JP4163895B2 - (メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸の製造方法 - Google Patents

(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固定床式反応器を用いて、触媒を充填した反応管内部にプロピレン、プロパン又はイソブチレンを含む原料ガスを供給することにより、気相接触酸化して(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、固定床式多管型反応器を用いて、プロピレン、プロパン又はイソブチレンを複合酸化物触媒の存在下で分子状酸素又は分子状酸素含有ガスにより気相接触酸化して(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸を製造する方法が知られている。
【0003】
しかし、上記複合酸化物触媒は、長期間反応を継続すると、時間の経過と共に触媒の性能劣化により反応活性が低下し、生成物の選択率が低下するという問題が生じる。また、この場合、原料ガスを供給する反応管の入口部分での触媒の反応活性の低下及び生成物の選択率の低下は、反応管の他の部分に比べて非常に大きい。運転期間が長くなるほど、上記入口部分とそれ以外の他の部分での触媒の反応活性及び生成物の選択率の乖離は大きくなる。この原因は、触媒表面における活性成分(モリブデン)の昇華による損失によると言われている。
【0004】
特開平7−10799号公報では、複合酸化物触媒を用いてプロピレン又はイソブチレンを気相接触酸化する方法において、複合酸化物触媒と共に反応に実質的に不活性な酸化モリブデンを存在させることにより長期間触媒の劣化を抑制する方法が提案されている。
【0005】
しかし、この方法では多量の酸化モリブデンを共存させる為、実際に反応に寄与する複合酸化物触媒の充填量が減少する。所望の生成物である(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸の収量を確保するには、例えば、反応温度を上げる等の活性化措置をとらなければならないが、その措置を講じ過ぎると、かえって触媒活性の劣化を招く。
【0006】
つまり、従来の方法は、固定床式反応器を用いて、触媒の存在下でプロピレン、プロパン又はイソブチレンを含む原料ガスにより気相接触酸化して(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸を製造する場合に、長期間にわたり触媒の性能劣化を防止し、触媒の反応活性の低下及び生成物の選択性の低下を抑制できる方法ではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、固定床式反応器を用い、触媒を充填した反応管内部にプロピレン、プロパン又はイソブチレンを含む原料ガスを供給することにより、気相接触酸化して(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸を製造する方法において、長期間にわたり触媒の性能劣化を防止し、触媒の反応活性の低下及び生成物の選択性の低下を抑制し(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸を収率高く製造することができる方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、反応管に充填された酸化触媒の劣化状況に応じて、反応管内を流れる原料ガスの流れ方向を変えると、触媒の劣化を有効に防止でき、触媒の寿命を向上させ、触媒の反応活性の低下及び生成物の選択性の低下を抑制し、結果的に長期間にわたって目的生成物である(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸を収率高く製造することができることを確認した。
【0009】
そこで、本発明者らは、以下に記載する方法とすることで、上記課題を解決する(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸の製造方法が提供できることを見出し、本発明の完成に至った。
【0010】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1)固定床式反応器を用い、触媒を充填した反応管内部にプロピレン、プロパン又はイソブチレンを含む原料ガスを供給することにより、気相接触酸化して(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸を製造する方法において、反応管の一方から原料ガスを供給し(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸を製造した後、原料ガスの供給方向を変更し同反応管の他方から原料ガスを供給することにより(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸を製造することを特徴とする(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸の製造方法。
