JPH07108644A - 樹脂積層金属板 - Google Patents

樹脂積層金属板

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JPH07108644A
JPH07108644A JP27793193A JP27793193A JPH07108644A JP H07108644 A JPH07108644 A JP H07108644A JP 27793193 A JP27793193 A JP 27793193A JP 27793193 A JP27793193 A JP 27793193A JP H07108644 A JPH07108644 A JP H07108644A
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JP
Japan
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resin
inhibitor
layer
zinc
metal plate
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Application number
JP27793193A
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English (en)
Inventor
Katsuji Kawanishi
勝次 川西
Masaya Kimoto
雅也 木本
Yasushi Hosoda
靖 細田
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 スポット溶接がなされてもなお十分に優れた
端面耐食性を有した、耐食性の優れた樹脂積層金属板を
提供する。 【構成】 2枚の金属板の間に樹脂層が挟まれて成る樹
脂積層金属板を、 1) 表皮材たる金属板の少なくとも樹脂層に接する面の
少なくとも最上層めっき層が、“インヒビタ−を含有す
る亜鉛系めっき浴から形成されたC含有量:0.001〜10wt
%の複合亜鉛系電気めっき層”で被覆されて成る構成, 2) 上記樹脂積層金属板、あるいは裸金属板や公知の表
面処理金属板を表皮材とする樹脂積層金属板の中間層を
成す樹脂中に、 0.001〜50wt%のインヒビタ−が含有さ
れて成る構成, 3) 上記各樹脂積層金属板の中間層樹脂中に、導電粉が
分散されて成る構成,とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車,家電製品,
建材,産業機械等の材料として有用な、2枚の金属板の
間に樹脂層が挟まれて成るところの耐食性に優れた樹脂
積層金属板に関するものである。
【0002】
【従来技術とその課題】近年、2枚の金属板(鋼板等)
の間に樹脂層を挟んで成る樹脂積層金属板は、軽量で強
度的にも優れるという特性を生かした軽量化材料とし
て、また樹脂層の有する制振性能を利用した制振材料と
して、自動車,家電製品,建材,産業機械等の分野で次
第に需要を拡大しつある。
【0003】ただ、自動車等の用途に用いられる樹脂積
層鋼板等の場合には、寒冷地において道路に散布される
凍結防止用融雪塩の付着等、厳しい腐食環境に曝される
ことも考慮しなければならないため、その耐食性には格
段の留意が必要となる。そこで、表皮材(スキン材)に
主として低炭素鋼の冷延板が用いられる一般的な樹脂積
層鋼板とは異なり、上述のような腐食環境下での使用を
想定した“亜鉛系めっき鋼板(Znめっき鋼板,Zn−Niめ
っき鋼板,Zn−Feめっき鋼板等)や複層めっき鋼板を表
