JPH0710940A - バインダー樹脂組成物 - Google Patents

バインダー樹脂組成物

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JPH0710940A
JPH0710940A JP28682592A JP28682592A JPH0710940A JP H0710940 A JPH0710940 A JP H0710940A JP 28682592 A JP28682592 A JP 28682592A JP 28682592 A JP28682592 A JP 28682592A JP H0710940 A JPH0710940 A JP H0710940A
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propylene
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隆明 上田
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能達 西嶋
Keiji Urata
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 各種合成樹脂のフィルム、シート又は成型物
に対し優れた諸物性を示す塗料、印刷インキあるいは接
着剤用のバインダー樹脂組成物を提供する。 【構成】 α−オレフィン重合体及び/又はプロピレン
−α−オレフィン共重合体に、α,β−不飽和カルボン
酸及び/又はその無水物をグラフト共重合し、塩素化し
た後、更にポリエステルポリオールを反応させ、ラジカ
ル重合性不飽和物をグラフト共重合して得られるバイン
ダー樹脂組成物。 【効果】 塩素及びポリエステルポリオールを導入して
ラジカル重合性不飽和物をグラフト共重合することによ
り、顔料分散性、塗膜の光沢性、耐ガソリン性等が向上
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種プラスチックの保
護、美粧及び接着を目的として用いられるバインダー樹
脂組成物に関し、更に詳しくは、ポリオレフィン系樹
脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル
系樹脂、ポリエステル系樹脂等、各種合成樹脂のフィル
ム、シート又は成形物に対し優れた諸物性を示す塗料、
印刷インキ、あるいは接着剤用のバインダー樹脂組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチックは、高生産性でデザインの
自由度が広く、軽量、防錆、耐衝撃性等多くの利点があ
るため、近年、自動車部品、電気部品、建築資材等の材
料として多く用いられている。とりわけポリオレフィン
系樹脂は、価格が安く成形性、耐薬品性、耐熱性、耐水
性、良好な電気特性など、多くの優れた性質を有するた
め、工業材料として広範囲に使用されており、将来その
需要の伸びが最も期待されている材料の一つである。
【0003】しかしながらポリオレフィン系樹脂は、ポ
リウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹
脂、ポリエステル系樹脂等、極性を有する合成樹脂と異
なり、非極性でかつ結晶性のため、塗装や接着が困難で
あると言う欠点を有する。従来よりポリオレフィン系樹
脂成形物の表面を、プラズマ処理やガス炎処理し活性化
することにより付着性を改良しているが、この方法は工
程が複雑で多大な設備費や時間的なロスを伴うこと、又
成形物の形の複雑さ及び樹脂中の顔料や添加物の影響に
より、表面処理効果にバラツキを生ずる等の欠点を有し
ている。
【0004】このような前処理なしに塗装する方法とし
て、自動車のポリプロピレンバンパー塗装に見られるよ
うなプライマー組成物が種々提案されている。
【0005】例えば特開昭57-36128号公報、特公昭63-3
6624号公報には塩素化変性ポリオレフィンを主成分とし
たプライマー組成物が開示されているが、これら塩素化
物からなるプライマーはポリオレフィンに対する付着性
は優れるものの耐候性や耐ガソリン性に劣るという欠点
を有しておりその用途は限られていた。
【0006】また、特公昭62-21027号公報には、プロピ
レン−α−オレフィン共重合体をマレイン酸変性した表
面処理剤が提案されている。しかしポリオレフィンにマ
レイン酸を導入しただけのプライマー組成物では、付着
性、耐溶剤性はあるが、スプレー性、溶解性、相溶性が
悪いという欠点を有している。また、ツーコート仕上げ
という煩雑さを伴うものであった。
【0007】ワンコート仕上げ用の被覆用組成物として
は、ポリオレフィン系樹脂に対して強い付着力を有する
塩素化ポリオレフィンや環化ゴム等があるが、耐候性、
耐湿性、耐ガソリン性等が劣り十分な塗膜性能を示さな
い。
【0008】これらの欠点を改良するため特開昭58-719
66号公報に見られるような、アクリル系単量体と塩素化
ポリオレフィンを共重合して得られる被覆用組成物や、
特開昭59-27968号公報に見られるような、水酸基を有す
るアクリル系単量体等と塩素化ポリオレフィンを共重合
させた、塩素化ポリオレフィン変性水酸基含有アクリル
共重合体とイソシアネート化合物を必須成分として成る
塗料組成物や、特開昭62-95372号公報に見られるよう
な、塩素化ポリオレフィンと液状ゴムの存在下で、水酸
基を有するアクリル系単量体等と共重合した水酸基含有
アクリル変性塩素化ポリオレフィン及びイソシアネート
化合物を主成分として成る接着剤樹脂組成物などが提案
されている。しかしこれらアクリル変性樹脂においても
耐候性、耐ガソリン性に問題がある。
【0009】一方、食品包装用材料としても、様々な種
類のプラスチックフィルムが開発され使用されている。
それに伴って包装形態も多様化しており、特に包装内容
