JP3315887B2 - 炭素含有耐火物の製造方法 - Google Patents

炭素含有耐火物の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭素含有耐火物の
製造方法に関し、特に有害ガスの発生及び臭気の発生が
非常に少なく、かつ耐スポーリング性に優れ、しかも混
練性及び成形性に優れた炭素含有耐火物の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】炭素含有耐火物の混練には、従来よりフ
ェノール樹脂が広く用いられている。その理由は、黒鉛
等の炭素を含有した混合物を混練する場合、バインダー
として用いるフェノール樹脂は、混練性,成形性に優れ
た特性を有するからであり、また、焼成時に高い残炭率
を有するため、カーボンによる粒子間結合が発達し、高
耐蝕性を生み出すからである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、フェノ
ール樹脂を用いた場合、次のような欠点や問題点を有し
ている。
【0004】第一に、フェノール樹脂は、これをカーボ
ン化する際、350〜650℃の温度範囲で分解ガス(水,水
素,エチレン,アンモニア,ホルマリン,ホルムアルデ
ヒト,フェノール,クレゾール,キシレノール等)が発
生するという点である。例えば、炉の内張り材として使
用する炭素含有不焼成れんがの場合、200℃程度の乾燥
処理のみで製品となるが、これを炉の内部に施工し、10
00℃程度まで予熱した後使用するのが一般的である。こ
の際、フェノール樹脂は、分解し、上記のような分解ガ
スが発生する。
【0005】第二に、発生した分解ガスは、フェノー
ル,アンモニア,ホルマリン,ホルムアルデヒト等人体
に有害な成分を含み、また、フェノール,アンモニア,
クレゾール,キシレノール等は特に臭気が発生するた
め、環境衛生上問題となる場合があるという点である。
【0006】第三に、フェノール樹脂は接着力が強く、
定形れんがの場合、成形により充填性が高く緻密な組織
を得ることとなるため、受熱時に分解ガスの発生による
組織破壊が問題になる点である。即ち、緻密な組織のた
め、通気性を殆ど持たず、乾燥硬化温度以上の温度範囲
では、発生した分解ガスの通りを阻害し、内部圧力が上
昇して組織の破壊や亀裂の発生を生む。そして、この現
象は、れんがの形状が大きいほど、また、昇温速度が急
なほど、顕著となる。
【0007】この様な現象を防止するためには、フェノ
ール樹脂の分解によるガス発生がなくなる温度域まで、
昇温速度を厳密にコントロールした上で、事前に加熱処
理を行う必要があるが、一般に、不焼成の製品において
は、200〜300℃程度までの加熱処理しか行われず、製品
段階で、分解ガスは完全には除去されていないのが実情
である。一方、分解ガスが完全に除去されるまで高温加
熱処理する方法は、経済的に困難である。
【0008】第四に、昇温時、フェノール樹脂から生成
されるカーボンはガラス質のカーボンであり、組織の結
合形態がガラス質のカーボンボンドとなるため、耐スポ
ーリング性が劣化する点にある。一般的に使用されてい
るフェノール樹脂は、30〜50%の残炭率を有するため、
残炭率が高い程、ガラス質のカーボンボンドが多くな
り、強度は高くなるものの耐スポーリング性は低くな
る。
【0009】そこで、耐スポ−リング性を重視する炭素
含有れんがにおいて、例えばピッチを結合剤とする“ピ
ッチボンドタイプ”のものが知られているが、このピッ
チボンドの炭素含有れんがでは、優れた耐スポ−リング
性を有するものの、ベンツピレン等有害物質を含み、し
かも、常温で固体のピッチを軟化温度以上に加熱して混
練する“加熱混練”が必要であるという欠点を有し、フ
ェノ−ル樹脂に比し混練性,成形性が劣るものであっ
た。
【0010】その他、前記したフェノ−ル樹脂やピッチ
を用いない技術として、耐火マトリックス材料とカ−ボ
ンブラック等の微粉元素炭素を、ポリアクリレ−ト,ポ
リビニル,ポリアルコ−ル,メチルセルロ−ズなどの非
芳香族有機高分子化合物の水溶液または懸濁液と均一に
混合することが知られている(特表平7−504641号公報参
照)。しかし、これらは、ポリアクリレ−ト等の有機高
分子化合物を水溶液又は懸濁液として使用する技術であ
り、得られる成形体のかさ比重が低いという欠点を有し
ており、また、フェノ−ル樹脂に比し混練性,成形性が
劣るものであった。
【0011】また、炭素含有れんがの結合材(バインダ
−)として、ソルビト−ル,マンニト−ル,ポリソルビ
ト−ル等の6価ポリオ−ルを使用することも知られてい
るが(特開昭52−32912号公報参照)、これらのバインダ
−を使用した場合、フェノ−ル樹脂使用品と同等の耐食
性を有する製品が得られ難い。
【0012】上述したように、フェノール樹脂以外の結
合材(バインダ−)では、いずれもフェノ−ル樹脂に比し
混練性や成形性、ないしは、耐食性が劣るものであっ
た。これに対して、フェノール樹脂は、前記した第一〜
