JPH07109028B2 - 塗膜密着性の優れた透明塗装着色ステンレス鋼板 - Google Patents

塗膜密着性の優れた透明塗装着色ステンレス鋼板

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JPH07109028B2
JPH07109028B2 JP26248988A JP26248988A JPH07109028B2 JP H07109028 B2 JPH07109028 B2 JP H07109028B2 JP 26248988 A JP26248988 A JP 26248988A JP 26248988 A JP26248988 A JP 26248988A JP H07109028 B2 JPH07109028 B2 JP H07109028B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は優れた耐候性と塗膜密着性を有するフッ素樹脂
系の透明着色塗装ステンレス鋼板に関するものである。
<従来の技術> ステンレス鋼は耐食性に優れているため化学工業をはじ
め各種の分野で広く使用されている。さらに近年では大
型建築物の内装材としてエッチング、研磨、着色などの
表面処理ステンレス鋼に対する需要が増大してきた。と
くにエッチング、研磨などを併用した着色ステンレス鋼
は高い意匠性のためホテル、マンション等の玄関用材料
として普及しつつある。
こうした着色ステンレス鋼には、高濃度クロム酸溶液等
で生成される表面酸化皮膜を利用した化学発色が多く用
いられており、屋根材等で使用されている塗装ステンレ
ス鋼は用いられない。これは着色顔料による塗装着色の
ためにステンレス表面が完全に隠されてしまうためで、
素地の研磨、エッチングなどを反映しないためである。
一方、化学着色ステンレス鋼は極めて薄い酸化皮膜によ
る光の干渉効果による発色のため素地の研磨仕上げに依
存した色調が得られる多様性を有している。
しかしながら、塗装法は化学着色法よりはるかに容易に
使用出来、耐指紋性などの点で優位であり、内装材とし
て使用した場合の保存、管理が容易になる。そのため、
塗装法においても素地表面を活かす透明着色塗装が検討
されてきたが、塗膜の耐久性、加工性ならびに耐候性の
すべてを満足する透明着色塗装ステンレス鋼は得られな
いのが現状である。
<発明が解決しようとする課題> 本発明は建築用素材として内装材のみならず外装材とし
ても使用出来る透明着色塗装ステンレス鋼板を提供する
ことを目的としている。
そのため、塗膜の密着性は塗料の種類の選定とともに非
常に重要である。なお、塗料としては建築用としての耐
候性を満足出来るフッ素樹脂系塗料を対象としている。
ステンレス鋼はその表面に生成している不動態皮膜のた
め耐食性は優れる反面、表面が不活性のため塗装をはじ
めとする表面処理が困難な材料である。とくに電気めっ
きの場合には電気化学的に不動態皮膜を除去することが
必須である。
しかし塗装の場合はこのような完璧な塗装前処理を行な
うことは実際上不可能であり、特に成形加工を施した物
に対しては出来るだけ容易な塗装前処理でなくてはなら
ない。幸いにしてフッ素系樹脂はステンレス鋼表面に対
しては他の塗料に比べて密着性は良いが、それでも前処
理なしでは充分な密着性はえられない。
さらに、建築用材料として使用される場合、ロール成
形、プレスなどにより曲げ加工されるのが大半で、曲げ
部の曲率半径を小さくするほど加工度は著しく増大する
ため、塗装ステンレス鋼では塗膜の加工に対する密着性
と加工部での耐久密着性が重要である。
塗装のための前処理法としては下記のものがある。
研磨、ショットブラスト、ダルスキンパス等の機械
的手段により表面にマクロ的凹凸を形成。
リン酸塩処理、クロメート処理等の化成処理。
タンニン酸、ポリアクリル酸等の有機酸に浸漬また
は有機酸のスプレー塗布。
無機酸による酸洗によりミクロ的凹凸を形成すると
