JPH07119187B2 - メタクリル酸の製造方法 - Google Patents

メタクリル酸の製造方法

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JPH07119187B2
JPH07119187B2 JP4024134A JP2413492A JPH07119187B2 JP H07119187 B2 JPH07119187 B2 JP H07119187B2 JP 4024134 A JP4024134 A JP 4024134A JP 2413492 A JP2413492 A JP 2413492A JP H07119187 B2 JPH07119187 B2 JP H07119187B2
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ジケトン類の含有量
の低減されたメタクリル酸の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、イソブチレン、t−ブタノールま
たはメチル−t−ブチルエーテルから接触気相酸化法に
よりメタクリル酸を製造する場合には、一旦、イソブチ
レン、t−ブタノールまたはメチル−t−ブチルエーテ
ルを触媒存在下で接触気相酸化してメタクロレインに変
換し(この明細書中、この反応およびこれに使用される
触媒をそれぞれ「前段反応」、「前段触媒」と称するこ
とがある。)、次いで、このメタクロレインを触媒存在
下で接触気相酸化してメタクリル酸に変換する(この明
細書中、この反応およびこれに使用される触媒をそれぞ
れ「後段反応」、「後段触媒」と称することがあ
る。)、いわゆる2段階の酸化反応が一般に採用されて
いる。ここで、前段触媒としては、ビスマス、モリブデ
ンおよび鉄を含有してなる酸化物触媒が一般的であり、
後段触媒としては、モリブデンおよびリンを含有してな
る酸化物触媒が一般的である。
【0003】また、イソブチルアルデヒドを前記後段触
媒の存在下で接触気相酸化脱水素反応させることにより
メタクリル酸を製造する方法も採用されている。このよ
うにして製造されたメタクリル酸は、一般に、精製工程
を経た後、たとえば、炭素数1〜12のアルコールとエ
ステル化反応させてアルキルメタクリレートを製造する
ための原料として工業的に利用されている。そして、得
られたアルキルメタクリレートは、単独重合あるいは他
のモノマーと共重合させてポリアルキルメタクリレート
を製造するための原料として工業的に利用されている。
【0004】しかし、前述した従来の製法により得られ
たメタクリル酸を原料として製造されたアルキルメタク
リレート中には、微量の不純物が含有されており、この
不純物の中でもフラン系化合物は、アルキルメタクリレ
ートを重合させて得られるポリアルキルメタクリレート
を着色させる一因と考えられている。このポリアルキル
メタクリレートの中でも、特に、汎用ポリマーであるポ
リメチルメタクリレートの場合は、フラン系化合物の存
在による着色の程度が大きく、このため、このフラン系
化合物を除去してポリメチルメタクリレートの透明度を
上げるための種々の方策が講じられている。
【0005】メチルメタクリレート中に不純物として含
まれるフラン系化合物は、原料のメタクリル酸中に含ま
れていた微量不純物、特にジケトン類から生成したもの
と考えられている。したがって、メチルメタクリレート
中のフラン系化合物を低減させるためには、メチルメタ
クリレートの精製によるフラン系化合物の低減だけでは
なく、原料のメタクリル酸中のジケトン類を低減させる
ことが肝要である。
【0006】従来、メタクリル酸吸収塔から得られるメ
タクリル酸水溶液からのジケトン類の低減方法に関して
は、たとえば、精製工程の一つである溶剤抽出工程にお
いて溶剤の種類を変える等の方法によりジケトン類の抽
