JPH07101311B2 - 感光性マイクロカプセル及び感光材料 - Google Patents

感光性マイクロカプセル及び感光材料

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JPH07101311B2
JPH07101311B2 JP63277622A JP27762288A JPH07101311B2 JP H07101311 B2 JPH07101311 B2 JP H07101311B2 JP 63277622 A JP63277622 A JP 63277622A JP 27762288 A JP27762288 A JP 27762288A JP H07101311 B2 JPH07101311 B2 JP H07101311B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の分野] 本発明は、感光性マイクロカプセルおよびこれを用いて
なる感光材料に関する。更に詳しくは、本発明はハロゲ
ン化銀および重合性化合物を含む感光性マイクロカプセ
ルおよびこれを用いてなる感光材料に関する。
[発明の背景] ハロゲン化銀の潜像が形成された部分において、還元剤
の作用により重合性化合物を重合させて画像を形成する
方法に利用される感光材料が、特公昭45-11149号、同47
-20741号、同49-10697号、特開昭57-138632号、および
同58-169143号等の各公報に記載されている画像形成方
法において開示されている。
また、上記改良として、乾式処理で高分子化合物を形成
することができる方法が提案されている(特開昭61-690
62号、あるいは同61-73145号公報)。これらの方法は、
感光性銀塩(ハロゲン化銀)、還元剤、架橋性化合物
(重合性化合物)に、更にバインダーあるいは色画像形
成物質が構成成分に含まれてなる感光層を支持体上に担
持してなる記録材料(感光材料)を像様露光して潜像を
形成させたのち、これを加熱することにより、潜像が形
成された部分に重合物(重合性化合物)を重合させる方
法である。
なお、ハロゲン化銀の潜像が形成されない部分の重合性
化合物を重合させることができる方法も既に知られてい
る(特開昭61-260241号公報)。この方法は、ハロゲン
化銀の潜像が形成された部分の重合を抑制すると同時
に、他の部分(潜像が形成されていない領域)にて重合
を促進させる方法である。
上記構成の感光材料を利用する画像形成方法において
は、上述のように感光材料上に高分子化合物を像様に形
成させた後、更に該感光材料を受像層を有する受像材料
に重ね合せ、この状態で加圧し、未重合の重合性化合物
を受像材料に転写し、受像材料上に転写画像を得るとい
う方法が一般に利用される。また、上記画像形成方法に
おいては、ハロゲン化銀および重合性化合物がマイクロ
カプセルに収容されてなる感光材料(特開昭61-275742
号および同61-278849号公報)が好ましく用いられる。
マイクロカプセルの導入により良好な画像が得られる。
上記マイクロカプセルの壁材には種々の樹脂が使用でき
る。なかでも、ポリウレア樹脂および/またはポリウレ
タン樹脂は比較的弾力性に富み、また、緻密性、強靱さ
なども有しており、保存性を向上させる、あるいは取扱
いを容易にさせる等の理由から上記感光材料の製造に好
ましく用いられる(例えば、特開昭62-209438号公報参
照)。
しかしながら、本発明者の検討によると、上記のポリイ
ソシアナート化合物の樹脂化により形成した外殻からな
るマイクロカプセルを含む感光材料を利用して上記画像
形成方法を実施した場合には、転写画像の画像部(最高
濃度部)の濃度が低下したり、あるいは白地部(バック
グランド;最低濃度部)が着色し、画像全体のコントラ
ストが低下する場合があった。
[発明の要旨] 本発明は、コントラストの良好な画像を与える感光材料
の製造に好適に利用できる感光性マイクロカプセルを提
供することを目的とする。
特に、本発明は、加熱現像時にカプセルに含まれる内容
物(芯物質)のしみ出しを抑制し、コントラストの高い
画像を得ることができる感光材料を提供することを目的
とする。
本発明は、ハロゲン化銀、還元剤および重合性化合物を
含む芯物質の周囲に、イソシアナート成分としてイソホ
ロンジイソシアナートまたはテトラメチルキシリレンジ
イソシアナートを用いたポリウレアおよび/またはポリ
ウレタン樹脂からなる外殻が形成されてなる感光性マイ
クロカプセルを提供する。
また、本発明は、支持体上に、ハロゲン化銀、還元剤お
よび重合性化合物を含む感光層を有し、かつハロゲン化
銀、還元剤および重合性化合物がマイクロカプセルに収
容されており、該マイクロカプセルの外殻が、イソシア
ナート成分としてイソホロンジイソシアナートまたはテ
トラメチルキシリレンジイソシアナートを用いたポリウ
レアおよび/またはポリウレタン樹脂壁からなる感光材
料を提供する。
本発明の感光性マイクロカプセルおよび感光材料は以下
の態様であることが好ましい。
(1) イソホロンジイソシアナートまたはテトラメチ
ルキシリレンジイソシアナートが芯物質に対して2乃至
50重量%用いられている。
(2) 上記樹脂が、上記のイソシアナートと、水又は
ポリアミンから生成されたポリウレア樹脂である。
(3) 該還元剤がフェノール性化合物である。
(4) 該還元剤がヒドラジン化合物である。
(5) 上記芯物質中にカブリ防止剤が含まれており、
該カブリ防止剤が5員または6員の含窒素複素環化合
物、あるいはチオール誘導体である。
(6) 上記芯物質中に色画像形成物質が含まれてい
る。
(7) 上記感光性マイクロカプセルの平均粒子サイズ
が0.5乃至50μmである。
[発明の効果] 本発明者の研究によれば、前述のポリウレアおよび/ま
たはポリウレタン樹脂製の外殻からなるマイクロカプセ
ル(特開昭62-209438号公報)は、外殻形成材料として
トリレンジイソシアナートあるいはジフェニルメタンジ
イソシアナート等の芳香族イソシアナート(イソシアナ
ートモノマー)を使用して調製した場合でも、所望の高
いガラス転移点を有する樹脂壁が得られないことがわか
った。これらのイソシアナートは反応性が高い故に、外
殻形成時にカプセルの内容物(重合性化合物あるいは還
元剤などの有する官能基)と反応しやすく、従って、調
製された樹脂のガラス転移点は本来形成されるべきガラ
ス転移点よりかなり低下してしまうためであると考えら
れる。このため、上記の画像像形成方法における熱現像
温度(通常の加熱温度110〜155℃)で現像処理を行なっ
た場合には、カプセル壁が緩み、カプセル中に含まれて
いる芯物質(重合性化合物等)がしみ出しやすいことが
判明した。特に、現像処理時間の短縮のため、現像処理
温度を通常より高く設定して(140〜180℃)現像処理を
行なった場合には、更に上記しみ出しが助長される傾向
にあった。そしてこれらのことが、前述した画像のコン
トラストを低下させる原因であることもわかった。
マイクロカプセルを本発明に従うイソホロンジイソシア
ナートまたはテトラメチルキシリレンジイソシアナート
を使用して調製した場合には、壁形成時に内容物との反
応が回避されて(イソホロンジイソシアナートおよびテ
トラメチルキシリレンジイソシアナートは、脂肪族鎖式
イソシアナートより反応性は低い)、ガラス転移点の高
い樹脂壁を調製できることがわかった。従って、このよ
うにして調製されたカプセルを感光材料に使用すること
により、高温で熱現像を行なった場合でもカプセル中の
モノマーのしみ出しが抑えられ、短時間の現像処理で鮮
明な画像を得ることができる。
[発明の詳細な記述] 本発明の感光性マイクロカプセルの外殻は、イソシアナ
ート成分としてイソホロンジイソシアナートまたはテト
ラメチルキシリレンジイソシアナートを用いたポリウレ
アおよび/またはポリウレタン樹脂からなる。
前述したようにイソホロンジイソシアナートおよびテト
ラメチルキシリレンジイソシアナートは、ヘキサメチレ
ンジイソシアナート等の脂肪族鎖式イソシアナートより
反応速度は遅い。なお、反応性は例えば、試験管にイソ
シアナート液、その上に水を注ぎ、これを約40〜50℃に
加熱し反応が進行して溶液の白濁(樹脂化)の進行する
速度を比較することにより確認することができる。
上記のイソシアナートは、公知の方法で変性して本発明
のカプセルの調製に使用することができる。例えば、ト
リメチロールプロパン、トリエタノールプロパンおよび
ヘキサントリオールなどが付加して生成したアダクト
体、尿素結合と反応したビュレット変性体を挙げること
ができる。
以下に、本発明に好ましく使用することができるイソシ
アナートのアダクト体およびビュレット変性体を例示す
る。
(なお、上記式(3)および(4)において、−C(CH3)
2NCO基は、メタまたはパラ位にある。) 本発明に係るイソシアナートのアダクト体およびビュレ
ット変性体は、住友バイエルウレタン(株)、武田薬品
工業(株)、および三井東圧(株)などで市販されてい
る。
本発明の感光性マイクロカプセルは、上記のイソシアナ
ートを使用して、例えば、以下の方法で製造するこがで
きる。
後述する感光性ハロゲン化銀、還元剤と重合性化合物、
あるいは必要に応じて色画像形成物質などの芯物質から
なる疎水性液体(以下、感光性組成物)を調製したの
ち、該組成物に前記のイソシアナートを溶解させる。次
いで、得られた混合物を水またはポリアミンを含む水性
媒体に微小滴に分散して分散液を調製する。なお、この
分散液には、イソシアナートと水あるいはポリアミンと
の間の縮重合反応を促進させる触媒(例えば、ジブチル
スズジラウレート等)を存在させることもできる。
上記のように調製した分散液を40〜90℃の範囲の温度で
加熱すると、微小滴の界面にイソシアナートと水あるい
はポリアミンとの反応生成物のポリウレア樹脂が形成さ
れる。
上記のような感光性マイクロカプセルの外殻の形成に利
用されるポリアミンの例を以下に記載する。
ポリアミンの例としては、エチレンジアミン、トリメチ
レンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレ
ンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、p−フェニレン
ジアミン、m−フェニレンジアミン、ピペラジン、2−
メチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、2−ヒ
ドロキシトリメチレンジアミン、ジエチレンジアミン、
トリエチレンテトラアミン、ジエチルアミノプロピルア
ミン、テトラエチレンペンタアミン、エポキシ化合物の
アミン付加物などを挙げることができる。
なお、ポリウレア樹脂を外殻材料とするマイクロカプセ
ルの製造方法は既に各種知られており、それらのいずれ
の方法も本発明の感光性マイクロカプセルの製造のため
に利用することができる。
本発明において、上記イソシアナートは上記芯物質に対
して2乃至50重量%の範囲(更に好ましくは4乃至30重
量%の範囲)で使用される。また、本発明のマイクロカ
プセルを調製する際には上記のイソシアナートのみで構
成することが特に好ましいが、前述した特開昭62-20943
8号公報に記載のイソシアナートモノマーと併用するこ
ともできる。この場合、本発明に係るイソシアナートの
使用量は、全イソシアナートの使用量に対して30重量%
以上であることが好ましく、更に好ましくは50重量%以
上である。
なお、本発明のイソシアナートを使用して調製されるマ
イクロカプセルの樹脂壁の調製に際して、ポリオール、
ポリアミドを使用することもできる。これによりマイク
ロカプセルを複合樹脂壁(二層構造からなる樹脂壁を含
む)とすることができる。また、本発明に係るイソシア
ナートを利用して調製した樹脂壁(内側の層)の周囲
に、更にメラミン・ホルムアルデヒド樹脂あるいは尿素
・ホルムアルデヒド樹脂(外側の層)を形成させて二層
構造とすることもできる。外側の層にメラミン・ホルム
アルデヒド樹脂を利用して調製したカプセルについて
は、例えば、米国特許第4,353,809号明細書、特開昭56-
102935号および同62-209439号公報、そして特願昭62-10
5099号および同63-152778号明細書に記載されている。
また、外側の層に尿素・ホルムアルデヒド樹脂を利用し
て調製したカプセルについては、例えば、特開昭55-119
438号および同62-209438号公報に記載されている。
ハロゲン化銀と重合性化合物とを芯物質の疎水性液体に
導入する場合、ハロゲン化銀は通常、水を分散媒体とし
た乳剤(ハロゲン化銀乳剤)として製造した後、これを
疎水性溶媒と混合する方法が一般的に利用される。ハロ
