JPH07121489B2 - 電解液中アーク放電を利用した加工の制御方法 - Google Patents

電解液中アーク放電を利用した加工の制御方法

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JPH07121489B2
JPH07121489B2 JP63072841A JP7284188A JPH07121489B2 JP H07121489 B2 JPH07121489 B2 JP H07121489B2 JP 63072841 A JP63072841 A JP 63072841A JP 7284188 A JP7284188 A JP 7284188A JP H07121489 B2 JPH07121489 B2 JP H07121489B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、電解液中アーク放電を利用して、セラミック
ス、金属間化合物、その他の難削材料の電気的加工を行
う場合の加工制御方法に関するものである。
[従来の技術] 本発明者は、先に、特願昭62−63371号として、「電解
液中アーク放電による非導電性材料の加工法」を提案し
ている。この既提案の加工方法は、非導電性材料を電解
液中における放電を利用して加工するもので、中性塩電
解液を用い、この電解液中で工作物に対設した工具電極
が溶融しない加工条件を設定して、電解液中におけるア
ーク状の放電により加工するようにしている。
上記方法によって加工する場合の加工能率は、工具電極
が比較的高温(推定400〜800℃)に設定保持される加工
条件において良好なことが実験的にわかってきた。しか
し、この加工は本質的に不安定な状態にある。例えば、
外的条件の変動によって放電電流が増加したとすると、
これによって放電がより激しくなり、工具電極の温度は
上昇する。そして、この温度上昇はまた放電電極を増加
させ、それにより工具電極の温度が上昇するという悪循
環により、遂には工具電極が溶融するまでに至る。逆
に、加工条件を安全側に設定すると、工具電極の温度は
あまり上昇せず、加工能率は低下する。
また、一時的に最適な加工条件を設定したとしても、時
間経過と共に電解液の温度変化などにより、その状態を
保持できなくなるので、常に加工条件を最適な状態に戻
すことを考慮する必要がある。
そこで、上記温度上昇の問題に対処し、工具電極材料と
して、耐熱性に優れたタングステン、銀タングステン合
金、導電性セラミックス等を使用してみたが、これらの
材料でも赤熱・溶融するに至り、この問題の解決にはな
らなかった。
問題解決のための他の方法は、放電休止期間を設けた間
欠的な放電により温度上昇を抑制する方法(前掲特願昭
62−63371号の実施例参照)であるが、休止期間の存在
により時間的損失が大きくなると共に、本質的に放電の
不安定さを改善するものではないので、安全側の条件設
定を行う必要があり、そのため加工能率の点で不利にな
る。
一方、加工電極の電流を制限する等の手法も考えられる
が、定電圧、定電流等の保護回路は、この加工法の加工
電源に対する次のような特有の要求により効果的に使用
することができない。
即ち、電解液中での放電は、最初に大きな電解電流が流
れて、工具電極表面全体が電解により発生した気体に覆
われ、それによって放電に移行することが、放電による
発光現象と加工電流波形の比較等の研究によってわかっ
てきた。加工中に放電が休止した場合の再点弧の時も、
電解により発生した気体や、熱により発生した水蒸気等
によって、工具電極全面が気体層に覆われる必要があ
る。
従って、保護回路の設定電流値を放電中の電流を基準と
して定めると、電解電流が制限されて工具電極全面が気
体層に覆われるまでに至らず、放電に移行することがで
きなくなる。一方、設定電流値を電解電流のピーク値に
合わせると、それよりはるかに小さい放電電流を制限す
ることはできないので、工具電極の温度上昇を抑えるこ
とは難しくなる。
[発明が解決しようとする課題] 電解液中のアーク放電を利用する加工は、上述したよう
な問題点を有しているが、本発明者は、上記加工におい
て、加工中に発生する光情報を研究中に、フォトダイオ
ード等で容易に検出可能な近赤外域の光出力がこの加工
の状況を代表する重要なパラメータであることを見出し
た。この光出力が小さ過ると加工能率が悪く、逆に大き
過ると工具電極の過度な温度上昇を招きやすくなる。従
