JPH07117166A - 多色模様セラミックス被覆鋼板およびその製造方法 - Google Patents
多色模様セラミックス被覆鋼板およびその製造方法Info
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- JPH07117166A JPH07117166A JP29142293A JP29142293A JPH07117166A JP H07117166 A JPH07117166 A JP H07117166A JP 29142293 A JP29142293 A JP 29142293A JP 29142293 A JP29142293 A JP 29142293A JP H07117166 A JPH07117166 A JP H07117166A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】内装建材，家具，家電製品等に使用される色模
様鋼板の装飾効果を高め、高級意匠性を要求される用途
への適用を可能とする。 【構成】この多色模様鋼板は、ステンレス鋼板を母材と
し、母材表面に色彩の異なるセラミックスのプラズマコ
ーティング被膜Ｌ1,Ｌ2,Ｌ3 …が積層形成されている。
各セラミックス被膜の積層パターンは、プラズマコーテ
ィングに際して行うマスキングにより自由に設計でき
る。セラミックス被膜Ｌ1,Ｌ2,Ｌ3 …の各色彩（例え
ば、被膜Ｌ1 はＴｉＮのゴールド，被膜Ｌ2 はＴｉＡｌ
ＣX ＮY のブラック, 被膜Ｌ3 はＴｉＡｌＮX のブロン
ズもしくはブルー）の組合せとその積層パターンによる
多色模様を呈し、その被膜表面に母材鋼板の表面肌の視
覚効果が重畳した装飾効果を奏する。
様鋼板の装飾効果を高め、高級意匠性を要求される用途
への適用を可能とする。 【構成】この多色模様鋼板は、ステンレス鋼板を母材と
し、母材表面に色彩の異なるセラミックスのプラズマコ
ーティング被膜Ｌ1,Ｌ2,Ｌ3 …が積層形成されている。
各セラミックス被膜の積層パターンは、プラズマコーテ
ィングに際して行うマスキングにより自由に設計でき
る。セラミックス被膜Ｌ1,Ｌ2,Ｌ3 …の各色彩（例え
ば、被膜Ｌ1 はＴｉＮのゴールド，被膜Ｌ2 はＴｉＡｌ
ＣX ＮY のブラック, 被膜Ｌ3 はＴｉＡｌＮX のブロン
ズもしくはブルー）の組合せとその積層パターンによる
多色模様を呈し、その被膜表面に母材鋼板の表面肌の視
覚効果が重畳した装飾効果を奏する。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、セラミックスの積層被
膜による多色模様を有する意匠性・装飾効果に優れたセ
ラミックス被覆鋼板およびその製造方法に関する。
膜による多色模様を有する意匠性・装飾効果に優れたセ
ラミックス被覆鋼板およびその製造方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】ステンレス鋼板は、耐食性にすぐれ、美
麗な表面状態を有すると共に、その表面仕上げ（光輝焼
鈍仕上げ、ヘアーライン仕上げ、ダル（梨地肌）仕上
げ、鏡面バフ研磨仕上げ等）による視覚効果の異なる肌
・光沢を帯有させることができ、装飾効果を要求される
建築物の壁パネル，天井パネル，柱カバー，エレベータ
のドアー，内壁パネル，階段の手摺，家具，家電製品等
の部材として広く使用されている。また、その装飾効果
を高める方法とし、化学的発色法（所謂インコ法、黒染
法等）や、塗料の塗装による彩色を施すことが従来より
行われ、更に近時はプラズマコーティング（スパッタリ
ング等）の成膜技術を応用して鋼板表面にセラミックス
被膜を形成することが試みられ、その成膜効率や被膜品
質（緻密性,密着性等）の改善について種々の提案がな
されている（例えば、特開平4-28884号公報、特開平4-5
2285 号公報、特開平4-285183号公報、特開平4-308074
号公報等) 。
麗な表面状態を有すると共に、その表面仕上げ（光輝焼
鈍仕上げ、ヘアーライン仕上げ、ダル（梨地肌）仕上
げ、鏡面バフ研磨仕上げ等）による視覚効果の異なる肌
・光沢を帯有させることができ、装飾効果を要求される
建築物の壁パネル，天井パネル，柱カバー，エレベータ
のドアー，内壁パネル，階段の手摺，家具，家電製品等
の部材として広く使用されている。また、その装飾効果
を高める方法とし、化学的発色法（所謂インコ法、黒染
法等）や、塗料の塗装による彩色を施すことが従来より
行われ、更に近時はプラズマコーティング（スパッタリ
ング等）の成膜技術を応用して鋼板表面にセラミックス
被膜を形成することが試みられ、その成膜効率や被膜品