ゲン化銀乳剤の水媒体はマイクロカプセル製造用の乳化
分散液の調製時において分散媒の水相に移るため、得ら
れる感光性マイクロカプセルの芯の内部には水分は殆ど
存在しない。また、前述のように、ハロゲン化銀乳剤の
水媒体の水相への移動に際して、ハロゲン化銀粒子は芯
物質相(油性相)から分散媒体相(水性相)へと水に伴
なわれて移動する傾向があるため、ハロゲン化銀は芯物
質相と分散媒体相との界面付近に集まる傾向にある。従
って、ハロゲン化銀乳剤を利用してハロゲン化銀を芯物
質中に導入する場合には、ハロゲン化銀粒子は外殻の付
近あるいは外殻の内部に高い濃度で存在することが多
い。ハロゲン化銀粒子は上記のような位置にあると露光
が容易となり感度は向上するため好ましい。
芯物質中へのハロゲン化銀粒子の導入は、上記のような
ハロゲン化銀乳剤としてではなく、ハロゲン化銀粒子が
有機溶媒中に分散された分散液として実施してもよい。
あるいは、粉末として得たハロゲン化銀粒子を重合性化
合物と単に混合する方法を利用することも可能である。
上記のような方法で得られた感光性マイクロカプセルを
含む水性液からは、水性溶媒を蒸発、あるいは濾過、遠
心分離等の公知の分離方法を利用して、感光性マイクロ
カプセルを分離することができる。
以上のようにして得られるマイクロカプセルの平均粒子
サイズは、0.5乃至50μmの範囲にあることが好まし
く、更に好ましくは2乃至15μmの範囲である。マイク
ロカプセルの粒子サイズ分布は、特開昭63-5334号公報
記載の感光材料のように、一定値以上に均一に分布して
いることが好ましい。また、マイクロカプセルの膜厚
は、特開昭63-81336号公報記載の感光材料のように、粒
子径に対して一定の値の範囲内にあることが好ましい。
また、マイクロカプセルにハロゲン化銀を収容する場合
は、ハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズをマイクロカプ
セルの平均サイズの5分の1以下とすることが好まし
く、10分の1以下とすることがさらに好ましい。ハロゲ
ン化銀粒子の平均粒子サイズをマイクロカプセルの平均
サイズの5分の1以下とすることによって、均一でなめ
らかな画像を得ることができる。
本発明の感光材料は、前述のように調製した感光性マイ
クロカプセルを含む感光層を支持体上に有するものであ
る。本発明の感光材料は、ハロゲン化銀、還元剤および
重合性化合物のうち、該ハロゲン化銀および重合性化合
物を感光性マイクロカプセルに含む感光層を支持体上に
有する構成を有する。
以下に、第一の態様を中心に説明する。
感光材料には、ハロゲン化銀として、塩化銀、臭化銀、
沃化銀あるいは塩臭化銀、塩沃化銀、沃臭化銀、塩沃臭
化銀のいずれの粒子も用いることができる。
ハロゲン化銀粒子のハロゲン組成は、表面と内部とが均
一であっても不均一であってもよい。表面と内部で組成
の異なった多重構造を有するハロゲン化銀粒子について
は、特開昭57-154232号、同58-108533号、同59-48755
号、同59-52237号各公報、米国特許第4433048号および
欧州特許第100984号各明細書に記載がある。また、特開
昭62-183453号公報記載の感光材料のように、シェル部
分の沃化銀の比率が高いハロゲン化銀粒子を用いてもよ
い。
ハロゲン化銀粒子の晶癖についても特に制限はない。例
えば、特開昭62-210455号公報記載の感光材料のよう
に、アスペクト比が3以上の平板状粒子を用いてもよ
い。
なお、上記ハロゲン化銀粒子としては、特開昭63-68830
号公報記載の感光材料のように、比較的低カブリ値のハ
ロゲン化銀粒子を用いることが好ましい。
感光材料に用いるハロゲン化銀には、ハロゲン組成、晶
癖、粒子サイズ等が異なった二種以上のハロゲン化銀粒
子を併用することもできる。
ハロゲン化銀粒子の粒子サイズ分布についても特に制限
はない。例えば、特開昭62-210448号公報記載の感光材
料のように、粒子サイズ分布がほぼ均一である単分散の
ハロゲン化銀粒子を用いてもよい。
感光材料において、ハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズ
は、0.001乃至5μmであることが好ましく、0.001乃至
2μmであることがさらに好ましい。
感光層に含まれるハロゲン化銀の量は、後述する任意の
成分である有機銀塩を含む銀換算で、0.1mg乃至10g/m2
の範囲とすることが好ましい。また、ハロゲン化銀のみ
の銀換算では、1g/m2以下とすることが好ましく、1mg乃
至500mg/m2とすることが特に好ましい。
感光材料に使用することができる還元剤は、ハロゲン化
銀を還元する機能および/または重合性化合物の重合を
促進(または抑制)する機能を有する。上記機能を有す
る還元剤としては、様々な種類の物質がある。上記還元
剤には、ハイドロキノン類、カテコール類、p−アミノ
フェノール類、p−フェニレンジアミン類、3−ピラゾ
リドン類、3−アミノピラゾール類、4−アミノ−5−
ビラゾロン類、5−アミノウラシル類、4,5−ジヒドロ
キシ−6−アミノピリミジン類、レダクトン類、アミノ
レダクトン類、o−またはp−スルホンアミドフェノー
ル類、o−またはp−スルホンアミドナフトール類、2
−スルホンアミドインダノン類、4−スルホンアミド−
5−ピラゾロン類、3−スルホンアミドインドール類、
スルホンアミドピラゾロベンズイミダゾール類、スルホ
ンアミドピラゾロトリアゾール類、α−スルホンアミド
ケトン類、ヒドラジン類等がある。上記還元剤の種類や
量等を調整することで、ハロゲン化銀の潜像が形成され
た部分、あるいは潜像が形成されない部分のいずれかの
部分の重合性化合物を重合させることができる。なお、
ハロゲン化銀の潜像が形成されない部分の重合性化合物
を重合させる系においては、還元剤として1−フェニル
−3−ピラゾリドン類を用いることが特に好ましい。
なお、上記機能を有する各種還元剤については、特開昭
61-183640号、同61-188535号、同61-228441号の各公
報、および、特開昭62-70836号、同62-86354号、同62-8
6355号、特願昭60-227528号、特開昭62-198849号等の公
報及び明細書に記載(現像薬またはヒドラジン誘導体と
して記載のものを含む)がある。また上記還元剤につい
ては、T.James著“The Theory of the Photographic Pr
ocess"第四版、291〜334頁(1977年)、リサーチ・ディ
スクロージャー誌Vol.170, 1978年6月の第17029号(9
〜15頁)、および同誌Vol.176, 1978年12月の第17643号
(22〜31頁)にも記載がある。また、特開昭62-210446
号公報記載の感光材料のように、還元剤に代えて加熱条
件下あるいは塩基との接触状態等において還元剤を放出
することができる還元剤前駆体を用いてもよい。本明細
書における感光材料にも、上記各公報、明細書および文
献記載の還元剤および還元剤前駆体が有効に使用でき
る。よって、本明細書における『還元剤』には、上記各
公報、明細書および文献記載の還元剤および還元剤前駆
体が含まれる。これらの還元剤は、単独で用いてもよい
が、上記明細書にも記載されているように、二種以上の
還元剤を混合して使用してもよい。二種以上の還元剤を
併用する場合における、還元剤の相互作用としては、第
一に、いわゆる超加成性によってハロゲン化銀(および
/または有機銀塩)の還元を促進すること、第二に、ハ
ロゲン化銀(および/または有機銀塩)の還元によって
生成した第一の還元剤の酸化体が共存する他の還元剤と
の酸化還元反応を経由して重合性化合物の重合を引き起
こすこと(または重合を抑制すること)等が考えられ
る。ただし、実際の使用時においては、上記のような反
応は同時に起こり得るものであるため、いずれの作用で
あるかを特定することは困難である。
上記還元剤の具体例としては、ペンタデシルハイドロキ
ノン、5−t−ブチルカテコール、p−(N,N−ジエチ
ルアミノ)フェノール、1−フェニル−4−メチル−4
−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル
−4−メチル−4−ヘプタデシルカルボニルオキシメチ
ル−3−ピラゾリドン、2−フェニルスルホニルアミノ
−4−ヘキサドデシルオキシ−5−t−オクチルフェノ
ール、2−フェニルスルホニルアミノ−4−t−ブチル
−5−ヘキサドデシルオキシフェノール、2−(N−ブ
チルカルバモイル)−4−フェニルスルホニルアミノナ
フトール、2−(N−メチル−N−オクタデシルカルバ
モイル)−4−スルホニルアミノナフトール、1−アセ
チル−2−フェニルヒドラジン、1−アセチル−2−
{(pまたはo)−アミノフェニル}ヒドラジン、1−
ホルミル−2−{(pまたはo)−アミノフェニル}ヒ
ドラジン、1−アセチル−2−{(pまたはo)−メト
キシフェニル}ヒドラジン、1−ラウロイル−2−
{(pまたはo)−アミノフェニル}ヒドラジン、1−
トリチル−2−(2,6−ジクロロ−4−シアノフェニ
ル)ヒドラジン、1−トリチル−2−フェニルヒドラジ
ン、1−フェニル−2−(2,4,6−トリクロロフェニ
ル)ヒドラジン、1−{2−(2,5−ジ−t−ペンチル
フェノキシ)ブチロイル}−2−{(pまたはo)−ア
ミノフェニル}ヒドラジン、1−{2−(2,5−ジ−t
−ペンチルフェノキシ)ブチロイル}−2−{(pまた
はo)−アミノフェニル}ヒドラジン・ペンタデシルフ
ルオロカプリル酸塩、3−インダゾリノン、1−(3,5
−ジクロロベンゾイル)−2−フェニルヒドラジン、1
−トリチル−2−[{2−N−ブチル−N−オクチルス
ルファモイル)−4−メタンスルホニル}フェニル]ヒ
ドラジン、1−{4−(2,5−ジ−t−ペンチルフェノ
キシ)ブチロイル}−2−{(pまたはo)−メトキシ
フェニル}ヒドラジン、1−(メトキシカルボニルベン
ゾヒドリル)−2−フェニルヒドラジン、1−ホルミル
−2−[4−{2−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキ
シ)ブチルアミド}フェニル]ヒドラジン、1−アセチ
ル−2−[4−{2−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノ
キシ)ブチルアミド}フェニル]ヒドラジン、1−トリ
チル−2−[{2,6−ジクロロ−4−(N,N−ジ−2−エ
チルヘキシル)カルバモイル}フェニル]ヒドラジン、
1−(メトキシカルボニルベンゾヒドリル)−2−(2,
4−ジクロロフェニル)ヒドラジン、1−トリチル−2
−[{2−(N−エチル−N−オクチルスルファモイ
ル)−4−メンタスルホニル}フェニル]ヒドラジン、
1−ベンゾイル−2−トリチルヒドラジン、1−(4−
ブトキシベンゾイル)−2−トリチルヒドラジン、1−
(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2−トリチルヒドラ
ジン、1−(4−ジブチルカルバモイルベンゾイル)−
2−トリチルヒドラジン、および1−(1−ナフトイ
ル)−2−トリチルヒドラジン等を挙げることができ
る。
感光材料において、上記還元剤は銀1モル(前述したハ
ロゲン化銀および任意の成分である有機銀塩を含む)に
対して0.1乃至1500モル%の範囲で使用することが好ま
しい。
感光材料に使用できる重合性化合物は、特に制限はなく
公知の重合性化合物を使用することができる。なお、感
光材料の使用方法として、熱現像処理を予定する場合に
は、加熱時に揮発しにくい高沸点(例えば、沸点が80℃
以上)の化合物を使用することが好ましい。また、感光
層が後述する任意の成分として色画像形成物質を含む態
様は、重合性化合物の重合硬化により色画像形成物質の
不動化を図るものであるから、重合性化合物は分子中に
複数の重合性官能基を有する架橋性化合物であることが
好ましい。また、後述するように、受像材料を用いて転
写画像を形成する場合には、特願昭61-150079号明細書
記載の感光材料のように、重合性化合物として高粘度の
物質を用いることが好ましい。
なお、感光材料に用いることができる重合性化合物につ
いては、前述および後述する一連の感光材料に関する出
願明細書中に記載がある。
感光材料に使用される重合性化合物は、一般に付加重合
性または開環重合性を有する化合物である。付加重合性
を有する化合物としてはエチレン性不飽和基を有する化
合物、開環重合性を有する化合物としてはエポキシ基を
有する化合物等があるが、エチレン性不飽和基を有する
化合物が特に好ましい。
感光材料に使用することができるエチレン性不飽和基を
有する化合物には、アクリル酸およびその塩、アクリル
酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸および
その塩、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド
類、無水マレイン酸、マレイン酸エステル類、イタコン
酸エステル類、スチレン類、ビニルエーテル類、ビニル
エステル類、N−ビニル複素環類、アリルエーテル類、
アリルエステル類およびそれらの誘導体等がある。
感光材料に使用することができる重合性化合物の具体例
としては、アクリル酸エステル類に関し、n−ブチルア
クリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチル
ヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、フルフ
リルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレー
ト、ジシクロヘキシルオキシエチルアクリレート、ノニ
ルフェニルオキシエチルアクリレート、ヘキサンジオー
ルジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ネ
オペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロール
プロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテト
ラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリ
レート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、
ポリオキシエチレン化ビスフェノールAのジアクリレー
ト、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオンアルデ
ヒドとトリメチロールプロパン縮合物のジアクリレー
ト、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオンアルデ
ヒドとペンタエリスリトール縮合物のトリアクリレー
ト、ヒドロキシポリエーテルのポリアクリレート、ポリ
エステルアクリレートおよびポリウレタンアクリレート
等を挙げることができる。
また他の具体例としては、メタクリル酸エステル類に関
し、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、エ
チレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジ
メタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレ
ート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペ
ンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリス
リトールテトラメタクリレートおよびポリオキシアルキ
レン化ビスフェノールAのジメタクリレート等を挙げる
ことができる。
上記重合性化合物は、単独で使用しても二種以上を併用
してもよい。二種以上の重合性化合物を併用した感光材
料については、特開昭62-210445号公報に記載がある。
なお、前述した還元剤または後述する任意の成分である
色画像形成物質の化学構造にビニル基やビニリデン基等
の重合性官能基を導入した物質も重合性化合物として使
用できる。上記のように還元剤と重合性化合物、あるい
は色画像形成物質と重合性化合物を兼ねた物質の使用も
感光材料の態様に含まれることは勿論である。
感光材料において、重合性化合物は、ハロゲン化銀1重
量部に対して5乃至12万重量部の範囲で使用することが
好ましい。より好ましい使用範囲は、12乃至12000重量
部である。
感光材料は、以上述べたような成分を含む感光層を支持
体上に設けてなるものである。この支持体に関しては特
に制限はないが、感光材料の使用方法として熱現像処理
を予定する場合には、現像処理の処理温度に耐えること
のできる材料を用いることが好ましい。支持体に用いる
ことができる材料としては、ガラス、紙、上質紙、コー
ト紙、キャストコート紙、合成紙、金属およびその類似
体、ポリエステル、アセチルセルロース、セルロースエ
ステル、ポリビニルアセタール、ポリスチレン、ポリカ
ーボネート、ポリエチレンテレフタレート等のフィル
ム、および樹脂材料やポリエチレン等のポリマーによっ
てラミネートされた紙等を挙げることができる。
なお、支持体が紙等の多孔性の材料からなる場合は、特
開昭62-209529号公報記載の感光材料に用いられている
支持体のように、うねりによる規定方法に従う一定の平
滑度を有していることが好ましい。また、紙支持体を用
いる場合には、特開昭63-38934号公報記載の感光材料の
ように吸水度の低い紙支持体、特開昭63-47754号公報記
載の感光材料のように一定のベック平滑度を有する紙支
持体、特開昭63-81339号公報記載の感光材料のように収
縮率が低い紙支持体、特開昭63-81340号公報記載の感光
材料のように透気性が低い紙支持体、特開昭63-97941号
公報記載の感光材料のようにpH値が5乃至9である紙支
持体等を用いることもできる。
以下、感光材料の様々な態様、感光層中に含ませること
ができる任意の成分、および感光材料に任意に設けるこ
とができる補助層等について順次説明する。
感光材料の感光層に含ませることができる任意の成分と
しては、色画像形成物質、増感色素、有機銀塩、ラジカ
ル発生剤、各種画像形成促進剤、熱重合防止剤、熱重合
開始剤、現像停止剤、けい光増白剤、退色防止剤、ハレ
ーションまたはイラジエーション防止用染料または顔
料、加熱または光照射により脱色する性質を有する色
素、マット剤、スマッジ防止剤、可塑剤、水放出剤、バ
インダー、光重合開始剤、重合性化合物の溶剤、水溶性
ビニルポリマー等がある。
感光材料は前述した感光層の構成によりポリマー画像を
得ることができるが、任意の成分として色画像形成物質
を感光層に含ませることで色画像を形成することもでき
る。
感光材料に使用できる色画像形成物質には特に制限はな
く、様々な種類のものを用いることができる。すなわ
ち、それ自身が着色している物質(染料や顔料)や、そ
れ自身は無色あるいは淡色であるが外部よりのエネルギ
ー(加熱、加圧、光照射等)や別の成分(顕色剤)の接
触により発色する物質(発色剤)も色画像形成物質に含
まれる。なお、色画像形成物質を用いた感光材料一般に
ついては、前述した特開昭61-73145号公報に記載があ
る。また、色画像形成物質として染料または顔料を用い
た感光材料については特開昭62-187346号公報に、ロイ
コ色素を用いた感光材料については特開昭62-209436号
公報に、トリアゼン化合物を用いた感光材料については
特開昭62-251741号公報に、イエロー発色系ロイコ色素
を用いた感光材料については特開昭62-288827号および
同62-288828号公報に、シアン発色系ロイコ色素を用い
た感光材料については、特開昭63-53542号公報に、それ
ぞれ記載がある。それ自身が着色している物質である染
料や顔料は、市販のものの他、各種文献等(例えば「染
料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊、「最新顔
料便覧」日本顔料技術協会編集、昭和52年刊)に記載さ
れている公知のものが利用できる。これらの染料または
顔料は、溶解ないし分散して用いられる。
一方、加熱や加圧、光照射等、何らかのエネルギーによ
り発色する物質の例としてはサーモクロミックス化合
物、ピエゾクロミック化合物、ホトクロミック化合物お
よびトリアリールメタン染料やキノン系染料、インジゴ
イド染料、アジン染料等のロイコ体などが知られてい
る。これらはいずれも加熱、加圧、光照射あるいは空気
酸化により発色するものである。
別の成分と接触することにより発色する物質の例として
は二種以上の成分の間の酸塩基反応、酸化還元反応、カ
ップリング反応、キレート形成反応等により発色する種
々のシステムが包含される。例えば、森賀弘之著『入門
・特殊紙の化学』(昭和50年刊行)に記載されている感
圧複写紙(29〜58頁)、アゾグラフィー(87〜95頁)、
化学変化による感熱発色(118〜120頁)等の公知の発色
システム、あるいは近畿化学工業会主催セミナー『最新
の色素化学−機能性色素としての魅力ある活用と新展開
−』の予稿集26〜32頁、(1980年6月19日)に記載され
た発色システム等を利用することができる。具体的に
は、感圧紙に利用されているラクトン、ラクタム、スピ
ロピラン等の部分構造を有する発色剤と酸性白土やフェ
ノール類等の酸性物質(顕色剤)からなる発色システ
ム;芳香族ジアゾニウム塩やジアゾタート、ジアゾスル
ホナート類とナフトール類、アニリン類、活性メチレン
類等のアゾカップリング反応を利用したシステム;ヘキ
サメチレンテトラミンと第二鉄イオンおよび没食子酸と
の反応やフェノールフタレイン−コンプレクソン類とア
ルカリ土類金属イオンとの反応などのキレート形成反
応;ステアリン酸第二鉄とピロガロールとの反応やベヘ
ン酸銀と4−メトキシ−1−ナフトールの反応などの酸
化還元反応などが利用できる。
色画像形成物質は、重合性化合物100重量部に対して0.5
乃至20重量部の割合で用いることが好ましく、2乃至7
重量部の割合で用いることがさらに好ましい。また、顕
色剤が用いられる場合は、発色剤1重量部に対して0.3
乃至80重量部の割合で用いることが好ましい。
なお、以上のべたような色画像形成物質として、接触状
態において発色反応を起す二種類の物質を用いる場合
は、上記発色反応を起す物質のうち一方の物質および重
合性化合物をマイクロカプセル内に収容し、上記発色反
応を起す物質のうち他の物質を重合性化合物を収容して
いるマイクロカプセルの外に存在させることにより感光
層上に色画像を形成することができる。上記のように受
像材料を用いずに色画像が得られる感光材料について
は、特開昭62-209444号公報に記載がある。
感光材料に使用することができる増感色素は、特に制限
はなく、写真技術等において公知のハロゲン化銀の増感
色素を用いることができる。上記増感色素には、メチン
色素、シアニン色素、メロシアニン色素、複合シアニン
色素、ホロポーラーシアニン色素、ヘミシアニン色素、
スチリル色素およびヘミオキソノール色素等が含まれ
る。これらの増感色素は単独で使用してもよいし、これ
らを組合せて用いてもよい。特に強色増感を目的とする
場合は、増感色素を組合わせて使用する方法が一般的で
ある。また、増感色素と共に、それ自身分光増感作用を
持たない色素、あるいは可視光を実質的に吸収しないが
強色増感を示す物質を併用してもよい。増感色素の添加
量は、一般にハロゲン化銀1モル当り10-8乃至10-2モル
程度である。
上記増感色素は、後述するハロゲン化銀乳剤の調製段階
において添加することが好ましい。増感色素をハロゲン
化銀粒子の形成段階において添加して得られた感光材料
については、特開昭62-947号公報に、増感色素をハロゲ
ン化銀粒子の形成後のハロゲン化銀乳剤の調製段階にお
いて添加して得られた感光材料については、特開昭62-2
10449号公報にそれぞれ記載がある。また、感光材料に
用いることができる増感色素の具体例についても、上記
特開昭62-947号公報および同62-210449号公報に記載さ
れている。また、特願昭61-208786号明細書記載の感光
材料のように、赤外光感光性の増感色素を併用してもよ
い。
感光材料において有機銀塩の添加は、熱現像処理におい
て特に有効である。すなわち、80℃以上の温度に加熱さ
れると、上記有機銀塩は、ハロゲン化銀の潜像を触媒と
する酸化還元反応に関与すると考えられる。この場合、
ハロゲン化銀と有機銀塩とは接触状態もしくは近接した
状態にあることが好ましい。上記有機銀塩を構成する有
機化合物としては、脂肪族もしくは芳香族カルボン酸、
メルカプト基もしくはα−水素を有するチオカルボニル
基含有化合物、およびイミノ基含有化合物等を挙げるこ
とができる。それらのうちでは、ベンゾトリアゾールが
特に好ましい。上記有機銀塩は、一般にハロゲン化銀1
モル当り0.01乃至10モル、好ましくは0.01乃至1モル使
用する。なお、有機銀塩の代りに、それを構成する有機
化合物(例えば、ベンゾトリアゾール)を感光層に加え
ても同様な効果が得られる。有機銀塩を用いた感光材料
については特開昭62-3246号公報に記載がある。以上述
べたような有機銀塩は、ハロゲン化銀1モルに対して0.
