JP2762540B2 - 羽口およびその製造方法 - Google Patents

羽口およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、金属を含浸させた羽口およびその製造方法
に関する。
[従来の技術] 従来、転炉操業においては、転炉内の溶湯の撹拌力を
向上させるため、ランスから噴出される酸素により酸素
吹錬を行いつつ、炉底に設置された羽口から不活性ガス
等を溶湯に吹込む複合吹錬が行われている。羽口は多孔
質の耐火物で作られた本体と、撹拌ガス供給管とから構
成されたもので、転炉内の溶湯およびスラグと直接接触
する面(以下、稼働面という)を有している。このた
め、羽口本体を形成する耐火物多孔体が溶鋼およびスラ
グによって溶損を起し易かった。
また、羽口の稼働面から背面に至るまでの間に温度勾
配が発生し、これによって羽口耐火物が熱的スポーリン
グを起し易かった。特に、この温度勾配は羽口の長軸に
沿って発生するため、羽口のガス通路を起点として、こ
れに直交する方向にひび割れが生じやすかった。
これらの理由から、羽口の寿命はかなり短く、羽口の
交換およびその周囲の補修を頻繁に行う必要があった。
このため、転炉の操業率が低下し、製造コストが上昇す
るという問題点があった。
上記問題点を解決するために種々の研究が為され、マ
グネシア・ドロマイト質レンガ、マグネシア・クロム質
レンガなどの酸化物系耐火物、およびマグネシア・カー
ボン質レンガ、マグネシア・カルシア・カーボン質レン
ガなどの含炭素系耐火物で形成された羽口が開発され、
現在これらの羽口が用いられている。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、上記酸化物系耐火物で形成された羽口
は、未だ満足できる耐熱的スポーリング性は得られてい
ない。また、上記含炭素系耐火物で形成された羽口は、
酸化物系耐火物で形成された羽口より優れた耐熱的スポ
ーリング性を有しているものの、未だ満足できる耐熱的
スポーリング性は得られていない。このため、羽口の長
軸方向に対してほぼ垂直に発生するひび割れを防ぐため
には、前記撹拌ガス供給管の周囲に厚さ5〜20mmの断熱
層を設けることが考案されたが、これも熱的スポーリン
グを完全に抑制することはできない。
また、含炭素系耐火物で形成された羽口は、耐火物に
含有されている炭素が酸化され、耐溶損性および耐摩耗
性が著しく低下するという欠点もあった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、耐ス
ラグ浸食性、耐溶損性、耐構造的スポーリング性に優
れ、特に羽口の長軸方向に沿って発生する熱応力によっ
て生じる熱的スポーリングを防止できる羽口と、その製
造方法とを提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明の目的は、羽口成形用容器の長軸に沿って繊維
体を容器内に配列すると共に、羽口成形用容器内に耐火
物原料を充填し、これを加圧・成形する成形工程と、成
形された耐火物原料を加熱することにより前記繊維体を
焼失させて、耐火物多孔体を得る加熱工程と、前記耐火
物多孔体に金属を含浸させる金属含浸工程とを具備する
ことを特徴とする羽口の製造方法によって達成される。
また、繊維体によって導入された耐火物多孔体の気孔
が、溶湯接触面に対して実質的に垂直に並ぶように形成
され、これらの気孔に金属が含浸されていることを特徴
とする羽口によって達成される。
[作用] 本発明の製造方法において、成形工程(a)で羽口成
形用容器の長軸に沿って繊維体を張り、加熱工程(b)
で該繊維体を焼失させ、長軸に実質的に平行な気孔を形
成した理由は、羽口の長軸に沿って金属を含浸させるこ
とにより、長軸方向の引張強度を向上させ、羽口稼働面
(溶湯と接する面)から背面までの間に発生する温度勾
配による熱的スポーリングを防止するためである。上記
温度勾配による熱的スポーリングでは、主に羽口のガス
通路に対し垂直にひび割れが生じる。そこで、本発明の
羽口のように、羽口の長軸方向の引張強度を向上させる
ことによって、上記ひび割れを防止することができる。
金属を含浸させることによって、耐熱的スポーリング
を抑制できるもう一つの理由は、羽口耐火物の熱伝導性
が向上し温度勾配が軽減するためである。
また、羽口耐火物の多孔体に金属を含浸させることに
より、見掛け気孔率が低下しスラグの浸入を抑制するこ
