JPH07100853B2 - プラズマ処理方法及び処理装置 - Google Patents

プラズマ処理方法及び処理装置

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JPH07100853B2
JPH07100853B2 JP22857788A JP22857788A JPH07100853B2 JP H07100853 B2 JPH07100853 B2 JP H07100853B2 JP 22857788 A JP22857788 A JP 22857788A JP 22857788 A JP22857788 A JP 22857788A JP H07100853 B2 JPH07100853 B2 JP H07100853B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はプラズマ処理による薄膜の形成もしくはエッチ
ングによるパターンの形成方法及びその装置に係り、特
に高周波エネルギを複数の電極にそれぞれ供給してプラ
ズマ処理するに際し、電極と電源とのインピーダンス整
合に好適なプラズマ処理方法及びその装置に関する。
〔従来の技術〕
周知のように基板側電極(基板電極とも云う)と対応電
極間に高周波エネルギを供給することによりプラズマを
発生させ、基板にプラズマ処理を施す方法としては、大
別すると薄膜形成方法と基板表面のプラズマエッチング
方法との二つに分けることができる。また、薄膜形成方
法には、対向電極に薄膜形成用のターゲット電極を用い
るスパッタ方法とプラズマ中に薄膜形成用原料ガスを供
給してCVD(Chemical Vapour Deposition)により薄膜
を形成するプラズマCVD方法とがある。上記プラズマエ
ッチング方法は、薄膜形成方法とは逆で、プラズマ中に
基板表面をエッチングするためのエッチング原料ガスを
供給して分解生成せしめ、この生成物で基板表面をエッ
チングする方法である。このようにプラズマ処理方法に
は成膜(薄膜を形成する意味で使用)とエッチングとが
あるが、以下、ターゲット電極を使用したスパッタの例
で従来の技術を説明する。
第2図は従来装置の一例を示したものである。ターゲッ
ト301がその表面に配設されたスパッタ電極201と基板電
極202はそれぞれインピーダンス整合装置203、204を通
じて高周波電源205、206によって励振されている。この
例では両高周波電源の出力周波数は公称13.36MHzである
が、実際にはお互いに10kHz周波数を違えている。基板2
07は基板電極202に固定されている。
成膜はスパッタ電極201に3000W、基板電極202に300Wの
高周波電力を投入して行うものである。基板207ないし
は基板電極202はスパッタ電極201に正対しており、また
スパッタ電極201への投入電力が基板電極202へのそれよ
りも著しく大きいため、基板電極202にもスパッタ電極2
01に投入した高周波電力の幾分かが誘起される。整合装
置203、204のインピーダンス整合状態の検出は方向性結
合器(図示せず)によって整合器から高周波電源へ向か
って進む高周波電力を検出して行う。
この種の2電極201、202にそれぞれ同一出力周波数の高
周波電力を供給したバイアススパッタによるSiO2のスパ
ッタ成膜法及びその装置に関連するものには、例えば米
国真空科学技術雑誌第15巻第3号第1105〜第1112頁(19
78)〔J.of Vacuum Sience&Technology 15(3)page
1105〜1112(1978)〕を挙げることができる。また、タ
ーゲット電極を2つに分割しそれぞれに高周波エネルギ
を供給すると共にターゲットとして一方にはシリコン、
他方にはメタルを用いて、例えばタングステンシリサイ
ドのごときメタルシリサイド膜を形成する方法及び装置
の例がアイ・イ・イ・イーアイ・イ・ディ・エム−86第
62〜65(1986年)〔IEEE,IEDM−86page62〜65(198
6)〕において論じられている。
〔発明が解決しようとする課題〕
周知のように、電極に高周波電源から高周波エネルギを
供給(給電)する場合、電極と電源間の、特に導波路と
電極の給電点とのインピーダンス整合は、高周波エネル
ギの反射による損失を防止する上から重要な事項であ
り、従来からも給電される電極近傍にインピーダンス整