出率を変える等の方策が採られてきた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、発明者らの
知見によれば、メタクロレインおよび/またはメタクリ
ル酸含有ガス中には、原料化合物に対して数十〜数百モ
ルppm 、場合により数千モルppm のジケトン類が含有さ
れており、メタクリル酸吸収塔で得られたメタクリル酸
水溶液に溶剤抽出等を行った後でも、メタクリル酸に対
して数十〜数百モルppm のジケトン類が存在する。すで
に述べたように、ジケトン類は、フラン化合物の生成の
原因となるため、メチルメタクリレート等のエステル中
のフラン化合物の量を数十モルppm に抑えるためには、
メタクリル酸中のジケトン類の量も数十モルppm に抑え
る必要がある。このため、現状では、さらに精製が必要
となる。
【0008】しかし、精製を重ねると、メタクリル酸の
ロスを増加させるとともに、精製によるユーティリティ
増加と相まって、メタクリル酸あるいはそのエステルの
製造コスト高を招き、工業上、非常に不利である。ま
た、メタクリル酸を製造する際、経時的に、あるいは、
酸化工程の反応条件の変更等により、メタクリル酸中の
ジケトン類の含有量が増加した場合には、精製工程での
不純物除去操作のみでは充分とは言えず、このため、新
たなジケトン類低減手段が必要とされていた。
【0009】このような事情に鑑み、この発明は、極め
て簡便で低コストの手法によりジケトン類の副生成を抑
制し、これによりジケトン類の含有量の極めて少ない高
品質のメタクリル酸を得ることができるメタクリル酸の
製造方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、発明者らは、種々検討を重ねた。その結果、以下の
ことを実験により確認して、この発明を完成した。すな
わち、ジケトン類を低減させるためには、メタクリル酸
水溶液の精製処理によるだけでなく、メタクロレインお
よび/またはメタクリル酸含有ガスの製造段階でジケト
ン類の処理あるいは生成抑制を施すことが必要である。
これが可能となれば、いたずらに精製能力を上げる必要
がなくなり、工業上、非常に有利となるからである。
【0011】そこで、発明者らは、ジケトン類の生成メ
カニズムを明らかにする目的で、イソブチレン、t−ブ
タノールまたはメチル−t−ブチルエーテルの接触気相
酸化反応により得られた、主としてメタクロレインを含
むメタクロレインおよびメタクリル酸含有ガス、あるい
は、メタクロレインの接触気相酸化および/またはイソ
ブチルアルデヒドの接触気相酸化脱水素反応により得ら
れたメタクリル酸含有ガスを、メタクリル酸の生成温度
である310℃以上に保った空筒中を通過させたとこ
ろ、ジケトン類の増加が認められた。しかも、この増加
量は、空筒でのガス温度が高くなるにつれて増加する傾
向にあった。このことから、ジケトン類は、触媒層で生
成するだけでなく、反応器のガス出口以降の空筒におい
ても逐次的に生成することが判明した。
【0012】したがって、ジケトン類生成のメカニズム
については、不明な点も残るが、メタクロレインおよび
/またはメタクリル酸含有ガス中にはメタクロレイン、
アクロレイン、アセトアルデヒド等のアルデヒド類、ア
セトン等のケトン類等、不安定な物質が数多く存在して
おり、これらの不安定物質が、ある温度以上に保たれた
空筒において時間を経過することにより熱分解のような
形でジケトン類に変化するものと推察される。
【0013】いずれにせよ、ジケトン類は、一定温度以
上の空筒内での時間の経過によりメタクロレインおよび
/またはメタクリル酸含有ガスから逐次的に生成するこ
とから、ジケトン類の生成抑制のためには、触媒層出口
ガスを急冷することが必要であるとの結論に達した。そ
の手段として、たとえば、触媒層出口部に急冷ゾーンを
設け、触媒層出口ガスを300℃以下に急冷するように