質（緻密性,密着性等）の改善について種々の提案がな
されている（例えば、特開平4-28884号公報、特開平4-5
2285 号公報、特開平4-285183号公報、特開平4-308074
号公報等) 。
【０００３】セラミックス被膜は、その材種（化学組
成）による特有の色彩（例えばＴｉＮセラミックスのゴ
ールド、ＴｉＡｌＮX セラミックスのブロンズないしブ
ルー、ＴｉＡｌＣX ＮY セラミックスのブラック）を有
し、かつその被膜厚さは、プラズマコーティングの成膜
条件により、例えば０．２〜５μｍと厚薄任意の膜厚に
精度よく制御することができる。他の成膜法、例えば化
学的発色法による被膜が、干渉色として視覚され、膜厚
のわずかな変化で色彩・色調の変化や他色の混入をきた
すため、製品ロット間のバラツキを生じ易く、また見る
方向により色調が一定しないという難点を有するほか、
耐摩耗性に乏しくブラシ等の摩擦で脱色を生じ易い等の
難点を有するのに対し、セラミックス被膜は、その組成
に基づく一定の色彩・色調を帯有し均一性に優れている
と共に、硬質・高耐摩耗性で、耐久性も良好である。ま
た、塗料塗装鋼板では、塗装塗膜の膜厚が約２０μｍと
厚く、母材鋼板の表面状態（ヘアライン仕上げ肌，ダル
仕上げ肌，鏡面仕上げ肌等）の視覚効果を生かすことが
できないのに対し、プラズマコーティングでセラミック
ス被膜を形成する場合は、母材鋼板の表面状態を精密に
セラミックス被膜の表面に再現することができ、従って
母材鋼板の表面状態の視覚効果と被膜の色彩効果との重
畳効果として塗装塗膜では得られない高度の装飾機能を
奏することができる。
成）による特有の色彩（例えばＴｉＮセラミックスのゴ
ールド、ＴｉＡｌＮX セラミックスのブロンズないしブ
ルー、ＴｉＡｌＣX ＮY セラミックスのブラック）を有
し、かつその被膜厚さは、プラズマコーティングの成膜
条件により、例えば０．２〜５μｍと厚薄任意の膜厚に
精度よく制御することができる。他の成膜法、例えば化
学的発色法による被膜が、干渉色として視覚され、膜厚
のわずかな変化で色彩・色調の変化や他色の混入をきた
すため、製品ロット間のバラツキを生じ易く、また見る
方向により色調が一定しないという難点を有するほか、
耐摩耗性に乏しくブラシ等の摩擦で脱色を生じ易い等の
難点を有するのに対し、セラミックス被膜は、その組成
に基づく一定の色彩・色調を帯有し均一性に優れている
と共に、硬質・高耐摩耗性で、耐久性も良好である。ま
た、塗料塗装鋼板では、塗装塗膜の膜厚が約２０μｍと
厚く、母材鋼板の表面状態（ヘアライン仕上げ肌，ダル
仕上げ肌，鏡面仕上げ肌等）の視覚効果を生かすことが
できないのに対し、プラズマコーティングでセラミック
ス被膜を形成する場合は、母材鋼板の表面状態を精密に
セラミックス被膜の表面に再現することができ、従って
母材鋼板の表面状態の視覚効果と被膜の色彩効果との重
畳効果として塗装塗膜では得られない高度の装飾機能を
奏することができる。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、セラミック
ス被膜の上記特性を生かしながら、更にその装飾効果を
高め、様々な意匠を要求される各種の使用態様に対応す
ることができる多色模様鋼板およびその製造方法を提供
するものである。
ス被膜の上記特性を生かしながら、更にその装飾効果を
高め、様々な意匠を要求される各種の使用態様に対応す
ることができる多色模様鋼板およびその製造方法を提供
するものである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】本発明の多色模様セラミ
ックス被覆鋼板は、色彩の異なるセラミックスからなる
複数層のプラズマコーティング被膜が所望のパターンを
なしてステンレス鋼板表面に積層形成されていることを
特徴としている。本発明の多色模様セラミックス被覆鋼
板は、プラズマコーティングによりステンレス鋼板表面
にセラミックス被膜を形成した後、セラミックス被膜面
をマスキングし、異なる色彩を有するセラミックス被膜
を積層形成するプラズマコーティングを反復実施するこ
とにより製造される。なお、本明細書で「異なる色彩」
というのは、例えば黄色と青色のように色相が異なる場
合だけでなく、同一色相であっても、色のあざやかさ・
冴え（彩度）や、明るさ（明度）の相違が視覚されるも
のも含む意味で使用している。
ックス被覆鋼板は、色彩の異なるセラミックスからなる
複数層のプラズマコーティング被膜が所望のパターンを
なしてステンレス鋼板表面に積層形成されていることを
特徴としている。本発明の多色模様セラミックス被覆鋼
板は、プラズマコーティングによりステンレス鋼板表面