物を保護するために、ラミネートによる複合フィルムの
使用が多くなっている。
【0010】これら包装用に使用されるラミネート用イ
ンキは、フィルムの種類により数多くのインキを使い分
けていたが、今日では該ラミネート用インキは2種類に
大別されるようになってきている。即ち、専らポリプロ
ピレンフィルムに用いられる塩素化ポリプロピレンと塩
素化エチレン酢酸ビニル共重合体を主たるバンイダーと
するインキ組成物と、専らポリエステル、ナイロンフィ
ルムに用いられるウレタン樹脂を主たるバインダーとす
るインキ組成物である。
【0011】前者の塩素化ポリプロピレンと塩素化エチ
レン酢酸ビニル共重合体を主たるバインダーとするイン
キ組成物は、例えば特公昭60-31670号公報に、また塩素
化エチレン酢酸ビニル共重合体を更にスルフォクロル化
したインキ組成物は、特開昭55-145775 号公報に示され
ている。これらは未処理ポリプロピレンフィルムに対し
てインキの接着性は良好であるが、ポリエステル、ナイ
ロン等のフィルムに対しては接着性に乏しい。
【0012】後者のウレタン系樹脂を主たるバインダー
とするインキ組成物は、特開昭62-153366号公報、特開
昭62-153367 号公報で示されるように、ポリエステル及
びナイロンなどの極性を有するフィルムに対しては良好
な接着性を示すが未処理ポリプロピレンフィルムに対し
てはまったく付着性がない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上記のようにプライマ
ー用、また、ワンコート仕上げ用の被覆用組成物とし
て、アクリル変性塩素化ポリオレフィンやアクリル変性
ポリオレフィン等、種々提案されているが耐ガソリン
性、耐候性など塗膜物性は十分とはいえない。一方、従
来の印刷インキにおいては基材フィルムが限定され、あ
るいは基材フィルムに対して汎用性を有していても接着
性が不十分であるなどの問題を抱えていた。
【0014】そこで本発明者等は、特願平3-293710号及
び特願平4-29898 号において、エチレン−プロピレン共
重合体とラジカル重合性不飽和モノマーを共重合した樹
脂組成物を提案したが、これらの樹脂組成物は耐ガソリ
ン性、塗膜の光沢性及び他樹脂との相溶性の点でまだ不
十分であった。
【0015】更に本発明者らは、特願平4-149841号にお
いて、上記の欠点である耐ガソリン性を向上させた樹脂
組成物を提案したが、これらの組成物は塗膜の光沢性及
び他樹脂との相溶性の点で不十分であった。
【0016】本発明は上記の提案の欠点であった塗膜の
光沢性及び他樹脂との相溶性、耐ガソリン性、耐久性等
を改良したバインダー樹脂組成物を、更には、各種プラ
スチックフィルムに対しても良好な接着性を示すバイン
ダー樹脂組成物を提供するものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明はα−オレ
フィン重合体及び/又はプロピレン−α−オレフィン共
重合体に、α,β−不飽和カルボン酸及び/又はその無
水物を 0.5〜10wt%グラフト共重合した後、塩素化し、
更に、ポリエステルポリオール(多価アルコールと多塩
基酸を縮合して得られ、分子鎖中に2個以上の水酸基を
有するポリエステル樹脂)を部分的に反応させた後、ラ
ジカル重合性不飽和物をグラフト共重合して得られるバ
インダー樹脂組成物である。
【0018】本発明に用いられるα−オレフィン重合体
としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテ
ン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ヘキセン、1−
デセン、4−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィ
ンを重合したものを例示することができる。
【0019】また、プロピレン−α−オレフィン共重合
体は、プロピレンを主体としてこれにα−オレフィンを
共重合したものであり、特にブロック共重合体よりラン
ダム共重合体が望ましい。α−オレフィン成分として
は、上記のものが使用できる。
【0020】本発明においては、共重合体におけるプロ
ピレン成分とα−オレフィン成分との比に特に制限はな
いが、プロピレン成分が50モル%以上であることが望ま
しい。
【0021】α−オレフィン重合体及び/又はプロピレ
ン−α−オレフィン共重合体にグラフト共重合するα,
β−不飽和カルボン酸又はその無水物としては、(メ
タ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、(無水)シトラ
コン酸、フマル酸、メサコン酸、(無水)イタコン酸、
(無水)アコニット酸などが挙げられる。
【0022】本発明において、α,β−不飽和カルボン
酸又はその無水物をグラフト共重合によって導入する量
は、 0.5〜10wt%が最適である。 0.5wt%より少ない場
合は、得られた組成物は2層分離し、良好な塗料やイン
キが得られない。10wt%より多い場合は反応中ゲル化
し、バインダー樹脂として使用できない。
【0023】α−オレフィン重合体及び/又はプロピレ
ン−α−オレフィン共重合体に、α,β−不飽和カルボ
ン酸又はその無水物をグラフト共重合する方法は、ラジ
カル発生剤の存在下で上記重合体及び/又は共重合体を
融点以上に加熱溶融して反応させる方法(溶融法)、上
記重合体及び/又は共重合体を有機溶剤に溶解させた
後、ラジカル発生剤の存在下で加熱攪拌して反応させる
方法(溶液法)等、公知の方法によって行うことができ
る。
【0024】溶融法の場合には、バンバリーミキサー、
ニーダー、押し出し機等を使用し融点以上 300℃以下の
温度で短時間で反応させるので、操作が簡単であるとい
う利点がある。
【0025】一方、溶液法に於いては、有機溶剤として
トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤を使うことが望ま