第四の欠点を有しているものの、混練性,成形性に優れ
ており、緻密な組織を得ることができることから、従来
より広く用いられているのが、現状である。
【0013】本発明は、フェノール樹脂以外の結合材
(バインダ−)の前記欠点、並びに、特に、フェノール樹
脂使用に伴う前記第一〜第四の欠点に鑑み成されたもの
であって、その目的とするところは、有害ガスの発生及
び臭気が非常に少なく、かつ耐スポーリング性に優れ、
しかもフェノール樹脂と同等以上の混練性,成形性を有
する炭素含有耐火物の製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明に係る炭素含有耐
物の製造方法は、加圧成形してなる炭素含有耐火物の
製造方法であって、従来から用いられている“フェノー
ル樹脂”に代わるバインダーとして、 ・「砂糖,糖蜜,パラチノース,還元パラチノースまた
はトレハロースの1種以上:40〜80重量%、水:20〜60
重量%からなる組成のバインダー」を用いること(請求
1;以下“第1発明”という)、 ・「砂糖,糖蜜,パラチノース,還元パラチノースまた
はトレハロースの1種以上:40〜80重量%、水:5〜30
重量%、沸点80℃以上のアルコール類:5〜50重量%か
らなる組成のバインダー」を用いること(請求項2;
下“第2発明”という)、を特徴とし、これにより、前
記目的とする炭素含有耐火物の製造方法を提供するもの
である。
【0015】また、本発明は、 ・前記第1,第2発明のいずれかのバインダーを用い、
耐火性骨材,炭素材料を含む混合物に、更にピッチ粉末
を6重量%未満添加して混練し、加圧成形すること(請
求項3;以下“第3発明”という)、 ・前記第1〜3発明のいずれかで得られた加圧成形後の
成形体を、400℃以下の温度で熱処理し、その後ピッチ
を含浸すること(請求項4;以下“第4発明”とい
う)、を特徴とし、これによっても、前記目的とする炭
素含有耐火物の製造方法を提供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る炭素含有耐火
物の製造方法について詳細に説明する。まず、本発明に
係る“炭素含有耐火物の製造方法”について説明する
と、本発明は、加圧成形(以下、単に“成形”というこ
ともある)してなる炭素含有耐火物の製造方法である。
【0017】次に、本発明(第1,第2発明)で特徴とす
るバインダ−の構成成分である「砂糖,糖蜜,パラチノ
ース,還元パラチノースまたはトレハロース」の基本的
な機能について説明する。この機能の一つ(第一の機能)
として、「砂糖,糖蜜,パラチノース,還元パラチノー
スまたはトレハロース」は、人体に対して無害であり、
加熱分解物(加熱分解ガス)もフェノールやアンモニア等
のような有害な成分を含まず、殆どが水と二酸化炭素で
あることである。また、臭気については、全く臭いがな
いか、または、ほのかに甘い匂いがする程度で、フェノ
ール樹脂とは比較にならないくらいに軽微であることで
ある。
【0018】第二の機能は、炭素含有耐火物の練土に適
当な粘着性を持たせ、定形れんがの場合、成形する際の
スプリングバックを抑制し、高充填の成形体を得る点に
ある。炭素含有定形れんがは、高圧をかけて成形される
が、圧力除去時に成形体が膨らむ現象、所謂スプリング
バックが生じ易い。そして、この現象を抑制しない限
り、高密度の成形体を得ることはできない。本発明(第
1,第2発明)において、バインダーの構成成分である
「砂糖,糖蜜,パラチノース,還元パラチノースまたは
トレハロース」は、上記現象を抑制する効果が高く、そ
の結果、高充填の成形体を得ることができるものであ
る。
【0019】第三の機能は、加圧成形後及び乾燥処理後
の成形体に充分な強度を持たせる点にある。炭素含有定
形れんがは、大型形状のものが多く、れんがを破損せず
にハンドリングするためには十分な強度が必要とされる
が、本発明(第1,第2発明)における「砂糖,糖蜜,パ
ラチノース,還元パラチノースまたはトレハロース」
は、成形後及び乾燥処理後の成形体に十分な強度を持た
せることができ、成形体が大型であっても、ハンドリン
グ時に破損することがない。
【0020】上記第一〜第三の機能を生じさせるため、
本発明(第1,第2発明)に係るバインダーでは、「砂
糖,糖蜜,パラチノース,還元パラチノースまたはトレ
ハロースの一種または二種以上」を必須構成成分とする
ものである。
【0021】本発明(第1,第2発明)で特に限定するも
のではないが、 ・砂糖黍や甜菜からつくられ、二糖類のシュクロースを
主成分とする「砂糖」(砂糖の種類としては、上白糖,
中白糖,三温糖,グラニュ糖,粉糖,黒糖,白下糖等)
を、また、 ・シュクロース以外にも単糖類であるグルコース,フラ
クトース等を比較的多く含み、砂糖を抽出・分離した残
液である「糖蜜」を、 ・天然では植物のイワヒバの一種等から抽出し、工業的
には単糖類から合成する二糖類の「トレハロース」を、
主として使用するのが好ましい。
【0022】なお、本発明(第1,第2発明)で使用する
