JPH07118386B2 - 薄膜el素子の製造方法 - Google Patents

薄膜el素子の製造方法

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JPH07118386B2
JPH07118386B2 JP62205669A JP20566987A JPH07118386B2 JP H07118386 B2 JPH07118386 B2 JP H07118386B2 JP 62205669 A JP62205669 A JP 62205669A JP 20566987 A JP20566987 A JP 20566987A JP H07118386 B2 JPH07118386 B2 JP H07118386B2
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睦 山本
純 桑田
洋介 藤田
富造 松岡
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明はキャラクタやグラフィックスなどの表示に用
いるものであり、さらに詳しくは発光特性が長期間にわ
たって安定な薄膜EL素子の製造方法に関する。
従来の技術 従来より電場発光蛍光体を用いた個体映像表示装置とし
てX−Yマトリクス表示装置が知られている。この装置
は電場発光層の両面に水平平行電極群と垂直平行電極群
とを互いに直交するように配置し、それぞれの電極群に
接続された給電線により切り換え装置を通して信号を加
え、両電極の交点部分の電場発光層(以下EL発光体層と
略称する)を発光させ(この交点の発光部分面を絵素と
称する)、発光した絵素の組み合わせによって文字記
号、図形等を表示させるものである。
ここで用いられる個体映像表示装置の表示板としては、
通常ガラス等の透光性基板上に透明な平行電極群を形成
し、その上に第1誘電体層、EL発光体層、第2誘電体層
を順次積層し、その上に背面平行電極群を下層の透明平
行電極群に直交する配置で積層して形成する。一般に透
明平行電極としては平滑なガラス基板上に酸化錫を被着
するなどにより形成される。これに直交し、対向する背
面電極としてはアルミニウムが真空蒸着などにより形成
される。
第1誘電体層や第2誘電体層に用いる材料としては、誘
電率が大きく、絶縁破壊電界強度が大きい材料が低電圧
駆動に適している。前者は、主に透明電極および背面電
極により印加される電圧の、より多くの割合をEL発光体
層に印加し、駆動電圧を低下させるためであり、後者は
主に絶縁破壊を起こさない安定な動作のために重要であ
る。このような低電圧で駆動ができ、安定性の優れた薄
膜EL素子を構成するための誘電体層としては誘電率が大
きな酸化物誘電体膜の方が誘電率が小さな酸化珪素や窒
化珪素より適しており、酸化物誘電体膜を用いた薄膜EL
素子が広く研究されている。
発明が解決しようとする問題点 マトリクス状電極を有する薄膜EL素子を、一斉反転方式
により線順次駆動し、1走査期間で2回の発光を行わせ
る場合、透明電極と背面電極に挟まれた各絵素において
は、正極性のパルスが印加されてから逆方向のパルスが
印加されるまでの時間と、逆極性のパルスが印加されて
から正極性のパルスが印加されるまでの時間とが異な
る。このような正・逆パルスの位相が異なる駆動法によ
り従来技術による薄膜EL素子を長時間駆動した場合表示
情報に応じて発光させた絵素では、発光させなかった絵
素と比較して、発光開始電圧が数ボルト変動するという
問題点があった。
本発明の目的は、前記問題点を解決し、位相が異なる交
流パルスや正・逆方向の振幅が異なる交流パルスで駆動
しても、長期間に渡り安定した動作が可能な薄膜EL素子
の製造方法を提供することにある。
問題点を解決するための手段 透光性基板上に、透明電極、第1誘電体層、少なくとも
硫化カルシウムを含む薄膜、EL発光体層、少なくとも硫
化カルシウムを含む薄膜、第2誘電体層、および背面電
極を順次積層してなる薄膜EL素子の製造方法において、
第1誘電体層と少なくとも硫化カルシウムを含む薄膜と
の間もしくは第2誘電体層と少なくとも硫化カルシウム
を含む薄膜との間の少なくとも一方に、フッ素を含むガ
