JPH07125116A - 表面凹凸シート及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 バッカー基材１上に接着剤層２を設け、該接
着剤層２の上に骨材３を配設し、該骨材３の間を該骨材
３の高さよりも低くなるようにマトリックス樹脂１０で
埋め合わせ前記骨材３を固着してなる表面凹凸シート。 【効果】 骨材の剥離、脱落の改善された表面凹凸シ
ートが安価且つ容易に提供され、壁材、床材、道路等被
覆材として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、壁材、床材、道路等被
覆材として使用される表面凹凸シート及びその製造方法
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の被覆材としては、特開平
１−１５４９４１号公報及び特開平３−１００２０４号
公報に示されているように、表面に多数の石等の骨材を
固着したものが知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、これら従来の
技術では骨材の固着強度が小さいため、骨材の脱落等が
発生し、特に摩擦や衝撃，寒暑等の過酷な条件下におか
れる道路被覆材等の場合には、その目的を充分に達成す
ることができない。また、特開平３−１００２０４号公
報に記載の方法では、上記問題の他に、マトリックス樹
脂としてラジカル重合性組成物を使用するため硬化に長
時間を要し、更に施工と同時に硬化させるため施工に要
する時間が長時間にわたると共に施工が天候に左右され
るという問題を包含し、また成型品の大きさも限定され
るという問題を孕んでいる。本発明はかかる実情に鑑
み、骨材の固着強度が大きく、更には耐摩耗性、耐熱
性、耐汚染性にも優れ、導路等屋外用途にも適した表面
凹凸シート及びその安価且つ容易な製造方法を提供する
ものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究の
結果、バッカー基材上に骨材を接着剤層により固着さ
せ、更にマトリックス樹脂により骨材の接着強度を高め
ると共に、更に必要に応じて表面被覆層を設けて熱的、
機械的表面特性を高めた表面凹凸シートが上記課題を解
決し得ることを見出し、本発明を完成した。

【０００５】即ち、本発明の第１は、バッカー基材上に
接着剤層を設け、該接着剤層の上に骨材を配設し、該骨
材間を該骨材の高さよりも低くなるようにマトリックス
樹脂で埋め合わせ前記骨材を固着してなる表面凹凸シー
トを、本発明の第２は、更に表面被覆層を設けた表面凹
凸シートを、本発明の第３は、一定方向に連続して送ら
れるバッカー基材上に接着剤を塗布して接着剤層を形成
し、該接着剤層上に骨材を供給して該骨材を仮止めした
後、骨材の上部より流動性を有するマトリックス樹脂を
塗布し該骨材間を該骨材の高さよりも低くなるように埋
め合わせ、加熱により該マトリックス樹脂をゲル化さ
せ、更に冷却固化することを特徴とする表面凹凸シート
の製造方法を、本発明の第４は、上記発明の第３で得ら
れた表面凹凸シートの表面に熱又は紫外線硬化性樹脂を
塗布し、硬化する、表面被覆層を有する表面凹凸シート
の製造方法を、それぞれ内容とするものである。

【０００６】本発明を実施例を示す図面に基づいて説明
する。図１及び図２は、それぞれ本発明の表面凹凸シー
トの断面図である。図１において、本発明の表面凹凸シ
ートはバッカー基材（１）上に接着剤層（２）が設けら
れ、その上に骨材（３）が配設され、該骨材（３）間の
空隙がマトリックス樹脂（４）で部分的に、即ち該骨材
（４）の高さよりも低くなるように埋め合わされた構成
からなる。本発明におけるバッカー基材（１）として
は、ガラス不織布、鉱物繊維基材、無機質含有ペーパ
ー、工程紙等が挙げられる。

【０００７】本発明における接着剤層（２）は骨材
（３）を仮り止めするためのもので、熱可塑性樹脂が好
適に用いられる。好ましい一例としては、通常、塩化ビ
ニルペースト樹脂に可塑剤、安定剤をブレンドしたもの
が利用されるが、骨材との接着強度を高めるためにシラ
ンカップリング剤、チタンカップリング剤、イソシアネ
ート系ポリマー、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等の
１種又は２種以上の組み合わせからなる接着向上剤を添
加したものが特に好適である。