とができる。このため、スラグ浸入に起因する構造的ス
ポーリング、浸食、および溶損などを抑制することがで
きる。
[実施例] 本発明の羽口の製造方法は2種あり、製造方法1およ
び製造方法2として、以下詳しく説明する。
羽口の製造方法1 この工程は、長軸に実質的に平行な多数の貫通孔を有
する羽口耐火物多孔体を製造する工程である。
この工程は、さらに(a)加圧成形工程、(b)焼成
工程、および(c)切削工程に分けることができる。
(a)加圧成形工程 この工程は耐火性原料を加圧成形し、羽口耐火物成形
体を形成する工程である。
第1図は、この工程に用い得る成形容器の一例を示し
た図である。
この図によれば、成形容器1は支持盤2a、支持盤2b、
及び芯金3からなる支持部材と、この支持部材全体を覆
う密封可能なゴム容器4から構成されている。
支持盤2aと支持盤2bは一定の距離に保たれており、支
持盤の中心部を芯金3が貫通している。この芯金3は、
各々の支持盤2aおよび2bを貫通した部分においてボルト
などで固定されている。
羽口耐火物の大きさは支持盤の大きさ及び芯金3の長
さに依存し、また羽口耐火物の中心部に設ける貫通孔の
径は芯金3の径に依存する。したがって、支持盤2aおよ
び2bの大きさや芯金3の長さ及び径は、所望の大きさの
羽口耐火物が得られるように適宜選択する。
次いで、上記成形容器を用いた加圧成形方法を説明す
る。
まず初めに、芯金3と実質的に平行となるように、支
持盤2aと支持盤2bとのあいだに多数の繊維体5を所定の
間隔をもって張り渡す。
この繊維体5は後の焼成工程における加熱によって焼
失し、羽口耐火物の長軸方向と実質的に平行な気孔を形
成するためのものである。したがって、焼成温度で焼失
する繊維ならばどのような繊維をも用いることができ
る。特に、高温の焼成温度のみならず、比較的低温のベ
ーキング温度においても熱分解し消失し得る合成繊維ま
たは天然繊維を使用することが好ましい。このような繊
維として、麻、ビニル繊維、アクリル繊維、パルプ、並
びに綿糸などが挙げられる。
繊維体5を支持盤に取付ける際の繊維体と繊維体との
相互間距離(以下、ピッチという)は、0.5ないし50mm
が好ましい。これは、ピッチが0.5mmより小さいと耐火
物多孔体の焼成強度が低下し溶損や摩耗などを起し易く
なる恐れがあるためである。一方、ピッチが50mmよりも
大きいと、金属を含浸させても所望の効果が得られ難い
ためである。また、繊維体5の径は約10ないし10,000μ
mが好ましい。繊維体5の径の下限値を10μmとする理
由は、これより細径のものでは、耐熱的スポーリング性
を向上させるに十分な引張強度を得るのに十分な径の気
孔を得ることができないからである。また、繊維体5の
上限値を10,000μmとする理由は、これより太径のもの
では形成された耐火物多孔体の焼成強度が低下し溶損や
摩耗などを起し易くなる恐れがあるためである。
このようにして繊維体5が設けられた支持部材をゴム
容器4のなかに配置し、支持部材とゴム容器4で形成さ
れる空洞部分に耐火物原料6を装入する。
この耐火物原料6には、マグネシア粉末、マグネシア
・クロム粉末、マグネシア・スピネル混合粉末、スピネ
ル粉末など、いずれの耐火物原料粉末を用いることもで
きる。耐スポーリング性や耐浸食性などの諸特性は、基
本的には耐火物原料6の種類に依存するので使用状況に
応じて適宜選択する。
上記耐火物原料6を装入した後、ゴム容器4の開口を
閉じて密封する。
次いで、密封された成形容器1に圧力を印加する。加
圧手段としては、第2図に示すように、冷間静水圧プレ
ス(以下、CIPという)することが好ましい。
第2図に示すように、外壁7によって形成されたCIP
装置内に圧力媒体8が満たされており、その圧力媒体8
のなかに成形容器1が装入されている。
図示しない加圧手段によって印加された圧力は、圧力
媒体8を介し成形容器1に等方的に伝達される。圧力媒
体8は、成形容器1を形成するゴム容器4に対して無毒
な液体を用いる。例えば、圧力媒体8には水または高級
油などを用いるのが好ましい。
なお、図示しない加圧手段で印加する圧力は、500な
いし5000kg/cm2が好ましい。
成形容器1を十分に圧縮した後、圧力を解除し、成形
容器1から圧縮された耐火物原料(以下、成形体とい
う)を取出す。この成形体から芯金3を除去し、次工程
による処理を行う。
(b)焼成工程 この工程は、上記成形工程で得られた成形体の強度を
向上させるため、成形体を焼結させる工程である。
