JP2891867B2 - 炭素含有耐火物及びその製造方法 - Google Patents

炭素含有耐火物及びその製造方法

Info

Publication number
JP2891867B2
JP2891867B2 JP6058223A JP5822394A JP2891867B2 JP 2891867 B2 JP2891867 B2 JP 2891867B2 JP 6058223 A JP6058223 A JP 6058223A JP 5822394 A JP5822394 A JP 5822394A JP 2891867 B2 JP2891867 B2 JP 2891867B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon
refractory
present
pitch
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP6058223A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07242461A (ja
Inventor
健治 市川
隆 山村
修 野村
泰宏 星山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shinagawa Shiro Renga KK
Original Assignee
Shinagawa Shiro Renga KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shinagawa Shiro Renga KK filed Critical Shinagawa Shiro Renga KK
Priority to JP6058223A priority Critical patent/JP2891867B2/ja
Publication of JPH07242461A publication Critical patent/JPH07242461A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2891867B2 publication Critical patent/JP2891867B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐スポ−リング性及び
耐食性に優れた炭素含有耐火物及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】黒鉛等の炭素原料を含有する耐火物は、
炭素の有する高熱伝導性並びに炭素の溶融スラグに対す
る濡れ難い性質等により高耐用を示すことから、各種の
冶金用耐火物として広く使用されている。
【0003】しかしながら、この種炭素含有耐火物は、
極端に温度変化の激しい条件下で使用される場合、炭素
含有耐火物といえども熱スポーリングによる亀裂が発生
し、剥離、折損等の損傷が発生することが知られてい
る。また、炭素含有耐火物は、炭素が難焼結性物質であ
るため、クリープし難い特徴がある。
【0004】従って、炭素含有耐火物を大きな拘束応力
が発生する条件下で使用した場合、クリープによる応力
緩和効果が得られず、亀裂が発生して剥離等の損傷が起
こるという欠点があった。これら亀裂の発生による損傷
は、炭素含有耐火物の損耗速度を著しく加速するため、
該耐火物を使用する現場において非常に大きな問題であ
り、これを防止することは、炭素含有耐火物にとって重
要な技術的課題である。
【0005】これまでにも上記亀裂の発生防止を目的と
して、各種の方法が提示されてきている。例えば、(1)
耐熱スポーリング性を向上させるためには、炭素材料の
含有量を増大させることが有効であることが良く知られ
ている。(「耐火物」,44,[2],P.75〜82(1992) 参
照)
【0006】その他、(2)炭素含有耐火物の亀裂発生を
防止する手段として、例えば特公昭62-9553号公報に炭
素繊維を添加する方法が示されている。また、(3)拘束
応力による亀裂発生を防止するため、高温で液相を生成
する酸化物等を添加してクリープ性を持たせる方法が提
案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の耐スポーリング性を向上させる方法は、以下の理由に
