JPH07100822A - 水硬性材料の製造方法 - Google Patents

水硬性材料の製造方法

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JPH07100822A
JPH07100822A JP27117393A JP27117393A JPH07100822A JP H07100822 A JPH07100822 A JP H07100822A JP 27117393 A JP27117393 A JP 27117393A JP 27117393 A JP27117393 A JP 27117393A JP H07100822 A JPH07100822 A JP H07100822A
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mixture
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  • Preparation Of Clay, And Manufacture Of Mixtures Containing Clay Or Cement (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ベントナイト泥水等の安定液との置換性が良好
でかつ遮水、土止め等に適した水硬性材料の製造方法お
よび地中壁構築工法を提供する。 【構成】本発明の水硬性材料の製造方法は、まず、ベン
トナイト等の膨潤物質と水とを、例えば、水1部に対
し、ベントナイトが0.03乃至0.2部の重量比で混
合して水膨潤物質混合物をつくり(ステップ2)、一方
で、水硬性セメント、骨材および水を、例えば水硬性セ
メント1部に対し、骨材が3乃至8部、水が0.5乃至
1.5部の重量比で混合して水セメント混合物をつくる
(ステップ3)。次いで、水膨潤物質混合物と水セメン
ト混合物とを、例えば、水セメント混合物1部に対し、
水膨潤物質混合物が0.2乃至1部の体積比で混合する
(ステップ4)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、モルタル、コンクリー
ト等の水硬性材料の製造方法に係り、特に、地中壁等に
適した水硬性材料の製造方法および地中壁構築工法に関
する。
【0002】
【従来の技術】地中連続壁工法は、安定液によって側壁
の崩壊を防ぎながら地盤をトレンチ状に掘削し、掘削終
了後、トレンチ内に地中壁を構築する工法であるが、地
中壁の目的、トレンチの深さ等に応じてさらに様々な工
法が存在する。
【0003】例えば、地中壁を本体構造物の耐震壁等に
利用する場合には、コンクリートをトレミー管等で打設
することによって安定液をコンクリートで置換し、トレ
ンチ内に高強度の地中壁を構築する。
【0004】一方、地中壁を止水壁、遮水壁等に利用す
る場合、地中壁に要求される強度は比較的小さいことか
ら、コンクリートよりも安価ないわゆる自硬性安定液が
使用されることが多い。自硬性安定液は、掘削中におい
ては側壁の崩壊を防止し、掘削後においては安定液自ら
硬化して地中壁を構成する。
【0005】ここで、地中壁が深い場合には掘削量が増
加しあるいは掘削地盤が強固になって掘削時間が長くな
る。そのため、掘削中は自硬性安定液を使用せずにポリ
マー、ベントナイト等を含んだ安定液を使用し、掘削後
にこれを自硬性安定液と置換することによってトレンチ
内に地中壁を構築する工法が採られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
自硬性安定液は、ベントナイト泥水等の安定液との比重
の差はあまり大きくなく、従って自硬性安定液でベント
ナイト泥水等の安定液を良好に置換できず、結果とし
て、地中壁の品質が低下するという問題があった。
【0007】本発明は、上述した事情を考慮してなされ
たもので、ベントナイト泥水等の安定液との置換性が良
好でかつ遮水、土止め等に適した水硬性材料の製造方法
および地中壁構築工法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の水硬性材料の製造方法は請求項1に記載し
たように、水、水硬性セメントおよび所定の骨材を所定
の割合で混合して水セメント混合物をつくる工程を含む
水硬性材料の製造方法において、ベントナイト等の膨潤
物質と水とを混合して水膨潤物質混合物をつくり、次い
で、前記水膨潤物質混合物と前記水セメント混合物とを
混合するものである。
【0009】また、本発明の水硬性材料の製造方法は、
請求項1の水セメント混合物の骨材を実質的に細骨材で
構成するとともに前記水セメント混合物を、水硬性セメ
ント1部に対し、骨材が3乃至8部、水が0.5乃至
1.5部の重量比で混合し、前記水膨潤物質混合物の膨
潤物質をベントナイトで構成するとともに前記水膨潤物
質混合物を、水1部に対し、ベントナイトが0.03乃
至0.2部の重量比で混合し、前記水セメント混合物と
前記水膨潤物質混合物とを、前記水セメント混合物1部
に対し前記水膨潤物質混合物が0.2乃至1部の体積比
で混合したものである。
【0010】また、本発明の水硬性材料の製造方法は、
請求項1の水セメント混合物の骨材を実質的に細骨材で
構成するとともに前記水セメント混合物を、水硬性セメ
ント1部に対し、骨材が4乃至6部、水が0.7乃至1
部の重量比で混合し、前記水膨潤物質混合物の膨潤物質
をベントナイトで構成するとともに前記水膨潤物質混合
物を、水1部に対し、ベントナイトが0.07乃至0.
