JPH07126060A - 炭素含有耐火物及びその製造方法 - Google Patents

炭素含有耐火物及びその製造方法

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JPH07126060A
JPH07126060A JP5294461A JP29446193A JPH07126060A JP H07126060 A JPH07126060 A JP H07126060A JP 5294461 A JP5294461 A JP 5294461A JP 29446193 A JP29446193 A JP 29446193A JP H07126060 A JPH07126060 A JP H07126060A
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健治 市川
Osamu Nomura
修 野村
Hidenori Tada
秀徳 多田
Yasuhiro Hoshiyama
泰宏 星山
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐スポ−リング性、耐摩耗性、耐食性に優れ
た炭素含有耐火物及びその製造方法を提供すること。 【構成】 耐火性骨材及び炭素材料を含む炭素含有耐火
物において、軟化温度が80〜220℃未満のピッチ粉末、
又は、該ピッチ粉末に軟化温度が220℃以上のピッチ粉
末を併用添加すること。また、軟化温度の低いピッチ粉
末の軟化温度より少なくとも20℃以上高い温度でベーキ
ングすること。 【効果】 低軟化温度のピッチが耐火物組織の微細な空
隙に侵入して強固なカーボンボンドを形成する効果が生
じ、また、高軟化温度のピッチ粉末を併用することによ
り、上記効果に加えて更に強度/弾性率比が向上する。
また、低軟化温度のピッチ粉末の軟化温度より少なくと
も20℃以上高い温度でベーキングすることにより熱間曲
げ強度が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、炭素含有耐火物及びそ
の製造方法に関し、特に耐スポ−リング性、耐摩耗性、
耐食性に優れた炭素含有耐火物及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】黒鉛等の炭素原料を含有する耐火物は、
炭素の有する高熱伝導性、溶融スラグに対する濡れ難い
性質等により高耐用性を示すことから、各種の冶金用耐
火物として広く使用されている。しかし、近年この種耐
火物の使用条件はますます苛酷化し、炭素含有耐火物の
より一層の耐用性向上が望まれている。
【0003】ところで、炭素含有耐火物は、組織の結合
形態が炭素を含有しない耐火物と異なっていることが知
られている。即ち、炭素を含有しない耐火物は、被熱過
程において粒子間の焼結が起こり、強度を発現する。こ
れに対し、炭素含有耐火物は、黒鉛等の炭素粒子が殆ど
焼結しないため、結合剤として添加している有機バイン
ダ−が炭化し、生成するカーボンボンドによってかろう
じて耐火物の強度を維持している。
【0004】このカーボンボンドは、焼結によってもた
らされるセラミックボンドと比較して結合力は非常に弱
い。また、炭化によりカーボンボンドを生成する有機系
液体バインダ−は、成形性の問題から適正量が存在し、
通常2〜5重量%程度しか添加できないため、必ずしも十
分なカーボンボンド量が確保されているとは言い難い。
【0005】このことが炭素含有耐火物の耐スポ−リン
グ性、熱間強度、耐摩耗性、耐食性に大きく影響を与え
ていると考えられている。この結合形態に由来する炭素
含有耐火物の強度確保の困難さは、該耐火物の根本的な
課題であり、この課題解決のため従来から種々の改善が
行われている。
【0006】例えば、特公昭57-27867号公報には、固定
炭素50%以上の高軟化点ピッチを添加し、耐火物の中間
温度における強度を向上させる手法が開示されており、
また、特開平2-268953号公報には、300〜500℃で処理さ
れたマイクロメソフェーズを含有するピッチ粉末を耐火
物に添加し、耐火物の被熱過程においてピッチ中のマイ
クロメソフェーズがバルクメソフェーズに成長する際の
強度発現効果によって耐火物の強度を向上させる手法が
