JPH07125057A - ブロー成形方法及びそれによる成形品 - Google Patents

ブロー成形方法及びそれによる成形品

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JPH07125057A
JPH07125057A JP5299068A JP29906893A JPH07125057A JP H07125057 A JPH07125057 A JP H07125057A JP 5299068 A JP5299068 A JP 5299068A JP 29906893 A JP29906893 A JP 29906893A JP H07125057 A JPH07125057 A JP H07125057A
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JP
Japan
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temperature
mold
molds
parison
high frequency
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JP5299068A
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Hiroyuki Kobayashi
博幸 小林
Yukihisa Mizutani
行久 水谷
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 大型成形品のブロー成形において、成形サイ
クルを著しく延長することなく、優れた表面外観の成形
品を得る。 【構成】 金型キャビティ面を高周波誘導加熱した後、
放置時間をとることで金型キャビティ面の温度を均一化
させた後ブロー成形を行う。 【効果】 成形品の表面全体に亙って、平滑性、光沢、
鮮映度が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ブロー成形方法及びそ
れによる成形品に関する。更に詳しくは、例えばエアー
スポイラー、トランクリッド、ボンネット等の大型自動
車外装部品を初めとする大型成形品をブロー成形する場
合の表面外観の向上に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にブロー成形は、中空成形品とな
ることによって成形品の軽量化が可能、製品形状の自
由度が大きい、大型製品の製造が可能、金型コスト
が安い等の理由から、大型自動車外装部品、事務機のパ
ネル部分、住宅資材等の大型成形品の製造に幅広く用い
られている。
【0003】ところで、ブロー成形では、金型転写性が
さほど高くなく、またダイラインの問題もあるため、良
好な表面外観を有する成形品が得にくい。従って、自動
車外装部品のように、高い平滑性、光沢性、鮮映度が要
求される製品の製造に際しては、成形品表面をサンディ
ングして整えた後に塗装を行っている。
【0004】一方、従来、ブロー成形品の表面外観を向
上させるために、オイル又は電熱ヒーターを用いた温調
機にて金型温度を上げて成形を行うことが知られてい
る。また、特開昭57−36610号公報には、金型キ
ャビティ表面を、高周波誘導加熱によって、成形すべき
樹脂の耐熱温度以上に瞬時に加熱して、直ちに成形を行
うことが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、オイル
又は電熱ヒーターを用いた温調機にて金型温度を上げる
方法では、高周波誘導加熱のように金型キャビティの表
面部のみを急速加熱することができないので、金型の加
熱に時間を要し、また金型に蓄積される熱量が大きくな
ることから、成形品の冷却にも時間がかかる。従って、
成形サイクルが長くなり、量産に適さない問題がある。
【0006】また、高周波誘導加熱による方法では、金
型キャビティの表面部のみを急速加熱することはできる
が、加熱完了から成形までの間に急激に温度降下するの
で、成形時の金型キャビティの表面温度を均一にコント
ロールしにくく、温度にむらを生じやすい。特に大型成
形品の成形になるほど金型キャビティの表面温度のむら
が大きくなるので、成形品の表面状態にむらを生じ、か
えって成形品の表面外観を悪化させることも生じる。
【0007】本発明は、特に大型成形品のブロー成形に
おいて、成形サイクルを著しく延長させることなく、優
れた表面外観の成形品が得られるようにし、サンディン
グの手間をかけることなく、高い平滑性、光沢性、鮮映
