JPH0710969Y2 - エアバッグ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動車のステアリングホイールに取り付けら
れ、自動車の衝突時等にエアバッグが膨大して乗員への
危害を防止又は軽減するエアバッグ装置に関する。

（従来の技術） 従来のエアバッグ装置の１例が第３図に示されている。

１はインフレータ、２はエアバッグ、３はインフレータ
１及びエアバッグ２を被覆する底なし箱状のカバー、４
はベースプレートで、ステアリングホイール５のボスに
締結されている。インフレータ１及びエアバッグ２はボ
ルト６によってベースプレート４に締結され、カバー３
の側壁の下端はブラケット９を介してベースプレート４
の周縁に係止されている。カバー３は合成樹脂等の弾性
材からなり、その頂壁にはＨ型の破壊線７が形成されて
いる。

しかして、自動車の衝突時、センサーからの信号により
インフレータ１からガスが発生し、このガスにより急激
にエアバッグ２が膨張する。すると、エアバッグ２の膨
み圧力によってカバー３の頂壁に形成された破壊線７が
破断し、これによって形成される一対の観音開き型はね
蓋８を上方に開きながらエアバッグ２が外部に出て更に
膨張展開する。

（考案が解決しようとする問題点） この種エアバッグ装置においては、エアバッグ２の膨み
圧力によりはね蓋８が上方に開き、エアバッグ２が時間
遅れなくカバー３内から外部に出て膨張展開する必要が
ある。そして、エアバッグ２が膨張する際、カバー３が
変形したり、細く裂けたり、カバー３がステアリングホ
イール５から離脱したりしてカバー３又はその破片が乗
員に向かって飛散してはならない。

（問題点を解決するための手段） 本考案は上記問題点に対処するために提案されたもので
あって、その要旨とするところは、インフレータ及びエ
アバッグを被覆する弾性材からなるカバーの全体にネッ
トを張り巡らせ、上記カバーの対向する側壁にそれぞれ
横方向に伸びる第１の補強バンドを張設するとともに他
の対向する側壁にそれぞれ横方向に伸びる第２の補強バ
ンドを張設し、上記第１の補強バンドは横方向に伸びた
端部が他の対向する側壁に回り込んでから上方向に向か
い、カバーの上縁で屈折してカバーの上面に沿って伸
び、さらに上記エアバッグの膨らみ時に外方に開かれる
はね蓋のヒンジ部を通って同はね蓋の縁に沿って伸び、
上記第２の補強バンドは上記第１の補強バンドの隙間を
塞ぐように伸び、上記第２の補強バンドおよび上記第１
の補強バンドのそれぞれに結合バンドの一端を結合して
これら結合バンドの他端をステアリングホイールに結合
したことを特徴とするエアバッグ装置にある。

（作用） 本考案においては、上記構成を具えているため、インフ
レータから発生するガスによってエアバッグが膨張する
際、カバーはエアバッグの膨み圧力を受けるが、カバー
の全体に張り巡らされたネット及び第１及び第２の補強
バンドによってカバーが変形したり、細く裂けるのを阻
止される。

そして、結合バンドによってカバーがステアリングホイ
ールから離脱して乗員に向かって飛散するのを阻止され
る。

（実施例） 本考案の１実施例が第１図及び第２図に示されている。

第１図及び第２図において、１はインフレータ、２はエ
アバッグ、３はカバー、４はベースプレート、６はボル
ト、７は破壊線、８ははね蓋である。10はネットで、カ
バー３の全体に亘って張り巡らされている。このネット
10は破壊線７に沿って破断されているが、他の部分はカ
バー３の全体に亘り互いに連続してカバー３の変形及び
破断を防止している。そして、このネット10を補強する
ための第１の補強バンド11がカバー３の対向する側壁3a
の中段にそれぞれ張設されて水平に伸び、その両端部に
は他の対向する側壁3bの中段を若干の距離だけ水平に伸
び、屈折して上方に向かい、更に、上縁で屈折して頂壁
3cに沿って伸びはね蓋８のヒンジ部13を通り、次いで、
はね蓋８の縁に沿って若干の距離だけ伸びている。14は
第２の補強バンドで、対向する他の側壁3bに張設されて
上記第１の補強バンド11の間隙を塞ぐようにこの下段に
水平に伸びている。第１の補強バンド11及び第２の補強
バンド14にはそれぞれ複数（図には２個）の結合バンド
12の一端が縫合、接着等によって結合され、この結合バ
ンド12の他端はボルト６によってベースプレート４にイ
ンフレータ１及びエアバッグ２とともに締結されるよう
になっている。ネット10、第１の補強バンド、第２の補
強バンド14及び結合バンド12はナイロン等の引き裂き抵
抗が大きい材質からなり、結合バンド12の他端を除いて
合成樹脂等の弾性材からなるカバー３と一体成形するこ
とによってその中に埋設するのが望ましく、また、第１
の補強バンド11及び第２の補強バンド14はネット10に縫
合、接着等により結合しておくのが望ましい。