【０００８】本発明における骨材（３）としては、ノン
スリップ硬化を発揮するものは全て使用でき、例えば天
然もしくは人工細石、セラミックや金属細片もしくは粒
子、プラスチックのチップ等が挙げられ、これらは単独
又は２種以上組み合わせて用いられる。骨材（３）につ
いても接着剤層（２）及びマトリックス樹脂層（４）と
の接着強度を高める目的で表面処理を施してもよい。こ
こで利用される表面処理剤としては、シランカップリン
グ剤、チタンカップリング剤、イソシアネート系ポリマ
ー、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等が用いられ、こ
れらは１種又は２種以上組み合わせて用いられる。ま
た、骨材（３）の表面処理に当たっては、予め骨材を洗
浄し乾燥することにより骨材表面の不純物を除去してお
くことが好ましい。

【０００９】本発明におけるマトリックス樹脂層（４）
は、骨材（３）と骨材（３）の間隙を埋めて骨材の剥
離、脱落を防止する機能を有するとともに骨材によるノ
ンスリップ効果を発揮するもので、骨材（３）の下部よ
り２／３〜３／４程度の高さにまで部分的に埋め合わせ
ることが望ましい。埋め合わせの程度が小さ過ぎると骨
材の剥離脱落が生じ易く、逆に埋め合わせの程度が大き
過ぎるとノンスリップ効果が低下する。また、マトリッ
クス樹脂層（４）により骨材の剥離、脱落を効果的に防
止するには、骨材（３）及び接着剤層（２）との接着強
度が高いことが必要である。このようなマトリックス樹
脂としては接着剤層と類似の組成を有することが好まし
いが、一方、マトリックス樹脂としての特性から骨材間
隙への浸透性が必要であるため、マトリックス樹脂の粘
度は低めに設定することが好ましい。

【００１０】好ましいマトリックス樹脂としては、ポリ
塩化ビニルペースト樹脂に可塑剤、熱安定剤をブレンド
したものが好ましく、更に接着強度を高める目的から、
シランカップリング剤、チタンカップリング剤、イソシ
アネート系ポリマー、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂
等の１種または２種以上を添加したものが好ましい。更
には、マトリックス樹脂は骨材上からスプレー等により
塗布されるため、空気の巻き込みによる気泡の発生が予
想されるので、脱泡性、自然破泡性の良好なゾル組成物
が好ましい。また、マトリックス樹脂としては透明ゾル
でもよいが、ファッション性を考えて着色ゾルとするこ
ともできる。マトリックス樹脂層（４）は、接着剤層
（２）により仮り止めされた骨材（３）上にスプレー、
スポンジロール、カーテンフローコーター等により形成
される。

【００１１】上記の如き凹凸表面シートは、このままで
も屋内用の床材、腰板、玄関等としては充分実用に耐え
うるが、屋外用の道路、駐車場へのスロープ等にも充分
使用可能たらしめるには、図２に示す如く、上記凹凸表
面シートの表面に更に表面被覆層（５）を設けるのが好
ましい。表面被覆層（５）は表面強度、耐熱性、耐摩耗
性、耐汚染性等の凹凸表面シートの表面性能を向上させ
るもので、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系等の１
種又は２種以上の組み合わせからなる熱又は紫外線硬化
性樹脂が好適に使用されるが、耐摩耗性、耐熱性、耐汚
染性を向上させる目的から、塩化ビニルペーストゾルの
架橋により表面被覆層を形成することもできる。また、
この表面被覆層（５）の形成において、骨材の露出が損
なわれ、表面のノンスリップ効果が低下することは避け
る必要があり、そのためには被覆材の塗布方法が重要で
ある。即ち、骨材（３）を埋没させることなく表面被覆
を施す方法としては、スプレー、カーテンフローコータ
ー、スポンジロール等が好適である。

【００１２】このような構造からなる表面凹凸シート
は、表面強度、耐熱性、耐摩耗性、耐汚染性に優れてお
り、屋内用として床材、腰板、玄関等への利用は勿論、
駐車場へのスロープ、道路、覆工板等、屋外への用途に
も極めて好適である。

