JPH07108533A - タイヤ加硫機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 クランク機構による金型の垂直昇降であっ
て、その昇降距離を大きくすることができるタイヤ加硫
機を提供する。 【構成】 下金型４を支えるベース１と、該ベース１の
両側のサイドフレーム２と、該サイドフレーム２に設け
られたガイド２２と、該ガイド２２に沿ってスライドし
上金型５を保持するトップスライド３と、該トップスラ
イド３を昇降させるためのクランク機構８とを備えたタ
イヤ加硫機において、前記クランク機構８は、円運動す
るクランク支点１６を回転体１１に固設されたレバー１
５の端に形成し、このクランク支点１６とトップスライ
ド３の力点１７とをリンク１８で連結してなるものであ
り、回転体１１の大きさとは無関係にレバー１５を長く
することで、クランク運動のストロークも長くなるよう
にした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、下金型に対して上金型
をクランク機構で開閉するタイプのタイヤ加硫機に関
し、特にクランク機構による開閉ストロークを大きくす
ることができるものに関する。

【０００２】

【従来の技術】クランク機構で開閉するタイヤ加硫機の
従来例を図５により説明する。下金型１０１はベース１
０２に載置されて支持され、上金型１０３はトップスラ
イド１０４に取り付けられ保持されている。ベース１０
２の両側にはスタンドフレーム１０５が固設され、この
スタンドフレーム１０５に上下ガイド溝１０６と円弧ロ
ーラガイド１０７が設けられている。また、トップスラ
イド１０４の側面にはガイドローラ１０８が固設されて
おり、このガイドローラ１０８が上下ガイド溝１０６を
摺動することで、トップスライド１０４が上下する。ま
た、スタンドフレーム１０５には補助ガイド溝１２０が
設けられ、トップスライド１０４のアーム１０４ａ先端
に軸支された補助ガイドローラ１２１がこの補助ガイド
溝１２０に案内される。この補助ガイド溝１２０と補助
ガイドローラ１２１の規制により、ガイドローラ１０８
が円弧ローラガイド１０７上を転動することで、トップ
スライド１０４が図示のように傾きながら後退する。こ
のようなトップスライド１０４の動きをするタイヤ加硫
機をディルトバック式と称している。

【０００３】このティルトバックの動きをさせるため
に、クランク機構１１０が用いられる。このクランク機
構１１０は、ベース１０２にクランクギア１１１が軸支
され、このクランクギア１１１のクランク軸１１２とト
ップスライド１０４の力点軸１１３の間にレバー１１４
が軸支され、クランクギア１１１はピニオンギア１１５
に噛み合っており、図示されない駆動装置でピニオンギ
ア１１５を駆動させ、クランクギア１１１を回動させる
ものである。

【０００４】図示の状態はクランクギア１１１のクラン
ク軸１１２が上死点を越える位置にあって、トップスラ
イド１０４は上昇位置にあると共に傾いており、上金型
１０３は下金型１０１の後方に斜めになって退避してい
る。そして、クランクギア１１１が矢印１１６の方向に
回転すると、トップスライド１０４に固設されたガイド
ローラ１０８が円弧ローラガイド１０７の上を矢印１１
７方向に転がり、上述した補助ガイド溝１２０と補助ガ
イドローラ１２１の規制によりトップスライド１０４の
姿勢は垂直方向に戻り、更にガイドローラ１０８が上下
ガイド溝１０６を矢印１１８方向に摺動し、クランク軸
１１２が下死点近くになると、上下金型１０１，１０３
が閉じ、下死点近くのクランクギア１１１の強力な引込
力で型締めを行うものである。すなわち、上記クランク
機構１１０は金型の開閉と型締めの両方を行える機構と
なっている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】近年、タイヤ巾の広い
所謂広巾ラジアルタイヤが普及しており、この広巾ラジ
アルタイヤは６〜８個のセグメントが拡縮自在に取り付
けられた割モールドと呼ばれる金型で加硫成形される。
この割モールドを上述したディルトバック式で開閉する
と、トップスライド１０４が傾いた時にセグメントの芯
ズレが生じやすく、加硫成形したタイヤの精度が不十分
になる場合がある。また、トップスライド１０４に固設
されたガイドローラ１０８の形状は円に限定され、この
円を上下ガイド溝１０６で案内すると、ガタが大きくな
って上下昇降の精度がでにくくなる。なお、特開平１−
３１４１１４号公報に開示されるように、トップスライ
ドを傾けることなく、横移動させるスライドバック式の
タイヤ加硫機が知られているが、横移動時の慣性で割り
モールドのセグメントがずれる場合があり、トップスラ
イドのガイドも円に限られることから、程度の差はある
もののティルトバック式と同様の問題を有している。

【０００６】そこで、油圧シリンダでトップスライドを
単に上下させる垂直式のタイヤ加硫機が使用されるよう
になった。しかしながら、油圧系統が複雑で高価になる
という問題点を有していた。また、クランク機構を用い
た単なる昇降だけで開閉することも考えられるが、この
場合、図５のクランクギア１１１が異常に大きくなりす
ぎ、機械のバランスが損なわれ、無駄な部分の多い高価
な機械になってしまう恐れがあった。