「砂糖,糖蜜,パラチノース,還元パラチノースまたは
トレハロース」は、他の糖化物、例えば澱粉を原料とす
る糖化物及び/又は還元糖化物と併用することもでき、
これも本発明に包含されるものである。
【0023】ところで、バインダーとして要求される要
件の一つは、炭素含有耐火物用原料の混練時に、黒鉛等
の炭素質材質の表面エネルギーを低下させ、成形を容易
にし、かつ高密度の成形体を得る点にある。即ち、炭素
含有耐火物は、比表面積が大きく、表面エネルギーの高
い炭素材料を使用するため、混練時に、如何にバインダ
ーを該炭素材料表面に均一に被覆させ、そして、表面エ
ネルギーを小さくするかが、高密度の成形体を得ること
にとって非常に重要となる。
【0024】本発明(第1,第2発明)による混練は、黒
鉛等炭素質材料の表面を均一に被覆し、表面エネルギー
を低下させることができるため、加圧成形が容易とな
り、しかも、高密度の成形体が得られるものである。
【0025】次に、本発明(第1,第2発明)で用いるバ
インダーのその他の構成成分である「水」の作用(機能)
について説明すると、これは、バインダーの粘度調整の
ために使用するものである。即ち「砂糖,糖蜜,パラチ
ノース,還元パラチノースまたはトレハロース」は、水
に極めてよく溶ける性質を有するので、「砂糖,糖蜜,
パラチノース,還元パラチノースまたはトレハロース」
を水溶液とすることにより、容易なる粘度調整を可能と
するものである。
【0026】第発明についてさらに詳細に説明する
と、第発明では、「砂糖,糖蜜,パラチノース,還元
パラチノースまたはトレハロース」の1種以上:40〜80
重量%、水:20〜60重量%の配合比率からなる“水溶液
バインダー”として用いることを特徴とする。(より好
ましくは、「砂糖,糖蜜,パラチノース,還元パラチノ
ースまたはトレハロース」の1種以上を50〜70重量%と
し、「水」を30〜50重量%とするものである。)
【0027】その理由は、40重量%未満では「水」が多
くなり過ぎて練土の粘着性が不足し、成形時のスプリン
グバックが大きくなるため、フェノール樹脂を用いた場
合と同等以上の緻密な成形体を得ることができず、一
方、80重量%を超えると、バインダーとしての粘性が高
くなり過ぎ、また、水に対する溶解度を超えてしまうた
め、バインダーを炭素材料表面に均一に被覆させること
ができなくなったり、また、水に溶けきらない量が無駄
になるからである。
【0028】なお、上記配合比率は、混練且つ加圧成形
時に必要な比率であって、混練時に「砂糖,糖蜜,パラ
チノース,還元パラチノースまたはトレハロース」が40
重量%未満、「水」が60重量%を超える比率であっても
問題はなく、混練は可能である。但し、この場合、加圧
成形時に上記配合比率となるように、練土を乾燥する必
要がある。また、上記配合比率で混練し、バインダーが
炭素材料表面に均一に被覆されていれば、成形時に「砂
糖,糖蜜,パラチノース,還元パラチノースまたはトレ
ハロース」が、80重量%を超える比率、「水」が20重量
%未満であっても、「水」が存在し、練土が高粘着性を
保持している限り、成形は可能である。
【0029】「砂糖,糖蜜,パラチノース,還元パラチ
ノースまたはトレハロース」と「水」の混合・溶解のタ
イミングは、予め溶解し、水溶液として使用しても良い
し、または、耐火性骨材,炭素材料を含む混合物を混練
する時に、「砂糖,糖蜜,パラチノース,還元パラチノ
ースまたはトレハロース」を予め混合し、その後「水」
加えて、ミキサー中で溶解しても良い。
【0030】この場合の水の量は、20〜60重量%が好ま
しく、より好ましくは30〜50重量%である。20重量%未
満では、バインダ−の粘性が高くなり、炭素質材料表面
を十分に被覆することができず、その結果として高密度
の成形体が得られ難く、一方、60重量%を超えると、坏
土の粘着性が低下し、スプリングバックが大きくなるか
らである。なお、上記水の量は、耐火性骨材,炭素材料
を含む混合物の混練時,成形時に必要な量であって、
「砂糖,糖蜜,パラチノース,還元パラチノースまたは
トレハロース」が混練時に低濃度であっても、また成形
時に高濃度であっても、例えば乾燥処理などにより、前
記範囲内となるよう調整することができる。
【0031】次に、第発明で特徴とするバインダーに
ついて、詳細に説明すると、これは、前記第発明に係
るバインダーに、更に「沸点80℃以上のアルコール類」
を配合することを特徴とする。即ち、第発明に係るバ
インダーは、「砂糖,糖蜜,パラチノース,還元パラチ
ノースまたはトレハロース」の1種以上:40〜80重量
%、水:5〜30重量%、沸点80℃以上のアルコール類:5
〜50重量%からなることを特徴とする。
【0032】炭素含有耐火物に使用される耐火性骨材が
マグネシア,ドロマイト,マグネシア過剰型スピネル等
の塩基性骨材である場合、また、添加物としてアルミニ
ウム等の金属,窒化アルミニウム等の窒化物や炭化物が
使用される場合、水の存在下では、これらが水と反応し
て水和物を生成し、練土の乾燥化や成形体の組織破壊を
