JPH07115982A - 難水溶性基質の好気的発酵方法及び難水溶性基質の発酵生産物の製造方法 - Google Patents

難水溶性基質の好気的発酵方法及び難水溶性基質の発酵生産物の製造方法

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JPH07115982A
JPH07115982A JP28623093A JP28623093A JPH07115982A JP H07115982 A JPH07115982 A JP H07115982A JP 28623093 A JP28623093 A JP 28623093A JP 28623093 A JP28623093 A JP 28623093A JP H07115982 A JPH07115982 A JP H07115982A
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culture
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soluble substrate
aerobic
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Toru Matsui
徹 松井
Eiichi Hasegawa
栄一 長谷川
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Japan Energy Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 難水溶性基質の酸化物生産能を有する好気性
微生物により該基質を好気的発酵するにあたり、該好気
性微生物を予め生育せしめた培地中に、該基質を所定の
速度で連続的に添加するか或は該基質の所定量を間歇的
に添加しつつ、該好気性微生物を培養する。 【効果】 微生物密度を適正な範囲とでき、且つ培養中
の基質密度も適正な範囲とすることができる。更には、
発酵熱を高い熱交換効率で除熱が可能となり、培養液温
度を高い発酵効率を達成可能な範囲に容易に保持でき、
生産性を向上する効果がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、難水溶性基質の酸化物
生産能を有する好気性微生物により該基質を好気的発酵
する方法に関するものであり、又その好気的発酵方法を
用い、該難水溶性基質の発酵生産物を製造する方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】有機化合物を原料(基質)として用い、
好気性微生物による基質の好気的発酵方法により、有用
な有機化合物、例えば有機酸や抗生物質に変換する方法
は既に多くの提案がなされている。一例として、酵母菌
を用いる長鎖ジカルボン酸の製造方法が、特公昭60−
8796号等に提案されている。特に、難水溶性有機化
合物である炭素数の多い飽和炭化水素、或は芳香族系炭
化水素より、石油酸或は有機カルボン酸等の酸性化合物
を生産する方法は、炭化水素発酵又は石油発酵と一般に
呼ばれている。
【0003】従来、上記の発酵工程では、予め使用する
基質の全量と微生物の生育に必要な成分を含む培地とを
混合した培養液を形成し、その培養液を用いて当該微生
物の培養を行っていた。該培養液を撹拌し、酸素源及び
基質の均一化が図られていた。ところで、この種の発酵
を工業的な規模に拡張する場合、通常基質の使用量及び
培養液量を増す方法がとられるため、発酵熱の発生量が
増し、液界面(表面)からの自然放熱により失われる熱
の発酵熱に対する比率は減じ、基質及び培養液の温度が
上昇する。
【0004】微生物の生育には、それぞれ微生物により
最適な温度範囲があり、又酵素に関してもその活性にと
って最適な温度範囲があり、培養液の温度が不要に高く
なると発酵が阻害される。この不要な培養液温度の上昇
を防ぐため、発酵熱等の液に蓄積される熱量を冷却機或
は熱交換器を用いて除熱する方法が講じられる。その
