JPH07122266A - 鉛蓄電池用正極板及びその製造方法 - Google Patents

鉛蓄電池用正極板及びその製造方法

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JPH07122266A
JPH07122266A JP5268975A JP26897593A JPH07122266A JP H07122266 A JPH07122266 A JP H07122266A JP 5268975 A JP5268975 A JP 5268975A JP 26897593 A JP26897593 A JP 26897593A JP H07122266 A JPH07122266 A JP H07122266A
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positive electrode
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JP5268975A
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Shinji Saito
慎治 斉藤
Toshio Shibahara
敏夫 柴原
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Resonac Corp
Original Assignee
Shin Kobe Electric Machinery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 活物質層の多孔度が高く、しかも活物質相互
間の結合力及び活物質層と集電体との間の結合力が強い
鉛蓄電池用正極板を得る。 【構成】 活物質ペーストに液性をアルカリ性にする化
合物(NaOH、Na2SO4 )を添加して活物質ペー
ストの液性をpH10.5〜12にする。鉛合金からな
る集電体に活物質ペーストを充填して未乾燥極板を作
り、未乾燥極板を熟成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は鉛蓄電池用正極板及びそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に鉛蓄電池用正極板を製造するに
は、まず鉛または鉛合金からなる集電体に活物質ペース
トを充填して未乾燥極板を作る。次に未乾燥極板を所定
の湿度及び温度の雰囲気中に放置して熟成を行う。未乾
燥極板を熟成すると、活物質及び集電体から溶出したP
2+が共有結合されたPbOとして活物質及び集電体
の表面に析出する。共有結合されたPbOは化成により
放電しにくいα−PbO2となるため、活物質相互間の
結合力及び活物質層と集電体との間の結合力が強くな
る。しかしながら、単に未乾燥極板を熟成するだけで
は、活物質相互間の結合力及び活物質層と集電体との間
の結合力を強くすることには限界があり、電池に充放電
を繰り返すと活物質が崩壊したり、活物質層が集電体か
ら剥離して、集電体の集電能力の低下や集電体の腐食が
起こり易くなるという問題が生じる。そこで熟成条件を
様々に変えて活物質相互間の結合力及び活物質層と集電
体との間の結合力を強くすることが検討された。例え
ば、湿度及び温度を変えて集電体の腐食(溶解)反応を
促進させたり、熟成温度を高くして活物質中に四塩基性
硫酸鉛からなる骨格を形成すること等が検討された。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、活物質
及び集電体の腐食反応は酸素及び水の複雑な反応により
進行するので、熟成中に温度及び湿度を制御するのは難
しい。そのため、熟成条件を様々に変えて結合力を強く
しようとしても、熟成に長い時間がかかる上、品質の安
定した正極板を得ることは難しいという問題があった。
また四塩基性硫酸鉛は極板を化成する際に表面層の部分
がPbO2 化するため、活物質中に四塩基性硫酸鉛から
なる骨格が残っても、活物質の反応表面積が小さくなっ
て、電池の容量が低下するという問題があった。
【0004】本発明の目的は、品質を安定化させて、し
かも活物質層の多孔度が大きく、活物質相互間の結合力
及び活物質層と集電体との間の結合力が強い鉛蓄電池用
正極板及びその製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明では、鉛
