JPH07110598B2 - エアーバッグ - Google Patents

エアーバッグ

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JPH07110598B2
JPH07110598B2 JP1200218A JP20021889A JPH07110598B2 JP H07110598 B2 JPH07110598 B2 JP H07110598B2 JP 1200218 A JP1200218 A JP 1200218A JP 20021889 A JP20021889 A JP 20021889A JP H07110598 B2 JPH07110598 B2 JP H07110598B2
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air bag
fabric
airbag
bag
exhaust
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芳則 紙
郁彦 福森
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旭化成工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、自動車の乗員を保護するために用いられる衝
撃吸収用エアーバッグに関する。
〔従来の技術と発明が解決しようとする課題〕
自動車の衝突事故に伴う人身障害の防止のためにエアー
バッグ装置の使用が推奨されている。エアーバッグ装置
は自動車の衝突を検知するセンサー、センサーからの信
号に基づいてバッグを膨張させるガス発生器および衝突
時にガスによって膨張して乗員の衝撃を吸収するエアー
バッグから構成される。
従来公知のエアーバッグをドライバーシート用エアーバ
ッグを例として説明すると、第18図の平面図および第19
図の断面図に示すように、ナイロン66等の合成繊維フィ
ラメントから成る2枚の織地52,53の表面に合成ゴム等
のコーティング膜55を設け、得られたコーティング布か
ら所定の形状のピースを採取し、周辺部57をミシン縫製
(縫糸58,59)によって接合することによって得られて
いる。第18図(B)に示すように、縫製に先立ち使用時
にハンドル側になる織地53の中央にガス発生器取付開口
部54を設けると共に直径1インチ〜3インチの排気孔56
a,56bを1個又は2個設ける。ドライバー側の織地52の
表面は第18図(A)に示すように全面にコーティング膜
55が設けられている。なお第18図および第19図に示した
例ではガス発生器取付開口部54の周囲には補強布62が縫
糸によって取付けられている。助手席シートおよび後部
シート用のエアーバッグもその形状は異るがその基本的
な構造は前述のドライバーシート用エアーバッグ51と同
じである。
前記従来公知のエアーバッグ51ではエアーバッグ作動時
に膨張する気体が織地52,53から漏洩し、自動車の衝突
時に乗員の保護が不完全になるのを防ぐために織地52,5
3にコーティングしている。一方エアーバッグでは、エ
アーバッグが膨張して乗員をシートに保持した後にさら
にリバウンドすることを防ぐことが必要であり、そのた
めに一度シートに保持された乗員の体が反作用でエアー
バッグを圧縮する時にエアーバッグ内のガスを所定量排
出できるようにする。前記のエアーバッグ51ではその目
的を達成するために排気孔56a,56bを設けている。
前述の構造を有する従来公知のエアーバッグはそれ自体
優れた乗員保護機能を有するがエアーバッグの車体内格
納性や製造上で種々の問題点を有する。
すなわち従来公知のエアーバッグではその織地の全表面
にコーティング膜を設けているために、得られたエアー
バッグが重く且つ硬くなる。その結果エアーバッグをコ
ンパクトに格納することができない。又重量の大きいエ
アーバッグに対してはガス発生器も相対的に大きくする
ことが必要となり、エアーバッグ装置全体が大型になる
という問題点がある。又排気孔を後加工で設けるために
余分の工数も必要となる。
前述の問題点を解決するための1つの手段として排気孔
を設けず、織地から膨張後のエアーバッグ内エアーを排
気させる提案がある。
すなわち実公昭48-20195号公報には通気性を有する編織
地に例えば水玉模様のプリント図柄を樹脂プリントし、
この編織地を縫製して得た通気量がコントロールされた
エアーバッグが開示されている。このエアーバッグでは
編織地のプリントが施されていない部分が通気性を有す
るのでエアーバッグに排気孔を設ける必要がなく、又重
量を軽くすることができるという利点を有する。
又特公昭52-11095号公報には伸縮性のある編地の上に発
砲樹脂被覆層を設け、コーティング布として内圧1kg/cm
2の条件下で200cc/cm2/secの通気量を有する布から成る
エアーバッグが開示されており、このエアーバッグでは
エアーバッグを構成する布全体からガスが漏洩すること
ができ、したがって排気孔を設ける必要がない。
又実公昭58-22360号公報には、第20図(A)に示すよう
にカップ状に成型した気密性部分62とカップ状に成型し
た通気性部分63を縫製によって接合した袋体61から成る
エアーバッグが開示されている。より具体的には第20図
(B)に示すように、使用時に乗員側になる気密性部分
62は布62aの表面にゴムや合成樹脂等のコーティング膜6
2bを設け、使用時に車体側になる通気性部分63には布自
体を用い、気密性部分62と通気性部分63の周辺部64を縫
糸65によって接合している。このエアーバッグではガス
が通気性部分63から漏洩することができ、したがって排
気孔を設ける必要がない。
前述の3つの公報に開示されたエアーバッグではいずれ
も排気孔を設ける必要がないという利点を有する。しか
しその構造に基づき種々の問題点を有する。