ともに表面を活性化させる。
上記〜の処理は単独または組合せて実施されるが、
は透明着色塗装では素材の仕上げ面として指定される
ため任意に選定することは出来ない。上記〜の化学
的な処理は密着性向上に効果的であるが以下に示す欠点
を有している。
第1の欠点は〜の化学処理によりステンレス表面が
変色あるいは不規則な着色を生じることである。
透明着色塗装ステンレス鋼では、着色顔料を少なくし素
材の表面の仕上げが見える淡い着色塗装であるので、密
着性を向上させるための前処理により素材表面が呈色あ
るいはシミ状になってはいけない。のクロメート処理
では呈色の少ないタイプが開発されつつあるがまだ充分
とは言い難い。
第2の欠点はいずれも人体に有害な溶液を取り扱うため
作業環境が悪く、また公害防止のため廃液処理設備を必
要とすることである。
<課題を解決するための手段> そこで本発明者らは素材表面を化学的、機械的に荒らす
ことなく塗膜の密着性を向上させるための前処理方法を
検討しこれにより塗膜密着性の優れた透明着色ステンレ
ス鋼の開発に成功した。
すなわち本発明は研磨、ショットブラスト、ダルスキン
パス等の手段で表面調整したステンレス鋼板(鋼帯も含
む)に表面Si濃度が30原子%(C、N、Oを除いて)以
上の透明酸化皮膜を光輝焼鈍で生成させ、この上に10μ
m以上30μm以下のフッ素樹脂系透明着色塗膜を形成さ
せることでステンレス素地に何ら色調の変化を与えるこ
となく優れた塗膜密着性を有する透明塗装着色ステンレ
ス鋼板を提供するものである。
以下、本発明の具体的構成について詳細に説明する。本
発明において、透明とは広く半透明をも含む。
まず、本発明で対象とするステンレス冷延鋼板(本発明
では鋼帯をも含む意に用いる)は熱延鋼帯を所定板厚に
冷間圧延したのち、焼鈍酸洗あるいは光輝焼鈍を行って
冷間圧延で生じた内部歪の除去と適正な機械的性質を付
与されて提供される。その後、ショットブラスト、ダル
スキンパス、研磨等の手段により表面の仕上りを調整し
た後光輝焼鈍を行いその後塗装素材として使用される。
ステンレス鋼の鋼種は特に限定するまでも無く任意の鋼
種が使用可能であるが、外装材として使用する場合には
SUS304以上の高耐食性ステンレス鋼が奨められる。
その後、有機溶剤あるいはアルカリで脱脂したのち本発
明の塗装用ステンレス素材として使用される。
本発明の要旨とするところは、 表面Si濃度が30原子%(C、N、Oを除いて)以上の透
明酸化皮膜を有するステンレス鋼上に10μm以上30μm
以下のフッ素樹脂系透明着色塗膜を生成したことを特徴
とする塗膜密着性の優れた透明塗装着色ステンレス鋼板
にある。
ステンレス表面の高いSi濃度の透明酸化膜は光輝焼鈍の
際に素材の内部から拡散してきたSiと雰囲気中のOが反
応して形成されるため素子との密着性は非常に良好であ
る。また多くは非晶質と考えられ透光性も良いため、そ
の上に透明着色塗膜を生成しても何ら色彩上悪影響は無
く、素地の表面を生かした透明塗装着色ステンレス鋼が
えられる。
透明酸化皮膜に関しては表面Si濃度がC、N、Oを除い
て30原子%以上であることが必要で、これ未満であると
透明着色塗膜との密着性に欠けるとともに色をおびてく
るため適さない。
なお、表面Si濃度はイオンマイクロアナライザーで分析
されるが、大気中からの付着物によるCを除く必要があ
り、N、Oの定量分析も容易でないので、これらを除い
たステンレス鋼の構成元素中の元素を分析したときのSi
濃度で規定する。さらにこの酸化膜表面Si濃度はその上
のフッ素樹脂塗装の影響をうけず、塗装焼付後であって
も塗膜を有機溶剤で除去してから分析することで測定出
来る。
また、酸化膜の厚みに関しては、表面Si濃度が高い場合
には通常0.02μm以下であり、素地との密着性が低いこ
とは無く、したがって曲げ加工等により剥離を生じるこ
とも無い。酸化膜の厚みが0.02umを越えるとテンパーカ
ラーがつき膜の透明性が失われるのであまり好ましくな
い。
