリウムがない状態
での潤滑性を確認するために行なったものである。潤滑
層を形成したディスクについて、実施例1と同様に潤滑
性能の試験を行なった。結果を表1に示す。
【0025】実施例3 ステアリルアミンおよびジベンゾ−18−クラウン−6
をそれぞれ1mmol/lの濃度(錯体として1.89
g/l)となるようにクロロホルムに溶解し、ホストゲ
スト錯体のクロロホルム溶液を調製した。この溶液に、
実施例1と同様のディスクを浸した後、引き上げること
により、ディスクの表面に厚さ24Åの均一な潤滑膜を
形成した。潤滑層を形成したディスクについて、実施例
1と同様に潤滑性能の試験を行なった。結果を表1に示
す。
【0026】実施例4 β−(N,N−ジヘプタデシルアミノカルボニル)プロ
ピオン酸カリウムおよび4,4’−ジアミノジベンゾ−
18−クラウン−6をそれぞれ1mmol/lの濃度
(錯体として1.02g/l)となるようにクロロホル
ムに溶解し、ホストゲスト錯体のクロロホルム溶液を調
製した。この溶液に、実施例1と同様のディスクを浸し
た後、引き上げることにより、ディスクの表面に厚さ4
5Åの均一な潤滑膜を形成した。潤滑層を形成したディ
スクについて、実施例1と同様に潤滑性能の試験を行な
った。結果を表1に示す。
【0027】比較例1 実施例1と同様のディスクを用い、ステアリン酸カリウ
ムを1mmol/lの濃度(0.316 g/l)で含
むメタノール溶液に浸した後、引き上げることにより、
ディスクの表面に厚さ13Åの潤滑膜を形成した。形成
した潤滑膜は成膜後すぐに塗布膜の不均一化が起こり、
光学顕微鏡で観察したところ、ディスク表面の全体にわ
たって微細な結晶粒が認められた。潤滑層を形成したデ
ィスクについて、実施例1と同様に潤滑性能と凝集性の
試験を行なった。結果を表1に示す。
【0028】比較例2 実施例1と同様のディスクを用い、ステアリルアミンを
3mmol/lの濃度(0.809g/l)で含むクロ
ロホルム溶液に浸した後、引き上げることにより、ディ
スクの表面に厚さ25Åの潤滑膜を形成した。潤滑層を
形成したディスクについて、実施例1と同様に潤滑性能
と凝集性の試験を行なった。結果を表1に示す。
【0029】比較例3 実施例1と同様のディスクを用い、β−(N,N−ジヘ
プタデシルアミノカルボニル)プロピオン酸を1mmo
l/lの濃度(0.593g/l)で含むクロロホルム
溶液に浸した後、引き上げることにより、ディスクの表
面に厚さ28Åの均一な潤滑膜を形成した。
【0030】形成した潤滑膜は成膜後すぐに塗布膜の不
均一化が起こり、光学顕微鏡で観察したところ、ディス
ク表面の全体にわたって微細な結晶粒が認められた。潤
滑層を形成したディスクについて、実施例1と同様に潤
滑性能と凝集性の試験を行なった。結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】表1のデータから明らかな通り、ステアリ
ン酸カリウムとジベンゾ−18−クラウン−6よりなる
潤滑剤(実施例1、2)は、ステアリン酸カリウムのみ
を潤滑剤として用いた比較例1と比べ、摺動初期におい
て同等以上の潤滑性を示しており、連続摺動2時間後に
おいては比較例1では潤滑性が大幅に低下してしまうの
に対し、実施例1、2ではほとんど変化がなく、初期の
優れた潤滑性をほぼそのまま維持していることがわか
る。
【0033】β−(N,N−ジヘプタデシルアミノカル
ボニル)プロピオン酸と4,4’−ジアミノジベンゾ−
18−クラウン−6よりなる潤滑剤(実施例4)は、β
−(N,N−ジヘプタデシルアミノカルボニル)プロピ
オン酸を単独で用いた比較例3と比べ、摺動初期におい
て優れた潤滑性を示しており、連続摺動2時間後におい
ても初期の優れた潤滑性をほぼそのまま維持しているこ
とがわかる。さらに、比較例3ではすぐに塗布膜の不均
一化が起こってしまうのに対し、実施例4では一ヶ月以
上経ってもまったく塗布膜の不均一化は起こらなかっ
た。
【0034】ステアリルアミンとジベンゾ−18−クラ
ウン−6よりなる潤滑剤(実施例3)は、ステアリルア
ミンを単独で用いた比較例2と比べ、摺動初期において
すでに潤滑性が優れている上に、連続摺動2時間後に
は、比較例2では潤滑性が失われてしまうのに対し、潤
滑性に変化がなく、初期の非常に優れた潤滑性をそのま
ま維持していることがわかる。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、薄膜(単分子膜の膜
厚)で優れた潤滑性・耐摩耗性を有し、しかも潤滑剤分
子が凝集することなくそれを長期間維持することができ
る潤滑剤が得られる。また、本発明による潤滑剤を適用
した磁気記録媒体は、信頼性が高く、データ記録密度を
増大させることができる。特にヘッドの低浮上化に対応
した平滑な基板を用いた場合に、非常に薄い膜厚で良好
な潤滑性と充分な耐久性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のホストゲスト錯体による潤滑剤の構成
の原理を、ステアリン酸カリウムと18−クラウン−6
誘導体を例として用いて示した概念図である。
【図2】本発明のホストゲスト錯体による潤滑剤の構成
の原理を、ステアリルアミンと18−クラウン−6誘導
体を例として用いて示した概念図である。
【図3】本発明の潤滑剤により潤滑層を形成した磁気記
録媒体の概念断面図である。
【符号の説明】
1 非磁性基板 2 磁性層 3 保護膜 4 潤滑層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 105:60 105:68 105:18) C10N 10:02 20:06 40:02 40:18

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ホスト化合物およびゲスト化合物から形成
    されるホストゲスト錯体よりなることを特徴とする潤滑
  2. 【請求項2】ホスト化合物が、金属イオンまたは有機イ
    オンを取り込む機能を有する多座配位子である請求項1
    記載の潤滑剤
  3. 【請求項3】ホスト化合物が、酸素原子、窒素原子およ
    びイオウ原子から選ばれる少なくとも1種の原子を少な
    くとも3原子以上有する化合物である請求項1または2
    記載の潤滑剤
  4. 【請求項4】請求項1ないし3のいずれかに記載の潤滑
    剤を潤滑層に含むことを特徴とする磁気記録媒体
JP27057393A 1993-09-28 1993-10-28 潤滑剤 Pending JPH07126675A (ja)

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