すなわち実公昭48-20195号公報に開示されたエアーバッ
グでは用いられる編織地上のコーティング膜が例えば水
玉状のプリントであるので、エアーバッグの膨張時にエ
アーバッグ内ガスは乗員に当接する表面を含めた全表面
から漏洩することになり、乗員をシートに確実に保持す
ることができなくなる危険性を有する。又樹脂プリント
されていない部分の縫製部分がエアーバッグの急激な膨
張によって目ずれを生じ、その結果ガスが流出すると共
に、編織地が破断するという問題点を有する。
又特公昭52-11095号公報に開示されたエアーバッグも又
実公昭48-20195号公報のエアーバッグと同様にエアーバ
ッグの膨張時にエアーバッグ内ガスが乗員に当接する表
面を含めた全表面から漏洩する構造であり、したがって
乗員をシートに確実に保持することができなくなる危険
性を有する。
又実公昭58-22360号公報に開示されたエアーバッグでは
使用時に乗員側になる気密性部分ではガスの漏洩は完全
に防がれ、一方車体側の通気性部分でガスが漏洩され
る。この構造では気密性部分と通気性部分の面積は実質
的に同一であり、通気性部分を構成する布の組織を種々
変更したとしても乗員のリバウンドを適切にコントロー
ルすることができない。すなわち後述の本願のエアーバ
ッグの説明において詳しく説明するように、エアーバッ
グの使用時の膨張の挙動を第12図に示す展開試験装置で
試験すると、第14図(縦軸にエアーバッグのガス圧、横
軸に時間)に示すように、インフレータが作動後エアー
バッグが展開してエアーバッグ収納ケースのカバーを破
る時に大きなガス圧(P1という、図示せず)が発生し、
エアーバッグの展開が進むとガス圧は低下する。さらに
バッグ内にガスが充満することによりガス圧が上昇して
第2最大圧力P2(時間t2)となり、以後ガス圧はエアー
バッグからの排気によって漸減しt3において実質的に零
となる。この場合t3の値が短すぎると乗員のシートへの
保持が充分でなくなり、t3の値が長すぎるとリバウンド
を生ずる。したがってt3の値を適切に選定することが安
全性の高いエアーバッグを得るための条件となる。した
がってエアーバッグの排気量を適切に設定することを要
し、単に乗員側を気密にし、車体側を通気性にするとい
う構造では前記t3の値を適切な値にするように排気量を
コントロールすることができない。
又このエアーバッグでは車体側の通気性部分が織地だけ
で構成されその部分で車体に取付けられることになる。
したがってエアーバッグが急激に膨張展開してエアーバ
ッグが車体から離れる方向へ引張られた場合にエアーバ
ッグの車体への取付部が破損される危険がある。
さらに又このエアーバッグでは気密性部分と通気性部分
とを縫製で接合しているので、通気性部分の縫製部分が
エアーバッグの急激な膨張によって目ずれを生じ、その
結果ガスが流出すると共に通気性部分が破断するという
問題点を有する。
以上の説明は複数枚の織地(ドライバーシート用エアー
バッグの場合は通常2枚)を縫製によって得、且つコー
ティング膜を具備することに伴う従来公知のエアーバッ
グの有する問題点である。
従来公知のエアーバッグは前述のように縫製によって複
数枚の織地を接合することによって得られる。縫製はミ
シン針による織地の破損に起因する織地の強度低下、織
地の密度が低密度の場合は糸の滑脱、縫目線のズレによ
る強度低下の問題を生じ、これらの問題を生じないよう
に縫製は行わなければならない。そのために縫製は多大
のコストを必要とし、エアーバッグのコスト高を生ず
る。縫製による問題点を解消するために接着剤による接
着、あるいは未加硫ゴムシートを周辺部にサンドイッチ
状に配置し加硫処理する方法による接合が提案されてい
る。接着剤を使用する方法では接着剤塗布後に長時間加
圧下で加熱するという作業上の問題がある。加硫接合方
法では加熱操作が必要とすると共に接合部分が硬くなる
という問題がある。さらに何れの接合方法を用いても複
数枚の織地の接合部分がエアーバッグの膨張時に破裂す
るという危険を有する。したがってエアーバッグのガス
発生器取付開口部近傍の補強のために縫製等の接合が用
いられていたとしても、エアーバッグ本体の袋体形状が
接合処理を用いることなく作られ、且つ適切にコーティ
ング膜が付与されたエアーバッグであれば、性能上およ
び製造コスト上極めて有利であると考えられるが、現在
このようなエアーバッグは出現していない。
本発明の第1の目的は、従来技術の有する問題点を解消
して軽量且つ柔軟で折り畳み性が良く、エアーバッグ膨
張時の乗員のシートへの保持性が良く且つリバウンド防
止性が良好であり、且つ低価格なエアーバッグを提供す
ることである。
本発明の第2の目的は、前述の第1の目的を達成すると
共に縫製等の接合部分を極力少くして、縫製等による接
合部分の存在によって生ずる問題点を解消したエアーバ
ッグを提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の第1の目的は、210d以上の太さの原糸から成
り、目付が100〜300g/m2、織地のカバーファクターKが
1400〜2400である少くとも2枚の織地の周辺部を接合す
ることによって作られた袋体と、該袋体の表面に部分的
に設けたコーティング膜から成り、前記袋体にはガス発
生器取付開口部が設けられており、前記コーティング膜
が少くとも前記取付開口部の外周区域、および前記袋体
の乗員側表面内であってエアーバッグ作動時に乗員が当
接する区域を被覆しており、袋体のコーティング膜を有
しない区域がエアーバッグ膨張後のガス排気面であり、
展開試験における時間・内圧曲線が実質的に0になる時
間t3が70〜170msになるように排気が行われて、乗員を
シートに確実に保持し、且つリバウンドしないように前
記排気面の面積が用いる織地の通気度に応じて定められ
ているエアーバッグによって達成される。
前記周辺接合部とその近傍にもコーティング膜を設ける
