JPH07102531A - 橋梁張出し架設工法及びその装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高所の橋桁上で使用する架設機材を軽量化
し、平地の少ない工事現場で面組ブロック単位で、架設
でき、天候による作業の中断を減少する安全，工期短縮
かつ経済的な橋梁張出し架設工法を提供する。 【構成】 橋脚１の上端上に上架本設され前後方向に張
出された既設トラス桁１０の上に張出し可能な可動架構
１１を設け同架構１１内の走行天井クレーン２７，同架
構１１の張出し部に幅寄せ可能に支持した前後方向軌条
３０，既設トラス桁１０の上縁に沿って面組トラス桁単
位１０ａを平行的に跨乗移動させる面材搬送手段１３及
び既設トラス桁１０の上面に沿って前後方向に移動可能
な単材運搬台車１２を仮設し、面組トラス桁単位１０ａ
を既設トラス桁１０の上縁部に跨乗させ索引きにより幅
寄せ軌条３０上へ移載し、その幅寄せによりこれを既設
トラス桁１０端に位置合わせ接合し、結合用単材を上記
台車１２を介して面組トラス桁単位１０ａに搬送接合す
ること。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、橋梁の張出し架設、特
に山間等の平地の少ない場所で行う橋梁の張出し架設に
好適な橋梁の架設工法とその装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】山間の平地の少ない場所で従来行ってい
る橋梁の張出し架設を説明すると、図１３側面図〜図１
４平面図に示すように、１は山間の傾斜地に建設した橋
脚、２は橋脚１の上部に補強した斜ベント、２′は工事
用の仮設ベント、３は橋脚１の近くに立設したタワーク
レーン、４は橋脚下部付近に仮設した桟橋、５は搬送用
トラック、６ａは桟橋４上からタワークレーン３により
吊り上げる橋梁トラス桁の単材、６は橋脚上で単材６ａ
を組立て接合し本設したトラス桁、７は上記既設のトラ
ス桁６上に設けた軌条と結合して移動するようにトラス
桁端近くに搭載した前後１対のトラベラークレーン、８
は両トラベラークレーン７，７の間で既設のトラス桁上
を移動し、タワークレーン３が吊り上げた単材６ａをト
ラベラークレーン７の位置へ搬送したり、橋脚上で使用
する発電機を搭載したりする運搬台車である。橋梁の張
出し架設は、タワークレーン３により単材６ａを地上の
桟橋４から橋脚１上へ吊り上げ、運搬台車８でトラベラ
ークレーン７近くへ運搬し、トラベラークレーン７によ
り台車８上の単材を１本ずつ吊り上げて所定の位置へ運
搬し、取付け場所近傍で待機している専門職がこの単材
６ａの位置決め、取付けを行い、トラス桁６の１スパン
の架設が終了すると、橋面上の軌条を案内としてトラベ
ラークレーン７を１スパン桁先端側の次の架設場所へ移
動し、同様の作業を繰り返す要領で行っている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来の工法では、例えば自重が５０トン規模のトラベラ
ークレーン７や、１０トン規模の複数の運搬台車８のよ
うな大重量の架設機材を建設途中のトラス桁６上に支持
し、移動させるため、短い間隔で仮設ベント２等を設け
て既設のトラス桁６を支持したり、トラス桁自体を補強
したりする必要がある。また、高所作業により単材６ａ
を１本ずつ位置合わせ接合してトラス桁６を架設するの
で、能率が悪く工事期間が長引く。また、トラベラーク
レーン７で部材を吊り上げ旋回するので、風の強い日や
降雨時には危険が大きく、作業ができない。さらに、ト
ラベラークレーン本体が重いためその設置，解体に時間
がかかる等の問題がある。