1乃至10モルの範囲で使用することが好ましく、0.01乃
至1モルの範囲で使用することがさらに好ましい。
感光層には、前述した還元剤の重合促進(または重合抑
制)反応に関与するラジカル発生剤を添加してもよい。
上記ラジカル発生剤として、トリアゼン銀を用いた感光
材料については特開昭62-195639号公報に、ジアゾター
ト銀を用いた感光材料については特開昭62-195640号公
報に、アゾ化合物を用いた感光材料については特開昭62
-195641号公報に、それぞれ記載がある。
感光材料には、種々の画像形成促進剤を用いることがで
きる。画像形成促進剤にはハロゲン化銀(および/また
は有機銀塩)と還元剤との酸化還元剤との酸化還元反応
の促進、感光材料から受像材料または受像層(これらに
ついては後述する)への画像形成物質の移動の促進等の
機能がある。画像形成促進剤は、物理化学的な機能の点
から、塩基、塩基プレカーサー、オイル、界面活性剤、
カブリ防止機能および/または現像促進機能を有する化
合物、熱溶剤、酸素の除去機能を有する化合物等にさら
に分類される。ただし、これらの物質群は一般に複合機
能を有しており、上記の促進効果のいくつかを合わせ持
つのが常である。従って、上記の分類は便宜的なもので
あり、実際には一つの化合物が複数の機能を兼備してい
ることが多い。
以下に各種画像形成促進剤の例を示す。
好ましい塩基の例としては、無機の塩基としてはアルカ
リ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物;アルカリ金
属またはアルカリ土類金属の第三リン酸塩、ホウ酸塩、
炭酸塩、メタホウ酸塩;水酸化亜鉛または酸化亜鉛とピ
コリン酸ナトリウム等のキレート化剤との組み合わせ;
アンモニウム水酸化物;四級アルキルアンモニウムの水
酸化物;その他の金属の水酸化物等が挙げられ、有機の
塩基としては脂肪族アミン類(トリアルキルアミン類、
ヒドロキシルアミン類、脂肪族ポリアミン類);芳香族
アミン類(N−アルキル置換芳香族アミン類、N−ヒド
ロキシルアルキル置換芳香族アミン類およびビス[p−
(ジアルキルアミノ)フェニル]メタン類)、複素環状
アミン類、アミジン類、環状アミジン類、グアニジン
類、環状グアニジン類等が挙げられ、特にpKaが7以上
のものが好ましい。
塩基プレカーサーとしては、加熱により脱炭酸する有機
酸と塩基の塩、分子内求核置換反応、ロッセン転位、ベ
ックマン転位等の反応によりアミン類を放出する化合物
など、加熱により何らかの反応を起こして塩基を放出す
るものおよび電解などにより塩基を発生させる化合物が
好ましく用いられる。塩基プレカーサーの具体例して
は、グアニジントリクロロ酢酸、ピペリジントリクロロ
酢酸、モルホリントリクロロ酢酸、p−トルイジントリ
クロロ酢酸、2−ピコリントリクロロ酢酸、フェニルス
ルホニル酢酸グアニジン、4−クロルフェニルスルホニ
ル酢酸グアニジン、4−メチル−スルホニルフェニルス
ルホニル酢酸グアニジンおよび4−アセチルアミノメチ
ルプロピオール酸グアニジン等を挙げることができる。
感光材料に、塩基または塩基プレカーサーは広い範囲の
量で用いることができる。塩基または塩基プレカーサー
は、感光層の塗布膜を重量換算して100重量%以下で用
いるのが適当であり、さらに好ましくは0.1重量%から4
0重量%の範囲が有用である。本発明では塩基および/
または塩基プレカーサーは単独でも二種以上の混合物と
して用いてもよい。
なお、塩基または塩基プレカーサーを用いた感光材料に
ついては特願昭60-227528号明細書に記載がある。ま
た、塩基として、第三級アミンを用いた感光材料につい
ては特開昭62-170954号公報に、融点が80〜180℃の疎水
性有機塩基化合物の微粒子状分散物を用いた感光材料に
ついては特開昭62-209523号公報に、溶解度が0.1%以下
のグアニジン誘導体を用いた感光材料については特開昭
62-215637号明細書に、アルカリ金属またはアルカリ土
類金属の水酸化物または塩を用いた感光材料については
特願昭61-96341号明細書にそれぞれ記載がある。
さらに、塩基プレカーサーとしてアセチリド化合物を用
いた感光材料については特開昭63-24242号公報に、塩基
プレカーサーとしてプロピオール酸塩を用い、さらに
銀、銅、銀化合物または銅化合物を塩基生成反応の触媒
として含む感光材料については特開昭63-46446号公報
に、上記プロピオール酸塩と上記銀、銅、銀化合物また
は銅化合物を互いに隔離した状態で含む感光材料につい
ては特開昭63-81338号公報に、上記プロピオール酸塩お
よび上記銀、銅、銀化合物または銅化合物に加えて遊離
状態にある配位子を含む感光材料については特開昭63-9
7942号公報に、塩基プレカーサーとしてプロピオール酸
塩を用い、さらに熱溶融性化合物を塩基生成反応の反応
促進剤として含む感光材料については特開昭63-46447号
公報に、塩基プレカーサーとしてスルホニル酢酸塩を用
い、さらに熱溶融性化合物を塩基生成反応の反応促進剤
として含む感光材料については特開昭63-48543号公報
に、塩基プレカーサーとして有機塩基にイソシアネート
またはイソチオシアネートを結合させた化合物を用いた
感光材料については特開昭63-24242号公報に、それぞれ
記載がある。
感光材料に塩基または塩基プレカーサーを用いる場合、
前述したマイクロカプセル内にハロゲン化銀、還元剤お
よび重合性化合物を収容する態様とし、マイクロカプセ
ル外の感光層中に塩基または塩基プレカーサーを存在さ
せることが好ましい。あるいは、特開昭62-209521号公
報の感光材料のように、塩基または塩基プレカーサーを
別のマイクロカプセル内に収容してもよい。塩基または
塩基プレカーサーを収容するマイクロカプセルを用いる
感光材料は上記明細書以外にも、塩基または塩基プレカ
ーサーを保水剤水溶液に溶解もしくは分散した状態にて
マイクロカプセル内に収容した感光材料が特開昭62-209
522号公報に、塩基または塩基プレカーサーを担持する
固体微粒子をマイクロカプセル内に収容した感光材料が
特開昭62-209526号公報に、融点が70℃乃至210℃の塩基
化合物を含むマイクロカプセルを用いた感光材料につい
ては特開昭63-65437号公報に、それぞれ記載されてい
る。また上記塩基または塩基プレカーサーを含むマイク
ロカプセルに代えて、特開昭63-97943号公報記載の感光
材料のように、塩基または塩基プレカーサーと疎水性物
質を相溶状態で含む粒子を用いてもよい。
なお、塩基または塩基プレカーサーは、特開昭62-25314
0号公報に記載されているように感光層以外の補助層
(後述する塩基または塩基プレカーサーを含む層)に添
加しておいてもよい。さらに、特開昭63-32546号公報に
記載されているように、前述した支持体を多孔性とし
て、この多孔性支持体中に塩基または塩基プレカーサー
を含ませてもよい。
オイルとしては、疎水性化合物の乳化分散の溶媒として
用いられる高沸点有機溶媒を用いることができる。
界面活性剤としては、特開昭59-74547号公報記載のピリ
ジニウム塩類、アンモニウム塩類、ホスホニウム塩類、
特開昭59-57231号公報記載のポリアルキレンオキシド等
を挙げることができる。
カブリ防止機能および/または現像促進機能を有する化
合物は、最高濃度が高く、かつ最低濃度が低い鮮明な画
像(S/N比の高い画像)を得ることを目的として用いる
ことができる。なお、カブリ防止機能および/または現
像促進機能を有する化合物として、カブリ防止剤を用い
た感光材料については特開昭62-151838号公報に、環状
アミド構造を有する化合物を用いた感光材料については
特開昭61-151841号公報に、チオエーテル化合物を用い
た感光材料については特開昭62-151842号公報に、ポリ
エチレングリコール誘導体を用いた感光材料については
特開昭62-151843号明細書に、チオール誘導体を用いた
感光材料については特開昭62-151844号公報に、アセチ
レン化合物を用いた感光材料については特開昭62-17823
2号公報に、スルホンアミド誘導体を用いた感光材料に
ついては特開昭62-183450号公報に、第四アンモニウム
塩を用いた感光材料については特開昭63-91653号公報
に、それぞれ記載がある。
熱溶剤としては、還元剤の溶媒となり得る化合物、高誘
電率の物質で銀塩の物理的現像を促進することが知られ
ている化合物等が有用である。有用な熱溶剤としては、
米国特許第3347675号明細書記載のポリエチレングリコ
ール類、ポリエチレンオキサイドのオレイン酸エステル
等の誘導体、みつろう、モノステアリン、−SO2−およ
び/または−CO−基を有する高誘電率の化合物、米国特
許第3667959号明細書記載の極性物質、リサーチ・ディ
スクロージャー誌1976年12月号26〜28頁記載の1,10−デ
カンジオール、アニス酸メチル、スベリン酸ビフェニル
等が好ましく用いられる。なお、熱溶剤を用いた感光材
料については、特開昭62-86355号公報に記載がある。
酸素の除去機能を有する化合物は、現像時における酸素
の影響(酸素は、重合禁止作用を有している)を排除す
る目的で用いることができる。酸素の除去機能を有する
化合物の例としては、2以上のメルカプト基を有する化
合物を挙げることができる。なお、2以上のメルカプト
基を有する化合物を用いた感光材料については、特開昭
62-209443号公報に記載がある。
感光材料に用いることができる熱重合開始剤は、一般に
加熱下で熱分解して重合開始種(特にラジカル)を生じ
る化合物であり、通常ラジカル重合の開始剤として用い
られているものである。熱重合開始剤については、高分
子学会高分子実験学編集委員会編「付加重合・開環重
合」1983年、共立出版)の第6頁〜第18頁等に記載され
ている。熱重合開始剤は、重合性化合物に対して0.1乃
至120重量%の範囲で使用することが好ましく、1乃至1
0重量%の範囲で使用することがより好ましい。なお、
ハロゲン化銀の潜像が形成されない部分の重合性化合物
を重合させる系においては、感光層中に熱重合開始剤を
添加することが好ましい。また、熱重合開始剤を用いた
感光材料については特開昭62-70836号公報に記載があ
る。
感光材料に用いることができる現像停止剤とは、適正現
像後、速やかに塩基を中和または塩基と反応して膜中の
塩基濃度を下げ現像を停止する化合物または銀および銀