または鉛合金からなる集電体に活物質ペーストを充填し
て未乾燥極板を作り、この未乾燥極板を熟成して鉛蓄電
池用正極板を製造する方法を対象にして、活物質ペース
トに該活物質ペーストの液性をアルカリ性にする化合物
を添加する。
【0006】請求項2の発明では、液性をアルカリ性に
する化合物の添加により活物質ペーストの液性をpH1
0.5〜12にする。
【0007】請求項3の発明では、液性をアルカリ性に
する化合物として水酸化化合物を用いる。
【0008】請求項4の発明では、液性をアルカリ性に
する化合物として中性塩を用いる。請求項5の発明で
は、中性塩として硫酸ナトリウムを用いる。
【0009】請求項6の発明では、請求項4の方法によ
って製造した鉛蓄電池用正極板を対象にして、多孔度が
50〜65%であり、極板全体の比表面積が2〜4 m 2
/gであり、活物質層表面積部のPbO2 2次粒子が3μ
m 以下の大きさを有し、活物質層の集電体側の部分がサ
ンゴ状を有して、しかもα−PbO2 が分散している。
【0010】
【作用】請求項1の発明のように活物質ペーストに液性
をアルカリ性にする化合物を添加すると、活物質ペース
トが比較的高いアルカリ性になり、熟成工程において活
物質相互の界面及び活物質層と集電体との界面において
共有結合されたPbOの生成が促進される。そのため、
電解液である硫酸の浸透が少ない活物質ペースト層の集
電体側の部分(極板内部)ではペーストのアルカリ性が
高く、共有結合されたPbOは、極板の化成により放電
し難いα−PbO2 となる。しかもアルカリ性の活物質
ペースト中ではPbO、PbSO4 の溶解度が高くなる
ので、生成されたα−PbO2 は大きく成長していわゆ
るサンゴ状になる。
【0011】また活物質層の電解液側表面部では、電解
液の硫酸と反応して生成されたPbSO4 が化成により
β−PbO2 になるため、α−PbO2 とβ−PbO2
の混合物ができる。β−PbO2 は2次粒子の粒径が小
さいので、活物質層の電解液側表面部は多孔度が高くな
る。したがって、本発明によれば、従来のように温度及
び湿度を制御せずに、活物質の脱落の防止を図って、し
かも容量の高い鉛蓄電池用正極板を得ることができる。
また活物質層と集電体との界面においては、α−PbO
2 が集電体の酸化被膜となって集電体の腐食を防止す
る。
【0012】さらに本発明によれば、液性をアルカリ性
にする化合物から活物質ペースト中に溶けるイオンが鉛
粉粒子の周囲に付着して活物質ペーストの粘度の低下を
抑えることができる。そのため、活物質の多孔度を高め
るために比較的多量の水を用いて活物質ペーストを作っ
ても、活物質ペーストを容易に集電体に充填することが
できる利点がある。
【0013】なお従来、集電体を鉛粉末または鉛繊維を
含むアルカリ溶液中に浸漬し、集電体に鉛粉末または鉛
繊維を密着させた後に活物質ペーストを集電体に充填す
る方法が提案されている(特開平4−345756号公
報)。しかしながら、このような方法を用いると、集電
体をアルカリ溶液中に浸漬しなければならず浸漬工程を
追加しなければならなくなる。しかも集電体と活物質と
の密着強度をある程度高めることはできても、活物質相
互間の密着強度を高めることはできなかった。請求項2
の発明のように、液性をアルカリ性にする化合物の添加
により活物質ペーストの液性をpH10.5〜12にす
ると、活物質層の集電体側の部分の活物質を十分に大き
く形成することができ、活物質層の電解液側表面部の多
孔度を十分に高めることができる。
【0014】請求項3の発明のように、液性をアルカリ
性にする化合物として水酸化化合物を用いると、水酸化
化合物の量により活物質ペーストのpHを所望の値に容
易に調整できる。例えば、液性をアルカリ性にする化合
物として中性塩を用いると、化学反応により中性塩が水
酸化化合物となって活物質ペーストのpH値が変化する
のでpHを所望の値に調整するのが難しくなる。
【0015】なお本発明では、下記のようにして活物質
相互の界面及び活物質と集電体との界面におけるPbO
の生成が促進され、活物質層の集電体側の部分の活物質
を大きなサンゴ状に形成できて、活物質層の電解液側表
面部の活物質を2次粒子の粒径の小さな粒子に形成でき
る。
【0016】鉛蓄電池用正極板は熟成工程において下記
(1)の反応式により、集電体または活物質中のPb
と、大気中の酸素(O2 )と、ペースト中の水(H
2 O)とが反応して活物質相互の界面及び活物質と集電
体との界面に共有結合されたPbOが生成される。