したところ、ジケトン類の逐次的生成を抑制する効果が
極めて大きくなることを実験により確認した。
【0014】したがって、この発明にかかるメタクリル
酸の製造方法は、モリブデンおよびリンを含有してなる
酸化物触媒を充填した熱交換型多管式反応器にメタクロ
レインおよびイソブチルアルデヒドの中から選ばれた少
なくとも1種の化合物を分子状酸素とともに導入して接
触気相酸化反応および/または接触気相酸化脱水素反応
を行わせることによりメタクリル酸を生成させる方法に
おいて、前記反応器の触媒層出口ガスが300℃を超え
た場合に0.01〜10秒間で300℃以下に急冷する
ようにすることを特徴とするものである。
【0015】この発明にかかるメタクリル酸の製造方法
は、また、ビスマス、モリブデンおよび鉄を含有してな
る酸化物触媒を充填した熱交換型多管式第1反応器にイ
ソブチレン、t−ブタノールおよびメチル−t−ブチル
エーテルからなる群の中から選ばれた少なくとも1種の
化合物を分子状酸素とともに導入して接触気相酸化反応
を行わせることにより主としてメタクロレインを生成さ
せた後、このメタクロレインを含有する反応生成ガス
を、モリブデンおよびリンを含有してなる酸化物触媒を
充填した熱交換型多管式第2反応器に分子状酸素ととも
に導入して接触気相酸化反応を行わせることによりメタ
クリル酸を生成させる方法において、前記第2反応器の
触媒層出口ガスが300℃を超えた場合に0.01〜1
0秒間で300℃以下に急冷するようにすることを特徴
とするものであってもよい。
【0016】この方法の場合、必要に応じては、第1反
応器の触媒層出口ガスをも300℃以下に急冷するよう
にしてもよい。触媒層出口ガスの急冷方法については、
特に限定はされないが、たとえば、触媒充填管束を内蔵
する反応器の出口に直結して急冷ゾーンを設ける方法が
適切である。そのためには、たとえば、多管式の熱交換
器の設置、フィンチューブの挿入等、任意の形態を用い
ることが可能である。また、触媒層出口ガスに、水、炭
酸ガス、窒素ガス等の不活性ガスを直接吹き込んで冷却
することも可能である。あるいは、反応生成ガス導出ラ
インに冷却用熱交換器を設けるようにしてもよい。
【0017】急冷ゾーンにおいて、触媒層出口ガスは3
00℃以下に急冷することが必要であり、290℃以下
に急冷することが好ましい。300℃より高い温度で
は、充分にジケトン類の逐次的生成を抑制することがで
きないからである。触媒層出口ガスが300℃を超える
高温の状態で維持される時間が長い程、ジケトン類の副
生が大きいので、可能な限り短時間で300℃以下に冷
却することが好ましく、通常、0.01〜10秒程度の
間で冷却が行われる。また、急冷ゾーンにおける冷却能
力は、触媒層出口ガス温度、ガス流量、急冷方法等を考
慮して適宜決定される。
【0018】この発明のメタクリル酸の製造方法は、メ
タクロレインやイソブチルアルデヒドを含む原料ガスを
直ちに後段触媒に接触させて気相酸化反応および/また
は気相酸化脱水素反応を行わせる等により行ってもよ
く、特に限定されるわけではないが、具体的には、たと
えば、以下に示すようにして行うことが好ましい。主に
メタクロレインを生成させるためにビスマス−モリブデ
ン−鉄含有多元系酸化物触媒(前段触媒)を充填し、必
要に応じてジケトン類の副生成を抑制するために反応生
成ガスの出口側で触媒充填管束に直結した急冷用の熱交
換器を備えた熱交換型多管式第1反応器内に、イソブチ
レン、t−ブタノールおよびメチル−t−ブチルエーテ
ルからなる群の中から選ばれた少なくとも1種の化合物
を合計1〜10容量%、分子状酸素を3〜20容量%、
水蒸気を0〜60容量%、その他窒素や炭酸ガス等の不
活性ガスを含む原料ガスを、温度(反応器熱媒温度)2
50〜450℃および空間速度300〜5,000hr
-1(STP)で供給し、前段反応させて、メタクロレイ