ことによってエアーバッグ膨張時の周辺接合部での破壊
を防ぐことができるので好ましい。
しかしインフレータから発生するガスの圧力が低く設定
された場合には、織地を高密度に形成することよって周
辺接合部の強度を強くすれば、周辺接合部とその近傍に
コーティング膜を設けなくてもよい。
エアーバッグ使用時に優れたリバウント防止性を発揮さ
せるためには、展開試験によって得た時間・内圧曲線で
内圧が実質的に0となる時間t3が適切な値を有すること
が必要である。前述のように時間t3の値が長すぎるとリ
バウンドを生じ、短すぎると乗員のシートへの保持が充
分でなくなる。そこで展開試験における時間・内圧曲線
が実質的に0になる時間t3が70〜170msになるように、
用いる織地の通気度に対応した排気面の面積を定めるこ
とが必要である。その時のP2の値が0.03〜0.3kgf/m2
あると好ましい。
エアーバッグ作動時で乗員にエアーバッグが当接する時
の圧力は通常約0.5kgf/cm2である。そこで用いられる織
地の通気度を圧力0.5kgf/cm2下での測定値で規定するの
が好ましい。かかる観点から圧力0.5kgf/cm2下でのフラ
ジール・タイプ測定器で測定した通気度が100から600cc
/cm2/secである織地を用いれば、その織地から作られた
エアーバッグの排気面の面積を適切に選定することによ
って優れたリバウンド防止性を有するエアーバッグを作
ることができる。前記通気度の条件を満たすために好ま
しい、下記式で規定される織地のカバーファクターKは
1400〜2400である。
前記コーティング膜はエアーバッグの使用時における袋
体の内側に設けてもよく、外側に設けてもよい。
前記袋体の乗員側織地において、エアーバッグ膨張時に
乗員が当接する区域に被覆されるコーティング膜が、エ
アーバッグの周辺接合部とその近傍区域に設けられるコ
ーティング膜と実質的に連続していてもよい。しかし前
記排気面が乗員側織地にも設けられ、乗員側織地と車体
側織地の両方から排気されるように構成してもよい。
本発明のエアーバッグの織地に用いられる糸としてはナ
イロン66、ナイロン6、ポリエステル繊維、アラミド繊
維、各種ポリアミド繊維、各種ポリエステル繊維を用い
ることができる。それら繊維の中で、その優れた高強度
からナイロン66マルチフィラメントを用いるとよい。用
いる糸の太さは210d以上が必要で、210d〜1260dを用い
ることができ、通常は840dが用いられる。840dのナイロ
ン66マルチフィラメントを用いる場合では経糸・緯糸と
も吋当り25本〜35本の折込本数で製織することが好まし
く、ドライバー席用エアーバッグとしては25本程度、助
手席用エアーバッグとしては32本程度が好んで用いられ
る。
コーティング用に用いる樹脂としてはクロロプレンゴ
ム、ウレタンゴム、シリコンゴム、アクリルゴム等の合
成ゴムが用いられる。
本発明の第2の目的はエアーバッグの形成を袋織によっ
て行い、織地の周辺部の接合を接結組織で行うことによ
って達成される。
本発明によるエアーバッグは2枚の実質的に円形の織地
を縫製によって接合したドライバーシート用エアーバッ
グ、周辺部が接結一重組織で接合されたドライバーシー
ト用エアーバッグ、および中空円筒状に形成された非ド
ライバーシート用エアーバッグを含む。
実質的に円形のドライバーシート用エアーバッグの場
合、本発明の構成条件を満たした上で外径70cmであっ
て、内径10cmの発生器取付開口部を有するエアーバッグ
に換算した重量が250g以下であれば、実用上極めて優れ
たエアーバッグとなる。
本発明によるエアーバッグを、2枚の織地を縫製によっ
て接合して得られたドライバーシート用エアーバッグに
基づいて、第1図〜第7図を参照して説明する。
第1図に本発明のドライバーシート用エアーバッグの一
例を示す平面図を示し、第2図にそのエアーバッグを膨
らました状態での断面図を示す。
図中の各部分の直径をd0,d1,d2,d3で示し各部分の幅をw
1,w2で示す。第1図(A)はエアーバッグの表側(車内
取付時のドライバー側)、第1図(B)はエアーバッグ
の裏側(車内取付時のハンドル側)を示す。第1図およ
び第2図に示すようにエアーバッグ1は表側の織地2と
裏側の織地3の周辺部を縫糸10を用いて縫製することに
よって形成される。2枚の織地2,3の周辺部は第2図に
9で示すように折返えされてさらに縫糸11で織地2にと
められる。裏側の織地3の中央部には円形の孔4がガス
発生器取付開口部として設けられ、孔4の外周区域8に
は裏側から補強布13が当てられて縫糸15,16で縫付けら
れる。この部分には複数個の取付用ボルト孔(図示せ
ず)があけられている。
エアーバッグの周辺部5,6および円形の孔4の外周区域
8にはクロロプレンゴムがコーティングされ、それによ
ってこれら部分が補強され、エアーバッグの膨張時にこ
の部分で発生しやすい、織地を構成する糸の目ずれが防
がれる。エアーバッグの使用条件によって織地構成を工
夫することにより、周辺部5,6のコーティングを省略し
てもよい。
第1図および第2図に示した実施例においては表側の織
地2の中央部7にさらにクロロプレンゴムがコーティン
グされる。中央部7と未コーティングの部分2a,3aの面
積比率は後述するように膨張後のエアーバッグ中の気体
の排気がエアーバッグ全体として、乗員をシートに確実
に保持し、且つ乗員のリバウンドを防止する条件を満た
すように、所定の圧力・時間関係で行われるように選定
される。排気気体の量の調節のために用いられるコーテ
ィング部分は第1図および第2図に示すように表側の織
地2上に限定する必要はなく裏側の織地3上に設けても
よい。又第5図に示すように用いる織地2の通気性に応
じて大径の中央コーティング部7aを設けてもよく、第6
図に示すように表側の織地全体にコーティング部分7bを
設けてもよい。第6図の場合には、ハンドル側すなわち