【０００４】本発明はこのような事情に鑑みて提案され
たもので、橋梁の張出し架設のために高所の橋桁上で使
用する架設機材を軽量化し、平地の少ない工事現場での
架設に際しても部分的に面組ブロック単位で、架設でき
るようにし天候による作業の中断を減少する安全迅速か
つ経済的な橋梁張出し架設工法及び装置を提供すること
を目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】そのために請求項１の発
明は、橋脚上端上に上架本設され、前後方向に張出され
た既設トラス桁上にその上端に沿って前後方向へ摺動可
能な可動張出し架構を設け、同可動張出し架構内を前後
方向に走行可能な天井クレーン，同可動張出し架構の張
出し部に幅寄せ可能に支持した前後方向の幅寄せ軌条，
上記既設トラス桁の上縁に沿って面組トラス桁単位を平
行的に移動可能に跨乗移動させる面材搬送手段及び上記
既設トラス桁の上面に沿って前後方向に移動可能な単材
運搬台車を仮設配置し、上記橋脚下部付近で組み立てた
面組トラス桁単位を上記橋脚の近傍に立設されたタワー
クレーン等で上記橋脚上へ吊り上げ、上記既設トラス桁
の上縁部に跨乗させ索引き等により移動して上記幅寄せ
軌条上へ移載し、上記幅寄せ軌条の幅寄せ移動及び索引
きによりこれを上記既設トラス桁の桁端に位置合わせ接
合し、他方、上記タワークレーンにより吊り上げた結合
用単材を前記単材運搬台車に乗せて上記可動張出し架構
内へ水平搬送し、前記天井クレーンにより前記台車上の
単材を前記面組トラス桁単位に搬送し接合することを特
徴とする。

【０００６】また、請求項２の発明は、請求項１におい
て、その橋梁上に上架された既設トラス桁上に設けた面
組トラス桁単位移動用の第１軌条及び単材運搬台車用の
第２軌条，上記第１軌条と幅寄せ軌条に係合する跨乗手
段及び操作ワイヤとの着脱結合手段と、橋脚上端の既設
トラス桁上を前後方向に摺動する可動張出し架構上に縦
設された天井クレーン及び既設トラス桁上に跨乗した面
組トラス桁単位を上記跨乗手段と係合する幅寄せ軌条
と、前記第２軌条と係合して既設トラス桁上を操作ワイ
ヤ等により移動し、上記可動張出し架構内へ結合用単材
を搬送する単材運搬台車とを具えたことを特徴とする。

【０００７】

【作用】このような構成によれば、張出し架設機材は、
比較的低い高さの可動張出し架構と、同架構内で前後方
向へ移動する天井クレーンと、小規模の単材運搬台車
と、本設したトラス桁上縁部を利用した軌条，跨乗手
段，移動用操作ワイヤ及び張出し架構の張出し部材に設
けた幅寄せ軌条を含む橋面高さの面材搬送手段とで構成
され、全体的に高さの低い軽量な設備となる。トラス橋
桁は、１スパンの予め設計された一定形状単位のトラス
桁を地上で面組して面組トラス桁単位となし、タワーク
レーンにより橋脚上の高さに吊り上げ、本設トラス桁の
上縁軌条に跨乗させ、索引きにより張出し架構の先端ま
で水平搬送して、幅寄せ軌条に移載し、幅寄せ軌条の横
送り（幅寄せ）及び索引き調節により面組トラス桁単位
を本設トラス桁端に位置合わせして接合する。この間
に、一対の面組トラス桁単位間の繋ぎ部材が、単材単位
でタワークレーンにより地上から橋脚上の高さに吊り上
げ搬送され、単材運搬台車に積まれて、橋面軌条沿いに
張出し架構の先端部内位置に水平送りされ、張出し架構
内の天井クレーンで、この繋ぎ単材を上記接合済みの一
対の面組みトラス桁単位間に運搬し、専門職の手で位置
決め及び接合を行う。このため、主要なトラス面組部分
をブロック単位で地上から張出し架設現場へ搬送し、位
置決め及び組立ができ、橋桁架設の能率が著しく向上す
る。また、張出し架構には、上面に屋根を設けたり、周
囲に風防シートを設けることができ、繋ぎ用単材はその
張出し架構内で天井クレーンの移動，旋回，横行で取付
け位置へ運搬されるから、強風あるいは雨天時にも安全
に架設作業を行うことが可能になる。