しいが、他にエステル系溶剤、ケトン系溶剤等を一部混
合して使用しても差し支えない。反応に用いるラジカル
発生剤は公知のものの中より適宜選択することができる
が、特に有機過酸化物系化合物が望ましい。
【0026】上記有機過酸化物系化合物としては、例え
ば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキ
サイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイル
パーオキサイド、ジラウリルパーオキサイド、クメンハ
イドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサ
イド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,
5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t
−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン、シクロヘキサ
ノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエー
ト、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチル
パーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、
t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t
−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、クミル
パーオキシオクトエート等が挙げられる。
【0027】α,β−不飽和カルボン酸又はその無水物
をグラフト共重合したα−オレフィン重合体及び/又は
プロピレン−α−オレフィン共重合体を塩素化して得ら
れる塩素化α−オレフィン重合体及び/又は塩素化プロ
ピレン−α−オレフィン共重合体の塩素含有率は10〜50
wt%の間で使用でき、好ましくは15〜35wt%である。塩
素含有率が低いと塗膜の光沢性及び他樹脂との相溶性に
劣り、塩素含有率が高くなるとポリプロピレン系樹脂と
の付着性が劣る。
【0028】塩素化α−オレフィン重合体及び/又は塩
素化プロピレン−α−オレフィン共重合体は、α−オレ
フィン重合体及び/又はプロピレン−α−オレフィン共
重合体に、α,β−不飽和カルボン酸又はその無水物を
グラフト共重合したものを四塩化炭素等の塩素系溶剤に
溶解した後、紫外線を照射しながら、あるいは、上記有
機過酸化物の存在下ガス状の塩素を吹き込む事により得
られる。
【0029】本発明に用いられるポリエステルポリオー
ルは下記の多価アルコールと多塩基酸を公知の方法で縮
合重合させる事により、また、脂肪族ラクトン類の開環
重合により得られる。
【0030】多価アルコールとしては、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、
ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、
1,2−、1,3−、1,4−、2,3−ブタンジオー
ル、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−
ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の1種
以上の多価アルコールを組み合わせて用いる事ができ
る。
【0031】また、多塩基酸としては、(無水)フタル
酸、(無水)テトラヒドロフタル酸、(無水)ヘキサヒ
ドロフタル酸、(無水)メチルテトラヒドロフタル酸、
(無水)トリメット酸、(無水)ピロメリット酸、イソ
フタル酸、テレフタル酸、(無水)マレイン酸、フマル
酸、イタコン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、(無水)コハク酸、乳酸、(無水)ドデセニルコハ
ク酸等の1種以上の多塩基酸を組み合わせて用いる事が
できる。
【0032】また、脂肪族ラクトンとしては、γ−カプ
ロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクト
ン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メ
チル−δ−バレロラクトン等の1種以上の飽和脂肪族ラ
クトンを組み合わせて用いる事ができる。
【0033】上記のポリエステルポリオールは水酸基価
が30〜250KOHmg/gのものが最適である。水酸基価が 30K
OHmg/g以下のものは塗料としたとき硬化性が不良とな
り、また250KOHmg/g以上では耐水性の低下を招く。
【0034】また、ポリエステルポリオールの平均分子
量は 300〜5000のものが使用できる。平均分子量が 300
以下のものは塗料としたときの耐久性に劣り、また5000
以上では均一な溶液が得られずバインダー樹脂として使
用できない。
【0035】ポリエステルポリオールの添加量は塩素化
α−オレフィン重合体及び/又は塩素化プロピレン−α
−オレフィン共重合体に対して5〜50wt%が最適であ
る。50wt%より多い場合は反応中にゲル化あるいは均一
な溶液が得られず、また耐水性も低下しバインダー樹脂
として使用できない。5wt%より少ない場合は、その添
加効果が少なく、良好なインキや塗料が得られない。
【0036】ポリエステルポリオールは、α,β−不飽
和カルボン酸又はその無水物をグラフト共重合し、更に
塩素化した、塩素化α−オレフィン重合体及び/又は塩
素化プロピレン−α−オレフィン共重合体とのエステル
化あるいはエステル交換反応により導入でき、その方法
としては、融点以上に加熱溶融させて反応させる方法
