JPH0711938Y2 - ドリルビット取付け用アダプター - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は回転ハンマードリルに対するドリルビットの
取付けに用いるドリルビット取付け用アダプターに関す
る。

〔従来技術〕

コンクリートや石材等に対する穿孔には、回転ハンマー
ドリルが用いられ、そのドリルビットに対しては振動的
な打撃力と回転の両作用を同時に与えての穿孔が行われ
る。

従来の回転ハンマードリルによる穿孔では、ドリルビッ
トはドリル本体の駆動軸に装着されたチャックに直接に
取付けられ、駆動軸端とドリルビット頂面を当接させて
ドリル本体側からの打撃力をドリルビットに伝達するよ
うにしたものである。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところで、一般の回転ハンマードリルでは、回転数の変
更はできても打撃力の調整は不能とするのが普通で、ド
リル本体側からの打撃力を直接的にドリルビットに伝達
するようにした穿孔においては、大径のドリルビットを
使用する場合は特に問題はないが、ドリルビットが細径
になってくると強度面から弱くなり、ドリル本体側から
伝達される打撃力が強過ぎてこれが原因で穿孔途中でド
リルビットが折損するようなことがあり、このドリルビ
ットの折損を避ける上から作業をし難くし、穿孔能率を
低下させる。

この考案は上述の点に鑑みなされたものであって、回転
ハンマードリルによる穿孔において、打撃力が強過ぎる
のに起因して生じるドリルビットの折損を軽減して作業
性を向上したドリルビット取付け用アダプターを提供す
ることを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記の目的を達成するためのこの考案の要旨とするとこ
ろは、回転ハンマードリルにおいて、ドリル本体に対す
るドリルビットの取付けに用いるアダプターであって、
筒状をなすアダプター主体と、主体周壁に穿設した収容
孔に収容され、主体内へ出没して主体内に挿入されるド
リルビットのシャンク周面に設けた凹部に嵌脱する結合
用ボールと、主体に対して所定の範囲を移動自在に嵌着
され、前記結合用ボールに臨んで内壁に環状フランジ部
を設けた筒状のカバー体と、前記主体とカバー体間に介
装され、カバー体を主体開口側へ付勢するスプリング
と、主体内底部に配装され、主体に挿入されるドリルビ
ットのシャンク頂面に当接して主体内底部間に挟まる打
撃力減衰部材を備え、前記カバー体を操作して主体内に
ドリルビットのシャンクを出し入れ可能な状態で、結合
用ボールの一部は主体内に突出して打撃力減衰部材の脱
落を阻止するように構成したことを特徴とするドリルビ
ット取付け用アダプターにある。

〔作用〕

この考案のドリルビット取付け用アダプターを用いての
穿孔では、ドリル本体側からの回転トルクは、アダプタ
ーの主体に挿入して回転不能に結合されたドリルビット
のシャンクに伝達される。

ドリル本体側からの打撃力は、主体の内底部に配装した
打撃力減衰部材にドリルビットのシャンク頂面が当接し
ていて打撃力減衰部材の弾性変形、各部材相互間の接触
状況及び隙間等の作用で幾分減衰されて伝達される。

従って、細径のドリルビットを使用しての穿孔では、ド
リルビットの強度に見合った減衰された打撃力を付与し
ての穿孔でドリルビットの折損の虞れを少なくして作業
性を向上する。

また、アダプターに対するドリルビットの脱着に際し、
主体開口側へカバー体を付勢するスプリングに抗してカ
バー体を引き上げた状態では、カバー体内壁の環状フラ
ンジ部が結合用ボールから離れて主体内に突出する結合
用ボールがドリルビットのシャンクの凹部から退出して
主体に対するドリルビットのシャンクの出し入れは自由
にするが、結合用ボールは主体内からの完全退出とはな
らず、一部は主体内に突出した状態に残り、主体内底部
に配装された打撃力減衰部材の脱落を阻止する。

〔実施例〕

以下、この考案の実施例を図面に基づいて説明する。

図面はこの考案の一部を断面で示す正面図である。

図において、１はアダプターの主体で、筒状をなし下端
を開口させ、上端にドリル本体の駆動軸に装着されたチ
ャックに結合するシャンク２を有する。

３はこの主体１の周壁に穿設した収容孔４に収容した結
合用ボールで、ドリルビットＡとの結合に用いられるも
ので、主体１に挿入されるドリルビットＡのシャンクＢ
周面に設けた凹部Ｃに嵌脱する。

尚、上記収容孔４は外拡テーパ状孔にして結合用ボール
３が本体１の内腔部へ脱落するのを防止している。

５は主体１に対して所定の範囲を移動自在に嵌着した筒
状のカバー体で、前記結合用ボール３に臨んで内壁に環
状フランジ部６を設けている。

７はカバー体５と主体１間に介装したスプリングで、主
体１外周面に段設した受け段８とカバー体５の環状フラ
ンジ部６端面に当てられてカバー体５を主体１の開口側
へ付勢している。