スのプラズマ雰囲気中において、亜鉛、カドミウム、カ
ルシウム、ストロンチウム、バリウムからなる金属元素
のうちの一種以上の元素の硫化物を蒸発させるか、若し
くは亜鉛、カドミウム、カルシウム、ストロンチウム、
バリウムからなる金属元素のうちの一種以上の元素と硫
黄とを同時に蒸発させ、透明導電性薄膜を形成する工程
を含む。
作用 発光開始電圧の変動は、EL発光体層と誘電体層との界面
に種々の深さのトラップ準位が形成される事や、EL発光
体層と誘電体層との反応により生じるものと考えられ
る。EL発光体層と誘電体層との間に少なくとも硫化カル
シウムを含む薄膜を介在させることにより、トラップ準
位の形成が抑制され、長期間に渡り安定した動作が可能
になるものと考えられる。
実施例 第1図は本発明にかかる薄膜EL素子の製造方法の第1実
施例により作製した薄膜EL素子の断面構造を示す。図に
おいて、1はガラス基板であり、コーニング7059ガラス
を用いた。ガラス基板1上に、スパッタリング法により
厚さ200nmの錫添加酸化インジウム薄膜を形成し、ホト
リソグラフィ技術にによりストライプ状に加工し透明電
極2とした。その上にチタン酸ジルコン酸ストロンチウ
ム[Sr(TiXZr1-X)O3]を基板温度400℃でスパッタリ
ングすることにより厚さ600nmの酸化物誘電体薄膜3を
形成した。更にその上に、厚さ50nmの透明導電性薄膜4
を形成した。続いてその上に、硫化カルシウムペレット
を蒸発源として基板温度200℃で電子ビーム蒸着するこ
とにより厚さ60nmの硫化カルシウム薄膜5を形成した。
硫化カルシウム薄膜5の上には、共蒸着法により、基板
温度200℃で厚さ400nmのマンガン添加硫化亜鉛薄膜から
なるEL発光体層6を形成した。その後真空中・500℃で
1時間熱処理の後、その上に、再び硫化カルシウムペレ
ットを蒸発源として基板温度200℃で電子ビーム蒸着す
ることにより厚さ60nmの硫化カルシウム薄膜7を形成
し、更にその上に、厚さ50nmの透明導電性薄膜8を形成
した。その上にタンタル酸バリウム[BaTa2O6]焼結体
を基板温度100℃でスパッタリングすることにより厚さ2
00nmの酸化物誘電体薄膜9を形成した。最後にその上に
厚さ150nmのAlを真空蒸着し、ホトリソグラフィ技術に
より、透明電極2とは直交する方向にストライプ状の背
面電極10を形成し、薄膜EL素子を完成した。
透明導電性薄膜4及び8は以下のようにして形成した。
第2図は透明導電性薄膜の製造方法において用いた薄膜
形成装置の一つの形態を示す。真空排気系11を備えた真
空容器12内部には、基板加熱用ヒーター13を備えた基板
保持具14、基板15、シャッタ16、磁界発生装置17、電子
線加熱蒸発源18、電子線加熱装置19などが配置されてい
る。磁界発生装置17はサマリウム、コバルトなどを主成
分とする中空状の希土類磁石からなり、外径200mm、内
径120mm、厚さ35mmの形状を有し、中心部の磁束密度は
約900Gaussである。磁界発生装置17は、基板15の下方約
100mmの位置に配置した。この磁界発生装置17により発
生する磁界は、基板15表面に垂直な向きに発散する。真
空容器12の側面にはマイクロ波導入窓20が設けられてお
り、発振器21によりは発生させた2.45GHzのマイクロ波
を、電力計22を介した導波管23によりマイクロ波導入窓
20より真空容器12内に導入できる構成となっている。
この装置を用いて硫化亜鉛を主成分とした透明導電性薄
膜を形成する場合について説明する。電子線加熱装置19
に電子線加熱蒸発源18として硫化亜鉛ペレットをセット
する。真空容器12内を1.0×10-6Torr以下まで排気した
後、排気しつつガス導入口24より六フッ化硫黄ガスを導
入し、真空容器12内を所望の一定圧力に保つ。発振器21
を動作させ所望のマイクロ波電力を印加し、磁界発生装
置17の近傍に六フッ化硫黄ガスのプラズマを形成する。
また、電子線加熱装置19を動作させ電子線加熱蒸発源18
である硫化亜鉛ペレットに電子線を照射し、硫化亜鉛を
蒸発させる。堆積速度が所望の一定速度になるように電
子線加熱装置19を制御したのち、シャッタ16を開き基板