にセラミックス被膜を形成した後、セラミックス被膜面
をマスキングし、異なる色彩を有するセラミックス被膜
を積層形成するプラズマコーティングを反復実施するこ
とにより製造される。なお、本明細書で「異なる色彩」
というのは、例えば黄色と青色のように色相が異なる場
合だけでなく、同一色相であっても、色のあざやかさ・
冴え（彩度）や、明るさ（明度）の相違が視覚されるも
のも含む意味で使用している。
【０００６】
【作用】本発明のセラミックス被覆鋼板は、鋼板表面に
積層形成されたセラミックス被膜の積層パターンとその
色彩の組合せになる多色模様を有すると共に、その多色
模様の表面（セラミックス被膜面）に、母材鋼板の表面
状態（ヘアライン仕上げ，ダル仕上げ，バイブレーショ
ン加工仕上げ，鏡面研磨仕上げ等）が精密に再現されて
いるので、セラミックス被膜の多色模様と母材鋼板の表
面状態の視覚効果とが重畳し、ステンレス鋼とセラミッ
クスの調和した意匠効果が現出される。多色模様を構成
している色彩は、積層成膜されたセラミックスのそれぞ
れの材種に基づく特有の色彩であり、色の均一性に優
れ、ロット間のバラツキも少ない。また、その被膜は硬
質・耐摩耗性および耐候性等に優れ、表面の摩損や脱色
・変色を生じ難く長期に亘り当初の装飾効果を安定に保
持する。
積層形成されたセラミックス被膜の積層パターンとその
色彩の組合せになる多色模様を有すると共に、その多色
模様の表面（セラミックス被膜面）に、母材鋼板の表面
状態（ヘアライン仕上げ，ダル仕上げ，バイブレーショ
ン加工仕上げ，鏡面研磨仕上げ等）が精密に再現されて
いるので、セラミックス被膜の多色模様と母材鋼板の表
面状態の視覚効果とが重畳し、ステンレス鋼とセラミッ
クスの調和した意匠効果が現出される。多色模様を構成
している色彩は、積層成膜されたセラミックスのそれぞ
れの材種に基づく特有の色彩であり、色の均一性に優
れ、ロット間のバラツキも少ない。また、その被膜は硬
質・耐摩耗性および耐候性等に優れ、表面の摩損や脱色
・変色を生じ難く長期に亘り当初の装飾効果を安定に保
持する。
【０００７】以下、本発明について詳しく説明する。図
１（１）〜（４）は、本発明のセラミックス被覆鋼板の
セラミックス被膜の積層構造とその成膜工程の例を示し
ている。１は母材ステンレス鋼板、Ｌ1 およびＬ2 はセ
ラミックス被膜、Ｍｓはマスキングである。母材鋼板１
は、プラズマコーティング工程に送給され、まず第１段
のプラズマコーティング処理により、同図（２）に示す
ように、その板面にセラミックス被膜Ｌ1 （例えば、ゴ
ールド色を有するＴｉＮセラミックス被膜）が形成され
る。そのセラミックス被膜Ｌ1 の表面に、同図（３）の
ように所定のパターンをなすマスキングＭｓを施したう
え、セラミックス被膜Ｌ2 （例えば、ブラック色を有す
るＴｉＡｌＣX ＮY セラミックス）を形成する第２段の
プラズマコーティングを行う。しかるのち、マスキング
Ｍｓを除去すると、同図（４）に示すように、母材鋼板
１の板面を被覆するセラミックス被膜Ｌ1 （ゴールド）
と、その膜面に所定のパターンをなして積層された第２
層のセラミックス被膜Ｌ2 （ブラック）との組合せなる
２色模様を有する鋼板が得られる。
１（１）〜（４）は、本発明のセラミックス被覆鋼板の
セラミックス被膜の積層構造とその成膜工程の例を示し
ている。１は母材ステンレス鋼板、Ｌ1 およびＬ2 はセ
ラミックス被膜、Ｍｓはマスキングである。母材鋼板１
は、プラズマコーティング工程に送給され、まず第１段
のプラズマコーティング処理により、同図（２）に示す
ように、その板面にセラミックス被膜Ｌ1 （例えば、ゴ
ールド色を有するＴｉＮセラミックス被膜）が形成され
る。そのセラミックス被膜Ｌ1 の表面に、同図（３）の
ように所定のパターンをなすマスキングＭｓを施したう
え、セラミックス被膜Ｌ2 （例えば、ブラック色を有す
るＴｉＡｌＣX ＮY セラミックス）を形成する第２段の
プラズマコーティングを行う。しかるのち、マスキング
Ｍｓを除去すると、同図（４）に示すように、母材鋼板
１の板面を被覆するセラミックス被膜Ｌ1 （ゴールド）
と、その膜面に所定のパターンをなして積層された第２
層のセラミックス被膜Ｌ2 （ブラック）との組合せなる
２色模様を有する鋼板が得られる。
【０００８】図２は、上記図１のプラズマコーティング
により得られたゴールドとブラックの２色模様を有する
セラミックス被覆鋼板に、第３段のプラズマコーティン
グを実施してセラミックス被膜Ｌ3 （例えば、ブロンズ
色のＴｉＡｌＮX セラミックス被膜）を積層することに
より３色模様を形成した例を示している。図示の例おけ