開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
前記“高軟化点ピッチ粉末”あるいは“マイクロメソフ
ェーズを含有するピッチ粉末”を添加する方法では、以
下の理由で炭素含有耐火物の強度を向上させる手法とし
て十分効果的な方法とは言えない。即ち、後に詳記する
とおり、軟化温度の高いこれらのピッチ粉末は、軟化時
の粘性が高く、流動性に富んでいるとは言い難いので、
耐火物組織中の特に微細な空隙に侵入する能力を有して
おらず、ピッチ粉末自身の周囲に存在する炭素粒子及び
耐火性骨材粒子に密着する程度の効果しか得られない。
【0008】従って、強度の向上効果は十分ではなく、
また耐火物組織中の微細な空隙におけるカーボンボンド
の不足について何ら解決されていない。更に、該ピッチ
粉末を添加して満足できる強度を確保しようとすると、
多くの添加量を必要とし、そして、該ピッチ粉末の多量
添加によって同時にもたらされる気孔率の増大が炭素含
有耐火物の特性を低下させてしまう。
【0009】このように、従来から提案されている前記
方法では、欠点があるか、あるいは効果が十分ではない
という問題点がある。本発明は、従来の上記欠点、問題
点に鑑み成されたものであって、その目的は、炭素含有
耐火物において該組織を維持するための最適な結合形態
の選択を行い、従来の方法では解決できなかった高耐用
性の炭素含有耐火物及びその製造方法を提供することに
あり、特に耐スポ−リング性、耐摩耗性、耐食性に優れ
た炭素含有耐火物及びその製造方法を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、耐火性骨材及
び炭素材料を含む炭素含有耐火物において、・軟化温度
が80〜220℃未満のピッチ粉末、又は、該ピッチ粉末に
軟化温度が220℃以上のピッチ粉末を併用添加するこ
と、を特徴とし、また、該炭素含有耐火物の製造方法に
おいて、・軟化温度の低いピッチ粉末の軟化温度より少
なくとも20℃以上高い温度でベーキングすること、を特
徴とし、これにより前記目的とする炭素含有耐火物及び
その製造方法を提供するものである。
【0011】即ち、本発明の炭素含有耐火物は、「耐火
性骨材及び炭素材料を含む炭素含有耐火物において、該
耐火性骨材及び炭素材料原料配合物100重量%に対し、
軟化温度が80〜220℃未満のピッチ粉末を0.1〜3重量%
(又は該ピッチ粉末に軟化温度が220℃以上のピッチ粉
末0.1〜5重量%)を含有してなることを特徴とする炭素
含有耐火物。」を要旨とする。
【0012】また、本発明の炭素含有耐火物の製造方法
は、「耐火性骨材及び炭素材料を含む炭素含有耐火物の
製造方法において、耐火性骨材及び炭素材料原料配合物
100重量%に対し、軟化温度が80〜220℃未満のピッチ粉
末を0.1〜3重量%、又は、該ピッチ粉末に軟化温度が22
0℃以上のピッチ粉末0.1〜5重量%を併用添加し、混合
し、成形した後、該成形体を軟化温度が80〜220℃未満
のピッチ粉末より少なくとも20℃以上高い温度でベーキ
ングすることを特徴とする炭素含有耐火物の製造方
法。」を要旨とする。
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。本発明者
等は、炭素含有耐火物において、その結合剤として従来
用いられていた固定炭素量の多い、軟化温度の高いピッ
チ粉末にかえて、・従来使用されていなかった軟化温度
の低いピッチ粉末を用いること、又は、・この軟化温度
の低いピッチ粉末と軟化温度の高いピッチ粉末との2種
類のピッチ粉末(軟化温度の異なる2種類のピッチ粉末)
を併用添加すること、が非常に有効であることを発見
し、本発明を完成したものである。
【0014】本発明で使用する低軟化温度(軟化温度:8
0〜220℃未満)のピッチの作用について説明すると、軟
化温度の低いピッチ粉末は、軟化、溶融時の粘性が低い
ため、周辺組織への分散性に優れており、微細な領域ま
で侵入する。そして、炭素含有耐火物に添加された軟化
温度の低いピッチ粉末は、温度の上昇過程において、軟
化、溶融した後に自身から発生する揮発分のガス圧によ
り周辺組織中へと押し出され、微細な領域に至るまで広
範囲にわたって分散する。