皮材とした樹脂積層鋼板”も開発されている。
【0004】例えば、特開昭54−75437号公報に
は亜鉛めっき鋼板の表面にニッケルめっきとクロメ−ト
処理を施した表面処理鋼板を表皮材とする樹脂積層鋼板
が開示されており、また特開昭58−90951号公報
には、表皮材としてNi含有量が9■20wt%のZn−Ni合金
めっき鋼板を用いた樹脂積層鋼板が開示されている。
【0005】しかしながら、上述のようにZn−Ni合金め
っき,Fe−Znめっき、 更にはクロメ−ト処理等を施した
表面処理鋼板を表皮材とする樹脂積層鋼板は、塩水噴霧
等の比較的緩やかな腐食環境下では良好な耐食性を示す
ものの、自動車用材料等のように一層厳しい腐食環境下
に置かれた場合にはその“端面耐食性”の点で必ずしも
満足できるとは言い難かった。即ち、厳しい腐食環境下
に置かれると、上記樹脂積層鋼板はまずその端面で錆を
発生し、これが進行して端面から内部(鋼板の樹脂層と
の接着面)にまで腐食が及ぶこととなり、そのため樹脂
層との接着強度が低下して“ハガレ”等の問題を生じが
ちであった。
【0006】更に、上記樹脂積層鋼板ではスポット溶接
に伴う次のような問題もあった。即ち、上述の樹脂積層
鋼板では中間層樹脂が電気絶縁体であるため、スポット
溶接に当っては短絡回路を設置して溶接を可能とするこ
とが行われる。また、中間層樹脂中に導電粉を混入する
ことによってスポット溶接性を確保することも可能であ
る。しかし、樹脂積層鋼板の端部近傍をスポット溶接す
る場合には、溶接時の熱影響によって中間層樹脂が溶融
軟化したりガス化したりするためにその端部が口開きす
る現象が生じることが多く、このように端部が口開きす
ると、この部分に塩水等の腐食促成物が集中するために
腐食の進行が非常に速くなるという問題が生じた。
【0007】もっとも、この端面口開きはスポット溶接
時の入熱によって発生する現象であるため、スポット溶
接の電流を下げることで該口開き現象を軽減又は解決す
ることは可能である。ところが、スポット溶接の接合強
度を確保するためにはナゲットの径が或る大きさに達し
ていることが必要であり、この必要なナゲット径を確保
するためには一定量の入熱(電流)が欠かせない。そし
て、必要入熱量は鋼板の種類によって大きく異なり、め
っきを施していない“裸鋼板”の場合には比較的小さな
電流で必要なナゲットが形成されるものの、“めっき鋼
板”の場合には大きな電流を必要とする。そのため、
“適正ナゲット径が確保できる電流値”と“端部口開き
の発生する電流値”の差を「溶接適正範囲」とした場
合、裸鋼板を用いた樹脂積層鋼板では溶接適正範囲は広
いが、耐食性を確保するためにめっき鋼板を用いた樹脂
積層鋼板では溶接適正範囲は狭いものとなり、実質的に
自動車組み立てラインで適正な溶接を行えない場合もあ
った。
【0008】その上、導電粉を混入した樹脂を用いた樹
脂積層鋼板を短絡回路なしにスポット溶接すると“円周
切れ”と呼ばれる現象が発生しがちである。この現象
は、上下鋼板間の電流導通が不十分な場合に発生するも
ので、スポット溶接時に接触しているチップ周辺の鋼板
が溶融飛散する状況を呈する。勿論、円周切れが発生し
た場合には十分な接合強度が得られないのみならず、チ
ップが損傷して円周切れ発生以降の溶接が不可能となる
ため、直ぐさまチップ交換を行う必要が生じて、自動車
組み立てラインのようにスポット溶接を多用する場合に
はその生産性が著しく阻害されることとなる。
【0009】この円周切れ現象は、樹脂中の導電粉量を
増すことによって改善できるが、むやみに導電粉量を増
すことは積層鋼板の接着性を阻害するのみならず、騒音
対策として用いられる制振鋼板の場合には制振性をも劣
