JPH07111183A - 熱反射板およびその製造方法 - Google Patents

熱反射板およびその製造方法

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JPH07111183A
JPH07111183A JP27887493A JP27887493A JPH07111183A JP H07111183 A JPH07111183 A JP H07111183A JP 27887493 A JP27887493 A JP 27887493A JP 27887493 A JP27887493 A JP 27887493A JP H07111183 A JPH07111183 A JP H07111183A
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Hideki Fushitsugu
英樹 藤次
Yoichi Mizukawa
洋一 水川
Akira Satomi
昭 里見
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Abstract

(57)【要約】 【目的】金属母体であるステンレス鋼の表面に金又は金
の合金をコーティングした熱反射板において、400℃
以上の高温連続環境下のおいても中間介在物質やステン
レス鋼に含有されるCr、Ni等が金又は金の表面に拡
散することを防止する。 【構成】金属母体であるステンレス鋼1の表面にコーテ
ィングされた酸化セリウム2と、この酸化セリウム2の
表面にコーティングされた金4とよりなることを特徴と
する熱反射板10。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、金属母体の表面に金
又は金の合金をコーティングした熱反射板及びその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、金の高い反射率と金属母体である
ステンレス鋼の良好な熱伝導性、高強度、低価格の特徴
を利用して、ステンレス鋼を金属母体とし、金又は金の
合金の層を反射面とした熱反射板の用途が広がりつつあ
る。そして、このような熱反射板の製造方法は、ステン
レス鋼のような金属母体に何らかの方法(例えば、めっ
き、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング)で
金又は金の合金をコーティングする際、クロム(C
r)、ニッケル(Ni)又は、ニッケル−コバルト(N
iーCo)合金、 白金(Pt)、銀(Ag)、等の中
間介在物質を予め金属母体であるステンレス鋼の表面に
コーティングして、更にその表面に金又は金の合金をコ
ーティングしていた。この結果、金又は金の合金と金属
母体であるステンレス鋼との密着性、耐熱性を向上させ
ていた。このようなステンレス鋼と金のコーティング方
法の技術は例えば、岩城泰彦著の「表面技術(Vol4
1.No3.1990)」文献中の31〜34ページ、
荒木田泰弘著の「金属表面技術(Vol38.No2.
1987)」文献中の14〜17ページなどに紹介され
ている。これら文献では金属母体としてのステンレス鋼
(SUS304やSUS430等)の最外表面に金又は
銀のめっきを行う際に、金又は銀とステンレス鋼の間に
NiやNi−Coなどの中間介在物質を介在させること
により金または銀めっきの密着性、耐熱性を向上させた
実験例が紹介されている。
【0003】図6は従来の熱反射板の製造方法の一例を
説明する概略説明図である。初めに、金属母体であるス
テンレス鋼1の表面に中間介在物質であるCr3をコー
ティングする。次に、このCr3の表面に金4をコーテ
ィングする。そして、このような方法で作られた熱反射
板を種々の用途に適するように成形加工する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Crや
Niなどの中間介在物質をステンレス鋼である金属母体
と金又は金の合金との間に介在させた熱反射板において
は、以下のような問題点を有している。 (イ)発明者の行ったテストにおいて、この熱反射板を
ヒーターユニットに組み込んだ場合、400℃の連続使
用環境下では1時間程度で中間介在物質と金属母体に含
有されたいるCr、Ni等が金又は金の合金の表面に次
第に拡散し、クロム酸化物、ニッケル酸化物等の金属の
酸化物を形成して金又は金の合金の表面が黒色または褐
色に変色してしまうという現象が確認された。 (ロ)熱反射板の表面が変色することにより、単に外観