【0015】このように粘性の低い溶融ピッチは、ガス
圧で組織中の広範囲に分散することにより、この組織中
に3次元的な網目状のピッチ膜のネットワークが形成さ
れることになる。そして、分散した軟化温度の低いピッ
チは、その後の温度上昇と共に炭化が進行して約500℃
で完全に固体となり、さらなる温度上昇によって残留水
素等の脱離が徐々に進行して強固な炭素体へと変化す
る。
【0016】その結果、炭素含有耐火物は、広範囲かつ
非常に微細な領域にまで強固なカ−ボンボンドが形成さ
れて組織が強化され、耐食性、耐摩耗性が向上する。ま
た、ピッチ(低軟化温度のピッチ)から発生したガスが耐
火物系外へと放散する際、組織の気孔中に存在する
2、CO2等の酸化性ガスも同時に系外へと放出され
る。その結果、組織内の酸素分圧が低く保持され、低温
域における炭素の酸化が抑制されるために強固なカーボ
ンボンドが形成される。
【0017】このように結合剤として、低軟化温度のピ
ッチ粉末を用いることにより、従来法では解決できなか
った高耐用性の炭素含有耐火物、特に耐スポ−リング
性、耐摩耗性、耐食性に優れた炭素含有耐火物を提供す
ることができる。
【0018】本発明では、上記低軟化温度(軟化温度:8
0〜220℃未満)のピッチ粉末と従来使用されている高軟
化温度(軟化温度:220℃以上)のピッチ粉末との2種類
のピッチ粉末を併用添加することができる。この場合、
高軟化温度のピッチ粉末は、温度の上昇過程において、
低軟化温度のピッチが溶融、分散した後に軟化し、同様
に自身から発生する揮発分のガス圧によって周辺組織へ
と分散、あるいは密着する。
【0019】高軟化温度のピッチは、軟化、溶融時の粘
性が高いため分散能力に乏しく、周辺組織にわずかに侵
入するか、あるいは密着する程度であり、その結果、高
軟化温度のピッチは、内部に空隙を有する粒状物として
組織中に存在することになり、この粒状物が周辺組織に
密着した状態となる。このように分散、密着した高軟化
温度のピッチは、その後の温度上昇と共に約500℃で炭
化が終了して完全に固体となり、さらなる温度上昇によ
って残留水素等の脱離が徐々に進行し、強固な炭素体へ
と変化する。
【0020】本発明において、軟化温度の異なる2種類
のピッチ粉末を併用添加する場合、高軟化温度のピッチ
粉末が軟化する温度域においては、すでに低軟化温度の
ピッチが予め組織中の広範囲にわたって分散しているた
め、軟化温度の異なるピッチ同士の結合が増大する。そ
の結果、低軟化温度のピッチに由来する網目状の炭素膜
に、高軟化温度のピッチ粉末に由来する、内部に空隙を
有する粒状物が結合した炭素体が組織中に生成する。
【0021】ところで、内部に空隙を有する粒状物の生
成によって、耐火物全体の空隙量が増大することにな
り、この空隙量が増大すると、弾性率が低下することが
知られており、従って、高軟化温度のピッチ粉末に由来
する粒状物の生成によって、耐火物の弾性率が低下する
ことになる。また、一般に空隙の増大は、強度の低下を
もたらすが、本発明の併用の場合、この粒状物は周辺組
織に密着すると共に低軟化温度のピッチに由来する炭素
膜と強固に結合しているため、逆に耐火物の強度は向上
する。
【0022】従って、強度/弾性率比が増大するため、
次式で表現される熱衝撃破壊抵抗係数Rが増大し、熱衝
撃時の亀裂発生に対する抵抗性が向上する作用が生じ
る。 R=S(1−ν)/αE (但し、S:強度、ν:ポアソン比、α:熱膨張係数、E:
弾性率を示す)
【0023】次に、軟化温度の異なる2種類のピッチ粉
末を併用添加する場合の両ピッチ粉末の“軟化温度の
差”について説明する。一般に炭素含有耐火物には、カ
ーボンボンドの獲得のためにバインダーとしてフェノー
ル樹脂が使用されている。
【0024】このフェノール樹脂は、約150〜200℃の温
度域で硬化して最高強度を発現するが、200℃以上の温
度域になると分解反応が進行し、次第に強度が低下す
る。フェノール樹脂の分解が進行して耐火物の強度が低
下する温度域において、耐火物内部から発生する揮発分
が多すぎると、高いガス圧によって組織が崩壊する場合
がある。軟化点の高いピッチ粉末を添加する場合も、こ
のような組織崩壊に十分留意する必要がある。
【0025】これに対して、本発明のように併用添加す
る場合には、低軟化温度のピッチが分散する過程で揮発