化させるので、導電粉量には自ずから適正な値というも
のが存在する。しかも、この円周切れ現象を防止するの
に必要な導電粉量にも、裸鋼板を表皮材とする樹脂積層
鋼板とめっき鋼板を表皮材とする樹脂積層鋼板では差が
あり(裸鋼板の場合には比較的少量の導電粉量で足りる
がめっき鋼板の場合には大量の導電粉を必要とする)、
端面耐食性,接着性,制振性,溶接性を共に満足する樹
脂積層鋼板の設計は困難であった。
【0010】なお、以上は表皮材として鋼板(表面処理
鋼板を含む)を適用した樹脂積層金属板を例にした説明
であるが、このような問題は鋼板以外の金属板を表皮材
とした樹脂積層金属板においても共通するものであっ
た。このようなことから、本発明が目的としたのは、例
えスポット溶接がなされてもなお十分に優れた端面耐食
性を有した、耐食性の優れた樹脂積層金属板を提供する
ことである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、次のような知見を
得ることができた。 a) 裸金属板又は公知の耐食性めっきを施した金属板を
基材とし、これを“インヒビタ−として知られる腐食抑
制有機化合物を含有させた亜鉛系めっき浴”中で電気め
っきすると、形成されためっき層中にはその電析時に前
記インヒビタ−が共析し“インヒビタ−が複合した亜鉛
系めっき皮膜層”となる。そして、このめっき層中のイ
ンヒビタ−はめっき材が腐食環境に置かれた場合に腐食
抑制効果を発揮するので、これを樹脂積層金属板の表皮
材(スキン材)として用いるとその耐食性が著しく改善
され、樹脂積層金属板端面での錆の発生や、この錆が内
部(金属板と樹脂層との接着面)にまで及ぶことが極力
防止される。しかも、樹脂積層金属板の溶接適正電流範
囲も拡がりを見せる。 b) なお、インヒビタ−を含有する亜鉛系めっき浴を用
いて形成された亜鉛系電気めっき皮膜層中のインヒビタ
−含有量(共析量)は樹脂積層金属板の性能に大きな影
響を及ぼすが、このインヒビタ−含有量はめっき皮膜中
のC(炭素)含有量(共析量)と対応しており、C量に
よって的確に把握することができる。
【0012】c) また、“めっき皮膜中”ではなく“樹
脂積層金属板の中間層を成す樹脂の中”にインヒビタ−
を含有させた場合も、この樹脂層に面している金属板の
耐食性を改善でき、めっき皮膜中にインヒビタ−を含有
させた場合と同様にその端面耐食性(端面での錆の発生
及び内部への拡がりを防止する性能)を改善することが
できる。 d) 更に、上記樹脂積層金属板の中間樹脂層中に導電粉
を分散させると、そのスポット溶接性は一層改善され
る。
【0013】本発明は、上記知見事項に基づいて完成さ
れたものであって、2枚の金属板の間に樹脂層が挟まれ
て成る樹脂積層金属板を次の1)〜4)の何れかに示す如き
構成とすることにより、非常に優れた耐食性,スポット
溶接性を有する樹脂積層金属板を実現できるようにした
点に大きな特徴を有するものである。 1) 表皮材たる金属板の少なくとも樹脂層に接する面
が、“インヒビタ−を含有する亜鉛系めっき浴から形成
されたC含有量:0.001〜10wt%の複合亜鉛系電気めっき
層”で被覆されて成る構成, 2) 表皮材たる金属板の少なくとも樹脂層に接する面
が、亜鉛系,アルミニウム系もしくはZn−Al合金系のめ
っきである下層と“インヒビタ−を含有する亜鉛系めっ
き浴から形成されたC含有量:0.001〜10wt%の複合亜鉛
系電気めっき”である上層とから成る多層めっき層で被
覆されて成る構成, 3) 上記各樹脂積層金属板、あるいは裸金属板や公知の
表面処理金属板を表皮材とする樹脂積層金属板の中間層
