JPH0710741Y2

JPH0710741Y2 - 家畜受精卵注入器

Info

Publication number: JPH0710741Y2
Application number: JP1989019775U
Authority: JP
Inventors: 鈴木　　達行
Original assignee: 富士平工業株式会社
Priority date: 1989-02-22
Filing date: 1989-02-22
Publication date: 1995-03-15
Anticipated expiration: 2004-02-22
Also published as: JPH02111416U

Description

【考案の詳細な説明】「産業上の利用分野」この考案は、家畜の受精卵を収納したストロー管より家
畜に受精卵を注入するための注入器に関する。

「従来の技術」従来、この種の注入器として例えば第６図に示す構造の
ものが知られている。この図において符号１は家畜の受
精卵注入器（以下注入器と略称する）である。この注入
器１は、金属製で略円筒状の注入管２と、この注入管２
に進退可能に挿通された金属製で円柱状の押出棒３とか
らなっている。注入管２は、家畜の子宮内に挿入される
円筒状の挿入管４と、この挿入管４の後端に配設された
固定部５と、固定部５の後端に配設された柄部６とから
なるものであり、柄部６の後端面6aから挿入管４の先端
面4aに通じる孔を有するものである。ここで固定部５
は、挿入管４に外挿された第６図中二点鎖線で示す鞘管
Ａを固定するためのものである。押出棒３は、挿入管４
と鞘管Ａとに内挿された第６図中二点鎖線で示すストロ
ー管Ｂの栓体Ｃを押圧し移動せしめるためのものであ
り、これによってストロー管Ｂ内に収納された受精卵を
排出せしめるためのものである。

このような構造の注入器１により、予め受精卵を収容し
たストロー管Ｂ内の受精卵を雌牛等の家畜の子宮内に注
入するには、まず押出棒３を柄部６の後端面6aより注入
管２内に挿入し、ストロー管Ｂの栓体Ｃに当接する以前
の適宜な位置に停どめた状態のもとで、第６図に示すよ
うに端部を切断して開封したストロー管Ｂを挿入管４の
先端面4a側開口部より挿入し装填する。この場合にスト
ロー管Ｂは、挿入管４内に形成された図示しないストッ
パーにより挿入管４内の所定の位置に停どめられる。次
いで、この挿入管４に鞘管Ａを外挿し、該鞘管Ａを固定
部５により固定する。するとストロー管Ｂは、その先端
側が鞘管Ａに内挿され、さらに切断され開封された先端
部B₁が鞘管Ａのテーパを設けた先端部A₁の内部で押圧さ
れ挟持されることにより固定される。その後、第７図に
示すように雌牛の子宮Ｄ内に鞘管Ａとともに注入器１の
挿入管４を挿入し、押出棒３を押圧してストロー管Ｂの
栓体Ｃを挿入管４の先端面4a方向に移動せしめ、これに
よりストロー管Ｂ内の受精卵を鞘管Ａの注入口A₂より排
出し子宮Ｄ内に注入する。

「考案が解決しようとする課題」しかしながら、上記注入器にあってはその使用に際し、
挿入管にストロー管を挿入した後さらに鞘管を外挿して
この鞘管を固定しなくてはならず、使い勝手が悪いとい
った問題がある。また、上記注入器では、鞘管の注入口
が鞘管の挿入する方向側となる先端に形成されているこ
とから、注入器を挿入した際注入口の周縁により雌牛等
の頚管内あるいは子宮内を傷付けてしまう恐れがある。
さらに、受精卵を注入するにあたり、注入器を雌牛等の
腟内から頚管内へと挿入した際、腟内の粘液等により鞘
管が汚染され、この汚染された鞘管がそのまま子宮内に
挿入されることにより、注入する受精卵が汚染される恐
れもある。