ン含有ガスを得る。
【0019】次いで、メタクリル酸を生成させるために
モリブデンおよびリンを含有する酸化物触媒(後段触
媒)を充填し、ジケトン類の副生成を抑制するために反
応生成ガスの出口側で触媒充填管束に直結した急冷用の
熱交換器を備えた熱交換型多管式第2反応器内に、前段
反応で得られたメタクロレイン含有ガスに必要に応じて
2次空気、2次酸素または水蒸気を追加してなる混合ガ
スを、温度(反応器熱媒温度)100〜380℃、好ま
しくは150〜350℃および空間速度300〜5,0
00hr-1(STP)で供給し、後段反応させて、メタ
クリル酸を得るようにする。
【0020】前段反応で使用される触媒は、いわゆるビ
スマス、鉄およびモリブデンを主成分とする1種または
2種以上の酸化物触媒であるが、下記一般式で表される
ものが特に好ましい。 Moa b Bic Fed e f g h x (式中、Moはモリブデン、Wはタングステンを表し、
Biはビスマスを表し、Feは鉄を表し、Aはニッケル
およびコバルトからなる群の中から選ばれた少なくとも
1種の元素を表し、Bはアルカリ金属、アルカリ土類金
属およびタリウムからなる群の中から選ばれた少なくと
も1種の元素を表し、Cはリン、テルル、アンチモン、
スズ、セリウム、鉛、ニオブ、マンガンおよび亜鉛から
なる群の中から選ばれた少なくとも1種の元素を表し、
Dはシリコン、アルミニウム、チタニウムおよびジルコ
ニウムからなる群の中から選ばれた少なくとも1種の元
素を表し、Oは酸素を表す。また、a、b、c、d、
e、f、g、hおよびxはそれぞれMo、W、Bi、F
e、A、B、C、DおよびOの原子数を表し、a=12
と固定した時、b=0〜10、c=0.1〜10、d=
0.1〜20、e=2〜20、f=0〜10、g=0〜
4、h=0〜30およびxは各々の元素の酸化状態によ
り定まる数値をとる。) ここで、これらの前段触媒の形態については、特に限定
はされず、たとえば、打錠成形機や押し出し成形機等で
成形されたペレット状、球状、あるいは貫通孔を有する
リング状等のいずれの形態も可能であるし、さらに耐火
性担体にこれらの触媒物質を担持させた形態のものを有
用である。
【0021】後段触媒については、モリブデンおよびリ
ンを主成分として含有する1種または2種以上の酸化物
触媒であれば、特に限定はされないが、たとえば、リン
モリブデン酸系ヘテロポリ酸あるいはその金属塩が好ま
しく、下記一般式で表されるものが特に好ましい。 Moa b c d e f x (式中、Moはモリブデンを表し、Pはリンを表し、A
はヒ素、アンチモン、ゲルマニウム、ビスマス、ジルコ
ニウムおよびセレンからなる群の中から選ばれた少なく
とも1種の元素を表し、Bは銅、鉄、クロム、ニッケ
ル、マンガン、コバルト、スズ、銀、亜鉛、パラジウ
ム、ロジウムおよびテルルからなる群の中から選ばれた
少なくとも1種の元素を表し、Cはバナジウム、タング
ステンおよびニオブからなる群の中から選ばれた少なく
とも1種の元素を表し、Dはアルカリ金属、アルカリ土
類金属およびタリウムからなる群の中から選ばれた少な
くとも1種の元素を表し、Oは酸素を表す。また、a、
b、c、d、e、fおよびxはそれぞれMo、P、A、
B、C、DおよびOの原子比を表し、a=12と固定し
た時、b=0.5〜4、c=0〜5、d=0〜3、e=
0〜4、f=0.01〜4およびxは各々の元素の酸化
状態により定まる数値である。) これらの後段触媒の形態についても、特に限定はされ
ず、たとえば、シリンダー状、中空状あるいは球状等、
いずれでもよい。もちろん、これらの触媒物質も、耐火
性担体に担持させて使用することができる。
【0022】反応原料としてイソブチルアルデヒドを用
いてメタクリル酸を製造する場合は、前述したメタクロ
レインの酸化の場合と同様の反応器および後段触媒を用
い、同様の反応条件により反応を行うことができる。
