JPH0710430B2 - スライディングノズル - Google Patents

スライディングノズル

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JPH0710430B2
JPH0710430B2 JP1160130A JP16013089A JPH0710430B2 JP H0710430 B2 JPH0710430 B2 JP H0710430B2 JP 1160130 A JP1160130 A JP 1160130A JP 16013089 A JP16013089 A JP 16013089A JP H0710430 B2 JPH0710430 B2 JP H0710430B2
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哲始 沼田
眞人 飯山
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日本鋼管株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、タンディシュ等の溶湯容器に用いられるスラ
イディングノズルに関する。
[従来の技術] 転炉溶鋼は、取鍋により連続鋳造設備に搬送され、タン
ディシュに注入された後に浸漬ノズルを介して鋳型に注
入されている。
通常、タンディシュと浸漬ノズルとの間にはスライディ
ングノズルが設けられ、鋳型への溶鋼流量を調節する。
このスライディングノズルは、耐火物レンガからなる固
定プレートとスライディングプレートとから構成されて
いる。これらの固定プレートおよびスライディングプレ
ートはそれぞれ連通孔を有し、これらの連通孔を一致さ
せることにより、溶鋼を下方の浸漬管(すなわち、鋳型
側)に通流させる。また、上記連通孔の位置をずらすこ
とにより、溶鋼の通流を停止させることができる。すな
わち、ノズルの開閉は、固定プレートに対してスライデ
ィングノズルを摺動させることにより実行する。
上述の通り、スライディングノズルは高温下で耐火物同
士を摺動させ、溶鋼流量を制御する装置であるため、ス
ライディングノズルに用いる耐火物レンガには耐摩耗性
等の機械装置部品としての性能が要求されるのみなら
ず、様々な性質が要求される。
まず、溶鋼の酸化防止のために、両プレートの摺接部の
気密性が要求される。スライディングノズルは、溶鋼流
の直撃を受けるため物理的摩耗が激しい。特に、この摩
耗は連通孔領域で激しく、連通孔の拡大を引起こす。連
通孔が拡大すると、溶鋼流量を正確に制御できなくなる
と共に、両プレートの摺接部に溶鋼が差込み、摺接面が
損傷する。
したがって、第一の性質として、耐摩耗性が必要であ
る。
また、スラグや溶鋼(以下、スラグ等という)が耐火物
レンガの気孔内に浸入するのを防止(以下耐浸入性とい
う)する必要がある。これは、スラグ等が耐火物レンガ
の気孔内へ浸入すると、耐火物レンガの化学的摩耗、す
なわち浸食や溶損が起り、更にそれに付随して構造的ス
ポーリングが起るためである。このためスライディング
ノズル用耐火物レンガに要求される性質として、第二に
耐浸入性、耐浸食性、および耐構造的スポーリング性が
ある。
また、スライディングノズル用耐火物レンガは、溶鋼に
よる急熱に対して安定性を有する必要がある。すなわ
ち、急熱による熱応力によって起る熱スポーリングを防
止することが要求される。したがって、スライディング
ノズル用耐火物レンガに要求される性質として、第三に
耐熱的スポーリング性がある。
従来のスライディングノズルは、固定プレートおよびス
ライディングプレート用耐火物レンガとして、アルミナ
・カーボン質耐火物レンガ、あるいは高アルミナ質耐火
物レンガなどを用いていた。
また、上記第二の性質(耐浸入性および耐浸食性)を充
足させる目的で、耐火物レンガの気孔内にタールを含浸
させたタール含浸耐火物レンガの使用例もある。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、アルミナ・カーボン質耐火物レンガおよ
び高アルミナ質耐火物レンガは多孔質であるため、スラ
