JPH07101831A - 養毛化粧料 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は養毛、育毛、脱毛予防、ふけ防止等
の効果に優れた養毛化粧料を提供することを目的として
いる。 【構成】 低分子量酸性ムコ多糖類及びその塩の少なく
とも一種と、γ−アミノ−β−ヒドロキシ酪酸及びその
塩の群から選択される少なくとも一種とを配合する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、毛母細胞を賦活し、育
毛効果及び養毛効果、脱毛予防、ふけ防止等の効果の優
れた養毛化粧料に関するものである。

【０００２】

【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来
より、種々の毛母細胞賦活作用又は血行促進作用を有す
る成分を配合してなる養毛化粧料が種々提案されてきた
が、これら提案された養毛化粧料はいずれももが、積極
的に育毛効果又は養毛効果を期待する程度に優れた養毛
料を得ることは困難であった。

【０００３】確かに、育毛、養毛、更には発毛効果まで
を期待するためには、毛母細胞賦活作用又は血行促進作
用を有する成分を養毛料に配合することが、適当なる技
術的条件であっても、それだけの技術的要素のみで、期
待する程度の発毛効果が発現するものではない。即ち、
毛包上皮に存在する毛母細胞、その周辺を真皮で取り囲
まれていて、頭皮内に存在する末梢毛細血管から滲出し
てくる毛母細胞賦活成分や毛母細胞の栄養素は、特に、
構造性糖蛋白とともに、線維性蛋白の間隙を埋めている
頭皮の基質成分である酸性ムコ多糖類、例えば、ヒアル
ロン酸、デルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸、ヘバラ
ン硫酸等の基質成分層を泳動して、毛母細胞に到達し、
毛母細胞内に取り込まれることによって、期待せる育
毛、養毛、更には発毛効果が発現するのである。

【０００４】しかるに若し、該基質成分である酸性ムコ
多糖類の上記成分の存在量及びその構成比に何らかの支
障を来した場合、当然、毛母細胞賦活成分や栄養素の基
質成分層での泳動にも影響し、育毛、養毛、発毛等の効
果が十分に発現しない。特に男性の壮年性脱毛症の頭皮
は、一般に表皮、真皮とも菲薄化していることが知られ
ており、また、円形脱毛症の患部皮膚は発症時には弛緩
傾向が見られるものの、治癒するには伴い段々と患部皮
膚に弾力性が復元し、発毛が認められるようになる。

【０００５】かかる頭皮真皮内の末梢毛細管血管と毛母
細胞との間に介在する基質成分を正常化し、毛母細胞賦
活成分や栄養素が毛母細胞内に円滑に取り込まれるよう
な成分を配合してなる養毛化粧料として充分に満足でき
るものは未だなかった。また、本発明者は、特公平１−
１３６８５号公報に記載のごとく、γ−アミノ−β−ヒ
ドロキシ酪酸を配合した皮膚化粧料は皮膚機能を亢進
し、皮膚の老化防止効果を有することが見いだし提案し
たが、養毛、脱毛予防、ふけ防止等の効果に著効を示す
養毛化粧料としては充分に満足できるものではなかっ
た。

【０００６】

【課題を解決するための手段】そこで、本発明者は、頭
皮の基質成分の正常化に資する酸性ムコ多糖類につい
て、鋭意研究を重ねた結果、後記特定の低分子の酸性ム
コ多糖類及びその塩の少なくとも一種と、γ−アミノ−
β−ヒドロキシ酪酸及びその誘導体の群より選択される
少なくとも一種とを併用し配合してなる養毛化粧料は、
本発明が目的とする育毛（マウス毛成長促進効果、ヒト
頭髪毛成長促進効果、ヒト頭髪毛成長促進効果）、養
毛、脱毛予防、ふけ防止等の効果に更に一層優れている
ことを見いだし、本発明を完成するに至った。