裏側に排気用の未コーティング部が設けられる。コーテ
ィング部の形状は第1図(A)および第5図に示すよう
に円形に限定されるものではなく、任意の形状で行うこ
とができる。例えば第7図に示すように排気面となる未
コーティング部2cをコーティング部7cの両側に配置して
もよい。エアーバッグの裏側におけるコーティング部の
配置も任意の形状で行うことができる。
第5図に示すようにドライバー側の表面全部をコーティ
ングして、排気を裏側だけで行ってもコーティング部と
未コーティング部の面積を用いる織地の通気度に応じて
適切に定めれば本発明の目的を達成することができる。
しかし排気はエアーバッグの各部分で均一に行う方がリ
バウンドの確実な防止と、エアーバッグの接合部および
取付部の損傷防止に役立つのでドライバー側の表面にも
排気面を設けるとよい。この場合においてもエアーバッ
グの膨張時に乗員に当接する部分、特に顔等の露出部分
に当接する部分はインフレータから発生する高温ガスが
絶対に乗員に当らないように完全に非通気性なコーティ
ング膜にする必要がある。
なお、従来のエアーバッグでは1個又は2個の排気孔か
ら高温ガスが集中して排出する。そのために乗員のハン
ドル上の手にあたり、やけどする場合がある。本願のエ
アーバッグでは広い排気面から高温ガスが排出するので
そのような危険を防ぐことができる。
コーティングはエアーバッグの重量増加につながる。か
かる観点からコーティングされる部分の面積比率は少い
程好ましい。この問題を解決するためにコーティング処
理する前に織物を熱ロールでカレンダ加工し、織地自体
の通気性を下げておくと好ましい。
織地の所定の位置にコーティングする方法としては従来
公知の織物加工法によって実施することができる。その
場合加工上の問題から溶剤タイプよりもエマルジョンタ
イプの方が好ましく、エマルジョンタイプの場合クロロ
プレン等の材料が織地の中に浸透するのを防ぐために、
予めコーティング材料が浸透しにくくなるように織地表
面にカレンダ加工等の加工をしておくとよい。
コーティングした織地2,3をそれぞれの周辺部で縫製す
る場合の一例(第2図で一点鎖線円Cに相等する部分)
を第3図(A)に示し、他の例を第3図(B)に示す。
第3図(A)に示す例ではコーティング膜5が設けられ
た織地2とコーティング膜6が設けられた織地3が図に
示すように縫代を残して先ず縫糸10で縫製される。次に
2枚の織地2,3が9に示すように折返えされ、縫糸11で
折返えされた部分9とコーティング膜5が設けられた織
地2とが一体に縫製される。その際にコーティング膜6
が設けられた織地3の端部の長さlを少くとも1cm設け
るとよい。縫糸10および縫糸11の縫製は二重環縫いミシ
ンを用いて、ナイロンフィラメント縫糸で3〜5mmのピ
ッチで行うと好ましい。用いる縫糸の太さは上糸で5
番、8番、下糸で5番、10番、12番の組合せのいずれか
を用いるとよい。
縫製した部分の空気の漏出を防ぐために縫製部分を第3
図(A)で12で示すようにシールするとよい。シールは
図示の如くゴム液を塗布したり別途テープを貼着するこ
とによって行われる。なお周辺部での縫製部より空気の
漏出の危険がない場合には前記シールを行わなくてもよ
い。
第3図(B)に示す例ではコーティング膜5が設けられ
た織地2とコーティング膜6が設けられた織地3とが図
示の如く間隔をあけた2箇所で縫糸10a,10bで縫製され
る。この場合でも端部の長さlaを1cm以上設けるとよ
い。実際には2枚の円形の織地2と織地3の周辺部を2
箇所で縫製した後に、中央の孔4(第2図参照)を利用
して裏返しすれば第3図(B)に示す縫製状態を得るこ
とができる。この場合でもシール部分12aおよびシール
部分12bを設けるとよい。この場合の縫製条件は第3図
(A)で説明した条件が用いられる。
取付開口部の孔4の外周区域を縫製する場合の一例(第
2図で一点鎖線円Dに相等する部分)を第4図(A)に
示し、他の例を第4図(B)に示す。第4図(A)に示
す例では、コーティング膜8が設けられた織地3の下側
に2枚の補強布13と補強布14が当布されて、間隔をあけ
た2箇所で縫糸15と縫糸16で縫製する。第4図(B)を
示す例では補強布13aと補強布14aがコーティング層8が
設けられた織地3の両側に当布されて縫糸15aと縫糸16a
で縫製される。この場合の縫製は本縫ミシンを用いて上
下共8番のナイロンフィラメント縫糸でピッチ3〜5mm
で行うとよい。この場合においても第3図で示すように
縫製部をシールしてもよい。
なおこのように補強された孔4の外周部には複数孔のボ
ルト孔(図示せず)が設けられ、このボルト孔に通した
ボルトによってエアーバッグは車体本体に取付けられ
る。又この部分にガス発生器を取り付けてもよい。
第1図に示すように周辺接合部とその近傍区域にコーテ
ィングする場合には、コーティングされた部分5,6,8の
半径方向の幅w1としては最低2cmは必要とする。通常は
端の部分5,6で5cm幅(w1)、孔4の外周部8で10cm幅
(w2)のコーティングが行われる。
次に袋織によって形成された本発明によるエアーバッグ
を第8図〜第11図を参照して説明する。
第8図に本発明による部分コーティングされた袋織エア
ーバッグ21の好ましい一例を示し、第8図(A)にエア
ーバッグ使用時に乗員に対面する側(表側)の平面図、
第8図(B)に裏側の平面図を示し、第9図にその断面
図を示す。第9図により明らかに示すように、表側の織
地22と裏側の織地23の周辺接合部26は接結一重組織帯
域、すなわち表側の織地22と裏側の織地23の経糸群が緯
糸によって一体に接合された織組織の帯域によって形成
されている。これは後述の第10図および第11図での製造
方法の説明で明らかなように製織後であって部分コーテ
ィングする前のエアーバッグをインフレータ取付用開口
部24を介して裏返しすることによって得られる。第8図