フッ素樹脂系塗膜に関しては、充分な耐候性を確保する
ため10μm以上である事が必要で、また経済性の観点か
ら30μm以下に限定する。
使用するフッ素樹脂塗料の望ましい構成としては、水酸
基価20〜250を有する溶剤可溶型フッ素樹脂の固形分60
〜99重量%と硬化剤の固形分1〜40重量%からなる樹脂
に対し、1/1000〜5/100重量比の末端エポキシ基含有シ
ランカップリング剤および5/1000〜1/10重量比のシュウ
酸アニリド系紫外線吸収剤を添加した透明塗料組成物に
重量比3/100以下の着色顔料を添加したのち、有機溶剤
にて塗膜固形分が30〜60重量%に希釈したフッ素樹脂塗
料が挙げられる。
塗膜固形分が30%未満まで希釈して用いると10μm以上
の塗膜厚を得るのが不経済になり、60%を超えると塗装
が困難になり塗膜表面の仕上りも悪くなるので好ましく
ない。
塗装方法は、スプレー塗装、浸漬法など任意の方法を適
用出来る。
望ましい塗料を構成する水酸基価20〜250を有する溶剤
可溶型フッ素樹脂としては、フルオロオレフィンとヒド
ロキシル基またはグリシジル基を有するビニルエーテル
とを主成分とする共重合体、水酸基価20〜250を有す
る、フルオロオレフィンとビニルエステルとを主成分と
する共重合体やこれら共重合体の一部にカルボキシル基
を有するものなどがあげられ、かかる溶剤可溶型フッ素
樹脂の具体例としては、フルオロオレフィン、シクロヘ
キシルビニルエーテル、アルキルビニルエーテルおよび
ヒドロキシアルキルビニルエーテルを必須成分とする共
重合体(特開昭57−34107号公報参照);フルオロオレ
フィン、シクロヘキシルビニルエーテルおよびグリシジ
ルビニルエーテルを必須成分とした共重合体(特開昭57
−34108号公報参照);フルオロオレフィン、アルキル
ビニルエーテルおよびヒドロキシビニルエーテルの共重
合体に二塩基酸無水物を反応させて一部をカルボキシル
化した共重合体(特開昭58−136605号公報参照);テト
ラフルオロエチレンおよびクロロトリフルオロエチレン
から選ばれた少なくとも1種のパーハロオレフィン、フ
ッ化ビニリデン、ビニルエステルおよび他の共単量体の
共重合体を加水分解した水酸基含有共重合体(特開昭59
−174657号公報参照);テトラフルオロエチレンおよび
クロロトリフルオロエチレンから選ばれた少なくとも1
種のパーハロオレフィン、α−オレフィン、ヒドロキシ
アルキルビニルエーテルおよび他の共単量体からなる共
重合体(特開昭59−219372号公報参照);クロロトリフ
ルオロエチレン、テトラフルオロプロピルビニルエーテ
ルおよび官能基として水酸基、グリシジル基またはアミ
ノ基を有するビニルエーテルの1種または2種以上から
なる共重合体(特開昭59−189108号公報参照);ジフル
オロエチレンとヒドロキシル基、グリシジル基またはカ
ルボキシル基などの官能基を有する単量体とテトラフル
オロエチレンまたはクロロトリフルオロエチレンの共重
合体(特開昭60−67517号公報参照);テトラフルオロ
エチレンまたはクロロトリフルオロエチレンとビニルエ
ーテルで一般式 (式中、X1およびX2は同一または相異なりフッ素原子ま
たはCF3、Y1は水素原子、塩素原子またはフッ素原子、n
1は1〜3の整数、m1は0〜6の整数を示す)で表わさ
れる構造を有するもの、およびビニルエーテルで一般式
CH2 pZ(式中、ZはOH基またはグリシジル基、pは
2〜5の整数を示す)で表わされる構造を有するものの
共重合体(特開昭60−67518号公報参照);モノフルオ
ロエチレンにCH2=C(CF3と一般式 (式中、X3は水素原子またはフッ素原子、Y2はOH基、CO
OH基または lは0または1、m2は0〜6の整数、n2は1〜3の整数
を示す)で表わされる共重合体(特開昭60−147415号公
報参照);ジフルオロエチレンと炭素数1〜10の直鎖ア
ルコールを有するビニルエーテルと一般式CFX4=CFY