【０００７】本発明に配合される酸性ムコ多糖類及びそ
の塩は、平均分子量１０００〜９０００のヒアルロン
酸、平均分子量２０００〜９０００のコンドロイチン硫
酸、デルマタン硫酸及びヘパラン硫酸である低分子量酸
性ムコ多糖類及びその塩である。平均分子量が数万から
１００万という高分子量の酸性ムコ多糖類及びその塩で
あると、殆ど経皮吸収されず、本発明が目的とする育
毛、養毛、発毛等の効果が得られないのである。

【０００８】本発明に用いる酸性ムコ多糖類、即ちヒア
ルロン酸、デルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸、ヘパ
ラン硫酸等は公知の物質であって、軟骨、関節、眼球、
皮膚その他の結合組織に基質成分となって、蛋白質と結
合して動物体内に広く分布している。本発明に用いる低
分子の酸性ムコ多糖類及びその塩は、下記の如くして得
ることができる。

【０００９】（１）低分子量ヒアルロン酸及びその塩 平均分子量が１００万の市販されているヒアルロン酸５
ｇを、１００ｍｌの０．０２Ｎの塩酸水溶液に分散溶解
し、ｐＨ＝２〜 ３に調整して充分に攪拌しつつ温浴中
に６５℃に加温する。この加温処理時間を各々１２０分
から２００分に変えることにより、平均分子量が１００
０〜９０００のヒアルロン酸を得ることができる。次い
で、Ｎ−苛性ソーダで中和した後、該溶液を室温まで冷
却し、エタノール３倍容を加えて得られる沈殿物をエタ
ノールで洗浄した後、乾かして低分子ヒアルロン酸ナト
リウム塩の粉末を得た。また、この低分子ヒアルロン酸
ナトリウム塩を酸で処理して、例えば、カリウム塩、ト
リエタノールアミノ塩、Ｌ−アルギニン塩等の塩類を調
製する。

【００１０】 （２）低分子量コンドロイチン硫酸及びその塩 平均分子量が５万の市販されているコンドロイチン硫酸
ナトリウム５ｇを５０ｍｌの水に溶かし、アンバーライ
トＩＲ−１２０（Ｈ型）のレジンカラムに通して得られ
る流出液を充分に攪拌しつつ、温浴中で７５℃に加温す
る。この加温処理時間を１２０分から２００分に変える
ことにより、平均分子量が２０００〜９０００のコンド
ロイチン硫酸を得ることが出来る。次いで、Ｎ−苛性ソ
ーダで中和した後、該溶液を室温まで冷却し、エタノー
ル３倍容を加えて得られる沈殿物を遠心分離し、エタノ
ールで洗浄した後、乾かしてコンドロイチン硫酸ナトリ
ウム塩の粉末を得る。次いで、このコンドロイチン硫酸
ナトリウム塩を酸で処理して、例えば、カリウム塩、ト
リエタノールアミノ塩、Ｌ−アルギニン塩等の塩類を調
製する。また、低分子量デルマタン硫酸、低分子量ヘバ
ラン硫酸等についても、上記コンドロイチン硫酸の例と
同様の処理により、遊離状或いはそれぞれの塩類を調製
できる。尚、各処理時間により得られる酸性ムコ多糖類
の平均分子量の測定は、ソモギー／ネルソン（Ｓｏｍｏ
ｇｙｉ−Ｎｅｌｓｏｎ）法を用いた。

【００１１】更に、本発明が目的としている育毛、養
毛、脱毛予防、ふけ防止等の効果をより一層発揮させる
ため、併用する血行促進剤についてスクリーニングした
ところ、γ−アミノ−β−ヒドロキシ酪酸及びその塩が
最も本発明の目的として期待せる効果を示した。本発明
に用いるγ−アミノ−β−ヒドロキシ酪酸（以下、ＧＡ
Ｂ０Ｂと略記する）は公知の物質であって、脳動脈硬化
症の治療剤として適用されておる。また、ＧＡＢ０Ｂの
塩としては、苛性カリ、苛性ソーダ又は水酸化カルシウ
ム、水酸化マグネシウムのいずれかで中和して得たＧＡ
ＢＯＢのカリウム塩、同ナトリウム塩、同カルシウム
塩、同マグルシウム塩が適用される。