を損なうだけでなく、その反射効率を著しく低下させる
ことになる。 (ハ)さらに、反射率の低下による金属母体であるステ
ンレス鋼自身が異常に昇温してしまい安全上の問題もあ
った。 (ニ)熱反射板の表面の変色を防止するため、金属母体
であるステンレス鋼の温度上昇を400℃以下に抑える
手段としては、例えば、熱反射板に接したり、熱反射板
を支持する構造物などに導管を配設し、流水で冷却する
(水冷方式)などがあるが、これでは装置の小型化を阻
害し、コストも上昇する。
【0005】この発明は以上のような事情に基づいてな
されたものであって、その目的は、金属母体であるステ
ンレス鋼の表面に金又は金の合金をコーティングした熱
反射板において、400℃以上の高温連続環境下におい
ても中間介在物質やステンレス鋼に含有されるCr、N
i等が金又は金の合金の表面に拡散することを防止す
る。つまり、熱反射板の表面が変色せず、使用時間の経
過に伴う反射率の減衰を防止し、耐熱性に優れた熱反射
板及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
〔手段1〕この発明の熱反射板は、金属母体の表面にコ
ーティングされた酸化セリウムと、該酸化セリウムの表
面にコーティングされた金又は金の合金とよりなること
を特徴とする。
【0007】〔手段2〕この発明の熱反射板は、金属母
体の表面にコーティングされた中間介在物質であるC
r、Ni、NiーCo合金、Pt、Agから選ばれた少
なくとも一種の金属と、該中間介在物質の表面にコーテ
ィングされた酸化セリウムと、該酸化セリウムの表面に
コーティングされた金又は金の合金とよりなることを特
徴とする。
【0008】〔手段3〕この発明の熱反射板は、手段
1、手段2記載の金属母体をステンレス鋼としたことを
特徴とする。
【0009】〔手段4〕この発明の熱反射板の製造方法
は、金属母体の表面に酸化セリウムをコーティングする
工程と、該酸化セリウムの表面に金又は金の合金をコー
ティングする工程よりなることを特徴とする。
【0010】〔手段5〕この発明の熱反射板の製造方法
は、金属母体の表面に中間介在物質であるCr、Ni、
NiーCo合金、Pt、Agから選ばれた少なくとも一
種の金属をコーティングする工程と、該中間介在物質の
表面に酸化セリウムをコーティングする工程と、該酸化
セリウムの表面に金又は金の合金をコーティングする工
程よりなることを特徴とする。
【0011】〔手段6〕この発明の熱反射板の製造方法
は、手段4、手段5記載の各コーティングが、めっき、
蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングから選ば
れた少なくとも一種の方法で行うことを特徴とする。
【0012】〔手段7〕この発明の熱反射板の製造方法
は、手段4、手段5記載の金属母体をステンレス鋼とし
たことを特徴とする。
【0013】
【作用】金属母体の表面に酸化セリウムをコーティング
することにより、400℃以上の高温連続環境下におい
ても、熱反射板の金または金の合金の表面に中間介在物
質や金属母体に含有されているCr、Niなどが表面に
拡散することを防止することができる。従って、熱反射
板の金又は金の合金の表面が変色せず、反射効率を下げ
ることがなく、さらに、耐熱性のある熱反射板を提供で
きる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の熱反射板を図面を用いて詳細
に説明する。図1はヒータユニットに組みこまれた熱反
射板と熱光源であるハロゲンランプのみ取り出した外観
斜視図を示す。熱反射板10(11)は外観上は金属母
体としてステンレス鋼1と金4から成る。そして、金4
がコーティングされた樋状の熱反射板10(11)の内
側には熱源としてハロゲンランプHが配置されている。
このハロゲンランプHは1000W、管外径φ8mm、
発光長270mmである。一方、熱反射板10(11)
は開口幅が50mm、長手方向の長さが300mmであ
る。図2は本発明の熱反射板の一部断面図を示す。図
中、金属母体であるステンレス鋼1はその表面に酸化セ
リウム2(例えばCeO2 )をその厚みで100Å程度
コーティングしている。そして、その酸化セリウム2の
表面に金4をその厚みで100Å〜2000Å程度コー
ティングして熱反射板10を構成している。
【0015】図3は本発明の熱反射板の一部断面図を示
す。図中、金属母体であるステンレス鋼1はその表面に
中間介在物質であるCr3をその厚みで100Å〜20