よって十分効果的な方法とは言えない。
【0008】即ち、従来の前記(1)の炭素材料の含有量
を増大させた場合には、耐熱スポーリング性が向上する
と同時に耐酸化性が低下することになり、このため逆に
耐用が低下するので好ましくない。また、従来の前記
(2)の炭素繊維を添加する方法では、耐火物組織中に炭
素繊維を均一に分散させることが容易でなく、また、均
一に分散させた場合にもその効果が小さいため、広範に
使用される技術とはなっていない。
【0009】更に、従来の前記(3)の高温で液相を生成
する酸化物等を添加してクリープ性を持たせる方法で
は、生成した液相によって耐火物の溶損が加速されるた
め、好ましくない。このように、従来より提案されてい
る前記(1)〜(3)の方法では、欠点があるか或いはその効
果が十分でないという問題点を有している。
【0010】本発明は、上記問題点に鑑み成されたもの
であって、その目的は、従来の方法では解決できなかっ
た、高耐スポーリング性で、しかも高耐用の炭素含有耐
火物及びその製造方法を提供することにあり、また、熱
スポーリングによる亀裂が発生せず、剥離,折損等の損
傷が発生しない炭素含有耐火物及びその製造方法を提供
することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る炭素含有耐
火物は、耐火性骨材及び炭素材料を含む炭素含有耐火物
において、 ・平均粒径が0.05mm以上で残炭率が41.5%以上85%未
の「熱可塑性を示す硬化剤無添加のノボラック型フェ
ノール樹脂又はピッチ」を特定量(0.1〜5重量%)添加
配合し、成形した後、該成形体を前記フェノール樹脂又
はピッチの軟 化温度よりも高い温度でベーキングし、組
織中に平均直径が0.05mm以上の空 隙を生成せしめ、該
耐火物が有する特性として“還元雰囲気1400℃焼成後の
孔率が10.1%以下”であること(請求項1)、を特徴と
し、また、本発明に係る炭素含有耐火物の製造方法は、 ・平均粒径が0.05mm以上で残炭率が41.5%以上85%未
の「熱可塑性を示す硬化剤無添加のノボラック型フェ
ノール樹脂又はピッチ」を特定量(0.1〜5重量%)添加
混合し、成形した後、該成形体を前記フェノール樹脂又
はピッチの軟化温度よりも高い温度でベーキングし、組
織中に平均直径が0.05mm以上の空隙を生成せしめ、該
耐火物が有する特性として“還元雰囲気1400℃焼成後の
孔率が10.1%以下”となる組織を形成せしめること
(請求項2)、を特徴とし、これにより前記目的とする炭
素含有耐火物及びその製造方法を提供するものである。
【0012】本発明について更に説明すると、本発明に
係る炭素含有耐火物は、温度の上昇に伴って熱分解を起
こし、体積収縮する特定粒度(平均粒径が0.05mm以上)
の有機物、特に高い残炭率(41.5%以上85%未満)を有し
且つ熱可塑性を示す特定の有機物である「硬化剤無添加
のノボラック型フェノール樹脂又はピッチ」を添加し
この有機物の分解、収縮あるいは分散によって組織中に
平均直径が0.05mm以上の空隙が導入され、該耐火物が
有する特性として“還元雰囲気1400℃焼成後の気孔率が
10.1%以下”となるようにしたことを特徴とするもので
ある。
【0013】また、本発明に係る炭素含有耐火物の製造
方法は、上記した特定の有機物を配合し、この有機物の
軟化温度よりも高い温度でベーキングし、組織中に
機物に由来する空隙を生成せしめることを特徴とし、こ
れにより製品段階で上記有機物の周辺組織への分散を十
分進行させた状態とすることができ、該耐火物の使用現
場において一定品質を保証し、安定した使用を確保する
ことができる炭素含有耐火物を提供するものである。
【0014】以下、本発明を詳細に説明すると、本発明
者等は、耐火性骨材及び炭素材料を含む炭素含有耐火物
において、 ・室温で固体である特定の有機物である「熱可塑性を示
す硬化剤無添加のノボラック型フェノール樹脂又はピッ
チ」を添加すること、 ・該有機物の粒度がある特定範囲(平均粒径が0.05mm
以上)内にあること、・該有機物の残炭率がある特定範囲(41.5%以上85%未
満)内にあること、 ・該有機物の軟化温度より高い温度でベーキングするこ
と、により、 ・組織中に平均直径が0.05mm以上の空隙を生成せしめ
ること、 ・該耐火物が有する特性として“還元雰囲気1400℃焼成
