JPH07118688A - トランス酸含有量の低い可塑性油脂の製造法 - Google Patents

トランス酸含有量の低い可塑性油脂の製造法

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JPH07118688A
JPH07118688A JP5285494A JP28549493A JPH07118688A JP H07118688 A JPH07118688 A JP H07118688A JP 5285494 A JP5285494 A JP 5285494A JP 28549493 A JP28549493 A JP 28549493A JP H07118688 A JPH07118688 A JP H07118688A
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JP
Japan
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oil
fat
hydrogenation
trans acid
hydrogenated
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JP5285494A
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English (en)
Inventor
Shigeru Abe
茂 阿部
Shigeru Shoji
茂 東海林
Kenji Koyama
建次 小山
Hiroshige Ikoshi
裕栄 井越
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tsukishima Foods Industry Co Ltd
JGC Catalysts and Chemicals Ltd
Original Assignee
Tsukishima Foods Industry Co Ltd
Nikki Kagaku KK
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Publication date
Application filed by Tsukishima Foods Industry Co Ltd, Nikki Kagaku KK filed Critical Tsukishima Foods Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 パラジウム、白金等の貴金属触媒とエステル
交換に用いる触媒であるナトリウムメトキシドとを共存
させ、反応温度を60〜120℃とした非選択的水素添
加条件下で水素添加反応を行う。 【効果】 油脂を水素添加する際に生成するトランス酸
含有量が低く、可塑性範囲が広い油脂を得ることがで
き、マーガリン、ショートニング等の食用加工油脂に利
用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、トランス酸含有量の低
い可塑性油脂の製造方法であり、ナトリウムメトキシド
の存在下で、貴金属触媒を用いて非選択性を高めた水素
添加による可塑性油脂の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】水素添加は、原料油脂に、主にニッケル
触媒を用いて、水素添加開始温度を120〜160℃、
最高温度が180〜230℃となるようにコントロール
しながら、水素を送入することにより、目標とする融点
及び物性をもつ油脂を得るものであり、反応温度、攪拌
速度、水素圧力及び触媒等が水素添加に影響を及ぼす要
因として挙げられる。水素添加の方法としては、水素
圧力1.0kg/cm2以下、反応開始温度を140〜
150℃とし、最高温度が200℃となるようにコント
ロールする選択的条件での水素添加(選択的水添)、
水素圧力1.0kg/cm2 以上で反応温度を120〜
130℃にコントロールする非選択的条件での水素添加
(非選択的水添)とがある。
【0003】一般的には、選択的水添した油脂は、その
物性値である固体脂含有量(以下単にSFCという)が
縦型タイプであり、可塑性を示す温度範囲(可塑性範
囲)が狭く、非選択的水添と比較してトランス酸含有量
が多い。縦型とは、図表化した場合に、SFCの曲線が
温度変化に対して傾斜が急であることをいい、傾斜がゆ
るい場合を横型といっている。一方、非選択的水添した
油脂は、SFC曲線が横型タイプで可塑性範囲が広くな
るが、融点が高くなり易く、口溶けが悪くなる傾向があ
る。
【0004】ニッケル触媒は貴金属触媒と比較すると、
その活性温度は高い方にシフトしており、130℃以上
で用いられるのが通例であり、原料油脂中に、リン脂
質、セッケン分、硫黄化合物等が存在すると、その活性
が低下することはよく知られている。しかし、貴金属触
