JPH07102203B2 - 便所装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［技術分野］ 本発明は、高齢者や、身体障害者等の人達が楽に使用で
きる便所装置に関する発明である。

［背景技術］ 従来にあっては、便器の後部に便座を回動自在に取り付
けていただけなので、使用者は、便座を倒して便座に腰
掛けて用便（女性の場合には小用も含む）をしていた。
ところが、便座の位置に低いので、使用者は、便座に腰
掛けるに当たり中腰になって便座の上に尻を載せて座ら
なければならず、また使用後に便座から立ち上がるには
位置の低い便座から腰を浮かしたのち立ち上がらなけれ
ばならないものである。このように便座への腰掛け動作
や便座からの立ち上がり動作は、いったん中腰姿勢にな
ってこの中腰姿勢を経て腰掛けたり、あるいはいったん
中腰姿勢になってこの中腰姿勢を経て立ち上がったりし
ていた。ところが、中腰姿勢を経て座ったり、あるいは
中腰姿勢を経て立ち上がるのは、高齢者や身体障害者等
身体の不自由な人にとっては、きわめて苦痛な動作であ
り、中腰姿勢ができない人にとっては便座に座ったり、
便座から立ち上がったりすることができないという問題
があった。

［発明の目的］ 本発明は、上記の点に鑑みて発明したものであって、そ
の目的とするところは、高齢者や身体障害者等身体の不
自由な人でも中腰姿勢を経ることなく楽に便座に座った
り、あるいは便座から立ち上がったりすることができる
便所装置を提供するにある。

［発明の開示」 本発明の便所装置は、便器１に対して便座２を上下移動
自在に設け、便座２を上下移動させる昇降手段５を便器
１の近傍に設け、先端部に昇降手段５を制御するための
操作スイッチ33を備えるひじ掛けアーム６を便座２の側
方に起倒自在に設けて成ることを特徴とするものであっ
て、このような構成を採用することで、上記した本発明
の目的を達成したものである。すなわち本発明にあって
は、叙述のように便器１に対して便座２を上下移動自在
に設けることで、便座２を上昇させた状態で便座２に座
り、使用に当たっては便座２を下降させて用便等をし、
使用後には便座２を上昇させた状態で、便座２から尻を
離すことで、中腰姿勢をとることなく便座２に座った
り、便座２から立ち上がったりすることができるように
なったものであり、さらに、ひじ掛けアーム６にひじを
掛けると共に操作スイッチ33を操作して容易に立った
り、座ったりすることができ、しかも、側方から立った
り、座ったりする場合にひじ掛けアーム６を邪魔になら
ないように起こしておくことができるものである。

