JPH0350892Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は家畜の人工授精に用いられる精液注
入器、又は受精卵注入器に用いる鞘管（シース
管）のカバーに関する。

（従来の技術とその問題点） 従来、非手術的に雌牛に精液を注入したり、或
いは体外に取り出した受精卵を他の雌牛の子宮に
移植する方法として子宮頸管を通して子宮内に注
入する方法がある。

この方法に使用される注入器は金属製の注入管
と、金属製の押出し棒で構成され、注入管の後部
外側には注入管の外側に被冠する鞘管の後部を定
着保持する係止手段が装備されているものであ
る。

そして、この注入管を用いての操作は先ず注入
器の注入管に鞘管を被せ、更にその上にカバーを
被せる。尚、カバーを被せる以前に注入管内には
精液又は受精卵が収納されたストロー管を挿入セ
ツトし、押出し棒は後方へ引き出しておく。以上
の準備を完了した後、直腸膣法によりカバーを被
せた注入器を子宮膣内、子宮頸管を通して内子宮
口に到達させ、カバーを押えて鞘管が被冠された
注入器を前方へ押し出し、カバーの先端を突き破
つて鞘管がセツトされた注入器を子宮角深部へ挿
入し、その状態で押出し棒を押してストロー管内
の精液又受精卵を子宮角深部に注入する。

即ち、鞘管をセツトした注入器が子宮角深部へ
到着するまでに膣内と頸管内で雑菌などに触れな
いようにカバーをして挿入操作するものである。

ところで、従来使用されているカバーは第５図
に示すように合成樹脂製のカバー管８の先端開口
部をセロフアン紙又は合成樹脂製フイルム９で密
閉閉鎖してなるもので、その先端のセロフアン紙
又はフイルム９を鞘管１０の押動で突き破るよう
になつている。しかして、カバー管にセロフアン
紙を被冠貼着する作業は手作業で行なうため、生
産性に欠け、且つ平面的なセロフアン紙をカバー
管に被着するためカバー管の外周面にセロフアン
紙の折り重ねによる襞が生じ、その結果挿入時、
子宮内壁に傷を付ける危険がある。又、合成樹脂
フイルムの場合は鞘管の押動で延伸し、突き破ら
れたフイルムがカバー管よりちぎれ、フイルム破
片が子宮深部に置き去りになるといつた問題が生
じかねないものである。

（考案の目的） 本考案は上述した如き従来の事情に鑑みカバー
管の先端を密閉せずに鞘管の射出口を雑菌類より
隔離保護することが出来るカバーを提供すること
にある。

（考案の構成） 上記目的を達成するために本考案が講じた技術
的手段は、カバー管本体を合成樹脂材で両端が開
口した管状に形成し、その先端周縁に、鞘管にお
ける射出口前方の外周面と密着し、且つ節度的に
摺動する係合部を形成する。

カバー管本体に形成する係合部の形態として
は、カバー管本体の先部を内方に絞つて小径と
し、鞘管の先部外周面に形成した環状の係止段部
に係止させたり、或いはカバー管本体の先部にＯ
リング、パツキン等を一体的に固着して鞘管との
間のシール性を確立させるようにする。

（作用） 上記構成によれば、カバー管を鞘管に被冠し、
カバー管本体の先部における係合部を鞘管の射出
口前方の外周面に係合させることにより、カバー
管は鞘管と係合一体化し、注入器の先部を子宮深
部へ挿入するまでの間、鞘管の射出口を被覆保護
する。そして、注入器の先部が所定位置へ到達し
た時はカバー管を押え、注入器と鞘管を一体化し
て前方へ押動すれば、カバー管本体の係合部に対
し鞘管が滑動して係合部より前方に射出口が露出
し、注入器の押出し棒を操作することにより鞘管
の射出口より精液又は受精卵を子宮角深部へ注入
出来る。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
ると、１はカバー、２は鞘管、３は注入器、４は
ストロー管、カバー１は合成樹脂材によつて鞘管
２の外側に被冠し得る両端開口の管状に形成した
カバー管本体１ａと、その先部に形成した係合部
１ｂとで構成されている。係合部１ｂは、カバー
管本体１ａの先部を内方に絞り弯曲させて鞘管２
における射出口５より前方の外周面に形成した環
状の係止段部６，６′に密着係合し、鞘管２とカ
バー１とが相対して節度的に摺動するようにして
ある。

又、上記係合部１ｂにはＯリング或いはパツキ
ン等のリング７を一体的に取付けて鞘管２とのシ
ール性を向上し、且つ節度的に摺動を効果的に行
なわしめることが出来る。

上記カバー１内に位置する鞘管２には最大半径
部より後方の周囲に射出口５が形成され、ストロ
ー管４内の精液、受精卵が押し出し射出されるよ
うになつている。

以上の構成により、注入器３にストロー管４を
セツトし、注入器３の外側に鞘管２を被冠セツト
した後、カバーを被せて先端の係合部１ｂを射出
口５より前方の係止段部６に係止させ、カバー１
と鞘管２とを位置決めする。その状態で子宮の所
定位置まで挿入した後、カバー１を押えて鞘管２
と注入器３を一体化して前方に押動すれば係合部
１ｂを拡開しながら鞘管の先部が突出され、射出
口５は係合部１Ｂより前方に位置してストロー管
４内の精液、受精卵の押し出しが可能となる。

（考案の効果） 本考案の鞘管カバーは以上詳述した如く、カバ
ー管本体の先部に、鞘管における射出口前方の外
周面と密着し、且つ節度的に摺動する係合部を形
成したものであるから、カバーは鞘管の所定位置
に係着保持されて注入器が所定位置へ挿入される
までは鞘管の射出口が露出するのを確実に防止す
る。そして、注入器の先部が所定位置へ到達した
時、カバーを押えて注入器を押動すればカバーの
係合部を拡開して射出口が前方へ露出し、射出可
能となる。

従つて、従来のカバーに比較して、カバー管を
セロフアン紙で密閉する必要がないと共に、そう
した密閉部材が突き破られることによつて細片化
し、子宮内に存在するといつた危険を解消するこ
とが出来る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は縦断正
面図、第２図は鞘管を押し出し突出させた同断面
図、第３図は他の実施例を示す縦断正面図、第４
図は鞘管を押し出し突出させた同断面図、第５図
は従来構造を示す断面図である。 図中、１……カバー、２……鞘管、３……注入
器、５……射出口、１ａ……カバー管本体、１ｂ
……係合部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 先端の最大半径部より後方に射出口を開設した
   鞘管のカバーであつて、カバー管本体を合成樹脂
   材で両端が開口した管状に形成し、その先部に該
   カバー管本体の内径よりも小径な係合部を形成
   し、鞘管における射出口前方の外周面に形成した
   環状の係止段部に摺動係止自在とした家畜の精
   液、受精卵注入器用鞘管カバー。