【0017】 Pb+1/2O2 + H2 O →Pb 2++ 2OH→Pb(OH)2 →PbO + H2 O …(1) 尚、Pb 2+、2OHは下記(1a)式及び(1b)
式の酸化還元反応(電池反応)により活物質ペースト中
に溶解される。
【0018】 Pb→Pb 2++2e …(1a) 1/2O2 +H2 O+2e→2OH …(1b) 上記(1a)及び(1b)の電池反応式における電位差
は0.8V程度である。この電位差は反応を引き起こす
起電力にはなるものの、上記(1)式の反応はイオン伝
導性の低いpH7〜9の活物質ペースト中で進行するた
め、腐食電流が流れ難くく、反応は遅いものとなる。こ
のように反応が遅くなると活物質ペーストが乾燥し、さ
らに生成されるPbOの絶縁性によりますます電流が流
れ難くなり、上記(1)の反応が停止して、Pb(O
H)2 の生成量が少なくなってしまう。そこで本発明の
ように活物質ペーストに液性をアルカリ性にする化合物
を添加すると、活物質ペースト中に腐食電流の流れを促
進するイオンが溶出し、しかもPb 2+の活物質ペース
ト中への溶解が促進されてPbOの生成が促進される。
また活物質ペーストを高いアルカリ性にするとPbOや
Pb(OH)2 の溶解度が増大するために、下記(2)
〜(4)の反応式によりPb(OH)2 が再度活物質ペ
ースト中へ溶解され、乾燥中には溶解度が低下して、共
有結合されたPbOが生成される。具体的に説明する
と、下記(2)式によりPb(OH)2 が活物質ペース
ト中に溶解してできた可溶性イオン(PbOH)と、
活物質(PbO)が活物質ペースト中に溶解して生成さ
れたHPbO 2 (下記(3)式参照)とが下記(4)
式のように反応して共有結合されたPbOが生成され
る。
【0019】 Pb(OH)2 →PbOH+OH …(2) PbO+OH→HPbO 2 …(3) PbOH+HPbO 2 →2PbO+H2 O …(4) 尚液性を中性にする化合物を活物質ペーストに添加して
も、Pbの活物質ペースト中への溶解(Pb 2+の生
成)は促進されない。また活物質ペーストに液性を酸性
にする化合物を添加すると、Pbの活物質ペースト中へ
の溶解(Pb 2+の生成)は促進されるものの、水素イ
オンが上記(1b)式の2eと下記(5)式のように
反応して水素ガスが発生し、活物質粒子の間及び活物質
と集電体との間に気泡が吸着して活物質相互間及び活物
質と集電体との間の結合が阻止される。
【0020】 2H+2e→H2 ↑ …(5) 請求項4の発明のように、液性をアルカリ性にする化合
物として中性塩を用いると、活物質ペースト中に3Pb
O・PbSO4 が生成して、ペースト粒子の比表面積が
増大し、粒子に対する水の吸着量が多くなる。そのた
め、自由水が減少して活物質ペーストが硬くなる。した
がって、本発明によれば活物質の多孔度を高めるために
より多くの水を用いて活物質ペーストを作ることができ
る。
【0021】なお本発明では、下記のようにして活物質
層の集電体側の部分の活物質をサンゴ状に大きく形成す
ることができ、活物質層の電解液側表面部の活物質を2
次粒子の粒径の小さな粒子で形成できる。
【0022】中性塩として硫酸ナトリウム(Na2 SO
4 )または硫酸マグネシウム(MgSO4 )を用いると
下記の反応式により活物質ペースト中に3PbO・Pb
SO4 が生成されても、活物質ペーストの液性はアルカ
リ性になる。
【0023】4PbO+Na2 SO4 +H2 O→3Pb
O・PbSO4 +2NaOH 4PbO+MgSO4 +H2 O→3PbO・PbSO4
+Mg(OH)2 なお上記反応式で生成される3PbO・PbSO4 はN
2 SO4 等でできるイオンによりその生成が抑制され
るため、活物質ペースト中にはt−PbO等の鉛酸化物
が残留している。そして、活物質ペーストを集電体に充
填した未乾燥極板を熟成すると、熟成中に活物質ペース
トの液性(アルカリ性)によりペースト中への金属鉛の
溶出が促進され、しかも腐食電流の流れがNa、SO
4 2−、Mg 2+イオンにより促進されるため、鉛の腐
食(酸化)反応が進み活物質相互間の結合力及び活物質
層と集電体との間の結合力が強くなる。また熟成後、N
2 SO4 、MgSO4 の一部はPbO粒子の表面に析
出して、PbO粒子間の結合力を高める役割を果たす。
そして熟成が完了した未化成極板を化成すると、活物質
中に残留している前述のt−PbOがH2 SO4 と反応
して、活物質層の電解液側表面部では、PbSO4 の細