12部の重量比で混合し、前記水セメント混合物と前記
水膨潤物質混合物とを、前記水セメント混合物1部に対
し、前記水膨潤物質混合物が0.4乃至1部の体積比で
混合したものである。
【0011】また、本発明の地中壁構築工法は、所定の
安定液で側壁の崩壊を防ぎながら地盤にトレンチを掘削
し、次いで、前記安定液を水硬性材料で置換して前記ト
レンチ内に地中壁を構築する地中壁構築工法において、
ベントナイトおよび水を水1部に対しベントナイトが
0.07乃至0.12部の重量比で混合して泥水をつく
るとともに、水硬性セメント1部に対し、細骨材が4乃
至6部、水が0.7乃至1部の重量比で混合してモルタ
ルをつくり、前記泥水および前記モルタルをモルタル1
部に対し泥水が0.4乃至1部の体積比で混合してクレ
イモルタルをつくり、前記クレイモルタルで前記安定液
を置換するものである。
【0012】
【作用】本発明の水硬性材料の製造方法においては、ま
ず、ベントナイト等の膨潤物質と水とを、例えば、水1
部に対し、ベントナイトが0.03乃至0.2部の重量
比で混合して水膨潤物質混合物をつくり、一方で、水硬
性セメント、骨材および水を、例えば水硬性セメント1
部に対し、骨材が3乃至8部、水が0.5乃至1.5部
の重量比で混合して水セメント混合物をつくる。
【0013】次いで、水膨潤物質混合物と水セメント混
合物とを、例えば、水セメント混合物1部に対し、水膨
潤物質混合物が0.2乃至1部の体積比で混合する。
【0014】また、本発明の地中壁構築工法において
は、まず、所定の掘削機で地盤を掘削し、地盤内に所定
のトレンチを形成する。このとき、掘削中の側壁が崩壊
しないように、トレンチに所定の安定液を注入しながら
掘削を行う。
【0015】掘削完了後、水およびベントナイトを、例
えば水1部に対し、ベントナイトが0.07乃至0.1
2部の重量比となるように混合して泥水をつくる。
【0016】一方、コンクリート工場等で、水、水硬性
セメントおよび細骨材を、例えば、水硬性セメント1部
に対し、細骨材が4乃至6部、水が0.7乃至1部とな
るように混合してモルタルをつくる。
【0017】次いで、泥水とモルタルとを、例えばモル
タル1部に対し、泥水が0.4乃至1部の体積比になる
ように混合してクレイモルタルをつくる。
【0018】次いで、クレイモルタルをトレンチ内に流
し込む。ここで、クレイモルタルの比重は例えば1.7
程度となるため、クレイモルタルは、トレンチ内の安定
液と混合することなく、トレンチ底部から順に安定液を
置換する。
【0019】クレイモルタルを打設した後、トレンチ内
には硬化クレイモルタルで構成された地中壁が構築され
る。
【0020】
【実施例】以下、本発明の水硬性材料の製造方法および
地中壁構築工法の実施例について、添付図面を参照して
説明する。
【0021】図1は、本発明の水硬性材料の製造方法を
地中壁構築工法に適用した場合についてフローチャート
で示したものである。
【0022】本実施例の地中壁構築工法では、まず、ハ
イドロフレーズ掘削機等の掘削機で地盤を掘削し、地盤
内にトレンチを形成する(ステップ1)。掘削中は、ベ
ントナイト、ポリマー等を含んだ安定液を使用すること
により、孔壁の崩壊を防止する。
【0023】次いで、安定液を置換してトレンチに充填
される水硬性材料を以下の手順で製造する。
【0024】まず、水および膨潤物質としてのベントナ
イトを所定の割合で混合して水膨潤物質混合物としての
泥水をつくる(ステップ2)。水とベントナイトとの割
合は重量比で、水1部に対し、ベントナイトを0.03
乃至0.2部とするのがよいが、さらに、ベントナイト
を0.07乃至0.12部とするのが好ましい。
【0025】泥水は安定液を再利用するのがよい。すな
わち、安定液に含まれるベントナイトの量を調べ、水と
ベントナイトとの重量比が上述の範囲となるように、水
あるいはベントナイトを新たに添加して泥水ミキサーで