(2)(1)記載の(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸の製造方法において、反応温度の上昇、又は(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸の選択率の低下を基準に原料ガスの供給方向を反応管の一方から他方に変更することを特徴とする(1)に記載の(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸の製造方法。
(3)反応温度の上昇温度が2℃以上となった時、又は(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸の選択率が0.5%以上低下した時、原料ガスの供給方向を反応管の一方から他方に変更することを特徴とする(2)に記載の(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸の製造方法。
(4)前記触媒が、モリブデン−ビスマス系複合酸化物触媒又はモリブデン−バナジウム系複合酸化物触媒であることを特徴とする(1)〜(3)の何れかに記載の(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸の製造方法。
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明は、固定床式反応器を用い、気相接触酸化反応即ちプロピレン、プロパン又はイソブチレンを複合酸化物触媒の存在下で分子状酸素または分子状酸素含有ガスを用いて(メタ)アクロレイン又は(メタ)アクリル酸を製造する方法に適用される。
【0013】
より詳しくは、本発明は、プロピレン、プロパン又はイソブチレンを複合酸化物触媒の存在下で酸化して主に(メタ)アクロレインを製造する前段反応と前段反応で生成した(メタ)アクロレインを複合酸化物触媒の存在下で酸化して(メタ)アクリル酸を製造する方法とのどちらにも適用できる。
【0014】
また、原料ガスの供給方式としては、特に限定されないが、例えばワンパス方式、未反応原料リサイクル方式及び燃焼廃ガスリサイクル方式が挙げられる。以下、プロピレンを例に挙げて説明する。
【0015】
ワンパス方式とは、前段反応ではプロピレンと空気とスチ−ムを混合供給して、主としてアクロレインとアクリル酸に転化させ、この出口ガスを生成物と分離することなく後段反応へ供給する方法である。このとき、後段反応で反応させるのに必要な空気およびスチ−ムを前段出口ガスに加えて後段反応へ供給してもよい。
【0016】
未反応原料リサイクル(以下、プロピレンを例として、「未反応プロピレンリサイクル」と記す)方式とは、後段出口で得られたアクリル酸を含有する反応生成ガスをアクリル酸捕集装置に導き、アクリル酸を水溶液として捕集し、該捕集装置よりの未反応プロピレンを含有する廃ガスの一部を前段反応入口ガスに供給することにより、未反応プロピレンの一部をリサイクルする方法である。
【0017】
燃焼廃ガスリサイクル方式とは、後段出口で得られたアクリル酸を含有する反応生成ガスをアクリル酸捕集装置に導き、アクリル酸を水溶液として捕集し、該捕集装置よりの廃ガスを全量接触的に燃焼酸化させ、含有される未反応プロピレン等を二酸化炭素及び水に主として変換し、得られた燃焼廃ガスの一部を前段反応入口ガスに添加する方法である。
【0018】
また、上記のオレフィンから不飽和アルデヒドまたは不飽和酸を得る前段反応で使用する触媒としては、下記一般式(1)で示されるモリブデン−ビスマス系複合酸化物触媒が好ましく用いられる。
【0019】
【化1】
Moab Bic Fedefghix ・・・(1)
(上記式(1)中、Moはモリブデン、Wはタングステン、Biはビスマス、Feは鉄、Aはニッケルおよびコバルトから選ばれる少なくとも一種の元素、Bはナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムおよびタリウムから選ばれる少なくとも一種の元素、Cはアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも一種の元素、Dはリン、テルル、アンチモン、スズ、セリウム、鉛、ニオブ、マンガン、ヒ素、ホウ素および亜鉛から選ばれる少なくとも一種の元素、Eはシリコン、アルミニウム、チタンおよびジルコニウムから選ばれる少なくとも一種の元素、そしてOは酸素であり、a、b、c、d、e、f、g、h、iおよびxはそれぞれMo、W、Bi、Fe、A、B、C、D、EおよびOの原子比を表し、a=12のとき、0≦b≦10、0<c≦10(好ましくは0.1≦c≦10)、0<d≦10(好ましくは0.1≦d≦10)、2≦e≦15、0<f≦10(好ましくは0.001≦f≦10)、0≦g≦10、0≦h≦4、0≦i≦30、xは各々の元素の酸化状態によって定まる数値である。)