度を有する製品が得られるようにすることを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用】このために本発
明では、金型キャビティ面を、成形すべき樹脂の固化温
度を超える温度に高周波誘導加熱してから10〜60秒
間の放置時間をおいた後にパリソンを金型に挟み込み、
金型キャビティ面が、成形すべき樹脂の固化温度以上の
温度を保持している状態で、パリソンへのエアーの吹き
込みを行うこととしているものである。
【0009】なお、本発明でいう固化温度とは、非晶性
樹脂の場合はガラス転移点、結晶性樹脂の場合には融点
を指すものであり、アロイ、ブレンド物の場合において
はマトリックスとなっいる樹脂成分についての上記ガラ
ス転移点又は融点をいう。
【0010】即ち、本発明によれば、高周波誘導加熱を
用いていることにより、金型キャビティの表面部のみを
急速加熱することができ、金型加熱時間が長くなること
による成形サイクルの延長を防止することができる。ま
た、金型に蓄積される熱量も小さくて済むので、冷却時
間が長くなることによる成形サイクルの延長も防止する
ことができる。
【0011】ところで、この高周波誘導加熱後直ちに成
形に移行したのでは、前述の従来の方法と同様の問題を
生じることになる。
【0012】そこで本発明では、高周波誘導加熱後、1
0〜60秒間の放置時間をおいているものである。この
放置時間をおいても、従来のオイル又は電熱ヒーターを
用いた温調機での加熱による場合ほど成形サイクルが延
長されずに済むばかりか、この放置時間によって、加熱
された金型キャビティ面の温度降下が落ち着き、しかも
熱伝導によって温度むらがならされるので、金型キャビ
ティ面の温度を均一化することができる。
【0013】従って、金型キャビティ面の温度むらによ
る成形品表面外観の低下を防止することができる。
【0014】更に本発明を説明する。
【0015】本発明では、まず金型キャビティ面を、成
形すべき樹脂の固化温度を超える温度に高周波誘導加熱
する。
【0016】本発明で成形すべき樹脂は、基本的には熱
可塑性樹脂であればよいが、具体的には、例えばポリス
チレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ABS
樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体等のスチレン
系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン
系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体(EVA)等の塩化ビニル系樹脂、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポ
リエステル系樹脂、ポリカーボネイト系樹脂、ポリアミ
ド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリオキシ
メチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、及
び、例えばポリアミド/ポリフェニレンエーテルアロ
イ、ポリカーボネイト/ABSアロイ等、これらのアロ
イ、ブレンド物を挙げることができる。
【0017】上記樹脂の中でも、ブロー成形における成
形性を考慮すると、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、
ABS樹脂、ポリプロピレン、ポリアミド/ポリフェニ
レンエーテルアロイが好適である。
【0018】本発明で形成すべき樹脂には、ガラス繊
維、マイカ、炭酸カルシウム等の無機質強化剤、増量
剤、染顔料等を含有させることができる。
【0019】金型キャビティ面の高周波誘導加熱は、通
常、炭素鋼やダイス鋼等の磁性材料で構成されている金
型キャビティ面に高周波磁界を加えて、ウズ電流や磁気
ヒステリシスの損失で発熱させることで行われる。
【0020】高周波誘導加熱を行うためには、高周波発
振装置及びインダクターが必要となる。
【0021】高周波誘電加熱に使用する高周波発振装置
の発振方式は、電動発電機式、電子管式、サイリスタイ
ンバーター式のいずれでもよい。出力能力は、成形品の
大きさによって決定されるが、0.04〜0.26×成
形品の表面積(cm2 )kWのものを用いると好適であ
る。発振周波数は1〜100kHzにて行うことが可能
であるが、表面加熱性及び電波法との関係で3〜10k
Hzにて行うことが好ましい。