(溶融法)又はトルエン、キシレン等の有機溶剤に溶解
させて反応させる方法(溶液法)のいずれでもよいが、
脱塩基を抑え、また反応が均一に行えるという点から考
えると溶液法が好ましい。
【0037】ポリエステルポリオールの導入を溶融法で
行う場合、前述のα,β−不飽和カルボン酸又はその無
水物をグラフト共重合させる反応の場合と同様な方法及
び装置で行うことが可能である。反応温度はポリマーの
融点以上で行い、反応時間は10分〜3時間が適当であ
る。
【0038】ポリエステルポリオールの導入を溶液法で
行う場合の反応温度は常温〜160 ℃の範囲で実施でき、
反応時間は1〜5時間が適当である。溶剤としては、芳
香族系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤等を前述と
同様な方法で用いることができる。
【0039】いずれの方法でポリエステルポリオールを
導入する場合も、無機酸、有機酸、第3級アミン等の触
媒を使用してもよいが、勿論触媒を用いずに反応させる
こともできる。
【0040】上記の方法でポリエステルポリオールを導
入した塩素化α−オレフィン重合体及び/又は塩素化プ
ロピレン−α−オレフィン共重合体と、ラジカル重合性
不飽和物を共重合反応する方法は溶液重合が最も適して
いる。使用する溶剤は、前述の芳香族系溶剤、エステル
系溶剤、ケトン系溶剤等を同様にして使用できるが、モ
ノアルコール類を一部添加して反応することもできる。
【0041】具体的な共重合の方法は、ポリエステルポ
リオールが導入された塩素化α−オレフィン重合体及び
/又は塩素化プロピレン−α−オレフィン共重合体をト
ルエン等の溶剤で適当に希釈した後加温し、ラジカル発
生剤及びラジカル重合性不飽和物を徐々に加えながら反
応することを基本プロセスとするが、これらを予め混合
しラジカル発生剤を添加した後加温し反応しても差し支
えない。
【0042】ラジカル発生剤としては、前述の有機過酸
化物の他にアゾ系化合物、スルフィド類、スルフィン
類、ジアゾ化合物、ニトロソ化合物、レドックス系等が
使用できる。
【0043】ラジカル重合性不飽和物としては、例え
ば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロ
キシブチル(メタ)アクリレートや2−ヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリレートをカプロラクトン類でエステル
化した(ポリ)カプロラクトン変性(メタ)アクリレー
ト、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アク
リレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチ
ル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アク
リレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、
ラウリル(メタ)アクリレート、スチレン、酢酸ビニ
ル、(メタ)アクリルニトリル、グリシジル(メタ)ア
クリレート、アリルグリシジルエーテル等があげられ
る。
【0044】ラジカル重合性不飽和物の添加量は、塩素
化α−オレフィン重合体及び/又は塩素化プロピレン−
α−オレフィン共重合体に対し、5〜200 wt%が最適で
ある。5wt%以下では溶剤への溶解性や顔料分散性等が
劣りインキや塗料とした場合十分な性能が得られない。
200wt%以上ではポリオレフィンに対する付着性が悪く
なる。
【0045】本発明の水酸基を有するラジカル重合性不
飽和物又はグリシジル基を有するラジカル重合性不飽和
物を共重合して得られたバインダー樹脂は、硬化剤とし
てイソシアネート化合物又は1分子中に−NH基か−N
2 基を2個以上含有する化合物を配合することによ
り、耐ガソリン性、耐候性、耐湿性、耐熱水性(ボイ
ル、レトルト性)等、塗料やインキに必要な塗膜物性を
向上させることができる。
【0046】水酸基を有するラジカル重合性不飽和物又
はグリシジル基を有するラジカル重合性不飽和物の含有
量は5〜40wt%が最適である。これより少ない場合は塗
膜としたとき硬化不良を起こし、又これより多いと基材
への密着性が低下する。
【0047】イソシアネート化合物としては、トリレン
ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシア
ネート、イソホロンジイソシアネート等の有機ジイソシ
アネート類が使用できるが、これらの有機ジイソシアネ
ート類を、ビューレット体、イソシアヌレート体、トリ
メチロールプロパンアダクト体等のイソシアネート誘導
体に変性して用いるのが好ましい。
【0048】1分子中に−NH基か−NH2 基を2個以
上含有する化合物としては、エチレンジアミン、ジエチ
レントリアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチ
レンヘキサミンの様な脂肪族アミン類、イソホロンジア
ミン、1,3−ジアミノシクロヘキサンの様な脂環族ポ
リアミン、m−キシレンジアミンの様な芳香族アミン
類、重合脂肪酸等と反応させて得られるポリアミド樹脂
等が使用できる。
【0049】本発明のバインダー樹脂組成物は、そのま
まコーティングして用いても良いが、顔料、溶剤、その
他の添加剤を加え混練し塗料やインキとして用いること
ができる。また該組成物はそれだけでバランスのとれた
塗膜物性を示すが、必要であれば、アルキッド樹脂、ア
クリル樹脂、ポリアクリルポリオール、ポリエステル樹
脂、ポリエステルポリオール、ポリエーテル樹脂、ポリ
エーテルポリオール、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリオ
レフィン等を更に添加して用いても差し支えない。
【0050】