混合する。
【0026】一方、例えば生コンクリート工場におい
て、水セメント混合物としての貧配合流動性モルタルを
つくる(ステップ3)。製造したモルタルは、ミキサー
車等で現場に搬入する。
【0027】貧配合流動性モルタル内の水硬性セメン
ト、骨材および水の割合は、重量比で水硬性セメント1
部に対し、骨材を3乃至8部、水を0.5乃至1.5部
とするのがよいが、さらに、水硬性セメント1部に対
し、骨材を4乃至6部、水を0.7乃至1部とするのが
好ましい。
【0028】また、骨材は、実質的に細骨材だけですな
わち砂で構成するのがよい。
【0029】次に、現場でつくった泥水と工場でつくっ
た貧配合流動性モルタルとを混合してクレイモルタルを
つくる(ステップ4)。混合にあたっては、例えば、貧
配合流動性モルタルを入れたミキサー車に泥水を追加
し、ミキサー車で数分間混合すればよい。
【0030】クレイモルタル内の泥水および貧配合流動
性モルタルの割合は、体積比で貧配合流動性モルタル1
部に対し、泥水を0.2乃至1部とするのがよいが、さ
らに、貧配合流動性モルタル1部に対し、0.4乃至1
部とするのが好ましい。
【0031】最後に、クレイモルタルをトレミー管等を
介してトレンチ内に打設し、安定液をクレイモルタルで
置換する(ステップ5)。
【0032】次に、上述の水硬性材料の製造に関しいく
つかの室内実験を行ったので、以下、それらの実験結果
を説明する。
【0033】(実験例1)まず、A地点で採取された細
骨材を用いた場合のクレイモルタルの実験結果について
説明する。
【0034】表1は、貧配合流動性モルタルの重量比を
示したものである。なお、セメントには、高炉セメント
B種を使用した。
【0035】
【表1】 同表でわかるように本実験では、水セメント比W/Cを
1.0、砂セメント比S/Cを4.0とした。
【0036】次に、泥水を構成する水とベントナイトと
の重量比を表2に示す。
【0037】
【表2】 同表でわかるように、水とベントナイトとの重量比は、
1:0.1とした。
【0038】表3は、表1、表2にしたがって配合され
たモルタルおよび泥水を異なる体積比で混合してクレイ
モルタルをつくり、その密度、Pロート流下時間、小型
スランプフロー、ブリージングおよび圧縮強度を測定し
た結果を示したものである。
【0039】ここで、Pロート流下試験とは、モルタル
の流動性を測定する試験である。なお、モルタルと泥水
との体積比は、1:0.2、1:0.35、1:0.4
9、1:0.69の4ケースとした。
【0040】
【表3】 図2は、表3に示した結果をグラフ化したものであり、
図2(a)は一軸圧縮強度、図2(b)は小型スランプフロー
およびブリージング率、図2(c)はPロート流下時間を
それぞれ横軸に泥水とモルタルの体積比をとって示して
ある。
【0041】これらの図および表でわかるように、28
日圧縮強度は12乃至62kgf/cm2、小型スランプフロ
ーは36乃至47cm、ブリージング率は2.2乃至
2.6%、Pロート流下時間は10乃至14秒程度、比
重は1.6乃至1.9となった。
【0042】本実験例においては、従来の自硬性安定液
(比重が1.15乃至1.2、ブリージング率が5乃至
10%程度)に比較して、比重は50%程度大きくな
り、ブリージング率は3分の1程度に低減した。
【0043】なお、本実施例のように、ベントナイトを
泥水の状態でモルタルに混合させるのではなく、粉末状
のベントナイトをモルタルに直接混合させた場合、ブリ
ージング率は5乃至20%程度になった。これは、モル
タルに含まれるカルシウムイオンの作用によってベント
ナイトの膨潤性が阻害され、その保水能力を十分に発揮
することができなかったためと考えられる。
【0044】したがって、ベントナイトを予め泥水の状
態にした上でモルタルに添加することが、ブリージング
率の改善すなわち品質の均一性にきわめて重要であるこ