00Å程度コーティングしている。そして、そのCr3
の表面に酸化セリウム2(例えばCeO2 )をその厚み
で100Å程度コーティングしている。さらに、その酸
化セリウム2の表面に金4をその厚みで100Å〜20
00Å程度コーティングして熱反射板11を構成してい
る。なお、中間介在物質としてこの実施例ではCrを用
いたが、Ni、NiーCo合金Pt、Agのいずれでも
良い。
【0016】このような熱反射板10(11)をヒータ
ーユニットに組み込んで使用した場合、熱反射板10
(11)のハロゲンランプに対向する表面の温度が長時
間連続的に400℃以上に上昇しても中間介在物質とし
て用いたCrやステンレス鋼に含有されているCr、N
iが金4の表面に拡散することが防止されてる。すなわ
ち、熱反射板10(11)の表面の金4の変色が起こら
ない。その結果、熱反射板の反射効率を長時間良好に維
持できる。そして、ステンレス鋼1自身が異常に昇温す
ることがない。
【0017】ここで、図7を用いて発明者が行った実験
をもとに本発明の効果を説明する。サンプルとして金属
母体のステンレス鋼(JIS規格のSUS304)に中
間介在物質としてNi、Cr、Ni−Coをコーティン
グしてその表面に酸化セリウムをコーティングした熱反
射板と、酸化セリウムをコーティングしていない熱反射
板と、中間介在物質と酸化セリウムの双方ともコーティ
ングしていない熱反射板のそれぞれ10種類の熱反射板
を作成した。また、これらの熱反射板の最外表面には金
または金の合金であるAu−Co合金のいずれか一方を
コーティングしている。そして、この熱反射板の使用環
境温度は400℃或いは500℃のいずれかの環境温度
で連続使用して、図中、その連続使用時間を併せて記載
している。
【0018】図7から分かるように、酸化セリウムをコ
ーティングしていないサンプル1,サンプル2,サンプ
ル3,サンプル4の熱反射板は使用環境温度400℃,
1時間使用した。そして、実験結果が×になった。すな
わち、ごく短時間で金の表面に中間介在物質や金属母体
に含有されているNiやCr等の酸化物が拡散してしま
い。金の表面が変色したことを示している。つまり、こ
の状態では反射率が低下してしまい、発明の効果を示さ
ないことが分かる。一方、酸化セリウムをコーティング
したサンプル5,サンプル6,サンプル7,サンプル
8,サンプル9,サンプル10の熱反射板は使用環境温
度が500℃と高温にもかかわらず500時間連続使用
しても金の表面の変色が現れなかった。すなわち、実験
結果が○になった。このようなことから、金属母体であ
るステンレス鋼に酸化セリウムをコーティングすること
によって熱反射板の最外表面にコーティングされた金ま
たは金の合金の表面が変色せず、高温で長時間使用して
も反射率の低下がおこらない等の本発明の効果がでる。
【0019】次に、本発明の熱反射板の製造方法を図面
を用いて詳細に説明する。図4は、本発明の熱反射板の
製造方法を示す説明図である。 〔第1工程〕金属母体であるステンレス鋼1の一方の表
面に酸化セリウム2(例えばCeO2 )をコーティグす
る。その厚みは100Å程度である。 〔第2工程〕その酸化セリウム2の表面に金4をコーテ
ィングする。その厚みは100Å〜2000Å程度であ
る。なお、酸化セリウム2及び金4のコーティング方法
は、めっき、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティ
ング方法が最適である。 このようにしてステンレス鋼1の一方の表面に酸化セリ
ウム2と金4をコーティングして熱反射板を作り、種々
の用途に適するように成形加工する。その一例が図1の
熱反射板10である。
【0020】図5は、本発明の熱反射板の製造方法を示
す説明図である。 〔第1工程〕金属母体であるステンレス鋼1の一方の表
面に中間介在物質であるCr3をコーティグする。その
厚みは100Å〜2000Å程度である。なお、中間介
在物質でCrを用いたがNi、Ni−Co合金、Pt、
Agを用いても良い。 〔第2工程〕そのCr3の表面に酸化セリウム2(例え
ばCeO2 )をコーティグする。その厚みは100Å程
度である。 〔第3工程〕さらに、その酸化セリウム2の表面に金の
合金である金4をコーティングする。その厚みは100
Å〜2000Å程度である。なお、Cr3、酸化セリウ
ム2、金4のコーティング方法は、めっき、蒸着、スパ
ッタリング、イオンプレーティング方法が最適である。 このようにしてステンレス鋼1の一方の表面にCr3と
酸化セリウム2と金4をコーティングして熱反射板を作