る板面のＡ部分は、セラミックス被覆層Ｌ1,Ｌ2,Ｌ3 の
３層がこの順に積層形成され、Ｂ部分は被覆層Ｌ3 がな
く、被覆層Ｌ1 と被覆層Ｌ2 の２層からなり、またＣ部
分では、被覆層Ｌ2 を欠き、被覆層Ｌ1 の上に被覆層Ｌ
3が積層された２層からなる層構成を有している。セラ
ミックス被膜Ｌ1,Ｌ2,Ｌ3のこのような積層パターン
は、プラズマコーティングに際して行うマスキングの塗
布パターンにより任意に設計することができる。なお、
マスキングは、その塗膜を連続面（ベタ塗り）として形
成されるほか、微細な網目状ないし斑点状に塗設しても
よい。微細な網目状ないし斑点状のマスキングを設けて
成膜されるセラミックス被膜は、マスキングで微細に分
断された不連続面をなし、従ってその場合は、不連続面
のセラミックス被膜が呈する色彩と、その下層のセラミ
ックス被膜の色彩が微細に混在して視覚されることによ
り、連続面のセラミックス被膜の積層効果と異なる装飾
効果を現出させることも可能である。
により得られたゴールドとブラックの２色模様を有する
セラミックス被覆鋼板に、第３段のプラズマコーティン
グを実施してセラミックス被膜Ｌ3 （例えば、ブロンズ
色のＴｉＡｌＮX セラミックス被膜）を積層することに
より３色模様を形成した例を示している。図示の例おけ
る板面のＡ部分は、セラミックス被覆層Ｌ1,Ｌ2,Ｌ3 の
３層がこの順に積層形成され、Ｂ部分は被覆層Ｌ3 がな
く、被覆層Ｌ1 と被覆層Ｌ2 の２層からなり、またＣ部
分では、被覆層Ｌ2 を欠き、被覆層Ｌ1 の上に被覆層Ｌ
3が積層された２層からなる層構成を有している。セラ
ミックス被膜Ｌ1,Ｌ2,Ｌ3のこのような積層パターン
は、プラズマコーティングに際して行うマスキングの塗
布パターンにより任意に設計することができる。なお、
マスキングは、その塗膜を連続面（ベタ塗り）として形
成されるほか、微細な網目状ないし斑点状に塗設しても
よい。微細な網目状ないし斑点状のマスキングを設けて
成膜されるセラミックス被膜は、マスキングで微細に分
断された不連続面をなし、従ってその場合は、不連続面
のセラミックス被膜が呈する色彩と、その下層のセラミ
ックス被膜の色彩が微細に混在して視覚されることによ
り、連続面のセラミックス被膜の積層効果と異なる装飾
効果を現出させることも可能である。
【０００９】本発明の多色模様鋼板は、複数層のセラミ
ックス被膜Ｌ1,Ｌ2,Ｌ3 …を積層形成する点を除いて、
プラズマコーティングによる公知のセラミックス成膜法
に従って製造することができる。すなわち、母材ステン
レス鋼板は、先ずその板面にヘアライン仕上げ，ダル仕
上げ，バイブレーション研磨仕上げ，鏡面仕上げ，エッ
チング仕上げ等の所望の表面状態を付与するための表面
加工が施されると共に、その表面に形成しようとするセ
ラミックス被膜の密着性・健全性を確保するための精密
洗浄処理、例えば有機溶剤（トリクロロエタン等）、ま
たはアルカリ水溶液（苛性ソーダ，燐酸ナトリウム，炭
酸ナトリウム，界面活性剤等が所定の濃度に調整された
溶液）を処理液として超音波振動を印可する超音波洗浄
処理、あるいはアルカリ洗浄液中で鋼板を陰極もしくは
陽極として電解処理する電解洗浄処理を施されたうえ、
プラズマコーティング工程に供せられる。
ックス被膜Ｌ1,Ｌ2,Ｌ3 …を積層形成する点を除いて、
プラズマコーティングによる公知のセラミックス成膜法
に従って製造することができる。すなわち、母材ステン
レス鋼板は、先ずその板面にヘアライン仕上げ，ダル仕
上げ，バイブレーション研磨仕上げ，鏡面仕上げ，エッ
チング仕上げ等の所望の表面状態を付与するための表面
加工が施されると共に、その表面に形成しようとするセ
ラミックス被膜の密着性・健全性を確保するための精密
洗浄処理、例えば有機溶剤（トリクロロエタン等）、ま
たはアルカリ水溶液（苛性ソーダ，燐酸ナトリウム，炭
酸ナトリウム，界面活性剤等が所定の濃度に調整された
溶液）を処理液として超音波振動を印可する超音波洗浄
処理、あるいはアルカリ洗浄液中で鋼板を陰極もしくは
陽極として電解処理する電解洗浄処理を施されたうえ、
プラズマコーティング工程に供せられる。
【００１０】セラミックス被膜の形成は、スパッタリン
グ、イオンプレーティング、プラズマＣＶＤ等の公知の
プラズマコーティング法を適用し常法に従って行われ
る。例えば、ＴｉＮセラミックス被膜をスパッタリング
により成膜する場合は、金属チタン（ターゲット）を陰
極として、これに母材鋼板を対向配置すると共に、スパ
ッタ雰囲気を、Ａｒガスと適量の窒素ガスからなる混合
ガス雰囲気に調整してスパッタリングを行う。ターゲッ
トからスパッタされたＴｉ粒子は雰囲気中の窒素と反応