塩と相互作用して現像を抑制する化合物である。具体的
には、加熱により酸を放出する酸プレカーサー、加熱に
より共存する塩基と置換反応を起こす親電子化合物、ま
たは含窒素ヘテロ環化合物、メルカプト化合物等が挙げ
られる。酸プレカーサーの例としては、特開昭60-10883
7号および同60-192939号各公報記載のオキシムエステル
類、特開昭60-230133号公報記載のロッセン転位により
酸を放出する化合物等を挙げることができる。また、加
熱により塩基と置換反応を起こす親電子化合物の例とし
ては、特開昭60-230134号公報記載の化合物等を挙げる
ことができる。
感光材料の感光層に、ハレーションまたはイラジエーシ
ョンの防止を目的として、染料または顔料を添加しても
よい。なお、ハレーションまたはイラジエーションの防
止を目的として、感光層に白色顔料を添加した感光材料
について特開昭63-29748号公報に記載がある。
マイクロカプセルに加熱または光照射により脱色する性
質を有する色素を含ませてもよい。上記加熱または光照
射により脱色する性質を有する色素は、コンベンショナ
ルな銀塩写真系におけるイエローフィルターに相当する
ものとして機能させることができる。上記のように加熱
または光照射により脱色する性質を有する色素を用いた
感光材料については、特開昭63-97940号公報に記載があ
る。
感光材料に用いるスマッジ防止剤としては、常温で固体
の粒子状物が好ましい。上記粒子の平均粒子サイズとし
ては、体積平均直径で3乃至50μmの範囲が好ましく、
5乃至40μmの範囲がさらに好ましい。前述したように
重合性化合物の油滴がマイクロカプセルの状態にある場
合には、上記粒子はマイクロカプセルより大きい方が効
果的である。
感光材料に用いることができるバインダーは、単独であ
るいは組合せて感光層に含有させることができる。この
バインダーには主に親水性のものを用いることが好まし
い。親水性バインダーとしては透明か半透明の親水性バ
インダーが代表的である。なお、バインダーを用いた感
光材料については、特開昭61-69062号公報に記載があ
る。また、マイクロカプセルと共にバインダーを使用し
た感光材料については、特開昭62-209525号公報に記載
がある。
感光材料の感光層には、画像転写後の未重合の重合性化
合物の重合化処理を目的として、光重合開始剤を加えて
もよい。光重合開始剤を用いた感光材料については、特
開昭62-161149号公報に記載がある。
感光材料に重合性化合物の溶剤を用いる場合は、重合性
化合物を含むマイクロカプセルとは別のマイクロカプセ
ル内に封入して使用することが好ましい。なお、マイク
ロカプセルに封入された重合性化合物と混和性の有機溶
媒を用いた感光材料については、特開昭62-209524号公
報に記載がある。
前述したハロゲン化銀粒子に水溶性ビニルポリマーを吸
着させて用いてもよい。上記のように水溶性ビニルポリ
マーを用いた感光材料については特開昭63-91652号公報
に記載がある。
以上述べた以外に感光層中に含ませることができる任意
の成分の例およびその使用態様についても、上述した一
連の感光材料に関する出願明細書、およびリサーチ・デ
ィスクロージャー誌Vol.170, 1978年6月の第17029号
(9〜15頁)に記載がある。
なお、以上述べたような成分からなる感光材料の感光層
は、特開昭62-275235号公報の感光材料のように、pH値
が7以下であることが好ましい。
感光材料に任意に設けることができる層としては、受像
層、発熱体層、帯電防止層、カール防止層、はくり層、
カバーシートまたは保護層、塩基または塩基プレカーサ
ーを含む層、塩基バリヤー層、ハレーション防止層(着
色層)等を挙げることができる。
感光材料の使用方法として後述する受像材料を用いる代
りに、上記受像層を感光材料上に設けてこの層に画像を
形成してもよい。感光材料に設ける受像層は、受像材料
に設ける受像層と同様の構成とすることができる。受像
層の詳細については後述する。
なお、発熱体層を用いた感光材料については特開昭61-2
94434号公報に、カバーシートまたは保護層を設けた感
光材料については特開昭62-210447号公報に、塩基また
は塩基プレカーサーを含む層を設けた感光材料について
は特開昭62-253140号公報に、ハレーション防止層とし
て着色層を設けた感光材料については特開昭63-101842
号公報に、それぞれ記載されている。また、塩基バリヤ
ー層を設けた感光材料についても、上記特開昭62-25314
0号公報に記載がある。更に、他の補助層の例およびそ
の使用態様についても、上述した一連の感光材料に関す
る出願明細書中に記載がある。
以下、感光材料の製造方法について述べる。
感光材料の製造方法としては様々な方法を用いることが
できるが、一般的な製造方法は感光層の構成成分を、適
当な溶媒中に溶解、乳化あるいは分散させた塗布液を調
製し、そして塗布液を前述したような支持体に塗布、乾
燥することで感光材料を得る工程よりなるものである。
一般に上記塗布液は、各成分についてそれぞれの成分を
含む液状の組成物を調製し、ついで各液状組成物を混合
することにより調製される。上記液状組成物は、複数の
成分を含むように調製してもよい。一部の感光層の構成
成分は、上記液状組成物または塗布液の調製段階または
調製後に添加して用いることもできる。さらに、後述す
るように、一または二以上の成分を含む油性(または水
性)の組成物を、さらに水性(または油性)溶媒中に乳
化させて二次組成物を調製する方法を用いることもでき
る。
感光層に含まれる主な成分について、液状組成物および
塗布液の調製方法を以下に示す。
ハロゲン化乳剤の調製は、酸性法、中性法またはアンモ
ニア法などの公知方法のいずれのを用いても実施するこ
とができる。
可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩との反応形式としては、
片側混合法、同時混合法またはこれらの組合せのいずれ
でもよい。粒子を銀イオン過剰条件下で形成する逆混合
法およびpAgを一定に保つコントロールド・ダブルジェ
ット法も採用できる。また、粒子成長を早めるため、添
加する銀塩およびハロゲン塩の添加濃度、添加量または
添加速度を上昇させてもよい(特開昭55-158124号、同5
5-158124号各公報および米国特許第3650757号明細書参
照)。
感光材料の製造に用いるハロゲン化銀乳剤は、主として
潜像が粒子表面に形成される表面潜像型であっても、粒
子内部に形成される内部潜像型であってもよい。内部潜
像型乳剤と造核剤とを組合せた直接反転乳剤を使用する
こともできる。この目的に適した内部潜像型乳剤は、米
国特許第2592250号、同第3761276号各明細書および特公
昭58-3534号、特開昭58-136641号各公報等に記載されて
いる。上記乳剤に組合せるのに好ましい造核剤は、米国
特許第3227552号、同第4245037号、同第4255511号、同
第4266013号、同第4276364号および西独国公開特許(OL
S)第2635316号各明細書に記載されている。
感光材料の製造に使用されるハロゲン化銀乳剤の調製に
おいては、保護コロイドとして親水性コロイドを用いる
ことが好ましい。親水性コロイドの例としては、ゼラチ
ン、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子とのグラフ
トポリマー、アルブミン、カゼイン等の蛋白質;ヒドロ
キシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、
セルロース硫酸エステル類等のようなセルロース誘導
体、アルギン酸ソーダ、澱粉誘導体等の糖誘導体;およ
びポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分ア
セタール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリル
酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニ
ルイミダゾール、ポリビニルピラゾール等の単一あるい
は共重合体のような多種の合成親水性高分子物質を挙げ
ることができる。これらのうちでは、ゼラチンが好まし
い。ゼラチンとしては、石灰処理ゼラチンのほか、酸処
理ゼラチンや酵素処理ゼラチンを用いてもよく、またゼ
ラチンの加水分解物や酵素分解物も用いることができ
る。
ハロゲン化銀乳剤は、ハロゲン化銀粒子の形成段階にお
いて、ハロゲン化銀溶剤としてアンモニア、有機チオエ
ーテル誘導体(特公昭47-386号公報参照)および含硫黄
化合物(特開昭53-144319号公報参照)等を用いること
ができる。また粒子形成または物理熟成の過程におい
て、カドミウム塩、亜鉛塩、鉛塩、タリウム塩等を共存
させてもよい。さらに高照度不軌、低照度不軌を改良す
る目的で塩化イリジウム(IIIまたはIV)、ヘキサクロ
ロイリジウム塩アンモニウム等の水溶性イリジウム塩、
または塩化ロジウム等の水溶性ロジウム塩を用いること
ができる。
ハロゲン化銀乳剤は、沈殿形成後あるいは物理熟成後に
可溶性塩類を除去してもよい。この場合は、ヌーデル水
洗法や沈降法に従い実施することができる。ハロゲン化
銀乳剤は、未後熟のまま使用してもよいが通常は化学増
感して使用する。通常型感材用乳剤において公知の硫黄
増感法、還元増感法、貴金属増感法等を単独または組合
せて用いることができる。これらの化学増感を含窒素複
素環化合物の存在下で行なうこともできる(特開昭58-1
26526号、同58-215644号各公報参照)。
なお、ハロゲン化銀乳剤に増感色素を添加する場合は、
前述した特開昭62-947号公報および特願昭61-55510号明
細書記載の感光材料のようにハロゲン化銀乳剤の調製段
階において添加することが好ましい。また、前述したカ
ブリ防止機能および/または現像促進機能を有する化合
物として含窒素複素環化合物を添加する場合には、ハロ
ゲン化銀乳剤の調製においてハロゲン化銀粒子の形成段
階または熟成段階において添加することが好ましい。含
窒素複素環化合物をハロゲン化銀粒子の形成段階または
熟成段階において添加する感光材料の製造方法について
は、特開昭62-161144号公報に記載がある。
前述した有機銀塩を感光層に含ませる場合には、上記ハ
ロゲン化銀乳剤の調製方法に類似の方法で有機銀塩乳剤