【0023】
【作用】触媒層出口ガスを300℃以下に急冷するよう
にすると、ガス出口部空間でのジケトン類の逐次的生成
が抑制されるため、ジケトン類含有量の極めて少ない高
品質のメタクリル酸を得ることが可能になる。
【0024】
【実施例】以下に、この発明の実施例を詳しく説明する
が、この発明は、下記実施例に限定されない。 −実施例1−前段触媒の調製 2リットルの蒸留水に硝酸コバルト7.0kgを、2リッ
トルの蒸留水に硝酸第二鉄2.4kgを、濃硝酸0.6リ
ットルを加えて酸性とした蒸留水3リットルに硝酸ビス
マス2.9kgを、それぞれ溶解させて、3種の硝酸塩溶
液を調製した。これらとは別に、水15リットルを加熱
攪拌しながらモリブデン酸アンモニウム9.5kgおよび
パラタングステン酸アンモニウム4.9kgを溶解し、得
られた水溶液に前記3種の硝酸塩溶液の混合液を滴下し
た。引き続き、20%シリカゾル2.4kgおよび硝酸ナ
トリウム76gを1.5リットルの蒸留水に溶解した液
を加えた。
【0025】このようにして得られた懸濁液を加熱攪拌
しながら水を蒸発させた後、成型し、空気流通下450
℃で6時間焼成して、前段触媒を調製した。この触媒の
金属組成は、原子比で Co4 Fe1 Bi1 3 Mo9 Si1.35Na0.1 であった。
【0026】後段触媒の調製 加熱した水40リットルにパラモリブデン酸アンモニウ
ム17.7kgとメタバナジン酸アンモニウム1.9kgを
溶解し攪拌した。この溶液に、ピリジン4kgとリン酸
(85重量%)1.25kgを加え、続いて、硝酸11k
g、硝酸ストロンチウム1.8kg、硝酸カルシウム2.
5kgおよび硝酸銅0.4kgを220リットルの水に溶解
した溶液を加え、攪拌しながら加熱濃縮した。
【0027】得られた粘土状物質を5mmφ×5mmLの円
柱型に成型し、250℃で乾燥後、窒素気流中で450
℃で4時間、続いて空気気流中400℃で2時間焼成す
ることにより、酸素を除く原子比で P1.3 Mo122 Sr1.0 Ca1.5 Cu0.2 の原子組成の酸化物触媒(後段触媒)を得た。
【0028】反応方法 内径25.4mmφ、長さ5,000mmLのステンレス製
反応管24本を備え、シェル側は溶融塩を循環させるこ
とにより熱交換が可能な前段反応器(第1反応器)内
に、前記で得られた前段触媒を、その層高が1,700
mmLになるように均等に充填し、前記溶融塩の温度を3
40℃に設定した。
【0029】これとは別に、内径25.0mmφ、長さ
5,000mmLのステンレス製反応管24本を備えると
ともに、シェル側がこれらの反応管の下部から1,00
0mmの位置で遮蔽板により上下に区切られ、これらの区
切られた2区間に互いに異なる温度の溶融塩を循環さ
せ、後述の不活性担体および後段触媒の各々と熱交換さ
せることにより、これらを互いに異なる温度に設定する
ことが可能な後段反応器(第2反応器)内に、不活性担
体をその層高が900mmLになるように充填し、その上
部に前記で得られた後段触媒をその層高が3,200mm
Lになるように均等に充填した。そして、不活性担体層
と熱交換させる溶融塩の温度を290℃に設定し、後段
触媒層と熱交換させる溶融塩の温度を310℃に設定し
た。なお、前記不活性担体の充填層は、触媒層出口ガス
の急冷ゾーンとして使用される(急冷ゾーン温度290
℃)。
【0030】これら2つの反応器を、分子状酸素含有ガ
スおよび水蒸気の添加用ノズルと熱交換器を備えた導管
で連結し、前段触媒を含む反応器から出る反応生成ガス
が後段触媒を含む反応器内へ導入されるとともに、後段
触媒層出口ガスが急冷されるようにした。前段触媒ガス
入口部においてイソブチレン濃度6.0容量%、酸素1
3.2容量%、水蒸気10.0容量%、残部窒素ガスか
らなる混合ガスを前段触媒に空間速度(SV)1600
hr-1(STP)で供給した。