【0022】インダクターとしては、鋼管を金型キャビ
ティ形状に近い形に巻いたコイルを用いるのが適してい
るが、銅管を金型キャビティ形状に合わせて数多く巻い
たコイルを用いることが、コイルの加工性及び加熱効率
の点で好ましい。
【0023】インダクターの形状が大きくなった場合に
は加熱時に鋼管(銅管)が振動することがあるので、例
えばエポキシ樹脂等の非磁性材料で作製された台座に固
定しておくことが好ましい。
【0024】インダクターによる高周波誘電加熱は、図
1に示されるように、金型1,1に埋設したインダクタ
ー2による方法(埋設法)、もしくは、図2に示される
ように、金型1,1を開いて両金型1,1間に挿入した
インダクター2による方法(外接法)のいずれによって
も行うことができる。調整のしやすさ及び加熱効率を考
慮すると、外接法が好ましい。また、加熱の際にはコイ
ル自体も加熱されるので、鋼管(銅管)に水等の冷却媒
体を流し、冷却することが好ましい。
【0025】金型キャビティ面の高周波誘導加熱は、金
型キャビティ面全面に対して行われるもので、少なくと
も成形する樹脂の固化温度を超える温度まで行われる。
加熱温度が低過ぎると、後述する放置時間経過後の金型
キャビティ面の温度が低くなり過ぎて、成形品の表面外
観の向上が不十分となる。
【0026】金型キャビティ面の高周波誘導加熱は、埋
設法による場合、金型内に埋設されたインダクターに対
し高周波電流を流すことで行われる。埋設法による加熱
は、金型を開いた状態でも閉じた状態でも行えるが、後
述する放置時間経過後、直ちにパリソンを金型間に挟み
込めることから、金型を開いた状態で行う方が作業性が
よい。また、埋設法の場合、通常、20〜180秒の加
熱により、金型キャビティ面の温度が固化温度より30
〜100℃高い温度まで加熱すればよい。
【0027】一方、外接法による場合、金型を開いた状
態で、両金型間にインダクターを挿入して金型キャビテ
ィ面に近付けた状態で、高周波電流を流すことで行われ
る。金型キャビティ面へインダクターを近付ける方法と
しては、金型間に挿入した2つのインダクターを左右に
移動させる方法と、両金型間にインダクターを挿入した
後金型をやや閉じる方法とがあるが、前者の方が操作が
容易である点で好ましい。外接法の場合、通常、20〜
180秒の加熱により、金型キャビティ面の温度が固化
温度より50〜200℃高い温度まで加熱すればよい。
【0028】また、埋設法でも外接法でも20秒以上の
加熱時間が好ましいのは、加熱時間が短過ぎると、放置
時間における急激な温度降下によって、必要な放置時間
経過後に必要な温度を維持できなくなったり、温度の均
一化が得にくくなったりするためである。
【0029】上述の高周波誘導加熱の後、10〜60秒
間の放置時間をおく。外接法の場合、通常、インダクタ
ーを金型間から抜き取って放置される。埋設法及び外接
法のいずれにおいても、金型を閉じて放置することもで
きるが、放置による効果は金型を開いて放置しても同様
で、しかも金型を開いて放置しておくと、放置時間経過
後直ちに金型間にパリソンを挟み込め、作業性がよいの
で好ましい。
【0030】放置時間は上記のように10〜60秒間
で、好ましくは15〜45秒間である。放置時間が短過
ぎると、金型キャビティ表面の温度の均一化が不十分
で、表面外観の向上が得にくい。また、放置時間が長過
ぎると、成形サイクルが長くなって量産性が損なわれ
る。
【0031】上記放置時間経過後、直ちにパリソンを金
型間に挟み込んで、パリソンへのエアーの吹き込みを行
うが、このエアー吹き込み時の金型キャビティ面の温度
は、成形すべき樹脂、即ちパリソン構成樹脂の固化温度
以上の温度であることが必要である。エアー吹き込み時
の金型キャビティ面の温度が低過ぎると、成形品の表面
外観の向上が不十分となる。また、エアー吹き込み時の
金型キャビティ面の温度の上限は、ブロー成形可能なパ
リソン加熱温度の上限として常識的に定まるが、一般的
にはエアー吹き込み時の金型キャビティ表面温度をパリ
ソン構成樹脂の固化温度〜固化温度+70℃とすること
が好ましく、更には固化温度+10℃〜固化温度+50
℃とすることが特に好ましい。
【0032】前述した高周波誘導加熱時から上記エアー
吹き込み時までの金型キャビティ面の温度を外部から監
視して制御することで成形状態を安定させることができ
るよう、金型キャビティ面の温度を検出する熱電対等を
金型に設け、外部からモニタリングできるようにしてお
くことが好ましい。また、前述した高周波誘導加熱から
このエアー吹き込み時までの熱効率を向上させるため
に、例えば外接法の場合、図3に示されるように、冷却