3(式中、X4は水素原子、塩素原子またはフッ素原子、Y
3はフッ素原子、低級フルオロアルキル基または一般式 (式中、m3は0〜3の整数を示す)で表わされる基の構
造を有する共単量体との共重合体(特開昭61−176620号
公報参照)などがあげられ、かかる市販品としてはルミ
フロン200、ルミフロン400、ルミフロン500、ルミフロ
ン544など(以上、旭硝子(株)製、商品名)およびこ
れらを組合せたものがあげられる。
なお、前記溶剤可溶型フッ素樹脂の水酸基価は20未満で
あるばあい、硬化塗膜の耐溶剤性や密着性が不充分とな
り、また250をこえると耐水・耐湿性や加工性などが劣
るので、水酸基価が20〜250のものが望ましい。
硬化剤は、前記溶剤可溶型フッ素樹脂と反応して架橋
し、該溶剤可溶型フッ素樹脂を硬化するための成分であ
り、該硬化剤としては、たとえば脂肪族ポリイソシアネ
ートまたはそのイソシアネート基をカプロラクタムなど
でブロックしたものあるいはメラミン、ベンゾグアナミ
ン、尿素などのアミノ樹脂などがあげられる。
前記硬化剤として脂肪族ポリイソシアネートあるいはア
ミノ樹脂のいずれを用いるばあいにも、前記水酸基価20
〜250を有する溶剤可溶型フッ素樹脂と硬化剤からなる
樹脂固形分中に、該硬化剤が1〜40重量%含有されるの
が好ましい。該樹脂固形分中の硬化剤の含有量が1重量
%未満であるばあい、耐溶剤性と硬度が不充分となり、
また該樹脂固形分中の硬化剤の含有量が40重量%をこえ
るばあい、加工性や耐衝撃性が低下するので好ましくな
い。
なお、該硬化剤として脂肪族ポリイソシアネートを用い
るばあいには、該脂肪族ポリイソシアネートのNCO基と
前記溶剤可溶型フッ素樹脂のOH基との比NCO/OHの値が0.
2〜1.5となるように調整されるのが好ましい。
本発明では、前記フッ素樹脂および硬化剤の外に、塗膜
の付着性向上のためのシランカップリング剤や、紫外線
による劣化変色防止のための紫外線吸収剤等を併用する
ことが好ましい。
シランカップリング剤には多くの種類があり、従来より
樹脂と金属との付着性を向上させるために用いられてい
るが、該シランカップリング剤として末端エポキシ基含
有シランカップリング剤が用いられ、該末端エポキシ基
含有シランカップリング剤を前記樹脂および後述するシ
ュウ酸アニリド系紫外線吸収剤と組合せて用いたばあ
い、これらを併用することによる相乗効果により従来の
塗料が解消しえなかった、たとえば、耐変色性、光沢保
持性、長期密着性や長期的防錆性などの塗料の耐久性が
改善されるのである。
かかる末端エポキシ基含有シランカップリング剤として
は、たとえば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシ
ラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリ
メトキシシランなどがあげられる。該末端エポキシ基含
有シランカップリング剤の使用量は、樹脂固形分に対し
て1/1000〜5/100重量比が適当である。該末端エポキシ
基含有シランカップリング剤の使用量は1/1000重量比末
端であるばあい、えられる透明塗料のステンレス材料に
対する密着性向上の効果は不充分であり、また5/100重
量比をこえて使用したばあい、それ以上の効果の向上は
認められない。
なお、これらのシランカップリング剤はそのままで塗料
に添加してもよく、またキシレンなどの芳香族炭化水素
系の溶剤などに溶解して添加してもよい。
紫外線吸収剤も前記したシランカップリング剤と同様に
数多くの種類があるが、シュウ酸アニリド系紫外線吸収
剤を用いたばあい、透明性顔料または染料の変色が防止
されると同時に形成された塗膜とステンレス材料との界
面における発錆が長期間防止されるのである。かかるシ
ュウ酸アニリド系紫外線吸収剤としては、たとえば、一
般式(I): (式中、R1は−OC2H5、R2は水素原子または−C4H9、R3
