JPH0712665B2 - インクジエツト記録装置の作動方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明はインクジェット記録装置の作動方法に関し、特
に、記録ヘッドのインク吐出口部分に増粘または固着し
たインクを洗浄除去するための作動方法に関する。

〔従来技術〕

インクジェット記録装置においては、インク溶剤の蒸発
によるインク増粘あるいはごみ付着や気泡混入などでイ
ンク吐出口が目詰まりする場合があり、これを防止し印
字品位の安定化を図る目的で、記録ヘッドのインク吐出
口面をキャップで閉鎖するキャッピング動作およびイン
クを空吐出させるインク回復動作が採用されている。

キャリジ上に記録ヘッドを設けるシリアル型記録装置で
は、これらの動作は通常キャリジがホーム位置にあると
き行われる。

また、インク回転動作はポンプなどの負圧源でインクを
吸い出す方法すなわち負圧吸引動作で行うことが広く実
施されている。

しかし、従来のこの種のインクジェット記録装置にあっ
ては、キャッピングおよびインク回復動作を実施したと
しても、長時間通過するうちにインク吐出口部分に付着
したインクやほこりなどが固形物化し、前述のインク回
復動作のみではこれらの固形物を除去することが困難で
あり、安定した印字品位を確保できない場合があった。

〔目的〕

本発明はこのような従来技術に鑑みてなされたものであ
り、本発明の目的は、インク吐出口部分に目詰まりの原
因となるような固着物が生じた場合、この固着物の程度
に応じた適切な規模の洗浄液回復を行うことができ、洗
浄液の浪費の防止と回復効率及び回復速度の向上を図る
ことができ、しかも容易にかつ確実に固着物を洗浄除去
することができ、もって安定した記録品位を確保し得る
インクジェット記録装置の作動方法を提供することであ
る。

〔概要〕

本発明は、インクの吐出口のキャッピングを行うための
キャップと、該キャップに接続され前記キャップ内の圧
力を低下させて吸引を行うための吸引手段と、前記キャ
ップ内へ導入される洗浄液を貯留するための洗浄液貯留
部と、を有するインクジェット記録装置の作動方法にお
いて、前記吐出口へインクが供給され得る状態において
且つ前記キャップ内と前記洗浄液貯留部との連通を遮断
した状態において、前記キャップが前記吐出口のキャッ
ピングを行っているときに前記吸引手段を作動させて前
記キャップ内の圧力を低下させる工程と、前記キャップ
内との前記洗浄液貯留部とを連通させ、前記キャップ内
の圧力を利用して前記キャップ内へ洗浄液を導入する工
程と、前記キャップ内の洗浄液を前記キャップ外へ排出
する工程と、を含む構成とすることにより、上記目的を
達成するものである。

〔実施例〕

以下図面を参照して本発明を具体的に説明する。

第１図は本発明の作動方法を実施するのに好適なインク
ジェット記録装置の要部を示し、プラテン１にバックア
ップされた用紙またはプラスチックシートなどのシート
（記録媒体）２の前方にガイドシャフト３が設置され、
該ガイドシャフトに沿って移動するキャリジ４上に記録
ヘッド５が搭載されている。

この記録ヘッド５の前面には複数のインク吐出口が形成
されており、各インク吐出口に対応する複数の電気熱エ
ネルギー変換体（発熱素子）または電気機械エネルギー
変換体（ピエゾ素子など）をデータ信号に基づいて駆動
し、飛翔的インク滴を形成してシート２に記憶するもの
である。

キャリジ４のホーム位置HPにはポンプ吸引式の回復手段
６が設けられている。このインク回復手段は、記録ヘッ
ド５に対し矢印Ａ方向に前進後退駆動され、記録ヘッド
のインク吐出口を閉鎖するキャップ７および該キャップ
内の空気を吸引チューブ９を介して吸引する負圧吸引手
段（吸引ポンプ）８を備えている。