後の気孔率が10.1%以下 ”となる組織を形成せしめるこ
と、 が非常に有効であることを発見し、本発明を完成したも
のである。
【0015】本発明において、炭素含有耐火物に添加さ
れた上記特定の有機物は、該耐火物が使用される高温域
で分解して揮発分等を失う。そして、残炭分が炭素化し
て残留した状態となり、また、該耐火物の組織中に、特
にマトリックス中に空隙が生成するようになる。
【0016】ところで、この空隙の生成は、従来、耐火
物の気孔率の上昇を招くことから耐食性を低下させ、好
ましくないとされていた。しかしながら、本発明者等
は、この空隙の量が僅かであり、かつある程度の大きさ
を有する場合には、該耐火物の耐食性を劣化させること
なく、逆に耐火物の耐スポーリング性を向上させる作用
効果が生じることを見いだした。
【0017】本発明の炭素含有耐火物における上記“耐
スポーリング性の向上”について説明すると、耐火物の
スポーリング損傷は、一般にマトリックス中あるいは耐
火性骨材の粗粒とマトリックスとの境界を亀裂が伝播し
て発生する。本発明の炭素含有耐火物が使用されている
状況下では、前記したとおりマトリックス中に空隙が生
成しているため、伝播してきた亀裂は、この空隙と出会
った際に亀裂の伝播エネルギーが分散され、結果として
亀裂の伸展が妨げられるようになる。
【0018】この場合、生成している空隙の大きさが重
要であり、空隙の大きさが小さいときには、上記の亀裂
伸展抑制効果が得られない。この現象の機構は、明確に
は解明できていないが、耐火物に発生する亀裂の大きさ
と関係があるように思われる。
【0019】即ち、亀裂の先端部は、亀裂が構成粒子間
を伝播する限りは、常に組織を構成する最小粒子径より
も大きいことから、耐火物に発生する亀裂は、その先端
部がある大きさを保ちながら伸展していると考えられ
る。この場合、組織中に存在する空隙の大きさが亀裂先
端部よりも著しく小さい場合には、伸展してきた亀裂が
空隙に出会った際にも亀裂の伝播エネルギーを分散する
だけの能力を有さず、結果として亀裂の伸展を妨げる効
果が得られないものと推測される。
【0020】本発明使用する有機物としては、炭素含
有耐火物の温度が上昇する過程で、まず軟化溶融し、そ
の後分解反応が起こり、約500℃で固化し、さらなる温
度上昇によって残炭分の炭素化が進行するものでなけれ
ばならない。 上記挙動を示す有機物は、熱可塑性を示す
ものであり、溶融軟化した後に分解反応が起こって分解
生成物であるガスが発生する。この有機物から発生する
ガスによって、軟化溶融した有機物は周囲の組織へと押
し出され、後には空隙が生成することになる。
【0021】即ち、上記挙動を示す有機物は、軟化溶融
した後にガスと融液とがからみあった状態で周辺組織中
に分散し、その箇所で残炭分の炭素化が進行するため、
成形時に有機物が存在していた箇所は殆ど空隙となる。
従って、添加した有機物の粒径と、耐火物組織中に形成
される空隙の径とがほぼ一致するようになる。このよう
な挙動を示す有機物としては、ある一定量以上の揮発分
を含有することが必要である。揮発分が少ないと、ガス
圧が小さくなり、有機物融液の周辺組織中への分散が行
われず、十分な空隙が導入されない。
【0022】これらの観点から、本発明では、有機物の
揮発分量として、該有機物を800℃まで加熱したときの
重量減少が15%以上である必要がある。即ち、有機物の
残炭率が85%未満とすることを構成要件とするものであ
る。更に、より少ない添加量でより多くの空隙を組織中
に導入する観点から、有機物の揮発分量として、該有機
物を800℃まで加熱したときの重量減少が30%以上(残炭
率が70%未満)であることがより望ましい。また、該有
機物を800℃まで加熱したときの重量減少量の上限値、
つまり残炭率の下限値は、後記実施例に示すように(後
記表1の“有機物4”参照)、41.5%以上である必要が
ある。
【0023】このような挙動を示す有機物(熱可塑性を
示す有機物)としては、硬化剤無添加のノボラック型フ
ェノ−ル樹脂又はピッチが好適であり、本発明は、この
高残炭率を有し且つ熱可塑性を示す有機物を使用するこ
とを特徴とするものである。 なお、ピッチとしては、コ
−ルタ−ルピッチ,石油ピッチ,木炭ピッチなどを用い
ることができる。
【0024】本発明で用いる「熱可塑性を示す硬化剤無
添加のノボラック型フェノール樹脂又はピッチ」として