を成す樹脂中に、 0.001〜50wt%のインヒビタ−が含有
されて成る構成, 4) 上記各樹脂積層金属板の中間層を成す樹脂中に、導
電粉が分散されて成る構成。
【0014】
【作用】ここで、表皮材たる金属板(表面処理金属板の
場合はその母材)の材質としては鋼板が一般的である
が、特にこれに限定されるものではなく、軽量化のため
にアルミニウム板を適用するなど、使用目的,使用部位
に応じた種類の金属で構成された板材を選択することが
できる。また、中間層樹脂の種類も特に制限されるもの
ではなく、ポリオレフィン系樹脂,エポキシ系樹脂,ポ
リエステル系樹脂,ポリウレタン系樹脂,尿素樹脂,ア
クリル樹脂等、各種の樹脂が適用される。なお、中間樹
脂層の厚みは、その樹脂積層金属板の用途等にもよる
が、通常は10〜100μmである。
【0015】本発明に係る「少なくとも樹脂層と接触す
る面が所定量のインヒビタ−を含有する複合亜鉛系電気
めっき(インヒビタ−を含有する亜鉛系めっき浴から形
成された複合亜鉛系電気めっき)で被覆された表皮材が
適用されて成る樹脂積層金属板」や「中間層を成す樹脂
中に所定量のインヒビタ−が含有されて成る樹脂積層金
属板」は、非常に優れた端面耐食性を示すことを第1の
特徴として挙げることができる。例えば、表皮材の母材
として鋼板を適用した樹脂積層鋼板では、自動車用材の
ように極めて厳しい腐食環境においても従来のZn−Ni合
金めっきやZn−Fe合金めっきと比較して一段良好な端面
耐食性を示す。
【0016】表皮材として「“インヒビタ−を含有する
複合亜鉛系電気めっき”で被覆された金属板」を適用す
る場合には、そのめっき付着量は1g/m2 以上(下層め
っきを有しない場合には5g/m2 以上が好ましい)で十
分であって、これにより優れた端面耐食性が確保され
る。また、めっき付着量の上限も特に限定するものでは
ないが、100g/m2 以下であることが経済的には好ま
しい。この場合、インヒビタ−含有複合亜鉛系電気めっ
きで被覆されるのは表皮材の内面側(樹脂中間層と接す
る側)のみでも良く、外面側については施す処理が格別
に指定されるものではない。なお、亜鉛系めっきとして
は、純亜鉛めっきあるいはZn−X系(X=Fe, Co,Mn, C
r)の亜鉛合金めっき等が適用できる。
【0017】インヒビタ−含有の複合亜鉛系電気めっき
を形成するためのめっき浴組成,電解条件としては、例
えばインヒビタ−を共析させる純亜鉛めっきの場合では
次の条件が推奨される。 A) めっき浴組成 ZnSO4 ・ 7H2 O :20〜35wt%, Na2 SO4 + (NH4)2 SO4 :5〜10wt%, インヒビタ− :0.001 〜10wt%, PH :1〜4。 B) 電解条件 浴温 :40〜65℃, 電流密度 :40〜150A/dm2, 液流速 :0.5 〜3m/sec。
【0018】また、インヒビタ−を共析させる亜鉛合金
電気めっきの場合には、同様のめっき浴中に合金元素を
硫酸塩,酢酸塩,炭酸塩,モリブデン酸塩,次亜りん酸
塩,有機金属塩の形態で添加するか、あるいは予めこれ
らの金属元素を溶解した状態とし、これを狙いの組成と
なるように添加しためっき浴を使用すれば良い。勿論、
上記浴組成はあくまでも例示であり、インヒビタ−:0.0
01〜10wt%を含有する亜鉛系電気めっき浴である限り、
上記浴組成に限定されるものではない。
【0019】この場合、インヒビタ−を添加しためっき
浴から得られる亜鉛系複合電気めっき中のC含有量が
0.001wt%未満では、めっき中のインヒビタ−量が不足
していて耐食性の向上効果が十分でなく、一方、めっき
中のC含有量が10wt%を超えるとめっき表面の性状が劣