第２図は第１図のインク回復手段６のキャッピング状態
を模式的に示す。

第１図および第２図において、インク回復手段６は、キ
ャッピング手段をも兼ねており、インク吐出口を密閉す
るとともにキャップ７内の空気を吸引しインク吐出口か
らインクを吸い出す負圧吸引動作を行うものである。

記録装置には水などの洗浄液を溜める洗浄液タンク10が
設けられ、一方、キャップ７には通気チューブ11が接続
され、該通気チューブの他端は電磁弁等から成る切替弁
12により大気13または洗浄液タンク10に連通するかある
いは密閉されるかのいずれかの状態に制御される。

以上のインクジェット記録装置においては、使用されな
い間（電源オフの間）、キャリジ４はホーム位置にあ
り、記録ヘッド５のインク吐出口はキャップ７で密閉さ
れ、かつ通気チューブ11は閉位置にある切替弁12によっ
て大気13および洗浄液タンク10のいずれからも遮断され
密閉されている。

使用開始に際し電源をオンにするとともに特定のキーを
操作すると、前記吸引ポンプ８による負圧吸引動作が連
続して行われる。

この場合、通気チューブ11は閉塞されているので、キャ
ップ７内は前記負圧吸引動作を回数に応じて第３図に示
すごとく段階的に負圧度が高くなる。

この負圧吸引動作を強制的に行う回数は適宜設定できる
が、例えば５〜６回に設定することができる。

また、キャップ７内の負圧度は、インク吐出口に増粘イ
ンクや固着物が生じ、インクの流出抵抗が大きい場合に
は急激に増大するが、インク吐出口からインクがスムー
ズに吸引される場合は余り強くならない。

こうして、キャップ７内の負圧度を高めた後、前記切替
弁12を動作させ、該キャップ内を前記洗浄液タンク10に
連通し、洗浄液（水など）を該キャップ内に導入し空気
と置換させる。

第４図は以上説明したインク回復手段６の動作を例示す
るタイミングチャートである。

第４図において、電源をオンにするとともにキー操作を
行うと、吸引ポンプ８が強制的に複数回（図示の例では
６回）連続して駆動される。

この繰返し負圧吸引動作によってキャップ７内の負圧度
を高めた後、電磁弁から成る切替弁12を密閉状態から洗
浄液タンク10と連通する位置へ動作させる。

キャップ７内の負圧によって洗浄液が該キャップ内へ導
入されそこに溜められると、インク吐出口部分に付着し
た固形物はこの洗浄液によって溶解および洗浄される。
溶解時間はインクの成分、ノズル構造等により決められ
る。

溶解洗浄後の液体は、吸引ポンプ８を通して廃インク溜
め等へ排出される。

なお、前記洗浄液タンク10としては容器状のものの他可
撓性を袋状のものを使用することができ、容器の場合に
は開閉可能な通気手段を設けておき、前記キャップ７内
との連通に連動して該通気手段を開き円滑に流入させる
よう構成することが望まれる。

以上説明したインクジェット記録装置の起動時の作動方
法によれば、記録装置の搬入後あるいは長期間停止後に
使用開始する際、インク吐出口部分の固着物の有無や目
詰まりの有無に関係なく、繰返し負圧吸引動作およびこ
れに続く洗浄液タンクとの連通を強制的に行うので、印
字動作に先立ってインク吐出口部分を常に洗浄に保つこ
とができ、かつ印字動作中でのインク回復動作が容易確
実に行われる状態に保つことができ、もって印字品位の
安定化を確保することができた。

また、切替弁12の開放タイミングをキャップ７内の負圧
度を高めた状態で行うため、キャップ７内に洗浄液を確
実に溜めることができ、固着物の洗浄除去を容易に行う
ことが可能になった。

その場合、インク吐出口部分の固着物が強固でインク流
出抵抗が大きい場合には、キャップ内の負圧が大きくな
り、多量の洗浄液を高速でキャップ内へ導入することが
でき、一方、インク吐出口部分の固着状態が緩やかでイ
ンク流出抵抗が余り大きくない場合には、キャップ内の
負圧が小さく、適量の洗浄液をそれなりの速度でキャッ
プ内へ導入することができる。

