JPH069984B2 - 前後輪転舵車の動力舵取装置 - Google Patents

前後輪転舵車の動力舵取装置

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JPH069984B2
JPH069984B2 JP18649885A JP18649885A JPH069984B2 JP H069984 B2 JPH069984 B2 JP H069984B2 JP 18649885 A JP18649885 A JP 18649885A JP 18649885 A JP18649885 A JP 18649885A JP H069984 B2 JPH069984 B2 JP H069984B2
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浩之 池本
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Toyota Motor Corp
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    • B62LAND VEHICLES FOR TRAVELLING OTHERWISE THAN ON RAILS
    • B62DMOTOR VEHICLES; TRAILERS
    • B62D7/00Steering linkage; Stub axles or their mountings
    • B62D7/06Steering linkage; Stub axles or their mountings for individually-pivoted wheels, e.g. on king-pins
    • B62D7/14Steering linkage; Stub axles or their mountings for individually-pivoted wheels, e.g. on king-pins the pivotal axes being situated in more than one plane transverse to the longitudinal centre line of the vehicle, e.g. all-wheel steering
    • B62D7/15Steering linkage; Stub axles or their mountings for individually-pivoted wheels, e.g. on king-pins the pivotal axes being situated in more than one plane transverse to the longitudinal centre line of the vehicle, e.g. all-wheel steering characterised by means varying the ratio between the steering angles of the steered wheels

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  • Mechanical Engineering (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、操舵ハンドルの回動に応じて前輪及び後輪を
転舵する前後輪転舵車の舵取装置に係り、特に操舵ハン
ドルに結合した操舵軸と後輪を転舵する後輪転舵機構を
機械的に分離してそれらの連係を電気的制御装置で置換
するようにした前後輪転舵車の動力舵取装置に関する。
〔従来技術〕
従来、この種の技術は、特開昭56−108351号公
報及び特開昭57−15066号公報に示されるよう
に、操舵レバーの操舵量を光学的に検出し、又は前輪転
舵機構の転舵角速度を電気的に検出して後輪転舵機構の
転舵角を電気的に制御するようにしている。かかる構成
により、操舵レバーと後輪転舵機構、又は前輪転舵機構
と後輪転舵機構とを機械的に連結する連結機構をなくし
て連結機構の配設に必要な空間を有効に利用するように
している。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかるに、上記従来の装置にあっては、操舵レバーの操
舵量又は前輪転舵機構の転舵量に基づいて電気的制御装
置が後輪転舵機構の転舵角を一方的に制御するので、後
輪が路面から受ける反力が操舵ハンドルに伝達されな
い。これにより、操舵ハンドルには後輪転舵による操舵
反力、保舵反力及び操舵ハンドルの復元力が逆送され
ず、運転者は車両の転舵状態と一致した送舵感覚で車両
を運転できないので車両の操縦安定性が悪化する。
本発明の目的は、上記問題に対処するため、操舵ハンド
ルに付与される操舵力及び後輪が路面から受ける転舵反
力に基づいて操舵軸の回動を制御し、かつ操舵軸の回転
角に基づいて後輪の転舵角を制御することによって、操
舵ハンドルの回動に応じて後輪を転舵し、かつ後輪の転
舵に応じた操舵反力、保舵反力及び操舵ハンドルの復元
力を操舵ハンドルに発生させるようにした前後輪転舵車
の動力舵取装置を提供しようとするものである。
〔問題点を解決するための手段〕
かかる問題の解決にあたり、本発明の構成上の特徴は、
第1図に示すように、操舵ハンドル1(基本構成例の操
舵ハンドル20、及び具体的実施例の操舵ハンドル20
に対応)の回動に応じて前輪2(基本構成例の前輪3
3,43、及び具体的実施例の前輪33,43、及び変
形例の車輪120,140に対応)及び左右後輪3a,
3b(基本構成例の後輪53,63、及び具体的実施例
の後輪53,63及び変形例の車輪120,140に対
応)を各々独立に転舵する前後輪転舵車の動力舵取装置
において、操舵ハンドル1に結合した操舵軸4(基本構