【００１２】本発明者は、養毛化粧料中に配合する上記
構成物質の相乗効果を最大限に発揮させる配合割合に関
して、種々探究した結果、（１）低分子量の酸性ムコ多
糖類及びその塩、（２）ＧＡＢＯＢ及びその塩のそれぞ
れの配合量の比率（重量比）は、（１）：（２）＝１：
０．０１〜１：１である場合が好ましく、本発明の目的
とする優れた効果が認められた。即ち、この（２）の血
行促進剤が毛包上皮に隣接する真皮内の抹消毛細血管の
血行を促進し、血液中に含まれている毛母細胞賦活成分
と毛母細胞の栄養素の真皮組織内への滲出を活発にし、
更に、（１）が毛包上皮を取り囲む基質成分の構成比を
改善することにより、毛母細胞の毛母細胞賦活成分等の
物質の取り込みを円滑に行わしめ、毛の生育を促進する
とともに、（１）の優れた包水能力が頭皮に適度な水の
付与と保留に貢献し、ふけ防止をも発現せしめるという
効果を奏し得たのである。また、当該養毛化粧料中の低
分子量の酸性ムコ多糖類及びその塩と、ＧＡＢＯＢ及び
その塩の配合量は、総量を基準として、（１）は０．０
１〜２．０重量％であればよく、各々の配合量の下限未
満では、本発明が目的とする効果が充分でなく、一方、
上限を越えても、その増加分に見合った効果の向上は望
めないものである。

【００１３】本発明の養毛化粧料には、上記の他に各種
油剤、色素、香料、防腐剤、界面活性剤、顔料、抗酸化
剤等を本発明の目的を達成する範囲内で適宜配合するこ
とができる。また、本発明の養毛化粧料は、オイリーヘ
アートニック、スカルプトリートメント、養毛ヘアーロ
ーション、養毛ヘアークリーム等に適用される。

【００１４】以下、本発明を実施例及び比較例に基づき
詳細に説明する。

【００１５】尚、マウス毛成長促進試験、ヒト頭髪毛成
長促進試験及び実用試験を下記に示す。 （１）マウス毛成長促進試験 ｄｄｙ系白色マウス（雄・６週令・平均体重３５ｇ）の
尾部よりの背部皮膚を電気バリカンで刈った後、脱毛ク
リームにより完全に除毛し、翌日より実施例及び比較例
の各試料を被験部皮膚に毎日朝夕２回、１匹当たり０．
１ｍｌ塗布した。１試料に対して動物は１群１０匹を使
用した。育毛効果の判定は、下記に示す判定基準による
肉眼判定の評価点と、毛長、毛重量を対照群と比較する
ことにより行った。即ち、実験開始後１４日目に動物を
屠殺し、判定基準により肉眼判定し、下記表１に基づき
評価点を求めた。更に、被験部位の皮膚を打ち抜き、乾
燥した後、毛重量を測定し、その中の２０本の毛の長さ
についても測定し、各々の平均値で示した。

【００１６】

【表１】

【００１７】（２）ヒト頭髪毛成長促進試験 男性型脱毛症患者である被試験者１０名の頭部の耳の上
５ｃｍの位置の頭部を左右２ケ所に於いて、直径１ｃｍ
の円形状に剃毛した被験部位に、実施例又は比較例の試
料を左側に毎日朝夕２回、約３ｍｌ塗布し、無処置の右
側と比較した。効果の判定は、試験開始後２０日目に、
左右の被験部位の毛髪各々２０本ずつ剃毛し、左側（実
施例又は比較例を塗布）の毛２０本の長さの平均値
（Ｂ）を、右側（無処置）の毛２０本の長さの平均値
（Ａ）で除した値を求めて評価した。判定結果は、被試
験者１０名の（Ｂ）／（Ａ）の平均値で示した。

【００１８】（３）実用試験 男性型脱毛症患者である被試験者２０名の頭部に朝夕２
回、連続５ケ月間試料を塗布した後の効果で評価した。
試験結果は、養毛効果、脱毛予防効果、ふけ防止効果の
各項目に対して、「生毛が剛毛化した或いは生毛が増加
した」、「脱毛が少なくなった」、「ふけが少なくなっ
た」と回答した人数で示した。