して基板（母材鋼板）表面に析出することにより、ゴー
ルド色のＴｉＮセラミックス被膜が形成される。ターゲ
ットとしてＴｉ−Ａｌ合金を使用し、そのスパッタ雰囲
気をＡｒガスと適量の炭化水素ガス（メタン，アセチレ
ン等）および窒素ガスからなる混合ガスとしてスパッタ
リングを行う場合は、ブラック色のＴｉＡｌＣX ＮY の
被膜が形成され、またターゲットにＴｉ−Ａｌ合金を使
用すると共に、スパッタ雰囲気をＡｒと窒素ガスの混合
雰囲気とするスパッタリングにより、ＴｉＡｌＮX セラ
ミックスの被膜（その原子比組成によりブロンズもしく
はブルー色を帯有する）が形成される。各セラミックス
被膜Ｌ1,Ｌ2,Ｌ3の膜厚は約０．５〜５μｍ程度であっ
てよく、プラズマコーティング条件（処理時間等）によ
り精度よく制御される。
グ、イオンプレーティング、プラズマＣＶＤ等の公知の
プラズマコーティング法を適用し常法に従って行われ
る。例えば、ＴｉＮセラミックス被膜をスパッタリング
により成膜する場合は、金属チタン（ターゲット）を陰
極として、これに母材鋼板を対向配置すると共に、スパ
ッタ雰囲気を、Ａｒガスと適量の窒素ガスからなる混合
ガス雰囲気に調整してスパッタリングを行う。ターゲッ
トからスパッタされたＴｉ粒子は雰囲気中の窒素と反応
して基板（母材鋼板）表面に析出することにより、ゴー
ルド色のＴｉＮセラミックス被膜が形成される。ターゲ
ットとしてＴｉ−Ａｌ合金を使用し、そのスパッタ雰囲
気をＡｒガスと適量の炭化水素ガス（メタン，アセチレ
ン等）および窒素ガスからなる混合ガスとしてスパッタ
リングを行う場合は、ブラック色のＴｉＡｌＣX ＮY の
被膜が形成され、またターゲットにＴｉ−Ａｌ合金を使
用すると共に、スパッタ雰囲気をＡｒと窒素ガスの混合
雰囲気とするスパッタリングにより、ＴｉＡｌＮX セラ
ミックスの被膜（その原子比組成によりブロンズもしく
はブルー色を帯有する）が形成される。各セラミックス
被膜Ｌ1,Ｌ2,Ｌ3の膜厚は約０．５〜５μｍ程度であっ
てよく、プラズマコーティング条件（処理時間等）によ
り精度よく制御される。
【００１１】セラミックス被膜のプラズマコーティング
に際して行うマスキングは、各種の印刷法により、レジ
ストインキを所定のパターンに塗布する方法等が適用さ
れ、また別法として、フェルトチップペン（「マジック
インキ」）の油性もしくは水性インキにより、あるいは
毛筆を用いた墨汁ないし絵具等により描画される文字、
模様，線画，その他の文様をマスキングとすることもで
きる。プラズマコーティング後のマスキングの除去は、
アルカリ洗浄（レジストインキ等）、シンナー洗浄（油
性インキ等）、または水洗（墨汁，水性絵具等）等によ
り行えばよく、マスキング除去により、鮮明なセラミッ
クスの多色模様が現れる。ペンや毛筆等でマスキングを
描画したプラズマコーティングにより形成される文字、
模様，線画等の文様は、その運筆・タッチ等も忠実に再
現される。
に際して行うマスキングは、各種の印刷法により、レジ
ストインキを所定のパターンに塗布する方法等が適用さ
れ、また別法として、フェルトチップペン（「マジック
インキ」）の油性もしくは水性インキにより、あるいは
毛筆を用いた墨汁ないし絵具等により描画される文字、
模様，線画，その他の文様をマスキングとすることもで
きる。プラズマコーティング後のマスキングの除去は、
アルカリ洗浄（レジストインキ等）、シンナー洗浄（油
性インキ等）、または水洗（墨汁，水性絵具等）等によ
り行えばよく、マスキング除去により、鮮明なセラミッ
クスの多色模様が現れる。ペンや毛筆等でマスキングを
描画したプラズマコーティングにより形成される文字、
模様，線画等の文様は、その運筆・タッチ等も忠実に再
現される。
【００１２】このように、本発明の多色模様セラミック
ス被覆鋼板は、セラミックス被膜の層数、各セラミック
ス被膜の材種の選択、各段階のプラズマコーティングの
実施に際して行うマスキングのパターンの任意の設計に
より、色彩の組合せ、配色、模様形状等を自由に変化さ
せて様々な意匠を表出することができる。なお、図示の
例では、鋼板表面の第１層のセラミックス被膜を鋼板表
面の全体に亘つて形成しているが、所望の多色模様パタ
ーンにより、母材鋼板の表面にマスキングを施して成膜
される場合もある。
ス被覆鋼板は、セラミックス被膜の層数、各セラミック
ス被膜の材種の選択、各段階のプラズマコーティングの
実施に際して行うマスキングのパターンの任意の設計に
より、色彩の組合せ、配色、模様形状等を自由に変化さ
せて様々な意匠を表出することができる。なお、図示の
例では、鋼板表面の第１層のセラミックス被膜を鋼板表
面の全体に亘つて形成しているが、所望の多色模様パタ
