JPH07120482B2 - 車輌灯具用反射鏡 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は自動車等の車輌に用いられる灯具に関し、特
に、カラーコーティングを施こされた反射鏡に関するも
のである。

（従来の技術とその課題） 灯具反射鏡は通常、金属、樹脂等の支持体上にAl等を蒸
着して製造される。そして、灯具ランプの光から所望あ
るいは規格の色光（ブルー，イエロー,etc）を得るため
にAl蒸着層上に所定の染料を含むトップコート層を設け
ることが行われている。

このような灯具を使用している間に、該染料が紫外線に
より酸化・変化（褪色）し、引いては所定の色光が永続
して得られないという課題があった。

従って、本発明の目的は、長期間使用しても一定した色
光が得られる灯具反射鏡を提供することにある。

（課題を解決するための手段） 本発明は、支持体、Al蒸着層および樹脂を主体としたト
ップコート層からなる車輌灯具用反射鏡において、該ト
ップコート層が、染料および光安定化剤を含む層と、紫
外線吸収剤を含む層から少なくとも構成される複層構造
であることを特徴とする車輌灯具用反射鏡であり、これ
により上記課題を解決し、本発明を達成することができ
る。

本発明のトップコート層はAl蒸着層上に設けられるが２
層以上の複層から構成される。そして、本発明のトップ
コート層は、染料および光安定化剤を含む層と、紫外線
吸収剤を含む層を少なくとも有する必要がある。

トップコート層は通常、結合剤として、アクリル樹脂、
メラミン樹脂等が、エステル系、ケトン系、脂肪族又は
芳香族炭化水素系等の溶剤により分散された塗料成分に
適宜、該吸収剤、光安定化剤、染料を選択含有させて塗
布することにより設けられる。例えば、染料含有塗料、
染料及び光安定化剤含有塗料をAl蒸着層上に塗設し、そ
の上に更に、該紫外線吸収剤および光安定化剤含有塗料
或いは紫外線吸収剤単独含有塗料を塗設してトップコー
ト層を形成することも、染料、紫外線吸収剤および光安
定化剤含有塗料をAl層上に塗設してトップコート層を形
成することも、その他の方法で形成することもできる。
トップコート層は所望によりその他公知の添加剤、例え
ばレベリング剤、消泡剤等を含有することができる。塗
料の結合剤及び溶剤の各成分は、後述の支持体の種類に
応じて適宜変更することが好ましい。

本発明に用いられる染料としては、業界公知のものが使
用できるが、具体的には、フタロシアニン系、アンスラ
キノン系、コバルト系、インダンスレン系等である。

本発明に用いられる紫外線吸収剤としては、ベンゾトリ
アゾール系、ベンゾフェノン系、アリールエステル系等
が用いられ、特に好ましくは、ベンゾトリアゾール系で
あり、具体的には、２−〔２−ヒドロキシ−3,5−ジ
（α，α−ジメチルベンジル）フェニル〕−2Hベンゾト
リアゾール等が挙げられ、これら化合物は単独あるいは
組合わせて用いられる。コート層での含有量は、コート
層形成塗料の不揮発分に対して、好ましくは、10wt％前
後の範囲である。

本発明に用いられる光安定化剤としては、染料の発色団
に惹起するフリーラジカルを捕獲する機能を有すれば、
特に限定されるものではないが、好ましくはヒンダード
アミン系であり、具体的には、２−（3,5−ジ−ｔ−ブ
チル−４−ヒドロキシベンジル）−２−ｎ−ブチルマロ
ン酸ビス（1,2,2,6,6−ペンタメチル−４−ピペリジ
ル）等が挙げられ、これら化合物は単独あるいは組合わ
せて用いられる。トップコート層での含有量は、トップ
コート層形成塗料の不揮発分に対して、18wt％〜20wt
％、好ましくは、20wt％である。

本発明に用いられるAl蒸着層が形成される支持体として
は、特に限定されず当業界で公知のものが使用される。
具体的には、金属、例えば、鉄SUS、銅等、樹脂、例え
ば、アクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS等を反射
鏡状に成型したもの、あるいは、金属成形品上に樹脂塗
膜を設けたもの、FRP等の強化樹脂成型品等が使用され
る。