15に硫化亜鉛を蒸着させ、所望の厚さの硫化亜鉛を主成
分とした透明導電性薄膜を形成したのち、シャッタ16を
閉じ蒸着を終了する。
圧力を1.0×10-4Torr、マイクロ波電力を200W、堆積速
度を2nm/sec、基板温度を150℃として、ガラス基板上に
厚さ50nmの硫化亜鉛薄膜を形成したところ、抵抗率が10
-1Ωcm台の硫化亜鉛を主成分とした透明導電性薄膜が得
られた。従来の蒸着法、或はスパッタ法により作製され
た硫化亜鉛膜の抵抗率がおよそ109〜1011Ωcmであるの
に比較すれば、上記方法により作製した硫化亜鉛を主成
分とした上記薄膜が非常に抵抗の低い膜であることが解
る。また、上記薄膜の亜鉛に対する硫黄の原子比を調べ
たところ、その比は約0.5であり、化学量論理組成比か
ら大きくずれた硫化亜鉛を主成分とした透明導電性薄膜
が得られていることが解った。
六フッ化硫黄ガスの圧力としては、1.0×10-3Torrより
高い場合には、1.0kW以上の高いマイクロ波電力を必要
とするが、この場合六フッ化硫黄ガスプラズマの温度が
非常に高くなるため、堆積した硫化亜鉛を主成分とした
透明導電性薄膜の基板からの再蒸発が大きく、良好な堆
積速度が得られない。また六フッ化硫黄ガスの圧力が1.
0×10-5Torrより低い場合には、マイクロ波放電が発生
せず良好な透明導電性薄膜を得ることができなかった。
硫化亜鉛を主成分とした透明導電性薄膜の亜鉛に対する
硫黄の原子比は、六フッ化硫黄ガスの圧力、或はマイク
ロ波出力を適宜変えることにより0.4以上0.9以下の範囲
で変化した。亜鉛に対する硫黄の原子比が、0.4以下の
場合には透明な膜が得られず、また0.9以上の場合には
導電性の膜が得られなかった。
基板は必ずしも加熱する必要はないが、基板によって
は、100℃から300℃程度に加熱した方が基板に対する透
明導電性薄膜の付着力が強くなる。
磁界発生装置として希土類磁石を用いたが、電磁石を用
いても同様の結果が得られることは明らかである。しか
し、電磁石で希土類磁石と同等の強さの磁界を発生させ
るには装置が大きくなり、構成も若干複雑になるという
欠点がある。磁界発生部の中心での磁束密度が150Gauss
以上であれば、容易にプラズマを発生させることができ
た。
プラズマを発生させる手段としては必ずしもマイクロ波
放電を用いる必要はなく、RF放電を用いたスパッタリン
グ法、或はCVD法によって作製した場合にも同様の透明
導電性薄膜が得られるが、プラズマを発生させない場合
には導電性の膜が得られなかった。
本実施例では、亜鉛と硫黄を蒸発させる手段として電子
ビーム加熱を用いたが、抵抗加熱或はスパッタリング蒸
発を用いることも可能である。例えば、ターゲットとし
て硫化亜鉛の焼結体を用い、5%の六フッ化硫黄ガスを
含むアルゴンガス雰囲気中でRFスパッタリングした場合
にも、上記と同様の硫化亜鉛を主成分とした透明導電性
薄膜が得られた。
本発明の第1実施例にかかる薄膜EL素子と、本発明の第
1実施例にかかる薄膜EL素子から透明導電性薄膜4およ
び8と硫化カルシウム薄膜5および7を除いた従来の薄
膜EL素子とに、第3図に示すような位相の異なる交流パ
ルス電圧を印加し、発光開始電圧の経時変化を測定した
ところ、第4図に示すように、従来の薄膜EL素子では10
0時間で約6.5%発光開始電圧が低下(第3図a)したの
に対し、本発明の薄膜EL素子では1%以下(第3図b)
であった。
以上の実施例では、雰囲気ガスとして六フッ化硫黄を用
いたが、フッ素、或は三フッ化窒素、四フッ化硫黄等の
フッ素を含むガスのうち1種以上、若しくはフッ素、三
フッ化窒素、四フッ化硫黄、六フッ化硫黄のうちの1種
以上と、1種以上の希ガスとの混合ガスを雰囲気ガスと
して用いた場合にも同様の透明導電性薄膜が得られた。
また以上の実施例では、硫化亜鉛を主成分とした透明導
電性薄膜の製造方法について説明したが、その他の硫化
カルシウム、硫化セレン、硫化ストロンチウム、硫化バ
リウムなどの硫化物を主成分とした膜についても同様の
透明導電性薄膜が得られた。
第5図は本発明にかかる薄膜EL素子の製造方法の第2実
施例により作製した薄膜EL素子の断面構造を示す。図に
おいて、31はガラス基板であり、コーニング7059ガラス