際、発酵条件を調整し、冷却機或は熱交換器による熱交
換効率を高くすることが望まれている。
【0005】資化する基質の濃度が高いため、培養初期
に微生物の生育が不要な程度に進み、培養液中の微生物
密度が高くなり、難水溶性基質の密度も高いことも相俟
って、培養液の平均的粘性が高くなりすぎ、強制的な除
熱装置での熱交換効率を低下させる結果となっていた。
更には、培養液の温度の不要な上昇を起こし、発酵効率
が低下する結果となる。これらの問題のため、培養液の
総容量に対する基質の占める比率を高くすることが困難
となる欠点も生じていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の課題を
解決したもので、本発明の目的の一つは、発酵熱、或は
撹拌又は振盪により生ずる熱を、効率よく培養液から除
去することを可能とし、培養液温度を所望の範囲に制御
することが容易な難水溶性基質の好気的発酵方法を提供
することにある。又、本発明の他目的は、容易に培養液
温度を好適な温度範囲に制御でき、所望の発酵生産物を
高い効率で生産することができる難水溶性基質の発酵生
産物の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、難水溶性基質
の好気的発酵方法として、難水溶性基質の酸化により得
られる化合物の生産能を有する好気性微生物により該基
質を好気的発酵するにあたり、該好気性微生物を予め生
育せしめた培地中に、該基質を所定の速度で連続的に添
加するか或は該基質の所定量を間歇的に添加しつつ、該
好気性微生物を培養することからなる発酵方法である。
【0008】又、他の本発明は、好気的発酵方法を用い
る難水溶性基質の発酵生産物の製造方法として、上記の
難水溶性基質の好気的発酵方法により、該基質を好気的
発酵し、上記好気性微生物の培養液中に生成される該基
質の発酵生産物を採取することからなるものである。本
発明の難水溶性基質の好気的発酵方法を適用することが
できる発酵様式としては、好気的発酵の代表的なもので
ある炭化水素発酵、有機酸発酵、抗生物質発酵等を挙げ
ることができる。又、用いられる難水溶性基質として
は、芳香族炭化水素、飽和炭化水素、ステロイドなどを
挙げることができ、具体的には、飽和炭化水素である鎖
式炭化水素、芳香族炭化水素であるトルエン、キシレ
ン、芳香族環を含むステロイドなどを例示することがで
きる。更に、前記の難水溶性基質を好気的発酵し、該基
質の酸化物の生産能を有する好気性微生物としては、種
々の好気性細菌、酵母、及び糸状菌を用いることができ
る。例えば炭化水素発酵或は有機酸発酵においては、炭
化水素置換基を有する芳香族炭化水素又は鎖式炭化水素
の一つである脂肪族炭化水素から、その発酵生産物とし
て該基質の対応するカルボン酸の生産能を有する菌等と
して、Micrococcus 属、或はCandida 属に属するカルボ
ン酸菌が好適であり、特に長鎖アルカン二酸の生産能を
有する菌としては、例えば Candida tropicalis 1098
(FERM P-3291)が好ましい。
【0009】本発明においは、先ず目的とする発酵生産
物の生産能を有する好気性微生物の菌株又はその培養
物、或は該菌株を予め生育した菌体を用意する。それ
を、当該菌を通常培養が可能な液体培地に加えて、菌と
液体培地とを十分に接触させるべく、例えば撹拌、振
盪、又はノズルによる空気吹き込み等の手段を用いて、
好気的条件下に培養を開始する。この当該菌の生育する
培地に、原料となる難水溶性基質を所定の速度で連続的
に添加するか或は該基質の所定量を間歇的に添加しつ
つ、菌の培養を継続的に行う。培養に際して、該培養液
(液体培地)の温度は25℃〜35℃に維持するの良
く、又そのpHは3〜9に、好ましくは4〜8の範囲に
保つのが良い。また、培養時間は使用する当該基質の総
用量に依存して、適宜決められるものであるが、通常2
4から120時間の培養時間で完了させるとよい。
【0010】例えば、炭化水素発酵によりn−アルカン
からアルカン二酸を生産する場合等では、発酵生産物の