【0031】次に、後段触媒ガス入口部において分子状
酸素(O2 )とメタクロレイン(MAL)とのモル比が
2 /MAL=2.5になるように2次空気を追加し
た。後段触媒層および急冷ゾーンを通過した後の反応生
成ガスを凝縮捕集し、ジケトン類の1種であるアセトニ
ルアセトンの生成量を分析したところ、供給イソブチレ
ンに対して43モルppm であった。
【0032】なお、後段触媒層に直結した急冷ゾーンを
設けないブランクテストでは、触媒層出口直後の出口ガ
ス中にはアセトニルアセトンが供給イソブチレンに対し
て38モルppm 生成していたのに対し、後段反応器出口
部空間を通過した後では、供給イソブチレンに対するア
セトニルアセトンの量が297モルppm に増加してい
た。また、ブランクテストおよび本テストのいずれにお
いても、イソブチレンの転化率99.0モル%、メタク
リル酸単流収率68.5モル%であり、メタクリル酸収
率の減少は認められなかった。
【0033】−実施例2− 実施例1において、急冷ゾーンの温度を260℃に変更
した以外は実施例1と同様にしてメタクリル酸の製造を
行い、急冷ゾーン通過後の反応生成ガスを凝縮捕集し、
このガス中に含まれるアセトニルアセトン量を分析した
ところ、供給イソブチレンに対して40モルppm であっ
た。
【0034】−実施例3− 実施例1において、前段反応器の触媒層出口部直後にも
急冷ゾーンを設け、その急冷ゾーンの温度を290℃に
設定した以外は実施例1と同様にしてメタクリル酸の製
造を行い、前段反応器および後段反応器の各急冷ゾーン
通過後の反応生成ガスを凝縮捕集し、これらのガス中に
含まれるアセトニルアセトン量を分析した。その結果を
下記表1に示した。
【0035】なお、前段反応器出口部に急冷ゾーンを設
けないブランクテストでは、前段反応器出口ガス中に
は、アセトニルアセトンが供給イソブチレンに対して4
72モルppm 生成していた。 −実施例4− 実施例2において、前段反応器の触媒層出口部直後にも
急冷ゾーンを設け、その急冷ゾーンの温度を260℃設
定した以外は実施例2と同様にしてメタクリル酸の製造
を行い、前段反応器および後段反応器の各急冷ゾーン通
過後の反応生成ガスを凝縮捕集し、これらのガス中に含
まれるアセトニルアセトン量を分析した。その結果を下
記表1に示した。
【0036】
【表1】
【0037】−実施例5− 実施例1において、前段反応器を使用しないとともに、
メタクロレインの代わりにイソブチルアルデヒドを反応
原料として用い、これを後段反応器の入口に導入するよ
うにした以外は実施例1と同様にして、リン,モリブデ
ン含有触媒(後段触媒)存在下でメタクリル酸を製造し
た。すると、急冷ゾーンを設けないブランクテストで
は、供給したイソブチルアルデヒドに対し253モルpp
m のアセトニルアセトンの生成が認められたのに対し、
反応器出口部に設定温度290℃の急冷ゾーンを設けた
場合には、この急冷ゾーン通過後の反応生成ガス中のア
セトニルアセトン量は、供給イソブチルアルデヒドに対
し37モルppm と少なかった。
【0038】−実施例6− 実施例1において、供給原料としてイソブチレンの代わ
りにt−ブタノールを用いるようにした以外は実施例1
と同様にしてメタクリル酸を製造した。前段反応器およ
び後段反応器のいずれにも急冷ゾーンを設けないブラン
クテストでは、後段反応器出口部において、供給原料に
対し291モルppm のアセトニルアセトンの生成が認め
られたのに対し、後段反応器出口部に設定温度290℃
の急冷ゾーンを設けた場合には、この急冷ゾーン通過後
の反応生成ガス中のアセトニルアセトン量は、供給原料
に対し42モルppm と少なかった。
【0039】−実施例7− 実施例1において、供給原料としてイソブチレンの代わ
りにメチル−t−ブチルエーテルを用いるようにした以
外は実施例1と同様にしてメタクリル酸を製造した。前