グ等の浸入を防止することができず、これによる浸食を
抑制することは実質的に不可能だった。また、耐熱的ス
ポーリング性も未だ十分満足できるものではなかった。
一般的に、スラグ等の浸入防止対策として、耐火物のち
密化が行われている。しかし、耐火物をち密化して耐浸
食性および耐浸食性を向上させると、逆に耐熱的スポー
リングが低下するという欠点がある。
また、タール含浸耐火物レンガは、耐熱的スポーリング
の低下を抑えつつ、スラグ等の浸入を防止し耐浸入性、
耐浸食性、および耐構造的スポーリング性を向上させる
のに効果があるが、タールを含浸させる際に用いた溶媒
が高熱により揮発してしまい、溶倍が存在していた耐火
物レンガ内に再び気孔が形成されるため、スラグ等の浸
入を十分に防止することはできない。
このように、耐浸食性と耐熱的スポーリング性を共に向
上させることは困難なことであり、両性質を併有するス
ライディングノズルの開発が望まれていた。
さらに、物理的摩耗に対してより優れた耐摩耗性を有す
るスライディングノズルの開発も望まれていた。
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、耐摩耗
性、耐浸入性、耐浸食性、および耐熱的スポーリング性
に優れたスライディングノズルを提供することを目的と
する。
[課題を解決するための手段] 本発明の目的は、溶湯容器に固定され、溶湯容器の溶鋼
通流孔に連通し溶鋼を通流させるための孔が形成された
固定プレートと、前記固定プレートに摺接され、摺動手
段により摺動されると、前記固定プレートの孔と連通す
る孔が形成されたスライディングプレートとを有し、前
記固定プレートおよびスライディングプレートのうち少
なくとも一方の耐火物多孔体またはセラミック多孔体
に、ニッケル、炭素鋼、合金鋼またはステンレス鋼を10
〜70重量%の割合で含浸させた金属含浸体を含むことを
特徴とするスライディングノズルによって達成される。
とくに、固定プレート及びスライディングプレートの摺
接面の周辺領域は、損耗量が著しく大きい箇所であるの
で、金属含浸量を20〜40重量%とすることが望ましい。
[作用] 本発明のスライディングノズルは、耐火物レンガまたは
セラミック体の気孔内に金属を含浸させた金属含浸耐火
物レンガまたは金属含浸セラミック体(以下、金属含浸
体という)で形成されている。
耐火物レンガまたはセラミック体(以下、耐火レンガ等
という)の気孔内に金属を含浸させることにより、耐火
物レンガの強度が増大するので耐摩耗性が向上する。こ
のため、各プレートの摺動部が摩耗し難く、プレート間
に隙間が生じ難い。また、金属を含浸させることによ
り、高密度となるので、溶鋼の酸化および溶鋼の差込み
を防止することができる。
耐火物レンガ等の気孔内に金属を含浸させることによっ
て、その見掛け気孔率が通常の耐火物レンガ等の見掛け
気孔率より小さくなる。耐火物レンガ等の気孔内に金属
が充填されているので、耐火物レンガ等に溶湯が浸入し
難く、耐浸入性が向上する。耐浸入性が向上するのに伴
い耐侵食性および耐構造的スポーリング性も向上する。
また、見掛け気孔率が低減するので酸素等の侵入も困難
となり、溶鋼の酸化を防止することもできる。
また、耐火物レンガ等の気孔内にニッケル、炭素鋼、合
金鋼またはステンレス鋼を含浸させているので、スライ
ディングノズルの熱伝導率が向上し熱分散性が良好とな
り熱応力が発生し難く、耐熱的スポーリング性も向上す
る。
さらに、含浸されたニッケル、炭素鋼、合金鋼またはス
テンレス鋼は、摺動面の摩耗や溶損が進行してこれらが
溶鋼中に混入したとしても鋳造に悪影響をおよぼすよう
な不純物にはならないので、製品の品質安定の観点から
も好ましいものである。
このように、耐摩耗性、耐侵入性、耐浸食性、および耐
熱的スポーリング性が総合的に向上する結果、スライデ
ィングノズルの寿命を延長することができる。
本発明において、含浸させる金属は、ニッケル、炭素
鋼、合金鋼またはステンレス鋼のうちから選ばれる。こ
の場合に、ニッケルは工業用純ニッケルに代表される純
ニッケル金属を含み、炭素鋼はJIS規格で規定された高
炭素鋼から低炭素鋼まで含み、合金鋼はJIS規格で規定