【0020】
また、上記の不飽和アルデヒドから不飽和酸を得る後段反応で使用する触媒としては、下記の一般式(2)で示されるモリブデン−バナジウム系複合酸化物触媒が好ましく用いられる。
【0021】
【化2】
Sba Mob (V/Nb)cdefX ・・・(2)
(上記式(2)中、Sbはアンチモン、Moはモリブデン、(V/Nb)はバナジウム又はバナジウム−ニオブ、Xは鉄、コバルト、ニッケル及びビスマスからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素、Yはシリコンおよびアルミニウムよりなる群から選ばれる少なくとも一種の元素、Zは銅およびタングステンよりなる群から選ばれる少なくとも一種の元素、そしてOは酸素であり、a、b、c、d、e、fおよびxはそれぞれSb、Mo、(V/Nb)、X、Y、ZおよびOの原子比を示し、1≦a≦100、1≦b≦100、0.1≦c≦50、1<d≦100、0≦e≦100、0.1≦f≦50であり、xは各々の元素の酸化状態によって定まる数値である。)
【0022】
本発明の方法で使用する反応管には、触媒と必要に応じて触媒希釈用の不活性物質(以下、「希釈剤」ともいう)とを充填してもよい。
【0023】
触媒の反応管への充填仕様は、触媒の種類、触媒の量、触媒の形状(形、大きさ)、触媒の希釈方法(希釈剤の種類、希釈剤の量)、反応帯域の長さ等の各要素を総合的に勘案し、決定するとよい。
【0024】
本発明で使用する触媒の形状(形、大きさ)は特に制限はなく、触媒の成型法についても特に制限はない。例えば、押し出し成型法または打錠成型法の何れで成型された触媒でも使用可能であり、また触媒成分よりなる複合酸化物を、炭化ケイ素、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタンなどの不活性な担体に担持して構成させた触媒を使用してもよい。また、触媒の形も、球状、円柱状、リング状、不定形などのいずれの形でも良い。但し、特にリング状触媒を使用すると、反応管内で生じる局部的異常高温部いわゆるホットスポット部における蓄熱の防止に効果がある。
【0025】
反応管入口に充填される触媒と、原料ガス入口側から出口側に向けて充填される触媒とは、同じ組成、形状であっても良いし、異なる組成、形状であっても良い。
【0026】
希釈剤の種類としては、本反応条件下で安定であり、原料物質及び生成物と反応性がない材質のものであれば何でもよく、具体的には、アルミナ、シリコンカ−バイド、シリカ、酸化ジルコニア、酸化チタン等、触媒の担体に使われるものを使用するとよい。また、希釈剤の形状は触媒と同様に制限はなく、球状、円柱状、リング状、不定形などのいずれでもよい。大きさは、反応管径及び差圧等を考慮して決めればよい。
【0027】
触媒と希釈剤との混合比は、特に制限はないが、混合比が極端に大きい、あるいは小さい場合は、触媒と希釈剤の混合状態が不均一となりやすいので、充填時に混合比を留意するとよい。
【0028】
また、一つの反応管における反応帯域において、触媒の仕様を層状で異ならせてもよい。例えば、反応管上部に充填する触媒の仕様と、反応管下部に充填する触媒の仕様とを異ならせることができる。特に本発明では、反応管の両端を同じような触媒の仕様にし、両端と中央部分とで仕様を変えることもできる。
【0029】
そして、本発明は、上記気相接触酸化による(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸を製造する方法において、反応管の一方から原料ガスを供給し(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸を製造した後、原料ガスの供給方向を変更し同反応管の他方から原料ガスを供給することにより(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸を製造することを特徴とする。
【0030】
つまり、反応管内を流れる原料ガスの流れ方向を適宜変更しながら(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸を製造する方法に本発明の特徴がある。
【0031】
この原料ガスの流れ方向を変更する時期は、触媒性能の劣化の程度を考慮して判断するとよい。具体的には、この触媒性能の劣化の程度を計る指標として、反応温度の上昇と生成物の選択率が挙げられる。
【0032】