９は主体１に設けたカバー体５の抜け止め用止めリング
で、主体１の開口部側外周面に設けた環状溝10に嵌着し
ている。

11は主体１の内底部に配装した打撃力減衰部材で、主体
１に挿入されるドリルビットＡのシャンク頂面Ｄに当接
させられ、使用時には主体１の内底部とドリルビットＡ
のシャンク頂面Ｄ間に挟まった状態で、ドリル本体側
（駆動軸）からの打撃力によって弾性変形する等して打
撃力を減衰させる。

尚、実施例の打撃力減衰部材11には、金属製のボール11
aとコロ11bを組合せたものを示しているが、打撃力減衰
部材11による打撃力の減衰率は、これ等部材の弾性変形
の他に各部材の材質、相互間の接触面状況及び隙間等に
よって変わるので、使用するドリルビットＡの性状に合
わせて経験的に各種形状形態のものが適宜用いられる。

上記構成において、常態においてはカバー体５はスプリ
ング７の付勢下に止めリンク９に圧接させられ、カバー
体５の環状フランジ部６が結合用ボール３上に位置して
いてボール３の一部を主体１の内腔部に突出状態に保持
する。

主体１に対するドリルビットＡの脱着には、カバー体５
をスプリング７に抗してシャンク２側に移動させた状態
で行われる。この状態ではカバー体５の環状フランジ部
６が結合用ボール３から離れて結合用ボール３の主体１
内への突出量が変えられる。

ここで、結合用ボール３の主体１内への突出量の変化と
しては、第２図（ａ），（ｂ）に示すように主体１内か
ら完全退出とはならず、ドリルビットＡのシャンクＢの
凹部Ｃからだけ退出するものとし、一部を僅かに主体１
内に突出状態とし、主体１内が空になった時に打撃力減
衰部材11が抜け落ちるのを阻止している。

そして、ドリルビットＡのシャンクＢが主体１内に出入
りするのに、主体１内に突出する結合用ボール３が邪魔
にならないように、ドリルビットＡのシャンクＢ上端部
には、第２図（ａ）に示すように凹部Ｃに至る溝部Ｅを
設けるとか、第２図（ｂ）に示すように凹部Ｃの一部が
掛かるようにしてシャンクＢ上端部周りを縮径加工Ｅ′
等している。

尚、打撃力減衰部材11の交換等は主体１からカバー体５
を外して行う。

然して、この考案のアダプターを使用するドリルビット
Ａとしては、主体１に挿入結合されるシャンクＢの形態
を共通にし、特に細径のものが用意される。

主体１にドリルビットＡを結合（取付け）するには、カ
バー体５をスプリング７に抗してシャンク２側に移動さ
せ、ドリルビットＡのシャンクＢを主体１内に挿入して
からカバー体５を離すと、環状フランジ部６によって結
合用ボール３が内向きに押され、結合用ボール３がシャ
ンクＢの凹部Ｃに嵌合し、主体１とドリルビットＡとは
不回動の関係に結合されると共に、この状態でシャンク
頂面Ｄは丁度打撃力減衰部材11に当接する。

〔考案の効果〕

上記のようにこの考案は、回転ハンマードリルに対する
ドリルビットの取付けに用い、特に細径のドリルビット
を使用しての穿孔において、ドリル本体側からドリルビ
ットに伝達される打撃力を減衰させ、ドリルビットの強
度面から見合った適正な打撃力を付与しての穿孔を行う
ようにしたから、打撃力が強過ぎて穿孔途中でドリルビ
ットを折損するようなことがなくなり、穿孔作業をし易
くして穿孔能率を高め、また、主体に対するドリルビッ
トの脱着に際して、主体内に突出する結合用ボールは主
体内から完全退出とはならず、一部を僅かに主体内に突
出状態にして主体内が空になっても打撃力減衰部材が抜
け落ちるのを阻止するから、取扱いを便利にし、ドリル
ビットの耐久性も延長できる等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一部を断面で示す正面図、第２図
（ａ），（ｂ）は要部の断面図である。 １…主体、２…シャンク、３…結合用ボール、４…収容
孔、５…カバー体、６…環状フランジ部、７…スプリン
グ、８…受け段、９…止めリング、10…環状溝、11…打
撃力減衰部材、12…内底部、Ａ…ドリルビット、Ｂ…シ
ャンク、Ｃ…凹部、Ｄ…シャンク頂面、Ｅ…溝部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】回転ハンマードリルにおいて、ドリル本体
   に対するドリルビットの取付けに用いるアダプターであ
   って、筒状をなすアダプター主体と、主体周壁に穿設し
   た収容孔に収容され、主体内へ出没して主体内に挿入さ
   れるドリルビットのシャンク周面に設けた凹部に嵌脱す
   る結合用ボールと、主体に対して所定の範囲を移動自在
   に嵌着され、前記結合用ボールに臨んで内壁に環状フラ
   ンジ部を設けた筒状のカバー体と、前記主体とカバー体
   間に介装され、カバー体を主体開口側へ付勢するスプリ
   ングと、主体内底部に配装され、主体に挿入されるドリ
   ルビットのシャンク頂面に当接して主体内底部間に挟ま
   る打撃力減衰部材を備え、前記カバー体を操作して主体
   内にドリルビットのシャンクを出し入れ可能な状態で、
   結合用ボールの一部は主体内に突出して打撃力減衰部材
   の脱落を阻止するように構成したことを特徴とするドリ
   ルビット取付け用アダプター。