されたすべての合金鋼を含み、ステンレス鋼はJIS規格
で規定されたSUS430等すべてのステンレス鋼を含む。金
属含浸量は、耐火物多孔体に対して10〜70重量%の範囲
内で所望の効果が得られるよう適宜選択する。金属含浸
量を10〜70重量%に限定する理由は、この範囲の金属含
浸量では第3図に示す浸食指数が50以下に低減されるか
らである。
[実施例] 以下、図面を参照しながら、本発明の実施例について詳
細に説明する。
第1図は、本発明の実施例に係るスライディングノズル
が用いられたタンディシュ底部を示す縦断面図である。
タンディシュ1は外側が鉄皮2で覆われ、その内側に内
張り耐火物レンガ3が構築されている。このタンディシ
ュ1の中には、図示しない取鍋から注入された溶鋼4が
収容されている。タンディシュ底部の鉄皮2の下部に
は、スライディングノズル7が取付けられている。スラ
イディングノズル7は、固定プレート5、スライディン
グプレート6およびスライディングプレート6を摺動さ
せる手段(図示せず)を有する。固定プレート5および
スライディングプレート6は、後述する通り、少なくと
も一方が金属含浸体で形成されたものである。このスラ
イディングプレート6の上面は、固定プレート5の下面
と密着している。固定プレート5は連通孔10を、スライ
ディングプレート6は合わせ連通孔11をそれぞれ有して
おり、鋳型への溶鋼注入量の制御は、固定プレート5に
対してスライディングプレート6を図中の矢印方向Aに
機械的に摺動させることにより、連通孔10と連通孔11と
を適宜合せて行う。すなわち、連通孔10と連通孔11とが
完全に一致した場合には、鋳型への溶鋼通流量は最大と
なる。また、連通孔10と連通孔11とが不一致の場合に
は、溶鋼通流量は最小となる。
さらに、スライディングプレート6の下部に浸漬管8が
接続されている。浸漬管8の下端部は鋳型9内に挿入さ
れている。
以下、固定プレート5およびスライディングプレート6
について詳しく説明する。
固定プレート5およびスライディングプレート6は、金
属含浸耐火物レンガまたは金属含浸セラミック体(以
下、金属含浸体という)で形成されたものである。
上述した通り、金属含浸耐火物レンガとは、耐火物レン
ガの気孔内に金属を含浸させたものである。前記耐火物
レンガには高アルミナ質レンガ、アルミナ・カーボン質
レンガ、マグネシア質レンガ、およびマグネシア・カー
ボン質レンガなど、どのような耐火物レンガをも用いる
ことができる。また、本発明のスライディングノズルに
用いる耐火物レンガは焼成体であっても、不焼成体であ
ってもよい。
一方、金属含浸セラミック体とは、セラミック体の気孔
内に金属を含浸したものである。本明細書中において、
前記セラミック体とは、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケ
イ素、およびジルコニアなどのニューセラミックスまた
はファインセラミックスと称されているものを意図した
ものである。
金属を含浸させる領域はスライディングノズル全体でも
よいし、また固定プレート5とスライディングプレート
6との接触面(摺動面)周辺部、および各プレートの側
面周辺部のみでもよい。ここで、周辺部とはプレート表
面およびプレート端部から約0.5〜5cmのことをいう。
スライディングノズル7を構成する固定プレート5およ
びスライディングプレート6の周辺部および側面周辺部
に金属を含浸させることの利点は、前記プレート周辺部
の気孔を金属で閉じ、外界から侵入する酸素による溶鋼
の酸化を防止できることである。
特に、金属を上記接触面周辺部および側面周辺部のみに
含浸させる場合は、金属含浸量を20〜40重量%にするの
が好ましい。金属含浸量を20〜40重量%の範囲に限定す
る理由は、この範囲の金属含浸量では第3図に示す浸食
指数が25以下に低減されること、20〜40重量%の金属含
浸量では第4図に示す強度指数の低下が小さくなるこ
と、30重量%の金属含浸量では第5図に示す曲げ強度が
大幅に上昇すること、からである。
耐火物レンガ等の気孔に金属を含浸させる方法は特に限
定されないが、例えば以下の方法を用いることができ
る。
まず初めに、耐火物レンガ等を約1400〜1700℃に予熱し
