JPH0711312Y2 - スタックレイン防止装置の再飛散防止装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は煙突内の上昇排ガス流中の煤煙を液化して回
収するスタックレイン防止装置の機能を補足する、スタ
ックレイン防止装置の再飛散防止装置に関するものであ
る。

（考案が解決しようとする課題） 煙突の上層部に設置され、煙突から大気中に排出される
排ガス中に含まれる煤煙や酸性成分等を含む水滴の近隣
への飛散を防止する、スタックレイン防止装置を出願人
は特願昭59-104838号等を始めとしてこれまで幾つか提
案している。

これらのスタックレイン防止装置は煙突内周面に突設さ
れ、煙突内を上昇する排ガス流に強制的に旋回流を起こ
させる旋回翼と、旋回翼上部の煙突壁面に形成され、旋
回流に乗って煙突内周面に衝突する排ガス流中の水滴を
排出するスリットとから構成され、煙突上層部の温度低
下により液化して生じた水滴を旋回流による遠心力を利
用して煙突の外周側に回収するものであるが、スタック
レイン防止装置の出口付近では水分量が減少するためこ
のスリット回りに煤煙が凝集し、泥状に付着する恐れが
あり、この付着した煤煙の凝集粒子が成長した後に剥離
し、旋回流に乗って装置の上方へ飛び出す可能性があ
る。

この煤煙付着はこれに水滴を吹き付けることにより解消
されるが、この水滴が飛散してスタックレイン防止装置
の効果を低下させることになる。

この考案はこのスタックレイン防止装置の実情を踏まえ
てなされたもので、この機能を補足し、スタックレイン
防止装置で回収されない煤煙を回収する装置を新たに提
案しようとするものである。

（課題を解決するための手段） 本考案ではスタックレイン防止装置の上部に、この上方
へ上昇する凝集粒子を衝突させ、あるいは付着させる筒
状の飛散防止筒を接続し、その筒壁面を洗浄するノズル
により凝集粒子を洗い流すと同時に、上昇する凝集粒子
については、この飛散防止筒の上端を周回し、その周面
の内側に上方が開口した集塵リングを突設するととも
に、この集塵リング上に、その中へ旋回流に乗って上昇
する凝集粒子を案内する案内リングを配置することによ
り凝集粒子を一旦集塵リング内へ取り込み、更にこの内
部に入り込む凝集粒子に洗浄水を噴射するノズルを集塵
リングの外周側に設置することによりスタックレイン防
止装置で未回収の凝集粒子の回収を確実にする。

スタックレイン防止装置で回収されずに一旦これに付着
した後に、その上層へ旋回流に乗り、煙突内周面に沿っ
て上昇する凝集粒子は飛散防止筒に衝突し、大きい粒子
はそのまま自重で落下する。

飛散防止筒より更に上昇する小さい粒子は案内リングよ
り集塵リング内へ回収され、ノズルから噴射される洗浄
水によって液状化し、集塵リングから煙突外へ排出され
る。

（実施例） 以下本考案を一実施例を示す図面に基づいて説明する。

この考案の再飛散防止装置Ａは第１図に示すように煙突
Ｂの上部に設置されるスタックレイン防止装置Ｃの上方
に設置され、スタックレイン防止装置Ｃで回収されない
煤煙を回収するものである。

スタックレイン防止装置Ｃは第３図に示すように煙突Ｂ
上層部の内周面に突設され、煙突内を上昇する排ガス流
に強制的に旋回流を起こさせる旋回翼５と、旋回翼５上
部の煙突Ｂ壁面に形成され、旋回流に乗って煙突Ｂ内周
面に衝突する排ガス流中の煤煙を排出する縦長のスリッ
ト６とから構成されている。

また再飛散防止装着Ａは第１図に示すようにスタックレ
イン防止装置Ｃの上端に接続される飛散防止筒１と、こ
の上端に内側を向いて突設される集塵リング２と、集塵
リング２上に配置される案内リング３と、集塵リング２
の外周側に設置されるノズル４とから構成されている。

飛散防止筒１の上部にはスタックレイン防止装置Ｃのス
リット６回りから剥離して上昇し、その内周面に付着す
る凝集粒子７に洗浄水を吹き付けるノズル４′が取り付
けられ、下部には噴射された洗浄水とともに流下する凝
集粒子７を排出する排出口1aが設けられる。