は水素原子または−C4H9、R4は水素原子または−C12H25
を示す)で表わされるものがあげられ、かかる具体例と
しては、エタンジアミドN−(2−エトキシフェニル)
−N′−(2−エチルフェニル)、エタンジアミドN−
(2−エトキシ−6−t−ブチルフェニル)−N′−
(2−エチルフェニル)、エタンジアミドN−(2−エ
トキシフェニル)−N′−(4−イソドデシルフェニ
ル)などがあげられる。該シュウ酸アニリド系紫外線吸
収剤の使用量は、前記樹脂に対して5/1000〜1/10重量比
が適当である。該シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤の使
用量は5/1000重量比未満であるばあい、耐久性向上の効
果が不充分であり、また1/10重量比をこえて使用したば
あい、それ以上の効果の向上は認められず、耐溶剤性が
低下する。
これらの紫外線吸収剤は通常トルエンなどの芳香族炭化
水素系溶剤に溶解して塗料中に添加される。
前記した溶剤可溶型フッ素樹脂および硬化剤からなる樹
脂に末端エポキシ基含有シランカップリング剤およびシ
ュウ酸アニリド系紫外線吸収剤を添加することにより本
発明に適したステンレス用透明塗料がえられるが、該塗
料は有機溶剤を添加し、粘度を調整することによって塗
装に供される。
かかる有機溶剤としては、たとえば、トルエン、キシレ
ンなどの芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸
ブチルなどのエステル系溶剤などがあげられるが、芳香
族炭化水素類とケトン、エステル類を併用するのが好ま
しい。前記硬化剤としてアミノ樹脂を用いたばあいに
は、たとえばn−ブタノール、イソブタノールなどのア
ルコール系溶剤の1種または2種以上を前記した有機溶
剤に適宜添加してもよい。
本塗料の着色は、前記樹脂組成物(イソシアネート硬化
剤を除く)に着色顔料または染料を、通常の着色塗料製
造方法で分散させて調製することができる。
前記着色顔料としては、たとえば、耐候性のよい透明ベ
ンガラ、カーボンブラック、酸化チタンなどの無機顔
料;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、
キナクリドンレッド、インダンスレンオレンジ、イソイ
ンドリノン系エローなどの有機顔料または染料などがあ
げられる。該着色顔料を使用するばあいには、先の樹脂
組成物(固形分)に対して3/100重量比以下の範囲内で
含有されるように混合分散させるのが好ましい。該着色
顔料を使用したばあい、任意の透明着色塗膜を形成する
ことができる。
この塗料組成物には、さらに必要に応じて硬化促進剤、
光安定剤、つや消し剤などを適宜添加してもよい。
前記硬化促進剤としては、硬化剤がイソシアネート系の
もののばあいには、ジブチルチンジラウレートなどを本
塗料(固形分)に対して5/1000重量比以下、また硬化剤
がアミノ樹脂のばあいには、パラトルエンスルホン酸な
どの酸性触媒を1/100重量比をこえない範囲で常法によ
って用いることができる。
前記光安定剤としては、たとえば、式 で示される基を有するヒンダードアミン系光安定剤など
があげられ、かかる具体例としては、たとえばMARK LA6
2(アデカアーガス化学(株)製、商品名)やMARK LA67
(アデカアーガス化学(株)製、商品名)などがあげら
れる。該光安定剤を使用するばあいには、本塗料(固形
分)に対して5/100重量比をこえない範囲で添加するの
が好ましい。これら光安定剤を添加するばあいには、通
常トルエンなどの溶剤に溶解して添加するのが好まし
い。
前記つや消し剤としては、たとえば、超微粉合成シリカ
などがあげられ、該つや消し剤を使用するばあいには、
本塗料(固形分)に対して15/100重量比をこえない範囲
で混合分散させるのが好ましい。該つや消し剤を使用し
たばあい、優雅な半光沢ないし艶消し仕上げの塗膜を形
成することができる。