化し、加工性も低下する。なお、上記範囲のC含有量
(0.001〜10wt%)とするためには、めっき液中に添加す
るインヒビタ−量を 0.001〜10wt%に調整すれば良い。
【0020】上述のような、表皮材として「“インヒビ
タ−を含有する複合亜鉛系電気めっき”で被覆された複
層めっき金属板」を適用する場合には、その下層めっき
の種類や付着量等は格別に指定されるものではなく、従
来知られていた耐食性めっき金属板と同様で良い。即
ち、下層めっきとしては、耐食性向上のために一般的に
適用される亜鉛系又はアルミニウム系めっきの何れでも
良く、例えば純Zn, Zn−X(X=Fe, Co, Ni, Mn, Cr,
Mg, Al),純Al,Al−Mn等のめっきを例示できるが、こ
れは従来の複層めっき金属板におけると同様、上層めっ
きと共働して母材金属板の耐食性を著しく改善する。な
お、下層めっき層を形成するために適用されるめっき方
法は、電気めっき,溶融めっき,蒸着めっき等の何れで
あっても良いことは言うまでもない。勿論、この下層め
っき層は単一の層で構成されていても良いし、“Zn−Fe
層/Zn−Ni層”のように複数の層から成るものであって
も良い。そして、下層めっきの付着量は特に制限される
ものではないが、加工性と耐食性のバランスからすれば
10〜60g/m2(片面当り)の範囲が好ましいと言え
る。
【0021】インヒビタ−含有複合亜鉛系電気めっきと
中間樹脂層との界面には、クロメ−ト処理やりん酸塩処
理等の処理層を介在させることが望ましく、これによっ
て中間樹脂層とめっき間の接着性が強固となり、耐食性
を一層向上させることができる。なお、例えばクロメ−
ト処理層を形成させる場合には、その処理法は反応型,
塗布型,電解型の何れによっても構わないが、耐食性と
接着性を両立する点からすれば部分還元したクロメ−ト
液を使った塗布型処理を適用するのが好ましい。そし
て、Cr付着量は金属Crとして5〜100mg/m2 が好まし
く、5mg/m2 未満では耐食性,接着性が劣り、100mg
/m2 を超えると溶接性が低下するので注意を要する。
【0022】また、中間層樹脂の積層に先立って薄く有
機樹脂を積層しておくことも接着性確保のために望まし
い場合もある。
【0023】ところで、表皮材の少なくとも樹脂層に接
する面をインヒビタ−含有複合亜鉛系電気めっきで被覆
することにより、樹脂積層金属板に優れた端面耐食性を
付与できるだけではなく、スポット溶接適正電流範囲の
広範囲化にも著しい効果が得られる。即ち、インヒビタ
−を含有させることによってめっき層の電気抵抗が増加
するので、適正なナゲット径を得るための最小電流値が
減少し、溶接適正電流範囲が拡がるためである。
【0024】なお、前述したように、本発明においては
表皮材たる金属板は必ずしもインヒビタ−含有複合亜鉛
系電気めっきで被覆された複層めっき金属板である必要
はなく、裸金属板や、単なる亜鉛系あるいはアルミニウ
ム系めっき金属板であっても良い。勿論、フラッシュめ
っき等の公知の複層めっきを施したものも使用すること
ができる。ただ、これらの場合には、中間層を成す樹脂
中に前記インヒビタ−を含有させることが必須となる。
【0025】樹脂層中にインヒビタ−を含有させる場合
には、樹脂層中(塗膜中)のインヒビタ−含有量は 0.0
01〜50wt%(望ましくは 0.1〜30wt%)に調整する必要
がある。なぜなら、インヒビタ−含有量が 0.001wt%未
満では端面耐食性が不十分であり、一方、50wt%を超え
ると積層金属板が本来持っている制振性等の性能が阻害
されるためである。上記樹脂層を形成させるためには、
まず溶剤分を除く樹脂固形分量100重量部に対して0.