引き起こすことがある。従って、上述のような場合に
は、水の配合量を可能な限り少なくする必要があり、こ
の問題を解決したのが第発明である。即ち、第発明
に係るバインダーでは、後に詳記するが、「沸点80℃以
上のアルコール類」をさらに配合することで「水」の配
合量を少なくしたものである。
【0033】第発明に係るバインダーにおいて、その
構成成分とする「砂糖,糖蜜,パラチノース,還元パラ
チノースまたはトレハロース」は、前記第発明で説明
したと同様、その1種又は2種以上の混合物を使用する
ことができる。さらに、その配合量についても、前記第
発明と同様、“40〜80重量%”とするものであり、そ
の理由は、第発明と同じであるので、その説明を省略
する。なお、前記第発明でも同様であるが、「砂糖,
糖蜜,パラチノース,還元パラチノースまたはトレハロ
ース」は、他の糖化物、例えば澱粉を原料とする糖化物
及び/又は還元糖化物と併用することもでき、これも本
発明に包含されるものである。
【0034】次に、第発明に係るバインダーの構成成
分である「沸点80℃以上のアルコール類」について説明
すると、これは、エチレングリコール,ジエチレングリ
コール,グリセリン等のグリコール類、2-プロパノー
ル,1-ブタノール,1-ペンタノール等の一価アルコール
類などを使用することができるが、いずれも“沸点80℃
以上のアルコール類”であることを必要とする。沸点80
℃未満のアルコール類を使用した場合、混練中にアルコ
ールが揮発し、練土の性状を大きく変化させてしまうだ
けでなく、引火・爆発の可能性があり、非常に危険であ
る。なお、沸点の上限については、特に限定するもので
はないが、製造上の観点から400℃以下が好ましい。
【0035】上記「沸点80℃以上のアルコール類」の配
合量としては、5〜50重量%の範囲(より好ましくは10〜
30重量%)であることが必要であるが、その理由は、5重
量%未満では、バインダーが炭素質材料表面を十分に被
覆できないため高密度の成形体が得られ難く、一方、50
重量%を超えると、練土の粘着性が極端に低下し、スプ
リングバックが大きくなり、同じく高密度の成形体が得
られ難くなるからである。
【0036】第発明に係るバインダーにおいて、必須
配合成分である「水」は、前記したとおり、バインダー
の粘性を調整する目的で使用するものであるが、その配
合量としては、5〜30重量%が好ましく、より好ましく
は10〜20重量%である。その理由は、30重量%を超える
と、前記したとおり、例えばマグネシア,ドロマイト,
マグネシア過剰型スピネル等の塩基性骨材を使用する場
合、また、添加物としてアルミニウム等の金属,窒化ア
ルミニウム等の窒化物や炭化物を使用する場合には、上
記塩基性骨材又は金属がバインダー中に含まれる水と反
応し、良好な練土・成形体が得られないからである。こ
のように、第発明に係るバインダーでは、「水」の配
合量の上限値を制限し、その値を30重量%とするもので
ある。
【0037】また「砂糖,糖蜜,パラチノース,還元パ
ラチノースまたはトレハロース」は、水には非常に良く
溶解するが、グリコール等のアルコール類には溶解し難
いため、少量の「水」を溶剤として使用する必要があ
る。「水」の配合量が5重量%未満では、「砂糖,糖
蜜,パラチノース,還元パラチノースまたはトレハロー
ス」の溶け残りを生ずるため、「水」の配合量は5重量
%以上とするのが好ましい。
【0038】なお、上記配合比率は、前記第発明に係
るバインダーと同様、混練且つ加圧成形時に必要な比率
であって、「砂糖,糖蜜,パラチノース,還元パラチノ
ースまたはトレハロース」溶液が混練時により低濃度で
あっても、また加圧成形時により高濃度であっても、前
記説明と同様、適切な乾燥処理により、問題を解決する
ことができる。
【0039】また、「砂糖,糖蜜,パラチノース,還元
パラチノースまたはトレハロース」と「水」及び「沸点
80℃以上のアルコール類」の混合・溶解のタイミング
は、予め溶解したものを使用しても良いし、または、耐
火性骨材,炭素材料を含む混合物を混練する時に、「砂
糖、糖蜜,パラチノース,還元パラチノースまたはトレ
ハロース」を予め混合し、その後「水」及び「沸点80℃
以上のアルコール類」を加えて、ミキサー中で溶解して
も良い。
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】以上詳記したように、第1発明のバインダ
ーは「砂糖,糖蜜,砂糖から生成されるパラチノース,
還元パラチノースまたはトレハロース(40〜80重量
%)」,「水(20〜60重量%)」の2成分からなり、一
方、第発明バインダーは「砂糖,糖蜜,砂糖から生
成されるパラチノース,還元パラチノースまたはトレハ
ロース(40〜80重量%)」,「水(5〜30重量%)」,「沸
点80℃以上のアルコール類(5〜50重量%)」の3成分か
らなることを特徴とする。(なお、第1,第2発明の上
記「砂糖,糖蜜,パラチノース,還元パラチノースまた
はトレハロース」は、これらの1種又は2種以上を使用