は、その平均粒径が0.05mm以上とすることが望ましい。
平均粒径が0.05mmよりも小さいと、上述したように耐
スポーリング性の向上効果が殆ど得られなくなり、ま
た、組織のマトリックス中に微細な空隙が多数導入され
るためにマトリックスの耐食性が低下し、炭素含有耐火
物の耐用が悪化するので好ましくない。より大きな耐ス
ポーリング性の向上を得るには、平均粒径を0.1mm以
上とすることがより好ましい。
【0025】また、粒度の上限は、本発明において特に
限定されるものではないが、実際に製造する場合に粒度
が大きすぎると、組織への分散性が悪くなって偏在する
ことから、2mm以下が望ましい。さらに、組織中によ
り多数の空隙を導入するという観点から、1mm以下が
より好ましい。
【0026】本発明において、「熱可塑性を示す硬化剤
無添加のノボラック型フェノール樹脂またはピッチ」
添加量としては、0.1〜5重量%の範囲内とすることが望
ましい。この添加量が0.1重量%未満の場合、期待する
効果が十分に得られない。一方、添加量が5重量%を越
えると、耐火物全体としてのガス発生量が多くなって温
度上昇時における亀裂の発生及び気孔率の上昇をまね
き、その結果炭素含有耐火物の耐用性を低下させること
になるので好ましくない。
【0027】なお、本発明の炭素含有耐火物は、上記
た「熱可塑性を示す硬化剤無添加のノボラック型フェノ
ール樹脂又はピッチ」に加えて、炭素材料の酸化防止を
目的として各種の易酸化性の非酸化物(金属、合金、炭
化物、硼化物、窒化物等)を添加することもできる。
【0028】本発明に使用できる耐火性骨材としては、
マグネシア、スピネル、カルシア、ドロマイト、アルミ
ナ、シリカ、ジルコニア又はジルコン等の酸化物、炭化
珪素、窒化珪素、窒化ほう素、炭化ほう素又はほう化ジ
ルコニウム等の非酸化物を挙げることができる。
【0029】また、本発明に使用できる炭素材料として
は、鱗状黒鉛、土状黒鉛等の天然黒鉛や人造黒鉛、電極
屑、炭素繊維、熱分解炭素等を挙げることができる。炭
素材料の配合割合は、耐火性材料の種類、本発明の炭素
含有耐火物の使用目的によっても異なるが、炭素材料2
〜40重量%及び耐火性骨材60〜98重量%の範囲内が好ま
しい。炭素材料が2重量%未満の場合には、炭素材料の
スラグに対し濡れ難いという特性を十分発揮できず、一
方、40重量%を越えると強度的にも十分なものが得られ
ない。
【0030】本発明の炭素含有耐火物は、上記原料配合
物を適量のバインダーと共に混練し、成形後150〜500℃
程度でベーキングすることにより不焼成品を得ることが
できる。
【0031】本発明で添加配合する「熱可塑性を示す硬
化剤無添加のノボラック型フェノール樹脂又はピッチ」
は、その軟化温度とベーキング温度とがほぼ類似の温度
域にあることから、この分散挙動を制御する意味におい
てベーキング温度は特に重要であり、以下、これについ
て説明する。
【0032】転炉、取り鍋等、本発明の炭素含有耐火物
の使用現場においては、一般に初期の昇温速度が早く、
また工場によってまちまちとなっているのが現状であ
る。昇温速度が早いと有機物からのガス発生が急激に起
こり、有機物の周辺組織への分散が急激に起こる。その
結果、組織が破壊される恐れが生じる。従って、使用現
場において一定した品質を確保しつつ、安定した使用を
実現するには、本発明の炭素含有耐火物を製造する段階
で有機物の分散をほぼ終了させておくことが必要とな
る。
【0033】即ち、本発明の炭素含有耐火物のベーキン
グは、「熱可塑性を示す硬化剤無添加のノボラック型フ
ェノール樹脂又はピッチ」の軟化温度よりも高い温度で
実施することが望ましい。より好ましくは、該有機物の
分散をより十分に行う意味から、その軟化温度よりも20
℃以上高い温度でベーキングすることが有効である。ベ
ーキング温度が該有機物の軟化温度よりも低い場合に
は、該有機物の分散が十分進行していない段階で製品と
なるため、実際に使用される際の昇温によって組織が破
壊されるため好ましくない。
【0034】本発明の炭素含有耐火物は、前記したとお
り、耐火性骨材及び炭素材料に「熱可塑性を示す硬化剤
無添加のノボラック型フェノール樹脂又はピッチ」を添
加し、該原料配合物を適量のバインダーと共に混練し、
成形後150〜500℃程度でベーキングすることにより不焼
成品を得ることができる。また、上記の炭素含有耐火物
を600〜1500℃程度の還元雰囲気あるいは無酸化雰囲気