段反応器および後段反応器のいずれにも急冷ゾーンを設
けないブランクテストでは、後段反応器出口部におい
て、供給原料に対し283モルppm のアセトニルアセト
ンの生成が認められたのに対し、後段反応器出口部に設
定温度290℃の急冷ゾーンを設けた場合には、この急
冷ゾーン通過後の反応生成ガス中のアセトニルアセトン
量は、供給原料に対し41モルppm と少なかった。
【0040】−実施例8〜9− 実施例6〜7において、前段反応器の触媒層出口部直後
にも急冷ゾーンを設け、その急冷ゾーンの温度を290
℃に設定した以外は実施例6〜7と同様にしてメタクリ
ル酸の製造を行い、前段反応器および後段反応器の出口
部の各急冷ゾーン通過後の反応生成ガスを凝縮捕集し、
これらのガス中に含まれるアセトニルアセトン量を分析
した。その結果を下記表2に示した。
【0041】
【表2】
【0042】
【発明の効果】この発明にかかるメタクリル酸の製造方
法によれば、ジケトン類の副生成を抑え、ジケトン類含
有量の極めて少ないメタクリル酸含有ガスを得ることが
できる。このため、メタクリル酸精製処理工程において
メタクリル酸のロスを減らすことが可能になり、実質的
な収率アップが得られるとともに、ジケトン類の含有量
の極めて少ない高品質のメタクリル酸を得ることができ
る。
【0043】また、この方法では、生成したメタクリル
酸自体を他の化合物に変化させることもないとともに、
処理後のジケトン類から生成した化合物もメタクリル酸
の品質に悪影響を与えない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 青木 幸雄 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の 1 株式会社日本触媒 触媒研究所内 (56)参考文献 特開 平1−6225(JP,A) 特開 昭61−221149(JP,A) 特開 昭58−126831(JP,A)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モリブデンおよびリンを含有してなる酸
    化物触媒を充填した熱交換型多管式反応器にメタクロレ
    インおよびイソブチルアルデヒドの中から選ばれた少な
    くとも1種の化合物を分子状酸素とともに導入して接触
    気相酸化反応および/または接触気相酸化脱水素反応を
    行わせることによりメタクリル酸を生成させる方法にお
    いて、前記反応器の触媒層出口ガスが300℃を超えた
    場合に0.01〜10秒間で300℃以下に急冷するよ
    うにすることを特徴とするメタクリル酸の製造方法。
  2. 【請求項2】 ビスマス、モリブデンおよび鉄を含有し
    てなる酸化物触媒を充填した熱交換型多管式第1反応器
    にイソブチレン、t−ブタノールおよびメチル−t−ブ
    チルエーテルからなる群の中から選ばれた少なくとも1
    種の化合物を分子状酸素とともに導入して接触気相酸化
    反応を行わせることにより主としてメタクロレインを生
    成させた後、このメタクロレインを含有する反応生成ガ
    スを、モリブデンおよびリンを含有してなる酸化物触媒
    を充填した熱交換型多管式第2反応器に分子状酸素とと
    もに導入して接触気相酸化反応を行わせることによりメ
    タクリル酸を生成させる方法において、前記第2反応器
    の触媒層出口ガスが300℃を超えた場合に0.01〜
    10秒間で300℃以下に急冷するようにすることを特
    徴とするメタクリル酸の製造方法。
  3. 【請求項3】 第1反応器の触媒層出口ガスをも300
    ℃以下に急冷するようにする請求項2記載のメタクリル
    酸の製造方法。
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