ーンにより、母材鋼板の表面にマスキングを施して成膜
される場合もある。
【００１３】
〔実施例１〕 （１）母材鋼板 ＳＵＳ３０４ステンレス鋼板（L 2438×W 1219×t 1.5
，ｍｍ）の片側表面に鏡面バフ研磨加工を加えた後、
母材鋼板を陰極とするアルカリ電解洗浄処理( 処理液：
キレート剤を含む苛性ソーダ水溶液) を施した。 （２）セラミックス被膜の積層形成 マグネトロン・スパッタリングにより、鋼板表面の全体
にブルー色のＴｉＡｌＮX セラミックス被膜（膜厚：約
0.5 μｍ) を形成（第１段スパッタリング）し、ついで
上記セラミックス被膜の表面にレジストインキ（NAZ-DA
R 社製「185Black」）による花模様のマスキングＭｓを
形成したうえ、ゴールド色のＴｉＮセラミックス被膜
（膜厚：約0.5 μｍ) の積層成膜（第２段スパッタリン
グ）を行った。
，ｍｍ）の片側表面に鏡面バフ研磨加工を加えた後、
母材鋼板を陰極とするアルカリ電解洗浄処理( 処理液：
キレート剤を含む苛性ソーダ水溶液) を施した。 （２）セラミックス被膜の積層形成 マグネトロン・スパッタリングにより、鋼板表面の全体
にブルー色のＴｉＡｌＮX セラミックス被膜（膜厚：約
0.5 μｍ) を形成（第１段スパッタリング）し、ついで
上記セラミックス被膜の表面にレジストインキ（NAZ-DA
R 社製「185Black」）による花模様のマスキングＭｓを
形成したうえ、ゴールド色のＴｉＮセラミックス被膜
（膜厚：約0.5 μｍ) の積層成膜（第２段スパッタリン
グ）を行った。
【００１４】第１段スパッタリング ターゲット：Ｔｉ−Ａｌ合金 スパッタ雰囲気：Ａｒ−Ｎ2 (1：2 容積比) 混合ガス 真空度：３×１０-1Ｐａ第２段スパッタリング ターゲット：金属チタン スパッタ雰囲気：Ａｒ- Ｎ2 (2：3 容積比) 混合ガス 真空度：３×１０-1Ｐａ 上記２段階のスパッタ成膜を行った後、マスキングを除
去（アルカリ洗浄）して、ゴールド色（ＴｉＮセラミッ
クス被膜）の地に、ブルー色（ＴｉＡｌＮX セラミック
ス被膜）の花図柄が描出された２色模様鋼板を得た。模
様表面は、母材鋼板表面（鏡面バフ研磨仕上げ）と同様
の光沢平滑面を呈している。
去（アルカリ洗浄）して、ゴールド色（ＴｉＮセラミッ
クス被膜）の地に、ブルー色（ＴｉＡｌＮX セラミック
ス被膜）の花図柄が描出された２色模様鋼板を得た。模
様表面は、母材鋼板表面（鏡面バフ研磨仕上げ）と同様
の光沢平滑面を呈している。
【００１５】〔実施例２〕 （１）母材鋼板 ＳＵＳ３０４ステンレス鋼板（L 300 ×W 300 ×t 1.5
，ｍｍ）の片側表面にバイブレーション研磨仕上げを
加えた後、実施例１と同じ表面洗浄処理を施した。 （２）セラミックス被膜の積層形成 マグネトロン・スパタリングにより、鋼板表面の全体に
ゴールド色のＴｉＮセラミックス被膜（膜厚：約0.5 μ
ｍ) を形成（第１段スパッタリング）し、ついで油性イ
ンキをマスキング剤とし、上記セラミックス被膜の表面
に毛筆で文字のマスキングを形成したうえ、ブラック色
のＴｉＡｌＣX ＮY セラミックス被膜（膜厚：約0.5 μ
ｍ) の積層成膜( 第２段スパッタリング）を行った。
，ｍｍ）の片側表面にバイブレーション研磨仕上げを
加えた後、実施例１と同じ表面洗浄処理を施した。 （２）セラミックス被膜の積層形成 マグネトロン・スパタリングにより、鋼板表面の全体に
ゴールド色のＴｉＮセラミックス被膜（膜厚：約0.5 μ
ｍ) を形成（第１段スパッタリング）し、ついで油性イ
ンキをマスキング剤とし、上記セラミックス被膜の表面
に毛筆で文字のマスキングを形成したうえ、ブラック色
のＴｉＡｌＣX ＮY セラミックス被膜（膜厚：約0.5 μ
ｍ) の積層成膜( 第２段スパッタリング）を行った。
【００１６】第１段スパッタリング ターゲット：金属チタン スパッタ雰囲気：Ａｒ−Ｎ2 (2：3 容積比) 混合ガス 真空度：３×１０-1Ｐａ第２段スパッタリング ターゲット：Ｔｉ−Ａｌ合金 スパッタ雰囲気：Ａｒ−C 2 H 2 −Ｎ2 (8：1 ：4 容積
比) 混合ガス 真空度：３×１０-1Ｐａ 上記２段階のスパッタ成膜を行った後、マスキングを除
去（シンナー洗浄）して、ブラック色（ＴｉＡｌＣX Ｎ
Y セラミックス被膜）の地に、ゴールド色（ＴｉＮセラ
ミックス被膜）の文字が表出された２色模様鋼板を得
た。模様表面は、母材鋼板表面（バイブレーション研磨
仕上げ）と同じサテン様の表面状態を呈している。
比) 混合ガス 真空度：３×１０-1Ｐａ 上記２段階のスパッタ成膜を行った後、マスキングを除
去（シンナー洗浄）して、ブラック色（ＴｉＡｌＣX Ｎ
Y セラミックス被膜）の地に、ゴールド色（ＴｉＮセラ