【０００８】

【実施例】上図において、従来と同一の部分は、それぞ
れ図１３〜図１４と同一の符号で示し、重複する説明を
省略する。まず、本発明において使用する設備機材につ
いて説明する。図１において１０ａは予め地上で組み立
てた面組トラス桁単位、１０は同面組トラス桁単位１０
ａ及びその相互間の繋ぎ部材をタワークレーン３により
地上から橋脚１上へ吊り上げ、橋脚１上で組立て本設し
た既設のトラス桁、１１は上記既設トラス桁１０の橋面
に設けた軌条に係合してそれぞれ前後端方向に摺動張出
し可能に上載され後述の天井クレーン及び幅寄せ軌条を
具えた可動張出し架構、１２は橋脚１上の位置から上記
各張出し架構１１の先端部位置へ橋面上の軌条に沿って
移動可能に設けた繋ぎ単材運搬台車、１３はタワークレ
ーン３で上架した面組トラス桁単位１０ａを既設トラス
桁１０の上縁部軌条に跨乗させ既設トラス桁１０沿いに
水平運搬する面材水平搬送手段である。

【０００９】図２，図３はそれぞれ図１の可動張出し架
構１１部を拡大して示す側面図，平面図であり、１５は
面組トラス桁単位１０ａの最外側部上に長手方向に設け
た面組トラス桁単位移動用の第１軌条、１６は第１軌条
１５の内側に設けた単材運搬台車１２及び可動張出し架
構１１の移動用の第２軌条である。可動張出し架構１１
は、それぞれ中間部と後端部の４個の沓部１７（図１０
〜図１１）で第２軌条１６上に乗り、図１０に示す左右
一対のローラー１８で左右一対の各第２軌条１６（図
４）上に位置保持し、図９で示す沓部１７に連結した油
圧シリンダ１９と、この油圧シリンダ１９に連結して第
２軌条１６と着脱結合する軌条クランプ２０とによっ
て、尺取り虫的に摺動移動し、後端側を別の軌条クラン
プ２１及び既設トラス桁１０上の図１１に示すアイプレ
ート２２とピン２３で結合される固定ストッパ２４で、
１スパン移動ごとに固定されるようにし、かつ後端部に
高さ調節用の軌条面に接する竪油圧ジャッキ２５を備え
て構成している。

【００１０】図２〜図３に戻って、２７は可動張出し架
構１１内の上部に走行駆動モータ２８及び無端ワイヤ２
９を介して走行可能に設けた天井クレーン、３０は可動
張出し架構１１の張出部側に幅方向へ可動的に支持した
左右一対の幅寄せ軌条、３１は可動張出し架構１１の最
上部に設けた屋根である。単材運搬台車１２は、図３に
示すように、既設トラス桁１０上の第２軌条１６と同ト
ラス桁１０の中央に設けた中央軌条１６ａとに跨がって
乗り、無端操作ワイヤ３２の駆動で可動張出し、図１に
示すように、架構の先端部から橋脚上端の間を移動する
ように設けられ、単材運搬台車１２には同台車１２上の
一対の平行な滑り軌条３３（図３）に滑合し、無端操作
ワイヤ３４の駆動で同台車に対し相対的に前後方向に移
動可能な可動荷台１２ａを設けている。

【００１１】面組トラス桁単位１０ａは、図２では概略
的に、左側一点鎖線で示すように、斜材を含むコの字状
のトラス組み単位に構成し、上部桁上の等間隔の３個所
にそれぞれ前記第１軌条１５及び幅寄せ軌条３０に係合
する後記する跨乗手段３５を備える。面組トラス桁単位
１０ａは、幅寄せ軌条３０に固着して設けたガイドシー
ブ３６，３７及び既設トラス桁１０上のシーブ３８を経
て延びる操作ワイヤ３９と着脱結合させて索引きにより
第１軌条１５上を移動し、既設トラス桁１０の先端部で
幅寄せ軌条３０上へ乗り移る。なお、ここで、図１に示
した面材水平搬送手段１３は、上記面材トラス桁移動用
の第１軌条１５，幅寄せ軌条３０，跨乗手段３５及び操
作ワイヤ３９を主要部として構成されるものである。