成例の操舵軸21、及び具体的実施例の操舵軸21に対
応)と、該操舵軸4を回転駆動する操舵軸アクチュエー
タ5(基本構成例の操舵軸モータ22、及び具体的実施
例の操舵軸モータ22に対応)と、前記操舵軸4の回動
に応じて前輪2を転舵する前輪転舵制御手段6(基本構
成例の左右前輪転舵軸モータ30,40、左右前輪転舵
軸32,42、左右前輪転舵変位量センサ37,47、
前輪目標転舵量演算器73,74、左右前輪転舵変位量
演算器73,74,左右前輪転舵軸モータ制御回路7
8,79など、及び具体的実施例の左右前輪転舵軸モー
タ30,40、左右前輪転舵軸32,42、左右前輪転
舵変位量センサ37,47、マイクロコンピュータ10
1におけるステップ210〜212の前輪ステアリング
ギヤ比αfの算出処理、ステップ213の係数Kmpf
(式34)の算出処理、ステップ214,215の回転
制御量Msf1,Msf2(式43,44)の算出及び
出力処理など、及び変形例のサーボ弁121,141、
油圧シリンダ122,142、左右車輪転舵軸123,
143、リニアアクチュエータ127,147などに対
応)と、左後輪3aに機械的に結合されて左後輪3aを
転舵する左後輪転舵機構7a(基本構成例の左後輪転舵
軸モータ50、ピニオン51、左後輪転舵軸52、ラッ
ク軸54など、及び具体的実施例の左後輪転舵軸モータ
50、ピニオン51、左後輪転舵軸52、ラック軸54
など、及び変形例のサーボ弁121、油圧シリンダ12
2、左車輪転舵軸123、リニアアクチュエータ127
などに対応)と、右後輪3bに機械的に結合されて右後
輪3bを転舵する右後輪転舵機構7b(基本構成例の右
後輪転舵軸モータ60、ピニオン61、右後輪転舵軸6
2、ラック軸64など、及び具体的実施例の右後輪転舵
軸モータ60、ピニオン61、右後輪転舵軸62、ラッ
ク軸64など、及び変形例のサーボ弁141、油圧シリ
ンダ142、右車輪転舵軸143、リニアアクチュエー
タ147などに対応)と、操舵ハンドル1から前記操舵
軸4に付与される操舵力を検出する操舵力センサ8(基
本構成例の操舵力センサ24、及び具体的実施例の操舵
力センサ24に対応)と、左後輪3aから前記左後輪転
舵機構7aに付与される左後輪転舵反力を検出する左後
輪転舵反力センサ9a(基本構成例の左後輪転舵反力セ
ンサ58、及び具体的実施例の左輪転舵反力センサ5
8、及び変形例の左車輪転舵反力センサ125に対応)
と、右後輪3bから前記右後輪転舵機構7bに付与され
る右後輪転舵反力を検出する右後輪転舵反力センサ9b
(基本構成例の右後輪転舵反力センサ68、及び具体的
実施例の右輪転舵反力センサ68、及び変形例の右車輪
転舵反力センサ145に対応)と、前記操舵軸4の基準
位置からの回転角を操舵変位量として検出する操舵変位
量センサ10(基本構成例の操舵変位量センサ23、及
び具体的実施例の操舵変位量センサ23に対応)と、前
記操舵力センサ8出力に基づいて前記検出操舵力の増加
に応じて増加しかつ前記操舵軸4を操舵力の付与される
方向へ回転させる第1制御量を決定する第1制御量検定
手段11(基本構成例の操舵力演算器72、及び具体的
実施例のマイクロコンピュータ101におけるステップ
214の回転制御量Mm(式42)中の項Kmf・Fm
の計算処理に対応)と、前記左後輪転舵反力センサ9a
及び右後輪転舵反力センサ9b出力に基づいて前記検出
左後輪転舵反力及び前記検出右後輪転舵反力を加算した
合成力の増加に応じて増加しかつ前記操舵軸4を前記基
準位置に復帰させる方向へ回転させる第2制御量を決定
する第2制御量決定手段12と、(基本構成例の加算器
85、後輪転舵反力演算器86、及び具体的実施例のマ
イクロコンピュータ101におけるステップ210〜2
12の後輪力逆送比βrの演算処理、ステップ213の
係数Ksfr(式37)の算出処理、ステップ214の
回転制御量Mm(式42)中の項Ksfr・(Fsr1
+Fsr2)の計算処理に対応)と、前記第1制御量及
び第2制御量を合成した操舵軸回転制御信号を前記操舵
軸アクチュエータ5に出力して前記操舵軸4の回転を制
御する操舵軸回転制御信号出力手段13(基本構成例の
操舵軸モータ制御回路77、具体的実施例のマイクロコ
ンピュータ101におけるステップ214の回転制御量
Mm(式42)中の項Kmf・Fm,Ksfr・(Fs
r1+Fsr2)の減算処理、ステップ215の回転制
御量Mmの出力処理などに対応)と、前記操舵変位量セ
ンサ10出力に基づいて左右後輪3a,3bの目標転舵
量を各々表す第1目標転舵量及び第2目標転舵量を決定
する後輪目標転舵量決定手段14(基本構成例の後輪目
標転舵量演算器71、及び具体的実施例のマイクロコン
ピュータ101におけるステップ210〜212の後輪
ステアリングギヤ比αrの算出処理、ステップ213の
係数Kmpr(式35)の算出処理、ステップ214の
回転制御量Msr1(式45),Msr2(式46)中
の項Kmpr・Ymの計算処理に対応)と、前記決定第
1目標転舵量に応じた左後輪転舵制御信号を左後輪転舵
機構7aに出力して左後輪3aの転舵量が前記決定第1
目標転舵量になるように前記左後輪転舵機構7aを制御
する左後輪転舵制御信号出力手段15a(基本構成例の
左後輪転舵変位量センサ57、左後輪転舵変位量演算器
75及び左後輪転舵軸モータ制御回路80、及び具体的
実施例の左後輪転舵変位量センサ57、マイクロコンピ
ュータ101におけるステップ214の回転制御量Ms
r1(式45)中の項Kspr・Ysr1の計算処理、
同ステップ214の回転制御量Msr1(式45)中の
項Kmpr・Ym,Kspr・Ysr1の減算処理、ス
テップ215の回転制御量Msr1の出力処理などに対
応)と、前記決定第2目標転舵量に応じた右後輪転舵制
御信号を前記右後輪転舵機構7bに出力して右後輪3b
の転舵量が前記決定第2目標転舵量になるように前記右
後輪転舵機構7bを制御する右後輪転舵制御信号出力手