を調製することができる。
感光材料の製造において、重合性化合物は感光層中の他
の成分の組成物を調製する際の媒体として使用すること
ができる。例えば、ハロゲン化銀(ハロゲン化銀乳剤を
含む)、還元剤、色画像形成物質等を重合性化合物中に
溶解、乳化あるいは分散させて感光材料の製造に使用す
ることができる。特に色画像形成物質を添加する場合に
は、重合性化合物中に含ませておくことが好ましい。ま
た、マイクロカプセル化に必要な壁材等の成分を重合性
化合物中に含ませておいてもよい。
重合性化合物にハロゲン化銀を含ませた感光性組成物
は、ハロゲン化銀乳剤を用いて調製することができる。
また、感光性組成物の調製には、ハロゲン化銀乳剤以外
にも、凍結乾燥等により調製したハロゲン化銀粉末を使
用することもできる。これらのハロゲン化銀を含む感光
性組成物は、ホモジナイザー、ブレンダー、ミキサーあ
るいは、他の一般に使用される攪拌機等で攪拌すること
により得ることができる。
なお、感光性組成物の調製に使用する重合性化合物に
は、親水性のくり返し単位と疎水性のくり返し単位より
なるコポリマーを溶解させておくことが好ましい。上記
コポリマーを含む感光性組成物については、特開昭62-2
09449号公報に記載がある。
また、上記コポリマーを使用する代りに、ハロゲン化銀
乳剤を芯物質とするマイクロカプセルを重合性化合物中
に分散させて感光性組成物を調製してもよい。上記ハロ
ゲン化銀乳剤を芯物質とするマイクロカプセルを含む感
光性組成物については、特開昭62-164041号公報に記載
がある。
重合性化合物(上記感光性組成物のように、他の構成成
分を含有するものを含む)は水性溶媒中に乳化させた乳
化物として使用することが好ましい。また、特開昭61-2
75742号公報記載の感光材料のように、重合性化合物の
油滴をマイクロカプセル化する場合には、マイクロカプ
セル化に必要な壁材をこの乳化物中に添加し、さらにマ
イクロカプセルの外殻を形成する処理をこの乳化物の段
階で実施することもできる。また、還元剤あるいは他の
任意の成分を上記乳化物の段階で添加してもよい。
前述した重合性化合物の乳化物(マイクロカプセル化処
理を実施したマイクロカプセル液を含む)のうち、重合
性化合物がハロゲン化銀を含む感光性組成物である場合
には、そのまま感光材料の塗布液として使用することが
できる。上記以外の乳化物は、ハロゲン化銀乳剤、およ
び任意に有機銀塩乳剤等の他の成分の組成物と混合して
塗布液を調製することができる。この塗布液の段階で他
の成分を添加することも、上記乳化物と同様に実施でき
る。
以上のように調製された感光層の塗布液を支持体に塗
布、乾燥することにより感光材料が製造される。上記塗
布液の支持体への塗布は、公知技術に従い容易に実施す
ることができる。
以下、感光材料の使用方法について述べる。
感光材料は、像様露光と同時に、または像様露光後に、
現像処理を行なって使用する。
上記露光方法としては、様々な露光手段を用いることが
できるが、一般に可視光を含む輻射線の画像様露光によ
りハロゲン化銀の潜像を得る。光源の種類や露光量は、
ハロゲン化銀の感光波長(色素増感を実施した場合は、
増感した波長)や、感度に応じて選択することができ
る。また、原画は、白黒画像でもカラー画像でもよい。
感光材料は、上記像様露光と同時に、または像様露光後
に、現像処理を行う。ただし、第二の態様においては、
像様露光を行って使用する。感光材料は、特公昭45-111
49号公報等に記載の現像液を用いた現像処理を行っても
よい。なお。前述したように、熱現像処理を行う特開昭
61-69062号公報記載の方法は、乾式処理であるため、操
作が簡便であり、短時間で処理ができる利点を有してい
る。従って、感光材料の現像処理としては、後者が特に
優れている。
上記熱現像処理における加熱方法としては、従来公知の
様々な方法を用いることができる。また、前述した特開
昭61-294434号公報記載の感光材料のように、感光材料
に発熱体層を設けて加熱手段として使用してもよい。ま
た、特開昭62-210461号公報記載の画像形成方法のよう
に、感光層中に存在する酸素の量を抑制しながら熱現像
処理を実施してもよい。加熱温度は一般に80℃乃至200
℃、好ましくは100℃乃至160℃である。また加熱時間
は、一般に1秒以上、好ましくは、1秒乃至5分、更
に、好ましくは1秒乃至1分である。
なお、前述した塩基または塩基プレカーサーを感光材料
に含ませる代りに、塩基または塩基プレカーサーを感光
層に添加しながら、または添加直後に現像処理を実施し
てもよい。塩基または塩基プレカーサーを添加する方法
としては、塩基または塩基プレカーサーを含むシート
(塩基シート)を用いる方法が最も容易であり好まし
い。上記塩基シートを用いる画像形成方法については特
開昭63-32546号公報に記載がある。
感光材料は、上記のようにして熱現像処理を行い、ハロ
ゲン化銀の潜像が形成された部分またはハロゲン化銀の
潜像が形成されない部分の重合性化合物を重合化させる
ことができる。なお、感光材料においては一般に上記熱
現像処理において、ハロゲン化銀の潜像が形成された部
分の重合性化合物が重合するが、前述した特開昭62-708
36号公報記載の感光材料のように、還元剤の種類や量等
を調整することで、ハロゲン化銀の潜像が形成されない
部分の重合性化合物を重合させることも可能である。
以上のようにして、感光材料は感光層上にポリマー画像
を得ることができる。また、ポリマーに色素または顔料
を定着させて色素画像を得ることもできる。
感光材料を、前述した特開昭62-209444号公報記載の感
光材料のように構成した場合は、現像処理を行なった感
光材料を加圧して、マイクロカプセルを破壊し、発色反
応を起す二種類の物質を接触状態にすることにより感光
材料上に色画像を形成することができる。
また、受像材料を用いて、受像材料上に画像を形成する
こともできる。
以下、受像材料について説明する。なお、受像材料また
は受像層を用いた画像形成方法一般については、特開昭
61-278849号公報に記載がある。
受像材料の支持体としては、前述した感光材料に用いる
ことができる支持体に加えてバライタ紙を使用すること
ができる。なお、受像材料の支持体として、紙等の多孔
性の材料を用いる場合には、特開昭62-209530号公報記
載の受像材料のように一定の平滑度を有していることが
好ましい。また、透明な支持体を用いた受像材料につい
ては、特開昭62-209531号公報に記載がある。
受像材料は一般に支持体上に受像層を設ける。受像層
は、前述した色画像形成物質の発色システム等に従い、
様々な化合物を使用して任意の形態に構成することがで
きる。なお、受像材料上にポリマー画像を形成する場
合、色画像形成物質として染料または顔料を用いた場合
等においては、受像材料を上記支持体のみで構成しても
よい。
例えば、発色剤と顕色剤よりなる発色システムを用いる
場合には、受像層に顕色剤を含ませることができる。ま
た、受像層を少なくとも一層の媒染剤を含む層として構
成することもできる。上記媒染剤としては、写真技術等
で公知の化合物から色画像形成物質の種類等の条件を考
慮して選択し、使用することができる。なお、必要に応
じて媒染力の異なる複数の媒染剤を用いて、二層以上の
受像層を構成してもよい。
受像層はバインダーとしてポリマーを含む構成とするこ
とが好ましい。上記バインダーとしては、前述した感光
材料の感光層の用いることができるバインダーを使用で
きる。また、特開昭62-209454号公報記載の受像材料の
ように、バインダーとして酸素透過性の低いポリマーを
用いてもよい。
受像層に熱可塑性化合物を含ませてもよい。受像層に熱
可塑性化合物を含ませる場合は、受像層そのものを熱塑
性化合物微粒子の凝集体として構成することが好まし
い。上記のような構成の受像層は、転写画像の形成が容
易であり、かつ画像形成後、加熱することにより光沢の
ある画像が得られるという利点を有する。上記熱可塑性
化合物については特に制限はなく、公知の可塑性樹脂
(プラスチック)およびワックス等から任意に選択して
用いることができる。ただし、熱可塑性樹脂のガラス転
移点およびワックスの融点は、200℃以下であることが
好ましい。上記のような熱可塑性化合物微粒子を含む受
像層を有する受像材料については、特開昭62-280071
号、同62-280739号各公報に記載がある。
受像層には、光重合開始剤または熱重合開始剤を含ませ
ておいてもよい。受像材料を用いる画像形成において、
色画像形成物質は、後述するように未重合の重合性化合
物と共に転写される。このため、未重合の重合性化合物
の硬化処理(定着処理)の円滑な進行を目的として、受
像層に光重合開始剤または熱重合開始剤を添加すること
ができる。なお、光重合開始剤を含む受像層を有する受
像材料については特開昭62-161149号公報に、熱重合開
始剤を含む受像層を有する受像材料については特開昭62
-210444号公報にそれぞれ記載がある。
染料または顔料は、受像層に文字、記号、枠組等を記入
する目的で、あるいは画像の背景を特定の色とする目的
で、受像層に含ませておくことができる。また、受像材
料の表裏判別を容易にすることを目的として、染料また
は顔料を受像層に含ませておいてもよい。上記染料また
は顔料としては、画像形成において使用することができ
る染料または顔料を含む公知の様々な物質を使用するこ
とができるが、この染料または顔料が受像層中に形成さ
れる画像を損なう恐れがある場合には、染料または顔料
の染色濃度を低くする(例えば、反射濃度を1以下とす
る)か、あるいは、加熱または光照射により脱色する性
質を有する染料または顔料を使用することが好ましい。
加熱または光照射により脱色する性質を有する染料また
は顔料を含む受像層を有する受像材料については、特開
昭62-251741号公報に記載がある。
さらに、二酸化チタン、硫酸バリウム等の白色顔料を受
像層に添加する場合は、受像層を白色反射層として機能
させることができる。受像層を白色反射層として機能さ
せる場合、白色顔料は熱可塑性化合物1g当り、10g乃至1
00gの範囲で用いることが好ましい。
以上述べたような染料または顔料を受像層に含ませてお
く場合は、均一に含ませても、一部に偏在させてもよ
い。例えば、後述する支持体を光透過性を有する材料で
構成し、受像層の一部に上記白色顔料を含ませることに
より、反射画像の一部分を投影画像とすることができ