この飛散防止筒１の上端の内周側にこれを周回し、上方
が開口した集塵リング２が突設され、この集塵リング２
上に、これに凝集粒子７を案内する案内リング３が設置
される。

集塵リング２は第１図の一部拡大図である第２図に示す
ように凝集粒子７を集める受け板2aと、その内側から立
ち上がる導入板2bとから、く字状に折り曲げられた断面
形状をし、一方、案内リング３は導入板2bの内側に並列
する案内板3aと、案内リング３上を塞ぐ遮蔽板3bとから
同様の断面形状をしている。

集塵リング２の導入板2bと案内リング３の案内板3a間、
及び導入板2b上端と遮蔽板3b下面間には凝集粒子７通過
用に適度の隙間が設けられる。

案内リング３の、遮蔽板3bの下面には導入板2bと案内板
3a間から侵入し、遮蔽板3bに衝突した凝集粒子７を受け
板2a上に強制的に落下させるためのじゃま板3cが案内板
3aから距離をおいて垂下している。

案内リング３の案内板3aに対向する、飛散防止筒１上端
にはじゃま板3cから落下する凝集粒子７に洗浄水を噴射
するノズル４が備え付けられる一方、受け板2a外周の飛
散防止筒１壁面には排水口1bが設けられ、凝集粒子７は
噴射水とともに煙突Ｂ外へ排出されることになる。

第４図は飛散防止筒１上部に集塵リング２と案内リング
３を取り付けた場合と取り付けない場合の、飛散防止筒
１内の鉛直方向上向きの風速分布を示したものである。
実線が付けない場合、破線が付けた場合を示す。

この図より集塵リング２と案内リング３とにより飛散防
止筒１内壁面での鉛直上方へ向かう風速が低下し、凝集
粒子７の飛散防止筒１からの飛散が抑制され、その回収
効果が上がることが分かる。

（考案の効果） この考案は以上の通りであり、スタックレイン防止装置
から上昇する凝集粒子を飛散防止筒で一部受け止め、更
にこれを越えて旋回しながら上昇する比較的小粒子の凝
集粒子をその上端の周囲に設置される案内リングにより
集塵リング内へ落下させてノズルによる洗浄水の吹き付
けによって排出するものであり、上述の通り両リングの
設置により飛散防止筒内の鉛直上方へ向かう風速が抑え
られるためスタックレイン防止装置で未回収の凝集粒子
を確実に回収することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示した断面図、第２図はその
上端の一部拡大図、第３図は煙突上部を示した断面図、
第４図は飛散防止筒内の風速分布を示したグラフであ
る。 Ａ……再飛散防止装置、Ｂ……煙突、Ｃ……スタックレ
イン防止装置、１……飛散防止筒、1a……排出口、1b…
…排出口、２……集塵リング、2a……受け板、2b……導
入板、３……案内リング、3a……案内板、3b……遮蔽
板、3c……じゃま板、４……ノズル、４′……ノズル、
５……旋回翼、６……スリット、７……凝集粒子。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】煙突内周面に突設され、煙突内を上昇する
   排ガス流に強制的に旋回流を起こさせる旋回翼と、旋回
   翼上部の煙突壁面に形成され、旋回流に乗って煙突内周
   面に衝突する排ガス流中の煤煙を排出するスリットとか
   らなるスタックレイン防止装置の上部に配置され、スリ
   ット近傍の煙突内周面に付着し、スタックレイン防止装
   置で未回収の凝集粒子を回収する装置であり、スタック
   レイン防止装置の上部に接続される筒状の飛散防止筒
   と、この飛散防止筒の上端を周回し、この周面の内側に
   突設される上方が開口した集塵リングと、この集塵リン
   グ上に配置され、集塵リングの上方を閉塞し、飛散防止
   筒内周面に沿って上昇する凝集粒子を集塵リング内へ案
   内する案内リングと、集塵リングの外周側の飛散防止筒
   周面に設置されるノズルとからなり、案内リングより集
   塵リング内へ降下した凝集粒子に洗浄水を吹き付けてこ
   れを集塵リング内に回収し、煙突外へ排出するものであ
   ることを特徴とするスタックレイン防止装置の再飛散防
   止装置。