1 〜100重量部のインヒビタ−を混合させた組成物を
作成し、これを表皮材たる金属板に適用するのが良い。
なお、塗布型の方がインヒビタ−の添加が容易である
が、フィルムタイプのものにも適用できることは言うま
でもない。そして、この際も金属板の下地処理について
は特に制限されないが、クロメ−ト処理あるいはりん酸
亜鉛処理等を施すのが好ましい。
【0026】本発明に適用されるインヒビタ−の種類
(分類)については、アルキン類,アルキノ−ル類,ア
ミン類,チオ化合物類,複素環化合物,ポリカルボン酸
化合物類又はその塩等が例示される。ただ、アミン系の
ものは樹脂の硬化反応過程でその樹脂と反応するため、
樹脂層に添加するインヒビタ−としては使用がはばから
れる。
【0027】上記インヒビタ−のうちのアルキン類とは
炭素−炭素三重結合を含む有機化合物のことであり、例
えばプロピレン,ブチン,ペンチン,ヘキシン,ヘプチ
ン,オクチン等が挙げられる。アルキノ−ル類とは、上
記のアルキン類に1個以上の水酸基を有する有機化合物
のことであり、プロパルギルアルコ−ル,1-ヘキシン-
3-オ−ル,1-ヘプチン-3- オ−ル等が挙げられる。
【0028】アミン類としては、オクチルアミン,ノニ
ルアミン,デシルアミン,ラウリルアミントリデシルア
ミン,セチルアミン等が例示される。チオ化合物として
は、デシルメルカプタン,セチルメルカプタン,チオ尿
素等が例示される。複素環化合物としては、ピリジン,
ベンゾチアゾ−ル,ベンドトリアゾ−ル,キノリン,イ
ンド−ル等が例示される。また、ポリカルボン酸化合物
としては、クエン酸,コハク酸,マロン酸,アジピン
酸,セバシン酸等が例示される。
【0029】更に、上述した何れのタイプの樹脂積層金
属板も、スポット溶接性を容易化するため樹脂層内に導
電粉を分散しても構わない。この場合、導電粉としては
良く知られているようにNi,Zn,Fe,ステンレス鋼等の
金属粉が例示されるが、これらに限定されるものではな
い。また、導電粉の粒径は樹脂層の厚みより大きなもの
を用いることが望ましく、公知の技術をそのまま転用す
れば良い。そして、導電粉量は、樹脂層全体重量の1〜
40wt%の範囲に調整するのが望ましい。
【0030】以下、実施例により本発明を更に具体的に
説明する。
【実施例】
〔実施例1〕冷延鋼板をめっき母材とした表1及び表2
に示す電気めっき鋼板(0.4mm厚)を表皮材とし、中間層
樹脂にはポリエステル -メラミン系樹脂を用いて“2枚
の鋼板間に樹脂層が挟まれて成る積層鋼板”を作成し
た。樹脂積層鋼板の作成は、上記各めっき鋼板に市販の
塗布型クロメ−ト処理液を用いてクロメ−ト皮膜を形成
した後、この上に平均粒径65μmのNi粉を10wt%含有
させたポリエステル -メラミン樹脂溶解液を塗布して2
00℃で1分間焼き付けてから(樹脂の乾燥膜厚:20
μm)、更に180℃で15分間ホットプレスする方法
によった。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】このようにして得られた各樹脂積層鋼板の
「塗装後の端面部耐食性」と「スポット溶接性」を以下
に示す手法で評価した。 〈塗装後の端面耐食性〉各樹脂積層鋼板からそれぞれ7
0mm×150mmの試験片を切り出し、脱脂,表面調整の
後にU−80(日本ペイント社製塗料)で厚さ20±1
μmのカチオン電着塗装を施し、175℃で25分間焼
き付けを行って試料を作成した。そして、下記に示すサ
イクル設定の複合腐食試験を行った。 塩水噴霧(5%-NaCl, 35℃, 7時間)→乾燥 (50℃, 2時
間)→湿潤(RH85 %,50℃,15時間)
【0034】評価は、上記の腐食サイクル試験を60サ
イクル実施後で樹脂積層鋼板を剥離し、中間層樹脂を接
着する面のめっき鋼板の最大赤錆発生幅を調査して、そ