る。このようにすることで、投影画像においては不必要
な画像情報も、白色顔料を含む受像層部分に反射画像と
して記入しておくことができる。
受像層は、以上述べたような機能に応じて二以上の層と
して構成してもよい。また、受像層の層厚は、1乃至10
0μmであることが好ましく、1乃至20μmであること
がさらに好ましい。
なお、受像層上に、さらに保護層を設けてもよい。ま
た、受像層上に、さらに熱可塑性化合物の微粒子の凝集
体からなる層を設けてもよい。受像層上にさらに熱可塑
性化合物の微粒子の凝集体からなる層を設けた受像材料
については、特開昭62-210460号公報に記載がある。
さらに、支持体の受像層が設けられている側の面と反対
側の面に、粘着剤または接着剤を含む層、および剥離紙
を順次積層してもよい。上記構成のステッカー状受像材
料については、本出願人による特開昭63-24647号公報に
記載がある。
感光材料は、前述したように現像処理を行い、上記受像
材料を重ね合せた状態で加圧することにより、未重合の
重合性化合物を受像材料に転写し、受像材料上にポリマ
ー画像を得ることができる。上記加圧手段については、
従来公知の様々な方法を用いることができる。
また、感光層が色画像形成物質を含む態様においては、
同様にして現像処理を行うことにより重合性化合物を重
合硬化させ、これにより硬化部分の色画像形成物質が不
動化する。そして、感光材料と上記受像材料を重ね合せ
た状態で加圧することにより、未硬化部分の色画像形成
物質を受像材料に転写し、受像材料上に色画像を得るこ
とができる。
なお、以上のようにして受像材料上に画像を形成後、特
開昭62-210459号公報記載の画像形成方法のように、受
像材料を加熱してもよい。上記方法は、受像材料上に転
写された未重合の重合性化合物が重合化し、得られた画
像の保存性が向上する利点もある。
また、感光材料を使用して上記説明した一連の画像形成
方法を実施するのに好適な種々の画像記録装置について
既に特許出願している(特開昭62-147461号公報)。
感光材料は、白黒あるいはカラーの撮影およびプリント
用感材、印刷感材、刷版、X線感材、医療用感材(例え
ば超音波診断機CRT撮影感材)、コンピューターグラフ
ィックハードコピー感材、複写機用感材等の数多くの用
途がある。
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明す
る。ただし、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
[実施例1] [感光性マイクロカプセルの調製] ハロゲン化銀乳剤(A−1)の調製(青感性) ゼラチン水溶液(水1500ml中にゼラチン16gと塩化ナト
リウム0.5gを加え、これに1Nの硫酸でpH3.2に調整し、5
0℃に保温したもの)に、臭化カリウム71gを含有する水
溶液300mlと硝酸銀水溶液(水300mlに硝酸銀0.59モルを
溶解させたもの)を同時に50分間にわたって等流量で添
加した。この添加が終了して1分後に、下記の増感色素
(1)の1%メタノール溶液43mlを加え、更に該増感色
素添加後15分から沃化カリウム2.9gを含有する水溶液10
0mlと硝酸銀水溶液(水100mlに硝酸銀0.018モルを溶解
させたもの)を5分間にわたって等流量で添加した。こ
の乳剤にポリ(イソブチレン−コ−マレイン酸モノナト
リウム)を1.2g加え、沈降させ、水洗して脱塩した後、
ゼラチン12gを加え、溶解し、更にチオ硫酸ナトリウム
を0.5mg加えて60℃で15分化学増感を行ない、平均粒子
サイズ0.22μmの単分散14面体沃臭化銀銀乳剤(A−
1)1000gを調製した。
ハロゲン化銀乳剤(A−2)の調製(緑感性) ゼラチン水溶液(水1600ml中にゼラチン20gと塩化ナト
リウム0.5gを加え、これを1Nの硫酸でpH3.2に調整し、4
2℃に保温したもの)に、臭化カリウム71gを含有する水
溶液200mlと硝酸銀水溶液(水200mlに硝酸銀0.59モルを
溶解させたもの)を同時に30分間にわたって等流量で添
加した。この添加が終了して1分後に、下記の増感色素
(2)の1%メタノール溶液48mlを加え、更に該増感色
素添加後10分から沃化カリウム2.9gを含有する水溶液10
0mlと硝酸銀水溶液(水100mlに硝酸銀0.018モルを溶解
させたもの)を5分間にわたって等流量で添加した。こ
の乳剤に、ポリ(イソブチレン−コ−マレイン酸モノナ
トリウム)を1.2g加えて、沈降させ、水洗して脱塩した
後、ゼラチン18gを加えて溶解し、更にチオ硫酸ナトリ
ウムを0.7mg加え、60℃で15分間化学増感を行ない、平
均粒子サイズ0.12μmの単分散14面体沃臭化銀乳剤(A
−2)1000gを調製した。
ハロゲン化銀乳剤(A−3)の調製(赤感性) ゼラチン水溶液(水1600ml中にゼラチン20gと塩化ナト
リウム0.5gを加え、1Nの硫酸でpH3.5に調整し、45℃に
保温したもの)に、臭化カリウム71gを含有する水溶液2
00mlと硝酸銀水溶液(水200mlに硝酸銀0.59モルを溶解
させたもの)を同時に30分間にわたって等流量で添加し
た。この添加が終了して1分後から、下記の増感色素
(3)の0.5%メタノール溶液48mlを加え、更に該増感
色素添加後15分から沃化カリウム3.65gを含有する水溶
液100mlと硝酸銀水溶液(水100mlに硝酸銀0.022モルを
溶解させたもの)を同時に5分間にわたって等流量で添
加した。この乳剤に、ポリ(イソブチレン−コ−マレイ
ン酸モノナトリウム)を1.2g加えて、沈降させ、水洗し
て、脱塩した後、ゼラチン10gを加えて溶解し、さらに
チオ硫酸ナトリウムを0.45mg加えて55℃で20分間化学増
感を行ない、平均粒子サイズ0.13μmの単分散14面体沃
臭化銀銀乳剤(A−3)1000gを調製した。
感光性組成物(A−1)の調製(青感性) 下記の重合性化合物(カヤラットR604、日本化薬(株)
製)74.7gに、p−トルエンスルホンアミド0.32gおよび
下記のイエロー画像形成物質14.9gを溶解させた。この
溶液に下記のコポリマー0.92g、下記の現像薬(還元剤
(I))6.5g、下記のヒドラジン誘導体(還元剤(I
I))2.37g、下記のカブリ防止剤0.01gおよび界面活性
剤(エマレックスNP−8、日本エマルジョン(株)製)
1.8gを加え、さらに塩化メチレン20gを溶かして油性の
溶液を調製した。
前記のハロゲン化銀乳剤(A−1)10gに臭化カリウム
の10%水溶液2.3gを加え、5分間攪拌した。このハロゲ
ン化銀乳剤を含む混合液を上記の均一な油性の溶液に加
えて25℃に保ちながら、ホモジナイザーを用いて毎分15
000回転で5分間攪拌して、W/Oエマルジョンの状態の感
光性組成物(A−1)を得た。
感光性組成物(A−2)の調製 上記感光性組成物(A−1)の調製において使用したハ
ロゲン化銀乳剤(A−1)の代りに前記のハロゲン化銀
乳剤(A−2)を、イエロー画像形成物質の代りに下記
のマゼンタ画像形成物質をそれぞれ使用した以外は、感
光性組成物(A−1)と同様にして感光性組成物(A−
2)を調製した。
感光性組成物(A−3)の調製(赤感性) 上記感光性組成物(A−1)の調製において使用したハ
ロゲン化銀乳剤(A−1)の代りに前記のハロゲン化銀
乳剤(A−3)を、イエロー画像形成物質の代りに下記
のシアン画像形成物質をそれぞれ使用した以外は、感光
性組成物(A−1)と同様にして感光性組成物(A−
3)を調製した。
感光性マイクロカプセル分散液(A−1)の調製(青感
性) 上記の感光性組成物(A−1)に、イソホロンジイソシ
アナートのトリメチロールプロパン付加物(商品名;タ
ケネートD140N、武田薬品工業(株)製)24.4gを加え、
毎分5000回転で1分間攪拌した。この混合液を、リン酸
20%水溶液でpH5.5に調整したポリビニルアルコール
(商品名;PVA-205、(株)クラレ製)9.4gとカルボキシ
メチルセルロース(セロゲン7A、第一工業製薬(株)
製)4.71gを水139gに溶解させた水溶液中に加え、ホモ
ジナイザーを用いて毎分1200回転で5分間攪拌し、最後
に水を加え、総量を376gとしたW/O/Wエマルジョンを得
た。さらにこの溶液を60℃に加熱し、90分間攪拌を行な
い、水酸化ナトリウムの10%水溶液を用いてpHを6.5に
調整して感光性マイクロカプセル分散液(A−1)を調
製した。
感光性マイクロカプセル分散液(A−2)の調製(緑感
性) 上記感光性マイクロカプセル分散液(A−1)の調製に
おいて、上記感光性組成物(A−1)の代りに、感光性
組成物(A−2)を用いたこと以外は、同様にして感光
性マイクロカプセル分散液(A−2)を調製した。
感光性マイクロカプセル分散液(A−3)の調製(赤感
性) 上記感光性マイクロカプセル分散液(A−1)の調製に
おいて、上記感光性組成物(A−1)の代りに、感光性
組成物(A−3)を用いたこと以外は、同様にして感光
性マイクロカプセル分散液(A−3)を調製した。
[実施例2] 感光性マイクロカプセル分散液(B−1)、(B−2)
および(B−3)の調製 実施例1の感光性マイクロカプセル分散液(A−1)、
(A−2)および(A−3)の調製において、現像薬
(還元剤(I))を添加しなかった以外は、実施例1と
同様にして感光性マイクロカプセル分散液(B−1)、
(B−2)および(B−3)をそれぞれ調製した。
[実施例3] 感光性マイクロカプセル分散液(C−1)、(C−2)
および(C−3)の調製 実施例1の感光性マイクロカプセル分散液(A−1)、
(A−2)および(A−3)の調製において、イソホロ
ンジイソシアナートのトリメチロールプロパン付加物の
代りに、テトラメチルキシリレンジイソシアナートのト
リメチロールプロパン付加物(タケネートD181N、武田
薬品工業(株)製)を同量使用した以外は、実施例1と
同様にして感光性マイクロカプセル分散液(C−1)、
(C−2)および(C−3)をそれぞれ調製した。
[実施例4] 感光性マイクロカプセル分散液(D−1)、(D−2)
および(D−3)の調製 実施例1の感光性マイクロカプセル分散液(A−1)、
(A−2)および(A−3)の調製において、現像薬
(還元剤(I))を添加しなかった以外は、実施例1と
同様にして感光性マイクロカプセル分散液(D−1)、
(D−2)および(D−3)をそれぞれ調製した。
[比較例1] 感光性マイクロカプセル分散液(W−1)、(W−2)