以下本発明を添付図面に示す実施例により詳述する。便
器１は洋式便器であって、この便器１には便座昇降装置
３が取り付けてある。便座昇降装置３は基枠４と昇降手
段５とひじ掛けアーム６と便座２とから構成してある。
基枠４の中央部より前方に向けて便器取り付け金具７が
突設してあり、さらに便器取り付け金具７の両側におい
て前方に向けて取り付けアーム体８が突設してある。便
器取り付け金具７は便器１の後部上面に設置され、便器
１の後部に設けられている孔９（すなわち一般の便器１
において便座を回動自在に支持するための軸受け部に垂
下したボルトを挿通して軸受け部を便器１に取り付ける
ために孔が設けてある）を利用して、この孔９にボルト
10を挿入してナットを螺合して便器取り付け金具７を便
器１を後部に取り付けている。また取り付けアーム体８
は先端部に当たり片11を側方に向けて突出していて、当
たり片11を便器１の側部上面に載せてある。基枠４の上
面部中央から上方に向かって突出ガイド体12が突設して
ある。便座２は便器１に対して上下動自在な支持体13と
支持体13に載置自在な回動便座本体14とで構成してあ
る。支持体13は後部体31の両側から前方に向けて支持枠
15を突設し、後部体31に回動便座本体14の後部を回動自
在に枢支してあり、回動便座本体14を倒して水平にした
とき回動便座本体14が支持体13の支持枠15の上面に載置
して支持されるようになっている。また後部体31には便
蓋40が回動自在に枢支されている。支持体13の後部体31
には上方に向けて下方が開口するガイド筒部16が突設し
てある。そしてこのガイド筒部16は前記基枠４から上方
に突設した突出ガイド体12に上下方向にスライド自在に
被嵌してある。ガイド筒部16内には第５図に示すように
ローラ支持具17がねじ18により固着されて配設してあ
り、このローラ支持具17にローラ19が回動自在に取り付
けてあり、突出ガイド体12に上下に設けたレール20にロ
ーラ19が転動するようにしてある。突出ガイド体12とガ
イド筒部16とは昇降手段５により上下に昇降するように
なっており、この昇降手段５は油圧を利用した昇降手段
となっている。すなわち突出ガイド体12内には油圧シリ
ンダー21が配設固定してあり、油圧シリンダー21のロッ
ト22がガイド筒部16内に挿入されてロット22の上端部が
ガイド筒部16内の上部に固着してある。そしてこの油圧
シリンダー21の動作によりガイド筒部16を突出ガイド体
12に対して上下移動させるものであり、このことにより
便座２が便器１に対して上下移動するようになってい
る。なお基枠４には油圧源23が取り付けてある。基枠４
の両側には上方に向けて支柱24が突設してあり、支柱24
には前方に向けて、ひじ掛けアーム６が取り付けてあ
る。ひじ掛けアーム６は図面に示す実施例では、基部に
後方及び下方に開口する被はめ込み部25が設けてあり、
この被はめ込み部25を支柱24の上端部に被嵌し、支柱24
と被はめ込み部25とを回動軸26にて回動自在に取り付け
てある。ここで被はめ込み部25の前面部27には調節ねじ
28が螺合してあり、支柱24の前面に調節ねじ28の先端部
を当てた状態で調節ねじ28を回転することで支柱24に対
してひじ掛けアーム６のなす角度を調整するようになっ
ている。ひじ掛けアーム６は起こした場合、被はめ込み
部25の上面部が支柱24の後面上部に当たってそれ以上ひ
じ掛けアーム６が回動しないようになっている。したが
ってひじ掛けアーム６は略水平状態から略垂直状態に起
倒するようになっている。ひじ掛けアーム６の先端部に
は昇降手段５を制御するための操作スイッチ33が設けて
ある。またひじ掛けアーム６にはナースコール用スイッ
チ34も設けてある。図面の実施例では一方のひじ掛けア
ーム６の先端部に操作スイッチ38を設け、他方のひじ掛
けアーム６の先端部にナースコール用スイッチ34が設け
てある。これら操作スイッチ33やナースコール用スイッ
チ34を設けるひじ掛けアーム６の先端部は内側にやや曲
げてある。

しかして、上記のような構成の便所装置の使用は下記の
ようにしておこなうものである。すなわち第１図のよう
に便座２を上昇させた状態で、回動便座本体14を倒して
支持体13の支持枠15上面に支持させ、この状態（この時
便座40は回動して起こしておく）で使用者は中腰姿勢を
経ることなく立ち姿勢から直接便座２に腰掛け、その後
ひじ掛けアーム６にひじを掛け、操作スイッチ33を操作
して便座２を下降させ正常の便座２のレベルに位置させ
る。この状態で用便を行い、用便がすむと、操作スイッ
チ33を操作して便座２を上昇させ、再び第１図の状態に
する。この状態で腰を便座２から離すと、中腰姿勢を経
ることなくそのまま立ち姿勢に移ることができる。

使用者が回動便座本体14に座った場合、その荷重は便器
取り付け金具７を介して便器１の後部上面にかかるが、
この場合さらに、取り付けアーム体８の先端部の当たり
片11が便器１の前後方向の略中央部の上面に当たって便
座昇降装置３が前方に回動して転倒するのを防止するよ
うになっている。

また便座２が下降した場合、支持枠15が当たり片11に当
たるようになっており、支持枠15が下降した場合に陶器
製の便器１上面に金属製の支持枠15が衝突して便器１を
破損しないようになっている。

便座２に座る場合や、便座２から立つ場合、ひじ掛けア
ーム６を起こしてやると、便器１の側方から便座２に座
ったり、便座２から立ち上がったりできるものである。
このように側方から便座２に座ったり、便座２から立ち
上がったりできるようにした場合には、特に車椅子に乗
った使用者が車椅子から便座２へ、便座２から車椅子へ
と楽に移行できるものである。