段15b(基本構成例の右後輪転舵変位量センサ67、
右後輪転舵変位量演算器76及び右後輪転舵軸モータ制
御回路81、及び具体的実施例の右後輪転舵変位量セン
サ67、マイクロコンピュータ101におけるステップ
214の回転制御量Msr2(式46)中の項Kspr
・Ysr2の計算処理、同ステップ214の回転制御量
Msr2(式46)中の項Kmpt・Ym,Kspr・
Ysr2の減算処理、ステップ215の回転制御量Ms
r2の出力処理などに対応)とを備えたことにある。
〔作用効果〕
上記のように構成した本発明において、操舵力センサ8
が操舵ハンドル1の回動により操舵軸4に付与される操
舵力を検出し、この検出操舵力に基づいて第1制御量決
定手段11が操舵軸4を操舵力の付与される方向に回転
させる第1制御量を決定し、この第1制御量により操舵
軸回転制御信号出力手段13が操舵軸アクチュエータ5
に操舵軸回転制御信号を出力して、操舵軸アクチュエー
タ5が操舵軸4を操舵力の付与される方向に回転させ
る。この操舵軸4の回転に応じて前輪転舵制御手段6は
前輪2を転舵する。また、この操舵軸4の基準位置から
の回転角は操舵変位量として操舵変位量センサ10によ
り検出され、この検出操舵変位量に基づいて後輪目標転
舵量決定手段14が左右後輪3a,3bの目標転舵量を
各々表す第1目標転舵量及び第2目標転舵量を決定し
て、左後輪転舵制御信号出力手段15a及び左後輪転舵
機構7aが左後輪3aを転舵し、右後輪転舵制御信号出
力手段15b及び右後輪転舵機構7bが右後輪3bを転
舵するので、左右後輪3a,3bは各々操舵ハンドル1
の回動操作に応じて転舵される。このとき、左右後輪3
a,3bは各々路面から転舵方向とは逆方向の左右後輪
転舵反力を受け、この左右後輪転舵反力は左右後輪転舵
反力センサ9a,9bによってそれぞれ検出され、両検
出転舵反力に基づいて、第2制御量決定手段12が操舵
軸4を基準位置に復帰させる方向に回転させるための第
2制御量を決定し、この第2制御量は操舵軸回転制御信
号出力手段13によって第1制御量と合成される。そし
て、この合成結果に基づき、操舵軸回転制御信号出力手
段13が操舵軸回転制御信号を操舵軸アクチュエータ5
に出力して操舵軸4の回転を制御する。
このような作用により、運転者が車両を回転させるため
の操舵ハンドル1を回動操作している場合、操舵軸4に
は上記左右後輪転舵反力による操舵軸4を回転させる力
が各々操舵ハンドル1の回動とは反対方向に操舵反力と
して作用するので、操舵ハンドル1には左右後輪転舵反
力に基づく操舵反力が各々逆送される。また、運転者が
操舵ハンドル1を回動位置に保持している場合及び操舵
ハンドルを中立位置に戻す場合、上記左右後輪転舵反力
によって操舵軸4を回転させる力が各々操舵軸4を基準
位置に戻す方向に作用するので、左右後輪転舵反力に基
づく保舵反力及び操舵ハンドル1の復元力が各々操舵ハ
ンドルに与えられる。上記のように、操舵ハンドル1に
はその回動操作に応じた左右後輪転舵反力に基づく操舵
反力、保舵反力及び復元力が逆送されるので車両の操縦
安定性が良好となる。
〔実施例〕
a.基本構成 本発明の基本構成を図面を用いて説明すると、第2図
は、運転者が操作するマスタ部Aと、左前輪を転舵する
第1スレーブ部B1と、右前輪を転舵する第2スレーブ
部B2と、左後輪を転舵する第3スレーブ部B3と、右
後輪を転舵する第4スレーブB4と、マスタ部A、第1
スレーブ部B1乃至第4スレーブ部B4を電気的に制御
する電気制御装置Cから成る車両用動力舵取装置の概略
を示している。
マスタ部Aは、操舵ハンドル20に固着された操舵軸2
1と、同軸21の下端に設けられた操舵軸21を回転駆
動する操舵軸モータ22とを備え、操舵軸21には、操
舵軸モータ22による同軸21の基準位置からの回転角
を検出し同回転角に比例した操舵変位量Ymを表わす信
号を発生する操作変位量センサ23と、操舵ハンドル2
0から操舵軸21に付与される操舵力Fmに比例して同
軸21に発生する捩れ量を検出する歪みゲージより成
り、操舵力Fmを表す信号を発生する操舵力センサ24
が取付けられている。なお、この場合、操舵ハンドル2
0及び操舵軸21が左(又は右)回転したとき、操舵力
Fm及び操舵変位量Ymは各々正(又は負)となる。
第1スレーブ部B1は、電気制御装置Cにより回転制御
される左前輪転舵軸モータ30と、同モータ30により
一端が結合され他端にピニオン31を有する左前輪転舵
軸32と、ピニオン31に噛合して左前輪33を転舵制
御するラック軸34を備えている。ラック軸34は、タ
イロッド35及びナックルアーム36を介して左前輪3
3に各々接続されて、同軸34の車体横方向への往復運
動により、左前輪33を転舵する。左前輪転舵軸32に
は、左前輪転舵軸モータ30による同軸32の基準位置
からの回転角を検出して同回転角に比例した左前輪転舵
変位量Ysf1を表す信号を発生する左前輪転舵変位量
センサ37と、左前輪33から左前輪転舵軸32に付与
される左前輪転舵反力Fsf1に比例して左前輪転舵軸
32に発生する捩れ量を検出する歪みゲージより成り、
左前輪転舵反力Fsf1を表す信号を発生する左前輪転
舵反力センサ38が取付けられている。
第2スレーブB2は、第1スレーブ部B1と同様に構成
され、第1スレーブ部B1の各構成要素に各々対応する
右前輪転舵軸モータ40、ピニオン41、右前輪転舵軸
42、右前輪43、ラック軸44、タイロッド45、ナ
ックルアーム46、右前輪転舵変位量センサ47及び右
前輪転舵反力センサ48を備えている。右前輪転変位量
センサ47は右前輪転舵軸42の基準位置からの回転角
に比例した右前輪転舵変位量Ysf2を表す信号を発生
し、右前輪転舵反力センサ48は右前輪転舵軸42に付
与される右前輪転舵力Fsf2を表す信号を発生する。
また、第3スレーブ部B3及び第4スレーブ部B4も、
第1スレーブ部B1と同様に構成され、第1スレーブ部