の度合いを次の段階に区分して行った。 ◎ :最大赤錆発生幅<0.5mm, ○ :最大赤錆発生幅<1.0mm, △ :最大赤錆発生幅<2.0mm, × :最大赤錆発生幅<3.0mm, ××:最大赤錆発生幅≧3.0mm 。
【0035】〈スポット溶接性〉各樹脂積層鋼板からそ
れぞれ30mm×30mmの試験片を切り出した後、この試
験片200枚に対してスポット溶接試験を行い、そのと
き発生する溶接欠陥数により評価した。溶接条件は、電
極としてダブルRド−ム型のもの(材質:1%Cr-Cu)を用
い、 電流 :8500A, 加圧力 :200kgf, 通電時間:12サイクル とした。
【0036】これらの調査結果を表1及び表2に併せて
示す。表1及び表2に示される結果からも、亜鉛系めっ
き皮膜中にインヒビタ−を含有する表皮材を有した本発
明に係る樹脂積層鋼板は、インヒビタ−を含有しないめ
っき鋼板を表皮材とした比較材よりも優れた端面部耐食
性を示し、また優れた溶接性をも有していることが分か
る。
【0037】なお、これとは別に、中間層を成す樹脂中
にNi粉を混入しなかった他は表1及び表2と同様の条件
で作成した樹脂積層鋼板についても端面部耐食性を評価
したところ、その評価結果は表1及び表2におけるもの
と同様であることが確認された。
【0038】〔実施例2〕冷延鋼板をめっき母材とした
表3及び表4に示す複層電気めっき鋼板(厚さが0.4mm
)を表皮材とし、中間層樹脂にはポリエステル -メラ
ミン系樹脂を用いて“2枚の鋼板間に樹脂層が挟まれて
成る積層鋼板”を作成した。なお、樹脂積層鋼板の作成
は実施例1と同様の方法によった。
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】そして、このようにして得られた各樹脂積
層鋼板の「塗装後の端面部耐食性」と「スポット溶接
性」を実施例1と同様の手法で評価したが、その結果を
表3及び表4に併せて示す。表3及び表4に示される結
果からも、「下層たる亜鉛系又はアルミニウム系めっき
の上に“インヒビタ−を含有した亜鉛系めっき”の上層
を有する複層めっき鋼板」を表皮材とした本発明に係る
樹脂積層鋼板は、インヒビタ−を含有しないめっき鋼板
を表皮材とした比較材よりも優れた端面部耐食性を示
し、また優れた溶接性をも有していることが分かる。
【0042】また、これとは別に、中間層を成す樹脂中
にNi粉を混入しなかった他は表3及び表4と同様の条件
で作成した樹脂積層鋼板についても端面部耐食性を評価
したところ、その評価結果は表3及び表4におけるもの
と同様であることが確認された。
【0043】〔実施例3〕冷延鋼板をめっき母材とした
表5に示す 0.4mm厚(めっき付着量は45g/m2 )の合金
化溶融亜鉛めっき鋼板(GA)又はZn−Ni合金化電気め
っき鋼板(SZ)を表皮材とし、中間層樹脂にはアクリ
ル -エポキシ系樹脂を用いて“2枚の鋼板間に樹脂層が
挟まれて成る積層鋼板”を作成した。樹脂積層鋼板の作
成は、上記各めっき鋼板に市販の塗布型クロメ−ト処理
液を用いてクロメ−ト皮膜を形成した後、この上にイン
ヒビタ−を添加したアクリル及びエポキシ両樹脂の溶解
液を塗布して200℃で1分間焼き付けてから(樹脂の
乾燥膜厚:20μm)、更に180℃で15分間ホット
プレスする方法によった。
【0044】
【表5】
【0045】そして、このようにして得られた各樹脂積
層鋼板の「塗装後の端面部耐食性」と「制振性」を評価
した。なお、「塗装後の端面部耐食性」については実施
例1の場合と同様に評価し、「制振性」については次の
方法で評価した。
【0046】〈制振性〉機械インピ−ダンス法により評
価したが、この際、インピ−ダンスヘッドにはB&K社
製の#8001を、また解析装置には明石製作所製のA
VA−IV型装置をそれぞれ用い、23℃,1000Hzで
評価した。そして、評価結果は次のような段階に区分し