分の通過経路が予め形成されるため、その後温度が上昇
したときにも高軟化温度のピッチからのガスの放出が無
理なく行われ、耐火物を破壊することなく、良好な組織
を維持することができる。従って、本発明に使用する2
種類のピッチ粉末は、その軟化温度の差が大きいほど好
ましく、この差が少なくとも30℃以上であることが有効
である。軟化温度の差が30℃未満の場合には、揮発分の
放出される温度域が近くなるため発生ガスの圧力が大き
くなり、耐火物組織を破壊する傾向が生じるので好まし
くない。
【0026】本発明の炭素含有耐火物に添加する軟化温
度の低いピッチ粉末は、その軟化温度が80〜220℃未満
であることが望ましい。軟化温度が80℃未満の場合、ま
ず粉末状の原料を調整することが困難であり、また調整
した粉末原料を保存する場合に僅かな気温の上昇によっ
て粉末が軟化、融着するため、工業的に取扱うことが困
難となる。一方、軟化温度が220℃以上の場合、軟化、
溶融した時点での粘性が高いために流動性に欠け、自身
から発生したガスの圧力によっても周辺へと広がること
がなく、従って組織中の微細な空隙には侵入できず、カ
ーボンボンドを強化する効果が十分に得られないので好
ましくない。
【0027】本発明において、上記低軟化温度のピッチ
粉末は、その添加量を0.1〜3重量%の範囲内とすること
が望ましい。添加量が0.1重量%未満の場合、期待する
効果が十分に得られず、一方、3重量%を越えると、耐
火物全体としてのガス発生量が多くなり、温度上昇時に
おける亀裂の発生及び気孔率の上昇をまねき、その結果
炭素含有耐火物の耐用性を低下させることになるので好
ましくない。
【0028】また、低軟化温度のピッチ粉末の粒度は、
特に限定されるものではないが、0.01〜2mmの粒度範囲
が望ましい。2mmよりも大きい粒度では組織への分散性
が悪くなり、また0.01mmよりも小さい粒度になると、粉
砕などの粒度調整のためのコストが高くなり、耐火物製
造時の混練性及び成形性も低下するため好ましくない。
【0029】本発明の炭素含有耐火物に併用添加する高
軟化温度のピッチ粉末は、その軟化温度が220℃以上で
あることが望ましい。軟化温度が220℃未満の場合に
は、軟化時の粘性が低いため周辺組織へと分散してしま
い、本発明で目的とする“内部に空隙を有する粒状の炭
素化物”を生成しないので好ましくない。
【0030】軟化温度の上限は、特に限定するものでは
ないが、400℃を越えると軟化時の粘性が非常に高くな
るため軟化温度の測定そのものが困難となり、軟化温度
という概念も定義の不明確なものとなる。また、ピッチ
は、500℃程度になると炭化反応が急速に進行して固化
することから、軟化点としての上限は、実質上450℃程
度になるものと考えられる。
【0031】この高軟化温度のピッチ粉末は、その添加
量が0.1〜5重量%の範囲内とすることが望ましい。添加
量が0.1重量%未満の場合、期待する効果が十分に得ら
れず、また5重量%を越えると、耐火物全体としてのガ
ス発生量が多くなり、温度上昇時における亀裂の発生及
び気孔率の上昇をまねき、その結果炭素含有耐火物の耐
用性を低下させることになるので好ましくない。
【0032】また、この高軟化温度のピッチ粉末の粒度
は、特に限定されるものではないが、0.005〜0.5mmの粒
度範囲が望ましい。0.5mmよりも大きい粒度では組織へ
の分散性が悪くなり、また0.005mmよりも小さい粒度に
なると、粉砕などの粒度調整のためのコストが高くな
り、耐火物製造時の混練性及び成形性も低下するため好
ましくない。
【0033】本発明で使用し得る低軟化温度及び高軟化
温度のピッチ粉末は、上記の考え方に従う限り特に限定
されるものではないが、代表的なものとして例を挙げる
と、コールタールピッチ、石油ピッチ、合成ピッチ、木
タールピッチ等である。なお、本発明の炭素含有耐火物
は、上記のピッチ粉末と易酸化性の金属粉末とを併用添
加することもできる。
【0034】本発明に使用できる耐火性骨材としては、
マグネシア、スピネル、カルシア、ドロマイト、アルミ
ナ、シリカ、ジルコニア、ジルコン等の酸化物や炭化珪
素、窒化珪素、窒化ほう素、炭化ほう素、ほう化ジルコ
ニウムなどの非酸化物を挙げることができる。また、本