合器が配設され、反射波が最小となるよう調整されてい
る。この反射波出力は、通常、方向性結合器で検出して
いるが、例えばプラズマ処理室内に基板電極と対向電極
とから成る一対の電極が配設され対向電極のみに高周波
電源が接続されているような単純な場合には、1つの対
向電極と1つの高周波電源とのインピーダンス整合であ
るから、電源から対向電極に供給された高周波エネルギ
の反射波が最小となるよう、つまり定在波比SWRを1に
近づけるように方向性結合器で反射波出力を検出しなが
らインピーダンス整合器を調整すれば容易に正しい整合
状態を得ることができる。しかし、上記第2図の従来例
に示したように高周波電源が複数(この例では205、206
の2つ)あり、それぞれが対応するスパッタ電極201、
基板電極202に接続されている場合に、例えば基板電極2
02に自己の高周波電源206から供給された高周波エネル
ギに対する正しいインピーダンス整合状態を得ようとす
ると、電源205からスパッタ電極201に供給された高周波
エネルギの誘導を受け、この誘導高周波エネルギの干渉
波と自己の電源206から供給された高周波エネルギの反
射波との区別なしに方向性結合器で検出され、それに応
じてインピーダンス整合器204で整合がとられ、自己の
電源206から供給された高周波エネルギに対しての正し
いインピーダンス整合状態が得られないという問題があ
った。
つまり、インピーダンス整合は整合器204を調整し、反
射波が最小となった時に最も正しく整合したことになる
が、この場合従来の反射波を検出する方向性結合器には
周波数選択性がないため前述のとおり、スパッタ電極20
1から誘導され、検出された反射波と自己の電源206から
のそれとの区別がつかず、そのため電源206と基板電極2
02との正しい整合状態が得られておらず、結果として基
板電極202へのバイアス電力を正確に管理することがで
きない。
以上述べたように、従来技術においては、複数の高周波
電源を用いたプラズマ処理において各電極に供給された
正確な高周波エネルギの監視が電極同士の干渉によって
困難になるという問題があり、これが発明が解決しよう
とする課題である。
本発明の目的は、上記技術課題を解決することにあり、
その第1の目的は複数の高周波電源を用いる場合の改良
されたプラズマ処理方法を提供することにあり、第2の
目的は改良された処理装置を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記本発明の第1の目的は、基板側電極と対向電極との
両電極にそれぞ高周波エネルギを供給するか、もしくは
前記両電極の少なくとも一方を複数の電極に分割し、そ
の分割された各電極にそれぞれ高周波エネルギを供給し
て、プラズマを発生させ、前記基板側電極上もしくはそ
の近傍に配置された基板表面にプラズマ処理を施す方法
において、前記各電極に供給する高周波エネルギとして
それぞれ互に出力周波数の異なる高周波エネルギを供給
し、かつ前記高周波エネルギの供給される各電極とそれ
に対応した高周波電源との間に、前記高周波エネルギを
供給した電極からの反射波出力を検出して前記電極と高
周波電源との間のインピーダンス整合を図る手段を配設
すると共に前記反射波出力の検出は他極に供給された前
記周波数の異なる高周波エネルギの誘導からの干渉波出
力を除去し自極に対応する高周波電源から直接供給され
た特定周波数の高周波エネルギに基づく反射波出力のみ
を選択的に検出して前記インピーダンス整合を図るよう
にしたことを特徴とするプラズマ処理方法により、達成
される。
そして、上記対向電極を成膜原料を有するターゲット電
極とすることにより、上記基板上に前記ターゲット電極
組成に対応した薄膜を形成することのできる高周波スパ
ッタ方法が実現できる。そしてこの場合、基板側電極に
供給する高周波エネルギを対向電極となるターゲット電
極に供給するそれよりも小とし、かつ相互に異なる出力
周波数の高周波電源を用いることにより、基板バイアス
電力を正確に管理することのできる高周波バイアススパ
ッタ方法が実現できる。
また、本発明の好ましい実施態様によれば、上記対向電
極を複数電極に分割すると共に分割されたこれら各電極
にそれぞれ互いに出力周波数の異なる高周波エネルギを
供給し、しかも前記各対向電極をそれぞれ異なる組成を
有するターゲット電極とすることにより、上記基板上に