するものである。)
【0045】そして、各成分の配合割合は、混練物の種
類ないし組成、例えば使用する耐火性骨材や炭素材料の
種類、その他アルミニウムやアルミニウム合金などを添
加した混練物の組成などにより異なるが、上記( )の範
囲内の割合であれば、フェノール樹脂を用いた場合と同
等又はそれ以上の“緻密な成形体”を得ることができ
る。
【0046】本発明に係る炭素含有耐火物の製造方法
は、後に詳記するが、上記第1,第2発明に係る組成の
バインダーを用い、耐火性骨材,炭素材料を含む混合物
に、更に6重量%未満(好ましくは0.2〜3重量%)のピッ
チ粉末を配合した混合物を混練し、加圧成形してなる炭
素含有耐火物の製造方法も包含するが(第3発明)、この
場合、前記第1,第2発明と同様、バインダーの添加量
は外掛で1〜5重量%が好ましい。
【0047】また、本発明に係る炭素含有耐火物の製造
方法には、これも後に詳記するが、「耐火性骨材,炭素
材料を含む混合物」又は「耐火性骨材,炭素材料,6重
量%未満のピッチ粉末を含む混合物」を、上記第1,第
2発明に係る組成のバインダーを用いて混練し、加圧成
形して得られた成形体に対して、400℃以下の温度で熱
処理し、その後ピッチを含浸させてなる炭素含有耐火物
の製造方法も包含する(第4発明)。
【0048】なお、本発明で使用する耐火性骨材として
は、各種のアルミナ,マグネシア,スピネル,ジルコニ
ア,ドロマイト等の耐火性を有する骨材を挙げることが
でき、また、炭素材料も特に限定するものではなく、黒
鉛,コークス,カーボンブラック等を使用することがで
きる。更に、必要に応じてアルミニウム,シリコン等の
既知添加物を添加した炭素含有耐火物にも適用すること
ができ、これも本発明に包含されるものである。なお、
本発明に係る炭素含有耐火物の製造方法は、前記したと
おり、加圧成形した耐火物の製造方法である。
【0049】
【作用】本発明(第1,第2発明)に係る組成のバインダ
ーを用いることにより、本発明で解決しようとする問題
はすべて解決できるものである。即ち、本発明(第1,
第2発明)に係る組成のバインダーは、300℃程度の乾燥
処理により大部分が揮発し、それ以上の温度での揮発成
分は非常に少ない性質を持つため、フェノール樹脂を用
いた場合に見られる350〜650℃の温度範囲での分解ガス
の発生による組織破壊は起こらない。また、耐スポーリ
ング性を低下させるガラス質カーボンの生成もないた
め、耐スポーリング性に優れた炭素含有耐火物の供給が
可能となる。
【0050】更に、本発明(第1,第2発明)に係る組成
のバインダーは、フェノール樹脂に比し残炭率が低いの
で、焼成された場合のカーボンボンドの生成はフェノー
ル樹脂に比し少ないが、加圧成形時に、フェノール樹脂
と同等またはそれ以上の高い充填性が得られることか
ら、耐火物で最も重要視される“溶損性スラグに対する
抵抗性,耐蝕性”も、フェノール樹脂バインダーを用い
た場合と同等またはそれ以上の特性が得られる。
【0051】このように、本発明(第1,第2発明)に係
る組成のバインダーを用いて製造された炭素含有耐火物
は、バインダーの分解ガスによる割れや熱スポーリング
による割れに対し非常に有効な特性を有し、且つフェノ
ール樹脂バインダーを用いた場合と同等の耐蝕性を有す
る優れた耐火性材料が得られる。
【0052】更に、本発明(第1,第2発明)に係る組成
のバインダーの使用は、ピッチ粉末との組み合わせがフ
ェノール樹脂バインダーを使用した場合に比べて容易で
あり、ピッチ粉末を用いたピッチボンドの耐火含有耐火
物の提供を可能にする。このことから、本発明に係る炭
素含有耐火物の製造方法では、第1,第2発明に係る組
成のバインダーを用い、耐火性骨材,炭素材料を含む混
合物に、さらに6重量%未満(好ましくは0.2〜3重量%)
のピッチ粉末を混練し、加圧成形することも特徴とする
ものである(第3発明)。
【0053】即ち、従来の炭素含有耐火物における結合
手段としては、 ・フェノール樹脂を用いたレジンボンド、または、 ・ピッチを用い、このピッチの軟化温度以上で加熱混練
するピッチボンド、の2手段が主体であるが、本発明
(第1,第2発明)に係る組成のバインダーの使用は、常
温混練のピッチボンド炭素含有耐火物の提供も可能にす
る。
【0054】これを詳細に説明すると、従来のピッチボ
ンド耐火物では、ピッチが常温で固体であるため、ピッ
チの軟化点温度以上に加熱し混練する必要があったが、
本発明(第1,第2発明)に係る組成のバインダーを使用
することにより、ピッチを粉末状のまま使用することも
できる。粉末で添加されたピッチは、乾燥処理の温度域
で軟化し、組織中に拡散してピッチボンドを形成する。
【0055】類似の手法でフェノール樹脂を用いても可
能であるが、フェノール樹脂を用いた場合は、この樹脂
から生成されるガラス質のカーボンが結合の主体とな
り、ピッチは2次的な役割しか果たさず、レジンボンド
の欠点である耐スポーリング性の改良には必ずしも十分
ではない。これに対して、本発明(第1,第2発明)に係