増加に伴う培養液のpH変化を抑える目的で、培地に添
加した陽イオンを含むアルカリ或は、陰イオンを含む酸
を適時添加するのが良い。具体的には、発酵生産物がカ
ルボン酸であるときには、該カルボン酸と水溶性の塩を
形成する強塩基の水溶液、例えば水酸化カリウム水溶液
等を添加する方法を用いることができる。更には、当該
好気的発酵に伴い発酵熱が発生する場合等では、例えば
ポンプにより該培養液を一定の流量で循環し、熱交換器
により除熱を行なう等の手段を用いて、該培養液(液体
培地)の温度維持に支することができる。
【0011】原料となる難水溶性基質を連続的に添加す
る速度は、該培養液中の菌体密度に応じて、或は該基質
濃度を所望の範囲にするべく適宜定めるものである。例
えば、菌体密度が既知の培養液における発酵の速度を予
め測定し、その発酵速度と等しく添加速度を定めること
ができる。通常、最大の発酵速度を上限とし、それが得
られる基質濃度以下となる添加速度を用いると好まし
い。或は、該培養液のpHを制御するべく添加する強塩
基の量やRQ値を、菌体密度或は基質濃度を反映する指
標として用い、添加する速度を定めることもできる。更
には、間歇的に添加する際にも、その添加量と時間間隔
とは、同様な手順により定めることができる。該基質を
入れた容器より該培養液を保持する容器へ、基質からの
雑菌混入を防止する手段、フィルタ−による除菌等を採
り、ペリスタックポンプ或はプランジャ−ポンプを用い
て移送する方法を用いることができる。なお、上記の容
器等の器具は、基質及び発酵生産物により腐食・溶解を
受けない材質を用いることは勿論のことである。
【0012】また、微生物の培養に用いる培地は、次に
記すものを添加して調整される。即ち、添加物は、微生
物の培養する為の炭素源として、例えばグルコ−ス、シ
ュ−クロ−ス、マルト−ス、グリセロ−ルなど糖類が用
いられ、窒素源として、例えば硝酸アンモニウム、リン
酸アンモニウムの様な無機態窒素化合物、ペプトン、コ
−ンスタ−チプリカ−、アミノ酸の様な有機態窒素化合
物が用いられる。また、無機塩類としては例えばリン酸
ナトリウム、リン酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫
酸亜鉛、硫酸第1鉄、硫酸マンガンなどが用いられ、そ
の他の栄養源としてイ−ストエクストラクトなどが用い
られる。上記の成分を雑菌を含まない脱イオン水或は蒸
留水に溶かした液体培地として調整できる。この液体培
地に対して、基質の総用量が5%から200%容量とな
る培地量を通常用いる。
【0013】
【作用】本発明の難水溶性基質の好気的発酵方法におい
ては、該好気性微生物を予め生育せしめた培地中に、該
基質を所定の速度で連続的に添加するか或は該基質の所
定量を間歇的に添加しつつ発酵を継続的に行うので、培
養液に含まれる基質密度が不要に高くなることを防止で
き、また培養初期に微生物密度が不要に高くなることを
抑えることができる。その結果、微生物密度が不要に高
くなく、且つ発酵により培養液に含まれる基質が消費さ
れるので基質密度も不要に高くならず、培養液の平均的
粘性が高くなりすぎることがない。即ち、培養液の平均
的粘性を適度な範囲に保つことができ、発酵熱を培養液
より強制的に除熱する装置での熱交換効率が低下するこ
とを未然に防止できる。
【0014】更には、適度な容量の除熱装置を用いるこ
とで、強制的に除熱する熱交換効率が低下せず、培養液
の温度を最適な範囲に容易に保つことができ、それによ
り発酵効率を適正な範囲に保持することで、時間的に平
均した発酵効率をも高くすることができる。また、連続
的に添加する速度、或は間歇的に添加する量を、培養液
中に残余する基質密度を所望の範囲に保つべく選択する
ことで、発酵効率を損なうことなく培養を継続でき、培
養液の総容量に対する基質の添加量合計の占める比率を
高くすることができる。
【0015】
【実施例】
(実施例1)予め別途に設けた培養槽内で、Candida
に属する長鎖アルカン二酸の生産能を有する菌である C
andida tropicalis 1098 を表1に示す組成の培地中で