【０００７】本発明は、従来の技術の有するこのような
問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とすると
ころは、クランク機構による金型の垂直昇降であって、
その昇降距離を大きくすることができるタイヤ加硫機を
提供しようとするところにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するタイ
ヤ加硫機は、下金型を支えるベースと、該ベースの両側
のサイドフレームと、該サイドフレームに設けられたガ
イドと、該ガイドに沿ってスライドし上金型を保持する
トップスライドと、該トップスライドを昇降させるため
のクランク機構とを備えたタイヤ加硫機において、前記
クランク機構は、円運動するクランク支点を回転体に固
設されたレバーの端に形成し、このクランク支点とスラ
イドガイドの力点とをリンクで連結してなるものであ
る。また、２個の下金型を支えるベースと、該ベースに
固定され２個の下金型間に位置するスタンドフレーム
と、該スタンドフレームに設けられたガイドと、該ガイ
ドに沿ってスライドし２個の上金型を保持するトップス
ライドと、該トップスライドを昇降させるためのクラン
ク機構と、このクランク機構と分離された前記上下金型
の締付機構とを備え、前記クランク機構は、円運動する
クランク支点を回転体に固設されたレバーの端に形成
し、このクランク支点とスライドガイドの力点とをリン
クで連結してなり、上記スタンドフレームは、２個の下
金型間の後部又は前部に位置し、上記ガイドは片持ち状
態で前記トップスライドを案内するリニアモーションガ
イドであるタイヤ加硫機である。

【０００９】

【作用】円運動するクランク支点を回転体に固設された
レバーの端に形成しているので、回転体の大きさとは無
関係にレバーを長くすることで、クランク運動のストロ
ークも長くなる。また、上下金型の締付機構を別途設け
ると昇降の負荷が小さくなるので、２個の金型を設ける
２キャビティの場合には、金型間の前部又は後部にスタ
ンドフレームを設け、このスタンドフレームにリニアモ
ーションガイドを介して片持ち状にトップスライドを昇
降自在にし、上記のクランク機構でクランク運動のスト
ロークを長くする。

【００１０】以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ
説明する。図１は本発明のタイヤ加硫機の斜視図であ
る。

【００１１】図１において、１はベース、２はサイドフ
レーム、３はトップスライド、４は下金型、５は上金
型、６は下プラテン、７は上プラテン、８はクランク機
構である。

【００１２】つぎにクランク機構８の構造を詳細に説明
する。ベース１の両側又は／及び両方のサイドフレーム
２に対して、回転体としてのクランクギア１１が回転自
在に軸支され、このクランクギア１１にピニオンギア１
２が噛み合っている。このピニオンギア１２は図示され
ない減速機及び駆動モータで回動駆動される。

【００１３】また、クランクギア１１の軸１１ａにレバ
ー１５が固設され、このレバー１５の先端支持軸１６
（クランク支点）とトップスライド３の支持軸１７（力
点）との間にリンク１８が連結されている。両方のサイ
ドフレーム２には、垂直上下方向のスライド溝２２が設
けられ、スライドガイド２３が摺動自在に設けられてい
る。

【００１４】つぎに、上述した構造のクランク機構を有
するタイヤ加硫機の作動を図２により説明する。レバー
１５はクランクギア１１の回動運動によって、レバー１
５の先端支持軸１６（クランク支点）は上死点の手前の
Ａ点と下死点の手前のＢ点との間で往復動する円運動を
行う。そして、先端に支持軸１７（力点）を有するリン
ク１８は、レバー１５が上死点Ａにある時には上向きに
なっており、レバー１５が下死点Ｂにある時には下向き
になっている。すなわち、クランク機構８の全ストロー
クはＨであり、１／２ストロークは先端支持軸１６（ク
ランク支点）と軸１１ａの間であり、全ストロークＨは
レバー１５を長くすると長くなる。そこで、レバー１１
の長さを適切に設定することで、上下金型４，５間で成
形済タイヤの取り出しやグリーンタイヤの装着に必要な
垂直昇降ストロークＨを確保することができ、機械式で
構造が簡単なクランク機構８を用いるものの、クランク
ギア１１の大きさに関係なく、安価で高精度の垂直式タ
イヤ加硫機とすることができる。

【００１５】したがって、上下金型４，５に割りモール
ドを使用する場合であっても、上下金型４，５の開閉動
作によって割りモールドのセグメントがずれることがな
い。また、図１のスライドガイド２３は例えば多数のボ
ールが列状に並んだリニアモーションガイドを用いるこ
とができ、垂直昇降の精度を向上させることができる。
そして、レバー１５を所定長さとすることで、任意の垂
直昇降ストロークを得ることができ、昇降兼締付を安価
で簡単な構造で実現できる。