る組成のバインダーと粉末ピッチを併用することにより
形成される結合形態は、結晶質のカーボンボンドが主体
であり、ピッチボンドの炭素含有耐火物と同等の優れた
耐スポーリング性を有する。更に、混練を常温で行うこ
ともできることから、作業環境性,価格性の面で従来の
ピッチボンドの炭素含有耐火物よりも優れている。
【0056】本発明(第発明)に使用できるピッチの種
類としては、特に限定するものではないが、乾燥過程で
ピッチを組織中に拡散させる観点から、乾燥温度付近の
温度で軟化する”軟化点:100〜350℃,固定炭素:60重
量%以上のピッチ”が好ましい。
【0057】また、本発明(第発明)において、ピッチ
の添加量を6重量%未満(好ましくは0.2〜3重量%)に限
定した理由は、6重量%を超えると、気孔率の増大が著
しく、溶損性スラグの浸潤により耐蝕性の低下を招くか
らである。なお、ピッチの添加手段としては、耐火骨材
や炭素材料に混合したり、あるいはバインダーに添加す
ることもできる。
【0058】更に、本発明(第1,第2発明)に係る組成
のバインダーを用いて製造された炭素含有耐火物の特徴
として、上記第3発明を含めて、300℃程度の乾燥処理
により揮発成分の大部分が揮発するため、乾燥後の成形
体には開放気孔が多く存在する。このため、乾燥処理手
段だけでピッチ等の2次結合材の含浸処理が可能とな
る。この事実により、本発明に係る炭素含有耐火物の製
造方法には、上記したバインダーを用いて混練し、加圧
成形して得られた成形体に対して、400℃以下の温度で
熱処理し、その後ピッチを含浸してなる炭素含有耐火物
の製造方法も包含する(第4発明)。
【0059】従来のフェノール樹脂バインダーの使用で
は、乾燥後の組織に含まれる気孔は殆どが密閉気孔であ
るため、乾燥処理手段のみでは含浸の効果が発現され
ず、600℃以上の温度でコーキング処理した後に含浸処
理する必要があり、このため、高い費用が必要とされて
いた。これに対して、本発明(第1,第2発明)に係る組
成のバインダーを使用することにより、乾燥処理だけで
含浸することが可能となる。
【0060】このことは、含浸処理にかかるコストの大
幅な低減を可能にし、より安価な製品まで適用すること
ができ、廉価な“耐用性に優れた含浸品”を提供するこ
とができる。なお、第発明において、含浸処理前の加
熱処理温度を400℃以下としたのは、400℃を超える温度
の加熱処理では、コーキング処理の領域となり、コスト
的な利点がなくなるためである。(400℃を超える温度
で加熱処理をしても、品質特性上及び製造技術上は何ら
問題はない。)
【0061】本発明(第1〜第発明)で得られた製品
は、優れた耐スポーリング性及び耐蝕性を有する炭素含
有耐火物として製鋼用溶炉の内張り材として使用される
のはもちろん、連続鋳造用の機能性耐火物としても使用
される。
【0062】
【実施例】次に、本発明の実施例を比較例と共に挙げ、
本発明の炭素含有耐火物の製造方法を具体的に説明する
が、本発明は、以下の実施例によって限定されるもので
はない。
【0063】 (本発明に係るバインダーの組成例,比較のための組成
例) 表1に、本発明(第1,第2発明)に係る組成のバインダ
ーの組成例及び比較のための組成例を示す。バインダー
A〜Dは、第1発明に係るバインダーの組成例であり、
バインダーE,Fは、第2発明に係るバインダーの組成
例である。また、バインダーG,Hは、第1発明に係る
バインダーの組成範囲外のものであり、バインダーI,
Jは、第2発明に係るバインダーの組成範囲外のもので
あり、いずれも比較のために示したものである。
【0064】
【表1】
【0065】(実施例1〜9)上記表1のバインダーA
〜Fを用い、表2に示す配合比率で各原料を配合し、混
練した後、1.8MPaの圧力で230×114×65mmの寸法に加
圧成形した。この成形体を200℃で10時間乾燥硬化処理
し、試料を作成した。
【0066】実施例1は、バインダーAを使用し、添加
率3.0重量%とした例であり、実施例2〜4は、バイン
ダ−Bを用い、添加率を2.0重量%,3.0重量%,4.0重
量%とした例である。また、実施例5は、バインダーC
を、実施例6は、バインダーDを、それぞれ添加率3.0
重量%使用した例であり、実施例7,8は、バインダー
Eを添加率2.0重量%,3.0重量%使用し、実施例9は、
バインダーFを添加率3.0重量使用した例である。
【0067】得られた各試料に対して「成形後のかさ比
重」「見掛気孔率(乾燥後;200℃/10hrs,焼成後;100
0℃/3hrs)」を測定し、その結果を表2に示す。また、
次に説明する「浸蝕テスト」及び「熱スポーリングテス
ト」を行い、その結果も表2に示す。
【0068】浸蝕テストは、高周波誘導炉で鋼を溶解
し、製鋼スラグを浸食剤として1650℃の温度で実施し
た。その結果を指数化し“耐蝕性指数”として表2に示
す。また、熱スポーリングテストは、1000℃で予備焼成
した40×40×230mmの試料を1650℃の溶鋼に浸漬した
時に発生する亀裂の本数を、一定の規則に従って数値化