および第9図に示したエアーバッグでは表側の織地22の
中央部27に部分コーティングされており、且つ表側の織
地22と裏側の織地23の接合部の外周区域25とインフレー
タ取付用開口部24の区域28に部分的にコーティングが施
されている。接結一重組織帯域で周辺接合部が接合され
る場合は接合部の強力が縫製等の場合に比し強いので周
辺接合部とその近傍区域のコーティングを省略できる場
合が多い。第8図の場合には区域27,25,28の占める部分
コーティングされた区域の合計面積をエアーバッグの全
面積に対して、適切なガス排気特性を達成するように選
定する。
前記部分コーティング前の袋織エアーバッグは例えば第
10図に例示するような織物30から得ることができる。す
なわち表側の織地22および裏側の織地23から成る袋織部
の周辺を一定巾の接結一重組織帯域26が囲むような組織
にし、且つ経糸方向に複数の袋織エアーバッグが袋織域
28を介して連続するように配置して製織する。その際両
側の耳部27も接結一重組織にすると、製織時およびその
後の仕上・加工工程の工程性を良好にするのに役立つ。
このようにして得られた織物30を接結一重組織帯域26の
外周に沿って裁断すれば第11図に示すような袋織エアー
バッグが得られる。この袋織エアーバッグの何れかの織
地の中央にインフレータ取付用開口部(図示せず)を設
け、その開口部を介して袋織エアーバッグを裏返えし、
所要の部処に部分コーティングを施せば、第8図および
第9図に示した部分コーティングされた袋織エアーバッ
グが得られる。
第1図〜第7図を参照して説明したエアーバッグおよび
第8図〜第11図を参照して説明したエアーバッグはそれ
ぞれエアーバッグの外側にコーティング膜が配置されて
いる。しかしコーティング膜がエアーバッグの内側に配
置されるように構成してもよい。
性能の優れたエアーバッグを得るためには用いられる織
地が膨張展開時に破裂しないだけの強度を有することが
必要である。そのためにナイロン66等の高強度フィラメ
ントを用いて製織し、且つ100〜300g/m2の目付を有する
織地を用いることが必要である。且つ前述のようにガス
発生器取付開口部の外周区域やエアーバッグの接合部を
コーティング膜で補強することが好ましい。その上でエ
アーバッグの膨張後に適切に排気されることが必要であ
り、これらの条件を満たした上でコーティング膜の重量
を極力小さくしてエアーバッグの重量を下げて柔軟で且
つ格納性の良好なエアーバッグにする必要がある。
かかる観点から充分な強度を有しながら適切な通気度の
ある織地を設定する必要あり、用いられる織地の通気性
に応じて排気面の面積を定める必要がある。
エアーバッグの膨張後の排気については膨張後のエアー
バッグ中のガスがどのような圧力・時間関係で排気され
るかが重要な条件となる。すなわち第14図はエアーバッ
グの膨張展開後のエアーバッグ内の圧力の時間経過を示
すグラフである。
この内圧・時間曲線を第12図に示す測定装置を用いて室
温で測定する。
すなわち測定されるエアーバッグ1を取付金具33を介し
てインフレータ(西独BAYERN社製GG7)31に3本のボル
ト34で固定する。インフレータ31が発光電源35によって
点火されると第12図に示すようにエアーバッグ1は膨張
する。その時の内圧を測定孔37がエアーバッグ1内に挿
入された圧力ゲージ(Max圧力5kg/cm2)36で測定する。
圧力ゲージ36はひずみ計38を経由して記録計39に接続さ
れており、記録計39上で第14図に例示する曲線を描く。
インフレータ31に取付けるに際して、エアーバッグ1は
実際に自動車用エアーバッグ装置に配置される場合と同
様に第13図(A)に示すように折畳まれる。すなわち第
13図(A)において破線で示す山折りと一点鎖線で示す
谷折りを図中a,b……mで示す順でエアーバッグ1を折
畳み、折畳んだ状態で第13図(B)に示すように測定装
置30のエアーバッグ収納ケース32内に収納され、カバー
32aがかぶせられる。インフレータ31が作動されるとエ
アーバッグ1は第12図に示すように膨張する。その際折
り畳んだエアーバッグが展開して、カバー32aを外す際
に、エアーバッグ内の内圧は第14図に示すように急激に
高圧P1(図示せず)になる。しかし展開が進むと圧力ゲ
ージ36で測定される圧力は急激に低下し、時には負圧と
なる。しかしその場合でもエアーバッグ1内ではガスが
充満されつつあり、第2最大圧力P2となる。その時の時
間をt2とする。其後のエアーバッグ内のガスは排気され
て時間t3で圧力は実質的に0となる。
このt3の時間を第2最大圧力P2との関連でどのように設
定するかによってエアーバッグのリバウンド特性が定め
られる。エアーバッグのタイプによって個々の数値は異
るがt3が70〜170msであると乗員をシートに確実に保持
し且つリバウンドすることがない。t3がこの値より小さ
いと乗員をシートに確実に保持して衝撃を吸収させるこ
とができない。又t3がこの値より大きいとリバウンドす
ることになる。
前述の条件を満たすためには織地が通気性を有すること
が必要となる。織地の好ましい通気度は、圧力0.5kgf/c
m2下でのフラジール・タイプ測定器で測定した値で100
〜600cc/cm2/secである。かかる通気度を有し、且つ所
定の強度を満たす織地のカバーファクターは1400〜2400
である。
一般に織地の強度やカバーファクターは用いられる糸の
種類と太さ(デニール)と織密度で変化する。一方織地
の通気度は、同一のカバーファクターの織地でも、織組
織およびカレンダー加工又は樹脂加工の後加工等によっ
て変る。
一方通気度は一般にフラジール法によって測定された値
で表示される。同一の糸、織組織および同一の後加工
(後加工のない場合を含む)で作られた織地に対しては
フラジール法による通気度と、圧力0.5kgf/cm2下の通気
度とは正の相関関係を有する。しかし異なる織組織(例