B1の各構成要素に各々対応する左右後輪転舵軸モータ
50,60、ピニオン51,61、左右後輪転舵軸5
2,62、左右後輪53,63、ラック軸54,64、
タイロッド55,65、ナックルアーム56,66、左
右後輪転舵変位量センサ57,67及び左右後輪転舵反
力センサ58,68を備えている。左右後輪転舵変位量
センサ57,67は各々左右後輪転舵軸52,62の基
準位置からの回転角に比例した左右後輪転舵変位量Ys
r1,Ysr2を表す信号を発生し、左右後輪転舵反力
センサ58,68は各々左右後輪転舵軸52,62に付
与される左右後輪転舵反力Fsr1,Fsr2を表す信
号を発生する。
なお、これらの場合、各転舵軸32,42,52,62
が右(又は左)回転し、各ラック軸34,44,54,
64が左(又は右)方向に変位して,各々車輪33,4
3,53,63が左(又は右)方向に転舵されたとき、
各転舵変位量Ysf1,Ysf2,Ysr1,Ysr2
及び各転舵反力Fsf1,Fsf2,Fsr1,Fsr
2は各々正(又は負)となる。
電気制御装置Cは、操舵変位量センサ23に接続されて
操舵変位量Ymに各係数Kmpf,Kmprを乗じて前
輪目標転舵量Kmpf・Ym及び後輪目標転舵量Kmp
r・Ymを各々算出する前輪目標転舵量演算器70及び
後輪目標転舵量演算器71と、操舵力センサ24に接続
されて操舵力Fmに係数Kmfを乗じた制御量Kmf・
Fmを算出する操舵力演算器72と、各転舵変位量セン
サ37,47,57,67に各々接続されて各々転舵変
位量Ysf1,Ysf2,Ysr1,Ysr2に各係数
Kspf,Kspf,Kspr,Ksprを乗じた各制
御量Kspf・Ysf1,Kspf・Ysf2,Ksp
r・Ysr1,Kspr・Ysr2を各々算出する左前
輪転舵変位量演算器73、右前輪転舵変位量演算器7
4、左後輪転舵変位量演算器75及び右後輪転舵変位量
演算器76と、操舵軸21の回転を制御する制御信号を
操舵軸モータ22に出力する操舵軸モータ制御回路77
と、各々転舵軸32,42,52,62の回転を制御す
る各制御信号を各モータ30,40,50,60に各々
出力する左前輪転舵軸モータ制御回路78、右前輪転舵
軸モータ制御回路79、左後輪転舵軸モータ制御回路8
0及び右後輪転舵軸モータ制御回路81とを備えてい
る。操舵軸モータ制御回路77は、操舵力演算器72か
らの制御量Kmf・Fmと、各転舵反力センサ38,4
8,58,68からの各転舵反力Fsf1,Fsf2,
Fsr1,Fsr2を合成した制御量Ksff・(Fs
f1+Fsf2)+Ksfr・(Fsr1+Fsr2)
とを入力して、その値が正(又は負)のとき操舵軸21
を左(又は右)回転させる回転制御量Mm=Kmf・F
m−Ksff・(Fsf1+Fsf2)−Ksfr・
(Fsr1+Fsr2)を表す制御信号を出力する。こ
の制御量Ksff・(Fsf1+Fsf2)+Ksfr
・(Fsr1+Fsr2)は、加算器82から供給され
るもので、この加算器82は、左右前輪転舵反力センサ
38,48から各々出力される左右前輪転舵反力Fsf
1,Fsf2を加算器83により加算した合成前輪転舵
反力Fsf1+Fsf2に係数Fsffを乗じる前輪転
舵反力演算器84の出力Ksff・(Fsf1+Fsf
2)と、左右後輪転舵反力センサ58,68から各々出
力される左右後輪転舵反力Fsr1,Fsr2を加算器
85により加算した合成後輪転舵反力Fsr1+Fsr
2に係数Ksfrを乗じる後輪転舵反力演算器86の出
力Ksfr・(Fsr1+Fsr2)とを加算して、制
御量Ksff・(Fsf1+Fsf2)+Ksfr・
(Fsr1+Fsr2)を算出する。左前輪転舵軸モー
タ制御回路78は、前輪目標転舵量演算器70からの制
御量Kmpf・Ymと左前輪転舵変位量演算器73から
の制御量kspf・Ysf1とを入力して、その値が正
(又は負)のとき左前輪転舵軸32を右(又は左)回転
させる回転制御量Msf1=Kmpf・Ym−Kspf
・Ysf1を表す制御信号を出力する。右前輪転舵軸モ
ータ制御回路79は、前輪目標転舵量演算器70からの
制御量Kmpf・Ymと右前輪転舵変位量演算器74か
らの制御量Kspf・Ysf2とを入力して、その値が
正(又は負)のとき右前輪転舵軸42を右(又は左)回
転させる回転制御量Msf2=Kmpf・Ym−Ksp
f・Ysf2を表す制御信号を出力する。左後輪転舵軸
モータ制御回路80は、後輪目標転舵量演算器71から
の制御量Kmpr・Ymと左後輪転舵変位量演算器75
からの制御量Kspr・Ysr1とを入力して、その値
が正(又は負)のとき左後輪転舵軸52を右(又は左)
回転させる回転制御量Msr1=Kmpr・Ym−Ks
pr・Ysr1を表す制御信号を出力する。右後輪転舵
軸モータ制御回路81は、後輪目標転舵量演算器71か
らの制御量Kmpr・Ymと右後輪転舵変位量演算器7
6からの制御量Kspr・Ysr2とを入力して、その
値が正(又は負)のとき右後輪転舵軸62を右(又は
左)回転させる回転制御量Msr2=Kmpr・Ym−
Kspr・Ysr2を表す制御信号を出力する。
なお、係数Kmf,係数Ksff及び数Ksfrは、操
舵力Fm、合成前輪転舵反力Fsf1+Fsf2及び合
成後輪転舵反力Fsr1+Fsr2が各々操舵軸21の
回転トルクにもたらす影響度合を示すものであって、係
数Kmf及び係数Ksffは常に正であり、係数Ksf
rは、左右後輪53,63が左右前輪33,43に対し
同相に転舵されるとき正となり、左右後輪53,63が
左右前輪33,43に対し逆相に転舵されるとき負とな
る。また、係数Kmpf及び係数Kspfは操舵変位量
Ym及び左右前輪転舵変位量Ysf1,Ysf2が各々
左右前輪転舵軸32,42の回転角にもたらす影響度合
を示すものであり、係数Kmpf及び係数Kmpfはと
もに正である。さらに、係数Kmpr及び係数Kspr
は操舵変位量Ym及び左右後輪転舵変位量Ysr1,Y