とがわかった。
【0045】(実験例2)次に、B地点で採取された細
骨材を用いた場合のクレイモルタルの実験結果について
説明する。
【0046】表4は、貧配合流動性モルタルの重量比を
示したものである。
【0047】
【表4】 同表でわかるように本実験では、水セメント比W/Cを
0.7、砂セメント比S/Cを4.0とした。
【0048】次に、泥水を構成する水とベントナイトと
の重量比を表5に示す。
【0049】
【表5】 同表でわかるように、水とベントナイトとの重量比は、
1:0.1とした。
【0050】表6は、表4、表5にしたがって配合され
たモルタルおよび泥水を異なる体積比で混合してクレイ
モルタルをつくり、その密度、Pロート流下時間、小型
スランプフロー、ブリージングおよび圧縮強度を測定し
た結果を示したものである。
【0051】なお、モルタルと泥水との体積比は、1:
0.16、1:0.23、1:0.35、1:0.4
9、1:0.67の5ケースとした。
【0052】
【表6】 図3は、表6に示した結果をグラフ化したものであり、
図3(a)は一軸圧縮強度、図3(b)は小型スランプフロー
およびブリージング率、図3(c)はPロート流下時間を
それぞれ横軸に泥水とモルタルの体積比をとって示して
ある。
【0053】これらの図および表でわかるように、28
日圧縮強度は、20乃至106kgf/cm2 、小型スランプ
フローは30乃至47cm、ブリージング率は1.4乃
至2.1%以下、Pロート流下時間は10秒乃至20秒
程度、比重は1.7乃至2.0程度となった。
【0054】本実験例においては、従来の自硬性安定液
に比較して、比重は66%程度大きくなり、ブリージン
グ率は3分の1乃至5分の1程度に低減した。
【0055】(実験例3)次に、C地点で採取された細
骨材を用いた場合のクレイモルタルの実験結果について
説明する。
【0056】表7は、貧配合流動性モルタルの重量比を
示したものである。
【0057】
【表7】 同表でわかるように本実験では、水セメント比W/Cを
1.0、砂セメント比S/Cを5.0とした。
【0058】次に、泥水を構成する水とベントナイトと
の重量比を表8に示す。
【0059】
【表8】 同表でわかるように、水とベントナイトとの重量比は、
1:0.09とした。
【0060】表9は、表7、表8にしたがって配合され
たモルタルおよび泥水を異なる体積比で混合してクレイ
モルタルをつくり、その密度、Pロート流下時間、小型
スランプフロー、ブリージングおよび圧縮強度を測定し
た結果を示したものである。
【0061】なお、モルタルと泥水との体積比は、1:
0.54、1:0.67、1:0.82、1:1.00
の4ケースとした。
【0062】
【表9】 図4は、表9に示した結果をグラフ化したものであり、
図4(a)は一軸圧縮強度、図4(b)は小型スランプフロー
およびブリージング率、図4(c)はPロート流下時間を
それぞれ横軸に泥水とモルタルの体積比をとって示して
ある。
【0063】これらの図および表でわかるように、28
日圧縮強度は5乃至15kgf/cm2 、小型スランプフロー
は50cm程度、ブリージング率は3乃至4%程度、P
ロート流下時間は9乃至10秒程度、比重は1.6乃至
1.8程度となった。
【0064】本実験例においては、従来の自硬性安定液
に比較して、比重は40%程度大きくなり、ブリージン
グ率は3分の1乃至2分の1程度に低減した。
【0065】(実験例4)次に、D地点で採取された細
骨材を用いた場合のクレイモルタルの実験結果について
説明する。
【0066】表10は、貧配合流動性モルタルの重量比
を示したものである。
【0067】
【表10】 同表でわかるように本実験では、水セメント比W/Cを
0.7、砂セメント比S/Cを4.0とした。
【0068】次に、泥水を構成する水とベントナイトと
の重量比を表11に示す。
【0069】