実施例 以下、本発明の具体的実施例を図面を参照して説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。

（実施例−１） 第１図は本発明に係る反射鏡１を有する灯具の切欠き側
面図である。この灯具は遮光部材８およびランプ９を具
備している。

第２図は第１図のＩ−Ｉ′に沿う断面図を示す。

２は鉄基板である。３及び４は鉄基板２の表裏表面に形
成された電着塗面であり、電着塗料として、ポリブタジ
エン系、エポキシ系、アクリル系等が用いられ膜厚は15
〜25μである。５は内面側の電着塗面３の上に形成され
たアンダーコート層であり顔料を含有しない合成樹脂系
塗料をスプレー法等により膜厚40〜60μに設けたもので
ある。

６はAl蒸着層であり、約1000Åの膜厚を有する。

７は本発明のトップコート層であり、下記処方の塗料成
分に光安定化剤（２−（3,5−ジ−ｔ−ブチル−４−ヒ
ドロキシベンジル）−２−ｎ−ブチルマロン酸−ビス
（1,2,2,6,6−ペンタメチル−４−ピペリジル）1.13重
量部及び染料（フタロシアニンブルー）0.0375重量部を
含有させたものをスプレー、ディッピング等の方法によ
って膜厚５μｍ前後に設けたトップコートａ層7aと下記
処方の塗料成分に紫外線吸収剤、２−〔２−ヒドロキシ
−3,5−ジ（α，α−ジメチルベンジル）フェニル〕−2
Hベンゾトリアゾール2.66重量部を含有させたものを上
記と同様な方法によって膜厚５μｍ前後に設けたトップ
コートｂ層7bとから構成したものである。

塗料成分： 重量部 樹脂 アクリル樹脂 13.3 溶媒 酢酸トエチル 28.9 ジイソブチルケトン 22.2 脂肪族炭化水素 22.2 トルエン 6.0 キシレン 4.0 ノルマルブチルアルコール 3.4 次にこの第１図に示した灯具の色光の経時変化を以下の
方法により調べた。尚、比較例として上記塗料組成中、
紫外線吸収剤及び光安定化剤を除いた他は同様の塗料を
用いてトップコート層を設けた反射鏡を作成した。

試験方法： 本発明反射鏡の灯具及び比較灯具をフェードメータ内に
入れカーボン電極によるアークランプ光を400時間照射
した後、灯具を点灯し目視によってその色光を比較し
た。尚、両灯具の当初の色光は共に正常なブルー光であ
った。

結果： 比較品は本発明の灯具に比べ赤味の強い光であったが、
本灯具は当初のブルー光を維持していた。

（実施例−２） 実施例−１で用いた支持体を鉄基板２のみとし、かつ前
記本発明コート層形成塗料成分を下記成分に代えた以外
は実施例−１と同様にAl蒸着層、トップコートａ層、ト
ップコートｂ層を順次設けた本発明の反射鏡及び上記比
較例と同様に比較品を作成し、実施例−１と同様に試験
した結果、実施例−１と同様に、比較品は本発明の灯具
に比べ赤味の強い光であったが、本灯具は当初のブルー
光を維持していた。

塗料成分： 重量部 樹脂 アクリル樹脂 14.0 メラミン樹脂 1.4 溶媒 ブチルセロソルブ 28.9 芳香族炭化水素 49.6 （発明の効果） 本発明は、主に自然光及びランプ由来の紫外線による染
料の変化を効果的に抑制するので、長期的に安定した色
光が得られる反射鏡を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は灯具の切欠側面図であり、本発明の反射鏡を示
す図、第２図は、第１図のＩ−Ｉ′に沿う本発明反射鏡
の層構成を示す断面図である。 符号の説明： 1:本発明の反射鏡、2:鉄基板、3,4:電着塗面、5:アンダ
ーコート層、6:Al蒸着層、7:本発明のトップコート層、
7a:本発明のトップコートａ層、7b:本発明のトップコー
トｂ層。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−27501（ＪＰ，Ａ) 特開 昭64−1764（ＪＰ，Ａ) 実開 昭62−24409（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭62−77803（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】支持体、Al蒸着層および樹脂を主体とした
   トップコート層からなる車輌灯具用反射鏡において、該
   トップコート層が、染料および光安定化剤を含む層と、
   紫外線吸収剤を含む層から少なくとも構成される複層構
   造であることを特徴とする車輌灯具用反射鏡。