【００１３】本発明の表面凹凸シートは、例えば図３に
示す製造工程により製造することができる。ロール状の
バッカー基材（１）は、図の矢印方向に連続的に引き出
される。このバッカー基材（１）上に接着剤塗布装置
（６）より吐出された接着剤が塗布され、バッカー基材
（１）の上に接着剤層（２）が形成される。この接着剤
層（２）上に、ホッパー（７）より骨材（３）が供給さ
れるが、この骨材（３）が互いに重なりあったりした場
合は振動等により余分な骨材は除かれる。接着剤層
（２）の上に配設された骨材（３）は、加熱炉（８）を
通過させ接着剤層（２）のゲル化によりバッカー基材
（１）上に仮止めされる。仮止めされた骨材（３）上に
カーテンフローコーター（９）等によりマトリックス樹
脂（１０）が塗布される。骨材（３）間に供給されるマ
トリックス樹脂は加熱炉（１１）により加熱、ゲル化さ
れ骨材（３）はマトリックス樹脂層（４）（図示せず）
により基材（１）上に強固に固着され、図１に示した構
造の表面凹凸シート（Ｓ１）が得られる。

【００１４】次に、図２に示した表面凹凸シートを得る
ためには、表面凹凸シート（Ｓ１）の上に更に表面被覆
層を設ける。即ち、表面被覆材（１２）として例えば紫
外線硬化塗料を用いる場合は、スポンジロール（１３）
等により塗布した後、遠赤外線ヒーター（１４）等によ
り乾燥し、更に紫外線照射装置（１５）により紫外線を
照射して該塗料を硬化して表面被覆層（５）（図示せ
ず）を形成させ、図２に示した如き、表面被覆層を有す
る表面凹凸シート（Ｓ２）が最終製品として巻取機（図
示せず）に巻き取られる。

【００１５】

【実施例】以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を
更に詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらにより何
ら制限を受けるものではない。

【００１６】実施例１ バッカー基材としてガラス不織布を用い、接着剤として
塩化ビニルペースト樹脂１００重量部に可塑剤（ジイソ
ノニルフタレート）を６０重量部、安定剤（Ｂａ−Ｚｎ
系）を３重量部、シランカップリング剤０．５重量部、
顔料１重量部配合したものを用い、骨材として細石を用
い、マトリックス樹脂として上記接着剤と同一組成の組
成物を用いて、図３に示した工程により表面凹凸シート
を作成した。その結果、骨材の接着強度は１８kg／cm²
であった。

【００１７】実施例２ 実施例１で得られた表面凹凸シートの上から紫外線硬化
塗料を塗布した後、遠赤外線ヒーターにより乾燥し、次
いで紫外線を照射して該塗料を硬化し、表面被覆層を有
する表面凹凸シートを得た。その結果、骨材の接着強度
は２０．５kg／cm² で、表面強度、耐熱性、耐汚染性に
優れたものであった。

【００１８】比較例１ 特開平１−１５４９４１号公報に記載の化粧板製造方法
に基づき、次の方法で化粧板を作成した。離型紙上に塩
化ビニルプラスチックゾルを塗布し、この上に細石を供
給し、これを加熱ゲル化しＰＶＣプラスチゾル中に細石
が仮止めされたシートを作成した。このように作成され
た離型紙つき細石シートを一定の大きさに切断し離型紙
を剥離除去した後、このシートの下面に細石に近い方か
らＰＶＣ製の透明接着シート、次に細石シートの隠蔽性
を確保する目的でＰＶＣ着色シート、寸法安定性を確保
する目的でガラス不織布、更に最下部に全体の保型性を
向上する目的でＰＶＣ製保型シートを重ね合わせ、加
熱、加圧して一体とした床材を作成した。この床材につ
いて屋外への使用の可否を調べるため骨材の剥離強度を
調べた。その結果、骨材の接着強度は５〜１０kg／cm²
と低く、道路等への使用には不適当であることが明らか
になった。