を用いた。ガラス基板31上に、スパッタリング法により
厚さ300nmの錫添加酸化インジウム薄膜を形成し、ホト
リソグラフィ技術によりストライプ状に加工し透明電極
32とした。その上にタンタル酸バリウム[BaTa2O6]焼
結体を基板温度200℃でスパッタリングすることにより
厚さ300nmの酸化物誘電体薄膜33を形成した。更にその
上に、第1の実施例と同様にして硫化亜鉛ペレットを蒸
発源として厚さ50nmの透明導電性薄膜34を形成した。続
いてその上に、硫化カルシウムと硫化亜鉛との混合ペレ
ットを蒸発源として基板温度180℃で電子ビーム蒸着す
ることにより厚さ50nmの硫化カルシウム混合薄膜35(硫
化カルシウムの含有量は約10%であった)を形成した。
硫化カルシウム混合薄膜35の上には、共蒸着法により、
基板温度180℃で厚さ500nmのマンガン添加硫化亜鉛薄膜
からなるEL発光体層36を形成した。その後真空中・570
℃で1時間熱処理の後、その上に、再び硫化カルシウム
と硫化亜鉛との混合ペレットを蒸発源として基板温度18
0℃で電子ビーム蒸着することにより厚さ60nmの硫化カ
ルシウム混合薄膜37を形成し、更にその上に、透明導電
性薄膜34と同じ条件で厚さ50nmの透明導電性薄膜38を形
成した。その上にタンタル酸バリウム[BaTa2O6]焼結
体を基板温度100℃でスパッタリングすることにより厚
さ200nmの酸化物誘電体薄膜39を形成した。最後にその
上に厚さ150nmのAlを真空蒸着し、ホトリソグラフィ技
術により、透明電極32とは直交する方向にストライプ状
の背面電極40を形成し、薄膜EL素子を完成した。
本発明の第2実施例にかかる薄膜EL素子と、本発明の第
2実施例にかかる薄膜EL素子から透明導電性薄膜34およ
び38と硫化カルシウム混合薄膜35および37を除いた従来
の薄膜EL素子とに、第3図に示すような位相の異なる交
流パルス電圧を印加し、発光開始電圧の経時変化を測定
したところ、第4図に示すように、従来の薄膜EL素子で
は100時間で約5.5%発光開始電圧が低下(第3図c)し
たのに対し、本発明の薄膜EL素子では1%以下(第3図
d)であった。
透明導電性薄膜、少なくとも硫化カルシウムを含む薄膜
の基板温度をEL発光体層の基板温度と異なる温度にする
と、高い方の基板温度の薄膜形成後に低い方の基板温度
の薄膜形成に移るとき、温度が低下して平衡状態に達す
る迄に長時間を必要とし、生産性が著しく低下して良く
なかった。
本実施例では少なくとも硫化カルシウムを含む薄膜と第
1誘電体層および第2誘電体層との間にそれぞれ透明導
電性薄膜を設けたが、どちらか一方もしくは両方の透明
導電性薄膜を取り除いた場合でも、前述のEL素子の経時
変化に対する安定性においてはほとんど効果は失われな
いが、例えば少なくとも硫化カルシウムを含む薄膜と第
1誘電体層との間の透明導電性薄膜を取り除いた場合に
はEL発光体層の熱処理後に、少なくとも硫化カルシウム
を含む薄膜と第1誘電体層との間で膜の剥離が発生しや
すくなり、また少なくとも硫化カルシウムを含む薄膜と
第2誘電体層との間の透明導電性薄膜を取り除いた場合
には、背面電極形成工程時に少なくとも硫化カルシウム
を含む薄膜と第2誘電体層との間で膜の剥離が発生しや
すくなり、どちらの場合も歩留まりが著しく低下した。
また剥離を防ぐ目的で硫化亜鉛薄膜や誘電体薄膜などを
透明導電性薄膜の変わりに用いることも考えられるが、
その場合いには剥離に対しては効果があるが、同時に素
子の駆動電圧も上昇してしまう。
少なくとも硫化カルシウムを含む薄膜の厚さは、10nmよ
り薄い場合は、発光開始電圧の経時変化を抑制する効果
が少なく、200nmより厚くした場合は、硫化カルシウム
の誘電率は小さいため、素子を駆動するのに必要な電圧
が高くなり過ぎて好ましくない。
少なくとも硫化カルシウムを含む薄膜の形成には電子ビ
ーム蒸着法を用いたが、他の方法例えばスパッタリング
法の場合には、長時間の駆動に対して発光開始電圧の変
動を効果的に抑制するという作用が大きく低下してしま
い、とくにEL発光体層の熱処理温度を高くする程、その
傾向は顕著であった。
少なくとも硫化カルシウムを含む薄膜に含まれる硫化カ
