JPH0712365A - パーソナル空調システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 事務室内で、机やパーティションで仕切られ
た執務空間において、偏在する熱負荷を解消するととも
に、省エネ性の高い補助空調としてパーソナル空調シス
テムを実現する。 【構成】 熱交換器部分１５と送風機部分１６とを内部
に設置した直膨分離型空調機の室内機１０と、二重床２
の床下に設けたチャンバーＡ１３と、前記室内機１０の
吹き出し口１０ＡとチャンバーＡ１３を結ぶダクトＡ１
１と、前記二重床２の一部に設置した吹き出しグリルＡ
３により構成されたもので、前記室内機１０から送出さ
れた空調空気はチャンバーＡ１３を通り吹き出しグリル
Ａ３から吹き出されるため熱ロス、風量ロスの少ない、
省エネ性の高い補助空調としてパーソナル空調システム
を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は快適な局所空間を作り出
すパーソナル空調システムに関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、事務室においてＯＡ機器（熱発生
機器）の導入や、パーティションによる執務空間の細分
化（熱の滞留）から空調負荷の偏在を原因として不快感
を訴える者が多くなったことがアンケート調査等により
広く知られるようになってきた。

【０００３】これら空調負荷の偏在を解消し、快適な局
所空間を創出するために、各種の空調方式が提案されて
いる。

【０００４】以下従来の空調方式の２例を図４および図
５にもとづき説明する。図４では、天井吹き出し単一ダ
クト可変風量（以下ＶＡＶと呼ぶ）方式の全体構成斜視
図を示している。図に示す様にこの空調方式は事務室近
傍にある機械室（図示せず）に設置された空気調和機１
１０と、事務室の天井面（図示せず）に設置された複数
のＶＡＶユニット１１１と前記二者に連通するダクト１
１２とで構成されている。

【０００５】上記構成において、空気調和機１１０を運
転すると、一定の温湿度の空調された給気がダクト１１
２を通じ各ＶＡＶユニット１１１近傍に設置された室温
検知器（図示せず）からの情報により事務室ブロック毎
の空調負荷に応じた風量が前記各ＶＡＶユニット１１１
の吹き出し口より事務室内へ送出される。また還気につ
いては、天井内部空間を還気チャンバーとして天井面に
開口した複数の還気口（図示せず）より吸引され、空気
調和機１１０に戻る。

【０００６】次に、図５では、床吹き出し方式の全体構
成断面図を示している。図に示すようにこの空調方式は
事務室近傍には、下部吹き出し口１１３を設けた空気調
和機１１０を設け、事務室内ではコンクリート床１０１
とその上部に設置された二重床１０２で形成された空間
を給気チャンバー１０６とし、また還気チャンバー１０
７としては天井材１０４の上部天井裏を使用する。

【０００７】また給気口については、前記二重床１０２
の必要な箇所（複数）にグリルＡ１０３を設置するとと
もに、還気口として前記天井材１０４に分散し、適宜に
多数設置した還気開口部１０５を使用する。

【０００８】上記構成において、空気調和機１１０を運
転すると、下部吹き出し口１１３より空調された給気
が、コンクリート床１０１と二重床１０２で形成された
給気チャンバー１０６を通じ、二重床１０２に設置され
たグリルＡ１０３より事務室内へ吹き出される。この吹
き出された給気は、周辺の熱負荷と相殺され天井材１０
４に設けられた還気開口部１０５から還気チャンバー１
０７に吸引され空気調和機１１０の吸込口１１４に戻り
空気循環が一巡する。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】このような従来のパー
ソナル空調システムでは、従来の技術で述べたもののう
ち前者においては、以下（１）項〜（３）項に示すよう
な課題を有していた。

【００１０】（１）．ＶＡＶユニット１１１、１台当た
りの負荷対応範囲が比較的広い範囲でしか対応出来ない
ため、局所的に偏在した熱負荷については対応すること
は困難である。

【００１１】（２）．将来、ＯＡ機器等のような熱発生
機器が増加した場合にシステム全体の容量も増やす必要
が出て来るため、空気調和機１１０の増設スペースを予
め用意しておかなければならない。

【００１２】（３）．事務室でのパーティションによる
仕切りが増えた場合その影響で、気流分布が悪化し、熱
負荷の偏在を助長する。

【００１３】また、後者においては、前者の方式より、
部分負荷の対応には優れているが、なお以下（４）項〜
（７）項に述べるような課題を有していた。

【００１４】（４）．二重床１０２の下部空間を給気チ
ャンバー１０６として使用するため、局部的な負荷の偏
在に対応することは困難。例えば中間期や冬期に局部的
な冷房が必要な場合、冷房を必要としない場所にも最小
限の冷風を供給せざるを得ない。

【００１５】（５）．（２）項と同様に、将来、ＯＡ機
器等のような熱発生機器が増加した場合にシステム全体
の容量も増やす必要が出て来るため、空気調和機１１０
の増設スペースを予め用意しておかなければならない。