する方法「耐火物 44 [2] 75 (1992)参照」で実施し
た。その結果を指数化し“耐スポーリング性指数”とし
て表2に示す。なお、これらの指数は値が大であるほど
良好であることを示す。
【0069】(比較例1〜5)比較のため、表1のバイ
ンダーG〜J及びフェノール樹脂を用い、表3に示す配
合比率で各原料を配合し、前記実施例と同様にして試料
を作製した。得られた各試料に対して、前記実施例と同
様、「成形後のかさ比重」「見掛気孔率(乾燥後,焼成
後)」「耐蝕性指数」「耐スポーリング性指数」を測定
し、その結果を表3に示す。
【0070】なお、比較例1,2は、第1発明に係るバ
インダーの組成範囲外のバインダーG,Hを用いた例で
あり、比較例3,4は、第2発明に係るバインダーの組
成範囲外のバインダーI,Jを用いた例である。また、
比較例5は、バインダーとしてフェノール樹脂を用いた
例(従来例)である。
【0071】
【表2】
【0072】
【表3】
【0073】上記表2,表3から明らかなように、第1
明に係る組成範囲のバインダーA〜Dを使用した実施
例1〜6、第2発明に係る組成範囲のバインダーE,F
を使用した実施例7〜9において、従来バインダーを用
いた比較例5に比べ成形後のかさ比重は同等または向上
し、緻密化している。また、耐蝕性は、バインダーBを
2.0重量%添加した実施例2を除き、同等であり、一
方、耐スポーリング性はいずれの実施例でも優れた結果
となっている。
【0074】これに対して、第1発明に係るバインダー
の組成範囲外であるバインダーG、第2発明に係るバイ
ンダーの組成範囲外であるバインダーIを用いた比較例
1及び比較例3では、従来のバインダー(フェノール樹
脂)を用いた比較例5に比べ成形後のかさ比重が低下し
ており、緻密な成形体が得られていない。また、耐スポ
ーリング性の向上はやや認められるものの、耐蝕性が著
しく劣る結果となっている。
【0075】さらに、第1発明に係るバインダーの組成
範囲外であるバインダーH、第2発明に係るバインダー
の組成範囲外であるバインダーJを用いた比較例2及び
比較例4では、成形時にラミネーションが発生し、満足
のいく成形体が得られず、各種測定は実施できなかっ
た。
【0076】(実施例10〜13)前記表1のバインダ
ーB,Eを用い、表4に示す配合比率で各原料を配合
し、前記実施例1〜9と同じ条件で試料を作成した。こ
の実施例10〜13は、いずれも粉末ピッチ2重量%を
添加した例であり、このうち、実施例11,13では、
コーキング処理をしないで、ピッチ含浸を実施した例で
ある。
【0077】得られた各試料に対して「成形後のかさ比
重」「見掛気孔率(乾燥後,含浸後,焼成後)」を測定
し、また、「浸蝕テスト」及び「熱スポーリングテス
ト」を行った。結果を表4に示す。浸蝕テスト及び熱ス
ポーリングテストは、前記実施例1〜9と同じ内容のテ
ストで、これらの指数は、大きな値であるほど良好なも
のであることを示す。
【0078】(比較例6〜8)比較のため、従来バイン
ダーであるフェノール樹脂を用いて、粉末ピッチ2重量
%を添加した表4に示す配合比率で各原料を配合し、実
施例10〜13と同じ条件で試料を作成した。更に、比
較例7では、コーキング処理をしないで、比較例8で
は、600℃で10時間のコーキング処理を行った後、ピッ
チ含浸を実施した。
【0079】得られた各試料に対して「成形後のかさ比
重」「見掛気孔率(乾燥後,含浸後,焼成後)」を測定
し、また「浸蝕テスト」及び「熱スポーリングテスト」
を行った。結果を表4に付記する。なお、各測定及び試
験の条件や内容は、実施例10〜13と同じである。
【0080】
【表4】
【0081】前記表2の実施例3との比較において、実
施例10は、粉末ピッチ2重量%の添加により、耐蝕性
及び耐スポーリング性は、いずれも指数として“20”
の向上がみられる。そして、従来バインダーであるフェ
ノール樹脂を用いた前記表3の比較例5と、これに粉末
ピッチ2重量%を添加した前記表4の比較例6とを比べ
ると、指数としてそれぞれ“10”だけ向上するもので
あるところから、“20”の向上がみられる実施例10
では、粉末ピッチ添加の効果がより強く現れていること
が分かる。
【0082】一方、ピッチ含浸の効果について、従来バ
インダーであるフェノール樹脂を用いた場合、比較例7
の乾燥加熱だけの処理では、ピッチ含浸をしていない比
較例6と比べて、耐蝕性および耐スポーリング性のいず
れも向上効果が認められず、コーキング処理をした比較
例8においてのみ、耐蝕性の向上が認められるだけであ
る。
【0083】これに対して、第1発明に係る組成のバイ
ンダーBを用いた実施例11及び第2発明に係る組成の
バインダーE用いた実施例13の場合、乾燥加熱だけの
処理であるにもかかわらず、ピッチ含浸によって焼成後
の見掛気孔率の低減及び耐蝕性の向上が認められる。更
に、実施例11,実施例13では、従来バインダーであ
るフェノール樹脂を用い、コーキング処理後にピッチ含
浸をした比較例8より、耐蝕性及び耐スポーリング性の