り、種々の用途に適するように成形加工する。その一例
が図1の熱反射板11である。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、熱反射板は400℃以
上の連続高温で使用する環境においても、金属母体や中
間介在物質に含有されているCr、Ni等が金又は金の
合金のの表面へ拡散すること防止することができる。つ
まり、400℃以上の連続高温で使用する環境において
も、熱反射板の表面が変色しないので反射効率の低下を
防止することができる。また、反射効率が低下しないの
で金属母体の異常な温度上昇を抑える事ができ、安全に
使用できる。そして、熱反射板の温度上昇を抑えるため
の冷却手段を用いる必要がないので、装置の小型化、低
コスト化が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒータユニットに組みこまれた本発明の熱反射
板と熱光源であるハロゲンランプのみ取り出した外観斜
視図を示す。
【図2】本発明の熱反射板の一部断面図を示す。
【図3】本発明の熱反射板の一部断面図を示す。
【図4】本発明の熱反射板の製造方法の説明図を示す。
【図5】本発明の熱反射板の製造方法の説明図を示す。
【図6】従来の熱反射板の製造方法の説明図を示す。
【図7】本発明の実験結果の説明図を示す。
【符号の説明】
1 ステンレス鋼 2 酸化セリウム 3 Cr 4 金 10 熱反射板 11 熱反射板 H ハロゲンランプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F24C 7/04 C 15/22 D (72)発明者 里見 昭 兵庫県姫路市別所町佐土1194番地 ウシオ 電機株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属母体の表面にコーティングされた酸
    化セリウムと、 該酸化セリウムの表面にコーティングされた金又は金の
    合金とよりなることを特徴とする熱反射板。
  2. 【請求項2】 金属母体の表面にコーティングされた中
    間介在物質であるCr、Ni、NiーCo合金、Pt、
    Agから選ばれた少なくとも一種の金属と、該中間介在
    物質の表面にコーティングされた酸化セリウムと、 該酸化セリウムの表面にコーティングされた金又は金の
    合金とよりなることを特徴とする熱反射板。
  3. 【請求項3】 前記金属母体をステンレス鋼としたこと
    を特徴とする請求項1または請求項2記載の熱反射板。
  4. 【請求項4】 金属母体の表面に、金又は金の合金がコ
    ーティングされた熱反射板の製造方法において、 金属母体の表面に酸化セリウムをコーティングする工程
    と、 該酸化セリウムの表面に金又は金の合金をコーティング
    する工程よりなることを特徴とする熱反射板の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 金属母体の表面に、金又は金の合金がコ
    ーティングされた熱反射板の製造方法において、 金属母体の表面に中間介在物質であるCr、Ni、Ni
    ーCo合金、Pt、Agから選ばれた少なくとも一種の
    金属をコーティングする工程と、 該中間介在物質の表面に酸化セリウムをコーティングす
    る工程と、 該酸化セリウムの表面に金又は金の合金をコーティング
    する工程よりなることを特徴とする熱反射板の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 前記各コーティングが、めっき、蒸着、
    スパッタリング、イオンプレーティングから選ばれた少
    なくとも一種の方法で行うことを特徴とする請求項4ま
    たは請求項5記載の熱反射板の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記金属母体をステンレス鋼としたこと
    を特徴とする請求項4または請求項5記載の熱反射板の
    製造方法。
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WO2007145234A1 (ja) * 2006-06-13 2007-12-21 Teitokusha Co., Ltd. 反射体及びその製造方法並びにこれを用いたヒーターユニット及び炉
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