って、この光出力をフィ−ゾバックして加工電源の出力
を制御すれば、良好な加工状態を保持し得ると考えられ
る。
本発明の技術的課題は、上述した知見に基づき、加工中
に発生する近赤外域の光出力による加工電源の出力を制
御して、常に良好な加工状態を維持できるようにした加
工制御方法を提供することにある。
[課題を解決するための手段、作用] 上記課題を解決するため、本発明に係る加工の制御方法
は、電解液中で、セラミックスや金属間化合物等の非同
電性材料からなる工作物に対設した工具電極のアーク放
電により、その工作物を加工する方法において、加工中
に上記アーク放電により発生する近赤外線の光出力を検
出し、それによって得られる温度情報をフィードバック
して、加工電源の出力をパルス幅制御することにより、
その加工電源出力を工具電極が溶融しない範囲で高温に
設定される加工条件に維持しながら加工することを特徴
とするものである。
第1図に示す加工装置の一例を参照して本発明について
さらに詳細に説明すると、本発明に基づいてセラミック
ス、金属間化合物、その他の難削材料からなる工作物の
加工を行うに際しては、電解液2を満たした加工槽1内
において、工作物3に工具電極4を対設すると共に、そ
の電解液中に白金板などの不溶性の材料からなる補助電
極5を配設し、この状態で電解液中におけるアーク放電
により加工を行うものである。工作物3の加工の進行に
伴い、工具電極4には必要な送りが与えられる。
上記加工は、工具電極4が比較的高温状態にある加工条
件のときに効率的に行われるが、その際、アーク放電部
分で近赤外線が発生する。この近赤外線は、内部に増幅
器を備えた近赤外線検出器6により検出、増幅され、そ
の出力が増幅器7に入力される。
増幅器7は、フィードバック電圧レベルを設定するため
の基準電圧発生器3と感度調整器9を備えている。基準
電圧発生器8は、通常、近赤外線検出器6の出力と逆極
性の直流電圧を発生し、この電圧を調整することによっ
て加工中に発生する近赤外線強度の目標値を設定するこ
とができる。近赤外線強度を小さくするように設定する
と、加工能率は下がるが、工具電極の消耗比が向上する
と共に加工形状が良くなる。逆に近赤外線強度を大きく
するように設定すると、加工能率は向上するが、工具電
極の消耗が激しくなり、加工形状が悪くなる。このよう
に、基準電圧発生器8の電圧を調整することによって、
加工状況を選択することができる。感度調整器9は増幅
器7の増幅度を変えることによって適正なフィードバッ
ク動作が行われるように調整するためのものである。
近赤外線検出器6としては、可視光カットフィルタを備
えたフォトダイオードが、使いやすさ、分光感度特性、
動作速度等の点から最適と考えられる。これを加工槽1
の上方に設置し、集光レンズを使用して集光すればよい
が、加工機の操作などによって遮光されるおそれのある
場合には、工具電極4の近辺からオプティカルファイバ
ーを用いて近赤外線を検出器6に導く方法を用いること
もできる。
前述のように、電解液中での放電は、最初に大きな電解
電流が流れて、工具電極表面全体が電解により発生した
気体に覆われ、それによって放電に移行するが、その電
解電流と放電電流の差が大きい(1桁以上)ので、通常
のトランジスタの抵抗値制御による出力の制御では、大
きな電力損失を伴うと共に、大容量のトランジスタ、放
熱器等を必要とし、実用的でない。このため、非常に少
ない電力損失で加工電源の出力制御を行うことが可能な
パルス幅変調方式を採用している。
即ち、上記増幅器7にコンパレータ12を介して接続され
たFETパワートランジスタ11は、工具電極4と補助電極
5との間に加工のための電流を流す直流電源13に接続さ
れ、高速のオン・オフを繰り返すが、そのオンの時間は
コンパレータ12によって決定される。コンパレータ12
は、三角波発生器14の出力電圧と増幅器7の出力電圧を
比較して、後者が前者より小さい時に正の電圧を出力
し、その時間だけFETパワートランジスタ11をオンとす
る。コンパレータ12、三角波発生器14、FFTパワートラ
ンジスタ11は、このようにしていわゆるパルス幅変調動
作を行うものである。
第2図に、第1図の装置を用いて加工した場合の加工電
圧(工具電極4と補助電極5の間の電圧)と、増幅器7
の入力端子部分で測定した近赤外線検出器6(シリコン
フォトダイオード、感度波長範囲700〜1140nm)の出力