媒体を流す金型冷却管3になるべく近接したその背面側
に断熱板4を設置し、高周波誘導加熱からエアー吹き込
み時での間の熱の逃げを押えることが好ましい。
【0033】エアーの吹き込みによって行われるブロー
成形は、一般に行われている方法と同様にして行われる
が、成形品の冷却は、パリソンを金型間に挟み込んだ
後、パリソン内へのエアーの吹き込みと同時もしくはエ
アーの吹き込み開始から0〜20秒後に金型冷却管に冷
却媒体(通常は冷却水)を流し、金型を冷却することで
行われる。冷却媒体は金型キャビティ表面温度が使用樹
脂の熱変形温度付近に下がるまで流し、冷却媒体を止め
た後、30秒程度金型冷却管内にエアーを通して金型冷
却管内の冷却媒体を除去する。
【0034】成形品が冷却された後、金型を開いて成形
品を取り出す。得られる成形品は、平滑性、光沢性、鮮
映度の高い優れた表面外観のもので、塗装を行う場合に
おいてもサンディングにより表面を整える工程を省略す
ることができ、塗装後の平滑性、光沢性、鮮映度にも優
れるものである。
【0035】本発明によって成形する成形品の形状は特
に制限はなく、成形品へのインサートも可能であるが、
本発明は特に大型成形品に適用した時に利益が大きく、
大型成形品の中でも優れた表面外観が求められるエアー
スポイラー、トランクリッド、ボンネット等の大型自動
車外装部品に適している。
【0036】本発明は、通常のブロー成形機において実
施する他、三次元ブロー成形機等の特殊ブロー成形機に
おいても実施することができる。
【0037】
【実施例】
実施例1 変性ポリフェニレンエーテル樹脂(旭化成工業社製「ザ
イロン」、ガラス転移点158℃)を用い、自動車用エ
アースポイラーの成形を行った。
【0038】金型は、1400×140mmで炭素鋼
製、金型キャビティ面は鏡面仕上げを施し、更に硬質ク
ロムメッキを施したもので、金型冷却管の背面側10m
mの位置に、図3に示されるような断熱板を設けたもの
を用いた。
【0039】高周波発振装置としては、300kWのサ
イリスタインバーター式のものを用い、インダクターと
しては、図4に示されるように、1mm厚のガラスホー
スを被せた直径12mm銅管を5巻きしたコイルを用い
た。
【0040】高周波誘導加熱は、前記外接法によって行
った。
【0041】まず、金型を開いてインダクターを挿入
し、インダクターを開いた夫々の金型キャビティ面に近
付けた。インダクターに高周波電流を流し、図5に示さ
れる温度測定点Aにおける金型キャビティ面の温度が2
20℃になるまで40秒間高周波誘導加熱を行った(高
周波誘導加熱開始時の金型温度50℃)。
【0042】上記高周波誘導加熱後、金型間からインダ
クターを抜き、加熱終了から30秒間金型を開放したま
ま放置し、放置時間経過後、射出成形したパリソンを金
型間に挟み込み、パリソンにエアーの吹き込みを行うと
同時に金型冷却管に冷却水を流した。温度測定点Aにお
ける金型キャビティ面の温度が100℃になった時点
(冷却水の供給開始から30秒後)で冷却水を止め、金
型冷却管内に30秒間エアーを通した後、20秒後に金
型から成形品を取り出した。高周波誘導加熱開始から成
形品取り出しまでの成形所要時間は155秒であった。
【0043】上記ブロー成形に際し、エアー吹き込み時
の温度測定点A〜E(図5参照)における金型キャビテ
ィ面の温度を測定した。測定結果を表1に示す。
【0044】また、得られた成形品の平滑性、光沢、鮮
映度を測定した。測定結果を表1に示す。
【0045】更に、得られた成形品周囲のバリを除去し
た後、成形品表面にサンディングを施すことなく塗装を
行ったが、塗装品の表面状態は、ダイライン、しわ、へ
こみ、ピンホール等の塗装不良の発生はなく、非常に平
滑性、光沢、鮮映度に優れるものであった。
【0046】尚、表1における平滑性、光沢、鮮映度の
測定方法及び評価基準は次の通りである。
【0047】(1)平滑性 目視によって評価した。評価基準は次の通りである。
【0048】◎:凹凸が全く確認できない。
【0049】○:凹凸がほとんど確認できない。
【0050】△:若干凹凸が確認できる。
【0051】×:ダイラインが認められる。
【0052】(2)光沢 目視によって評価した。評価基準は次の通りである。
【0053】◎:全体に亙って光沢が出ている。
【0054】○:部分的ではあるが光沢の出ていない箇
所が若干認められる。
【0055】△:ほとんど光沢がない。
【0056】×:全く光沢がない。
【0057】(3)鮮映度 スガ試験機社製映像性測定器(光学クシ1.0mm)を
用い、透過部の透過光最大値Mと不透過部の透過光最小