前記複数のターゲット電極組成に対応した複合組成薄膜
を形成することのできる高周波スパッタ方法が実現でき
る。
また、本発明の好ましい異なる実施態様によれば、上記
高周波エネルギを供給することにより発生するプラズマ
領域内に薄膜形成用原料ガスを導入し、分解生成させる
ことにより、上記基板上に前記分解生成物に基づく薄膜
を形成することのできるプラズマCVD方法が実現でき
る。
さらにまた、本発明の好ましい異なる実施態様によれ
ば、上記高周波エネルギを供給することにより発生する
プラズマ領域内にエッチング用原料ガスを導入し、分解
生成させることにより上記基板表面を前記分解生成物で
エッチング処理することのできるプラズマエッチング方
法が実現できる。なお、このプラズマエッチング方法に
おいて、上記基板上に、予め所定のマスクパターンを形
成しておき、前記マスクを介してエッチング処理するこ
とによりプラズマエッチング方法によるパターン形成方
法が実現できる。さらにまた、上記プラズマエッチング
方法において、上記基板上にレジストマスクが形成され
ており、前記レジストマスクをプラズマアッシングによ
り除去することによりプラズマアッシング方法が実現で
きる。
上記本発明の第2の目的は、真空槽内に、基板側電極と
対向電極と前記基板側電極上もしくはその近傍に配置さ
れた基板とを備え、しかも前記両電極にそれぞれ互に出
力周波数の異なる高周波エネルギ供給電源を接続する
か、もしくは前記両電極の少なくとも一方を複数電極に
分割して、その分割された各電極にそれぞれ互に出力周
波数の異なる高周波エネルギ供給電源を接続し、かつ、
前記高周波エネルギを供給する電極と高周波電源との間
にインピーダンス整合器と前記インピーダンスの整合の
度合を検出する方向性結合器とを直列に接続すると共に
前記方向性結合器からの反射波出力のうち、自極の高周
波電源から供給された高周波エネルギの反射波出力のみ
を選択的に通し、他極に供給される周波数の異なる高周
波電源からの誘導高周波エネルギによる干渉波出力を除
去する機能を有するフィルタを内蔵した選択性レベル計
を前記方向性結合器に接続し、自極の高周波電源から直
接供給された高周波エネルギに基づく反射波出力のみを
選択的に検出してインピーダンス整合を図る手段を具備
して成ることを特徴とするプラズマ処理装置により、達
成される。
本発明の好ましい実施態様によれば、上記対向電極を成
膜原料を有するターゲット電極としたことによる高周波
スパッタ装置を、また、上記対向電極を複数電極に分割
すると共に、分割されたこれら各電極にそれぞれ互いに
出力周波数の異なる高周波エネルギを供給し、しかも前
記各対向電極をそれぞれ異なる組成を有するターゲット
電極としたことによる高周波スパッタ装置を、さらにま
た、上記真空槽内のプラズマ発生領域内に薄膜形成用原
料ガスを導入する手段を設けて成るプラズマCVD装置
を、そして、上記真空槽内のプラズマ発生領域内にエッ
チング原料ガスを導入する手段を設けて成るプラズマエ
ッチング装置をそれぞれ実現することができる。
上述のごとく、本発明のプラズマ処理方法及びその装置
においては、複数の電極に、それに対応した複数の高周
波電源から高周波エネルギを供給するに際して、互に出
力周波数の異なる高周波電源を使用することが第1の条
件であり、第2の条件としては、電極と電源間のインピ
ーダンス整合をとる際に、反射波を検出する方向性結合
器の信号経路に周波数弁別機能をもたせ、自己の電源周
波数の反射波のみを通過させ、他の電極からの誘導によ
る周波数の異なるそれを遮断し、自己の電源周波数の反
射波だけを正確に検出することによって、正しい整合を
実現するようにしたことである。上記方向性結合器の信
号経路に自己の電源周波数の反射波のみをパスさせるた
めの周波数弁別機能をもたせる手段としては、周知の
「無線周波の通信用受信機」と原理的に同一のものであ
り、いわゆるラジオの同調、検波、増幅回路を応用した
ものでよく、所定の遮断周波数特性を持ったフィルタ、
好ましくはバンドパスフィルタ回路を設ければよく、具
体的には、実施例の項で詳述する。
〔作用〕
所定の電源から所定の電極に供給した高周波エネルギの
反射波を検出する方向性結合器からの信号経路に、自己
の電源周波数をのみ通過させるフィルタを設けることに
より、自己の電源からの高周波エネルギに対応した反射
波のみを正確に検出し、それに基づいて正しいインピー