焼成炉には従来のものを用いることができ、焼成温度
は約1400ないし1800℃が好ましい。
この工程において、上記(a)加圧成形工程で芯金3
と実質的に平行に設けた繊維体5が焼失する。この繊維
体5が焼失することにより、焼結体内部にその長軸と実
質的に平行な多数の貫通孔が形成される。
焼成後は徐々に焼結体の温度を室温まで下げ、次工程
の処理を行う。
(c)切削工程 前記焼成工程で得られた焼結体を研磨加工によって、
所望の羽口形状にする工程である。
研磨手段は従来の技法を用いることができ、例えばグ
ラインダー研磨法などを用いることができる。通常、羽
口の形状は円錐台であるが、所望の効果が得られるよう
な形状に研磨加工すればよい。
なお、先の焼成工程と研磨工程は任意の順序で行うこ
とが可能である。
このように加圧成形工程、焼成工程、および研磨公知
を具備する羽口耐火物多孔体の製造工程によって、長軸
と実質的に平行な貫通孔を多数有する羽口耐火物多孔体
を製造できる。
金属含浸工程 この工程は、上述の方法によって製造された羽口耐火
物の多孔体に金属を含浸させる工程である。
金属であればどのような金属でも含浸させられるが、
特にステンレス、クロム、ニッケル、アルミニウム、お
よび鉄が好ましい。これらの金属はそれぞれ単独で、ま
たは組合せて含浸させることができる。
前記金属の含浸量は、羽口耐火物の重量に対して約10
ないし80重量%の範囲内で、所望の効果が得られるよう
に適宜選択する。金属含浸量を前記範囲に限定した理由
は、耐スポーリング性を向上されるために最低でも約10
重量%の金属含浸が必要であり、また羽口耐火物の成形
強度および耐スポーリング性を維持しつつ含浸し得る最
大量が約80重量%だからである。
金属含浸工程は、さらに予熱工程、脱気工程、浸漬工
程、および加圧工程とに分けることができる。
以下、各工程ごとに詳しく説明する。
(d)予熱工程 この工程は、予熱炉で羽口耐火物の多孔体を予め加熱
する工程である。予熱温度は含浸させる金属の融点付近
が好ましく。例えばステンレスを含浸させる場合は、羽
口耐火物を約1450℃まで予熱しておくのが好ましい。
この工程を設けた理由は、羽口耐火物を予熱せずにそ
のまま溶融金属に浸漬すると、溶融金属が羽口耐火物の
表面で凝固してしまい、羽口耐火物の多孔体内部まで金
属を含浸させることが困難になるからである。
(e)脱気工程 この工程は、羽口耐火物の多孔体中に存在する空気を
除去する工程である。
この工程を設けた理由は、羽口耐火物の多孔体中に空
気が存在すると、後述の加圧工程で印加した圧力によっ
て含浸した金属が、復圧後、気孔内の圧縮空気によって
排出されてしまうからである。
この工程は、例えば密閉された容器内に羽口耐火物の
多孔体を装入し、容器全体を減圧することによって行な
うことができる。この場合、容器内の減圧は約10-4乃至
20メートルが好ましい。
(f)浸漬工程 この工程は、予熱および脱気された羽口耐火物の多孔
体を溶融金属に浸漬する工程である。
金属の含浸速度は、溶融金属の羽口耐火物に対する濡
れ性、羽口耐火物の気孔率、あるいは次工程において印
加する圧力などに依存する。したがって、浸漬時間は羽
口本体の材質(すなわち、耐火性原料)および含浸させ
る金属の種類の組合せにより変化するので一概には言え
ないが、約1ないし30分間である。
先の脱気工程と浸漬工程は任意の順序で行なうことが
できるが、羽口耐火物の脱気を完全に行なえるという点
から、浸漬工程の前に脱気工程を行なうのが好ましい。
(g)加圧工程 この工程は、羽口耐火物が溶融金属中に浸漬されてい
るあいだ圧力を印加し、その圧力を以て金属を羽口耐火
物の多孔体に含浸させる工程である。
印加する圧力が高いほど金属を含浸させることができ
るが、その圧力が羽口耐火物の圧縮強度以上になると、
羽口耐火物が損壊してしまう。したがって、羽口耐火物
の圧縮強度より小さい圧力を印加する必要がある。
この加圧工程で印加する圧力は、用いた耐火性原料の
種類と含浸させる金属の種類の組合せによって変化する
ので一概には言えないが、約1ないし20kg/cm2ぐらいの
圧力を印加するのが適切である。
(h)焼鈍工程 この工程は、上記工程で溶融金属の融点以上に達して
いる羽口耐火物の温度を、徐々に下げる工程である。
上記工程では羽口耐火物は溶融金属中に浸漬されてお
り、羽口耐火物は含浸させる溶融金属の融点以上の高温
に達している。この羽口耐火物を室温まで冷却する際、
急激に冷却すると、羽口耐火物に含浸させた金属が急激
に凝固しひび割れを起す恐れがある。また、急激な冷却
により発生する温度差によって、熱的スポーリングを誘
発する恐れがある。このような不都合を避けるため、こ
の焼鈍工程を設けることが望ましい。
なお、この金属含浸工程は、上記焼成工程から切削工
程までのあいだで行うことも可能である。
以下、羽口の製造方法2について説明する。
製造方法2は上記製造方法1の変形例であり、上記加
圧成形工程(a)においてCIPの代わりに、真空油圧プ
レスまたは真空フリクションプレスなどを用いる。
第3図は本発明の羽口製造方法2で用い得る成形容器
を示した図である。
この図によると、箱型の成形容器10内に繊維11が底面
と実質的に平行となるように設けられている。この際の
繊維のピッチ間隔や種類は、製造方法1において述べた
通りである。
次いで、成形容器10を振動させながら、耐火物原料12
を装入する。装入後、真空油圧プレスまたは真空フリク
ションプレスによって加圧し成形する。この場合、印加
する圧力は500ないし40000kg/cm2が好ましい。その後の
成形体の処理は、製造方法1と同様である。しかし、製
造方法2における成形方法では、成形体にガス供給管を
装着するための貫通孔を直接形成するのは困難であるた
め、成形体を成形した後または焼成した後に貫通孔を形
成させる必要がある。その他の条件などは、すべて製造
方法1と同様である。
以上、このような方法によって、羽口の長軸方向に対
して実質的に平行に金属が含浸している羽口を製造する
ことができる。
以下、実施例を挙げ、本発明の羽口をより具体的に説
明する。
(実施例1) 実施例1では、本発明の羽口を製造方法1によって製
造した。
まず初めに、麻を支持盤間に張り、マグネシア・クロ
ム質レンガ粉末を充填した。麻の径は400ミクロンであ
り、ピッチは10mmであった。耐火性原料粉末であるマグ
ネシア・クロム質レンガ粉末には、バインダーとしてポ
リビニルアルコールを均等に分散しておいた。マグネシ
ア・クロム質レンガ粉末を充填した後、ゴム膜を閉じて
密封し、CIPにより加圧した。印加した圧力は、1000kg/
cm2であった。
圧力を解除した後、成形容器から成形体を取出し芯金
を除去した。次いで、成形体を1850℃で焼成し、その後
研磨加工して円錐台形にした。
得られた羽口耐火物を1800℃に予熱し脱気した。次い
で、羽口耐火物をクロム溶湯に浸漬し加圧して、羽口耐
火物の多孔体にクロムを含浸させた。この際、麻の量に
より気孔率をコントロールし、クロムの含浸量を5ない
し80重量%のあいだで変化させた。
なお、比較例として、クロムを含浸させていない羽口
も同様に用いた。
このように製造された羽口を転炉底部に設置し、100
時間使用した。その後、羽口を転炉底部から取外し、ス
ラグによる羽口の浸食の程度(以下、浸食指数という)
を調べた。この結果を第4図に示した。ここで、浸食指
数とはクロムを含浸させていない羽口の浸食の程度を基
準(100)として、クロムを含浸させた羽口の浸食の程
度を表わしたものである。即ち、浸食指数が100未満の
ときは、金属を含浸させたことにより、スラグによる浸
食が小さくなったことを示している。
この図から明らかな通り、金属を含浸させることによ
って、スラグによる浸食が抑制されることがわかった。
さらに、クロム含浸量が10重量%未満の羽口は、羽口の
長軸方向にほぼ垂直なひび割れが多数確認されたが、羽
口の長軸方向と実質的に平行な気孔を麻により導入し、
且つクロムを10重量%以上含浸させた羽口には、特にひ
び割れは確認されなかった。
このことから、金属を羽口の長軸と実質的に平行に含
浸させたことにより、羽口稼働面とその反対面、あるい
は撹拌ガス供給管側とのあいだに発生する熱勾配により
起こる熱的スポーリングを抑制できることがわかった。
(実施例2) 実施例2では、本発明の羽口を製造方法2によって製
造した。
まず初めに、第3図に示す通り綿糸を成形容器に張
り、マグネシア・クロム質レンガ粉末を充填した。綿糸
の径は2000ミクロンであり、ピッチは5mmであった。耐
火性原料粉末であるマグネシア・クロム質レンガ粉末に
は、バインダーとしてフェノールレジンを均等に分散し
ておいた。マグネシア・クロム質レンガ粉末を成形容器
に充填後、真空油圧プレスによって加圧した。印加した
圧力は、5000kg/cm2であった。
圧力を解除した後、成形容器から成形体を取出し、18
50℃で焼成した。その後、ガス供給管を装着する貫通孔
を成形体の中心部に形成し、研磨加工して円錐台形の羽
口耐火物を得た。
得られた羽口耐火物を1750℃に予熱し脱気した。次い
で、羽口耐火物をクロム溶湯に浸漬し加圧して、羽口耐
火物の多孔体にそれぞれ20重量%および40重量%含浸さ
せた二種類の羽口を製造した。このようにして製造され
た羽口の耐スポーリング性と熱間曲げ強度を調べた。こ
れらは耐スポーリング性を間接的に評価することができ
る試験として知られている。
耐スポーリング性 上記羽口を徐々に加熱し、羽口の温度を室温から1000
℃まで上昇させた。その後、水中で急冷し強度を測定し
た。得られた各々の強度を加熱急冷前の強度で除して、
強度指数を算出した。この強度指数と急冷温度差(Δ
T)との関係を第5図に示した。
この図によると、クロムを含浸させていない羽口は、
ΔTが100℃になると強度の低下が認められる。これに
対し、クロムを20重量%含浸させた羽口はΔTが300℃
まで、またクロムを40重量%含浸させた羽口はΔTが70
0℃まで、急冷前と同等の強度を有することがわかっ
た。
熱間曲げ強度 上記羽口を徐々に加熱し、羽口サンプルの温度が200
℃上昇するごとに各々の曲げ強度(単位:kg/cm2)を測
定した。また、比較例としてクロムを含浸させていない
羽口の曲げ強度も測定した。この曲げ強度と加熱温度と
の関係を第6図に示した。
この図から明らかな通り、クロムを含浸させていない
羽口の曲げ強度と比べ、クロムを含浸させた羽口の曲げ
強度は高いことがわかった。
[発明の効果] 本発明によれば、羽口の長軸に実質的に平行に金属を
含浸させた羽口と、その製造方法が提供される。
本発明の羽口はスラグによる浸食を低減することがで
き、従来の羽口より高温時における長軸方向の引張強度
および曲げ強度が向上する。
このように、本発明の羽口はスラグの浸入およびスラ
グによる浸食を低減することができるので、周囲の内張
り母材レンガの溶損と構造的スポーリングを抑制するこ
とができる。
さらに、本発明の羽口は高温時における強度低下を防
止することができるので、耐熱的スポーリング性を大幅
に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の羽口製造方法1において用い得る成
形容器の縦断面図。 第2図は、CIPによる加圧方法を示した概念図。 第3図は、本発明の羽口製造方法2において用い得る成
形容器の縦断面図。 第4図ないし第6図は、それぞれ実施例の効果を説明す
るためのグラフ図。 1、10……成形容器、2a、2b……支持盤、3……芯金、
4……ゴム容器、5、11……繊維体、6、12……耐火物
原料

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)羽口成形用容器の長軸に沿って繊維
    体を容器内に配列すると共に、羽口成形用容器内に耐火
    物原料を充填し、これを加圧・成形する成形工程と、 (b)成形された耐火物原料を加熱することにより前記
    繊維体を焼失させて、耐火物多孔体を得る加熱工程と、 (c)前記耐火物多孔体に金属を含浸させる金属含浸工
    程と、 を具備することを特徴とする羽口の製造方法。
  2. 【請求項2】金属含浸前に予熱・脱気を行うことを特徴
    とする請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】金属含浸前に切削加工することを特徴とす
    る請求項1記載の製造方法。
  4. 【請求項4】金属含浸後に切削加工することを特徴とす
    る請求項1記載の製造方法。
  5. 【請求項5】繊維体の径が、10ないし10000μmである
    ことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  6. 【請求項6】耐火物多孔体が、マグネシア質、マグネシ
    ア・クロム質、マグネシア・スピネル質、アルミナ質、
    またはスピネル質であることを特徴とする請求項1記載
    の製造方法。
  7. 【請求項7】繊維体によって導入された耐火物多孔体の
    気孔が、溶湯接触面に対して実質的に垂直に並ぶように
    形成され、これらの気孔に金属が含浸されていることを
    特徴とする羽口。
  8. 【請求項8】繊維体によって導入された気孔の径が、5
    ないし10000μmであることを特徴とする請求項7記載
    の羽口。
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