値mとから次式によって求めた。
【0058】 鮮映度(%)=(M−m)×100/(M+m)
【0059】実施例2 ガラス繊維強化ポリアミド/ポリフェニレンエーテルア
ロイ(旭化成工業社製「ライネックスAG114」、融
点221℃)を使用し、実施例1と同じ金型、高周波発
振装置及びインダクターを用いてブロー成形を行った。
【0060】まず、金型を開いてインダクターを挿入
し、インダクターを開いた夫々の金型キャビティ面に近
付けた。インダクターに高周波電流を流し、図5に示さ
れる温度測定点Aにおける金型キャビティ面の温度が3
00℃になるまで60秒間高周波誘導加熱を行った(高
周波誘導加熱開始時の金型温度50℃)。
【0061】上記高周波誘導加熱後、金型間からインダ
クターを抜き、加熱終了から25秒間金型を開放したま
ま放置し、放置時間経過後、射出成形したパリソンを金
型間に挟み込み、パリソンにエアーの吹き込みを行うと
同時に金型冷却管に冷却水を流した。温度測定点Aにお
ける金型キャビティ面の温度が150℃になった時点
(冷却水の供給開始から30秒後)で冷却水を止め、金
型冷却管内に30秒間エアーを通した後、20秒後に金
型から成形品を取り出した。高周波誘導加熱開始から成
形品取り出しまでの成形所要時間は170秒であった。
【0062】上記ブロー成形に際し、エアー吹き込み時
の温度測定点A〜E(図5参照)における金型キャビテ
ィ面の温度を測定した。測定結果を表1に示す。
【0063】また、得られた成形品の平滑性、光沢、鮮
映度を測定した。測定結果を表1に示す。
【0064】得られた成形品は、パリソンの状態で見ら
れたガラス繊維の浮きのない良好な表面外観を有するも
のであった。
【0065】比較例1 実施例1と同じ樹脂と金型を用い、高周波誘導加熱を行
わない通常のブロー成形を行った。パリソン挟み込み時
の金型温度は50℃とした。また、開放した状態の金型
間へのパリソン挟み込み開始から成形品取り出しまでの
成形所要時間は90秒であった。
【0066】上記ブロー成形に際し、エアー吹き込み時
の温度測定点A〜E(図5参照)における金型キャビテ
ィ面の温度を測定した。測定結果を表1に示す。
【0067】また、得られた成形品の平滑性、光沢、鮮
映度を測定した。測定結果を表1に示す。
【0068】得られた成形品周囲のバリを除去した後、
成形品表面にサンディングを施してから塗装を行った。
塗装品表面のダイライン、しわ、へこみ、ピンホール等
の塗装不良の発生はなかったが、実施例1で得た塗装品
に比して鮮映性に劣っていた。
【0069】比較例2 実施例1と同じ樹脂、金型、高周波発振装置及びインダ
クターを用いてブロー成形を行った。
【0070】まず、金型を開いてインダクターを挿入
し、インダクターを開いた夫々の金型キャビティ面に近
付けた。インダクターに高周波電流を流し、図5に示さ
れる温度測定点Aにおける金型キャビティ面の温度が1
50℃になるまで18秒間高周波誘導加熱を行った(高
周波誘導加熱開始時の金型温度50℃)。
【0071】上記高周波誘導加熱後、金型間からインダ
クターを抜き、加熱終了から20秒間金型を開放したま
ま放置し、放置時間経過後、射出成形したパリソンを金
型間に挟み込み、パリソンにエアーの吹き込みを行うと
同時に金型冷却管に冷却水を流した。温度測定点Aにお
ける金型キャビティ面の温度が100℃になった時点
(冷却水の供給開始から20秒後)で冷却水を止め、金
型冷却管内に30秒間エアーを通した後、20秒後に金
型から成形品を取り出した。高周波誘導加熱開始から成
形品取り出しまでの成形所要時間は113秒であった。
【0072】上記ブロー成形に際し、エアー吹き込み時
の温度測定点A〜E(図5参照)における金型キャビテ
ィ面の温度を測定した。測定結果を表1に示す。
【0073】また、得られた成形品の平滑性、光沢、鮮
映度を測定した。測定結果を表1に示す。
【0074】比較例3 実施例1と同じ樹脂、金型、高周波発振装置及びインダ
クターを用いてブロー成形を行った。
【0075】まず、金型を開いてインダクターを挿入
し、インダクターを開いた夫々の金型キャビティ面に近
付けた。インダクターに高周波電流を流し、図5に示さ
れる温度測定点Aにおける金型キャビティ面の温度が2
20℃になるまで40秒間高周波誘導加熱を行った(高
周波誘導加熱開始時の金型温度50℃)。
【0076】上記高周波誘導加熱後、金型間からインダ
クターを抜き、加熱終了から5秒間金型を開放したまま
放置し、放置時間経過後、射出成形したパリソンを金型
間に挟み込み、パリソンにエアーの吹き込みを行うと同