いずれにおいても優れていることが分かる。
【0084】以上のように、本発明(実施例1〜13参
照)は、耐火物の基本特性である耐蝕性及び耐スポーリ
ング性が従来品(比較例5〜7参照)に比し同等或いは優
れている特性を有することから、例えば製鋼用溶炉の内
張り材として使用した場合、高耐用が得られることは明
らかである。
【0085】
【発明の効果】本発明は、以上詳記したとおり、加圧成
形してなる炭素含有耐火物の製造方法であって、従来か
ら用いられている“フェノール樹脂”に代わるバインダ
ーとして、 ・砂糖,糖蜜,パラチノース,還元パラチノースまたは
トレハロース:40〜80重量%、水:20〜60重量%からな
る組成のバインダーを用いることを特徴とし(第1発
明)、または、 ・砂糖,糖蜜,パラチノース,還元パラチノースまたは
トレハロース:40〜80重量%、水:5〜30重量%、沸点8
0℃以上のアルコール類:5〜50重量%からなる組成のバ
インダーを用いることを特徴とする(第2発明)。
【0086】上記特徴により、本発明(第1,第2発明)
では、有害ガスの発生及び臭気が非常に少なく、従っ
て、環境衛生上優れた特性を有し、かつ耐スポーリング
性に優れ、しかもフェノール樹脂と同等以上の混練性,
成形性を有する炭素含有耐火物を提供することができる
という顕著な効果が生じる。特に、第発明にあって
は、第発明に比し、水の配合量を少量とすることがで
きることから、耐火性骨材として「ドロマイト,マグネ
シア,マグネシア過剰型スピネル等の塩基性骨材」を使
用する場合、及び/又は、添加物として「アルミニウム
等の金属,窒化アルミニウム等の窒化物や炭化物」を配
合した場合の炭素含有耐火物の製造に好適であるという
利点を有する。
【0087】また、第発明にあっては、第1,第2
明に係る組成のバインダーを用い、耐火性骨材と炭素材
料を含む混合物に、更にピッチ粉末を6重量%未満添加
して混練し、加圧成形することを特徴とする。このよう
に第1,第2発明に係る組成のバインダーと粉末ピッチ
とを併用することにより、従来のフェノール樹脂と粉末
ピッチとを併用した炭素含有耐火物より優れた耐スポー
リング性を有し、しかも混練を常温で行うこともできる
ことから、従来のピッチボンドの炭素含有耐火物より
も、作業環境性,価格性などの面で優れている利点を有
する。
【0088】さらに、第発明では、第1〜発明で得
られた成形体を、400℃以下の温度で熱処理し、その後
ピッチを含浸することを特徴とする。このように400℃
以下という加熱処理だけで、2次結合材であるピッチの
含浸処理が可能となり、従来のフェノール樹脂使用によ
る炭素含有耐火物に比し、耐蝕性及び耐スポーリング性
が優れている含浸品を提供することができるという効果
が生じる。そして、本発明の方法で得られた製品は、優
れた耐スポーリング性及び耐蝕性を有する炭素含有耐火
物として、製鋼用溶炉の内張り材として使用され、ま
た、連続鋳造用の機能性耐火物等として使用することも
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−96580(JP,A) 特開 昭59−18173(JP,A) 特開 昭50−114314(JP,A) 特開 昭50−30911(JP,A) 特開 平7−53255(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/632 C04B 35/66

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐火性骨材,炭素材料を含む混合物を、
    砂糖,糖蜜,パラチノース,還元パラチノース,トレハ
    ロースの一種または二種以上を40〜80重量%、水20〜60
    重量%からなるバインダーを用いて混練し、加圧成形す
    ることを特徴とする炭素含有耐火物の製造方法。
  2. 【請求項2】 耐火性骨材,炭素材料を含む混合物を、
    砂糖,糖蜜,パラチノース,還元パラチノース,トレハ
    ロースの一種または二種以上を40〜80重量%、水5〜30
    重量% 、沸点80℃以上のアルコール類5〜50重量%から
    なるバインダーを用いて混練し、加圧成形することを特
    徴とする炭素含有耐火物の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項またはに記載の組成からなる
    バインダーを用いた耐火性骨材,炭素材料を含む混合物
    に、更にピッチ粉末を6重量%未満添加して混練し、加
    圧成形することを特徴とする炭素含有耐火物の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項に記載の加
    圧成形後の成形体を400℃以下の温度で熱処理し、その
    後ピッチを含浸することを特徴とする炭素含有耐火物の
    製造方法。
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