で焼成し、焼成品として使用に供することもでき、これ
も本発明に包含されるものである。さらに、本発明に係
る炭素含有耐火物においては、該耐火物の有する特性と
して、“還元雰囲気1400℃焼成後の気孔率が10.1%以
下”となる組織を形成せしめるようにしたものである。
【0035】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と共に挙げ、
本発明をより詳細に説明する。
【0036】(実施例1〜5,比較例1〜10) 本実施例及び比較例では、耐火性骨材:マグネシア、炭
素材料:鱗状黒鉛よりなるマグネシア・カ−ボン系耐火
物を例に挙げ、この耐火物に添加配合する有機物とし
て、次の表1に示す有機物1〜5を用いた。なお、表1
中の有機物1〜3は比較のための例であり、有機物4,
5は、本発明で添加配合する特定の有機物の具体例であ
る。また、表1中の有機物1は、その平均粒径が20μm
(=0.02mm)であり、本発明で規定する平均粒径:0.05
mm以上の有機物の範囲外のものである。なお、表1中
の炭素収率(%)は、本発明における残炭率を示すもので
あり、有機物1〜3(比較例)の残炭率は、本発明で規定
する「残炭率41.5%以上85%未満」の範囲外であって、
低い残炭率を示すものである。
【0037】
【表1】
【0038】上記表1に示す有機物(添加物)を含む各種
原料を表2、表3に記載する割合で配合混練し、1800k
gf/cm2の圧力で230×114×65mmの寸法に加圧成
形した。なお、表2、表3中のバインダ−(*3)は、液
体フェノ−ル樹脂である。この成形体を表2、表3に示
す所定の温度で10時間ベーキングして試料を作製した。
【0039】得られた試料に対して“ベーキング後の見
掛け気孔率(%)”“1400℃還元焼成後の見掛け気孔率
(%)”及び耐熱衝撃性の評価を行った。その結果を表
2、表3に示す。なお、表2、表3中の「熱衝撃テスト
後の発生亀裂数(*4)」は、試料を1600℃の溶銑に浸漬
した時に発生する亀裂の本数を一定の規則に従って数値
化したものである(参考文献:「耐火物」(1992)、44、
[2]、P.75)。また、「急熱時の亀裂発生(*5)」は、100
×100×100mm形状の試料を30min.で500℃まで加熱し
た時の、外観亀裂の発生の有無を観察した結果である。
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】上記表2、表3の実施例1〜5から明らか
なように、本発明で規定する平均粒径:0.05mm以上
残炭率:41.5%以上85%未満の有機物4,5を用い、し
かも同じく本発明で規定する添加量範囲(0.1〜5%)内で
配合することによって、初めて還元焼成後の気孔率が適
正範囲内(10.1 %以下)であり、熱衝撃試験による発生
亀裂が少なく、かつ使用現場を想定した急加熱時に組織
が破壊しないという特性が同時に満足されていることが
理解できる。特に、有機物1〜3を添加配合した比較例
1,2,8〜10と、本発明で特定する「熱可塑性を示
す硬化剤無添加のノボラック型フェノール樹脂又はコー
ルタールピッチ」(有機物4,5)を添加配合した実施例
1〜5とを対比すると、前者は、“ベーキング後の見掛
け気孔率(%)”が「3.5〜4.1」であるのに対し、後者
は、「2.0〜2.5」と適正範囲内であり、しかも上記特性
が同時に満足されていることが理解できる。
【0043】一方、有機物を配合しない比較例、同
では、これを配合した実施例1〜5に比して熱衝撃テス
後の発生亀裂数が多いことが認められる。また、本発
明で規定する添加量範囲(0.1〜5%)外の有機物を6%
配合した比較例、同6」では、対応する実施例1〜
、同4,5に比して1400℃還元焼成後の見掛け気孔率
が極めて大きいことが認められた。
【0044】更に、熱可塑性を示す軟化点:170℃の有
機物5を2%配合したものであるが、ベーキング温度が
本発明の範囲外である160℃とした比較例では、「急
熱時の亀裂発生」試験の結果亀裂発生が認められた。
お、比較のための例ではあるが、本発明で規定する平均
粒径(0.05mm以上)の範囲外の有機物1(平均粒径:20
μm)を添加した比較例2、比較例10では、熱衝撃テ
スト後の発生亀裂数が多いことが認められる。
【0045】以上のとおり、本発明で添加配合する「熱