【表11】 同表でわかるように、水とベントナイトとの重量比は、
1:0.1とした。
【0070】表12は、表10、表11にしたがって配
合されたモルタルおよび泥水を異なる体積比で混合して
クレイモルタルをつくり、その密度、Pロート流下時
間、小型スランプフロー、ブリージングおよび圧縮強度
を測定した結果を示したものである。
【0071】なお、モルタルと泥水との体積比は、1:
0.16、1:0.23、1:0.35、1:0.4
9、1:0.67、1:0.78、1:0.90の7ケ
ースとした。
【0072】
【表12】 図5は、表12に示した結果をグラフ化したものであ
り、図5(a)は一軸圧縮強度、図5(b)は小型スランプフ
ローおよびブリージング率、図5(c)はPロート流下時
間をそれぞれ横軸に泥水とモルタルの体積比をとって示
してある。
【0073】これらの図および表でわかるように、28
日圧縮強度は20乃至130kgf/cm2 、小型スランプフ
ローは10乃至40cm程度、ブリージング率は1.5
乃至2.0%以下、Pロート流下時間は、モルタルと泥
水との混合比が1:0.49、1:0.67、1:0.
78、1:0.90の4ケースについては13乃至23
秒程度、比重は1.6乃至1.8程度となった。なお、
モルタルと泥水との混合比が1:0.16、1:0.2
3、1:0.35の3ケースについてはPロート流下時
間を測定することができなかった。
【0074】本実験例においては、従来の自硬性安定液
に比較して、比重は40%程度大きくなり、ブリージン
グ率は5分の1乃至2分の1程度に低減した。
【0075】以上説明したように、本実施例の水硬性材
料の製造方法および地中壁構築工法は、ベントナイトを
予め水と混合させて泥水の状態にし、この泥水を貧配合
モルタルに混合してクレイモルタルをつくるようにした
ので、遮水性および流動性が高くかつ所定の強度および
耐久性を持つ高品質のクレイモルタルを経済的につくる
ことができる。
【0076】すなわち、ベントナイト粉末をモルタルに
直接添加するのではなく、予め泥水の状態にしてこれを
モルタルに混合するようにしたので、ベントナイトをモ
ルタル内に容易に分散させることが可能となり、ベント
ナイトが持つ保水能力を十分に発揮させることができる
とともに、使用するベントナイトの量も必要最低限です
む。
【0077】また、10-8cm/s程度の透水係数を確保で
きたので、例えば薄形止水壁内に薄形鋼板をジョイント
させた場合にも、鋼板の継ぎ目からの漏水を十分防止す
ることができる。
【0078】また、水セメント比を大きくすることによ
り、Pロート流下時間が10秒程度の流動性を確保する
ことができるので、掘削断面が小さくかつその断面内に
薄形鋼板やH形鋼が挿入されている場合であっても、そ
れらの隙間にクレイモルタルを良好に充填することがで
きる。
【0079】また、所定量の水をベントナイトに膨潤さ
せることにより、ブリージング率を3%程度に抑えるこ
とが可能となり、品質の均一性を向上させることができ
る。
【0080】また、10乃至30kgf/cm2 程度の一軸圧
縮強度を得ることができるので、所定の日数経過後は、
土圧あるいは水圧に十分対抗できるだけの強度を得るこ
とができる。
【0081】また、モルタル内の骨材割合を高めたの
で、従来の自硬性安定液と比べて比重が大きくなり、ベ
ントナイト、ポリマー等を含む安定液との置換性が格段
に向上し、高い品質の地中壁を構築することができる。
【0082】また、モルタル内のセメント量を少なくし
たので、地中壁のコストを低く抑えることができる。
【0083】したがって、掘削断面の小さなトレンチに
高品質の薄形止水壁を経済的に構築することが可能とな
り、通常の仮設遮水壁のみならず、特に、地下ダム、廃
棄物処分場、ダム底部等の遮水壁あるいは液状化対策用
の地中壁に非常に有効な手段となる。さらに、地中壁の