<実施例> 以下本発明を実施例に基づいて具体的に述べる。
(実施例1) 溶剤可溶型フッ素樹脂としてルミフロン400(旭硝子
(株)製、商品名、水酸基価:48、酸価:5の樹脂の50%
キシレン溶液)、硬化剤としてブチル化メラミン樹脂で
あるスーパーベッカミン47−508(大日本インキ化学工
業(株)製、商品名、60%キシレン/イソブタノール溶
液)とを使用したフッ素樹脂の固形分80重量%と硬化剤
の固形分20重量%からなる樹脂に対し、1/100重量比の
末端エポキシ基含有シランカップリング剤〔KBM−403
(信越化学工業(株)製、商品名)〕およびシュウ酸ア
ニリド系紫外線吸収剤〔エタンジアミドN−(2−エト
キシ−6−t−ブチルフェニル)−N′−(2−エチル
フェニル)〕トルエン10%溶液を用いて1/100重量比添
加した透明塗料用組成分に、着色剤としてフタロシアニ
ンブルーS(大日本インキ化学工業(株)製、商品名)
を5/1000重量比添加分散させたのち混合溶剤(キシレン
/ブタノール(重量比)=85:15)で希釈して塗料固形
分を45重量%含有する透明着色塗料(A)を得た。
またフッ素樹脂の固形分と硬化剤の固形分の配合のみ変
化させた塗料B〜Dを得た。
塗装用素材としてはSUS304 1.5mmのヘアーライン研磨
加工材を1050〜1150℃で光輝焼鈍して使用し、アルカリ
脱脂(液温50℃の5%NaOH水溶液に5分間浸漬)を施し
たのちバーコーター#60を用いて上記塗料による塗装、
焼付をした。焼付は150℃で20分間とした。
光輝焼鈍で生じた塗装用素材の酸化膜の表面分析はイオ
ンマイクロアナライザーで行ない、Fe、Si、Mn、Cr、Ni
の分析値を第1表に示す。
得られた試験片の塗膜性能として、膜厚、初期密着性
(碁盤目試験、碁盤目エリクセン試験)、二次密着性、
耐久密着性および促進耐候性を下記の方法にしたがって
調べた。その結果を第1表に併記する。
(膜 厚) フィッシャー社(西ドイツ)製イソスコープMP型を用い
て測定した。
(碁盤目試験) 塗膜形成後、焼付を行ない48時間後に、JIS K 5400 6.1
5碁盤目試験の方法にしたがって100個のマス目をつく
り、セロハンテープを圧着後急速に引き剥してから剥離
しないでステンレス板に残った目の数を分子に示した。
(碁盤目エリクセン) JIS K 5400 6.15の方法にしたがって碁盤目が設けられ
た試験片をエリクセン試験機で6mm押し出した後、上記
と同様にセロハンテープで剥離試験を行ない上記と同様
にして評価した。
(二次密着性) 試験板を沸騰水中に2時間浸漬した後に前記の碁盤目試
験と同様に密着性試験を行なった。
(耐久密着性) JIS K 5400 6.15 碁盤目試験の方法にしたがって100個
のマス目をつくった試験板を沸騰水中に2時間浸漬した
後に、セロハンテープを圧着後急速に引き剥してから剥
離しないでステンレス板に残った目の数を分子に示し
た。
(促進耐候性) デューパネル光コントロールウェザーメーター(スガ試
験機(株)製)を用いて紫外線照射(70℃)4時間、湿
潤(40℃)4時間を1サイクルとして繰り返し、所定時
間経過後の塗膜密着性を評価した。
密着性は平板部における碁盤目剥離試験および90゜曲げ
加工部での塗膜剥離状況で評価した。90゜曲げ加工部で
剥離なしを○、一部剥離有を△、全面剥離を×とした。
結果は第1表に示すごとく、エアーライン加工後に光輝
焼鈍を実施し、その酸化膜表面Si濃度が30原子%以上を
得た#1、3、5、6では全ての塗膜密着性試験におい
て合格であった。
しかし、光輝焼鈍で得られた酸化膜の表面Si濃度が30原
子%に満たなかった#2、4では初期密着性と二次密着
性と2000時間までの促進耐候性試験での平板部の密着性
では良好であるが耐久密着性と曲げ加工部における促進
耐候性に不足している。
研磨仕上げのままの#7も#2、4と同様である。
建材(とくに外装材)のごとく長期間にわたって使用さ
れる場合では、曲げ加工部の耐候性の確保は非常に重要