ミックス被膜）の文字が表出された２色模様鋼板を得
た。模様表面は、母材鋼板表面（バイブレーション研磨
仕上げ）と同じサテン様の表面状態を呈している。
【００１７】
【発明の効果】本発明のセラミックス被覆鋼板は、板面
に積層成膜されたセラミックス被膜の積層パターンとそ
の色彩の組合せになる多色模様を帯有すると共に、被膜
表面に母材鋼板の表面仕上げ状態が重畳しステンレスと
セラミックスの調和になる意匠性にすぐれた装飾効果を
有している。その模様や配色、文様パターン等は、セラ
ミックスの材種の自由な選択、およびプラズマコーティ
ングに際して行うマスキングの手法およびそのパターン
の自由な選択・設計により様々な意匠効果を現出するこ
とができ、かつセラミックスの特性として、耐摩耗性，
耐食・耐候性に優れ，当初の光沢・色調を長期に亘り安
定に保持する。またその多色模様はロット間の均一性・
再現性を有し、量産性にも優れている。本発明の多色模
様鋼板は、その変化に富む意匠性・装飾効果により、例
えば内装建材の壁パネル，天井パネル，フロントサッ
シ，柱カバー，間仕切りパネル，手摺り，エレベータや
エスカレータ等のドアー，三方枠，幕板，カゴの内壁，
デッキカバー，側板，あるいは玄関ドアー，ショーケー
ス，家具，家電製品，案内板，銘板等として有用であ
る。
に積層成膜されたセラミックス被膜の積層パターンとそ
の色彩の組合せになる多色模様を帯有すると共に、被膜
表面に母材鋼板の表面仕上げ状態が重畳しステンレスと
セラミックスの調和になる意匠性にすぐれた装飾効果を
有している。その模様や配色、文様パターン等は、セラ
ミックスの材種の自由な選択、およびプラズマコーティ
ングに際して行うマスキングの手法およびそのパターン
の自由な選択・設計により様々な意匠効果を現出するこ
とができ、かつセラミックスの特性として、耐摩耗性，
耐食・耐候性に優れ，当初の光沢・色調を長期に亘り安
定に保持する。またその多色模様はロット間の均一性・
再現性を有し、量産性にも優れている。本発明の多色模
様鋼板は、その変化に富む意匠性・装飾効果により、例
えば内装建材の壁パネル，天井パネル，フロントサッ
シ，柱カバー，間仕切りパネル，手摺り，エレベータや
エスカレータ等のドアー，三方枠，幕板，カゴの内壁，
デッキカバー，側板，あるいは玄関ドアー，ショーケー
ス，家具，家電製品，案内板，銘板等として有用であ
る。
【図１】本発明のセラミックス被覆鋼板の被膜積層構造
およびその成膜工程を示す断面説明図である。
およびその成膜工程を示す断面説明図である。
【図２】本発明のセラミックス被覆鋼板の被膜の積層構
造の他の例を示す断面図である。
造の他の例を示す断面図である。
１：母材鋼板、Ｌ1,Ｌ2,Ｌ3 ：セラミックス被膜、Ｍ
ｓ：マスキング。
ｓ：マスキング。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成５年１２月２１日
【手続補正１】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図２
【補正方法】変更
【補正内容】
【図２】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松野 康彦 大阪府大阪市此花区桜島２丁目１番171号 日新製鋼株式会社大阪製造所内
Claims (2)
- 【請求項１】 色彩の異なるセラミックスのプラズマコ
ーティング被膜が所望のパターンをなしてステンレス鋼
板表面に積層形成されていることを特徴とする多色模様
セラミックス被覆鋼板。 - 【請求項２】 プラズマコーティングによりステンレス
鋼板表面にセラミックス被膜を形成した後、セラミック
ス被膜面をマスキングしてプラズマコーティングによる
セラミックス被膜の成膜操作を反復実施することによ
り、色彩の異なる複数種のセラミックス被膜を積層形成
することを特徴とする多色模様セラミックス被覆金属板
の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP29142293A JPH07117166A (ja) | 1993-10-27 | 1993-10-27 | 多色模様セラミックス被覆鋼板およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP29142293A JPH07117166A (ja) | 1993-10-27 | 1993-10-27 | 多色模様セラミックス被覆鋼板およびその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH07117166A true JPH07117166A (ja) | 1995-05-09 |