ダンス整合状態を得ることが可能となる。
〔実施例〕
実施例1 この例は、1つの基板電極と1つのターゲット電極にそ
れぞれ異なる周波数の高周波電力(以下、これまでのエ
ネルギを電力と呼ぶことにする)が供給されて構成され
た高周波プラズマバイアススパッタ方法及びその装置の
具体例を示すものであり、以下、第1図、第3図〜第5
図に従って説明する。
第1図は装置の全体構成を模式的に示した概略説明図
で、スパッタ電極201とこの電極に対向して基板電極202
が真空槽101に取り付けてあり、それぞれにインピーダ
ンス整合装置203、204を介して、電極を励振する高周波
電源205、206が接続されている。スパッタ電極201に
は、ターゲット301が取り付けられ、基板207は、基板電
極202に固定されている。また、図示しなかったが、真
空槽101には、真空排気手段とスパッタガスの導入手段
を備えている。
スパッタ電極201、基板電極202の両方ともにそれぞれに
接続したインピーダンス整合装置203、204と高周波電源
205、206の途中に高周波電力の入射波、反射波を検出す
る方向性結合器401、402を具備している。方向性結合器
402の反射波側の出力は、本発明の特徴である選択性レ
ベル計404に接続してある。この選択性レベル計は「無
線周波の通信用受信機」と原理的に同一のものであり、
特に入力の高周波信号に比例したレベルの直流出力を得
ることができるものである。従って、この選択性レベル
計の方式としては、通信用受信機の分野で多くの方式
が、既に考案されている。この一例として、選択性レベ
ル計の内部構成を第4図に示す。その回路構成は、入力
信号と、検出したい周波数から中間周波数だけ離れた周
波数を発振する内部発振器501、この両者を混合する周
波数混合器(ミキサ)502、狭帯域バンドパスフィルタ5
03、中間周波増幅器504、検波505、直流増幅器506を接
続している。
第4図の入力は、方向性結合器の反射波の出力で、例え
ばこの場合、スパッタ電極201の投入電力周波数13.57MH
zの基板電極202の投入電力周波数13.56MHzの混合された
信号である。この入力から、基板電極202の投入した周
波数成分の反射波のみを選択性レベル計404で検知する
ため、その内部発振器501の発信周波数22.56MHzの信号
と入力信号とを周波数混合器(ミキサ)502により混合
する。その出力は発信周波数と入力信号周波数の和、ま
たは差の周波数となる。この場合、差の出力として、ス
パッタ電極201に投入した電力周波数に対応して、8.99M
Hz、基板電極202の投入周波数に対応して、9.00MHzの2
つの周波数成分となる。また、狭帯域バンドパスフィル
タ503は、基板電極の投入周波数成分を検出するため、
この場合、中心周波数を9MHzとして9MHz±200Hz、−6dB
の第5図に示す周波数特性を有している。従って、狭帯
域バンドパスフィルタ503は、基板電極202に投入した電
力周波数の反射波の信号のみを出力する。スパッタ電極
201の信号は−60dB、すなわち電圧比で1/1000になる。
以下、この基板電極の投入電力周波数成分の反射波出力
のみを増幅し、選択性レベル計の出力となる。従って、
この選択性レベル計404は、スパッタ電極201に電力を印
加する高周波電源205の周波数には感ぜずして、基板電
極202に電力を印加する高周波電源206の周波数のみを検
出することができ、これにより周波数選択レベル計の出
力は、基板電極への投入電力にのみ対応して表示装置40
6によって反射電力が表示できる。なお、方向性結合器4
02から、表示装置406に接続した配線407は、電源206か
らインピーダンス整合器204への入射波出力を表示する
ためのものである。したがって、この表示装置406で入
射波出力と反射波出力とを読取ることにより、実際に電
源206から基板電極202に投入された電力を監視すること
ができる。
以上からバイアススパッタでは基板側の電力が、スパッ
タ電極側の電力に比べて10分の1程度と小さく、スパッ
タ電極201への大きな投入電力により、基板電極202にか
なりの電力が誘起されていたが、本発明の実施例によれ
ば基板電極202からの反射波電力のみを正しく、独立し
て検出し、基板電極へ投入される電力を正確に制御する
ことができる。
本実施例において、ターゲット301として石英板(Si