みならず、掘削後の埋め戻し、特に、狭くて複雑な空間
の埋め戻し、シールド工法におけるトンネル掘削時のセ
グメントの裏込めあるいは埋立等にも適用することがで
きるとともに、使用場所も水中、陸上を問わない。
【0084】また、骨材を実質的に細骨材で構成したの
で、トレンチ幅が非常に狭い場合あるいはトレンチ内に
H型鋼、鋼板等が設けてある場合にも、トレンチ内の隅
々にまで本実施例のクレイモルタルを充填することがで
きる。
【0085】また、貧配合モルタルに混合する泥水を孔
壁安定用の安定液からつくるようにしたので、従来は所
定の処理を行った上で廃棄するしかなかった安定液を有
効利用することができる。
【0086】このため、地中壁のトータルコストをさら
に低減することが可能となるとともに、廃棄物の量を少
なくして環境への影響を小さくすることができる。
【0087】なお、上述の実施例では特に言及しなかっ
たが、必要に応じて、通常使用される流動化剤、減水
剤、分離低減剤、発泡剤、起泡剤、硬化促進剤、硬化遅
延剤等の混和剤を泥水、モルタルあるいはクレイモルタ
ルに適宜添加してもよいことは言うまでもない。
【0088】本実施例では、水セメント混合物をモルタ
ルに限定して説明したが、かかる物質に限定されるもの
ではなく、骨材を細骨材および粗骨材で構成したコンク
リートにも本発明を適用することができる。
【0089】また、本実施例では、膨潤物質としてベン
トナイトを採用したが、カオリン粘土等の他の粘土を用
いてもよいし、水溶性高分子であるポリマー等の他の膨
潤物質を用いてもよい。
【0090】また、本実施例では、孔壁安定用の安定液
を再利用してモルタル添加用の泥水をつくったが、孔壁
安定用の安定液とは別に、新たに水およびベントナイト
を泥水ミキサー等で混合しこれをモルタルに混合するよ
うにしてもよいし、泥水シールド工法、リバース杭工
法、アースドリル工法などの泥水を用いた他の地盤掘削
工法で生じた泥水を再利用するようにしてもよい。ま
た、砕石工場の洗い水などでもよい。
【0091】かかる泥水の再利用によって建設廃棄物を
減らすことができる。したがって、廃棄物の処理コスト
(脱水減水化、セメント固化あるいはそれらの埋立廃棄
コスト)を低減し、環境への影響を最小限にとどめるこ
とが可能となる。
【0092】また、本実施例では、貧配合流動性モルタ
ルを生コンクリート工場で配合することを想定したが、
現場プラントでこれを製造してもよい。また、本実施例
では、貧配合流動性モルタルと泥水との混合を生コン車
で行うことを想定したが、現場に設けた別のミキサーで
行ってもよい。
【0093】また、本実施例では、トレンチ形成後に泥
水をつくるようにしたが、トレンチを掘削しながら泥水
を製造してもよい。
【0094】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の水硬性材料
の製造方法は、水、水硬性セメントおよび所定の骨材を
所定の割合で混合して水セメント混合物をつくる工程を
含む水硬性材料の製造方法において、ベントナイト等の
膨潤物質と水とを混合して水膨潤物質混合物をつくり、
次いで、前記水膨潤物質混合物と前記水セメント混合物
とを混合するようにしたので、ベントナイト等の安定液
との置換性が良好でかつ遮水、土止め等に適した水硬性
材料を製造することができる。
【0095】また、本発明の地中壁構築工法は、 所定
の安定液で側壁の崩壊を防ぎながら地盤にトレンチを掘
削し、次いで、前記安定液を水硬性材料で置換して前記
トレンチ内に地中壁を構築する地中壁構築工法におい
て、ベントナイトおよび水を水1部に対しベントナイト
が0.07乃至0.12部の重量比で混合して泥水をつ
くるとともに、水硬性セメント1部に対し、細骨材が4
乃至6部、水が0.7乃至1部の重量比で混合してモル
タルをつくり、前記泥水および前記モルタルをモルタル
1部に対し泥水が0.4乃至1部の体積比で混合してク