ところで、男子が小用をする場合には回動便座本体14を
回動して起こした状態で行うものである。

なお、昇降手段５による便座２の上昇及び下降に当たっ
て、第１図乃至第４図のように上限用リミットスイッチ
29、下限用リミットスイッチ30を設けておくと、便座２
の最大上昇位置及び最大下降位置が正確に設定できるも
のである。そして、上記上限用リミットスイッチ29の位
置を選択することで、使用者に応じた便座２の最大上昇
位置を自由に選択できるものである。勿論、最大上昇位
置と最大下降位置との間では便座２を自由に昇降を停止
できるようにしてもよいものであり、このようにすると
使用者の背の高さに応じて任意のレベルで便座２を停止
させることができるものである。

第３図、第４図の実施例にあっては、支持体13の後部体
31に温水洗浄装置32を取り付けた実施例が示してある。
この温水洗浄装置32は洗浄ノズル（図示せず）を有して
いて用便が済んだ後に洗浄ノズルより温水を吐出して肛
門を洗浄するようになっている。この温水洗浄装置32は
更に温風噴き出し装置装置を備えていてもよく、洗浄後
に温風を出して肛門部分の乾燥をするようにしてもよい
ものである。

第７図乃至第９図には基体４から脚部35を垂設し、この
脚部35の下部の取り付け片36を便器１の床固定部37の上
に重ね、床固定部37を床38に固定しているボルト39を利
用して取り付け片36を床固定部37と共に床38に固定して
ある。このようにするといっそう便座昇降装置３の取り
付けが安定してできるものである。

［発明の効果］ 本発明にあっては、叙述のように便器に対して便座を上
下移動自在に設けてあるので、便座を上昇させた状態で
中腰姿勢を経ることなく立ち姿勢から直接便座に座るこ
とができ、使用に当たっては便座を下降させて用便等を
し、使用後には便座を上昇させた状態で、便座から尻を
離すことで、中腰姿勢をとることなく立ち姿勢になるこ
とができるものであり、このように本発明にあっては便
座に座ったり、便座から立ち上がったりするのに従来の
ように中腰姿勢を経ることがなくて楽にでき、特に高齢
者や身体障害者等身体の不自由な人に最適である。ま
た、便座を上下移動させる昇降手段を便器の近傍に設
け、先端部に昇降手段を制御するための操作スイッチを
備えるひじ掛けアームを便座の側方に起倒自在に設けて
あるので、ひじ掛けアームにひじを掛けて楽な姿勢と
し、ひじ掛けアームにひじを掛けた楽な状態で手先だけ
を動かすだけの操作しやすい位置としてひじ掛けアーム
の先端部に設けられた操作スイッチを操作して便座を上
下移動させることによって姿勢を大きく変更することな
く楽な姿勢のままで容易に立ったり、座ったりすること
ができるものであり、しかも、側方から立ったり、座っ
たりする場合にひじ掛けアームを邪魔にならないように
起こしておくことができるものであり、ひじ掛けアーム
を備えるようにしたといえども便座への着座動作を側方
からであっても楽に行わせるようにすることができるも
のであり、この点においても高齢者や身体障害者等身体
の不自由な人が使いやすいようにすることができるもの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の便座を上昇させた状態の斜視図、第２
図は同上のひじ掛けアームと回動便座本体とを取り外し
た状態の斜視図、第３図は本発明の他の実施例の斜視
図、第４図は同上のひじ掛けアームと回動便座本体とを
取り外した状態の斜視図、第５図は本発明において突出
ガイド体とガイド筒部との嵌合い部分を示す断面図、第
６図は本発明において便座の下降状態の便座部分の部分
断面図、第７図は本発明の更に他の実施例の正面図、第
８図は同上の一部省略平面図、第９図は同上の側面図で
あって、１は便器、２は便座である。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】便器に対して便座を上下移動自在に設け、
   便座を上下移動させる昇降手段を便器の近傍に設け、先
   端部に昇降手段を制御するための操作スイッチを備える
   ひじ掛けアームを便座の側方に起倒自在に設けて成るこ
   とを特徴とする便所装置。
2. 【請求項２】便座が便器に対して上下動自在な支持体と
   支持体に載置自在な回動便座本体とで構成してあること
   を特徴とする特許請求の範囲第１項記載の便所装置。
3. 【請求項３】便座を上下移動する手段が油圧シリンダで
   あることを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の便所
   装置。