えば平織と斜子織)や異なる後加工(例えば後加工され
てないものとカレンダー加工したもの)の織地の場合に
はフラジール法による通気度と圧力0.5kgf/cm2下の通気
度との間には複雑な関係が生ずる。これは圧力0.5kgf/c
m2下の通気度の測定に際して、圧力によって織地を構成
する糸が移動されやすいことに起因する。したがって同
一のフランジ−ル法の通気度を有する織地であっても、
糸が移動しやすい織組織や後加工を用いて作られた織地
は標準の織組織および後加工を用いて作られた織布に比
し、圧力0.5kgf/cm2下の通気度が高くなる傾向を有し、
糸が移動しにくい織組織や後加工を用いて作られた織地
は逆の傾向を示す。この事は特定のカバーファクターを
有する織地であっても、織組織や後加工を変えることに
よって圧力0.5kgf/cm2下の通気度を変えることができる
ことを意味し、それによって排気面の面積を変更するこ
とができる。例えば圧力0.5kgf/cm2下の通気度を低くす
れば排気面の面積を大きくし、したがってコーティング
膜の付与面積を小さくすることができ、エアーバッグの
重量を軽くして格納性を向上させることができる。
なお圧力0.5kgf/cm2下の通気度が100〜600cc/cm2/secに
対応するフラジール法の通気度は一般的に2〜20cc/cm2
/secである。
本発明によるエアーバッグは助手席シート用および後部
シート用のエアーバッグにも適用することができる。
第17図に本発明の助手席シート用エアーバッグ40の一例
を斜視図で示す。この場合のエアーバッグは一枚の織地
41を筒状にしてそれぞれの端部を縫糸42a,42bで縫製
し、筒状織地41の両端を織地43a,43bでふさいで縫糸44
a,44bで縫製することによって形成される。一方筒状織
地の柱面に図示の如く3個の取付用孔45a,45b,45cが設
けられる。この実施例の場合でも縫製部分および取付用
孔の補強のために図中斜線で示す部分46,47,48にクロロ
プレンゴムのコーティングが付与されると共に、エアー
バッグの排気量調節のために部分49にクロロプレンゴム
のコーティングが施されている。なお乗員側(図面の裏
側)は全面にコーティングが付与されている。図中41a
は通気性のある部分(排気面)を示す。
第17図に示す助手席シート用エアーバッグでも織地の構
成およびコーティング膜の配置は前述のドライバーシー
ト用エアーバッグで説明したと同様に選定すれば性能の
優れたエアーバッグが得られる。又周辺接合部の縫製等
の接合処理を省くことができるので製造コストを安くす
ることができると共に接合部の強度上昇に役立つ。
〔実施例〕
以下本発明によるエアーバッグについてドライバーシー
ト用エアーバッグの各種実験例を比較例と共に示す。
実験例の説明に先立ち、エアーバッグの性能評価に用い
られた測定方法について説明する。
織地の強度JIS L-1096 6・12・1A法(ラベルドストリ
ップ法)により測定 織地のフラジール法通気度JIS L-1096 6・27・1A法に
より測定 織地の圧力0.5kgf/cm2下のフラジールタイプの通気度 第15図に示す構造の測定器70を用いて高圧力下の織地の
通気度を測定する。すなわち第15図に示すように、試料
71を測定ケース74に固定する。その場合の空気の通過す
る面積は21cm2(直径5.2cm)にする。圧力調整弁73によ
りコンプレッサー72からの圧力を調整し、圧力計75で試
料71への加圧圧力を確認の上、一定圧力(0.5kgf/cm2
下での空気の透過量を流量計76より求める。
エアーバッグの展開試験 前述のように、第12図に示す装置を用いて第14図に示す
t3の値を求める。
エアーバッグのバースト試験 エアーバッグ1の中にエアーバッグ1より膨張時の容量
の大きな風船81を入れた上で、第16図に示すバースト試
験装置のバッグ取付板82に取付具83を用いて固定する。
圧力調整弁86により高圧空気の供給量を調節しながら、
エアーバッグ1をゴム風船と共に膨らませ、エアーバッ
グが破裂した時の圧力を圧力計85により求める。
実験グループ1 ナイロン66、840d(強度9.5g/d、伸度20.5%)の糸を用
いて、経糸及び緯糸密度が30本/吋の平織物を作成し精
練、熱セットした。セット後の織地の物性を第1表に示
す。次に、織地を、第1図に示す乗員に当接する側
(A)及び車体側(B)が採取できる大きさに採寸し、
第2表に示したw1,d0,d1,d2,d3の寸法でクロロプレンゴ
ムをスクリーンによりコーティングした。コーティング
量は100g/m2であった。2枚のコーティング布を乾燥、
加硫した後、車体側(B)の中心にインフレータ取付開
口部(直径d1)を打抜き、エアーバッグと同一基布から
得た内径10cm、外径20cmの同心円のドーナツ状布を3枚
重ね、補強布として取付開口部に縫い合せた後、インフ
レータ取付け用のボルト穴を等間隔で4ヶ所打抜き加工
した。次いで、(A),(B)2枚の円板状織物の外周
部を上、下糸にナイロンミシン糸#5を用い、縫ピッチ
2.8mm、縫間隔3mmにて本縫二段により縫合せエアーバッ
グを作成した。エアーバッグの特性を第2表に示す。第
2表に示すようにコーティング率を選定することによ
り、ガス排気を所定の時間で行い得た。
又、コーティング率が低い場合は(実験No.4)、適切な
インフレーション特性が得られない。
実験グループ2 ナイロン66の210d,420d,840d,1260d(糸物性は第3表に
示す。)の各種糸を用いて、目付の異なる平織物を製織
した。精練、熱セット後の織地物性を第1表に示す。実
験グループ1と同様に、乗員に当接する側(A)及び車
体側(B)に排気域が出来る様にクロロプレンゴムをコ
ーティングして、第4表に示す縫製条件により、エアー
バッグを作成した。コーティング量は840d以上の場合10
0g/m2、420d以下の場合70g/m2とした。得られたバッグ