培養し、該培養液中に当該菌体を密度10〜15g/l
含むシ−ドブロスを得た。このシ−ドブロス 1.0k
lを、他の培養槽に仕込まれた表2に示す組成の培地1
0.0klに加えて、混合した。得られた混合液(以
降、「当初の培養液」と呼ぶ。)11.0klに、基質
となるn−トリデカンを40l/hの添加速度で連続的
に加えつつ、該菌体を培養する培養液の液温を32℃に
維持して培養した。該基質n−トリデカンの添加は、培
養開始時より120時間が経過した時点で停止し、更に
20時間培養を継続して、通合140時間培養を終了し
た。この間、当該培養液には、「当初の培養液」の量1
1.0klより最終的な培養液の量15.8klに増加
するのに比例して培養開始時の10m3/minより1
20時間経過する時点の15m3/minまで徐々に通
気量を増し、その後培養終了時までの間は15m3/m
inの通気量に保って無菌空気を供給し、好気的条件下
に該菌体の培養を行なった。また、通気とともに、液に
酸素を均一に供給するべく、該培養液を135rpmで
撹拌した。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】培養中、基質n−トリデカンが該好気的微
生物 Candida tropicalis 1098 により炭化水素発酵を
受け、トリデカン二酸に変換される際の発酵熱、並びに
該培養液の撹拌に伴い発生する熱が該培養液に蓄熱され
る。その蓄熱により、該培養液の液温が所望の液温32
℃より上昇するのを防止すべく、培養槽と該培養槽の外
部に設けた熱交換器との間を、ポンプにより該培養液を
一定の流量で循環して、除熱を行なった。培養開始後、
各時間経過時における前記熱交換器での除熱効率を測定
し、熱交換器の総括伝熱係数を求めた。表3に、代表的
な経過時間における前記総括伝熱係数の測定結果を示
す。
【0019】
【表3】
【0020】また、上記の炭化水素発酵によって生産さ
れたトリデカン二酸が該培養液中に蓄積されるに従い、
「当初の培養液」においては、液のpHを6.5に調整
されていたものが、該培養液のpHは次第に低下する。
本実施例では、該培養液のpHを6〜7の範囲に維持す
るため、10N水酸化カリウム水溶液を適宜添加した。
そのpH調整により、培養中該培養液のpHは、少なく
とも6〜7の範囲に、時間的平均値として6.5に維持
された。上記140時間の培養を終了後、該培養液に蓄
積されたトリデカン二酸を分離・精製したところ、添加
した基質n−トリデカンの総量4.8klを加算した培
養液の総量約15.8kl中に、その培養液1l当りト
リデカン二酸102gが蓄積されていた。
【0021】(比較例1)上記の実施例1に記す方法に
準じて、 Candida tropicalis 1098 を表1に示す組成
の培地中で培養し、該培養液中に当該菌体を密度10〜
15g/l含むシ−ドブロスを得た。表2に示す組成の
培地10.0kl及び基質n−トリデカン4.8klを
予め均一に混合することで得られた混合培地合計14.
8klを他の培養槽2に仕込み、これに該シ−ドブロス
1.0klを加えて、混合した。得られた混合液を、
液温を32℃に維持しつつ、該混合液中の当該菌体を好
気的に140時間培養した。この間、該混合液中に無菌
空気を一定通気量15m3/minで通気するととも
に、液に酸素を均一に供給するべく、135rpmで撹
拌した。
【0022】実施例1と同じく、培養中に基質n−トリ
デカンが炭化水素発酵を受け、トリデカン二酸に変換さ
れる際の発酵熱、並びに該混合液の撹拌に伴い発生する
熱が蓄熱し、該混合液の液温が所望の液温32℃より上
昇するのを防止すべく、ポンプにより該培養液を一定の
流量で循環して、外部に設けた熱交換器で除熱を行なっ
た。培養開始後、各時間経過時における前記熱交換器で
の除熱効率を測定し、熱交換器の総括伝熱係数を求め
た。表3に、代表的な経過時間における前記総括伝熱係
数の測定結果を示す。
【0023】また、上記の培養中に生産されるトリデカ
ン二酸が該液中に蓄積されるに従い、pHは次第に低下
するが、本例においても、該混合液のpHを6〜7の範
囲に維持するため、10N水酸化カリウム水溶液を適宜
添加した。そのpH調整により、培養中、液のpHは、
少なくとも6〜7の範囲に、時間的平均値として6.5
に維持された。実施例1で用いた方法により、上記培養
を終了後、該混合液に蓄積されたトリデカン二酸を分離
・精製したところ、添加した基質n−トリデカンの総量
4.8klを加算した培養液の総量約15.8kl中
に、その培養液1l当りトリデカン二酸98gが蓄積さ
れていた。
【0024】(実施例2)上記の実施例1に記す方法に
準じて、 Candida tropicalis 1098 の菌体を密度10
〜15g/l含むシ−ドブロス 1.0klを、培養槽
2に仕込まれた表2に示す組成の培地10.0klに加
えて混合し、「当初の培養液」11.0klを得た。こ
の「当初の培養液」に、基質n−トリデカンを50l/
hの添加速度で連続的に加えつつ、該菌体を培養する培
養液の液温を32℃に維持して培養した。該基質n−ト
リデカンの添加は、培養開始時より100時間が経過し
た時点で停止し、更に40時間培養を継続して、通合1
40時間培養を終了した。
【0025】この間、当該培養液には、「当初の培養
液」の量11.0klより最終的な培養液の量16.0
klに増加するのに比例して培養開始時の10m3/m
inより100時間経過する時点の15m3/minま
で徐々に通気量を増し、その後培養終了時までの間は1
5m3/minの通気量に保って無菌空気を供給し、好
気的条件下に該菌体の培養を行なった。また、通気とと
もに、液に酸素を均一に供給するべく、該培養液を13
5rpmで撹拌した。また、上記の培養中に生産される
トリデカン二酸が該液中に蓄積されるに従い、pHは次
第に低下するが、本例においても、該培養液のpHを6
〜7の範囲に維持するため、10N水酸化カリウム水溶
液を適宜添加した。そのpH調整により、培養中、液の
pHは、少なくとも6〜7の範囲に、時間的平均値とし
て6.5に維持された。
【0026】実施例1と同じく本例においても、培養中
に発酵熱、並びに液の撹拌に伴い発生する熱が蓄熱し、
液温が所望の液温32℃より上昇するのを防止すべく、
培養槽2と該培養槽2の外部に設けた熱交換器と培養槽
2との間を、ポンプにより該培養液を一定の流量で循環
して、除熱を行なった。培養開始後、各時間経過時にお
ける前記熱交換器での除熱効率を測定し、熱交換器の総
括伝熱係数を求めた。表3に、代表的な経過時間におけ
る前記総括伝熱係数の測定結果を示す。なお、培養を終
了後、該培養液に蓄積されたトリデカン二酸を分離・精
製したところ、その培養液1l当りのトリデカン二酸蓄
積量は実施例1と同じ出会った。
【0027】(実施例3)本例においては、好気的条件
下に菌体の培養を行なうため、無菌空気の通気ととも
に、実施する培養液撹拌速度のみを、実施例1の135
rpmより160rpmに変更し、その他の手順及び培
養条件は実施例1と同一にし、140時間の培養を実施
した。
【0028】実施例1と同じく本例においても、培養槽
2とそのの外部に設けた熱交換器との間を、ポンプによ
り該培養液を一定の流量で循環して、除熱を行ない、液
温を32℃に保った。培養開始後、各時間経過時におけ
る前記熱交換器での除熱効率を測定し、熱交換器の総括
伝熱係数を求めた。表3に、代表的な経過時間における
前記総括伝熱係数の測定結果を示す。なお、培養を終了
後、該培養液に蓄積されたトリデカン二酸を分離・精製
したところ、実施例1と同じ量のトリデカン二酸が得ら
れた。
【0029】(比較例2)本例においては、好気的条件
下に菌体の培養を行なうため、無菌空気の通気ととも
に、実施する混合液撹拌速度のみを、実施例1の135
rpmより160rpmに変更し、その他の手順及び培
養条件は比較例1と同一にし、140時間の培養を試み
た。
【0030】培養を開始後、42時間が経過すると、該
菌体を含む混合液の粘度が増し、熱交換器への循環が困
難になった。そのため、熱交換器での除熱が困難にな
り、結果として混合液の液温を32℃に維持することが
できなくなった。更に、液温上昇のため、培養を継続す
ることができなくなった。
【0031】表3より、上記する3つの実施例において
は、基質n−トリデカンを培養の当初より全量を添加す
る比較例1と較べ、何れの培養時間においても熱交換器
への総括伝熱係数が高く保たれていることが判る。更に
は、培養時間が経過した後にも、総括伝熱係数即ち熱交
換効率を高く保持できており、培養液中の菌体密度及び
基質密度が平均化されていることが判る。即ち、液中の
菌体密度及び基質密度の変動がなく、液の平均的粘度が
不要に高くならず、熱交換器への循環が阻害されないた
め、熱交換効率が高い値を保っていることが判る。加え
て、発酵により得られる発酵生産物の総量も、各実施例
とも比較例1と較べて多く、時間的に平均した発酵効率
がより高いことが分かる。
【0032】
【発明の効果】本発明の難水溶性基質の好気的発酵方法
においては、該好気性微生物を予め生育せしめた培地中
に、該基質を所定の速度で連続的に添加するか或は該基
質の所定量を間歇的に添加しつつ発酵を継続的に行うの
で、培養液に含まれる基質密度が不要に高くなることが
なく、また培養初期に微生物密度が不要に高くなること
を抑えることができる。更には、微生物密度を適正な範
囲とでき、且つ培養中に添加される基質は発酵により消
費され、基質密度も適正な範囲とすることができる。結
果として、培養液の平均的粘性が高くなりすぎることが
なく、発酵熱を培養液より強制的に除熱する装置での熱
交換効率を高く保つことができる利点がある。
【0033】前記の利点にともない、適度な容量の除熱
装置を用いることで、培養液の温度を最適な範囲に容易
に保つことができ、それにより発酵効率を適正な範囲に
保持でき、且つ時間的に平均した発酵効率をも高くする
ことができる利点が生ずる。また、本発明の難水溶性基
質の好気的発酵方法を用いて、連続的に添加する速度、
或は間歇的に添加する量を、培養液中に残余する基質密
度を所望の範囲に保つべく選択することで、発酵効率を
損なうことなく培養を継続でき、培養液の総容量に対す
る基質の添加量合計の占める比率を高くすることがで
き、所望の発酵生産物を製造する際、その生産性を格段
に向上することが可能となる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 難水溶性基質の酸化物生産能を有する好
    気性微生物により該基質を好気的発酵するにあたり、該
    好気性微生物を予め生育せしめた培地中に、該基質を所
    定の速度で連続的に添加するか或は該基質の所定量を間
    歇的に添加しつつ、該好気性微生物を培養することを特
    徴とする難水溶性基質の好気的発酵方法。
  2. 【請求項2】 上記の難水溶性基質がn−アルカンであ
    り、上記の好気性微生物が該n−アルカンと等しい炭素
    数の直鎖ジカルボン酸の生産能を有する好気性微生物で
    あることを特徴とする請求項1に記載の難水溶性基質の
    好気的発酵方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の難水溶性基質の好気的
    発酵方法により、該基質を好気的発酵し、上記好気性微
    生物の培養液中に生成される該基質の発酵生産物を採取
    することを特徴とする難水溶性基質の発酵生産物の製造
    方法。
JP28623093A 1993-10-22 1993-10-22 難水溶性基質の好気的発酵方法及び難水溶性基質の発酵生産物の製造方法 Pending JPH07115982A (ja)

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JP2007124902A (ja) * 2005-11-01 2007-05-24 Japan Alcohol Corp アルコール製造方法及びアルコール製造装置

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