て脱気する。その後、溶鋼金属を含有するホットメタル
バス中に浸漬し加圧する。この方法により、前記耐火物
レンガ等に金属を含浸させることができる。例えば、見
掛け気孔率8容積%のアルミナ・カーボン質レンガの見
掛け気孔率を、上述の方法により、約0.3容積%まで低
減することができる。
なお、金属含浸体を用いてスライディングノズルを製造
する方法は、従来の手法による。スライディングノズル
は、機械装置部品としての性質として、溶鋼静圧下で密
着する必要があり、この条件下で滑めらかに摺動する必
要がある。したがって、固定プレートおよびスライディ
ングプレートの面精度は特に重要であり、通常30μm以
下の面精度に仕上げられる。
以下、金属含浸耐火物レンガの試験結果を示し具体的に
説明する。
耐浸入性および耐浸食性 上述した方法により、アルミナ質レンガにニッケルを含
浸させた。
ニッケル含浸量は、前記耐火物レンガの重量に対して、
0〜80重量%のあいだで変化させた。ニッケル含浸量の
調整は、上述の方法において印加する圧力と、成形時お
ける耐火物の気孔率とを調節することにより行うことが
できる。
このようにして製造された金属含浸耐火物レンガを、溶
鋼およびスラグに3時間暴露し、耐火物レンガの気孔内
に浸入したスラグの深さ(以下、スラグ浸入深さとい
う)と、溶鋼およびスラグによる浸食の程度(以下、浸
食指数という)を調べた。
第2図は、横軸にニッケル含浸量をとり、縦軸にスラグ
浸入深さをとって、ニッケル含浸量がスラグ浸入深さに
及ぼす影響について調べたグラフ図である。
この図から明らかな通り、アルミナ質レンガの気孔内に
ニッケルを含浸させることにより、スラグ浸入深さが小
さくなることがわかった。
第3図は、横軸にニッケル含浸量をとり、縦軸に浸食指
数をとって、ニッケル含浸量が、金属含浸アルミナ質レ
ンガの浸食に及ぼす影響について調べたグラフ図であ
る。
浸食指数とは、ニッケルを含浸させていないアルミナ・
カーボン質レンガの浸食の程度を基準(100)として、
種々の含浸量でニッケルを含浸させたアルミナ質レンガ
の浸食の程度を表わしたものである。即ち、浸食指数が
100未満のときは、ニッケルを含浸させたことにより浸
食が小さくなったことを示し、耐浸食性が向上したこと
を示している。
この図から明らかな通り、アルミナ質レンガの気孔内に
10〜70重量%の割合でニッケルを含浸させることによ
り、耐火物レンガの浸食が小さくなることがわかった。
これは、ニッケルを含浸させることにより、耐火物レン
ガの見掛け気孔率が小さくなり、溶鋼およびスラグの浸
入が阻止されるためである。したがって、この効果はニ
ッケルの代わりに他の金属を含浸した場合にも得られる
ものと推察される。
さらに、セラミック体の気孔内に金属を含浸し、その見
掛け気孔率を低減しても上記と同様の効果が得れるとい
うことも容易に推察することができる。
耐熱的スポーリング性 急冷試験 上述した方法により、アルミナ質レンガの気孔内にニッ
ケルを種々の含浸量で含浸させた。ニッケル含浸量は、
前記耐火物重量に対して、20重量%および40重量%であ
った。
このようにして製造された金属含浸耐火物レンガを、そ
れぞれ所定の温度(100℃ごと)まで加熱し、その後水
中で急冷してそれぞれの強度を測定した。得られた各々
の温度を加熱急冷前の耐火物強度で除して、強度指数を
算出した。
なお、比較耐火物レンガとして、金属を含浸させていな
いアルミナ・カーボン質レンガも同様の試験を行った。
第4図は、横軸に耐火物レンガの急冷温度差(ΔT)を
とり、縦軸に耐火物レンガの強度指数をとって、各種金
属含浸量の耐火物レンガの耐熱的スポーリング性につい
て間接的に調べたグラフ図である。
図中において、白三角はニッケルを20重量%含浸させた
アルミナ質レンガの結果を、白四角はニッケルを40重量
%含浸させたアルミナ質レンガの結果を、白丸は比較材
(アルミナ・カーボン質レンガ)の結果をそれぞれ示し
ている。
この図によると、比較材は温度差が約400℃になると、
急激な強度低下が認められる。これに対し、ニッケルを
20重量%含浸させた金属含浸耐火物レンガも温度差が約
400℃になると強度低下が認められるが、比較材の強度