かい結晶ができる。このような状態で通電が進むと活物
質層の電解液側表面部では、粒度の小さいα−PbO2
とβ−PbO2 との混合物ができ、活物質層の集電体側
の部分にはサンゴ状のα−PbO2 ができる。また前述
のPbO粒子の表面に析出したNa2 SO4 、MgSO
4 は化成により再溶出して活物質中のpH値を高める役
割を果たす。なお活物質層の電解液側表面部で形成され
るβ−PbO2 の2次粒子の大きさは3μm 以下と小さ
くなるが、活物質層の集電体側の部分は活物質がサンゴ
状に大きく形成されるので、従来の極板より多孔度が高
いにもかかわらず、活物質層全体の平均重量比表面積は
従来の極板と同じ(約2〜4 m 2/g)になる。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例の製造方法を詳細に説
明する。
【0025】(実施例1)まず一酸化鉛を70〜80重
量%含む鉛粉3kgとNaOH(水酸化化合物)0.05
〜0.2重量%と濃度35%の硫酸10〜18重量%と
を混練してpH11の活物質ペーストを作った。尚活物
質ペーストの好ましいpHの範囲は10.5〜12であ
り、液性をアルカリ性にする化合物はこの範囲のpHに
活物質ペーストのpHがなるように適量に添加すればよ
い。次にこの活物質ペースト約25gを鉛合金製の格子
体(4mm×7mm×3mm)からなる集電体に充填して未乾
燥極板を作った。次にこの未乾燥極板を湿度95%及び
温度35℃の雰囲気中に40時間放置して未化成の鉛蓄
電池用正極板を完成した。
【0026】次に本実施例の方法で製造した正極板と従
来の方法で製造した正極板とをそれぞれ用いて二種類の
4Ah−2Vの電池A,Bを作り、これらの電池A,B
を用いて試験を行って、本実施例の方法で製造した正極
板の特性を調べた。尚電池A,Bは2枚の正極板と同寸
法の公知の負極板3枚とを組合せて製造した。また従来
の方法で製造した正極板では、NaOHを添加せずpH
8の活物質ペーストを作り、その他は本実施例と同じ方
法で製造した。そして次の2種類の寿命試験を行った。
【0027】(1)各電池を25℃±2℃中で80mAの
定電流で20日間過充電した後に、800mA(終止電圧
1.75V)の定電流で放電し、各電池の放電日数と電
池の容量との関係を調べた。尚容量が2Ah以下になった
時を電池の寿命とした。
【0028】(2)各電池を25℃±2℃中で4Aの定
電流で放電(終止電圧1.6V)した後に、2.45V
の定電圧で5時間充電(1.2A制御電流)してから1
時間休止する充放電を繰り返して各電池の充放電サイク
ル数と放電容量との関係を調べた。尚容量が1.2Ah以
下になった時を電池の寿命とした。
【0029】図1は上記(1)の試験の測定結果を示す
図である。図1より従来の方法で製造した正極板を用い
た電池Bは放電後約200日で寿命に達するのに対して
本実施例の方法で製造した正極板を用いた電池Aは30
0日で寿命に達するのが判る。尚両電池が寿命に達する
原因はいずれも集電体の腐食であった。
【0030】また図2は上記(2)の試験の測定結果を
示す図である。図2より従来の方法で製造した正極板を
用いた電池Bは約300サイクルで寿命に達するのに対
し、本実施例の方法で製造した正極板を用いた電池Aは
400サイクルを過ぎても寿命に達しないのが判る。上
記(1)及び(2)の試験において、電池Aの寿命が延
びるのは、従来の方法で製造した正極板では活物質中の
(α−PbO2 )/(β−PbO2 )の重量比が0.4
前後であるのに対して、本実施例の方法で製造した正極
板では(α−PbO2 )/(β−PbO2 )の重量比が
0.5以上となるため、本実施例の方法で製造すると活
物質中にα−PbO2 による骨格構造が形成されるため
と考えられる。尚先願(特開平4−345756号公
報)の方法により製造した正極板を用いると、前述の電
池AとBの性能の間の性能を有する電池が得られる。
【0031】またNaOHの代わりに液性をアルカリ性
にする化合物としてKOH、LiOH、NaHCO3
Na2 SO4 、MgSO4 等を用いても本試験と同様の
効果を得ることができた。
【0032】(実施例2)まず一酸化鉛を70〜80重
量%含む鉛粉3kgと0.1M濃度のNa2 SO4水溶液
(中性塩水溶液)13〜18重量%と濃度35%の硫酸
10〜18重量%とを混練してpH11の活物質ペース
トを作った。なおこの実施例においても活物質ペースト
の好ましいpHの範囲は10.5〜12であり、液性を