sr2が各々左右後輪転舵軸52,62の回転角にもた
らす影響度合を示すものであり、係数Ksprは常に正
である。また、係数Kmprは、左右後輪53,63が
左右前輪33,43に対し同相に転舵されるとき正とな
り、左右後輪53,63が左右前輪33,43に対し逆
相に転舵されるとき負となる。
上記のように構成した動力舵取装置の動作を、係数Km
pr及び係数Ksfrが正に設定されている場合につい
て説明すると、車両が直進中、操舵ハンドル20がその
回転角Xmだけ左(又は右)方向に回動されると、操舵
ハンドル20の回動開始時においては操舵軸モータ22
が操舵軸21を回転させていない、すなわち操舵軸21
は基準位置にあるので、操舵軸21には操舵ハンドル2
0の回動によって捩れが生じる。この操舵軸21の捩れ
は歪みゲージより成る操舵力センサ24によって検出さ
れて、操舵力(又は反作用としての操舵反力)Fmとし
て操舵力演算器72に供給される。操舵力演算器72は
操舵力Fmに係数Kmfを乗じた制御量Kmf・Fmを
操舵軸モータ制御回路77に出力する。操舵軸モータ制
御回路77は、操舵力演算器72から入力される制御量
Kmf・Fmと加算器82から入力される制御量Ksf
f・(Fsf1+Fsf2)+Ksfr・(Fsr1+
Fsr2)に基づいて操舵軸21の回転制御量Mm=K
mf・Fm−Ksff・(Fsf1+Fsf2)−Ks
fr・(Fsr1+Fsr2)を表わす制御信号を出力
するが、操舵ハンドル20の回動開始時においては左右
前輪転舵軸32,42の合成前輪転舵反力Fsf1+F
sf2及び左右後輪転舵軸52,62の合成後輪転舵反
力Fsr1+Fsr2が零であるので、操舵軸モータ2
2には操舵軸21の回転制御量Mm=Kmf・Fmを表
す制御信号が供給される。この制御信号に応じて、操舵
軸モータ22は操舵軸21を左(又は右)方向に回転さ
せるので、操舵軸21は操舵ハンドル20の回動方向に
回転し始める。
この回転により、操舵変位量センサ23からの操舵軸2
1の検出操舵変位量Ymは前輪目標転舵量演算器70に
入力され、前輪目標転舵量演算器70は、係数Kmpf
を上記検出操舵変位量Ymに乗じた制御量Kmpf・Y
mを左右前輪転舵軸モータ制御回路78,79に各々出
力する。このとき、左右前輪転舵軸32,42の各転舵
変位量Ysf1,Ysf2は零であるので、左右前輪転
舵軸モータ制御回路78,79は左右前輪転舵軸32,
42の各回転制御量Msf1=Kmpf・Ym、Msf
2=Kmpf・Ymを表す制御信号を左右前輪転舵軸モ
ータ30,40に各々出力し、左右前輪転舵軸モータ3
0,40が左右前輪転舵軸32,42の右(又は左)方
向に各々回転させ始める。この回転により、左右前輪転
舵軸32,42の各回転に伴う各左右前輪転舵変位量Y
sf1,Ysf2が各々零より大きく(又は小さく)な
って、左右前輪転舵変位量演算器73,74は各左右前
輪転舵変位量Ysf1,Ysf2に係数Kspfを各々
乗じた各制御量Kspf・Ysf1,Kspf・Ysf
2を左右前輪転舵軸モータ制御回路78,79に各々出
力し、これらの制御量Kspf・Ysf1,Kspf・
Ysf2は各左右前輪転舵変位量Ysf1,Ysf2の
各増加(又は減少)に従って各々徐々に大きく(小さ
く)なるので、左右前輪転舵軸32,42の各回転制御
量Msf1=Kmpf・Ym−Kspf・Ysf1,M
sf2=Kmpf・Ym−Kspf・Ysf2を各々表
す制御信号の正(又は負)のレベルが徐々に小さくな
り、左右前輪転舵軸32,42の各転舵軸変位量Ysf
1,Ysf2が各々Ysf1=Kmpf・Ym/Ksp
f、Ysf2=Kmpf・Ym/Kspfの関係になっ
た回転位置にて左右前輪転舵軸32,42の各回転は停
止する。これらの左右前輪転舵軸32,42の各右(又
は左)回転はピニオン31,41を介してラック軸3
4,44に各々伝達されて、ラック軸34,44を各々
左(又は右)方向に変位させる。ラック軸34,44の
各左(又は右)方向の変位は各々タイロッド35,45
及びナックルアーム36,46を介して左右前輪33,
43に各々伝達されて、左右前輪33,43を各々左
(又は右)方向に転舵する。
また、操舵変位量センサ23からの操舵軸21の検出操
舵変位量Ymは後輪目標転舵量演算器71にも入力さ
れ、後輪目標転舵量演算部71は、係数Kmprを上記
検出操舵変位量Ymに乗じた制御量Kmpr・Ymを左
右後輪転舵軸モータ制御回路80,81に各々出力す
る。このとき、左右後輪転舵軸52,62の各転舵変位
量Ysr1,Ysr2は零であるので、左右後輪転舵軸
モータ制御回路81,81は左右後輪転舵軸52,62
の各回転制御量Msr1=Kmpr・Ym,Msr2=
Kmpr・Ymを各々表す制御信号を左右後輪転舵軸モ
ータ50,60に各々出力し、左右後輪転舵軸モータ5
0,60が左右後輪転舵軸52,62を各々右(又は
左)方向に回転させ始める。これらの回転により、左右
後輪転舵軸52,62の各回転に伴う各左右後輪転舵変
位量Ysr1,Ysr2が各々零より大きく(又は小さ
く)なって、左右後輪転舵変位量演算器75,76は、
各左右後輪転舵変位量Ysr1,Ysr2に係数Ksp
rを各々乗じた各制御量Kspr・Ysr1,Kspr
・Ysr2を左右後輪転舵軸モータ制御回路80,81
に各々出力し、これらの制御量Kspr・Ysr1,K
spr・Ysr2は各々左右後輪転舵変位量Ysr1,
Ysr2の増加(又は減少)に従って徐々に大きく(又
は小さく)なるので、左右後輪転舵軸52,62の各回
転制御量Msr1=Kmpr・Ym−Kspr・Ysr
1,Msr2=Kmpr・Ym−Kspr・Ysr2を
各々表す各制御信号の正(又は負)のレベルが徐々に小
さくなり、左右後輪転舵軸52,62の各転舵変位量Y
sr1,Ysr2が各々Ysr1=Kmpr・Ym/K
spr,Ysr2=Kmpr・Ym/Ksprの関係に