低下と比べると緩やかであった。また、ニッケルを40重
量%含浸させた金属含浸耐火物レンガは、温度差が約60
0℃になるまで加熱急冷前と同等の強度を有し、それ以
上の温度差になっても比較的緩やかな強度低下を示し
た。
曲げ強度試験 上述した方法により、アルミナ質レンガの気孔内に30重
量%のニッケルを含浸させ、室温から1200℃の温度範囲
内において、耐火物温度が200℃上昇するごとに曲げ強
度を測定した。
なお、比較材として、金属を含浸させていないアルミナ
・カーボン質レンガも同様の試験を行った。
第5図は、横軸に耐火物レンガ温度をとり、縦軸に耐火
物レンガの曲げ強度をとって、金属含浸耐火物レンガと
比較材の曲げ強度を比較したグラフ図である。
図中において、黒丸はニッケルを30重量%含浸させた耐
火物レンガの結果を、白丸は比較材の結果を示してい
る。
この図から明らかな通り、ニッケルを含浸させた耐火物
レンガは、比較材と比べ、曲げ強度が大きいことがわか
った。
以上述べた急冷試験と曲げ強度試験は、耐熱的スポーリ
ング性の大小を調べる目安となるものであり、一般に強
度および曲げ強度が大きいと耐熱的スポーリング性も大
きいと推測することができる。
このように、熱衝撃に対して金属含浸耐火物レンガが安
定である理由は、金属を含浸させたため、熱伝導率が上
昇し熱応力が発生し難くなったためと考えられる。
このため金属含浸セラミック体も、上記と同様の効果を
示すということを容易に推察することができる。
上述のように優れた耐浸入性、耐浸食性、および耐熱的
スポーリング性を有する金属含浸耐火物レンガ等で形成
された本発明のスライディングノズルが、上記金属含浸
耐火物レンガ等と同様の効果を有するということは当然
のことである。
以下、金属含浸耐火物レンガまたは金属含浸セラミック
体で形成された本発明のスライディングノズルを、実際
にタンディシュ底部に設置して用いた一実施例を示す
が、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1) 見掛け気孔率を23容積%に調整した高アルミナ質レンガ
(アルミナ含有量:98.5重量%)の気孔内に、43重量%
のニッケルを含浸させた。
ニッケルを含浸させる手段は上述の通りであり、耐火物
レンガを約1500℃に予熱し脱気した後、ニッケル溶湯に
浸漬し加圧した。印加した圧力は15kg/cm2であった。
このようにして製造された金属含浸耐火物レンガを加工
し、スライディングノズルを製造した。得られたスライ
ディングノズルをタンディシュ底部に設置し、その寿命
を調べた。金属含浸耐火物レンガで形成されたスライデ
ィングノズルの寿命はアルミナの付着あるいは摩耗によ
り穴径がプラスマイナス3mm変動したとき終了したと判
断した。
このスライディングノズルの寿命は、40時間であった。
(実施例2) 見掛け気孔率を8容積%に調整したアルミナ・カーボン
質レンガの気孔内に、15重量%のアルミキルド鋼を含浸
させた。
アルミキルド鋼を含浸させる手段は上述の通りであり、
耐火物レンガを約1600℃に予熱し脱気した後、アルミキ
ルド鋼の溶湯に浸漬し加圧した。印加した圧力は40kg/c
m2であった。
このようにして製造された金属含浸耐火物レンガを加工
し、スライディングノズルを製造した。得られたスライ
ディングノズルをタンディシュ底部に設置し、その寿命
を調べた。このスライディングノズルの寿命は、36時間
であった。
(実施例3) 見掛け気孔率を30容積%に調整したSiO質セラミック体
の気孔内に、40重量%の高炭素鋼を含浸させた。
高炭素鋼を含浸させる手段は上述の通りであり、セラミ
ック体を約1600℃に予熱し脱気した後、高炭素鋼の溶湯
に浸漬し加圧した。印加した圧力は60kg/cm2であった。
このようにして製造された金属含浸セラミック体を加工
し、スライディングノズルを製造した。得られたスライ
ディングノズルをタンディシュ底部に設置し、その寿命
を調べた。金属含浸セラミック体で形成されたスライデ
ィングノズルの寿命は前記のとおり穴径の変化がプラス
マイナス3mmのときに終了したと判断した。
このスライディングノズルの寿命は、50時間であった。