た。 ◎ :損失係数>0.5, ○ :損失係数>0.3, △ :損失係数>0.2, × :損失係数>0.1, ××:損失係数≦0.1 。
【0047】これらの調査結果を表5に併せて示す。表
5に示される結果からも、中間層を成す樹脂中にインヒ
ビタ−を含有した本発明に係る積層鋼板は、良好な制振
性を保持しつつ優れた端面部耐食性を発揮することが分
かる。
【0048】なお、これとは別に、スポット溶接性を容
易化するため中間層を成す樹脂中に平均粒径65μmの
Ni粉を10wt%混入した他は表5の本発明材と同様の条件
で作成した樹脂積層鋼板についても端面部耐食性を評価
したところ、その評価結果は表5におけるものと同様で
あることが確認された。
【0049】上述のように、本発明に従いインヒビタ−
を含有するめっき液から電析させた“めっき中にインヒ
ビタ−を含有した亜鉛系複合電気めっき金属板”を表皮
材として使用するにより、得られる樹脂積層金属板は、
過酷な腐食環境においても優れた端面耐食性を示すと共
に、溶接適正電流範囲も拡がり、総じて端面口開きが生
じにくくなる。また、めっき目付量も減少できるので円
周切れ防止にも効果がある。更に、表皮材たる金属板自
体の耐食性を改善するのではなく、中間層を成す樹脂中
にインヒビタ−を含有させた場合にも、この樹脂層と接
着される表皮金属板が前記インヒビタ−の防食作用を受
けるので、やはり過酷な腐食環境で優れた端面耐食性を
示すようになる。
【0050】
【効果の総括】以上に説明した如く、この発明によれ
ば、従来の積層鋼板にない高い端面耐食性を有した樹脂
積層鋼板を提供することができ、自動車,家電製品,建
材等に使用してその性能を更に向上することが可能にな
るなど、産業上有用な効果がもたらされる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2枚の金属板の間に樹脂層が挟まれて成
    る積層金属板であって、前記金属板の少なくとも樹脂層
    に接する面が“インヒビタ−を含有する亜鉛系めっき浴
    から形成されたC含有量:0.001〜10wt%の複合亜鉛系電
    気めっき層”で被覆されていることを特徴とする、耐食
    性の優れた樹脂積層金属板。
  2. 【請求項2】 2枚の金属板の間に樹脂層が挟まれて成
    る積層金属板であって、前記金属板の少なくとも樹脂層
    に接する面が、亜鉛系,アルミニウム系もしくはZn−Al
    合金系のめっきである下層と“インヒビタ−を含有する
    亜鉛系めっき浴から形成されたC含有量:0.001〜10wt%
    の複合亜鉛系電気めっき”である上層とから成る多層め
    っき層で被覆されていることを特徴とする、耐食性の優
    れた樹脂積層金属板。
  3. 【請求項3】 中間層を成す樹脂中に 0.001〜50wt%の
    インヒビタ−が含有されて成る、請求項1又は2に記載
    の耐食性の優れた樹脂積層金属板。
  4. 【請求項4】 2枚の金属板の間に樹脂層を挟まれて成
    る積層金属板であって、中間層を成す樹脂中に 0.001〜
    50wt%のインヒビタ−が含有されて成ることを特徴とす
    る、耐食性の優れた樹脂積層金属板。
  5. 【請求項5】 中間層を成す樹脂中に導電粉が分散され
    て成る、請求項1ないし4の何れかに記載の端面耐食性
    の優れた樹脂積層金属板。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024022535A1 (zh) * 2022-07-29 2024-02-01 元心科技(深圳)有限公司 一种电镀件及其制备方法和制备用夹具、设备

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