ルシウムの量は多いほど良く、100%の場合が最も効果
的であるが、他の薄膜との付着力の関係や、他の製造工
程との関係で他の材料を混合しても良い。この場合硫化
カルシウムの量の比率としては5%程度以上であれば実
用的な効果は得ることが出来た。硫化カルシウムと混合
する他の材料としては、EL素子の特性を損ねるものでな
ければ特に限定されるものではないが、硫化物はおおむ
ね良い結果が得られ、なかでも硫化亜鉛は最も効果的で
あった。
透明導電性薄膜の厚さは、10nmより薄い場合は、薄膜間
の剥離を防止する効果が少ない。
EL発光体層は活性物質を含む硫化亜鉛(ZnS)を用いる
ことができる。活性物質としてはMn,Cu,Ag,Au,TbF3,SmF
3,ErF3,TmF3,DyF3,PrF3,EuF3などが適当である。EL発光
体層は活性物質を含む硫化亜鉛以外のものでもよく、た
とえば活性物質を含むSrSやCaSなどの電場発光を示すも
のであればよい。
EL発光体層の熱処理温度は、EL発光体層の発光特性を向
上させるために施され、450℃以上で効果があるが、望
ましくは500℃以上の方が高い輝度が得られ易い。また6
50℃以上ではガラス基板の変形などが発生するようにな
り、実用的でなくなる。
第1誘電体層に用いる酸化物誘電体膜の厚さは、第2誘
電体層より厚くしたほうが、絶縁破壊に対する安定性が
高い。厚い第1誘電体層を用いるには、誘電体膜の比誘
電率が大きいほど好ましく、実験結果からは15以上が好
ましかった。比誘電率が15より小さい場合、100〜180V
の電圧で安定に駆動できる薄膜EL素子を形成するのは困
難であった。このような酸化物誘電体薄膜としては、ペ
ロブスカイト形の結晶構造を含む薄膜が、絶縁破壊電圧
の面からも適していた。その中でもSrTiO3,SrXMg1-XTiO
3,SrTiXZr1-XO3,あるいはSrXMg1-XTiyZr1-yO3などのチ
タン酸ストロンチウム系の薄膜を、第1誘電体層に用い
ることにより極めて安定な薄膜EL素子を構成することが
できた。
第2誘電体層の一つとしては、比誘電率が約22のタンタ
ル酸バリウム系薄膜が適しており、タンタル酸バリウム
系薄膜を用いることにより、伝播性絶縁破壊を抑制する
ことができ、信頼性の高い薄膜EL素子を形成することが
できた。このタンタル酸バリウム系薄膜は第一誘電体層
として用いても優れた特性を示し、高耐圧で安定な薄膜
EL素子を形成することができた。
発明の効果 本発明によれば、長時間の駆動に対しても発光開始電圧
の変動が極めて小さい薄膜EL素子を効率的に再現性良く
製造することができ、コンピュータ端末などの薄形、高
品位ディスプレィなどに広く利用でき、実用的価値が大
きい。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の第1の実施例により作製した薄膜EL素
子の構成を示す断面図、第2図は透明導電性薄膜の製造
に用いる薄膜形成装置の断面図、第3図は薄膜EL素子の
駆動電圧波形を示す波形図、第4図は発光開始電圧の経
時変化を示す特性曲線図、第5図は本発明の第2の実施
例により作製した薄膜EL素子の構造を示す断面図であ
る。 1……ガラス基板、2……透明電極 3……誘電体薄膜、4……透明導電性薄膜 5……硫化カルシウム薄膜、6……EL発光体層 7……硫化カルシウム薄膜、8……透明導電性薄膜 9……誘電体薄膜、10……背面電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤田 洋介 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 松岡 富造 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 阿部 惇 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭64−6394(JP,A) 特開 昭64−30196(JP,A)

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透光性基板上に、透明電極、第1誘電体
    層、少なくとも硫化カルシウムを含む薄膜、EL発光体
