JPH07102346A - 冷間加工性にすぐれた高硬度ステンレス鋼 - Google Patents

冷間加工性にすぐれた高硬度ステンレス鋼

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JPH07102346A
JPH07102346A JP24808793A JP24808793A JPH07102346A JP H07102346 A JPH07102346 A JP H07102346A JP 24808793 A JP24808793 A JP 24808793A JP 24808793 A JP24808793 A JP 24808793A JP H07102346 A JPH07102346 A JP H07102346A
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JP
Japan
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less
cold workability
stainless steel
high hardness
corrosion resistance
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JP24808793A
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English (en)
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Tomotaka Nagashima
友孝 長島
Michio Okabe
道生 岡部
Tomohito Iikubo
知人 飯久保
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Daido Steel Co Ltd
Original Assignee
Daido Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 構造用鋼に近い冷間加工性と精密切削・研削
時の面粗度と示し、SUS440C同等の耐食性を有し
ていて通常の室内の使用では錆びることがなく、しかも
HRC58以上の硬さを有する、焼入れのし易いステン
レス鋼を提供する。 【構成】 本発明の高硬度ステンレス鋼は、重量%で、
C:0.45〜0.65%、Si:0.25%以下、M
n:0.25%以下、Ni:0.6%以下、Cr:4.
0〜11.0%、Mo:0.10%未満、Al:0.0
3%以下、およびCa:0.001〜0.020%を含
有し、P:0.03%以下、S:0.005%以下、
O:0.005%以下であって、残部が実質的にFeか
らなることを特徴とする。この合金は、上記の基本組成
に加えて、V:0.05〜0.5%、Nb:0.05〜
0.5%およびREM:0.01〜0.05%のうちい
ずれか1種または2種以上を含有することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、冷間加工性が良好で、
切削加工面の粗さが細かく、焼入れし易くて高硬度とな
り、しかも腐食環境のゆるやかな使用条件では錆びない
程度の耐食性をもったステンレス鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】各種の精密機械、OA機器、電子機器類
が多様化し普及したことに伴って、ある程度の耐食性を
もつ高硬度の精密部品に対する需要が増してきた。この
ような部品はロックウエル硬さHRC58以上60程度
の硬度が必要なため、従来は構造用鋼に浸炭処理を施し
たり、あるいは軸受鋼を使用して製造していた。しか
し、SUJ2(軸受鋼)のような比較的耐候性のよい材
料で作った部品でも、長期間経過すると錆びが生じる。
その対策としてNiなどのめっきが行われるが、めっき
は品質のばらつきが多いし、剥離の心配もあって信頼性
が十分高いとはいえない。
【0003】めっきに頼らずSUS440Cなど高Cス
テンレス鋼を用いれば、硬さと耐食性の点では満足でき
るが、素材が高価であるし、冷間加工性が悪く、冷間鍛
造や冷間異形引抜きが工業的には実施できない。しか
も、精密な切削や研削を行ったときに加工面が粗く、精
度が高められないという悩みがある。加工精度が不足で
あると、その部品を使用した機器が要求される諸性能を
発揮できないこともある。
【0004】一方、通常の室内環境や、防錆油およびそ
れに類似した油類のミスト環境で錆を生じない程度でよ
いのであれば、SUS440C程度の耐食性で足りる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
のような技術の現状にかんがみて、機械的な性質と耐食
性とを調和させた精密機械部品用の材料、具体的にいえ
ば、構造用鋼に近い冷間加工性と精密切削・研削時の面
粗度を示し、かつ構造用鋼よりはすぐれ、SUS440
C同等の耐食性を有していて通常の室内の使用では錆び
ることがなく、しかもHRC58以上の硬さを有する、
焼入れのし易いステンレス鋼を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明が提供する、冷間
加工性にすぐれ精密部品材料として好適な高硬度ステン
レス鋼は、基本的には重量%で、C:0.45〜0.6
5%、Si:0.25%以下、Mn:0.25%以下、
Ni:0.6%以下、Cr:4.0〜11.0%、M
o:0.10%未満、Al:0.03%以下およびC
a:0.001〜0.020%以下を含有し、P:0.