なった各回転位置にて左右後輪転舵軸52,62の各回
転は各々停止する。これらの左右後輪転舵軸52,62
の各右(又は左)回転は各々ピニオン51,61を介し
てラック軸54,64に各々伝達されて、ラック軸5
4,64を各々左(又は右)方向に変位させる。ラック
軸54,64の各左(又は右)方向の変位はタイロッド
55,65及びナックルアーム56,66を介して左右
後輪53,63に各々伝達されて、左右後輪53,63
を各々左(又は右)方向に転舵する。
一方、左右前輪33,43は各左(又は右)方向の転舵
により路面から右(又は左)方向への左右前輪転舵力F
sf1,Fsf2を各々受けて、これらの左右前輪転舵
反力Fsf1,Fsf2が各々ナックルアーム36,4
6、タイロッド35,45、ラック軸34,44及びピ
ニオン31,41を介して左右前輪転舵軸32,42に
各々伝達される。これらの左右前輪転舵反力Fsf1,
Fsf2は、各々左右前輪転舵軸32,42を左(又は
右)方向に回転させるように作用するので、左右前輪転
舵軸モータ30,40が左右前輪転舵軸32,42を各
々回転させる力とは逆方向となり、左右前輪転舵軸3
2,42には各々捩れが生じる。これらの捩れは歪みゲ
ージよりなる左右前輪転舵反力センサ38,48によっ
て各々検出され、各捩れ量に比例した各左右前輪転舵反
力(又は反作用としての各左右前輪転舵力)Fsf1,
Fsf2として加算器83を介して前輪転舵反力演算器
84に供給される。前輪転舵反力演算器8は、加算器8
3により合成された合成前輪転舵反力(転舵力)Fsf
1+Fsf2に係数Ksffを乗じた制御量Ksff・
(Fsf1+Fsf2)を加算器82に出力する。
また、左右後輪53,63はそれらの各左(又は右)方
向の転舵により路面から右(又は左)方向への左右後輪
転舵反力Fsr1,Fsr2を受けて、これらの後輪転
舵反力Fsr1,Fsr2は、各々ナックルアーム5
6,66、タイロッド55,65、ラック軸54,64
及びピニオン5161を介して左右後輪転舵軸52,6
2を各々左(または右)方向に回転させるように作用す
るので、左右甲連転舵軸モータ50,60が左右後輪転
舵軸52,62を各々回転させる力とは逆方向となり左
右後輪転舵軸52,62には各々捩れが生じる。これら
の捩れは歪みゲージよりなる左右後輪転舵反力センサ5
8,68によって各々検出され、各捩れ量に各々比例し
た左右後輪転舵反力(又は反作用としての後輪転舵力)
Fsr1,Fsr2として加算器85を介して後輪転舵
反力演算器86に供給される。後輪転舵反力演算器86
は、加算器85により合成された合成後輪転舵反力(後
輪転舵力)Fsr1+Fsr2に係数Ksfrを乗じた
制御量Ksfr・(Fsr1+Fsr2)を加算器82
に出力する。
そして、加算器82が前輪転舵反力演算器84からの制
御量Ksff・(Fsf1+Fsf2)及び後輪転舵反
力演算器86からの制御量Ksfr・(Fsr1+Fs
r2)を加算合成して、合成した制御量Ksff・(F
sf1+Fsf2)+Ksfr・(Fsr1+fsr
2)を操舵軸モータ制御回路77に出力する。操舵軸モ
ータ制御回路77は、操舵力演算器72から入力される
制御量Kmf・Fmと加算器82から入力される制御量
Ksff・(Fsf1+Fsf2)+Ksfr・(Fs
r1+Fsr2)に基づいて、操舵軸21の回転制御量
Mm=Kmf・Fm−Ksff・(Fsf1+Fsf
2)−Ksfr・(Fsr1+Fsr2)を表す制御信
号を操舵軸モータ22に出力して、操舵軸モータ22が
この制御信号に基づいて操舵軸21の回転を制御する。
この操舵軸21の左(又は右)方向の回転動作におい
て、制御量Kmf・Fmは操舵軸21を左(又は右)方
向に回転させるように作用して操舵軸21が左(又は
右)方向に回転すると、操舵軸21の捩れ量は減少する
ので、この捩れ量に比例する操舵力(操舵反力)Fmは
小さく(又は大きく)なり、制御量Kmf・Fmも小さ
く(又は大きく)なる。一方、左右前輪33,43に付
与される各左右前輪転舵反力(転舵力)Fsf1,Fs
f2及び左右後輪53,63に付与される各左右後輪転
舵反力(後輪転舵力)Fsr1,Fsr2は各左右前転
舵変位量Ysf1,Ysf2及び各左右後輪転舵変位量
Ysr1,Ysr2が各々増加(又は減少)するに従っ
て大きく(又は小さく)なるので、操舵軸21を右(又
は左)方向に回転させるように作用する制御量Ksff
・(Fsf1+Fsf2)+Ksfr・(Fsr1+F
sr2)は大きく(又は小さく)なる。その結果、操舵
軸21を左(又は右)回転させるための回転制御量Mm
=Kmf・fm−Ksff・(Fsf1+Fsf2)−
Ksfr・(Fsr1+Fsr2)は除々に小さく(又
は大きく)なり、制御量Kmf・Fmと制御量Ksff
・(Fsf1+Fsf2)+Ksfr・(Fsr1+F
sr2)が等しくなった回転位置にて操舵軸21の回転
は停止する。
そして、この状態にて運転者が操舵ハンドル20をさら
に左(又は右)回転させるために操舵ハンドル20に左
(又は右)回転方向の力をさらに付与すると、制御量K
mf・Fmが制御量Ksff・(Fsf1+Fsf2)
+Ksfr・(Fsr1+Fsr2)より大きく(又は
小さく)なって操舵軸21はさらに左(又は右)方向に
回転する。また、運転者が操舵ハンドル20に付与する
力を弱めると、制御量Ksff・(Fsf1+Fsf
2)+Ksfr・(Fsr1+Fsr2)が制御量Km
f・Fmより大きく(又は小さく)なって操舵軸21は
右(又は左)方向に回転し始める。
また、係数Kmpr及び係数Ksfrが負に設定されて
いる場合について説明する。操舵ハンドル20が左(又
は右)方向に回動されると、左右前輪33,43は上述
の場合と同様、左(又は右)方向に転舵されるが、左右
後輪53,63は、係数Kmprが負なので上述の場合
とは逆に、右(又は左)方向すなわち左右前輪33,3
4に対し逆相に転舵される。この転舵により、左右後輪