【００１２】次に図４は、図２のＩＶＡ〜ＩＶＡ断面と
ＩＶＢ〜ＩＶＢ断面とを左半部，右半部で示している。
天井クレーン２７は、走行ガーダー２７ａ上に、横行モ
ータ２７ｂで駆動される横行台車２７ｃを搭載し、この
横行台車２７ｃに旋回モータ２７ｄ及び旋回機構２７ｅ
を介し旋回可能に支持した巻上機２７ｆを有する旋回吊
りビーム２７ｇを備えている。図４〜図５において、跨
乗手段３５は、面組トラス桁単位１０ａの上端にＬ字状
に設けられ、既設トラス桁１０上では、図４の右半部に
示すように、先端車輪４０で第１軌条１５上に片持ち的
に支持し、かつ下端部に吊索６０及びクランプスプリン
グ等を介しスライド脚６１を仮設し、スライド脚６１の
下端のチルタンク６２で既設トラス桁１０の下弦材にス
ライド可能に接するように支持し、既設トラス桁１０の
前端部で、図４の右半部に示すように、Ｌ形の角部に設
けた車輪４１（図５）を介して幅寄せ軌条３０上に乗り
移り、桁面を一点鎖線位置から実線位置へ垂直姿勢に支
持する。なお、図４の１０ｅ〜１０ｈは左右の面組トラ
ス桁単位１０ａの間に接合された繋ぎ単材を示してい
る。

【００１３】図５は、上記跨乗装置３５と、幅寄せ軌条
３０との装置の詳細断面を示す。面組トラス桁単位１０
ａには、面組み時に桁上弦材１０ｂの下面に支持材４２
が間隔をおいて取り付けられ、同支持材４２の外側端上
にＩ型ガーダ４３を配置し、このＩ型ガーダ４３上に前
記第１軌条１５が布設されている。また、同じ位置の桁
上弦材１０ｂの上面に前記跨乗手段３５が設けてある。
跨乗手段３５は、桁上弦材１０ｂにＬ字状に固着したア
ーム４５の先端に既設トラス桁１０上の第１軌条１５と
係合する前記車輪４０と、第１軌条１５のヘッド部下面
を抱き込むようにハ字状に配設された図６に示す１対の
ガイドローラー４６と、アーム４５の上面角部寄り位置
に幅寄せ軌条３０を挟んで係合するよう設けた左右１対
の前記車輪４１と、同車輪４１の側部に前記索引き操作
ワイヤ３９（図３）と着脱するよう設けた結合部４７を
備えて構成している。

【００１４】また、幅寄せ軌条３０は、図５及び図７〜
図８に示すように、可動張出し架構１１の張出部の下部
水平部材１１ａに一端を固着し、他端を吊り材１１ｂに
より支持した横方向のＩビーム４８と、同Ｉビーム４８
にその長手方向に移動可能に車輪４９を介し係合するボ
ギー枠５０と、同ボギー枠５０にスクリュー駆動モータ
５１の左右１対の竪スクリュー５２を介し上下動可能に
支持し幅寄せ軌条３０の上弦部にボルト等で結合した軌
条吊り材５３と、上記Ｉビーム４８の両端に設けたシー
ブ５４，５５と、Ｉビーム４８上に設けた幅寄せ用モー
タ５６駆動の小ドラム５７と、同ドラム５７からクロス
巻きに前記シーブ５４，５５を経てボギー枠５０の左右
端に接続した幅寄せ駆動ワイヤ５８とを備え、幅寄せ軌
条３０を上下及び幅方向へ平行移動可能に構成してい
る。

【００１５】次に、図１２は、上述した諸装置を使用し
て行う本発明の橋梁張出し架設の作業フローを示す。以
下、図１２のフローを参照して架設方法を説明する。橋
脚１の下部近傍の地上架台４上等の地上において、設計
された所定形状の面組みトラス桁単位１０ａが、跨乗手
段３５，第１軌条１５，第２軌条１６等を取付けた状態
で予め組み立てられ、橋脚１上に組み立てるいくつかの
面組みトラス桁単位１０ａとその繋ぎ単材が、タワーク
レーン３によって橋脚１上へ吊り上げられ、橋脚１の斜
ベント２上で位置合わせ及び接合して組み立てられ、こ
の箇所のトラス桁１０が本設される。