03%以下、S:0.005%以下、O:0.005%
以下であって、残部が実質的にFeからなる合金組成を
有することを特徴とする。
【0007】この合金は、上記の基本組成に加えて、下
記の合金元素の一方または両方を含有することができ
る。 1) V:0.05〜0.5%およびNb:0.05〜
0.5%のうちいずれか1種または2種、および 2) 稀土類金属REM:0.01〜0.05% ここに、REMは、La、Ceなどのランタニド系稀土
類のいずれか1種でもよいし、2種以上、たとえばCe
+Laを主体とするミッシュメタルのようなものでもよ
い。
【0008】
【作用】本発明の冷間加工性にすぐれた高硬度ステンレ
ス鋼の合金設計は、次のような考えにもとづいている。
すなわち、一応の耐食性を得るために、構造用鋼よりは
多いCr含有率を採用し、耐食性を損う粗大炭化物の生
成を抑制するようにCおよびCrの含有率を制限した。
このCおよびCr含有率の制限は、焼入れ温度の上昇を
制限するためのものである。その一方で、所望の強度を
得るため、焼入れ時の固溶C量を確保できるようにし
た。冷間加工性と精密切削性を向上させるため、球状化
組織において粗大炭化物の生成を抑えるようにCとCr
の含有率を選択し、SiおよびMnの含有率をマトリク
スの硬化をひきおこさない範囲に止めた。精密研削性に
とっては、やはり未固溶の粗大炭化物の生成を防ぐこと
が有意義である。
【0009】このようにして決定された合金組成を、各
成分の限定理由の面から以下に説明する。 C:0.45〜0.65% 焼入れにより、Cはマトリクスをマルテンンサイト組織
にするとともに、その中に固溶してこれを強化する。H
RC≧58の条件を満たすためには0.45%以上必要
であり、0.65%を超えると未固溶の粗大炭化物が生
成して冷間加工性と精密切削性を害する。
【0010】Si:0.25%以下、Mn:0.25%
以下 SiおよびMnは、いずれも脱酸剤として添加するが、
球状化組織においてマトリクスのフェライト相を固溶強
化して冷間加工性を低くする。このような作用と、製造
時のコスト等を考慮して上限を0.25%とする。 Ni:0.6%以下 Niは、特殊鋼製造時に減量スクラップから混入するこ
とが多く、マルテンサイト相の延性を若干向上させる効
果があるが、多量になると軟化焼鈍を困難にするので、
含有率の上限を0.6%とする。
【0011】Cr:4.0〜11.0% Crはマトリクスのマルテンサイト相に固溶し、材料の
表面に保護被膜を形成して耐食性を与える中心的な元素
である。焼戻しや焼鈍時に炭化物を生成し、材料を軟化
させる。比較的穏和な環境で錆びない程度の耐食性を得
るには、Crを4%以上添加してあればよい。Cr含有
量の増大に伴い耐食性は高まるが、前記したC含有率の
範囲では粗大な炭化物が生成しやすく、それによって冷
間加工性が害されるとともに、未固溶の炭化物が残留し
て硬さの確定を困難にするから、含有率の上限を11%
とした。
【0012】Mo:0.10%未満 Moは炭化物を粗大化させて冷間加工性を低くする。そ
のため含有率の上限を0.10%とする。 Al:0.03%以下 SiおよびMnを課題に使用せずに後述するO含有量の
規制を実現するためには、脱酸剤としてAlを使用せざ
るを得ないが、多量になると非金属介在物Al2 O3 の
形成により、冷間加工性を害するので、Al含有率の上
限を0.03%とする。
【0013】Ca:0.001〜0.020% Caは少量の添加で脱酸、脱硫の効果があり、熱間およ
び冷間の加工性を改善するとともに、被削性を向上させ
る。これらの効果は0.001%以上の含有率で認めら
れるが、0.020%を超えて添加しても効果が飽和し
てしまうので、含有率を0.001〜0.020%とす
る。
【0014】P:0.03%以下 Pは耐食性や靭延性を害するので、含有率の上限を0.
03%とする。 S:0.005%以下 Sは熱間加工性、耐食性、冷間加工性を害するので、含
有率の上限を0.005%とする。
【0015】O:0.005%以下 酸化物を生成して非金属介在物の原因となる。非金属介
在物は冷間加工性を低下させ、疲労強度と靭延性を損う
ので、O含有率は0.005%以下におさめなければな
らない。任意に添加する合金元素の働きと組成の限定理
由は、つぎのとおりである。
【0016】V:0.05〜0.5%、Nb:0.05
〜0.5% VとNbはともに安定した微細な炭化物を形成し、結晶
粒を微細化して強度および靭性を向上させるから、その
ような改善を希望する場合に添加するとよい。しかし、
0.05%に満たない含有率ではその効果が低く、0.