ここで反応温度とは、反応管から発生する反応熱を吸収するために反応管外部を循環させる熱媒体の温度で判断することができる。具体的には、本発明で反応温度とは、反応器のシェル側(熱媒体)の入口の温度としている。反応を行っている触媒層の温度は、基本的にはこの熱媒体の温度により制御され得る。尚、本発明では、反応温度として前記熱媒体の出口の温度を用いることもできる。但し、制御性を考慮すると入口の温度で管理する方が好ましいため、熱媒体の入口の温度としている。
【0033】
反応物の転化率が一定となるように反応温度を制御すると、触媒活性の低下に伴い、反応温度は上昇させる必要がある。つまり、どれだけ反応温度を上昇させる必要があるかということから触媒活性の劣化状況を把握することができる。そこで、本発明では、かかる指標を利用して、反応温度の上昇を基準に、より詳しくは、反応温度の上昇温度が2℃以上となった時に、原料ガスの流れを変更すると好ましい。
【0034】
次に反応物の転化率が一定となるように制御すると、触媒活性の低下に伴い、目的生成物の収率や目的生成物の選択率が低下する。そこで、本発明では、(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸の選択率の低下を基準に、より詳しくは、選択率の低下が0.5%以上になった時点で原料ガスの流れを変更すると好ましい。
【0035】
ここで、上記反応物の転化率、目的生成物の選択率とは、原料としてプロピレンを例にすると、
前段反応では、
【0036】
【数1】
Figure 0004163895
【0037】
【数2】
Figure 0004163895
後段反応では、
【0038】
【数3】
Figure 0004163895
【0039】
【数4】
Figure 0004163895
で表される。
【0040】
尚、上記転化率や選択率は、生成物を水素炎イオン化検出器(FID)付のガスクロマトグラフを用いて、常法によって分析することにより得られる測定値に基づいて算出することができる。
【0041】
また、本発明では、原料ガスの流れ方向を変更する時期を、上記基準で判断せず、半年或いは1年のように一定の期間を目安に判断してもよい。
【0042】
本発明で使用する固定床式反応器は特に制限はないが、より好ましくは、以下に示す図3や図4で表される、複数の反応管を有する固定床式多管熱交換型反応器を用いるとよい。これらの固定床式多管熱交換型反応器では、反応管外部に熱媒体が循環している。該熱媒体は、反応管から発生する反応熱を吸収するために使用される。
【0043】
【発明の実施の形態】
固定床式反応器を用い、プロピレン、プロパン又はイソブチレンを分子状酸素又は分子状酸素含有ガスにより気相接触酸化して、第1段反応器で主に(メタ)アクロレイン、第2段反応器で主に(メタ)アクリル酸を製造する2段酸化プロセスの簡単なフローチャートを図1に示す。図1において、1はミキサー、2は連絡配管(ミキサーと前段反応器)、3は前段反応器、4は連絡配管(前段反応器と後段反応器)、5は後段反応器、6は連絡配管(後段反応器とクエンチ塔)、7はクエンチ塔を示す。
【0044】
図1において、前段反応器の原料ガス流れはアップフローであり、後段反応器のガス流れはダウンフローである。原料ガスの流れ方向を変える為には、2、4、6の連絡配管をつなぎ変えればよく、図2には、流れ方向を変えたあとのフローチャートを示す。前段反応器の原料ガス流れはダウンフローであり、後段反応器のガス流れはアップフローである。
【0045】
このように、前段反応器においても後段反応器においても、各反応器中の反応管は、図1と図2とでは、原料ガスの流れ方向が逆になっている。
【0046】
本発明では、前段反応器のガス流れと後段反応器のガス流れを、共に同じアップフロー又はダウンフローとしても、一方をアップフローで他方をダウンフローとして異ならせても良い。但し、連絡配管(前段反応器と後段反応器)の長さが短くなることから、作業性、コスト面で有利であり、かつ圧力損失の低減にもつながるという観点からは、図1や図2で示すように、前段反応器のガス流れと後段反応器のガス流れを異ならせた方が好ましい。
【0047】
尚、本発明で使用できる固定床式多管熱交換型反応器の実施態様を図3に示す。
【0048】
図3において、11は反応器、12は原料ガス導入口(ダウンフローの場合)或いは生成ガス排出口(アップフローの場合)、13は生成ガス排出口(ダウンフローの場合)或いは原料ガス導入口(アップフローの場合)、14は反応管(内部には触媒を充填)、15は上部管板、16は下部管板、17、18、19は邪魔板、20は熱媒体出口ノズル、21は熱媒体入口ノズル、22はポンプ、23は反応管(14)温度調節用熱媒体入口ライン、24は熱媒体オーバーフローライン、25は熱交換器、26は制御弁をそれぞれ示す。
【0049】
尚、図3の固定床式多管熱交換型反応器は、アップフローで熱媒体を流したときの構成であるが、本発明では、図4に示すようにダウンフローで熱媒体を流すこともできる。原料ガスは空気及び/或いは希釈ガス、リサイクルガス等と混合されて、原料ガス導入口(12或いは13)から反応器(11)へ導入されて、触媒が充填された反応管(14)へ供給、反応管内で接触酸化反応により酸化されて生成した反応生成ガス及び未反応ガスは、生成ガス排出口(13或いは12)より排出される。