したがって、このインク流出抵抗の大小に応じて洗浄液
の供給速度および供給量を適切にコントロールすること
ができ、それによって、固着物の程度に応じた適切な規
模の洗浄液回復を行うことができ、洗浄液の浪費の防止
と回復効率及び回復速度の向上を図ることができる。

〔効果〕

以上の説明から明らかなごとく、本発明によれば、イン
クの吐出口のキャッピングを行うためのキャップと、該
キャップに接続され前記キャップ内の圧力を低下させて
吸引を行うための吸引手段と、前記キャップ内へ導入さ
れる洗浄液を貯留するための洗浄液貯留部と、を有する
インクジェット記録装置の作動方法において、前記吐出
口へインクが供給され得る状態において且つ前記キャッ
プ内と前記洗浄液貯留部との連通を遮断した状態におい
て、前記キャップが前記吐出口のキャッピングを行って
いるときに前記吸引手段を作動させて前記キャップ内の
圧力を低下させる工程と、前記キャップ内と前記洗浄液
貯留部とを連通させ、前記キャップ内の圧力を利用して
前記キャップ内へ洗浄液を導入する工程と、前記キャッ
プ内の洗浄液を前記キャップ外へ排出する工程と、を含
む構成としたので、インク吐出口部分に目詰まりの原因
となるような固着物が生じた場合、この固着物の程度に
応じた適切な規模の洗浄液回復を行うことができ、洗浄
液の浪費の防止と回復効率及び回復速度の向上を図るこ
とができ、しかも容易にかつ確実に固着物を洗浄除去す
ることができ、もって安定した記録品位を確保し得るイ
ンクジェット記録装置の作動方法が提供される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明方法を実施するのに好適なインクジェッ
ト記録装置の要部の平面図、第２図は第１図のインク回
転手段の模式的断面図、第３図は連続負圧吸引動作によ
るキャップ内負圧度の増大を例示するグラフ、第４図は
第２図のインク回復手段の作動タイミングを例示するグ
ラフである。 ５……記録ヘッド、６……インク回復手段、７……キャ
ップ、８……吸引ポンプ、10……洗浄液タンク、12……
切替弁。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−133074（ＪＰ，Ａ) 特開 昭59−127768（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−185451（ＪＰ，Ａ)

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】インクの吐出口のキャッピングを行うため
   のキャップと、該キャップに接続され前記キャップ内の
   圧力を低下させて吸引を行うための吸引手段と、前記キ
   ャップ内へ導入される洗浄液を貯留するための洗浄液貯
   留部と、を有するインクジェット記録装置の作動方法に
   おいて、 前記吐出口へインクが供給され得る状態において且つ前
   記キャップ内と前記洗浄液貯留部との連通を遮断した状
   態において、前記キャップが前記吐出口のキャッピング
   を行っているときに前記吸引手段を作動させて前記キャ
   ップ内の圧力を低下させる工程と、 前記キャップ内との前記洗浄液貯留部とを連通させ、前
   記キャップ内の圧力を利用して前記キャップ内へ洗浄液
   を導入する工程と、 前記キャップ内の洗浄液を前記キャップ外へ排出する工
   程と、 を含むことを特徴とするインクジェット記録装置の作動
   方法。
2. 【請求項２】前記洗浄液は水であることを特徴とする請
   求項１のインクジェット記録装置の作動方法。
3. 【請求項３】前記吐出口からインクを吐出するために利
   用される熱エネルギーを発生する熱エネルギー発生手段
   が設けられていることを特徴とする請求項１のインクジ
   ェット記録装置の作動方法。
4. 【請求項４】前記熱エネルギー発生手段は電気熱変換体
   であることを特徴とする請求項３のインクジェット記録
   装置の作動方法。