(実施例4) 見掛け気孔率を35容積%に調整したジルコン質セラミッ
ク体の気孔内に、42重量%のステンレス鋼(SUS430)を
含浸させた。
SUS430を含浸させる手段は上述の通りであり、セラミッ
ク体を約1550℃に予熱し脱気した後、SUS430の溶湯に浸
漬し加圧した。印加した圧力は8kg/cm2であった。この
ようにして製造された金属含浸セラミック体を加工し、
スライディングノズルを製造した。得られたスライディ
ングノズルをタンディシュ底部に設置し、その寿命を調
べた。このスライディングノズルの寿命は、43時間であ
った。
(比較例1) 見掛け気孔率を2容積%に調整したアルミナ・カーボン
質レンガを加工し、スライディングノズルを製造した。
得られたスライディングノズルをタンディシュ底部に設
置し、その寿命を調べた。このスライディングノズルの
寿命は、9時間であった。
(比較例2) 見掛け気孔率を14容積%に調整したアルミナ質セラミッ
ク体を加工し、スライディングノズルを製造した。得ら
れたスライディングノズルをタンディシュ底部に設置
し、その寿命を調べた。このスライディングノズルの寿
命は、4時間であった。
上述の通り、本発明のスライディングノズルは、寿命が
延びていることが確認された。これは、本発明のスライ
ディングノズルの形成部材として金属含浸耐火物レンガ
または金属含浸セラミック体を用いることにより、スラ
イディングノズルの耐摩耗性、耐浸食性、耐浸食性、お
よび耐熱的スポーリング性が総合的に向上したためと推
察される。
[発明の効果] 本発明によれば、耐摩耗性、耐浸入性、耐浸食性、およ
び耐スポーリング性に優れたスライディングノズルが提
供される。耐摩耗性が向上することにより、プレート間
に隙間が生じ難く、溶湯の差込みを防止することができ
る。また、上記特性が総合的に向上するため、スライデ
ィングノズルの寿命が延長する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明のスライディングノズルが適用される
タンディシュ底部の縦断面図。 第2図ないし第5図は、それぞれ本発明の効果を説明す
るためのグラフ図。 1……タンディシュ、2……鉄皮、3……内張りレン
ガ、4……溶鋼、5……固定プレート、6……スライデ
ィングプレート、7……スライディングノズル、8……
浸漬管、9……鋳型、10、11……連通孔

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶湯容器に固定され、溶湯容器の溶鋼通流
    孔に連通し溶鋼を通流させるための孔が形成された固定
    プレートと、 前記固定プレートに摺接され、摺動手段により摺動され
    ると、前記固定プレートの孔と連通する孔が形成された
    スライディングプレートとを有し、 前記固定プレートおよびスライディングプレートのうち
    少なくとも一方の耐火物多孔体またはセラミック多孔体
    に、ニッケル、炭素鋼、合金鋼またはステンレス鋼を10
    〜70重量%の割合で含浸させた金属含浸体を含むことを
    特徴とするスライディングノズル。
  2. 【請求項2】金属含浸体が、プレート摺接面の周辺領域
    に設けられ、金属含浸量20〜40重量%であることを特徴
    とする請求項1記載のスライディングノズル。
JP1160130A 1989-06-22 1989-06-22 スライディングノズル Expired - Lifetime JPH0710430B2 (ja)

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JP1160130A JPH0710430B2 (ja) 1989-06-22 1989-06-22 スライディングノズル

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JP1160130A JPH0710430B2 (ja) 1989-06-22 1989-06-22 スライディングノズル

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