【００１６】（６）．事務室全体に及ぶ二重床１０２の
下部空間を給気側経路として使用するため周囲の構造上
発生する熱ロス、風量ロスが多い。

【００１７】（７）．個人の温感的趣向に応じた空気環
境を達成するには複雑な制御機構の付加が必要であると
いう問題があった。

【００１８】本発明は、上記課題を解決するもので、熱
ロス、風量ロスの少ない局所負荷偏在に対応する省エネ
ルギータイプのパーソナル空調システムを提供すること
を第一の目的とする。

【００１９】第二の目的は設置する際のスペースを最小
化し、省スペースタイプのパーソナル空調システムを提
供することにある。

【００２０】第三の目的は、パーティションにより派生
した気流分布の悪化を改善し、個人の温感的趣向に対応
したパーソナル空調システムを提供することにある。

【００２１】

【課題を解決するための手段】従来の技術で述べた天井
吹き出し単一ダクトＶＡＶ方式及び床吹き出し方式をベ
ーシックな空調として使用し、事務室スペース全体の空
調制御を受け持たせ、本発明のパーソナル空調システム
を付加設置する基本構成のもとで本発明のパーソナル空
調システムは上記第一の目的を達成するために第一の手
段は、熱交換器部分と送風機部分とを内部に設置した直
膨分離型空調機の室内機と、二重床の床下に設けたチャ
ンバーＡと、前記室内機の吹き出し口とチャンバーＡを
結ぶダクトＡと、前記二重床の一部に設置した吹き出し
グリルＡを設けた構成としたものである。

【００２２】第二の目的を達成するための第二の手段は
直膨分離型空調機の室内機の熱交換器部分と送風機部分
をユニット化し、事務用家具に組み込んだ構成としたも
のである。

【００２３】第三の目的を達成するための第三の手段
は、熱交換器部分と送風機部分とを内部に設置した直膨
分離型空調機の室内機と、内部に送風路とチャンバーＣ
と上部に吹き出しグリルＣを設けたパーティションを備
えた構成としている。

【００２４】

【作用】本発明は上記した第一の手段の構成により、室
内機から送出された空調空気は二重床下に設けられたチ
ャンバーＡ内を通じ、前記室内機近傍に設置された吹き
出しグリルＡから吹き出されるため、熱ロス、風量ロス
の少ない状態で目的の局所空調を行うことができる。

【００２５】また、第二の手段の構成により、事務用家
具に組み込んだ熱交換器部分と送風機部分の作用によ
り、第一の手段から達成される作用と同様のものが得ら
れると共に、室内機の機能部分を事務用家具に組み込む
ことにより余分な出っ張りが解消され、設置性の良化が
得られることとなる。

【００２６】また、第三の手段の構成により、パーティ
ションにより派生した気流分布の悪化から前記パーティ
ション周辺に滞留している偏在熱負荷を室内機に吸い込
み熱交換するとともに、前記室内機から送出された空調
空気はダクトＣを通じ近傍のパーティション内部に設け
られたチャンバーＣに一時貯留されるため、温度が均一
化するとともに、送風路を通じ吹き出しグリルＣから吹
き出される空調空気の風速分布も均一化された状態で、
パーティション周辺の局所空間の環境良化と個人の温感
的趣向に対応することができる。

【００２７】

【実施例】以下、本発明の第一実施例について、図１を
参照しながら説明する。図示のように二重床２の上に配
置された机４とパーティション５で構成された執務ゾー
ンでは、前記机４の下部に熱交換器部分（図示せず）と
送風機部分（図示せず）を内部に設けた直膨分離型空調
機の室内機１０を設置し、前記二重床２とコンクリート
床１の間を断熱材１２で部分的に区切ったチャンバーＡ
１３を設ける。前記室内機１０の吹き出し口１０Ａとチ
ャンバーＡ１３を連通する送風路としてダクトＡ１１を
設け、前記チャンバーＡ１３からの吹き出し口として吹
き出しグリルＡ３を二重床２に開口し、前記吹き出しグ
リルＡ３をかん合状態で装着する。

【００２８】上記構成において、室内機１０で熱交換さ
れた空調空気はダクトＡ１１を通じ、二重床２下部に設
けられたチャンバーＡ１３に送出され机４近傍に設置さ
れた吹き出しグリルＡ３を通して循環され極めて熱ロ
ス、風量ロスの少ない状態で机４近傍の局所空間を空調
することとなる。

【００２９】このように本発明の第一実施例のパーソナ
ル空調システムによれば、極めて熱ロス、風量ロスの少
ない省エネ効果の高い局所空調ができる。

【００３０】つぎに本発明の第二実施例について図２を
参照しながら説明する。図示のように熱交換器部分１５
と送風機部分１６とを内部に備えた事務用家具１４を二
重床２の上に設置し、前記二重床２と接触する底面部に
開口部２１と上部に吸い込み口２２を設け、以下第一実
施例で既説した二重床２とコンクリート床１と断熱材１
２で部分的に区切ったチャンバーＡ１３と吹き出しグリ
ルＡ３が設けられている。