53,63に働く各左右後輪転舵反力Fsr1,Fsr
2は各々上述の場合とは逆方向に働くことになり、左右
後輪転舵反力Fsr1,Fsr2は上述の場合とは正負
の符号が各々逆となるが、係数Ksfrが負に設定され
ているので各制御量Ksfr・Fsr1,Ksfr・F
sr2の正負の符号は上述の場合と同じになり、各制御
量Ksfr・Fsr1,Ksfr・Fsr2は上述の場
合と同様操舵軸21を右(又は左)方向に回転させるよ
うに作用する。
このように、運転者が操舵ハンドル20を回動操作して
いるとき、操舵ハンドル20の回動位置に保持している
とき、及び操舵ハンドル20を中立位置に戻すとき、左
右前輪転舵反力Fsf1,Fsf2及び左右後輪転舵反
力Fsr1,Fsr2に基づく制御量Ksff・(Fs
f1+Fsf2)+Ksfr・(Fsr1+Fsr2)
が操舵ハンドル20を中立位置に戻すように作用するの
で、操舵ハンドル20には左右前輪転舵反力Fsf1,
Fsf2及び左右後輪転舵反力Fsr1,Fsr2に応
じた操舵反力、保舵反力及び操舵ハンドル20の復元力
が付与される。
なお、上記基本構成に左右前輪転舵変位速度及び左右後
輪転舵変位速度による制御を付加するようにすれば、左
右前輪転舵軸モータ30,40による各左右前輪転舵軸
32,42及び左右後輪転舵軸モータ50,60による
各左右後輪転舵軸52,62の回転をさらに安定に制御
できる。この場合、各左右前輪転舵変位量Ysf1,Y
fs2及び各左右後輪転舵変位量Ysr1,Ysr2を
各々微分し、各微分結果に所定の係数を乗じて、乗算結
果を左右前輪転舵軸32,42の各回転制御量Msf
1,Msf2及び左右後輪転舵軸52,62の各回転制
御量Msr1,Msr2に各々付加するようにする。
b.変数の決定及びその意味 上記基本構成に示された本発明の具体的実施例について
説明する前に、上記基本構成の係数Kmf,Ksff,
Ksfr,Kmpf,Kmpr,Kspf,Kspr及
び具体的実施例にて計算される諸変数の算出方法及びそ
の性質について図面を用いて説明すると、第3図は第2
図の本発明の基本構成を等価回路で表した制御ブロック
図である。
乗算器70a,71a,72a,73a,74a,75
a,76a,84a,86aは各々前輪目標転舵量演算
器70、後輪目標転舵量演算器71、操舵力演算器7
2、左前輪転舵変位量演算器73、右前輪転舵変位量演
算器74、左後輪転舵変位量演算器75、右後輪転舵変
位量演算器76、前輪転舵反力演算器84及び後輪転舵
反力演算器86に対応してそれらの乗算作用を示すもの
で、減算器77a,78a,79a,80a,81aは
各々操舵軸モータ制御回路77、左前輪転舵軸モータ制
御回路78,右前輪転舵軸モータ制御回路79,左後輪
転舵軸モータ制御回路80,及び右後輪転舵軸モータ制
御回路81に対応してそれらの減算作用を示すもので、
加算器82a,83a,85aは各々加算器82,8
3,85に対応するものである。また、ブロック22
a,30a,40a,50a,60a,は各々操舵軸モ
ータ22,左前輪転舵軸モータ30、右前輪転舵軸モー
タ40、左公連転舵軸モータ50及び右後輪転舵軸モー
タ60に対応するものであり、関数Km/S,Ksf/
S,Ksf/S,Ksr/S,Ksr/Sは各々モータ
22,30,40,50,60の回転特性を示すもので
ある。
減算器90は操舵ハンドル20に付与される操舵力Fm
によって回転する操舵軸21の回転変位量Xmと操舵軸
モータ22によって回転する操舵軸21の操舵変位量Y
mとの差に応じて操舵軸21に生じている捩れ量Xm−
Ymを表す等価回路であり、乗算器91は捩れ量Xm−
Ymに比例する操舵力及び操舵力の反作用として操舵軸
モータ22から操舵軸21に付与される操舵反力を算出
する等価回路であり、定数1/Cmは操舵軸21の弾性
係数である。減算器92,93は各々左右前輪転舵軸モ
ータ30,40の転舵力によって回転する左右前輪転舵
軸32,42の各前輪転舵変位量Ysf1,Ysf2
と、左右前輪33,43の各前輪転舵量に応じた左右前
輪転舵軸32,42の回転変位量Xsf1,Xsf2と
の各差に応じて各々左右前輪転舵軸32,42に生じて
いる捩れ量Ysf1−Xsf1,Ysf2−Xsf2を
表す等価回路であり、乗算器94,95は各捩れ量Ys
f1−Xsf1,Ysf2−Xsf2に各々比例する左
右前輪転舵力及び左右前輪転舵力の反作用として左右前
輪33,43から各々左右前輪転舵軸32,42に付与
される各左右前輪転舵反力Fsf1,Fsf2を算出す
る等価回路であり、定数1/Ctfは左右前輪転舵軸3
2,42の弾性係数である。
減算器96,97は各々左右後輪転舵軸モータ50,6
0の転舵力によって回転する左右後輪転舵軸52,62
の各転舵変位量Ysr1,Ysr2と、左右後輪53,
63の各後輪転舵量に応じた左右後輪転舵軸52,62
の各回転変位量Xsr1,Xsr2との各差に応じて各
々左右後輪転舵軸52,62に生じている各捩れ量Ys
r1−Xsr1,Ysr2−Xsr2を各々表す等価回
路であり、乗算器98,99は各捩れ量Ysr1−Xs
r1,Ysr2−Xsr2に各々比例する左右後輪転舵
力及び左右後輪転舵力の反作用として左右後輪53,6
3から各々後輪転舵軸52,62に付与される各左右後
輪転舵反力Fsr1,Fsr2を算出する等価回路であ
り、定数1/Ctrは左右後輪転舵軸52,62の弾性
係数である。
上記のように構成された制御ブロックにおいて、第1及
び第2スレーブ部B1,B2の左右前輪転舵反力Fsf
1,Fsf2は各々次式のように表される。
Fsf1=(Ysf1−Xsf1)/Ctf ・・・(式1) Fsf2=(Ysf2−Ysf2)/Ctf ・・・(式2) 一方、左右前輪転舵反力Fsf1,Fsf2の合成前輪
転舵反力Fsfは、 Fsf=Fsf1+Fsf2・・・(式3) のように表され、左右前輪33,43の合成転舵量は左