【作用】本発明の特徴とするところは、他の類似の発明
品に比べ、遥かに均一で且つ塗膜の光沢性及び他樹脂と
の相溶性にも優れ耐ガソリン性の向上したバインダー樹
脂溶液を得ることにある。
【0051】即ち、α−オレフィン重合体及び/又はプ
ロピレン−α−オレフィン共重合体に、α,β−不飽和
カルボン酸及び/又はその無水物を付加させ、塩素化し
た後、少なくとも1個のポリエステルポリオールを該カ
ルボキシル基又は酸無水物基に部分的に反応させ、更に
ラジカル重合性不飽和物をグラフト共重合することによ
り均一で且つ塗膜の光沢性及び他樹脂との相溶性にも優
れ耐ガソリン性の向上したバインダー樹脂溶液が得られ
る。
【0052】本来α−オレフィン重合体及び/又はプロ
ピレン−α−オレフィン共重合体は溶剤への溶解性に乏
しく、また耐ガソリン性にも劣るが、塩素化する事によ
り溶解性が向上し、また、極性の高いポリエステルポリ
オールをα−オレフィン重合体及び/又はプロピレン−
α−オレフィン共重合体に導入する事により樹脂自体の
極性が高くなり耐ガソリン性が向上したものと考えられ
る。また、極性が付与されたため極性溶剤に対する溶解
性や顔料分散性が改良され、良好な塗膜物性を示すバイ
ンダー樹脂溶液が得られたものと考えられる。
【0053】
【実施例】次に本発明を実施例により更に詳細に説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0054】(試作例−1)攪拌機、冷却管、温度計及
び滴下ロートを取り付けた4つ口フラスコ中で、160 ℃
における溶融粘度が約4000cps であるアイソタクチック
ポリプロピレン300 gを 200℃に加熱溶解させた後、無
水マレイン酸25gとラジカル発生剤としてジ−t−ブチ
ルパーオキシド12gをそれぞれ2時間かけて滴下し3時
間熟成を行い、グラフト量 4.4wt%の無水マレイン酸グ
ラフト共重合体を得た。
【0055】次にこの共重合体をグラスライニングされ
た反応釜に投入し、5Lの四塩化炭素を加え、2kg/cm
2 の圧力下、紫外線を照射しながら塩素含有率が24wt%
になるまでガス状の塩素を反応釜底部より吹き込んだ。
反応終了後、溶媒である四塩化炭素をエバポレーターで
留去し、トルエンで置換し無水マレイン酸で変性された
塩素化ポリオレフィンの30wt%トルエン溶液を得た。
【0056】(試作例−2)攪拌機、冷却管、温度計及
び滴下ロートを取り付けた4つ口フラスコ中で、プロピ
レン−α−オレフィン共重合体(プロピレン成分75モル
%、エチレン成分20モル%、1−ブテン成分5モル%、
重量平均分子量75,000) 300gをトルエン700 gに加熱
溶解された後、系の温度を 115℃に保って攪拌しながら
無水マレイン酸13gとラジカル発生剤としてジ−t−ブ
チルパーオキシド12gをそれぞれ2時間かけて滴下させ
その後3時間熟成を行った。反応後室温まで冷却した後
反応物を20Lのアセトン中に投入して精製しグラフト量
2.1wt%の無水マレイン酸グラフト共重合体を得た。
【0057】次にこの共重合体をグラスライニングされ
た反応釜に投入し、5Lの四塩化炭素を加え、2kg/cm
2 の圧力下、紫外線を照射しながら塩素含有率が18wt%
になるまでガス状の塩素を反応釜底部より吹き込んだ。
反応終了後、溶媒である四塩化炭素をエバポレーターで
留去し、トルエンで置換し無水マレイン酸で変性された
塩素化ポリオレフィンの30wt%トルエン溶液を得た。
【0058】(試作例−3)無水マレイン酸25gを滴下
する以外は試作例−2とまったく同様な方法でグラフト
反応を行い、グラフト量 4.4wt%の無水マレイン酸グラ
フト共重合体を得た。この無水マレイン酸グラフト共重
合体をトルエンに溶解し30wt%トルエン溶液とした。
【0059】(実施例−1)試作例−1と同様な4つ口
フラスコ中で、試作例−1で得た塩素化した無水マレイ
ン酸グラフト共重合体の30wt%トルエン溶液 333gに3
−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸を縮
重合して得られた、水酸基価114KOHmg/g、平均分子量10
30のポリエステルポリオール20gを溶解させた後、濃硫
酸0.07gを添加し 110℃で2時間エステル化反応を行っ
た。
【0060】次にt−ブチルパーオキシイソプロピルカ
ーボネート 8.3gを添加し、シクロヘキシルアクリレー
ト80g及び2−ヒドロキシエチルアクリレート20gから
成るラジカル重合性不飽和物とトルエン97gを混合した
溶液を3時間かけて滴下させ、更に7時間に亘って共重
合反応を行い、塩素化α−オレフィン重合体にラジカル
重合性不飽和物をグラフト共重合したバインダー樹脂溶
液を得た。バインダー樹脂溶液の固形分濃度をトルエン
で40wt%に調整した。
【0061】バインダー樹脂と他樹脂の相溶性を20%ト
ルエン溶液で試験した。相溶性試験結果を表1に示し
た。
【0062】得られたバインダー樹脂溶液(solid 40
%) 100gと二酸化チタン24gをサンドミルで3時間混
練した後、イソシアネート硬化剤 デスモジュールZ43
70(住友バイエルウレタン(株)製、イソホロンジイソ
シアネート系、イソシアヌレート体) 5.2gを添加し、
No.4フォードカップで13〜15秒/20℃になるようキシ
レンで粘度調整を行い、ポリプロピレン板、TX−933A
(三菱油化(株)製)にスプレー塗装した。室温で15分
間乾燥した後、80℃で30分間強制乾燥し、1週間室内に
静置した後塗膜の試験を行った。結果を表2に示した。
【0063】(実施例−2)試作例−2で得た塩素化し
た無水マレイン酸グラフト共重合体溶液 333gに3−メ
チル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸を縮重合
して得られた、水酸基価214KOHmg/g、平均分子量 520の
ポリエステルポリオール20gを溶解させた後、濃硫酸0.