【００３１】上記構成において、事務用家具１４の上部
に設けられた吸い込み口２２から吸い込まれた空気は内
部に設けられた熱交換器部分１５と送風機部分１６を通
過し熱交換された空調空気として、二重床２の下部に設
けられたチャンバーＡ１３に直接送出され、前記事務用
家具１４の近傍に設けられた吹き出しグリルＡ３を通し
て、近傍局所空間に吹き出される。

【００３２】このように本発明の第二実施例のパーソナ
ル空調システムによれば、第一実施例で得られる省エネ
効果が高くかつ、区画の変更、細区画において設置上の
自由度の高い事務用家具収納型での局所空間を空調する
こととなる。

【００３３】つぎに本発明の第三実施例について、図３
を参照しながら説明する。図示のようにパーティション
５と机４で構成される執務ゾーンにおいて、前記机４の
下部に熱交換器部分（図示せず）と送風機部分（図示せ
ず）を内部に設けた直膨分離型空調機の室内機１０を設
置し、前記パーティション５の内部にチャンバーＣ１８
と複数の送風路１９を設ける。また前記送風路１９の風
下側のパーティション５の前面および後面には吹き出し
グリルＣ２０を設置する。さらに前記室内機１０の吹き
出し口１０Ａと前記チャンバーＣ１８を連通するようダ
クトＣ１７を設けている。

【００３４】上記構成において、パーティション５で仕
切られたために派生した偏在熱負荷は室内機１０の吸い
込み口１０Ｂに吸い込まれた後、熱交換された空調空気
はダクトＣ１７を通じチャンバーＣ１８内へ送出され
る。前記チャンバーＣ１８内で空調空気は減圧され、風
速が減少するとともに温度が均一化される。さらに送風
路１９に向かう地点で、チャンバーＣ１８内の圧力が上
昇するため、吹き出しグリルＣ２０からはほぼ均一な風
速となった空調空気が机４周辺に吹きだされる。

【００３５】このように本発明の第三実施例のパーソナ
ル空調システムによれば、パーティション５により滞留
する偏在熱負荷を解消するとともに、個人の温感的趣向
に対応した局所空調ができる。

【００３６】なお、実施例ではパーソナル空調システム
の空調モードを冷房時を基本に述べたが、暖房時にあっ
ても同等の作用効果が得られる。

【００３７】また、ベース空調に空気浄化機能を付加し
たり、パーソナル空調システムに香り発生装置を付加す
ることで、さらに環境良化がはかれる。

【００３８】

【発明の効果】以上の実施例から明らかなように、本発
明によれば直膨分離型空調機の室内機と二重床に設けら
れた吹き出しグリルＡを二重床下に設けたチャンバーＡ
で連通することで極めて熱ロス、風量ロスの少ない、す
なわち省エネ効果の高いパーソナル空調システムが提供
できる。

【００３９】また、事務用家具に熱交換器部分と送風機
部分とを組み込むことで、前記省エネ効果に加えて、設
置性の良いパーソナル空調システムが提供できる。

【００４０】さらにパーティション近傍に設置した直膨
分離型空調機の室内機とパーティション内部に設けたチ
ャンバーＣ並びに前記パーティション表面に設けた吹き
出しグリルＣを連通することで、パーティション近傍に
滞留している偏在熱負荷を解消するとともに個人の温感
的趣向に対応できるパーソナル空調システムが提供でき
る。また負荷発生場所が変化した場合にも容易に増設、
配置換えができることも本発明共通の効果としてあげら
れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第一実施例のパーソナル空調システム
の部分断面斜視図

【図２】同第二実施例の同部分断面斜視図

【図３】同第三実施例の同部分断面斜視図

【図４】従来の空調システムの第一例の全体構成斜視図

【図５】同第二例の全体構成断面図

【符号の説明】

２ 二重床 ３ 吹き出しグリルＡ ５ パーティション １０ 室内機 １０Ａ 吹き出し口 １１ ダクトＡ １３ チャンバーＡ １４ 事務用家具 １５ 熱交換器部分 １６ 送風機部分 １８ チャンバーＣ １９ 送風路 ２０ 吹き出しグリルＣ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】熱交換器部分と送風機部分とを内部に設置
   した直膨分離型空調機の室内機と、二重床の床下に設け
   たチャンバーＡと、前記室内機の吹き出し口とチャンバ
   ーＡを結ぶダクトＡと、前記二重床の一部に設置した吹
   き出しグリルＡを備えたパーソナル空調システム。
2. 【請求項２】直膨分離型空調機の室内機の熱交換器部分
   と送風機部分をユニット化し、事務用家具に組み込んだ
   請求項１記載のパーソナル空調システム。
3. 【請求項３】熱交換器部分と送風機部分とを内部に設置
   した直膨分離型空調機の室内機と、内部に送風路とチャ
   ンバーＣと上部に吹き出しグリルＣとを設けたパーティ
   ションを備えたパーソナル空調システム。