レイモルタルをつくり、前記クレイモルタルで前記安定
液を置換するようにしたので、ベントナイト泥水等の安
定液との置換性が良好でかつ遮水、土止め等に適した水
硬性材料を製造することができる。
【0096】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水硬性材料の製造方法を地中壁構築工
法に適用した場合の手順を示したフローチャート。
【図2】第1の実験例に係る水硬性材料の試験結果を示
したグラフ。
【図3】第2の実験例に係る水硬性材料の試験結果を示
したグラフ。
【図4】第3の実験例に係る水硬性材料の試験結果を示
したグラフ。
【図5】第4の実験例に係る水硬性材料の試験結果を示
したグラフ。
【符号の説明】
1 トレンチ形成工程 2 泥水製造工程 3 モルタル製造工程 4 泥水モルタル混合工程 5 打設工程

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水、水硬性セメントおよび所定の骨材を
    所定の割合で混合して水セメント混合物をつくる工程を
    含む水硬性材料の製造方法において、 ベントナイト等の膨潤物質と水とを混合して水膨潤物質
    混合物をつくり、次いで、前記水膨潤物質混合物と前記
    水セメント混合物とを混合することを特徴とする水硬性
    材料の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記水セメント混合物の骨材を実質的に
    細骨材で構成するとともに前記水セメント混合物を、水
    硬性セメント1部に対し、骨材が3乃至8部、水が0.
    5乃至1.5部の重量比で混合し、前記水膨潤物質混合
    物の膨潤物質をベントナイトで構成するとともに前記水
    膨潤物質混合物を、水1部に対し、ベントナイトが0.
    03乃至0.2部の重量比で混合し、前記水セメント混
    合物と前記水膨潤物質混合物とを、前記水セメント混合
    物1部に対し前記水膨潤物質混合物が0.2乃至1部の
    体積比で混合した請求項1記載の水硬性材料の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記水セメント混合物の骨材を実質的に
    細骨材で構成するとともに前記水セメント混合物を、水
    硬性セメント1部に対し、骨材が4乃至6部、水が0.
    7乃至1部の重量比で混合し、前記水膨潤物質混合物の
    膨潤物質をベントナイトで構成するとともに前記水膨潤
    物質混合物を、水1部に対し、ベントナイトが0.07
    乃至0.12部の重量比で混合し、前記水セメント混合
    物と前記水膨潤物質混合物とを、前記水セメント混合物
    1部に対し、前記水膨潤物質混合物が0.4乃至1部の
    体積比で混合した請求項1記載の水硬性材料の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 所定の安定液で側壁の崩壊を防ぎながら
    地盤にトレンチを掘削し、次いで、前記安定液を水硬性
    材料で置換して前記トレンチ内に地中壁を構築する地中
    壁構築工法において、 ベントナイトおよび水を水1部に対しベントナイトが
    0.07乃至0.12部の重量比で混合して泥水をつく
    るとともに、水硬性セメント1部に対し、細骨材が4乃
    至6部、水が0.7乃至1部の重量比で混合してモルタ
    ルをつくり、前記泥水および前記モルタルをモルタル1
    部に対し泥水が0.4乃至1部の体積比で混合してクレ
    イモルタルをつくり、前記クレイモルタルで前記安定液
    を置換することを特徴とする地中壁構築工法。
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