Family
ID=17768679
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP29142293A Pending JPH07117166A (ja) | 1993-10-27 | 1993-10-27 | 多色模様セラミックス被覆鋼板およびその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH07117166A (ja) |
Cited By (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2009035978A (ja) * | 2007-08-03 | 2009-02-19 | Hitachi Housetec Co Ltd | 浴室ユニット |
| JP2013049980A (ja) * | 2011-08-31 | 2013-03-14 | Daido Polymer Co Ltd | Ｆｒｐ防水構造体の施工方法及びそのｆｒｐ防水構造体 |
| JP2013094667A (ja) * | 2011-10-31 | 2013-05-20 | Shenzhen Futaihong Precision Industrial Co Ltd | 電子装置のケース体及びその製造方法 |
| JP2014141091A (ja) * | 2013-01-23 | 2014-08-07 | Shenzhen Futaihong Precision Industrial Co Ltd | ハウジング及びその製造方法 |
| JP2014172398A (ja) * | 2013-03-08 | 2014-09-22 | Shenzhen Futaihong Precision Industrial Co Ltd | ハウジング及びその製造方法 |
| KR20190124030A (ko) * | 2018-04-25 | 2019-11-04 | 현대자동차주식회사 | 스테인리스강 pvd 코팅면 에칭방법 |
| KR102491038B1 (ko) * | 2022-09-23 | 2023-01-20 | 주식회사 한에스티 | 티타늄 증착을 이용한 다색 금속 플레이트 제조방법 |
-
1993
- 1993-10-27 JP JP29142293A patent/JPH07117166A/ja active Pending
Cited By (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2009035978A (ja) * | 2007-08-03 | 2009-02-19 | Hitachi Housetec Co Ltd | 浴室ユニット |
| JP2013049980A (ja) * | 2011-08-31 | 2013-03-14 | Daido Polymer Co Ltd | Ｆｒｐ防水構造体の施工方法及びそのｆｒｐ防水構造体 |
| JP2013094667A (ja) * | 2011-10-31 | 2013-05-20 | Shenzhen Futaihong Precision Industrial Co Ltd | 電子装置のケース体及びその製造方法 |
| JP2014141091A (ja) * | 2013-01-23 | 2014-08-07 | Shenzhen Futaihong Precision Industrial Co Ltd | ハウジング及びその製造方法 |
| JP2014172398A (ja) * | 2013-03-08 | 2014-09-22 | Shenzhen Futaihong Precision Industrial Co Ltd | ハウジング及びその製造方法 |
| KR20190124030A (ko) * | 2018-04-25 | 2019-11-04 | 현대자동차주식회사 | 스테인리스강 pvd 코팅면 에칭방법 |
| KR102491038B1 (ko) * | 2022-09-23 | 2023-01-20 | 주식회사 한에스티 | 티타늄 증착을 이용한 다색 금속 플레이트 제조방법 |
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| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
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