07gを添加し 110℃で2時間エステル化反応を行った。
【0064】次にt−ブチルパーオキシイソプロピルカ
ーボネート 8.3gを添加し、シクロヘキシルアクリレー
ト80g及び2−ヒドロキシエチルアクリレート20gから
成るラジカル重合性不飽和物とトルエン97gを混合した
溶液を3時間かけて滴下させ、更に7時間に亘って共重
合反応を行い、塩素化プロピレン−α−オレフィン共重
合体にラジカル重合性不飽和物をグラフト共重合したバ
インダー樹脂溶液を得た。バインダー樹脂溶液の固形分
濃度をトルエンで40wt%に調整した。実施例−1と同様
に相溶性試験及び塗料を製造し塗膜試験を行った。
【0065】(実施例−3)試作例−2で得た塩素化し
た無水マレイン酸グラフト共重合体溶液 333gに3−メ
チル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸を縮重合
して得られた、水酸基価214KOHmg/g、平均分子量 520の
ポリエステルポリオール10gを溶解させた後、濃硫酸0.
07gを添加し 110℃で2時間エステル化反応を行った。
【0066】次にt−ブチルパーオキシイソプロピルカ
ーボネート 8.3gを添加し、シクロヘキシルアクリレー
ト50g、メチルメタクリレート30g及び2−ヒドロキシ
エチルアクリレート20gから成るラジカル重合性不飽和
物とトルエン82gを混合した溶液を3時間かけて滴下さ
せ、更に7時間に亘って共重合反応を行い、塩素化プロ
ピレン−α−オレフィン共重合体にラジカル重合性不飽
和物をグラフト共重合したバインダー樹脂溶液を得た。
バインダー樹脂溶液の固形分濃度をトルエンで40wt%に
調整した。実施例−1と同様に相溶性試験及び塗料を製
造し塗膜試験を行った。
【0067】(比較例−1)試作例−1と同様な4つ口
フラスコ中で、試作例−1で得た塩素化した無水マレイ
ン酸グラフト共重合体溶液 333gに、濃硫酸0.07g、t
−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート 8.3gを
添加し、シクロヘキシルアクリレート80g及び2−ヒド
ロキシエチルアクリレート20gから成るラジカル重合性
不飽和物とトルエン67gを混合した溶液を3時間かけて
滴下させ、更に7時間に亘って共重合反応を行い、塩素
化α−オレフィン重合体にラジカル重合性不飽和物をグ
ラフト共重合したバインダー樹脂溶液を得た。バインダ
ー樹脂溶液の固形分濃度をトルエンで40wt%に調整し
た。実施例−1と同様に相溶性試験及び塗料を製造し塗
膜試験を行った。
【0068】(比較例−2)試作例−2で得た塩素化し
た無水マレイン酸グラフト共重合体溶液 333gに3−メ
チル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸を縮重合
して得られた、水酸基価214KOHmg/g、平均分子量 520の
ポリエステルポリオール60gを溶解させた後、濃硫酸0.
07gを添加し 110℃で2時間かけてエステル化反応を行
った。
【0069】次にt−ブチルパーオキシイソプロピルカ
ーボネート 8.3gを添加し、シクロヘキシルアクリレー
ト80g及び2−ヒドロキシエチルアクリレート20gから
成るラジカル重合性不飽和物とトルエン 157gを混合し
た溶液を3時間かけて滴下させ、更に7時間に亘って共
重合反応を行い、塩素化プロピレン−α−オレフィン共
重合体にラジカル重合性不飽和物をグラフト共重合した
バインダー樹脂溶液を得た。バインダー樹脂溶液の固形
分濃度をトルエンで40wt%に調整した。実施例−1と同
様に相溶性試験及び塗料を製造し塗膜試験を行った。
【0070】(比較例−3)試作例−3で得た無水マレ
イン酸グラフト共重合体溶液 333gに3−メチル−1,
5−ペンタンジオールとアジピン酸を縮重合して得られ
た、水酸基価 214KOHmg/g 、平均分子量 520のポリエス
テルポリオール10gを溶解させた後、濃硫酸0.07gを添
加し 110℃で2時間かけてエステル化反応を行った。
【0071】次にt−ブチルパーオキシイソプロピルカ
ーボネート 8.3gを添加し、シクロヘキシルアクリレー
ト80g及び2−ヒドロキシエチルアクリレート20gから
成るラジカル重合性不飽和物とトルエン97gを混合した
溶液を3時間かけて滴下させ、更に7時間に亘って共重
合反応を行い、プロピレン−α−オレフィン共重合体に
ラジカル重合性不飽和物をグラフト共重合したバインダ
ー樹脂溶液を得た。バインダー樹脂溶液の固形分濃度を
トルエンで40wt%に調整した。実施例−1と同様に相溶
性試験及び塗料を製造し塗膜試験を行った。
【0072】(実施例−4)実施例−1で得たバインダ
ー樹脂溶液(solid 40%) 100gと二酸化チタン17gを
サンドミルで3時間混練した後、トルエンで適当に希釈
して、ポリプロピレン板、TX−933A(三菱油化(株)
製)にスプレー塗装した。室温で10分間放置した後、二
液型ウレタン上塗り塗料をスプレー塗装した。室温で15
分間乾燥した後、80℃で30分間強制乾燥し、1週間室内
に静置した後塗膜の試験を行った。結果を表3に示し
た。
【0073】(実施例−5)実施例−2で得たバインダ