電圧の波形の一例を示す(下方向が増大方向として表
示)。検出器出力があるレベル以上(この場合は約7m
V)になった場合に、加工電圧が低下して出力が制限さ
れている様子がわかる。なお、加工電圧に見られる10ms
周期の規則的変動は、直流電源13の残留リップル電圧に
よるものである。三角波発生器14で発生させる三角波の
周期は、増幅器7の出力の変化に比べて十分小さくする
必要があるが、このでは30μsに設定した。
以上において説明したような加工装置によれば、加工中
に発生する近赤外線を検出し、それをフィードバックし
て、加工電極の出力をパルス幅制御し、加工電源出力を
適正な加工条件に維持することができる。それにより、
放電の発生を確実なもとのし、高温の工具電極の温度上
昇を制限することが可能になる。
[実施例1] 第2図の場合と同様にして、第1図に示す加工装置を用
い、次の条件で加工を行った。
実験条件 工作物:Si3N4 工具電極:外径3.2mm内径1.6mm銅パイプ 補助電極:白金板1200mm×50mm 電解液:比重1.20 NaNO3水溶液 平均加工電流:2〜3A この結果、従来の方法での15分間の加工深さが一般的に
1.2mm程度であったのが、少ない回数の試みにもかかわ
らず1.8mmまで向上した。
[実施例2] 実験条件は、電解液をゆるやかに循環(流量140cm3/mi
n)させた以外は、実施例1の場合と同じである。
基準電圧発生器8の設定は、実施例1の場合に比べて工
具電極消耗比の向上を優先して設定し、長時間の加工を
行った。この結果、60分の加工時間に対して加工深さは
1.9mmとなり、加工能率の点では実施例1に比べて劣る
か、工具電極消耗は0.3mmであり、実施例1の場合の3.2
mmに比べて約1/10となった。従来の方法では長時間安定
な加工を行うことは困難であったが、本装置を用いるこ
とによって非常に容易なものとなった。
[実施例3] 実施例2の場合より加工電圧を高めて、192Vとし(実施
例2で,160V)、基準電圧発生器8の設定を2通りに変
えて、それぞれ15分間の加工実験を行った。その結果、
加工深さ1.44mmで工具電極消耗0.5mm、及び加工深さ1.9
0mmで工具電極消耗1.0mmの結果が得られた。
この場合に、試みにフィードバックをかけずに放置する
と、数10秒で工具電極の溶融が起こった。なお、この場
合の近赤外線検出器としては、ゲルマニウムフォトダイ
オード(感度波長範囲700〜1900nm)を使用した。
[発明の効果] このような本発明の制御方法によれば、加工中に発生す
る近赤外線を検出して加工電源の出力をパルス幅制御す
るという簡単な手段により、電解から放電への移行を確
実なものにすると主に、高温の工具電極の温度上昇を制
限して、長時間にわたって適正な加工条件に設定保持す
ることが可能になり、この結果として、加工能率が著し
く向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の方法を実施する加工装置の一例を示す
回路構成図、第2図は加工電圧と近赤外線検出器の出力
電圧の波形の一例を示すグラフである。 1……加工槽、2……電解液、 3……工作物、4……工具電極、 5……補助電極、6……近赤外線検出器、 7……増幅器、8……基準電圧発生器、 9……感度調整器、 11……FETパワートランジスタ、 12……コンパレータ、13……直流電源、 14……三角波発生器。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電解液中で、非導電性材料からなる工作物
    に対設した工具電極のアーク放電により、その工作物を
    加工する方法において、加工中に上記アーク放電により
    発生する近赤外線の光出力を検出し、それによつて得ら
    れる温度情報をフィードバックして、加工電源の出力を
    パルス幅制御することにより、その加工電源出力を工具
    電極が溶融しない範囲で高温に設定される加工条件に維
    持しながら加工することを特徴とする電解液中アーク放
    電を利用した加工の制御方法。
JP63072841A 1988-03-25 1988-03-25 電解液中アーク放電を利用した加工の制御方法 Expired - Lifetime JPH07121489B2 (ja)

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