「課題を解決するための手段」この考案の受精卵注入器では、注入管を注入側管と押出
棒挿通側管とから構成し、これらを着脱自在に接続する
とともにそれぞれの外周面を面一にし、かつこれら注入
側管と押出棒挿通側管との接続部近傍内に上記ストロー
管の装着室を形成し、該装着室に連通する注入孔を注入
側管の先端部側周面に開口して形成し、上記鞘管の先端
部よりやや後方に注入器本体の押圧により貫通可能な密
閉膜を設け、かつ該密閉膜により鞘管の先端側開口を閉
塞することを上記課題の解決手段とした。

「作用」この考案の家畜受精卵注入器によれば、注入管を注入側
管と押出棒挿通側管とから構成し、これらを着脱自在に
接続するとともにこの接続部近傍内にシトロー管の装着
室を形成したので、ストロー管の注入管内への装着が容
易になる。また、上記装着室に連通する注入孔を注入側
管の先端部側周面に開口して形成したので、注入器を挿
入した際注入口の周縁により家畜の頚管内あるいは子宮
内を傷付けることが防止される。さらに、鞘管の先端部
よりやや後方に注入器本体の押圧によって貫通可能な密
閉膜を設け、かつ該密閉膜により鞘管の先端側開口を閉
塞したので、注入管の先端部を鞘管で覆った状態で注入
器を腟内に挿入し、子宮外口にて注入管のみを押圧して
密閉膜を貫通し、注入管を子宮内に挿入して受精卵を注
入するようにすれば、腟内や頚管内の粘液等による注入
管の汚染が防止される。

「実施例」第１図ないし第５図はこの考案の家畜受精卵注入器の一
実施例を示す図であり、これらの図において符号10は家
畜受精卵注入器（以下、注入器と略称する）である。こ
の注入器10は、注入器本体11とこの注入器本体11に外挿
される鞘内管12および鞘外管13とからなるものである。

注入器本体11は、受精卵を収納したストロー管（図示
略）を装着する金属製略円筒状の注入管14と、この注入
管14に移動自在に挿通される押出棒15とからなるもので
ある。注入管14は、第２図に示すように注入側管16と押
出棒挿通側管（以下、挿通側管と略称する）17とからな
り、これらが着脱自在に接続され、かつこれらの内部に
連続して内部孔14aを形成したものである。注入側管16
は有蓋筒状のものであって、略球面状の先端部18を有
し、該先端部18の最大半径部18aより後方の注入側管16
側周面に注入口19,19を形成したものである。これら注
入口19,19は上記内部孔14aに連通して形成されたもの
で、後述するようにストロー管内の受精卵を排出するた
めのものである。また、上記注入側管16にはその先端部
18の最大半径部18aと注入口19,19との間の外周面にくび
れ部20が形成されている。また、その後端側には雄螺子
部21が形成されており、これによって後述する挿通側管
17の雌螺子部と螺合して着脱自在に接続するようになっ
ている。挿通側管17は、先端側に雌螺子部22を形成し、
後端側に第１図に示すように柄部23を形成したもので、
雌螺子部22が前述したように注入側管16の雄螺子部21と
螺合するものである。柄部23の後端面23aには注入管14
の内部孔14aが開口しており、この開口部より押出棒15
が挿通するようになっている。

また、このような構成からなる注入管14は、注入側管16
と挿通側管17とが接続された際、これらの外周面が面一
となるよう構成されており、使用にあたって雌牛等の家
畜の子宮内に挿入した際、この接続部によって体内を傷
付けないようになっている。また、この注入管14には、
第２図に示すように注入管16と挿通側管17との接続部近
傍の内部孔14a中に第２図中二点鎖線で示すストロー管
Ｂを収納装着するための装着室24が形成されており、使
用にあたってストロー管Ｂを装着固定し得るようになっ
ている。

押出棒15は、注入器管14の内部孔14aに挿通される細棒2
5とこの細棒25の後端側に形成された押圧部26とかなる
ものであり、使用に際してこれを押圧し内部孔14a中を
前進させることにより、装着室24のストロー管Ｂ内の栓
体Ｃを押圧し移動せしめて受精卵を排出するものであ
る。