【００１９】実施例１〜７、比較例１〜８ 〔オイリーヘアートニック〕下記表２の原料組成におい
て、表３に記載の如く、ヒアルロン酸（以下、ＨＡと略
記する。以下同様）、ヒアルロン酸ナトリウム（ＨＡ−
Ｎａ）、コンドロイチン硫酸（Ｃｈｓ）、ヘバラン硫酸
（Ｈｐｓ）、コンドロイチン硫酸カリウム（Ｃｈｓ−
Ｋ）、コンドロイチン硫酸トリエタノールアミン（Ｃｈ
ｓ−Ｔ）、デルマタン硫酸（Ｄｓ）、デルマタン硫酸Ｌ
−アルギニン（Ｄｓ−Ａ）並びにＧＡＢＯＢ、ＧＡＢＯ
Ｂナトリウム塩（ＧＡＢＯＢ−Ｎａ）、ＧＡＢＯＢカリ
ウム塩（ＧＡＢＯＢ−Ｋ）、γ−アミノ酪酸（ＧＡＢ
Ａ）等を所定量配合して、各々のオイリーヘアートニッ
クを調製し、前記の諸試験を実施した。

【００２０】（１）組成

【表２】

【００２１】（２）調製法 （Ｂ）成分に（Ｃ）成分を混合溶解した溶液に、更に
（Ｄ）成分を均一に混合溶解し、この溶液に（Ａ）成分
を攪拌しつつ均一に混合分散し、次いで容器に充填す
る。これらのオイリーヘアートニックの使用時には内容
物を均一に振盪分散して使用する。

【００２２】（３）特性 各オイリーヘアートニックの諸試験を実施した結果を表
３に記載した。比較例１〜７のヒアルロン酸等の酸性ム
コ多糖類及びその塩の一種と、ＧＡＢＯＢ及びその塩の
一種とを併用配合していないオイリーヘアートニックに
比較して、本発明の実施例１〜７のオイリーヘアートニ
ックは諸試験において明らかに良好な効果が認められ
た。また、ＧＡＢＯＢの代わりにγ−アミノ酪酸（ＧＡ
ＢＡ）と、低分子量ヒアルロン酸ナトリウム塩とを併用
した比較例８（特公平５−３８７２６）は効果が劣っお
り、本発明のヒアルロン酸等の酸性ムコ多糖類及びその
塩の一種と、ＧＡＢＯＢ及びその塩の一種とを併用配合
したものが、良好な効果を示した。

【００２３】

【表３】

【００２４】実施例８〜１２、比較例９〜１６ 〔ヘアークリーム〕実施例１と同様にして、下記表４の
組成にて各々のヘアークリームを調製して諸試験を実施
し、その結果を表５に示す。

【００２５】

【表４】

【００２６】（２）調製法 （Ｃ）成分と（Ｄ）成分を（Ｂ）成分中に配合し、
（Ａ）と（Ｂ）成分を各々温度８０℃に加熱溶解したも
のを混合した後、攪拌しつつ冷却して温度５０℃になっ
たところで（Ｅ）成分を加え、更に温度を３０℃まで攪
拌を続けて各ヘアークリームを調製した。

【００２７】（３）特性 表５に示すが如く、本発明の養毛化粧料である実施例８
〜１２のヘアークリームは比較例９〜１６と比較して諸
特性に於いて優れていることが明らかに認められた。

【００２８】

【表５】

【００２９】

【発明の効果】以上記載の如く、本発明が、育毛効果及
び養毛効果、脱毛予防、ふけ防止等の効果の優れた有用
なる養毛化粧料を提供することは明らかである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 平均分子量１０００〜９０００のヒアロ
   ン酸、平均分子量２０００〜９０００のコンドロイチン
   硫酸、デルマタン硫酸及びヘパラン硫酸の低分子量酸性
   ムコ多糖類及びその塩の群から選択される少なくとも一
   種と、γ−アミノ−β−ヒドロキシ酪酸及びその塩の少
   なくとも一種とを配合したことを特徴とした養毛化粧
   料。