なお、上記実施例においては、結合バンド12の他端はイ
ンフレータ１、エアバッグ２と共にベースプレート４に
ボルト６によって共締されているが、、ステアリングホ
イール５のボス又はスポークに直接結合しても良い。更
に、結合バンド12の他端結合部に鳩目を取り付ければ締
結部の破損を防止しうる。他の構成は第３図に示す従来
のものと同様であり、対応する部材には同じ符号が付さ
れている。

しかして、自動車の衝突時、インフレータ１から発生し
たガスによってエアバッグ２が膨張したとき、その膨み
圧力によって破壊線７が破断し、エアバッグ２は一対の
はね蓋８を上方に開いて外部に出て更に膨張展開する。
この際、ネット10は破壊線７に沿って破断されているの
で、破壊線７の破断を妨げることはない。そして、はね
蓋８のヒンジ部13を第１の補強バンド11が通っているの
で、はね蓋８のヒンジ部13が破断してはね蓋８が乗員に
向かって飛散することはない。また、エアバッグ２の膨
張によってカバー３の側壁3a及び側壁3bにはこれを押し
拡げる力が作用するが、ネット10及び第１の補強バンド
11及び第２の補強バンド14によってカバー３の変形及び
破断が阻止される。また、この際、カバー３をステアリ
ングホイール５から離脱させて乗員の方向に飛散させる
力が作用するが、カバー３は結合バンド12によってステ
アリングホイールに連結されているのでステアリングホ
イール５から離脱することはない。

（考案の効果） 本考案においては、インフレータ及びエアバッグを被覆
する弾性材からなるカバーの全体にネットを張り巡ら
せ、上記カバーの対向する側壁にそれぞれ横方向に伸び
る第１の補強バンドを張設するとともに他の対向する側
壁にそれぞれ横方向に伸びる第２の補強バンドを張設
し、かつ、上記第１の補強バンドは横方向に伸びた端部
が他の対向する側壁に回り込み、上記第２の補強バンド
は上記補強バンドの隙間を塞ぐように伸びているため、
インフレータから発生するガスによってエアバッグが膨
張する際、カバーが変形したり細く裂けることはない。

また、第１の補強バンドの横方向に伸びた端部が他の対
向する側壁に回り込んでから上方に向い、カバーの上縁
で屈折してカバーの上面に沿って伸び、更に、はね蓋の
ヒンジ部を通ってはね蓋の縁に沿って伸びているため、
エアバッグの膨張によりはね蓋を外方に押し開ける力が
作用してもはね蓋がそのヒンジ部分で破断して乗員に向
かって飛散することはない。

更に、第２の補強バンド及び第１の補強バンドのそれぞ
れに結合バンドの一端が結合され、これら結合バンドの
他端がステアリングホイールに結合されているので、エ
アバッグの膨張時、カバーがステアリングホイールから
離脱して乗員に向かって飛散するのを防止しうる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案の１実施例を示し、第１図は
ネット、補強バンド及び結合バンドの配置を示すカバー
を透視した斜視図、第２図はエアバッグ装置の縦断面図
である。第３図は従来のエアバッグ装置の縦断面図であ
る。 インフレータ……１、エアバッグ……２、カバー……
３、ネット……10、第１の補強バンド……11、第２の補
強バンド……14、結合バンド……12

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】インフレータ及びエアバッグを被覆する弾
   性材からなるカバーの全体にネットを張り巡らせ、上記
   カバーの対向する側壁にそれぞれ横方向に伸びる第１の
   補強バンドを張設するとともに他の対向する側壁にそれ
   ぞれ横方向に伸びる第２の補強バンドを張設し、上記第
   １の補強バンドは横方向に伸びた端部が他の対向する側
   壁に回り込んでから上方向に向かい、カバーの上縁で屈
   折してカバーの上面に沿って伸び、さらに上記エアバッ
   グの膨らみ時に外方に開かれるはね蓋のヒンジ部を通っ
   て同はね蓋の縁に沿って伸び、上記第２の補強バンドは
   上記第１の補強バンドの隙間を塞ぐように伸び、上記第
   ２の補強バンドおよび上記第１の補強バンドのそれぞれ
   に結合バンドの一端を結合してこれら結合バンドの他端
   をステアリングホイールに結合したことを特徴とするエ
   アバッグ装置。