O2)を用いて石英のバイアススパッタに適用した場合の
成膜結果を第3図に示す。同図の横軸に成膜のバッチ
数、縦軸に各バッチの膜厚分布の最大最小を示す。第3
図(a)は比較のために第2図に示した従来のバイアス
スパッタで成膜した場合、第3図(b)は第1図の本実
施例を用いた場合である。成膜条件は、スパッタ電極20
1に3kW、基板電極202にその1/10の300Wの高周波電力を
投入し、スパッタガス圧力0.8Paで成膜した。なお、ス
パッタガスにはアルゴン、基板にはシリコンウエハを使
用した。第3図(b)より本実施例を用いた場合、従来
10%の膜厚バラツキがあったものが、4%まで押さえら
れる。これは、基板バイアスの整合を、いつでも正確に
とることができたための結果である。
実施例2 この例は対向電極となるスパッタ電極を4つに分割し
て、1つの基板電極の周囲に配設し、各スパッタ電極に
それぞれ互に異なる周波数の高周波電力が供給されて構
成される高周波スパッタ方法及びその装置の具体例を示
すもので、以下、第6図に従って説明する。
第6図は装置全体構成を模式的に示した概略説明図で、
スパッタ電極201、201-1、201-2、201-3は基板電極202
を取り巻くように真空槽101に取り付けてあり、それぞ
れのスパッタ電極にはインピーダンス整合装置203、203
-1、203-2、203-3を介して、それぞれのスパッタ電極を
励振する高周波電源205、205-1、205-2、205-3が接続さ
れている。それぞれのスパッタ電極201、201-1、20
1-2、201-3には、ターゲット301、301-1、301-2、301-3
が取り付けられ、基板207は、基板電極207に固定されて
いる。また、図示しなかったが、真空槽101には、真空
排気手段とスパッタガスの導入手段を備えている。
スパッタ電極、基板電極の両方ともにそれぞれに接続し
たインピーダンス整合装置203、203-1、203-2、203-3
高周波電源205、205-1、205-2、205-3の途中に高周波電
力の入射波、反射波を検出する方向性結合器401、40
1-1、401-2、401-3を具備している。方向性結合器401、
401-1、401-2、401-3の反射波側の出力は、本発明の特
徴である周波数選択性を持ち、方向性結合器からの高周
波信号をその強さに応じた直流電圧に変換する選択性レ
ベル計404、404-1、404-2、404-3に接続してある。
この選択性レベル計は、実施例の第4図「無線周波の通
信用受信機」と原理的に同一のものであり、特に入力の
高周波信号に比例したレベルの直流出力を得ることがで
きるものである。従って、この選択性レベル計の方式と
しては、通信用受信機の分野で多くの方式が、既に考案
されている。これらの一例として、先の実施例1の第4
図に示したものと原理的に同一の選択性レベル計を本実
施例においても使用した。従ってその回路構成の説明に
ついては重複するので、ここでは省略する。各選択性レ
ベル計に設けられた狭帯域バンドパスフィルタ503は、
それぞれの電源周波数に応じた反射波のみを通過させる
ことのできるものであることは云うまでもない。
再び第4図を用いて第6図の装置の動作を説明すると、
入力は、方向性結合器の反射波の出力で、例えばこの場
合、スパッタ電極201の投入電力周波数13.56MHz、スパ
ッタ電極201-1の投入電力周波数13.57MHz、スパッタ電
極201-2の投入電力周波数13.58MHz、スパッタ電極201-3
の投入電力周波数13.59MHzの混合された信号である。こ
の入力からスパッタ電極201に投入した周波数成分の反
射波のみを選択性レベル計404で検知するため、その内
部発振器501の発信周波数22.56MHzの信号と入力信号と
を周波数混合器(ミキサ)502により混合する。その出
力は発信周波数と入力信号周波数の和、または差の周波
数となる。この場合、差の出力として、スパッタ電極20
1に投入した電力周波数に対応して、9.00MHz、スパッタ
電極201-1に投入した電力周波数に対応して、8.99MHz、
スパッタ電極201-2に投入した電力周波数に対応して、
8.98MHz、スパッタ電極201-3に投入した電力周波数に対
応して、8.97MHzの4つの周波数成分となる。また、狭
帯域バンドパスフィルタ503は、スパッタ電極201の投入
周波数成分を検出するため、この場合、中心周波数を9M
Hzとして9MHz±200Hz、−6dBの実施例1と同様に第5図
に示す周波数特性を有している。従って、狭帯域バンド
パスフィルタ503は、スパッタ電極201に投入した電力周
波数の反射波の信号のみを出力する。他のスパッタ電極
201-1、201-2、201-3の信号は、−60dB、すなわち電圧
比で1/1000になる。以下、このスパッタ電極の投入電力
周波数成分の反射波出力のみを増幅し、選択性レベル計
の出力となる。従って、この選択性レベル計404は、他
のスパッタ電極201-1〜201-3に電力を印加する高周波電
源205-1〜205-3の周波数には感ぜずして、スパッタ電極
201に電力を印加する高周波電源205の周波数のみを検出
することができ、これにより周波数選択レベル計の出力
は、スパッタ電極201への投入電力にのみ対応して表示
装置406により反射波電力が表示できる。
他の選択レベル計404-1〜404-3も同様に、接続されてい
る高周波電源205-1〜205-3の周波数のみを検出するよう
に回路に設計してある。それぞれの周波数選択レベル計
の出力は、それぞれのスパッタ電極への投入電力にのみ
対応した反射波電力を指示する表示装置406、406-1〜40
6-3に接続している。この構成により表示装置406の反射
電力の表示には、高周波電源205によりスパッタ電極201
に投入される電力のみに応じた表示がされる。同様に表
示装置406-1は高周波電源205-1、表示装置406-2は高周
波電源205-2、表示装置406-3は高周波電源205-3により
投入される電力のみに応じた表示がされる。
以上から、従来、複数のスパッタ電極を有するスパッタ
装置では、近接するスパッタ電極から誘導される反射波
により、正確な整合を得ることができず、結果として真
の投入電力が不明となり、成膜速度が正確に制御できな
かったが、本発明によれば複数の各スパッタ電極からそ
れぞれ自己のスパッタ電極に投入した電力に対応した反
射波電力のみを正しく、独立して検出し、各スパッタ電
極へ投入される電力を正確に制御することができる。
本実施例において、ターゲット301、301-1〜301-3とし
て石英板(SiO2)を用いて、SiO2のスパッタに適用した
場合の成膜結果は、前記実施例の第3図と同様であっ
た。なお、成膜条件は、各スパッタ電極に3kWのそれぞ
れ10kHzきざみで周波数に差のある高周波電力を投入
し、スパッタガス圧力0.8Paで成膜時間を10分間一定と
して、基板電極202を回転させながら成膜した。スパッ
タガスにはアルゴン、基板にはシリコンウエハを使用し
た。第3図より、本実施例を用いた場合、従来20%の膜
厚バラツキがあったものが、8%まで押さえられる。
これは、各スパッタ電極のインピーダンス整合が正確に
とることができたための結果である。
実施例3 第7図に示した例は、第1図のターゲット301を取去っ
てCVD装置もしくはプラズマエッチング装置を構成した
概略図で、電極への投入高周波電力を正しく検出する手
段は、基本的に第1図の場合と全く同様である。ただ
し、この装置の場合、真空槽101の外部から原料ガス供
給系300により、両電極201、202間に発生するプラズマ
中に原料ガスが送給される構成になっている。
したがって、原料ガスとして、CVD用の例えば有機金属
化合物を用いれば、所定の基板207上に金属薄膜を形成
することができる(通常この種のCVDをMOCVDと称してい
る)。
また、原料ガスとして炭化水素、例えばメタンガスを送
給すれば、基板上にCVDにより炭素薄膜を形成すること
ができる。
さらにまた、原料ガスとしてエッチングガス、例えば四
塩化炭素ガスを供給し、基板207としてシリコンウエハ
上に予めAl薄膜を形成し、さらにその上にレジストマス
クパターンの形成されたものを用いてプラズマエッチン
グすれば、露出した領域のAl薄膜がエッチングされマス
クパターンに応じたAlパターンを形成することができ
る。
実施例4 第6図のターゲット301と301-2とをそれぞれCrターゲッ
トで、ターゲット301-1と301-3とをそれぞれCo−Ni合金
ターゲットで構成し、基板207、207-1〜207-3として磁
気ディスク用Al円板を用いて、基板電極202を回転させ
ながら高周波スパッタ処理を施せば、Cr−Co−Ni合金か
ら成る磁性薄膜の形成された磁性合金薄膜を記録媒体と
する磁気ディスクが得られる。
以上、実施例1〜4に示した一実施例により、本発明を
具体的に説明してきたが、高周波プラズマ処理方法及び
装置にはその他種々のものがあり、これらはその代表例
として示したものである。複数の互に異なる周波数の高
周波電源を同時に用いる場合には、いずれも他の電極
(もしくは電源)との相互干渉(誘導)の問題が生じる
が、本発明により、他の電極に関係なく独立に対応する
電源から電極への高周波エネルギの供給を正確に管理す
ることができる。
〔発明の効果〕
上述のとおり、複数の高周波電源からプラズマ処理装置
の各対応する電極に高周波エネルギを高精度の管理下に
おいて供給するに際し、本発明によれば、反射波出力の
検出回路、具体的には方向性結合器の信号経路に、各高
周波電源周波数に対応した狭帯域バンドパスフィルタ回
路を用いることにより、他の電源との相互干渉(誘導に
よる)を防止することができるので、各電源と対応する
電極とのインピーダンス整合を独立に正しく維持するこ
とができる。したがって、自己の電源から供給される電
極の高周波エネルギを正確に制御することができるの
で、プラズマ処理による成膜もしくはエッチング工程中
の条件管理が充分に精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示す高周波プラズマ処理装
置の説明用概略図、第2図は従来装置の概略図、第3図
は本発明の一実施例となるバイアススパッタによる成膜
特性を従来例と対比して示した特性図、第4図は本発明
の一実施例を示す選択性レベル計の回路ブロック図、第
5図は同じく本発明の一実施例となる選択性レベル計に
用いたバンドパスフィルタの周波数特性曲線図、第6図
は本発明の異なる実施例となる高周波プラズマ処理装置
の説明用概略図、そして第7図は本発明の更に異なる実
施例となる高周波プラズマ処理装置の説明用概略図であ
る。 図において、 101…真空槽、201…対向電極(スパッタ電極) 202…基板電極 203、204…インピーダンス整合器 301…ターゲット、207…基板 205、206…高周波電源、401、402…方向性結合器 405、406…電力表示装置、501…発振器 502…周波数混合器(ミキサ) 503…狭帯域フィルタ、504…中間周波増幅 505…検波、506…直流増幅 300…原料ガス供給系
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 21/3065 (72)発明者 藤田 昌洋 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株 式会社日立製作所生産技術研究所内 (72)発明者 亀井 常彰 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株 式会社日立製作所生産技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭60−63367(JP,A)

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板側電極と対向電極との両電極にそれぞ
    れ高周波エネルギを供給するか、もしくは前記両電極の
    少なくとも一方を複数の電極に分割し、その分割された
    各電極にそれぞれ高周波エネルギを供給して、プラズマ
    を発生させ、前記基板側電極上もしくはその近傍に配置
    された基板表面にプラズマ処理を施す方法において、前
    記各電極に供給する高周波エネルギとしてそれぞれ互に
    出力周波数の異なる高周波エネルギを供給し、かつ前記
    高周波エネルギの供給される各電極とそれに対応した高
    周波電源との間に、前記高周波エネルギを供給した電極
    からの反射波出力を検出して前記電極と高周波電源との
    間のインピーダンス整合を図る手段を配設すると共に前
    記反射波出力の検出は他極に供給された前記周波数の異
    なる高周波エネルギの誘導からの干渉波出力を除去し自
    極に対応する高周波電源から直接供給された特定周波数
    の高周波エネルギに基づく反射波出力のみを選択的に検
    出して前記インピーダンス整合を図るようにしたことを
    特徴とするプラズマ処理方法。
  2. 【請求項2】上記対向電極を成膜原料を有するターゲッ
    ト電極とすることにより、上記基板上に前記ターゲット
    電極組成に対応した薄膜を形成することを特徴とする請
    求項1記載のプラズマ処理方法による高周波スパッタ方
    法。
  3. 【請求項3】上記対向電極を複数電極に分割すると共に
    分割されたこれら各電極にそれぞれ互いに出力周波数の
    異なる高周波エネルギを供給し、しかも前記各対向電極
    をそれぞれ異なる組成を有するターゲット電極とするこ
    とにより、上記基板上に前記複数のターゲット電極組成
    に対応した複合組成薄膜を形成することを特徴とする請
    求項2記載の高周波スパッタ方法。
  4. 【請求項4】上記高周波エネルギを供給することにより
    発生するプラズマ領域内に薄膜形成用原料ガスを導入
    し、分解生成させることにより、上記基板上に前記分解
    生成物に基づく薄膜を形成することを特徴とする請求項
    1記載のプラズマ処理方法によるプラズマCVD方法。
  5. 【請求項5】上記高周波エネルギを供給することにより
    発生するプラズマ領域内にエッチング用原料ガスを導入
    し、分解生成させることにより上記基板表面を前記分解
    生成物でエッチング処理することを特徴とする請求項1
    記載のプラズマ処理方法によるプラズマエッチング方
    法。
  6. 【請求項6】上記基板上に、予め所定のマスクパターン
    を形成しておき、前記マスクを介してエッチング処理す
    ることを特徴とする請求項5記載のプラズマエッチング
    方法によるパターン形成方法。
  7. 【請求項7】上記基板上にレジストマスクが形成されて
    おり、前記レジストマスクをプラズマアッシングにより
    除去することを特徴とする請求項5記載のプラズマエッ
    チング方法によるプラズマアッシング方法。
  8. 【請求項8】真空槽内に、基板側電極と対向電極と前記
    基板側電極上もしくはその近傍に配置された基板とを備
    え、しかも前記両電極にそれぞれ互に出力周波数の異な
    る高周波エネルギ供給電源を接続するか、もしくは前記
    両電極の少なくとも一方を複数電極に分割し、その分割
    された各電極にそれぞれ互に出力周波数の異なる高周波
    エネルギ供給電源を接続し、かつ、前記高周波エネルギ
    を供給する電極と高周波電源との間にインピーダンス整
    合器と前記インピーダンスの整合の度合を検出する方向
    性結合器とを直列に接続すると共に前記方向性結合器か
    らの反射波出力のうち、自極の高周波電源から供給され
    た高周波エネルギの反射波出力のみを選択的に通し、他
    極に供給される周波数の異なる高周波電源からの誘導高
    周波エネルギによる干渉波出力を除去する機能を有する
    フィルタを内蔵した選択性レベル計を前記方向性結合器
    に接続し、自極の高周波電源から直接供給された高周波
    エネルギに基づく反射波出力のみを選択的に検出してイ
    ンピーダンス整合を図る手段を具備して成ることを特徴
    とするプラズマ処理装置。
  9. 【請求項9】上記対向電極を成膜原料を有するターゲッ
    ト電極としたことを特徴とする請求項8記載のプラズマ
    処理装置による高周波スパッタ装置。
  10. 【請求項10】上記対向電極を複数電極に分割すると共
    に分割されたこれら各電極にそれぞれ互いに出力周波数
    の異なる高周波エネルギを供給し、しかも前記各対向電
    極をそれぞれ異なる組成を有するターゲット電極とした
    ことを特徴とする請求項9記載の高周波スパッタ装置。
  11. 【請求項11】上記真空槽内のプラズマ発生領域内に薄
    膜形成用原料ガスを導入する手段を設けて成ることを特
    徴とする請求項8記載のプラズマ処理装置によるプラズ
    マCVD装置。
  12. 【請求項12】上記真空槽内のプラズマ発生領域内にエ
    ッチング原料ガスを導入する手段を設けて成ることを特
    徴とする請求項8記載のプラズマ処理装置によるプラズ
    マエッチング装置。
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