【0050】
熱媒体は、ポンプ(22)によって熱媒体入口ノズル(21)より反応器シェルに導入され、反応管内で発生した反応熱を除去しながら反応器シェル内を流通し、熱媒体出口ノズル(20)より排出され、ポンプにより循環される。熱媒体の温度制御は、反応管温度調節用熱媒体入口ライン(23)より冷熱媒体を導入することにより行われ、反応管温度調節用熱媒体入口ライン(23)より導入された熱媒体量が熱媒体オーバーフローライン
(24)より排出される。
【0051】
以下に、さらに熱媒体の温度測定及び温度制御について説明する。
【0052】
反応管温度調節用熱媒体入口ライン(23)には熱交換器(25)が配置されている。また、熱媒体入口ノズル(21)のライン上に温度計(TI)が設置されており、この温度を熱交換器で制御する。
【0053】
本発明の反応は発熱反応であるため、熱媒体オーバーフローライン(24)の温度は熱媒体入口ノズル(21)の温度より高くなる。そこで、この熱を熱交換器(25)で除熱する。除熱は一般に水をスチームにすることで行う。
【0054】
温度の低下した熱媒体は、ポンプ(22)に供給され、熱媒体出口ノズル(20)からの高温になった熱媒体と混合され、熱媒体入口ノズル(21)から反応器に供給される。
【0055】
温度の低下した熱媒体は、熱媒体入口ノズル(21)のライン上に設置された温度計で設定された温度になるよう、反応管温度調節用熱媒体入口ライン(23)から流れ込む量を制御弁(26)で量制御する。
【0056】
また、熱媒体の流れ方向を、原料ガスの流れ方向の変更に合わせて変更すると、反応熱の除熱も効率的に行うことができ、触媒の劣化防止、ホットスポット生成抑制に有効であり好ましい。
【0057】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
【0058】
【実施例1】
前段反応器と後段反応器は、ともにステンレススチール製の二重管構造で内径が22mm長さ5mである。反応器内を流れる熱媒体としては、ナイターを用いた。熱媒体の温度制御は、上記図3の説明にあるように行った。
【0059】
前段反応では、常法に準じた方法により下記組成(原子比)の触媒を調製し使用した。
【0060】
Mo:Bi:Co:Fe:Na:B:K:Si:O=12:1:0.6:7:0.1:0.2:0.1:18:X
(但し、Xはそれぞれの金属元素の酸化状態により定まる値である。)
【0061】
後段反応では、常法に準じた方法により下記組成(原子比)の触媒を調製し使用した。
【0062】
Sb:Ni:Mo:V:Nb:Cu:O=34.3:14.7:12:2.4:1.0:3.1:X
(但し、Xはそれぞれの金属元素の酸化状態により定まる値である。)
【0063】
前段反応器に上記前段反応用の触媒を層高が4mになるように、後段反応器に上記後段反応用の触媒を層高が3mになるように、それぞれ充填した。前段反応器には原料ガスがダウンフローで反応管内を流れるように、後段反応器には原料ガスがアップフローで反応管内を流れるように配管をつないだ。
【0064】
前段反応器にプロピレン7mol%、空気70mol%、水蒸気23mol%からなる原料ガスを接触時間2.5秒の条件で反応器へ供給し、前段出口ガスをそのまま後段反応器に供給した。
【0065】
この時、プロピレン転化率97%、アクロレイン転化率99%になるように、前段反応器温度及び後段反応器温度を制御した。
【0066】
原料ガスの流れ方向の変更を、触媒活性を維持するために必要な反応温度の上昇温度が2℃以上となった時点、あるいは(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸の選択率の低下が0.5%以上となった時点を目安に判断した。
【0067】
そこで、運転開始50日後に原料ガスの流れ方向を変更することとした。以下に示す表1から明らかなように、運転開始後1日〜50日の間では、触媒の初期活性を維持するのに反応温度を3℃上昇させており、またこの間、目的生成物の選択率は0.5%低下している。
【0068】
50日後に前段反応器をアップフロー、後段反応器をダウンフローに変更した。
【0069】
以後、50日毎に原料ガスの流れ方向を変更することとした。例えば、運転開始後51日〜100日の間では、触媒の初期活性を維持するのに反応温度を3.2℃上昇させており、またこの間、目的生成物の選択率は0.3%低下している。
【0070】
50日毎に原料ガスの流れ方向を変更し、運転開始後151日まで実験を行った。
【0071】
また、後段反応(表2)についても同様の傾向が見られた。
【0072】
前段反応の結果を表1に、後段反応の結果を表2にそれぞれ示す。
【0073】
【表1】
Figure 0004163895
【0074】
【表2】