【００１９】比較例２ 特開平３−１００２０４号公報に記載の製造方法に基づ
き、下記の方法で骨材被覆床シートを作成した。まず天
然石を付着させた厚さ２mmの非加硫のブチルゴムシート
を作成し、これをスレート板にローラーを用いて圧着し
た。この上から次の配合組成によるマトリックス組成物
を塗布し常温硬化させ床シートを得た。マトリックス組
成物としては、メタクリル酸メチル７０重量部、アクリ
ル酸２エチルヘキシル３０重量部、及びアクリル酸ｎ−
ブチル１０重量部の混合液にメタクリル酸メチル／メタ
クリル酸ｎ−ブチル＝６０／４０の共重合体を３５重量
部加え、パラフィンワックス１．５重量部、Ｎ，Ｎ−ジ
メチルＰ−トルイジン１．２重量部を加えて加温、溶解
し樹脂溶液を得た。この樹脂溶液１００重量部に対しラ
ジカル重合触媒としてカドックスＢ−ＣＨ５０（化薬ヌ
ーリー株式会社製）を２重量部加えて溶解し前記シート
上にローラーにより塗布した。この樹脂溶液の硬化時間
は１時間以上かかり、非常に作業性が悪く、更には骨材
上に樹脂溶液が被覆されるため、ノンスリップ効果が著
しく劣るものであった。

【００２０】

【発明の効果】叙上のとおり本発明によれば、骨材の剥
離、脱落の改善された表面凹凸シートを安価且つ容易に
提供でき、特に表面被覆層を設けたものは表面強度、耐
熱性、耐汚染性に優れた表面凹凸シートが得られ、従来
困難とされていた駐車場、道路、覆工板等、屋外での苛
酷な条件下においても充分使用可能な表面凹凸シートが
提供される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の表面凹凸シートの実施例を示す概略断
面図である。

【図２】本発明の表面凹凸シートの他の実施例を示す概
略断面図である。

【図３】本発明の表面凹凸シートの製造工程の一例を示
す概略図である。

【符号の説明】

１ バッカー基材 ２ 接着剤層 ３ 骨材（層） ４ マトリッ
クス樹脂層 ５ 表面被覆層 ６ 接着剤塗
布装置 ７ ホッパー ８ 加熱炉 ９ カーテンフローコーター １０ マトリッ
クス樹脂 １１ 加熱炉 １２ 表面被
覆材 １３ スポンジロール １４ 遠赤外
線ヒーター １５ 紫外線照射装置 Ｓ１ 表面凹
凸シート Ｓ２ 表面凹凸シート（表面被覆層を設けた）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｅ０１Ｃ 7/34 7322−2Ｄ Ｅ０４Ｆ 13/08 Ａ 9127−2Ｅ (72)発明者 高梨 肇 兵庫県神戸市東灘区深江南町１−１−58 (72)発明者 中村 勝 大阪府枚方市東山２−45 ６−201

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 バッカー基材上に接着剤層を設け、該接
   着剤層の上に骨材を配設し、該骨材間を該骨材の高さよ
   りも低くなるようにマトリックス樹脂で埋め合わせ前記
   骨材を固着してなる表面凹凸シート。
2. 【請求項２】 骨材の側に更に表面被覆層を設けた請求
   項１記載の表面凹凸シート。
3. 【請求項３】 表面被覆層が熱又は紫外線硬化性樹脂か
   らなる請求項２記載の表面凹凸シート。
4. 【請求項４】 一定方向に連続して送られるバッカー基
   材上に接着剤を塗布して接着剤層を形成し、該接着剤層
   上に骨材を供給して該骨材を仮止めした後、骨材の上部
   より流動性を有するマトリックス樹脂を塗布し該骨材間
   を該骨材の高さよりも低くなるように埋め合わせ、加熱
   により該マトリックス樹脂をゲル化させ、更に冷却固化
   することを特徴とする表面凹凸シートの製造方法。
5. 【請求項５】 骨材の表面をシランカップリング剤、チ
   タンカップリング剤、アクリル系又はエポキシ系樹脂に
   より処理する請求項４記載の方法。
6. 【請求項６】 マトリックス樹脂にシランカップリング
   剤、チタンカップリング剤、アクリル系又はエポキシ系
   樹脂を添加する請求項４又は５記載の方法。
7. 【請求項７】 マトリックス樹脂をスプレー、カーテン
   フローコーター又はスポンジロールにより塗布する請求
   項４記載の方法。
8. 【請求項８】 請求項４〜６で得られた表面凹凸シート
   の表面に熱又は紫外線硬化性樹脂を塗布し、硬化する、
   表面被覆層を有する表面凹凸シートの製造方法。
9. 【請求項９】 熱又は紫外線硬化性樹脂をスプレー、カ
   ーテンフローコーター又はスポンジロールにより塗布す
   る請求項８記載の製造方法。