時に金型冷却管に冷却水を流した。温度測定点Aにおけ
る金型キャビティ面の温度が100℃になった時点(冷
却水の供給開始から40秒後)で冷却水を止め、金型冷
却管内に30秒間エアーを通した後、20秒後に金型か
ら成形品を取り出した。高周波誘導加熱開始から成形品
取り出しまでの成形所要時間は140秒であった。
【0077】上記ブロー成形に際し、エアー吹き込み時
の温度測定点A〜E(図5参照)における金型キャビテ
ィ面の温度を測定した。測定結果を表1に示す。
【0078】また、得られた成形品の平滑性、光沢、鮮
映度を測定した。測定結果を表1に示す。
【0079】比較例4 実施例1と同じ樹脂と金型を用い、高周波誘導加熱に代
えて、オイル温調による金型キャビティ面の加熱を伴う
ブロー成形を行った。
【0080】まず、金型に180℃のオイルを20リッ
トル/分で流して加熱を行ったが、図5に示される温度
測定点Aにおける金型キャビティ面が170℃になるま
で30分必要であった(加熱開始時の金型温度50
℃)。
【0081】続いて、射出成形したパリソンを金型間に
挟み、パリソンにエアーの吹き込みを行うと同時に金型
に30℃のオイルを流し、図5の温度測定点Aにおける
金型キャビティ面の温度が100℃になるまで冷却を行
った後に金型から成形品を取り出したが、金型冷却には
30分必要であった。
【0082】上記ブロー成形に際し、エアー吹き込み時
の温度測定点A〜E(図5参照)における金型キャビテ
ィ面の温度を測定した。測定結果を表1に示す。
【0083】また、得られた成形品の平滑性、光沢、鮮
映度を測定した。測定結果を表1に示す。
【0084】
【表1】
【0085】
【発明の効果】本発明は、以上説明した通りのものであ
り、成形サイクルを極端に延長して量産性を損なうこと
なく、表面外観の優れた大型成形品を得ることができ
る。また、得られる成形品が表面外観に優れているの
で、例えば自動車用エアースポイラー等、大型成形品の
塗装製品の製造に際して、成形品表面を整えるサンディ
ング工程を省略することができ、これによる工程の簡略
化、製造効率の向上による製造コストの低減ばかりか、
作業環境の改善を図ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】埋設法の説明図である。
【図2】外接法の説明図である。
【図3】外接法に用いる好ましい金型の一例を示す図で
ある。
【図4】実施例及び比較例に用いたインダクターの説明
図である。
【図5】実施例及び比較例で測定した金型表面温度の温
度測定点の説明図である。
【符号の説明】
1 金型 2 インダクター 3 金型冷却管 4 断熱板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 31:30

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金型キャビティ面を、成形すべき樹脂の
    固化温度を超える温度に高周波誘導加熱してから10〜
    60秒間の放置時間をおいた後にパリソンを金型に挟み
    込み、金型キャビティ面が、成形すべき樹脂の固化温度
    以上の温度を保持している状態で、パリソンへのエアー
    の吹き込みを行うことを特徴とするブロー成形方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法で成形されたブロー
    成形品。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の方法で成形され、更に塗
    装が施されているブロー成形品。
  4. 【請求項4】 大型自動車外装部品である請求項2又は
    3記載のブロー成形品。
JP5299068A 1993-11-05 1993-11-05 ブロー成形方法及びそれによる成形品 Withdrawn JPH07125057A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10131081B2 (en) 2008-02-20 2018-11-20 Sumitomo Chemical Company, Limited Heater, resin molding apparatus, resin molding method and resin molded body

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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