鞘内管12は、第１図に示すように可撓性を有する合成樹
脂製のもので、その先端部に、該先端の周縁が窄まって
なる狭窄部27が形成されている。この狭窄部27は、上記
注入側管16のくびれ部20に着脱自在に嵌合するようその
内径が決められたものである。このような構成のもとに
鞘内管12は、狭窄部27がくびれ部20に嵌合した場合に注
入管14の注入口19,19を覆った状態で注入管14に固定さ
れるものとなる。

鞘外管13は、鞘内管12より短い円筒状のものであって、
第３図に示すように先端側に配置される密閉膜押圧筒
（以下、押圧筒と略称する）28と、後端側に配置されて
押圧筒28に螺着により接続する密閉膜支持筒（以下、支
持筒と略称する）29と、これらの間に挟着される密閉膜
30とからなるものである。押圧筒28は、透明合成樹脂等
からなるものであり、支持筒29に比べて長さが短かく、
鞘外管13の先端部を形成するものである。この押圧筒28
の先端周縁部31には丸み（アール）が設けられており、
また後端側には雄螺子部32が形成されている。支持筒29
は、押圧筒28と同様に透明合成樹脂等からなるものであ
り、その先端側に雌螺子部33を形成し、この雌螺子部33
に密閉膜30を支持して押圧筒28を螺合することにより、
押圧筒28とともに密閉膜30を挟持するものである。これ
により、密閉膜30は鞘外管13の先端部より若干後方の位
置に取り付けられることになる。

密閉膜30は、第４図に示すように可撓性合成樹脂、ゴム
等からなる円形片であって、その中心部に十字状のスリ
ット34を設けたものである。このような構成のもとに密
閉膜30は、鞘外管13の先端側開口を閉塞するものとな
り、かつ使用に際して注入器本体11を押圧することによ
り容易に貫通可能なものとなる。

このような構成の注入器10を用いて受精卵を雌牛等の家
畜の子宮内に注入するには、挿通側管17から注入側管16
を外した後、予め受精卵を収納したストロー管Ｂの端部
を切断して開封し、注入側管16に該ストロー管Ｂを挿通
してストロー管Ｂの先端部を注入側管16内のテーパ部35
で挟着固定する。

次に、挿通側管17に注入側管16を螺合して第２図に示す
ように接続し、さらに第１図に示すように鞘内管12およ
び鞘外管13を順次注入器本体11に外挿するとともに、注
入管14に押出棒15を挿入してストロー管Ｂの栓体Ｃに当
接する以前の適宜な位置に停どめる。

次いで、この注入器10を雌牛等の腟内に挿入し、鞘外管
13の先端が第５図に示す子宮外口Ｅの位置に至った後、
注入器本体11のみを押圧して鞘内管12とともに鞘外管13
の密閉膜30を貫通する。さらに、鞘内管12とともに注入
器本体11を子宮頭管Ｆ内に挿入し、注入器本体11の先端
部が子宮Ｄ内の注入位置に至った際挿入を停止する。こ
の場合、注入側管16の先端部18が略球面状になっている
ので、子宮内を傷付けることがなく、また鞘内管12の先
端部が狭窄部27となっており、かつこれがくびれ部20に
嵌合しているので、この鞘内管12の先端周縁で子宮内を
傷付けることもない。

その後、第５図に示すように鞘内管12を後方にずらして
注入口19,19を露出せしめ、注入器本体11の押出棒15を
押圧することによってストロー管Ｂ内の受精卵を子宮内
に注入する。

このような注入器10にあっては、ストロー管Ｂを注入管
14に容易に装着できることから使い勝手の良いものとな
り、また注入口19,19が注入側管16の先端部側周面に形
成されているので、注入器10を挿入した際注入口19,19
の周縁により雌牛等の家畜の頚管内あるいは子宮内を傷
付けることが防止され、さらに腟内への挿入に際し、鞘
外管13で注入管14の先端側を覆うので腟内の粘液等によ
り注入管14が汚染されることが防止される。