発明に使用できる炭素材料としては、鱗状黒鉛、土状黒
鉛等の天然黒鉛や人造黒鉛、電極屑、炭素繊維、熱分解
炭素等である。
【0035】炭素材料の配合割合は、耐火性材料の種
類、本発明の炭素含有耐火物の使用目的によっても異な
るが、炭素材料2〜40重量%及び耐火性骨材60〜98重量
%の範囲内が好ましい。炭素材料が2重量%未満の場
合、炭素材料のスラグに対し濡れ難いという特性を十分
発揮できず、また40重量%を越えると強度的にも十分な
ものが得られないので好ましくない。
【0036】次に、本発明の炭素含有耐火物の製造方法
について説明する。本発明では、耐火性骨材と炭素材料
よりなる原料配合物に低軟化温度(軟化温度:80〜220℃
未満)のピッチ粉末、又はこのピッチ粉末と高軟化温度
(軟化温度:220℃以上)のピッチ粉末とを添加、混練
し、成形した後、150〜500℃程度でベーキングし、不焼
成の炭素含有耐火物製品を製造することができる。ま
た、上記炭素含有耐火物を600〜1500℃程度の還元雰囲
気あるいは無酸化雰囲気で焼成して焼成品を製造するこ
ともできる。
【0037】本発明の方法において、ピッチ粉末の軟化
温度とベーキング温度とがほぼ類似の温度域にあること
から、該ピッチの分散挙動を制御する意味において特に
ベーキング温度が重要である。即ち、本発明の炭素含有
耐火物を製造する段階で低軟化温度のピッチ粉末の分散
をほぼ終了させておくことが必要であり、このため、本
発明においては、使用する低軟化温度のピッチ粉末の軟
化温度よりも高い温度でベーキングする必要がある。
【0038】特に該ピッチの軟化温度よりも少なくとも
20℃以上高い温度でベーキングすることが有効である。
ベーキング温度が該ピッチの軟化温度に20℃を加算した
温度よりも低い場合には、該ピッチの分散が十分進行し
ていない段階で製品となるため、実際に使用される際の
昇温によって組織が破壊されるため好ましくない。
【0039】また、本発明で使用する低軟化温度のピッ
チ粉末は、溶融後の組織への分散挙動が昇温速度によっ
て大きく異なる。昇温速度が早いと、該ピッチからのガ
ス発生が急激に起こり、組織が破壊されるのでこの昇温
速度についても重要である。なお、転炉、取り鍋等、本
発明の炭素含有耐火物の使用現場においては、一般に初
期の昇温速度が早く、また工場によってまちまちとなっ
ているのが現状である。
【0040】
【実施例】次に、本発明の実施例を比較例と共に挙げ、
本発明の炭素含有耐火物及びその製造方法をより詳細に
説明する。ここで、以下の実施例及び比較例で使用する
低軟化温度(軟化温度:80〜220℃未満)のピッチ(ピッチ
A〜C)及び高軟化温度(軟化温度:220℃以上)のピッチ
(ピッチD、E)を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】(実施例1〜7)本実施例1〜7は“マグ
ネシア・カーボン系耐火物”に係る実施例である。前記
表1に示すピッチを含む各種原料を表2、3に示す配合
比率で配合し、混練した後、場合によっては造粒した
後、1800kgf/cm2の圧力で230×114×65mmの寸法に加圧
成形した。この成形体を表2、3中に示す所定の温度に
て10時間ベーキングし、場合によっては1000℃にて還元
焼成して試料を作製した。この試料の気孔率(ベーキン
グ後の見掛け気孔率)を表2、3に示す。
【0043】得られた試料に対し、1400℃にて還元焼成
した後の気孔率、熱間曲げ強さ及び耐熱衝撃性の評価を
行った。その結果を表2、3に示す。なお、表2、3中
の「熱硬化性樹脂(*1)」は、バインダーとして添加す
る液体フェノール樹脂を示し、また、同「熱衝撃テスト
後の発生亀裂数(*2)」は、試料を1600℃の溶鉄に浸漬
した時に発生する亀裂の本数を一定の規則に従って数値
化したもの[参考文献:耐火物,44[2],75(1992)]であ
る。
【0044】(比較例1〜6)比較のため、前記表1に
示すピッチを含む各種原料を表2、表3に示す配合比率
で配合し、前記実施例と同様にして試料を作製した。ま
た、得られた試料について、前記実施例と同様の試験及
び評価を行い、その結果を同じく表2、3に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】(実施例8〜14)本実施例8〜14は