の性能を第2表に示す。
目付が100〜300g/m2の範囲にある場合は、バッグとして
の排気特性に優れ且つ軽いエアーバッグが得られる。目
付が300g/m2以上の場合、排気特性に優れるもののエア
ーバッグ重量は重くなり、逆に、100g/m2以下の場合軽
いエアーバッグが得られるものの、インフレーション特
性のみならず、エアーバッグの破裂強度も低く、乗員を
安全に保護し得るエアーバッグを得ることができない。
実験グループ3 ナイロン66、1260dの糸を使い経糸及び緯糸密度が28本
/吋である平織物を作成した。精練、熱セット後、195
℃の熱ロールを使用して、線圧3kg/cm、周速度5.0m/min
でプレス加工した。得られた織地の物性を第1表に示
す。フラジール法並びに圧力0.5kgf/cm2下での、フラジ
ールタイプ法での通気度は極めて小さく、第2表に示す
如く、ガス排気時のt3が長くなり乗員のリバウンドを抑
止し得ない。
実験グループ4 ナイロン66、420dの糸を使い、経糸及び緯糸密度52本/
吋である平織物を作成し、精練、熱セットした。熱セッ
ト後の織地物性を第1表に示す。実験グループNo.1およ
びNo.2に準じてバッグを作成した。フラジール法による
通気が2cc/cm2/sec以下の場合にもやはり良好なインフ
レーション特性を発現するバッグが得られない。
実験グループ5 ナイロン66、840dを用いて経糸及び緯糸密度がそれぞれ
25本/吋並びに24本/吋の平織物、同じくナイロン66、
420dを用いて経糸及び緯糸密度が60本/吋の斜子織物を
作成し、精練、熱セットした。熱セット後の織地物性を
第1表に示す。実験グループNo.1に基づき、乗員に当接
する側(A)及び車体側(B)に排気部分が出来る様
に、クロロプレンゴムをコーティングして、第4表に示
す縫製条件によりエアーバッグを作成した。バッグの特
性を第2表に示す。
カバーファクターが1400以下の場合は、ガス排気が短い
時間で行われ、乗員を保護し得ない。又、通常カバーフ
ァクターを大きくすることにより織物の強力特性と排気
特性を満足し得るエアーバッグが得られるが、織物密度
が下がる様な組織、例えば斜子織物などでは、逆に、組
織交点がしっかりしていない為、排気量も大きくなり、
インフレーション特性が不充分なものとなる。(実験N
o.15) 実験グループ6 ナイロン66、840dの糸を用い、経糸及び緯糸密度が28本
/吋の平織物を作成し、精練、熱セットした。セット後
の織地物性を第1表に示す。次いで第1図において、乗
員に当接する面(A)は排気部分が残らない様に全面
に、車体側(B)に一部の排気面を残してクロロプレン
ゴムをコーティングし、実験グループ1に基づいてバッ
グを作成した。得られたバッグはインフレーション特性
に優れたものであった。
実験グループ7 実験No.16と同じ織地構成で、ジャカード装置を備えた
織機により第10図に示す、外周部を接結一重組織で接合
した二重織物を作成し、精練、熱セットした。織地物性
は実験No.16と同じであった。
コーティング並びにバッグ作成は実験例16に準じて行っ
た。得られたエアーバッグのインフレーション特性は縫
製バッグより優れたものであった。
実験グループ8 実験No.7と同じ織地構成で、ジャカード装置を備えた織
機により第10図に示す、外周部を接結一重組織で接合し
た二重織物を作成し、精練、熱セットした。織地物性は
実験No.7と同じであった。コーティング並びにバッグ作
成は実験グループNo.2に準じて行った。
得られたエアーバッグのインフレーション特性は縫製バ
ッグより優れたものであった。
実験グループ9 実験No.13で得られた織物を用いて全面コーティングを
行ない、第18図に示す排気孔付きのエアーバッグを作成
した。排気孔は3cmφを2個設け、その他の仕上げ、縫
製仕様は実験No.13に準じた。得られたバッグは、イン
フレーション特性には優れるものの、実験No.13より相
対的に重いものであった。
実験グループ10 この実験グループ10では周辺接合部とその近傍区域にコ
ーティング膜を設けない例を示す。
実験No.20では実験グループNo.2の実験No.7と同一の織
構成の織地を用いて周辺接合部を縫製し、コーティング
パターンの内で周辺接合部及びその近傍区域のコーティ
ングのみを省略したエアーバッグを作った。即ちw1=0
のエアーバッグを作り試験を行った。
試験の結果インフレーション特性は実験No.7と同様に良
好であった。
一方バッグの破裂強度は周辺接合部をコーティングした
実験No.7のバッグより劣るものの発生するガス圧の低い
インフレータを使用する場合は充分実用に耐える値であ
った。
実験No.21では実験グループNo.8の実験No.18の袋織エア
ーバッグで、コーティングパターンのうち周辺接合部の
コーティング膜のみを省略した、即ちw1=0のエアーバ
ッグを作り試験を行なった。
試験の結果インフレーションテストは実験No.18とほぼ
同様に良好であった。
またバッグの破裂強度も周辺接合部をコーティングした
実験No.18のバッグとほぼ同一であった。
〔発明の効果〕 本発明によるエアーバッグは、エアーバッグとして必要
とされる強度を発揮できるように使用糸の太さ、及び織
地の目付を選定し、少くともガス発生器取付開口部の外
周区域および乗員が当接する区域にコーティング膜を設
け、排気面として役立つコーティング膜を有しない区域
の面積を、膨張後のエアーバッグ中のガスの排気が、乗
員をシートに確実に保持してリバウンドさせないよう
に、所定の圧力・時間関係で行われるように、用いる織
地の通気度に応じて定めている。
したがって本発明によるエアーバッグは従来公知のエア
ーバッグのように排気孔を設ける必要がなく、且つコー
ティングによる重量の増加を少なくすることができ、そ
の結果リバウンド現象を防止した高性能なエアーバッグ
であると共に、軽量、柔軟且つ格納性が良いエアーバッ