【００１６】本設したいくつかのスパンの既設トラス桁
１０上に、地上から予め準備された張出し架構１１、こ
れに装備する天井クレーン２７，幅寄せ軌条設備３０，
単材運搬台車１２及び操作用ワイヤ３２，３４，３９
を、それぞれ又は組み合わせた状態で、タワークレーン
３により地上から吊り上げて取付け、張出し架設準備を
行う。

【００１７】この状態のもとで、タワークレーン３によ
り、地上から面組みされたトラス桁単位１０ａを吊り上
げ、既設トラス桁の第１軌条１５上に跨乗セットし、操
作ワイヤ３９に接合部材４７を結合する。

【００１８】操作ワイヤ３９に結合した面組トラス桁単
位１０ａは操作ワイヤ３９の操作で既設トラス桁の端方
向へ索引き移動され、既設トラス桁の端部から張出し架
構１１上の幅寄せ軌条３０上へ移載され、続いて、幅寄
せ軌条３０の幅寄せ、操作ワイヤ３９の調節操作によ
り、面組トラス桁単位１０ａを既設トラス桁１０端と位
置合わせし、接合する。

【００１９】他方この間に、タワークレーン３により、
地上から繋ぎ単材１０ｅ〜１０ｈを吊り上げ、単材運搬
台車１２の台車荷台１２ａ上に積込み、操作用ワイヤ３
２，３４の操作で張出し架構１１の後部内に台車荷台１
２ａを移動させ、前記左右の面組トラス桁単位１０ａの
既設トラス桁端１０への接合が終了したのち、天井クレ
ーン２７により台車荷台１２ａ上から繋ぎ単材１０ｅ〜
１０ｈを順に接合の済んだ左右面組トラス桁単位１０ａ
間に位置合わせし、接合する。

【００２０】この状態で、１スパンのトラス桁１０の張
出し架設が終了し、張出し架構１１の固定ストッパ２４
を解放し、軌条クランプ２０，２１の緩め、油圧シリン
ダ１０を縮長し、軌条クランプ２０を掴み結合したの
ち、油圧シリンダ１９を伸長する操作を繰り返して、張
出し架構１１を１スパンずつ既設トラス桁１０の端側へ
移動させ、クランプ２０，２１及び固定ストッパ２４を
結合固定して、再び面組トラス桁単位１０ａの吊り上げ
に戻って、同様の張出し架設を繰り返し行う。

【００２１】

【発明の効果】上述した設備によると、張出し架構１１
は、天井クレーン２７の最小限のリフトだけを確保すれ
ばよいから、高さは低くて済み、天井クレーン２７と幅
寄せ軌条３０装置を含めても、従来使用して来たトラベ
ラークレーンに比較し、著しく設備を軽量に構成でき
る。

【００２２】また、単材運搬台車１２は、繋ぎ単材１０
ｅ〜１０ｈだけを運搬するから、小型軽量となる。ま
た、張出し架構１１には、図２に示すように、必要に応
じて屋根覆いを簡単に設けることができ、また、先端側
と両側部には、風雨避けシートを設けることも容易にな
り、風雨時にも張出し架構１１内で安全に能率よく架設
作業を進められる。

【００２３】さらに、面組トラス桁単位１０ａの橋脚１
上での水平搬送を、既設トラス桁上の軌条に跨乗支持さ
せ、反転なしに操作ワイヤ等で移動するから、橋脚１上
で大型のクレーンや運搬台車を使用する必要がなくな
り、山間部での橋梁の張出し架設を非常に容易にかつ高
能率的に施工できる。