“アルミナ・カーボン系耐火物”に係る実施例である。
前記表1に示すピッチを含む各種原料を表4、5に示す
配合比率で配合し、前記実施例と同様にして試料を作製
した。この試料のベーキング後の見掛け気孔率を表4、
5に示す。
【0048】また、得られた試料について、1000℃及び
1400℃にて還元焼成した後の気孔率、熱間曲げ強さ及び
耐熱衝撃性の評価を行った。その結果を表4、5に示
す。なお、表4、5中の「熱硬化性樹脂(*1)」は、バ
インダーとして添加する液体フェノール樹脂を示し、ま
た、同「熱衝撃テスト後の発生亀裂数(*2)」は、試料
を1600℃の溶鉄に浸漬した時に発生する亀裂の本数を一
定の規則に従って数値化したもの[参考文献:耐火物,4
4[2],75(1992)]である。
【0049】(比較例7〜12)比較のため、前記表1
に示すピッチを含む各種原料を表4、5に示す配合比率
で配合し、前記実施例と同様にして試料を作製した。こ
の試料のベーキング後の見掛け気孔率を表4、5に示
す。また、得られた試料について、前記実施例と同様の
測定を行い、その測定結果を同じく表4、5に示す。
【0050】
【表4】
【0051】
【表5】
【0052】表2〜5から、比較例に対して本発明の炭
素含有耐火物は、還元焼成後の気孔率が適正範囲内であ
り、熱間強度が高く、かつ熱衝撃試験による発生亀裂が
少ないという特性を有し、この3特性が同時に満足され
ていることが理解できる。従って、本発明の炭素含有耐
火物は、耐食性、耐摩耗性、耐スポーリング性に同時に
優れていることは明らかである。
【0053】
【発明の効果】本発明の炭素含有耐火物は、低軟化温度
(80〜220℃未満の軟化温度)のピッチ粉末、又は、該ピ
ッチ粉末に高軟化温度(220℃以上の軟化温度)のピッチ
粉末を併用添加することを特徴とし、この低軟化温度の
ピッチが微細な空隙に侵入して強固なカーボンボンドを
形成する効果が生じる。また、高軟化温度のピッチ粉末
を併用することにより、上記効果に加えてさらに内部に
空隙を有する粒状の炭素化物の存在によって強度/弾性
率比が向上する効果が生じる。
【0054】また、本発明の炭素含有耐火物の製造方法
は、低軟化温度のピッチ粉末の軟化温度より少なくとも
20℃以上高い温度でベーキングすることを特徴とし、こ
れにより熱間曲げ強度が向上する効果が生じる。そし
て、本発明によれば、耐スポーリング性、耐摩耗性、耐
食性に優れた炭素含有耐火物を提供することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐火性骨材及び炭素材料を含む炭素含有
    耐火物において、該耐火性骨材及び炭素材料原料配合物
    100重量%に対し、軟化温度が80〜220℃未満のピッチ粉
    末を0.1〜3重量%含有してなることを特徴とする炭素含
    有耐火物。
  2. 【請求項2】 耐火性骨材及び炭素材料を含む炭素含有
    耐火物において、該耐火性骨材及び炭素材料原料配合物
    100重量%に対し、軟化温度が80〜220℃未満のピッチ粉
    末0.1〜3重量%及び軟化温度が220℃以上のピッチ粉末
    0.1〜5重量%含有してなることを特徴とする炭素含有耐
    火物。
  3. 【請求項3】 前記軟化温度が80〜220℃未満のピッチ
    粉末と軟化温度が220℃以上のピッチ粉末との軟化温度
    の差が少なくとも30℃以上であるピッチ粉末を併用する
    ことを特徴とする請求項2記載の炭素含有耐火物。
  4. 【請求項4】 耐火性骨材及び炭素材料を含む炭素含有
    耐火物の製造方法において、耐火性骨材及び炭素材料原
    料配合物100重量%に対し、軟化温度が80〜220℃未満の
    ピッチ粉末を0.1〜3重量%、又は、前記ピッチ粉末に軟
    化温度が220℃以上のピッチ粉末0.1〜5重量%を併用添
    加し、混合し、成形した後、該成形体を軟化温度が80〜
    220℃未満のピッチ粉末より少なくとも20℃以上高い温
    度でベーキングすることを特徴とする炭素含有耐火物の
    製造方法。
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