グにすることができる。又製造工数を少くし、且つコー
ティング材料等の原料消費を少くすることができるので
安価に製造することができる。
このようにして得た本発明のエアーバッグはその優れた
性能により、ドライバーシート用エアーバッグ、助手席
シート用エアーバッグ、後部シート用エアーバッグに用
いることができる。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明によるドライバーシート用エアーバッグ
の好ましい一例である2枚の織地を縫製によって接合し
て得られたエアーバッグの平面図であって、第1図
(A)はドライバーシート側表面の平面図であり、第1
図(B)はハンドル側表面の平面図である。 第2図は第1図に示したエアーバッグの断面図である。 第3図(A)は第1図に示したエアーバッグの周辺部の
縫製方法を示す断面図であり、第3図(B)は縫製方法
の他の例を示す第3図(A)と同様の断面図である。 第4図(A)は第1図に示したエアーバッグのガス発生
器取付開口部の外周区域の縫製方法の一例を示す断面図
であり、 第4図(B)は縫製方法の他の例を示す第4図(A)と
同様の断面図である。 第5図〜第7図は本発明のドライバーシート用エアーバ
ッグのドライバーシート側表面でコーティング膜の配置
状態の異る実施例をそれぞれ示す平面図であって、第5
図は中心のコーティングされた面の面積が大きい場合、
第6図はドライバーシート側表面が全部コーティングさ
れている場合、第7図はドライバーシート側表面に部分
的に排気面が配置されている場合をそれぞれ示す。 第8図は本発明によるドライバーシート用エアーバッグ
の好ましい他の例である袋織によって作られ、周辺接合
部が接結一重組織で接合されているエアーバッグの平面
図であって、第8図(A)はドライバーシート側表面の
平面図であり、第8図(B)はハンドル側表面の平面図
である。 第9図は第8図に示したエアーバッグの断面図である。 第10図は第8図および第9図に示した袋織によるエアー
バッグを得るための織地の一例を示す平面図である。 第11図(A)は第10図に示す織地から得られたコーティ
ング前の袋織エアーバッグを示す平面図であり、第11図
(B)は第11図(A)の線XIB-XIBによる、断面を膨ら
ました状態で示す断面図である。 第12図はドライバーシート用エアーバッグの展開試験に
用いられる装置の説明図である。 第13図(A)は第12図に示した展開試験装置に収容する
ためにエアーバッグを折畳む方法を説明する平面図であ
り、第13図(B)は折畳まれたエアーバッグが第12図に
示す展開試験装置に組込まれた状態を示す断面図であ
る。 第14図は第12図に示す展開試験装置を用いて行われたエ
アーバッグ展開試験で得られた時間・内圧曲線の一例を
示すグラフである。 第15図は高圧(0.5kgf/cm2)通気度測定装置を示す図で
ある。 第16図はバッグ破裂強度測定装置を示す図である。 第17図は本発明による助手席シート用エアーバッグの一
例を示す斜視図である。 第18図は従来公知の全面にコーティング膜が設けられた
従来公知のドライバーシート用エアーバッグの一例を示
す平面図であって、第18図(A)はドライバー側表面の
平面図であり、第18図(B)はハンドル側表面の平面図
である。 第19図は第18図に示したエアーバッグの断面図である。 第20図(A)は従来公知の他のエアーバッグの一例を示
す斜視図であり、第20図(B)はその縫製方法を示す断
面図である。 1,1a,1b,1c,21……ドライバーシート用エアーバッグ
(本発明)、2,22……乗員側織地、2a,2b,2c,22a……乗
員側織地の排気面、3,23……ハンドル側織地、3a,23a…
…ハンドル側織地の排気面、4,24……ガス発生器取付開
口部、5,6,25……周辺コーティング部、7,7a,7b,7c,27
……乗員側中央コーティング部、8,28……取付開口部外
周コーティング部、9,26……周辺接合部、40……助手席
シート用エアーバッグ(本発明)、41a……車体側の織
地上の排気面、51……ドライバーシート用エアーバッグ
(従来例)、52,53……織地、54……ガス発生器取付開
口部、55……コーティング膜、56a,56b……排気孔。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭48−30246(JP,A) 実開 昭61−85549(JP,U) 特公 昭51−31581(JP,B2) 実公 昭48−20195(JP,Y1)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】210d以上の太さの原糸から成り、目付が10
    0〜300g/m2、下記式で規定される織地のカバーファクタ
    ーKが1400〜2400である、少くとも2枚の織地の周辺部
    を接合することによって作られた袋体と、該袋体の表面
    に部分的に設けたコーティング膜から成り、前記袋体に
    はガス発生器取付開口部が設けられており、前記コーテ
    ィング膜が少くとも前記取付開口部の外周区域、および
    前記袋体の乗員側表面内であってエアーバッグ作動時に
    乗員が当接する区域を被覆しており、袋体のコーティン
    グ膜を有しない区域がエアーバッグ膨張後のガス排気面
    であり、展開試験における時間・内圧曲線が実質的に0
    になる時間t3が70〜170msになるように排気が行われ
    て、乗員をシートに確実に保持し、且つリバウンドしな
    いように、前記排気面の面積が用いる織地の通気度に応
    じて定められているエアーバック。
  2. 【請求項2】織地の周辺部の接合を接結組織で行う請求
    項1記載のエアーバッグ。
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