    層、少なくとも硫化カルシウムを含む薄膜、第2誘電体
    層、および背面電極を順次積層してなる薄膜EL素子の製
    造方法において、第1誘電体層と少なくとも硫化カルシ
    ウムを含む薄膜との間もしくは第2誘電体層と少なくと
    も硫化カルシウムを含む薄膜との間の少なくとも一方
    に、フッ素を含むガスのプラズマ雰囲気中において、亜
    鉛、カドミウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウ
    ムからなる金属元素のうちの一種以上の元素の硫化物を
    蒸発させるか、若しくは亜鉛、カドミウム、カルシウ
    ム、ストロンチウム、バリウムからなる金属元素のうち
    の一種以上の元素と硫黄とを同時に蒸発させ、透明導電
    性薄膜を形成する工程を含むことを特徴とする薄膜EL素
    子の製造方法。
  2. 【請求項2】透明導電性薄膜が亜鉛、カドミウム、カル
    シウム、ストロンチウム、バリウムからなる金属元素の
    うちの一種以上と硫黄とを主成分とし、硫黄の金属元素
    に対する原子比が0.4以上0.9以下であることを特徴とす
    る特許請求の範囲第1項に記載の薄膜EL素子の製造方
    法。
  3. 【請求項3】フッ素を含むガスが、フッ素、三フッ化窒
    素、四フッ化硫黄、六フッ化硫黄のうちの1種以上、あ
    るいはフッ素、三フッ化窒素、四フッ化硫黄、六フッ化
    硫黄のうちの1種以上と、1種以上の希ガスとの混合ガ
    スであることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載
    の薄膜EL素子の製造方法。
  4. 【請求項4】亜鉛、カドミウム、カルシウム、ストロン
    チウム、バリウムからなる金属元素のうちの一種以上の
    元素の硫化物を蒸発させるか、若しくは亜鉛、カドミウ
    ム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムからなる金
    属元素のうちの一種以上の元素と硫黄とを同時に蒸発さ
    せる手段が、加熱蒸発或はスパッタリング蒸発であるこ
    とを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の薄膜EL素
    子の製造方法。
  5. 【請求項5】フッ素を含むガスをプラズマ化する手段
    が、マイクロ波放電、或はRF放電であることを特徴とす
    る特許請求の範囲第1項、または第3項に記載の薄膜EL
    素子の製造方法。
  6. 【請求項6】フッ素を含むガスをプラズマ化する手段が
    マイクロ波放電の場合に、フッ素を含むガスの圧力が1.
    0×10-3Torr以下、1.0×10-5Torr以上であることを特徴
    とする特許請求の範囲第1項、または第4項に記載の薄
    膜EL素子の製造方法。
  7. 【請求項7】少なくとも硫化カルシウムを含む薄膜の膜
    厚が10nmから200nmであることを特徴とする特許請求の
    範囲第1項記載の薄膜EL素子の製造方法。
  8. 【請求項8】少なくとも硫化カルシウムを含む薄膜が硫
    化カルシウムと硫化亜鉛との混合膜からなることを特徴
    とする特許請求の範囲第1項または第3項記載の薄膜EL
    素子の製造方法。
  9. 【請求項9】第1誘電体層がペロブスカイト形構造の結
    晶部分を有する酸化物誘電体薄膜で構成されていること
    を特徴とする特許請求の範囲第1項記載の薄膜EL素子の
    製造方法。
  10. 【請求項10】第1誘電体層がチタン酸ストロンチウム
    系薄膜で構成されていることを特徴とする特許請求の範
    囲第1項記載の薄膜EL素子の製造方法。
  11. 【請求項11】EL発光体層がマンガンで活性化した硫化
    亜鉛薄膜であることを特徴とする特許請求の範囲第1項
    記載の薄膜EL素子の製造方法。
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