可塑性を示す硬化剤無添加のノボラック型フェノール樹
脂又はピッチ」を用い、かつ、本発明で規定する添加量
範囲(0.1〜5%)で配合することによって初めて、耐スポ
ーリング性、耐食性が同時に優れた炭素含有耐火物が得
られることが理解できる。
【0046】
【発明の効果】本発明の炭素含有耐火物は、温度の上昇
に伴って熱分解を起こし、体積収縮する、特定の平均粒
径(0.05mm以上)で特定範囲の残炭率(41.4%以上から8
5%未満)の「熱可塑性を示す硬化剤無添加のノボラック
型フェノール樹脂又はピッチ」を特定量(0.1〜5重量%)
添加することを特徴とする。そして、この有機物の分
解、収縮あるいは分散によって特定粒度の空隙が組織中
に導入されることになり、該耐火物が有する特性として
“還元雰囲気1400℃焼成後の気孔率が10.1%以下”とな
る組織を形成せしめ、亀裂の伝播を抑制する効果が得ら
れる。
【0047】また、本発明の炭素含有耐火物の製造方法
は、上記特定の平均粒径及び残炭率の「熱可塑性を示す
硬化剤無添加のノボラック型フェノール樹脂又はピッ
チ」を上記特定量配合し、この有機物の軟化温度よりも
高い温度でベーキングし、組織中に有機物に由来する空
隙を生成せしめることを特徴とする。これにより製品段
階で上記有機物の周辺組織への分散を十分進行させた状
態とすることができ、該耐火物の急熱時の亀裂発生が抑
制され、使用現場において一定品質を確保し、安定した
使用を確保することができる効果が生じる。
【0048】更に、本発明の炭素含有耐火物及びその製
造方法によれば、耐スポーリング性を有し、しかも耐食
性に優れた炭素含有耐火物を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−54155(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐火性骨材及び炭素材料を含む炭素含有
    耐火物において、該耐火性骨材及び炭素材料原料配合物
    100重量%に対し、平均粒径が0.05mm以上で残炭率が4
    1.5%以上85%未満の熱可塑性を示す硬化剤無添加のノ
    ボラック型フェノール樹脂又はピッチを0.1〜5重量%添
    加配合し、成形した後、該成形体を前記フェノール樹脂
    又はピッチの軟化温度よりも高い温度でベーキングして
    成り、ベーキング後の組織中に平均直径が0.05mm以上
    の空隙を有し、該耐火物が有する特性として“還元雰囲
    気1400℃焼成後の気孔率が10.1%以下”であることを特
    徴とする炭素含有耐火物。
  2. 【請求項2】 耐火性骨材及び炭素材料を含む炭素含有
    耐火物の製造方法において、耐火性骨材及び炭素材料原
    料配合物100重量%に対し、平均粒径が0.05mm以上
    残炭率が41.5%以上85%未満の熱可塑性を示す硬化剤無
    添加のノボラック型フェノール樹脂又はピッチを0.1〜5
    重量%添加混合し、成形した後、該成形体を前記フェノ
    ール樹脂又はピッチの軟化温度よりも高い温度でベーキ
    ングし、組織中に平均直径が0.05mm以上の空隙を生成
    せしめ、該耐火物が有する特性として“還元雰囲気1400
    ℃焼成後の気孔率が10.1%以下”となる組織を形成せし
    めることを特徴とする炭素含有耐火物の製造方法。
JP6058223A 1994-03-03 1994-03-03 炭素含有耐火物及びその製造方法 Expired - Fee Related JP2891867B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6058223A JP2891867B2 (ja) 1994-03-03 1994-03-03 炭素含有耐火物及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6058223A JP2891867B2 (ja) 1994-03-03 1994-03-03 炭素含有耐火物及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07242461A JPH07242461A (ja) 1995-09-19
JP2891867B2 true JP2891867B2 (ja) 1999-05-17