媒は100℃以下でも活性があり、原料油脂中に存在す
る触媒毒に対しても比較的安定であるが、貴金属触媒を
用いて水素添加するとSFC曲線が縦型タイプのシャー
プな物性をもつ油脂となりやすく、且つ、トランス酸含
有量が高まることが知られている。
【0005】油脂の水素添加時におこるトランス酸の生
成を抑える方法としては、ニッケル触媒にジメチルポリ
シロキサンを添加し部分被毒した場合に、魚油、鯨油の
食用硬化油の製造において、トランス異性体の生成を抑
え、融点やSFCのひくい軟質の硬化油を得ることがで
きることが知られている(天然物工業化学1、食用油
脂、松井宣也、朝倉書店、第66頁)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、油脂を水素
添加する際に、生成するトランス酸を抑える水素添加方
法を検討した結果、トランス酸含有量が低く、可塑性範
囲が広い油脂の製造方法に到達したものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、触媒活性温度
が低く、触媒毒に対しても比較的安定であるパラジウ
ム、白金等の貴金属触媒とエステル交換に用いる触媒で
あるナトリウムメトキシドとを共存させ、反応温度をエ
ステル交換が通常行われる約60〜120℃とした非選
択的水素添加条件下で水素添加反応を行うことを特徴と
する、トランス酸含有量が低く、可塑性範囲が広い油脂
の製造方法である。
【0008】本発明に用いる油脂には、なたね油、サフ
ラワー油、オリーブ油、綿実油、コーン油、こめ油、大
豆油、パーム油等の植物油脂、ラード、牛脂、魚油、乳
脂等の動物油脂があり、更にそれら2種以上の混合油、
それらの分別油、エステル交換油等であってもよい。
【0009】本発明に用いる貴金属触媒とは、白金属元
素であるパラジウム、白金等を活性炭処理したパラジウ
ム触媒、白金触媒をいう。ナトリウムメトキシド(ナト
リウムメチラート)は油脂のエステル交換に用いる触媒
である。
【0010】
【実施例】
実施例1 精製なたね油(ヨウ素価116、以下単にIVともい
う)250gをオートクレーブに仕込み、100℃に加
熱して油脂の水分を除去した後、市販のパラジウム触媒
(パラジウム活性炭触媒、日揮化学株式会社製)0.6
gとナトリウムメチラート0.8gとを添加し、水素圧
力(槽内圧)3.0kg/cm2 、攪拌速度600rp
mで、IVが73となる迄水素添加を行った。要した反
応時間は170分間であった。次に水3gを加えナトリ
ウムメチラートの活性を止めた後、濾過して硬化油を得
た。得られた硬化油のヨウ素価、上昇融点、トランス酸
含有量、脂肪酸組成(%)の分析結果およびSFCの測
定結果を表1に、SFC曲線を図1にそれぞれ示した。
【0011】トランス酸の分析法は日本油化学協会制
定、基準油脂分析試験法(2.4.24.2−81、孤
立トランス異性体、赤外スペクトル法)に準じ、SFC
は同様に基準油脂分析試験法(暫3−1983暫定固体
脂含量)に準じた。脂肪酸組成の比率はガスクロマトグ
ラフィーにより測定した。
【0012】
【表1】
【0013】比較例1 ナトリウムメチラートを添加しないほかは実施例1と同
様の方法でIVが73となる迄水素添加をおこなった。
要した反応時間は88分であった。得られた硬化油の分
析結果は表1に、SFC曲線を図1に示した。
【0014】比較例2 精製なたね油250gをオートクレーブに仕込み、油脂
温度を150℃まで加熱後、市販のニッケル触媒(AF
−3、日揮化学株式会社製)0.6gを添加し、攪拌速
度600rpmで、反応最高温度を180℃、水素圧力
(槽内圧)が1.0kg/cm2 以下となるようにコン
トロールしながら、IVが73となる迄水素添加を行っ
た。要した反応時間は90分間であった。得られた硬化
油の分析結果は表1に、SFC曲線を図1に示した。
【0015】比較例3 比較例1で得られたなたね硬化油200gを100℃に
加熱して油脂の水分を除去した後、油脂の温度を90℃
まで冷却してからナトリウムメチラート0.8gを添加
し、20分間エステル交換を行った後、水3gを加えて
反応を終了させ、常法にもとづき脱色を行い、水添・エ
ステル交換油を得た。得られた水添・エステル交換油の
分析結果は表1に、SFC曲線を図1に示した。
【0016】パラジウム触媒とナトリウムメチラートの
共存下で、非選択的水添を行った実施例1の硬化油はト
ランス酸有含量が35.0%であり、比較例のいずれよ
りもトランス酸含有量が低く、低温(5〜10℃)のS
FCが約40%と比較的軟らかく、高温(35〜40
℃)でのSFCが約15%と可塑性範囲が広く、そのS
FC曲線は横型タイプであった。
【0017】パラジウウム触媒を用い、ナトリウムメチ
ラート無添加で非選択的水添を行った比較例1の硬化油
はトランス酸含量が64.0%と高く、低温(5〜10
℃)のSFCが約80%と硬く、SFC曲線が縦型タイ
プのシャープな物性を有していた。また、ニッケル触媒