5%を超えると冷間加工性を害するばかりか、靭延性も
かえって低下するので、VおよびNbの含有率は、いず
れも0.05〜0.5%とする。
【0017】REM:0.01〜0.05% REMは鋼の脱酸、脱硫に有効な元素で、熱間加工性を
改善するとともに、耐酸化性を向上させる。これらの効
果はREM含有率0.01%以下では十分ではなく、ま
た0.05%を超える含有率では効果が飽和すると同時
に、かえって熱間加工性を損うので、REMの含有率は
0.01〜0.05%とする。
【0018】
【実施例】表1および表2に示す化学組成の鋼を溶製し
た。これを熱間鍛造および圧延によりい直径20mmの
線材にし、球状化焼鈍を行った。その処理を施した材料
を対象に、硬さの測定、据え込み試験による冷間加工性
の評価、および自動盤による外削加工試験を行った。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】 さらに、球状化焼鈍材に焼入れ−低温焼戻しを施し、硬
さと耐食性および酸化減量を調べた。その結果を表3お
よび表4に示す。表3および表4において、変形抵抗お
よび割れ発生圧下率は、据え込み試験により評価したも
のであり、変形抵抗は圧下率63%におけるデータであ
る。加工面粗さは、自動盤で加工したときの400個目
のサンプルについて調べた結果である。耐食性は、湿潤
(50℃、98%RH、4hrs)−乾燥(70℃、2
hrs)×4サイクルの乾湿繰返し試験の後、点食の有
無で評価した。酸化減量は、大気中500℃×50hr
s保持の後測定した。
【0021】
【表3】
【0022】
【表4】
【0023】
【発明の効果】本発明のステンレス鋼は、固有の合金組
成の選択によって、冷間加工性が良好で、切削面の面粗
度が構造用鋼と同等であり、表面硬化処理を施した構造
用鋼に匹敵する表面硬さを示し、しかも耐食性はSUS
440C同等という要求にも応えた材料である。
【0024】従ってこの鋼は冷間鍛造の材料として好適
であり、また、各種精密機械を構成するシャフト、ロー
ラー、小型ネジなどの精密部品を製作する材料として有
用である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学組成が重量%で、C:0.45〜
    0.65%、Si:0.25%以下、Mn:0.25%
    以下、Ni:0.6%以下、Cr:4.0〜11.0
    %、Mo:0.10%未満、Al:0.03%以下およ
    びCa:0.001〜0.020%を含有し、P:0.
    03%以下、S:0.005%以下、O:0.005%
    以下であって、残部が実質的にFeからなる合金組成を
    有することを特徴とする冷間加工性にすぐれた高硬度ス
    テンレス鋼。
  2. 【請求項2】 化学組成が重量%で、C:0.45〜
    0.65%、Si:0.25%以下、Mn:0.25%
    以下、Ni:0.6%以下、Cr:4.0〜11.0
    %、Mo:0.10%未満、Al:0.03%以下およ
    びCa:0.001〜0.020%に加えて、V:0.
    05〜0.5%およびNb:0.05〜0.5%のうち
    いずれか1種または2種を含有し、P:0.03%以
    下、S:0.005%以下、O:0.005%以下であ
    って、残部が実質的にFeからなる合金組成を有するこ
    とを特徴とする冷間加工性にすぐれた高硬度ステンレス
    鋼。
  3. 【請求項3】 化学組成が重量%で、C:0.45〜
    0.65%、Si:0.25%以下、Mn:0.25%
    以下、Ni:0.6%以下、Cr:4.0〜11.0
    %、Mo:0.10%未満、Al:0.03%以下およ
    びCa:0.001〜0.020%に加えて、REM:
    0.01〜0.05%を含有し、P:0.03%以下、
    S:0.005%以下、O:0.005%以下であっ
    て、残部が実質的にFeからなる合金組成を有すること
    を特徴とする冷間加工性にすぐれた高硬度ステンレス
    鋼。
  4. 【請求項4】 化学組成が重量%で、C:0.45〜
    0.65%、Si:0.25%以下、Mn:0.25%
    以下、Ni:0.6%以下、Cr:4.0〜11.0
    %、Mo:0.10%未満、Al:0.03%以下およ
    びCa:0.001〜0.020%に加えて、V:0.
    05〜0.5%およびNb:0.05〜0.5%のうち
    いずれか1種または2種、ならびにREM:0.01〜
    0.05%を含有し、P:0.03%以下、S:0.0
    05%以下、O:0.005%以下であって、残部が実
    質的にFeからなる合金組成を有することを特徴とする
    冷間加工性にすぐれた高硬度ステンレス鋼。
JP24808793A 1993-10-04 1993-10-04 冷間加工性にすぐれた高硬度ステンレス鋼 Pending JPH07102346A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1072691A2 (en) * 1999-07-30 2001-01-31 Hitachi Metals, Ltd. Tool steel with excellent workability, machinability and heat treatment characteristics, and die using same

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KR100368541B1 (ko) * 1999-07-30 2003-01-24 히다찌긴조꾸가부시끼가이사 용접성, 피삭성 및 열처리 특성이 우수한 공구강 및 이를이용한 금형

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