Family

ID=13078088

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6058223A Expired - Fee Related JP2891867B2 (ja) 1994-03-03 1994-03-03 炭素含有耐火物及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2891867B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5068303B2 (ja) * 2009-12-09 2012-11-07 興亜耐火工業株式会社 不焼成れんがの製造方法及び不焼成れんが
CN114478034A (zh) * 2022-01-14 2022-05-13 中冶南方邯郸武彭炉衬新材料有限公司 一种高炉用环保型高导热炭素捣打料及其制备方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0354155A (ja) * 1989-07-24 1991-03-08 Harima Ceramic Co Ltd 溶融金属容器内張り用黒鉛含有れんがの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07242461A (ja) 1995-09-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4634263B2 (ja) マグネシアカーボンれんが
CN109996772B (zh) 镁碳砖及其制造方法
WO2007011038A1 (ja) カーボン含有耐火物及びその製造方法並びにピッチ含有耐火原料
US9534845B2 (en) Method for manufacturing a refractory for an inner lining of a blast furnace and blast furnace having the inner lining
JP2891867B2 (ja) 炭素含有耐火物及びその製造方法
JP4430448B2 (ja) 等方性黒鉛材の製造方法
JP3155217B2 (ja) 炭素含有耐火物およびその製造方法
JPS6141862B2 (ja)
JP3638081B2 (ja) 低カーボン質炭素含有耐火物及びその製造方法
JP3315887B2 (ja) 炭素含有耐火物の製造方法
JP3906500B2 (ja) カーボン含有耐火物用バインダーの製造方法
JP6361705B2 (ja) 転炉装入壁のライニング方法
JP2006021972A (ja) マグネシア−カーボンれんが
JPH05270889A (ja) 炭素含有耐火物
JP4234804B2 (ja) スライディングノズル装置用プレートれんが
JP2592221B2 (ja) 炭素含有耐火物及びその製造方法
JP7100278B2 (ja) ステンレス溶鋼取鍋スラグライン用マグネシア-スピネル-カーボンれんが
JP2529501B2 (ja) 炭素含有耐火物
JP3121935B2 (ja) 耐火物の製造方法
JPH06135769A (ja) 黒鉛質坩堝
JP2004107124A (ja) 低炭素質耐火物及びその製造方法
JPH11171637A (ja) 炭素含有耐火物およびその製造方法
JPH06263523A (ja) 炭素含有不焼成煉瓦の製造方法
JPS59107961A (ja) 炭素含有耐火物
JPH1017357A (ja) 炭素含有耐火物の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090226

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090226

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100226

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110226

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110226

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120226

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120226

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130226

Year of fee payment: 14

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees