JPH07115842B2 - 分散型燃料電池用水素製造方法 - Google Patents

分散型燃料電池用水素製造方法

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JPH07115842B2
JPH07115842B2 JP63012242A JP1224288A JPH07115842B2 JP H07115842 B2 JPH07115842 B2 JP H07115842B2 JP 63012242 A JP63012242 A JP 63012242A JP 1224288 A JP1224288 A JP 1224288A JP H07115842 B2 JPH07115842 B2 JP H07115842B2
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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明はニッケル系収着剤を用いて灯油留分中に含まれ
る硫黄分を除去せしめ、このように処理した灯油に水を
加えてニッケル系触媒を用いて改質反応を行わせて、分
散型燃料電池用の水素源を製造する方法に関する。
従来の技術及び 発明が解決しようとする問題点 燃料電池はエネルギー変換効率が高く、環境を悪化させ
ることが少ない、などの理由から民生用あるいは産業用
の発電装置として実証プラントの試験が行われつつあ
り、各方面からその技術の完成が期待されている。燃料
電池の燃料として各種の物質が用いられているが水素を
燃料とするもの、なかでもリン酸を電解質として用いる
燃料電池の実用化が最も近いと考えられている。
燃料電池用に用いられる水素は主に技術的な容易さから
はメタンを主体とする液化天然ガス(LNG)やそれを主
成分とする都市ガスをスチームで改質して製造するか、
メタノールを改質あるいは分解して製造する方法が研究
されている。例えば出力100〜数百KWの燃料電池を避地
を含めて各地に分散して設置しようとする場合(分散型
燃料電池)、LNGあるいは都市ガスを用いた燃料電池は
配管のある供給地域内にしか設置できず、その利用は地
域的に極めて限定される。また地震などの大規模災害の
場合は都市ガス配管の破断のためガス供給の停止の可能
性はかなり高い。またメタノールを改質あるいは分解し
て水素を得る方法は現在のところ水素当たりの原単位と
してはLNGに比べてかなり高価となる欠点を有する。
一方、常温で安定に液状を保つ灯油留分を燃料電池用の
水素を得るための原料として用いることが可能になれ
ば、全国的な供給網によって、全国各地に分配配置され
ている給油所やローリーやタンク車の持ち届けによりど
の地域へも供給することが可能であり、また地震の場合
でも、その装置が運転可能な場合にはその地域にある在
庫灯油を利用すれば発電を続行することが可能であり、
また灯油の供給の再開は比較的容易であるので、そのよ
うな非常事態が起こっても連続して運転が可能となる。
また灯油留分はLNGに比べ水素製造の原単価が安くした
がって発電コストが低いというメリットもある。
従来、石油類を原料とするスチーム改質法による水素の
製造プラントにおいてはオフガス、LNGなどの軽質炭化
水素からLPG、ナフサまでが原料として使用可能とされ
ており、それ以上重質である灯油留分を原料として用い
ることは困難とされていた。その主な理由としては、灯
油留分を用いるとこれまで用いられた改質触媒では分解
率が低く炭素分が付着するからである。さらに、灯油留
分はLPGあるいはナフサなどの軽質炭化水素に比べ脱硫
が困難で、そのためより厳密な脱硫が行われず、硫黄分
が残存し、その結果触媒の活性点を被毒し、触媒が長持
ちしない欠点があった。
しかしながら、最近の技術の進歩により、灯油留分を用
いても十分な分解率を有し炭素分の付着の少ないニッケ
ル触媒が明らかにされつつある。
しかし、この触媒でも硫黄に対しては鋭敏で、改質原料
としては硫黄が0.5wtppm以下、場合によっては0.2wtppm
以下にと、きわめて高度に脱硫する必要がある。
発明者等は先に特願昭61−175322号明細書において硫黄
分を10〜150wtppm含有するJIS1号灯油をNi系の硫黄収着
剤で処理し、硫黄分を0.5ppm以下に低減させ、この低硫
黄油を用いて水蒸気改質を行い、燃料電池用の水素源を
製造する方法を提案した。
この方法ではNi系収着剤の量を多量必要とする欠点があ
った。発明者等はさらに検討を加えた結果、Ni系の硫黄
収着剤で処理する油の硫黄分が10wtppm未満の場合、予
期した以上に収着剤の寿命が延び、Ni収着剤の使用量も
低減されることを見い出した。
このように10wtppm未満という低硫黄レベルの灯油留分
を得る方法として各種原油を蒸留して得られるいわゆる
直溜灯油留分を硫化物タイプの触媒を用いる水素化精製
装置の反応条件を通常より苛酷にする方法が考えられ
る。また、近年の重油の需要減少、白油類の需要増加の
傾向により重い油を分解して、ガソリン、灯油、軽油お
よびA重油などを製造する装置の建設が相い次ぎ、それ
にともない、それら分解圧成油を一部、あるいは全量加
えた軽質油の販売量が増える傾向にある。
発明者等はこれら各種の分解系の灯油留分の性状を詳細
に吟味した結果、重質油の水素化分解装置より生成する
灯油留分が硫黄分が10wtppm未満と著るしく低く、また
水蒸気改質用のNi触媒の寿命に悪い影響を与える芳香族
分の含有量も低く、本発明の目的に適した原料油である
ことを見い出した。
Ni系収着剤を用いた場合の条件として500KW以下の発電
能力しか持たない分散型燃料電池では予想される設置場
所がビルや建屋の近接地や地下室等であり、近隣地域へ
の安全・環境上の配慮、関連法規、特に高圧ガス取締法
の関係からも反応の条件として圧力が10Kg/cm2・G未満
で行われることが要求される。
しかしこれまで硫黄分を10wtppm未満含む灯油留分を10K
g/cm2・G未満の圧力、300℃以下の温度の下で残留硫黄
分が0.5wtppm以下まで脱硫し、脱硫された灯油をニッケ
ル系触媒を用いるスチーム改質反応を行わせ、分散型燃
料電池に供する水素源を製造するという分散型燃料電池
用水素製造方法は全く知られていなかった。
そこで本発明者等は、容易に入手可能な硫黄分を10wtpp
m未満含有する灯油留分を、10Kg/cm2・G未満の圧力下
で処理して含有硫黄を0.5wtppm以下とし、それをニッケ
ル系触媒のもとで水蒸気改質し分散型燃料電池用水素源
を製造する方法について鋭意検討した結果、本発明に到
達したものである。
従来、石油類、特にLNG、LPGおよびナフサなどの軽質の
炭化水素類中の硫黄化合物を除去する方法として石油学
会誌2巻2号261頁によるとコバルト−モリブデン、ニ
ッケル−モリブデンあるいはニッケル−タンズステンな
どの触媒を用いて高温・高圧で処理して炭化水素中の硫
黄分を硫化水素にして処理する方法、あるいはアルカリ
処理、ソルビタイザー処理、酸化スイートニング処理お
よび酸処理などが知られていた。さらに、酸化亜鉛、酸
化銅、酸化マンガンおよび酸化鉄などの金属酸化物を用
いて軽質炭化水素油中の硫黄化合物を除去する方法が知
られている。
これら従来の技術を本発明の目的とする燃料電池用水素
製造システムのなかの、硫黄分を10wtppm未満含有した
灯油留分の脱硫方法として応用した場合、まず最も一般
的な水素化脱硫法は反応条件として10Kg/cm2・G以上の
高圧を要するため採用することはできない。またアルカ
リ処理およびソルビタイザー処理さらに酸化スイートニ
ング処理は除去される硫黄化合物のタイプが限定され、
灯油中に本質的に含有されているチオフェン類は全く除
去されないか、されてもその割合が少なく精製された灯
油中の硫黄分を0.5wtppm以下とするのは難しいため採用
できない。さらに処理工程も長く、操作が繁雑で本発明
の目的には適さない。
次に酸化亜鉛、酸化銅、酸化マンガンおよび酸化鉄など
の金属酸化物を用いる方法については、もし灯油中の硫
黄分が十分除去されるならば操作性などの点から好まし
いと考え、本発明者らはそれらの酸化物を用いてその可
能性を実験により検討した。しかしこれらの4種類の金
属酸化物を用いた場合にある程度の脱硫活性は得られた
ものの本発明の目標とする硫黄含有量0.5wtppm以下の灯
油は得られなかった。すなわち、ナフサより軽質の炭化
水素に関して一般的に知られているそれら炭化水素中の
硫黄化合物を除去する金属酸化物は、灯油に関してはそ
のままあてはまらないということが明らかとなった。
そこで本発明者等は、先に述べた4種の金属酸化物以外
の各種の金属酸化物あるいはこれらを還元した金属につ
いて、そのままかあるいは各種の担体に担持させて硫黄
分を10wtppm未満含有する灯油留分の脱硫法について検
討し本発明に到達した。
本発明は、硫黄分を10wtppm未満含有する灯油留分を、
該灯油留分1モルに対して水素の非存在下、または0.2
モル以下の水素の存在下で、大気圧以上で10Kg/cm2・G
未満の圧力ならびに150〜300℃の温度下で、担体上に金
属成分としてニッケルを40wt%を越える量担持させた表
面積が50m2/g以上のニッケル系収着剤の充填された反応
器に通し、灯油中の残留硫黄分を0.5wtppm以下にせし
め、かつ該反応器を出る全流体に必要量の水を加え、ニ
ッケル含有量5wt%以上の改質触媒を充填した水蒸気改
質反応器にそれらの全量を直接張り込み、改質反応を行
なわせしめ、分散型燃料電池に供する水素源を製造する
分散型燃料電池用水素製造方法である。
元来、ニッケルを用いる硫黄分の収着剤は、ガソリンや
芳香族炭化水素を製造するナフサリフォーミング装置用
の原料の前処理段階において、水素化精製によっても残
ってしまう微量の硫黄分を除去するため、あるいはニッ
ケル触媒を用いる芳香族水素の核水素化用の原料中の微
量の硫黄を除去する方法としては公知のものである。
しかしながら、LNG、LPGあるいはナフサなどの軽質炭化
水素をスチームで改質する水素製造装置において、原料
から硫黄を除去する方法としては水素化精製で原料中の
硫黄化合物を分解し、生成した硫化水素を酸化亜鉛を主
体とする収着剤で処理する方法が一般に行われており、
金属ニッケルあるいは酸化ニッケル、あるいはこれらの
複合物を収着剤として用いる方法は行われていない。し
かも重質炭化水素油である灯油中の硫黄分を水素化精製
処理を行うことなく、ニッケル系の収着剤のみを用いて
ほぼ完全に除去しそれをニッケル系水蒸気改質触媒を充
填した水蒸気改質反応器に張込み水素を製造する技術は
これまで知られていない。
米国特許第4,446,005号では水素化精製により脱硫され
たナフサ中に残存する微量の硫黄分を除去する方法とし
てニッケル系収着剤を充填したサルファートラップを通
した後、さらに銅、亜鉛、クロム、モリブデンあるいは
コバルトなどを充填した反応塔を通す方法を開示してい
る。しかしこの方法は白金系触媒を用いたナフサリフォ
ーミング反応でガソリンあるいは芳香族炭化水素を製造
するための原料の前処理のみ示したもので本発明の目的
とする水素製造用の原料として用いる灯油留分の脱硫法
については全く触れられていない。
また、英国特許第1,232,393号は沸点範囲50〜150℃の含
芳香族留分中の1〜50wtppmの硫黄分を除去する方法と
してニッケル含有量が25〜50wt%のニッケル系収着剤が
用いることを示している。しかしこの方法は灯油留分を
処理して残留する硫黄分を0.5wtppm以下まで低減し、こ
の処理した灯油を水素製造用原料とする方法については
全く触れておらず、水素製造用の原料灯油に適するよう
にニッケル系収着剤を用いて灯油留分を脱硫する本発明
の方法とは異なる。
問題点を解決するための手段 本発明で原料として用いる灯油留分とは、硫黄分を10wt
ppm未満含有する灯油あるいはそれに相当する沸点範囲
を含有する留分である。
本発明の10wtppm未満の灯油留分を得る一つの方法は、
原油を常圧蒸留し、得た所定の留分(粗灯油)を脱硫す
ることからなる。
通常、粗灯油は硫黄分が多くそのままでは本発明の水素
製造原料灯油とはならず、硫黄分を0.5wtppm以下に低減
する必要がある。この脱硫の方法としては一般に工業的
に実施されている水素化精製法の条件を多少過酷にして
行うことが好ましく、この場合、触媒としてニッケル、
コバルト、モリブデンあるいはタングステンなどの遷移
金属を適当の割合で混合したものを金属、酸化物もしく
は硫化物の状態でアルミナを主成分とする担体に担持さ
せたものが用いられる。反応条件は反応温度、300〜400
℃、圧力40〜100Kg/cm2・G、水素/油モル比2〜10、
液空間速度(LHSV)0.5〜2などの条件が用いられる。
さらに、灯油留分を得る他の一つの方法として重質油の
水素化分解より得られる灯油留分も好ましく用いられ
る。水素化分解装置に用いられる原料油として源圧軽
油、コーカー軽油あるいは常圧残油などが単独であるい
は適宜混合して用いられる。また水素化分解用の触媒は
通常この種の反応に使用されている触媒であれば良い。
すなわち活性金属としてコバルト、ニッケル、モリブデ
ンあるいはタングステンの酸化物あるいは硫化物あるい
はオキシ硫化物を単独あるいは2者以上の混合物を用
い、これらを担体成分であるシリカ、アルミナ、シリカ
−アルミナ、ジルコニア、チタニア、ボリア、ゼオライ
ト、各種粘土化合物などに担体あるいは複合体に担持さ
せたものが用いられる。さらに活性向上成分として貴金
属類やリンやハロゲン化合物を添加して用いても良い。
反応条件としては反応温度は350〜500℃、反応圧力30〜
200atmG、液空間速度0.2〜3.0、H2/Oi1 400〜2000/
が一般に用いられる。
得られた水素化分解油は蒸留装置によりガス分、ナフ
サ、灯油、軽油および重質油に分けられ、本発明にはこ
の灯油留分が用いられる。
本発明は灯油留分を以下詳記するニッケル系収着剤によ
り所定の条件で処理する。
本発明のニッケル系収着剤はニッケル全量として40wt%
を越える量、好ましくは42〜70wt%含んでいるものであ
る。ニッケル量が40wt%以下の収着剤を用いた場合は硫
黄分を10wtppm未満含んだ灯油留分を所定条件で通油し
た場合、通油初期は出口硫黄分は0.5wtppm以下に脱硫さ
れるが、この場合、原因ははっきりしないがニッケル量
から推定される時間より極めて短い時間のうちに出口硫
黄濃度が0.5wtppmを越える欠点があり実際的でないこと
が明らかとなった。一方本発明のニッケル含有量が40wt
%を越えるニッケル系収着剤を用いた場合は同一条件下
において使用可能時間がニッケル含有量から予想される
時間に近くなり、収着剤に含まれるニッケル分が灯油留
分中の硫黄分除去に有効に利用されることが明らかにな
った。
本発明の目的である分散型燃料電池は長時間人手を掛け
ずにメンテナンスフリーで運転する必要があることか
ら、原料となる灯油留分の脱硫方法としては短期間で硫
黄の収着剤の交換を必要としない本発明の方法が適して
いる。
本発明のニッケル系収着剤は還元ニッケルを含んでいる
ものが好ましい。収着剤中に還元ニッケルを含んでいれ
ば、ニッケル酸化物あるいはニッケルと他の物質との化
合物が共存しても本発明の目的に適うものである。また
銅、クロム、ジルコニウム、マグネシウムその他の金属
成分を少量含んでいるものでも使用することができる。
ニッケル収着剤には通常担体が用いられる。担体として
はシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、チタニア、ジ
ルコニア、酸化亜鉛、白土、粘土類、珪藻土、およびそ
の他の耐火性の無機酸化物を用いることができるが、本
発明の目的には珪藻土が最も好ましい。収着剤の表面積
は50m2/g以上、好ましくは100m2/g以上である。
ニッケル系収着剤の調製法としては種々の方法が用いら
れる。例えば方法などが好ましく用いられる。
1)硝酸ニッケル、硫酸ニッケルなどのニッケル塩水溶
液に炭酸ソーダなどのアルカリ水溶液を加えて、塩基性
炭酸ニッケルなどの形で担体上に沈澱させ、洗浄乾燥
後、熱分解して酸化ニッケルとする方法。2)担体に硝
酸ニッケルなどの分解し易いニッケル塩水溶液を含浸さ
せ、それを乾燥後熱分解して酸化ニッケルとする方法が
などがある。しかし本願発明に使用するニッケル系収着
剤の調製法はこれらの方法に限る必要はなく、担体上に
金属成分としてニッケルを40wt%越える量担持させた表
面積が50m2/g以上のニッケル系収着剤が得られれば、こ
れ以外の製造法で調製したもので効力を発揮できる。
これらニッケル系の収着剤は使用前に150〜400℃の温度
で水素を用いて還元処理をされても良く、この操作は灯
油留分を脱硫の行うための収着塔内に充填した後でも、
あるいは充填する前に別の装置を用いても行いうる。こ
の場合、発火などの危険性を避けるため金属ニッケルの
一部を酸化処理したり、炭酸ガスを吸着させたりして表
面を安定化処理しても良い。さらにこれらの処理を行っ
たままニッケル系硫黄収着剤は収着塔に充填した後その
まま原料灯油を通油しても良いし、あるいは表面の酸化
ニッケル層を水素を用いて還元することも好ましい。さ
らに炭酸ガスを吸着した収着剤は水素あるいは窒素など
の不活性ガスで炭酸ガスを除去した後使用することも好
ましく行われる。収着剤の形状はタブレット、押し出し
成型品、球状品あるいは破砕品などいずれの形状でも良
い。
灯油留分は液相で収着塔中を上向き、あるいは下向きの
流れで通過し、圧力常圧以上10Kg/cm2・G未満、温度15
0〜300℃、LHSV10以下の条件で処理される。この場合灯
油留分は本質的に保持されることが好ましく、そのため
処理する灯油留分の性状が軽質である場合や、硫黄分0.
5wtppm以下の灯油留分を得るために比較的高い温度が必
要な場合には圧力を高める必要がある。また本発明の硫
黄収着剤は灯油留分だけを通油しても十分満足しうる能
力が得られるが、収着剤条件下で灯油1モルに対して0.
2モル以下の水素を共存させる方法も用いうる。しかし
気液分離装置などスペースを有する必要がないこと、装
置の簡便性などから水素を用いない方法がより好まし
い。
このような方法および条件で処理された灯油留分は硫黄
含有量が0.5wtppm以下に低減され、次の段階のニッケル
触媒を用いたスチームによる改質装置の原料灯油として
十分適した性状を有するものである。
本発明の方法で処理した灯油留分は次いでニッケル触媒
を充填したスチーム改質装置に送られる。灯油のスチー
ム改質に用いられるニッケル触媒はニッケルを5wt%以
上たとえば5〜50wt%、好ましくは10〜35wt%含んでい
るものである。なお、ここで言う、ニッケル触媒はニッ
ケルを金属状、酸化物その他の化合物として含有してい
るものが用いられ、通常改質反応条件下においては大部
分が還元状態のニッケルとして存在しているものが用い
られる。担体としてはアルミナ、マグネシア、シリカ、
カルシア、マグネシア−アルミナスピネルをそれぞれ単
独にあるいは混合したものが用いられ、あるいはこれら
に5wt%以下の酸化カリウムを添加した触媒が用いられ
る。反応条件は反応温度500〜1,000℃、反応圧力3Kg/cm
2・G以上で10Kg/cm2・G未満、スチーム/炭酸(モル
比)が2〜6、LHSV0.2〜4が好ましく用いられる。
スチーム改質用のニッケル触媒に対して原料の炭化水素
中に含まれる硫黄化合物は活性被毒物質として知られて
おり、硫黄化合物がニッケル触媒に接触して生成する硫
化水素はニッケルと化学量論的に反応し硫化ニッケルと
なって活性を失う。したがって改質反応に供する原料中
の硫黄含有量は可及的に少ないほうが望ましいが、経済
的な見地から工業的には原料中の硫黄として0.5wtppm以
下、さらに好ましくは0.2wtppm以下である。もし硫黄分
が0.5wtppmを越える原料灯油を用いてニッケル触媒でス
チーム改質反応を行なった場合は反応塔入口付近から触
媒が被毒されるため、短時間で反応塔出口から未分解の
炭化水素が検出されたり反応管入口部にホットスポット
が生成し、コーキングにより反応管のΔPが上昇したり
する現象が起こり短期間で運転を停止して触媒の交換や
再生を実施しなければならなくなる。
実施例 次に本発明の方法について実施例を用いて具体的に説明
する。
実施例1 (1)ニッケル系収着剤の調製 硝酸ニッケル40gに水を加えて全量を250mlとする。これ
に珪藻土8gを加えて湯浴上で80℃にして撹拌する。別に
炭酸ソーダ42gを水に溶かし全量を250mlとしたものを湯
浴上の硝酸ニッケル溶液に撹拌しながら約90分かけて80
℃に保ちながら徐々に加え、沈澱を生成させる。添加が
終わったらそのまま1時間撹拌を続け沈澱を熟成する。
その後沈澱液を濾過して沈澱ケーキを得る。このケーキ
を温水で数回洗いアルカリを除去した後乾燥する。乾燥
したケーキは粉砕した後、350℃で1時間空気中で焼成
する。焼成した粉末を石英管中に入れ380℃で30分間水
素中で還元を行う。還元後窒素中で冷却し、次いで炭酸
ガスを導入してニッケルを安定化する。取り出した粉末
にグラファイトを5wt%加えて3mmφ×3mmのタブレット
に成型する。この成型品を約1mmの大きさに破砕して収
着塔に充填し、発熱をしないように注意しながら水素中
で昇温し200℃で30分間処理した。収着剤中のニッケル
含有量は40wt%であり、また表面積は125m2/gであっ
た。
(2)灯油留分 重質の中東系減圧蒸留軽油を原料とし、市販の水素化分
解触媒(Ni−W−SiO2−Al2O3)を用いた水素化分解装
置より得られた灯油留分を原料油とした。その性状は次
の通りであった。
硫黄分8.0ppm、比重(15/4℃)0.796、沸点範囲168〜26
5℃、芳香族分2.5vol%、煙点30mm。
(3)脱硫実験 (1)で調製したニッケル系収着剤を用いて(2)の灯
油を原料として圧力9Kg/cm2・G、温度275℃、LHSV1.0
の条件で処理した。収着塔には内径20mmφのステンレス
管を用い、これに約1mmに破砕した収着剤を40cm3充填し
て用いた。硫黄分は通油初期から1000時間までは出口灯
油から検出限界の約0.1wtppm以下であり、約11,000時間
後でも0.1wtppmは越えなかった。
このときの収着剤中の硫黄分は6.3wt%であった。
(4)水蒸気改質実験 (3)の方法で脱硫された灯油を原料としてNiOを22wt
%、Al2O3を26wt%、MgOを11wt%、CaOを13wt%、SiO2
を16%、K2Oを7%からなる水蒸気改質触媒の約1mmの破
砕品を内径15mmの耐熱鋼管に充填した反応管を用いて反
応圧力9Kg/cm2・G、反応温度反応管入口500℃、出口80
℃、LHSV1.0、H2O/C4.5(モル/モル)の条件でスチー
ム改質反応を行った。反応開始後、2,000時間経過した
後でも反応管の温度分布にほとんど変化がなく、出口の
ガス組成はほとんど熱力学的平衡値に近く、硫黄分を0.
5wtppm以下に低減すれば灯油でも十分スチームにより改
質されて水素が製造されることが明らかになった。
実施例2 (1)原料灯油の製造 アラビア系原油より常圧蒸留装置より灯油留分(硫黄分
2,200wtppm)を採取し、これをコバルト(CoOとして2.5
wt%)−モリブデン(MoO3として12.5wt%)アルミナ触
媒が充填されている水素化精製装置により圧力50Kg/cm2
・G、温度350℃、LHSV0.5、水素/油比300Nl/lで処理
して、硫黄分6wtppm、比重0.795、沸点範囲162〜260
℃、芳香族分13.5vol%、煙点31mmの精製灯油を得た。
これを次の方法で調製した硫黄収着剤で処理した。
(2)硫黄収着剤 ナフサ中の微量の硫黄分の除去を目的に開発された市販
のNi系収着剤(Ni量54%、シリカ28%、アルミナ10.0
%、表面積は300m2/gを用いた。
(3)脱硫実験 この収着剤を収着塔に空気の接触をさけて充填したまま
次の灯油の脱硫に供した。
灯油の収着条件は、圧力9Kg/cm2・G、温度250℃、LHSV
15、水素/油0.02モル/モルで加速実験を行った。通油
初期から1,600時間まで、処理灯油からは0.1wtppm以下
の硫黄しか検出されず、その後徐々に増加して約2,000
時間後に0.2wtppmの値になった。このときの収着剤中の
硫黄分は12.0wt%であった。
(4)水蒸気改質実験 (3)の方法で脱硫された灯油を原料として、NiOを34w
t%、Al2O3を12wt%、MgOを54wt%からなる水蒸気改質
触媒を約1mmに破砕したものを用いて実施例1と同じ方
法同じ条件で反応を行った。反応開始後2,000時間経過
した後でみると反応管の最高温度がわずかに反応管出口
側に移動した程度で出口ガス組成はその温度における熱
力学的平衡値に近く、硫黄分を0.5wtppm以下に低減させ
れば、灯油からでも、問題なく水素が製造されることが
明らかである。
比較例1 実施例1で用いた灯油留分を原料として実施例1と同一
条件で市販のニッケル含有量20wt%のニッケル−珪藻土
触媒を硫黄の収着剤として用いて処理した。通油初期は
出口硫黄分0.1wtppmの灯油が得られたが、500時間後に
は0.5wtppmとなり、処理可能時間が著しく短かった。さ
らに処理を続行し平均硫黄含有量4wtppmの灯油を得た。
次いで灯油を原料(平均硫黄分4wtppm)として用い、実
施例1と同一の触媒を用い同一条件で水蒸気改質反応を
行った。その結果、反応初期は順調に水素ガス分が得ら
れたが反応後20時間位してから、反応管の吸熱部が徐々
に反応管出口方向に移行しそれに伴い最高温度を示す部
分も下方に移行し、50時間後で出口ガス中に未反応炭化
水素が検出された。
原料灯油中の硫黄分が0.5wtppmを越すと、ニッケル系の
水蒸気改質触媒の寿命が著しく短いことが明らかであ
る。
比較例2 実施例2で用いた灯油留分を原料として圧力9Kg/cm2
G、温度200℃、LHSV0.2の条件で、銅含有量約50wt%の
日産ガードラー社のT−366を約1mmの大きさに破砕した
ものを収着剤して用いて処理した。この場合通油初期か
ら6wtppmの硫黄分が処理した灯油を検出され、反応温度
を上げても改善されず本発明の目的には適さないことが
明らかとなった。
この油を用いて実施例1と同じ触媒と同じ反応条件で水
蒸気改質反応を行ったところ、反応後105時間で反応塔
のΔPが上昇し、その以上の反応が不可能になった。
比較例3 実施例2で用いた灯油留分を原料として、圧力10Kg/cm2
・G、温度250℃、LHSV0.1の条件で市販の酸化亜鉛の約
1mmに破砕したものに適したが通油初期から処理灯油の
硫黄分はほとんど減少しなかった。
発明の効果 以上の実施例および比較例で明らかなように硫黄分10wt
ppm未満の灯油留分を、本発明のニッケル系硫黄収着剤
を用いて処理することにより、10Kg/cm2・G未満の圧力
下で灯油留分中の硫黄がニッケル系触媒を用いる水蒸気
改質反応に適した量まで低減され、発電能力100〜500KW
の分散型燃料電池システムの運転に好ましい長時間安定
した水素を主体とした燃料ガスの製造が可能になること
が明らかになった。
本発明の方法により、灯油留分を用いた安価で原料の供
給安定性に不安のない分散型電源が利用できるようにな
った。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】硫黄分を10wtppm未満含有する灯油留分
    を、該留分1モルに対して水素の非存在下、または0.2
    モル以下の水素の存在下で、大気圧以上で10Kg/cm2・G
    未満の圧力ならびに150〜300℃の温度下で、担体上に金
    属成分としてニッケルを40wt%を越える量担持させた表
    面積が50m2/g以上のニッケル系収着剤の充填された反応
    器に通し、灯油中の残留硫黄分を0.5wtppm以下にせし
    め、かつ該反応器を出る全流体に必要量の水を加え、ニ
    ッケル含有量5wt%以上の改質触媒を充填した水蒸気改
    質反応器にそれらの全量を直接張込み、改質反応を行な
    わせしめ、分散型燃料電池に供する水素源を製造する分
    散型燃料電池用水素製造方法。
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