であり、このように厳しい塗膜密着性をうるためには表
面Si濃度を30原子%以上有する透明酸化膜を有する塗装
用ステンレス素材を用いなくてはならないことがわか
る。
塗料中のフッ素樹脂固形分と硬化材固形分の配合比の異
なる塗料B〜Dで塗装、焼付した場合、#8〜10のごと
くいずれのフッ素樹脂においても良好な密着性がえられ
た。
(実施例2) 溶剤可溶型フッ素樹脂としてルミフロン500(旭硝子
(株)製、商品名、水酸基価:53の樹脂の40%ソルベッ
ソ#150(エクソンケミカル社製、商品名)溶液、硬化
剤としてブロックイソシアネートであるコロネート2507
(日本ポリウレタン(株)製、商品名)の80%酢酸エチ
ル溶液とを使用したフッ素樹脂の固形分75.2重量%と硬
化剤の固形分24.8重量%からなる樹脂に対し、末端エポ
キシ基含有シランカップリング剤として8/1000重量比の
3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランおよ
びシュウ酸アニリド系紫外線吸収剤として3/100重量比
のサンドゥヴォア3206(サンド社製、商品名)の80%キ
シレン溶液ならびにヒンダードアミン系光安定剤として
15/1000重量比のサンドゥヴォア3050(サンド社製、商
品名)と黄色顔料として6/1000重量比のイルガジンエロ
ー(チバ社製、商品名)、透明ベンガラとして3/1000重
量比のコロファインブラウン77R(大日本インキ化学工
業(株)製、商品名)を用い、前記インガジンエローと
コロファインブラウンを前記ルミフロン500の一部を用
いて分散させた後、これにその他の成分を混合して透明
着色塗料用組成物をつくった。つぎにえられた組成物を
芳香族系溶剤としてソルベッソ#150、シクロヘキサノ
ンおよびイソホロンの混合溶剤(重量比5:1:1)で希釈
し透明着色塗料(E)を得た。
第2表に示すごとく浸漬法あるいはバーコート法により
塗装したのち150℃で20分間の焼付硬化をした。
塗装用素材にはSUS434 0.5mmの焼鈍酸洗材を使用し、
これを950℃で光輝焼鈍を実施したのちアルカリ脱脂
(液温50℃の5%NaOH水溶液に5分間浸漬)し、バーコ
ーター#60を用いて上記塗料による塗装、焼付を実施し
た。得られた試料に対して実施例1と同様の試験を行な
った。
結果は第2表に示すごとく、光輝焼鈍を省略した#11、
12では表面のSi濃度は低く、耐久密着性と加工部の促進
耐候性に不足している。一方、光輝焼鈍で表面Si濃度が
30原子%以上をえた#13と#14では塗装Eで良好な塗膜
密着性がえられた。
<発明の効果> 以上詳述したところから明らかなように、本発明の透明
塗装着色ステンレス鋼板は塗膜密着性および耐候性が非
常にすぐれ、内装材はもとより外装材など各種分野で広
く利用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 信二 東京都千代田区内幸町2丁目2番3号 川 崎製鉄株式会社東京本社内 (72)発明者 西坂 謙二 大阪府大阪市此花区高見1丁目3番18号 東亜ペイント株式会社大阪工場内 (72)発明者 勝井 要 大阪府大阪市此花区高見1丁目3番18号 東亜ペイント株式会社大阪工場内 (56)参考文献 特開 昭58−197282(JP,A) 特開 昭62−156254(JP,A) 特開 昭63−238259(JP,A) 特開 昭52−88217(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面Si濃度が30原子%(C、N、Oを除い
    て)以上の透明酸化皮膜を有するステンレス鋼板上に10
    μm以上30μm以下のフッ素樹脂系透明着色塗膜を形成
    してなることを特徴とする塗膜密着性の優れた透明塗装
    着色ステンレス鋼板。
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