なお、上記実施例では鞘内管12を設けて注入口19,19を
覆うようにしたが、これを用いることなく注入器本体に
直接鞘外管13を外挿するようにしてもよい。この場合、
注入側管16と挿通側管17とは接合部にてそれぞれの外周
面が面一となっているので、該接合部により頚管内を傷
付けることが防止される。

また、上記実施例では密閉膜を可撓性合成樹脂、ゴム等
からなる円形片とし、その中心部に十字状のスリットを
設けて注入管が貫通可能なようにしたので、注入管14は
鞘外管13の中心部を通過し、よって鞘外管13内壁部での
汚染が防止される。なお、密閉膜として他に例えば、単
にセロハン等の合成樹脂などからなる薄膜を密閉膜とし
て用い、使用に際し、注入器本体を押圧することによっ
てこれを破断し、貫通するようにしてもよい。またこの
ようなことから、密閉膜は鞘外管に着脱自在であり、使
用毎に適宜交換して使用することが可能となる。

「考案の効果」以上説明したように、この考案の家畜受精卵注入器は、
注入管が注入側管と押出棒挿通側管とからなり、これら
が着脱自在に接続されるとともにそれぞれの外周面が面
一に形成されてなり、かつこれら注入側管と押圧棒挿通
側管との接続部近傍内に上記ストロー管の装着室が形成
され、該装着室に連通する注入孔が注入側管の先端部側
周面に開口して形成され、上記鞘管の先端部よりやや後
方に注入器本体の押圧により貫通可能な密閉膜が設けら
れ、かつ該密閉膜により鞘管の先端側開口が閉塞されて
なるものであるから、ストロー管の注入管内への装着が
容易となって使い勝手に優れたものとなり、また注入器
を挿入した際注入口の周縁によって家畜の腟内、頚管内
あるいは子宮内を傷付けることを防止し得るものとな
る。さらに、注入器を挿入するにあたり、注入管の先端
部を鞘管で覆った状態で注入器を腟内に挿入し、子宮外
口にて注入管を押圧して密閉膜を貫通し、注入管を子宮
内に挿入して受精卵を注入するようにすれば、腟内や頚
管内の粘液等による注入管の汚染を防止することがで
き、これにより注入する受精卵の損傷などを防止して受
精卵の子宮に着床する確率を十分に高めることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第５図はこの考案の家畜受精卵注入器の一
実施例を示す図であって、第１図は該注入器の概略構成
図、第２図は該注入器の注入管の概略構成を示す側断面
図、第３図は鞘外管の概略構成を示す側断面図、第４図
は密閉膜の正面図、第５図は第１図に示した注入器の使
用方法説明図、第６図および第７図は従来の家畜受精卵
注入器の一例を示す図であって、第６図は該注入器の概
略構成図、第７図は第６図に示した注入器の使用方法説
明図である。 10……家畜受精卵注入器、11……注入器、12……注入器
本体、13……鞘外管、14……注入管、15……押出棒、16
……注入側管、17……押出棒挿通側管、19……注入口、
24……装着室、28……密閉膜固定筒、30……密閉膜、Ｂ
……ストロー管。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】受精卵を収納したストロー管を装着する注
入管とこの注入管に進退自在に挿通される押出棒とから
なる注入器本体と、この注入器本体を移動可能に外挿す
る鞘管とを具備してなる家畜受精卵注入器において、上記注入管が注入側管と押出棒挿通側管とからなり、こ
れらが着脱自在に接続されるとともにそれぞれの外周面
が面一に形成されてなり、かつこれら注入側管と押出棒
挿通側管との接続部近傍内に上記ストロー管の装着室が
形成され、該装着室に連通する注入孔が注入側管の先端
部側周面に開口して形成され、上記鞘管の先端部よりやや後方に注入器本体の押圧によ
り貫通可能な密閉膜が設けられ、かつ該密閉膜により鞘
管の先端側開口が閉塞されてなることを特徴とする家畜
受精卵注入器。