ー樹脂溶液(solid 40%)を使用する以外は実施例−4
と同様に試験を行った。
【0074】(実施例−6)実施例−3で得たバインダ
ー樹脂溶液(solid 40%)を使用する以外は実施例−4
と同様に試験を行った。
【0075】(比較例−4)比較例−1で得たバインダ
ー樹脂溶液(solid 40%)を使用する以外は実施例−4
と同様に試験を行った。
【0076】(比較例−5)比較例−2で得たバインダ
ー樹脂溶液(solid 40%)を使用する以外は実施例−4
と同様に試験を行った。
【0077】(比較例−6)比較例−3で得たバインダ
ー樹脂溶液(solid 40%)を使用する以外は実施例−4
と同様に試験を行った。
【0078】(実施例−7)実施例−1で得たバインダ
ー樹脂溶液(solid 40%)でインキを調整し、コーティ
ングロッド#10で未処理ポリプロピレンフィルム(以下
未処理PPと称す)、ポリエチレンテレフタレートフィ
ルム(以下PETと称す)、ナイロンフィルム(以下N
Yと称す)にそれぞれ塗工し、24時間室温で乾燥した
後、セロファン粘着テープを用いセロテープ剥離試験及
びヒートシール強度試験を行った。結果を表5に示し
た。尚、インキの配合処方は表4に示した。
【0079】(実施例−8)実施例−2で得たバインダ
ー樹脂溶液(solid 40%)を使用する以外は実施例−7
と同様にインキを調整し、セロテープ剥離試験及びヒー
トシール強度試験を行った。
【0080】(比較例−7)比較例−7として、塩素化
ポリプロピレン スーパクロン803MW(山陽国策パ
ルプ(株)製、塩素含有率29.5wt%、固形分20wt%)と
塩素化エチレン酢酸ビニル共重合体 スーパークロンB
X(山陽国策パルプ(株)製、塩素含有率18wt%、固形
分20wt%)の混合物でインキを調整し同様な試験行っ
た。
【0081】(比較例−8)比較例−8として、ポリウ
レタン樹脂 サンブレンIB−450 (三洋化成工業
(株)製、固形分30wt%)でインキを調整し、同様な試
験を行った。
【0082】
【表1】 表中の判定基準 ◎:良好 ○:僅かに白濁 △:白濁 ×:二層分離
【0083】
【表2】 塗膜の試験結果
【0084】試験方法 ・付着性 塗面上に1mm間隔で素地に達する 100個の碁盤目を作
り、その上にセロファン粘着テープを密着させて 180°
方向にひきはがし、塗膜の残存する程度で判定した。
【0085】・促進耐候性 カーボンアーク式のサンシャインウエザーメーターを使
用した。白色度はハンターで、光沢度は60°鏡面反射光
沢度計で測定した。
【0086】・耐温水性 40℃の温水に塗装板を 120時間及び 240時間浸漬し、塗
膜の状態を調べた。
【0087】・耐ガソリン性 (ラビング 100回)脱脂綿に日石レギュラーガソリンを
しみ込ませ、塗面を 100回ラビングし、塗膜の状態を調
べた。 (浸漬2時間)塗面上に素地に達するスクラッチ(×)
を入れ、日石レギュラーガソリンに2時間浸漬し、塗膜
の状態を調べた。
【0088】・耐屈曲性 試験片を 1/2φインチマンドレルで 180°折り曲げ、塗
膜の状態を調べた。
【0089】・耐衝撃性 デュポン式衝撃試験機で、撃芯 1/2φインチ、荷重 500
gを使用し、塗面上に50cmの高さから落下させ、塗膜の
状態を調べた。
【0090】
【表3】 表中の判定基準 ◎:良好 ○:ほぼ良好 △:やや不良 ×:不良
【0091】試験方法 ・付着性 塗面上に1mm間隔で素地に達する 100個の碁盤目を作
り、その上にセロファン粘着テープを密着させて 180°
方向にひきはがし、塗膜の残存する程度で判定した。
【0092】・耐湿性 50℃、98RH% の雰囲気下に塗装板を 120時間及び 240時
間放置し、塗膜の状態を調べた。
【0093】・耐温水性 40℃の温水に塗装板を 120時間及び 240時間浸漬し、塗
膜の状態を調べた。
【0094】・耐ガソリン性 (ラビング 100回)脱脂綿に日石レギュラーガソリンを
しみ込ませ、塗面を 100回ラビングし、塗膜の状態を調
べた。 (浸漬4時間)塗面上に素地に達するスクラッチ(×)
を入れ、日石レギュラーガソリンに4時間浸漬し、塗膜
の状態を調べた。
【0095】・耐屈曲性 試験片を 1/2φインチマンドレルで 180°折り曲げ、塗
膜の状態を調べた。
【0096】・耐衝撃性 デュポン式衝撃試験機で、撃芯 1/2φインチ、荷重 500
gを使用し、塗面上に50cmの高さから落下させ、塗膜の
状態を調べた。
【0097】
【表4】 ・二酸化チタン(石原産業(株)製、ルチル型R−820) ・カーミン6BN(東洋インキ製造(株)製、アゾ系有
機顔料) ・インキの練肉条件:サンドミルで2時間混練
【0098】
【表5】
【0099】・セロテープ剥離試験 インキ塗工面上にセロファン粘着テープを貼付け、一気
に剥したときの塗工面の剥離状態で判定した。
【0100】・ヒートシール強度試験 インキ塗工面を重ね合わせて、 110℃−1kg/cm2 で1
秒間の圧着条件でヒートシールを行い、24時間後テンシ
ロンにて 180°剥離強度試験を行った。(引張り速度50
mm/min)
【0101】
【発明の効果】
(表1,2,3の結果より)実施例−1〜6のバインダ