および(W−3)の調製 実施例1の感光性マイクロカプセル分散液(A−1)、
(A−2)および(A−3)の調製において、イソホロ
ンジイソシアナートのトリメチロールプロパン付加物の
代りに、キシリレンジイソシアナートのトリメチロール
プロパン付加物(商品名;タケネートD110N、武田薬品
工業(株)製)を同量使用した以外は、実施例1と同様
にして感光性マイクロカプセル分散液(W−1)、(W
−2)および(W−3)をそれぞれ調製した。
[比較例2] 感光性マイクロカプセル分散液(X−1)、(X−2)
および(X−3)の調製 比較例1の感光性マイクロカプセル分散液(W−1)、
(W−2)および(W−3)の調製において、現像薬
(還元剤(I))を添加しなかった以外は、比較例1と
同様にして感光性マイクロカプセル分散液(X−1)、
(X−2)および(X−3)をそれぞれ調製した。
[比較例3] 感光性マイクロカプセル分散液(Y−1)、(Y−2)
および(Y−3)の調製 実施例1の感光性マイクロカプセル分散液(A−1)、
(A−2)および(A−3)の調製において、イソホロ
ンジイソシアナートのトリメチロールプロパン付加物の
代りに、ジフェニルメタンジイソシアナートの多量体
(商品名;MR-200、日本ポリウレタン工業(株)製)を1
6.7g使用した以外は、実施例1と同様にして感光性マイ
クロカプセル分散液(Y−1)、(Y−2)および(Y
−3)をそれぞれ調製した。
[比較例4] 感光性マイクロカプセル分散液(Z−1)、(Z−2)
および(Z−3)の調製 比較例3の感光性マイクロカプセル分散液(Y−1)、
(Y−2)および(Y−3)の調製において、現像薬
(還元剤(I))を添加しなかった以外は、比較例3と
同様にして感光性マイクロカプセル分散液(Z−1)、
(Z−2)および(Z−3)をそれぞれ調製した。
[感光性マイクロカプセルとしての評価] 上記のようにして製造した各感光性マイクロカプセル
(ただし、実施例および比較例について各一種(青感
性)の感光性マイクロカプセルを使用した)を以下の方
法により評価した。
(1) イソシアナートと還元剤(現像薬)との反応性
の測定 上記のようにして製造した各感光性マイクロカプセル分
散液中に残存している現像薬の量を液体クロマトグラフ
ィー(LC-EA、(株)島津製作所製)を用いて測定し
た。
(2) しみ出し温度の測定 以下のようにして調製したサンプルを利用し、感光性マ
イクロカプセル中の内容物の『しみ出し温度』を測定し
た。
各感光性マイクロカプセル分散液をその塗布量が21ml/m
2となるようにそれぞれ下記の受像材料上に均一に塗布
し、乾燥して『しみ出し温度』を評価するためのサンプ
ルをそれぞれ調製した。
また、『しみ出し温度』は以下の方法で測定した。上記
のサンプルを80、100、120、140および180℃で10秒間そ
れぞれ加熱したとき、カプセル内に含まれた内容物(芯
物質)のしみ出しにより生じた発色の濃度をマクベス反
射濃度計を用いて測定し、これらをグラフ(横軸;温度
/縦軸;反射濃度)上にプロットした。そしてプロット
した点を結んで濃度曲線を描き、その曲線の立上ったと
ころに対応する温度をグラフから読み取り『しみ出し温
度』とした。
受像材料の作成 125gの水に40%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液11g
を加え、さらにこれに3,5−ジ−α−メチルベンジルサ
リチル酸亜鉛34gと55%炭酸カルシウムスラリー82gとを
混合して、ミキサーで粗分散した。その液をダイノミル
分散機で分散し、得られた液の200gに対し、8%ポリビ
ニルアルコール112gを加え均一に混合した。この混合液
を坪量55g/m2の紙支持体(JIS−P−8207により規定さ
れる繊維長分布として24メッシュ残分の重量%と42メッ
シュ残分の重量%との和が30乃至60%であるような繊維
長分布を有する原紙を用いた紙支持体[特開昭63-18623
9号公報])上に30μmのウエット膜厚となるように均
一に塗布した後、乾燥して受像材料を作成した。
以上の結果を下記第1表に示す。
なお、表において、現像薬の残存率は、添加量に対する
割合(%)で表示した。
第1表に示された結果から、本発明に係るイソシアナー
トは現像薬(還元剤)との反応性が極めて低く、またこ
れらを使用して調製した感光性マイクロカプセルは、
『しみ出し温度』の高い壁(すなわち、ガラス転移点の
高い壁)を有していることがわかる。
[感光材料の作成] [実施例5] 紙支持体の作成 LBSP20部とLBKP80をリファイナリーを用いてカナディア
ンフリーネス(CSF)290ccに叩解し、中性サイズ剤とし
てアルキルケテンダイマー(アコーベル12、ディックハ
ーキュレス社製)0.3部、定着剤としてポリアミドポリ
アミンエピクロルヒドリン(カイメン557、ディックハ
ーキュレス社製)0.5部、および紙力増強剤としてカチ
オン変性ポリアクリルアミド(商品名;ポリストロン70
5、荒川化学(株)製)0.5部をいずれもパルプ絶乾重量
比で添加した。次いで、長網抄紙機を用いて上記紙料を
坪量60g/m2、厚さ66μmの原紙に抄造した。
以上のように作製した原紙の表面(フェルト面)にポリ
塩化ビニリデン樹脂からなる防湿層形成用塗布液、およ
びSBRラテックス(商品名:SN-304、住友ノーガタック
(株)製)100部、ポリアクリル酸ナトリウム(商品
名:アロンT40、東亜合成化学工業(株)製)1部、ク
レイ(商品名:UW-90、エンゲルハルト社製)200部、及
び石油樹脂(商品名:カーボミュールR、ディックハー
キュレス社製)100部からなる組成の防湿層形成用塗布
液をそれぞれ調製し、該塗布液を順にエアーナイフコー
ターによりそれぞれ坪量が16g/m2、5g/m2の塗布量で塗
布して紙支持体を作製した。
塩基プレカーサー固体分散液の調製 下記の塩基プレカーサー20gをポリビニルアルコール(P
VA-205、(株)クラレ製)の4%水溶液80gに加え、ダ
イノミルを用いて20℃にて平均粒径が2μm以下になる
まで分散して塩基プレカーサー固体分散液を調製した。
感光材料(A)の作成 実施例1において得た各感光性マイクロカプセル分散液
(A−1)、(A−2)および(A−3)に対してそれ
ぞれ(A−1)を11.6g、(A−2)を10.2g、(A−
3)を11.6g、ソルビトールの20%水溶液9mlおよびスタ
ーチの10%分散液10mlを混合した。この混合液に更に、
下記の界面活性剤の5%水溶液4mlと水を加えて全量を7
4gとした塗布液を調製した。
この塗布液を前記の紙支持体上に50g/m2の塗布量で塗布
し、約60℃で乾燥して本発明に従う感光材料(A)を作
成した。
[実施例6] 感光材料(C)の作成 実施例5の感光材料(A)の作成において、感光性マイ
クロカプセル分散液(A−1)、(A−2)及び(A−
3)の代りに、実施例3において得た感光性マイクロカ
プセル分散液(C−1)、(C−2)および(C−3)
をそれぞれ同量使用した以外は、実施例5と同様にして
本発明に従う感光材料(C)を作成した。
[比較例5] 感光材料(W)の作成 実施例5の感光材料(A)の作成において、感光性マイ
クロカプセル分散液(A−1)、(A−2)及び(A−
3)の代りに、比較例1において得た感光性マイクロカ
プセル分散液(W−1)、(W−2)及び(W−3)を
それぞれ同量使用した以外は、実施例5と同様にして比
較用の感光材料(W)を作成した。
[比較例2] 感光材料(Y)の作成 実施例5の感光材料(A)の作成において、感光性マイ
クロカプセル分散液(A−1)、(A−2)及び(A−
3)の代りに、比較例3において得た感光性マイクロカ
プセル分散液(Y−1)、(Y−2)及び(Y−3)を
それぞれ同量使用した以外は、実施例5と同様にして比
較用の感光材料(Y)を作成した。
[感光材料としての評価] 上記のようにして製造した各感光材料を以下の方法で評
価した。
各感光材料を、タングステン電球を用い、連続フィルタ
ー(透過濃度0〜3.0)を通して、2000ルクスで1秒間
像様露光したのち、これを150℃のホットプレート上に
置き10秒間加熱現像した。次いで各感光材料をそれぞれ
上記受像材料と重ね、その状態で500kg/cm2の加圧ロー
ラーを通した。各受像材料上に得られた画像の白地部の
濃度(最低濃度(D min))を青色(DB)、緑色
(DG)および赤色(DR)について、マスベス反射濃度
計を用いて測定した。
以上の測定結果をまとめて第2表に示す。
第2表に示された結果から、本発明に従う感光性マイク
ロカプセルを有する感光材料(A)および(C)は、内
容物のしみ出しが抑えられ、最低濃度の低い画像を与え
ることがわかる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ハロゲン化銀、還元剤および重合性化合物
    を含む芯物質の周囲に、イソシアナート成分としてイソ
    ホロンジイソシアナートまたはテトラメチルキシリレン
    ジイソシアナートを用いたポリウレアおよび/またはポ
    リウレタン樹脂からなる外殻が形成されてなる感光性マ
    イクロカプセル。
  2. 【請求項2】上記外殻が、イソホロンジイソシアナート
    またはテトラメチルキシリレンジイソシアナートのアダ
    クト体またはビュレット変性体から生成されたポリウレ
    アおよび/またはポリウレタン樹脂からなる特許請求の
    範囲第1項記載の感光性マイクロカプセル。
  3. 【請求項3】支持体上に、ハロゲン化銀、還元剤および
    重合性化合物を含む感光層を有し、かつハロゲン化銀、
    還元剤および重合性化合物がマイクロカプセルに収容さ
    れており、該マイクロカプセルの外殻が、イソシアナー
    ト成分としてイソホロンジイソシアナートまたはテトラ
    メチルキシリレンジイソシアナートを用いたポリウレア
    および/またはポリウレタン樹脂壁からなる感光材料。
  4. 【請求項4】上記外殻が、イソホロンジイソシアナート
    またはテトラメチルキシリレンジイソシアナートのアダ
    クト体またはビュレット変性体から生成されたポリウレ
    アおよび/またはポリウレタン樹脂壁からなる特許請求
    の範囲第3項記載の感光材料。
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