アルカリ性にする化合物はこの範囲のpHに活物質ペー
ストのpHがなるように適量に添加すればよい。次にこ
の活物質ペースト約25gを鉛合金製の格子体(4mm×
7mm×3mm)からなる集電体に充填して未乾燥極板を作
った。次にこの未乾燥極板を湿度95%及び温度35℃
の雰囲気中に40時間放置してから化成を施し表面多孔
度60〜65%の鉛蓄電池用正極板を完成した。
【0033】次にNaOHを添加せずpH8の活物質ペ
ーストを作り、その他は本実施例と同じ方法(従来の方
法)で表面多孔度52〜54%の正極板を製造し、本実
施例の方法で製造した正極板との比較を行った。図3は
本実施例の方法で製造した正極板と従来の方法で製造し
た正極板の化成前の活物質のX線回折図であり、図4は
化成後の活物質のX線回折図である。図3より本実施例
の方法で製造した正極板は、従来の方法で製造した正極
板に比べて3PbO・PbSO4 の生成、成長が抑制さ
れているのが判る。また図4より本実施例の方法で製造
した正極板は、従来の方法で製造した正極板に比べて
(α−PbO2 )/(β−PbO2 )の重量比が大きい
のが判る。
【0034】図5(a−1)及び(a−2)は、本実施
例の方法で製造した正極板の活物質層表面のSEM写真
を模写した模式図であり、図5(b−1)及び(b−
2)は、従来の方法で製造した正極板の活物質層表面の
SEM写真を模写した模式図である。本図より本実施例
の方法で製造した正極板では活物質層表面部のPbO2
は3μm 以下であり、従来の方法で製造した正極板(5
μm 以上)より細かいのが判る。なお活物質層の重量比
表面積は、従来の方法で製造した正極板は3.2m 2/g
であり、本実施例の方法で製造した正極板は3.8 m 2
/gであった。また図6(a−1)及び(a−2)は、本
実施例の方法で製造した正極板の活物質層の集電体側の
部分(極板内部)のSEM写真を模写した模式図であ
り、図6(b−1)及び(b−2)は、従来の方法で製
造した正極板の活物質層の集電体側の部分のSEM写真
を模写した模式図である。本図より本実施例の方法で製
造した正極板では活物質層の集電体側の部分がPbO2
粒子の2次粒子がつながったサンゴ状構造となっている
のが判る。
【0035】次に本実施例の方法で製造した正極板と従
来の方法で製造した正極板とをそれぞれ用いて二種類の
4Ah−6Vの電池C,Dを作り、これらの電池を用い
て試験を行って、本実施例の方法で製造した正極板の特
性を調べた。尚電池C,Dは2枚の正極板と同寸法の公
知の負極板3枚とを組合せて製造した。
【0036】そして各電池を1C(4A)、1.70V
で放電して放電時間を測定した。測定結果は電池Cは4
0分であり、電池Dは35分であった。これより本実施
例の方法で製造した正極板を用いると電池の容量を高め
られるのが判る。
【0037】次に電池C,Dを4A(F.V.1.6
V)で放電してから、2.45V/セル(1.2A制
限)で4時間定電圧充電を行った後に25℃中で1時間
休止する充放電を繰り返し、各電池のサイクル寿命特性
を調べた。図7はその測定結果を示している。本図より
本実施例の方法で製造した正極板を用いると電池の寿命
を延ばせるのが判る。
【0038】なお上記実施例では、中性塩水溶液として
Na2 SO4 を用いたが、NaHCO3 水溶液、MgS
4 水溶液、MgSO4 7H2 O水溶液等を中性塩水溶
液として用いても構わない。また中性塩を直接活物質ペ
ースト中に添加しても構わないのは勿論である。
【0039】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、活物質ペース
トに液性をアルカリ性にする化合物を添加するので、電
解液である硫酸の浸透が少ない活物質層の集電体側の部
分ではいわゆるサンゴ状のα−PbO2 ができる。また
活物質層の電解液側表面部では、α−PbO2 とβ−P
bO2 の混合物ができる。β−PbO2 は2次粒子の粒
径が小さいので、活物質層の電解液側表面部は、活物質
多孔度が高くなる。また活物質層と集電体との界面にお
いては、α−PbO2 が集電体の酸化被膜となって集電
体の腐食を防止する。また本発明によれば、液性をアル
カリ性にする化合物から活物質ペースト中に溶けるイオ
ンが鉛粉粒子の周囲に付着して活物質ペーストの粘度の
低下を抑えることができる。そのため、活物質の多孔度
を高めるために比較的多量の水を用いて活物質ペースト
を作っても、活物質ペーストを容易に集電体に充填する
ことができる利点がある。さらに本発明の方法では、活