ー樹脂は他樹脂との相溶性に優れ、塗料組成物は耐候
性、耐久性、耐ガソリン性ともに良好な結果を示してい
るが、比較例−1〜6の塗料組成物は諸物性が劣ってい
る。比較例−1,4の場合、ポリエステルポリオールが
添加されていないため、また、比較例−2,5の場合、
ポリエステルポリオールの添加量が多すぎるため、比較
例−3,6の場合は塩素化されていないため塗膜物性を
低下させているものと思われる。このことより、本発明
のバインダー樹脂組成物が塗膜物性に優れバランスのと
れた塗料樹脂であると言える。
【0102】(表5の結果より)比較例−7の塩素化ポ
リプロピレン/塩素化エチレン酢酸ビニル共重合体系の
インキはPPフィルムに対して良好な付着性を示すが、
PET、NYフィルムには付着性がなく実用強度にはほ
ど遠い。比較例−8のポリウレタン系のインキはPE
T、NYフィルムには付着するが、PPフィルムには付
着強度が十分でない。実施例7及び8のインキはPPフ
ィルムにもPET、NYフィルムにも良好な接着性を示
し、本発明品が汎用性の高いインキ用バインダーである
ことが分かる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年12月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の名称
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】 バインダー樹脂組成物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09J 175/04 JFB

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 α−オレフィン重合体及び/又はプロピ
    レン−α−オレフィン共重合体に、α,β−不飽和カル
    ボン酸及び/又はその無水物を 0.5ないし10wt%グラフ
    ト共重合した後、塩素化し、更に、ポリエステルポリオ
    ールを部分的に反応させた後、ラジカル重合性不飽和物
    をグラフト共重合して得られるバインダー樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 塩素化α−オレフィン重合体及び/又は
    塩素化プロピレン−α−オレフィン共重合体の塩素含有
    率が10〜50wt%である請求項1記載のバインダー樹脂組
    成物。
  3. 【請求項3】 ポリエステルポリオールの水酸基価が30
    〜250 KOHmg/g である請求項1記載のバインダー樹脂組
    成物。
  4. 【請求項4】 ポリエステルポリオールの平均分子量が
    300〜5000である請求項1記載のバインダー樹脂組成
    物。
  5. 【請求項5】 ポリエステルポリオールの添加量が塩素
    化α−オレフィン重合体及び/又は塩素化プロピレン−
    α−オレフィン共重合体に対し5〜50wt%である請求項
    1記載のバインダー樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 ラジカル重合性不飽和物を、塩素化α−
    オレフィン重合体及び/又は塩素化プロピレン−α−オ
    レフィン共重合体に対し、5〜200 wt%グラフト共重合
    した請求項1記載のバインダー樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 ラジカル重合性不飽和物が、水酸基を有
    するラジカル重合性不飽和物を5〜40wt%の割合で含有
    する事を特徴とする請求項1記載のバインダー樹脂組成
    物。
  8. 【請求項8】 ラジカル重合性不飽和物が、グリシジル
    基を有するラジカル重合性不飽和物を5〜40wt%の割合
    で含有する事を特徴とする請求項1記載のバインダー樹
    脂組成物。
  9. 【請求項9】 請求項1〜7記載のバインダー樹脂組成
    物に硬化剤としてイソシアネート化合物を配合すること
    を特徴とした、塗料及び印刷インキ又は接着剤用バイン
    ダー樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 請求項1〜6及び8記載のバインダー
    樹脂組成物に硬化剤として1分子中に−NH基か−NH
    2 基を2個以上含有する化合物を配合することを特徴と
    した、塗料及び印刷インキ又は接着剤用バインダー樹脂
    組成物。
  11. 【請求項11】 請求項1〜8記載のバインダー樹脂組
    成物の製法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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WO2018062182A1 (ja) * 2016-09-28 2018-04-05 日本製紙株式会社 変性ポリオレフィン系樹脂

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