【００２４】要するに、橋脚上端上に上架本設され、前
後方向に張出された既設トラス桁上にその上端に沿って
前後方向へ摺動可能な可動張出し架構を設け、同可動張
出し架構内を前後方向に走行可能な天井クレーン，同可
動張出し架構の張出し部に幅寄せ可能に支持した前後方
向の幅寄せ軌条，上記既設トラス桁の上縁に沿って面組
トラス桁単位を平行的に移動可能に跨乗移動させる面材
搬送手段及び上記既設トラス桁の上面に沿って前後方向
に移動可能な単材運搬台車を仮設配置し、上記橋脚下部
付近で組み立てた面組トラス桁単位を上記橋脚の近傍に
立設されたタワークレーン等で上記橋脚上へ吊り上げ、
上記既設トラス桁の上縁部に跨乗させ索引き等により移
動して上記幅寄せ軌条上へ移載し、上記幅寄せ軌条の幅
寄せ移動及び索引きによりこれを上記既設トラス桁の桁
端に位置合わせ接合し、他方、上記タワークレーンによ
り吊り上げた結合用単材を前記単材運搬台車に乗せて上
記可動張出し架構内へ水平搬送し、前記天井クレーンに
より前記台車上の単材を前記面組トラス桁単位に搬送し
接合することにより、橋梁の張出し架設のために高所の
橋桁上で使用する運搬手段，架設手段を従来に比較して
著しく小型化及び軽量化し、設備機材の吊り上げリフト
の大きい山間の橋梁の架設においても、主要な桁部分を
面組ブロック単位で搬送，架設を容易にできるように
し、更に、風雨時の作業の中段を減少し、短期間で能率
良く張出し架設を行うことを可能とする安全作業かつ工
期短縮の経済的な橋梁張出し架設工法を得るから、本発
明は産業上極めて有益なものである。

【００２５】請求項２の発明によれば、請求項１におい
て、その橋梁上に上架された既設トラス桁上に設けた面
組トラス桁単位移動用の第１軌条及び単材運搬台車用の
第２軌条，上記第１軌条と幅寄せ軌条に係合する跨乗手
段及び操作ワイヤとの着脱結合手段と、橋脚上端の既設
トラス桁上を前後方向に摺動する可動張出し架構上に縦
設された天井クレーン及び既設トラス桁上に跨乗した面
組トラス桁単位を上記跨乗手段と係合する幅寄せ軌条
と、前記第２軌条と係合して既設トラス桁上を操作ワイ
ヤ等により移動し、上記可動張出し架構内へ結合用単材
を搬送する単材運搬台車とを具えたことにより、橋梁の
張出し架設のために高所の橋桁上で使用する運搬手段，
架設手段を従来に比較して著しく小型化及び軽量化し、
設備機材の吊り上げリフトの大きい山間の橋梁の架設に
おいても、主要な桁部分を面組ブロック単位で搬送，架
設を容易にできるようにし、更に、風雨時の作業の中段
を減少し、短期間で能率良く張出し架設を行うことを可
能とする安全作業かつ工期短縮の経済的な橋梁張出し架
設装置を得るから、本発明は産業上極めて有益なもので
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の張出し架設工法とその装置
の概要を示す側面図である。

【図２】図１の要部を示す拡大側面図である。

【図３】図２のＩＩＩ−ＩＩＩ矢視平面図である。

【図４】図２のＩＶＡ−ＩＶＡ，ＩＶＢ−ＩＶＢ線矢視
断面を左右半部に示す横断面図である。

【図５】図４の跨乗装置及び幅寄せ軌条の付近を示す拡
大図である。

【図６】図５のＶＩ部の裏部分を示す横断面図である。

【図７】図５のＶＩＩ部を示す拡大図である。

【図８】図７のＶＩＩＩ一ＶＩＩＩ矢視側面図である。

【図９】図１の張出し架構の後半部を示す側面図であ
る。

【図１０】図９のＸ−Ｘ矢視横断面図である。

【図１１】図９のＸＩ−ＸＩ矢視横断面図である。

【図１２】本発明による工法の作業順序を示すフロー図
である。

【図１３】従来の橋梁張出し工法とその設備を示す概略
側面図である。

【図１４】図１３の平面図である。

【符号の説明】

１ 橋脚 ２ 斜ベント ３ タワークレーン ４ 地上架台（桟橋） ５ 搬送用トラック ６ トラス桁 ６ａ 単材 １０ 既設トラス桁 １０ａ 面組トラス桁単位 １０ｂ トラス桁上弦材 １０ｅ〜１０ｈ 繋ぎ単材 １１ 可動張出し架構 １１ａ 下部水平部材 １１ｂ 吊り材 １２ 単材運搬台車 １２ａ 台車荷台 １３ 面材水平搬送手段 １５ 第１軌条 １６ 第２軌条 １６ａ 中央軌条 １７ 張出し架構の沓部 １８，４６ ガイドローラー １９ 油圧シリンダ ２０，２１ 軌条クランプ ２２ アイプレート ２３ ピン ２４ 固定ストッパ ２５ 油圧ジャッキ ２７ 天井クレーン ２７ａ 走行ガーダ ２７ｂ 横行モータ ２７ｃ 横行台車 ２７ｄ 旋回モータ ２７ｅ 旋回機構 ２７ｆ 巻上機 ２７ｇ 旋回吊りビーム ２８ 走行駆動モータ ２９ 無端ワイヤ ３０ 幅寄せ軌条 ３１ 屋根 ３２，３４，３９ 無端操作ワイヤ ３３ 滑り軌条 ３５ 跨乗手段 ３６，３７，３８ シーブ ４０，４１，４９ 車輪 ４２ 支持材 ４３ Ｉ型ガータ ４５ アーム ４６ ガイドローラ ４７ ワイヤ着脱結合部 ４８ Ｉビーム ４９ 車輪 ５０ ボギー枠 ５１ スクリュー駆動モータ ５２ 竪スクリュー ５３ 軌条吊り材 ５４，５５ Ｉビームの両端のシーブ ５６ 幅寄せ用モータ ５７ 小ドラム ５８ 幅寄せ駆動ワイヤ ６０ 吊索 ６１ スライド脚 ６２ チルタンク

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中谷 眞二 広島県広島市西区観音新町四丁目６番22号 三菱重工業株式会社広島製作所内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 橋脚上端上に上架本設され、前後方向に
   張出された既設トラス桁上にその上端に沿って前後方向
   へ摺動可能な可動張出し架構を設け、同可動張出し架構
   内を前後方向に走行可能な天井クレーン，同可動張出し
   架構の張出し部に幅寄せ可能に支持した前後方向の幅寄
   せ軌条，上記既設トラス桁の上縁に沿って面組トラス桁
   単位を平行的に移動可能に跨乗移動させる面材搬送手段
   及び上記既設トラス桁の上面に沿って前後方向に移動可
   能な単材運搬台車を仮設配置し、上記橋脚下部付近で組
   み立てた面組トラス桁単位を上記橋脚の近傍に立設され
   たタワークレーン等で上記橋脚上へ吊り上げ、上記既設
   トラス桁の上縁部に跨乗させ索引き等により移動して上
   記幅寄せ軌条上へ移載し、上記幅寄せ軌条の幅寄せ移動
   及び索引きによりこれを上記既設トラス桁の桁端に位置
   合わせ接合し、他方、上記タワークレーンにより吊り上
   げた結合用単材を前記単材運搬台車に乗せて上記可動張
   出し架構内へ水平搬送し、前記天井クレーンにより前記
   台車上の単材を前記面組トラス桁単位に搬送し接合する
   ことを特徴とする橋梁の張出し架設工法。
2. 【請求項２】 請求項１において、その橋梁上に上架さ
   れた既設トラス桁上に設けた面組トラス桁単位移動用の
   第１軌条及び単材運搬台車用の第２軌条，上記第１軌条
   と幅寄せ軌条に係合する跨乗手段及び操作ワイヤとの着
   脱結合手段と、橋脚上端の既設トラス桁上を前後方向に
   摺動する可動張出し架構上に縦設された天井クレーン及
   び既設トラス桁上に跨乗した面組トラス桁単位を上記跨
   乗手段と係合する幅寄せ軌条と、前記第２軌条と係合し
   て既設トラス桁上を操作ワイヤ等により移動し、上記可
   動張出し架構内へ結合用単材を搬送する単材運搬台車と
   を具えたことを特徴とする橋梁の張出し架設用装置。