で選択的水添を行った比較例2の硬化油もトランス酸含
量が52.1%と高く、低温(5〜10℃)のSFCが
約70%と硬く、SFC曲線は縦型タイプであった。
【0018】パラジウム触媒で非選択的水添後、エステ
ル交換した比較例3の場合でも、得られた水添・エステ
ル交換油はトランス酸含量が64.0%と高かった。S
FCはエステル交換を行っているので、比較例1よりは
軟らかく、比較例2(ニッケル触媒)とほぼ同じであ
り、SFC曲線は縦型タイプであった。
【0019】実施例2 精製パームオレイン(ヨウ素価58)を用い、実施例1
と同様の方法でIVが45となる迄水素添加を行った。
要した反応時間は42分間であった。次に水3gを加え
ナトリウムメチラートの活性を止めた後、濾過して硬化
油を得た。得られた硬化油の分析結果は表2に、SFC
曲線を図2に示した。
【0020】
【表2】
【0021】比較例4 精製パームオレインを用い、ナトリウムメチラートを添
加しないほかは実施例1と同様の方法でIVが45とな
る迄水素添加をおこなった。要した反応時間は17分間
であった。得られた硬化油の分析結果は表2に、SFC
曲線を図2に示した。
【0022】比較例5 精製パームオレインを用い、比較例2と同様の方法でI
Vが45となる迄水素添加をおこなった。要した反応時
間は20分間であった。得られた硬化油の分析結果は表
2に、SFC曲線を図2に示した。
【0023】比較例6 比較例4で得られたパームオレイン硬化油を比較例3と
同様の方法で水添・エステル交換油を得た。得られた水
添・エステル交換油の分析結果は表2に、SFC曲線を
図2に示した。
【0024】油脂がパームオレインの場合でも、パラジ
ウム触媒とナトリウムメチラートの共存下で、非選択的
水添を行った実施例2の硬化油はトランス酸含有量が
5.5%と低く、可塑性範囲が広い物性を有し、そのS
FC曲線は横型タイプであった。それと比較して比較例
4〜6で得られた硬化油及び水添・エステル交換油はい
ずれも実施例2よりもトランス酸有含量が高く、SFC
曲線が縦型のシャープな物性を有していた。
【0025】パラジウム触媒を用いた非選択的水添(比
較例1、4)では、トランス酸含量が高く、SFC曲線
が縦型の物性をもつ硬化油が得られるが、パラジウム触
媒とナトリウムメチラートとの共存下での水素添加(実
施例1、2)では、トランス酸含量が低く、SFC曲線
が横型の硬化油が得られる。これはトリグリセライド組
成分析から判断しても水素添加反応と同時にエステル交
換反応が進行したものと推定できる。パラジウム触媒で
水添後、エステル交換した場合(比較例3、6)には、
実施例1、2と同様の物性の硬化油は得られなかった。
【0026】
【発明の効果】本発明により、パラジウム、白金等の貴
金属触媒とエステル交換に用いる触媒であるナトリウム
メトキシドとを共存させ、非選択的水素添加条件下で水
素添加反応を行うことにより、トランス酸含有量が低
く、可塑性範囲が広い油脂を得ることでき、マーガリ
ン、ショートニング及びその他の可塑性を必要とする食
用加工油脂に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】精製なたね油を水素添加及び水素添加後エステ
ル交換した油脂のSFC曲線である。
【図2】精製パームオレインを水素添加及び水素添加後
エステル交換した油脂のSFC曲線である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小山 建次 新潟県新津市滝谷本町1番26号 日揮化学 株式会社新津事業所内 (72)発明者 井越 裕栄 新潟県新津市滝谷本町1番26号 日揮化学 株式会社新津事業所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ナトリウムメトキシドの存在下におい
    て、パラジウム、白金等の貴金属触媒を用いて水素添加
    することを特徴とするトランス酸含有量の低い可塑性油
    脂の製造方法。
JP5285494A 1993-10-21 1993-10-21 トランス酸含有量の低い可塑性油脂の製造法 Pending JPH07118688A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010504753A (ja) * 2006-12-29 2010-02-18 インダストリー・アカデミック・コーオペレーション・ファウンデーション・オブ・ウソク・ユニバーシティ 高度に富化されたバター香味および非常に低いトランス脂肪酸含量を有する加工食用油を調製するための方法およびそれによって調製される加工食用油
JP2016124963A (ja) * 2014-12-26 2016-07-11 ミヨシ油脂株式会社 食用油脂中のクロロプロパノール類を低減する方法

Cited By (3)

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