物質ペーストに液性をアルカリ性にする化合物を添加す
るだけでよいため、アルカリ溶液に集電体を浸漬する作
業がいらず、製造工程を増加させることなく、活物質強
度の高い鉛蓄電池用正極板を得ることができる。以上の
ように本発明によれば従来のように温度及び湿度を制御
せずに、多孔度が高く、しかも活物質相互間及び活物質
層と集電体との間の結合力を強めることができ、鉛蓄電
池の容量を高めて、さらに寿命を延ばすことのできる正
極板を得ることができる。
【0040】請求項2の発明によれば、液性をアルカリ
性にする化合物の添加により活物質ペーストの液性をp
H10.5〜12にするので、活物質層の集電体側の部
分にサンゴ状の活物質を大きく形成でき、活物質層の電
解液側表面部の多孔度を十分に高めることができる。
【0041】請求項3の発明によれば、液性をアルカリ
性にする化合物として水酸化化合物を用いるので、水酸
化化合物の量により活物質ペーストのpHを所望の値に
容易に調整できる。
【0042】請求項4の発明によれば、液性をアルカリ
性にする化合物として中性塩を用いるので、活物質の多
孔度を高めるためにより多くの水を用いて活物質ペース
トを作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 寿命試験に用いた各電池の放電日数と電池の
容量との関係を示す図である。
【図2】 寿命試験に用いた各電池の充放電サイクル数
と放電容量との関係を示す図である。
【図3】 本発明の他の実施例の方法で製造した正極板
と従来の方法で製造した正極板の化成前の活物質のX線
回折図である。
【図4】 本発明の他の実施例の方法で製造した正極板
と従来の方法で製造した正極板の化成後の活物質のX線
回折図である。
【図5】 (a−1),(a−2)は、本発明の他の実
施例の方法で製造した正極板の活物質層表面の拡大模式
図あり、(b−1),(b−2)は、従来の方法で製造
した正極板の活物質層表面の拡大模式図ある。
【図6】 (a−1),(a−2)は、本発明の他の実
施例の方法で製造した正極板の活物質層の集電体側の部
分の拡大模式図であり、(b−1),(b−2)は、従
来の方法で製造した正極板の活物質層の集電体側の部分
の拡大模式図である。
【図7】 寿命試験に用いた各電池の充放電サイクル数
と放電容量との関係を示す図である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉛または鉛合金からなる集電体に活物質
    ペーストを充填して未乾燥極板を作り、前記未乾燥極板
    を熟成して鉛蓄電池用正極板を製造する方法において、 前記活物質ペーストに該活物質ペーストの液性をアルカ
    リ性にする化合物を添加することを特徴とする鉛蓄電池
    用正極板の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記液性をアルカリ性にする化合物の添
    加により前記活物質ペーストの液性をpH10.5〜1
    2にすることを特徴とする請求項1に記載の鉛蓄電池用
    正極板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記液性をアルカリ性にする化合物とし
    て水酸化化合物を用いることを特徴とする請求項1に記
    載の鉛蓄電池用正極板の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記液性をアルカリ性にする化合物とし
    て中性塩を用いることを特徴とする請求項1に記載の鉛
    蓄電池用正極板の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記中性塩として硫酸ナトリウムを用い
    ることを特徴とする請求項4に記載の鉛蓄電池用正極板
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項4の方法によって製造した鉛蓄電
    池用正極板において、 多孔度が50〜65%であり、極板全体の比表面積が2
    〜4 m 2/gであり、活物質層表面積部のPbO2 2次粒
    子が3μm 以下の大きさを有し、活物質層の集電体側の
    部分がサンゴ状を有して、しかもα−PbO2 が分散し
    ている鉛蓄電池用正極板。
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