【００１６】なお、図１のクランクギアの回転体に代わ
り、図３のように、揺動型アクチュエータ３０の回転体
をベース１又は／及びサイドフレーム２に固設し、この
揺動型アクチュエータ３０の軸３０ａにレバー１５を固
設したクランク機構８Ａものでもよい。さらに、図４に
示されるように、クランク機構８Ｂはトップスライド３
の上下だけであり、上下金型４，５の締付は別途の締付
シリンダ３１（締付機構）で行うものでよい。この場
合、クランク機構８Ｂの容量は小さくてよいので、クラ
ンクギア１１やレバー１５等を小さくすることができ
る。

【００１７】特に、２個の金型を同時に昇降させる２キ
ャビティで、締付機構を別途設けると、２本のスタンド
フレームを所定間隔だけ隔てて２つの金型間中央側の後
側に寄せて立設し、適宜なブラケット等を介してベース
に固定する。このスタンドフレームの各々に固設された
ガイドレールを摺動するリニアモーションガイドを介し
てトップスライドを高精度で昇降自在に支持する。そし
て、スタンドフレーム間に上述したクランク機構を設
け、クランク機構のレバーをトップスライドに連結す
る。このクランク機構は金型間の中央１か所に集中して
配設されるので、両側のサイドフレールにそれぞれクラ
ンク機構を設ける場合に比較して、低コストでり、メン
テナンスをし易くなる。なお、スタンドフレームは２つ
の金型間中央側の前側に寄せて立設することもできる。

【００１８】さらに、垂直式タイヤ加硫機に限らず、従
来の技術で説明したティルトバック式タイヤ加硫機であ
っても、本発明のクランク機構を適用して、高価の機械
部品であるクランクギアを不必要に大きくせず、コトス
ダウンを達成できる。

【００１９】

【発明の効果】本発明のタイヤ加硫機は、円運動するク
ランク支点を回転体に固設されたレバーの端に形成し、
回転体の大きさとは無関係にレバーを長くして、クラン
ク運動のストロークも長くなるようにしているので、構
造の簡単な機械式のクランク機構を用いて、垂直昇降距
離を大きくする共に高精度の垂直式を実現できる。ま
た、垂直式に限らず、ティルトバック式に本発明のテコ
を適用して、クランクギアの如き回転体を締付に最低限
必要な大きさのものにすることができる。さらに、締付
機構を別に設け単なる昇降だけをクランク機構で行う場
合には、小容量のクランク機構で済むため、クランクギ
ア等を極力小さくすることができる。特に、締付機構を
別途設けた２キャビティの場合には、負荷が軽減された
クランク機構を２つの金型間に位置するスタンドフレー
ムに設けて、クランク機構の駆動部を中央の１か所だけ
にするものになり、昇降機構を安価にでき、そのメンテ
ナンスも容易であり、ガイドにリニアモーションガイド
を用いて高精度の昇降を確保できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のタイヤ加硫機の斜視図である。

【図２】本発明のタイヤ加硫機の作動を示す斜視図であ
る。

【図３】本発明の他のタイヤ加硫機の斜視図である。

【図４】本発明の更に他のタイヤ加硫機の斜視図であ
る。

【図５】従来のタイヤ加硫機の斜視図である。

【符号の説明】

１ ベース ２ サイドフレーム ３ トップスライド ４，５ 上下金型 ８，８Ａ，８Ｂ クランク機構 １１ クランクギア（回転体） １５ レバー １６ 先端支持軸（クランク支点） １７ 支持軸（力点） １８ リンク ２２ スライド溝（ガイド） ２３ スライドガイド ３０ 揺動型アクチュエータ（回転体） ３１ 締付シリンダ（締付機構）

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 下金型を支えるベースと、該ベースの両
   側のサイドフレームと、該サイドフレームに設けられた
   ガイドと、該ガイドに沿ってスライドし上金型を保持す
   るトップスライドと、該トップスライドを昇降させるた
   めのクランク機構とを備えたタイヤ加硫機において、 前記クランク機構は、円運動するクランク支点を回転体
   に固設されたレバーの端に形成し、このクランク支点と
   スライドガイドの力点とをリンクで連結してなることを
   特徴とするタイヤ加硫機。
2. 【請求項２】 サイドフレームの前記ガイドは上下方向
   だけであり、前記トップスライドは上下に開閉するもの
   である請求項１記載のタイヤ加硫機。
3. 【請求項３】 前記上下金型に対する締付機構が別途設
   けられた請求項１記載のタイヤ加硫機。
4. 【請求項４】 ２個の下金型を支えるベースと、該ベー
   スに固定され２個の下金型間に位置するスタンドフレー
   ムと、該スタンドフレームに設けられたガイドと、該ガ
   イドに沿ってスライドし２個の上金型を保持するトップ
   スライドと、該トップスライドを昇降させるためのクラ
   ンク機構と、このクランク機構と分離された前記上下金
   型の締付機構とを備え、前記クランク機構は、円運動す
   るクランク支点を回転体に固設されたレバーの端に形成
   し、このクランク支点とスライドガイドの力点とをリン
   クで連結してなり、上記スタンドフレームは、２個の下
   金型間の後部又は前部に位置し、上記ガイドは片持ち状
   態で前記トップスライドを案内するリニアモーションガ
   イドであるタイヤ加硫機。