Figure 0004163895
比較例1
原料ガスの流れ方向を変えずに実験を行った。
原料ガスの流れ方向を変えないこと以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表1及び2に示す。
【0075】
上記実験から明らかなように、反応管の一方から原料ガスを供給し(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸を製造した後、原料ガスの供給方向を変更し同反応管の他方から原料ガスを供給したことにより、触媒の劣化を有効に防止でき、触媒の反応活性の低下を防止し、目的生成物の選択性の低下を防止しすることができた。その結果、長期間にわたって目的生成物を高収率で製造することができた。
【0076】
【発明の効果】
本発明により、固定床式反応器を用い、触媒を充填した反応管内部にプロピレン、プロパン又はイソブチレンを含む原料ガスを供給することにより、気相接触酸化して(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸を製造する方法において、長期間にわたり触媒の性能劣化を防止し、触媒の反応活性の低下及び生成物の選択性の低下を抑制し(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸を収率高く製造することができる(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸の製造方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の製造方法を説明するためのフローチャートを示す図
【図2】 本発明の製造方法を説明するためのフローチャートを示す図
【図3】 本発明で使用する固定床式多管熱交換型反応器の1態様図
【図4】 本発明で使用する固定床式多管熱交換型反応器の1態様図
【符号の説明】
1、ミキサー
2、連絡配管(ミキサーと前段反応器)
3、前段反応器
4、連絡配管(前段反応器と後段反応器)
5、後段反応器
6、連絡配管(後段反応器とクエンチ塔)
7、クエンチ塔
11、反応器
12、原料ガス導入口(ダウンフローの場合)或いは生成ガス排出口(アップフローの場合)
13、生成ガス排出口(ダウンフローの場合)或いは原料ガス導入口(アップフローの場合)
14、反応管(内部には触媒を充填)
15、上部管板
16、下部管板
17〜19、邪魔板
20、熱媒体出口ノズル
21、熱媒体入口ノズル
22、ポンプ
23、反応温度調節用熱媒体入口ライン
24、熱媒体オーバーフローライン
25、熱交換器
26、制御弁

Claims (4)

  1. 固定床式反応器を用い、触媒を充填した反応管内部にプロピレン、プロパン又はイソブチレンを含む原料ガスを供給することにより、気相接触酸化して(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸を製造する方法において、反応管の一方から原料ガスを供給し(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸を製造した後、原料ガスの供給方向を変更し同反応管の他方から原料ガスを供給することにより(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸を製造することを特徴とする(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸の製造方法。
  2. 反応管を収容するシェルの内外を循環して反応管から発生する反応熱を吸収する熱媒体の、シェルの入口における温度である反応温度の上昇、又は(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸の選択率の低下を基準に原料ガスの供給方向を反応管の一方から他方に変更することを特徴とする請求項1に記載の(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸の製造方法。
  3. 反応温度の上昇温度が2℃以上となった時、又は(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸の選択率が0.5%以上低下した時、原料ガスの供給方向を反応管の一方から他方に変更することを特徴とする請求項2に記載の(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸の製造方法。
  4. 前記触媒が、モリブデン−ビスマス系複合酸化物触媒又はモリブデン−バナジウム系複合酸化物触媒であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸の製造方法。
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