右前輪33,43の各転舵量の平均となるので、同合成
転舵量に応じた左右前輪転舵軸32,42の合成前輪回
転変位量Xsfは、 Xsf=(Xsf1+Xsf2)/2 ・・・(式4) のように表され、左右前輪転舵軸モータ30,4は同一
特性なので、同モータ30,40により回転する左右前
輪転舵軸32,42の各左右前輪転舵変位量Ysf1,
Ysf2は各々同じ値となり Ysf1=Ysf2=Ysf・・・(式5) のように表される。なお、この値Ysfを合成前輪転舵
変位量Ysfと定義する。上記(式1)〜(式5)よ
り、合成前輪転舵反力Fsf、合成前輪回転変位量Xs
f及び合成前輪転舵変位量Ysfの関係は、合成前輪弾
性係数Csfを Csf=Ctf/2・・・(式6) と定義すれば、 Fsf=(Ysf−Xsf)/Csf ・・・(式7) となる。
また、第3及び第4スレーブ部B3,B4についても、
上記第1及び第2スレーブ部B1,B2と同様に、次式
が成立する。
Fsr1=(Ysr1−Xsr1)/Ctr ・・・(式8) Fsr2=(Ysr2−Xsr2)/Ctr ・・・(式9) Fsr=Fsr1+Fsr2・・・(式10) Xsr=(Xsr1+Xsr2)/2・・・(式 11) Ysr1=Ysr2=Ysr ・・・(式12) なお、値Fsrは合成後輪転舵反力であり、値Xsrは
合成後輪回転変位量であり、値Ysrは合成後輪転舵変
位量である。そして、合成後輪弾性係数Csrを、 Csr=Ctr/2・・・(式13) と定義すれば、合成後輪転舵反力Fsr、合成後輪回転
変位量Xsr及び合成公連転舵変位量Ysrの関係は、 Fsr=(Ysr−Xsr)/Csr ・・・(式14) となる。
これらの(式7)及び(式14)の関係を用いて、第3
図の制御ブロック図の単純化すると第4図のようにな
り、ブロック22a,乗算器70a,71a,72a,
84a,86a,91、減算器77a,90及び加算器
82aは第3図の同一符号を付したものと同一である。
ブロック30b、乗算器73b及び減算器78bは各々
第3図のブロック30a,40a,乗算器73a,74
a及び減算器78a,79aに対応してそれらの等価回
路を示しており、減算器92b及び乗算器94bは(式
7)内の関係に基づいて第3図の加算器83a,減算器
92,93及び乗算器94,95の等価回路を示してい
る。また、ブロック50b、乗算器75b及び減算器8
0bは各々第3図のブロック50a,60a、乗算器7
5a,76a及び減算器80a,81aに対応してそれ
らの等価回路を示しており、減算器96b及び乗算器9
8bは(式14)の関係に基づいて第3図の加算器85
a,減算器96,97及び乗算器98,99の等価回路
を示している。
上記のように構成された第4図の制御ブロックにおい
て、システムの均合い(定常状態)を考えると次式が成
立する。
Kmf・Fm=Ksff・Fsf+Ksf r・Fsr・・・(式15) Kmpf・Ym=Kspf・Ysf・・・ (式16) Kmpr・Ym=Kspr・Ysr・・・ (式17) また、操舵軸21,左右前輪転舵軸32,42,左右後
輪転舵軸52,62に各々付与される操舵力(操舵反
力)Fm,合成前輪転舵力(合成前輪転舵反力)Fsf
(=Fsf1+Fsf2),合成後輪転舵力(合成後輪
転舵反力)Fsr(=Fsr1+Fsr2)と、上記各
軸21,32,(42),52(62)に発生する各捩
れ量Xm−Ym,Ysf−Xsf,Ysr−Xsrとの
関係を各弾性係数1/Cm,1/Csf,1/Csrを
用いて表すと次のようになる。
Fm=(1/Cm)・(Xm−Ym)・・ (式18) Fsf=(1/Csf)・(Ysf−Xs f)・・・(式19) Fsr=(1/Csr)・(Ysr−Xs r)・・・式(20) ここで、左右前輪33,43及び左右後輪53,63が
路面に接触していない、すなわち路面から各左右前輪転
舵反力及び左右後輪転舵反力を受けない状態(Fsf=
0,Fsr=0)において、マスタ部Aから第1,第2
スレーブ部B1,B2及び第3,第4スレーブB3,B
4へ各々伝達される回転角の比、すなわち操舵ハンドル
20の回動量に応じた操舵軸21の回転変位量Xmに対
する左右前輪33,43及び左右後輪53,63の各合
成転舵量に応じた左右前輪転舵軸32,42及び左右後
輪転舵軸52,62の各合成回転変位量Xsf,Xsr
の比を、各々前輪ステアリングギヤ比αf及び後輪ステ
アリングギヤ比αrとして定義すれば、これらのギヤ比
αf,αrは(式15)〜(式20)より次式で表され
る。
αf=Xsf/Xm=Kmpf/Kspf ・・・(式21) αr=Xsr/Xm=Kmpr/Kspr ・・・(式22) なお、上記(式22)で示されるように、後輪ステアリ
ングギヤ比αrは、係数Kmprが正(又は負)のと
き、正(又は負)となる。そして、これらのギヤ比α
f,αrの値を変更することは、操舵ハンドル20の同
一回動量に対し、各々左右前輪33,43及び左右後輪
53,63の各合成転舵量を変更することを意味し、後
述の実施例では、これらのギヤ比αf,αrは操舵特性
を示す選択可能でかつ車速に応じて変化するパラメータ
として扱われる。
また、左右前輪33,43が固定され(Xsf=0)か
つ左右後輪53,63が路面に接触していない(Fsr
=0)状態において、第1,第2スレーブ部B1,B2
からマスタ部へ伝達される力の比、すなわち合成前輪転
舵反力Fsfに対する操舵反力Fmの比を前輪力逆送比
βfとして定義すれば、この力逆送比βfは(式15)
より次式で表される。
βf=Fm/Fsf=Ksff/Kmf・・ ・(式23) そして、この力逆送比βfを変更することは、同一合成
前輪転舵反力Fsfに対し、送舵反力Fmを変更するこ
とを意味し、後述の実施例では、この力逆送比βfは送
舵特性を示す選択可能でかつ車速に応じて変化するパラ
メータとして扱われる。
また、左右前輪33,43が路面に接触しておらず(F
sf=0)かつ左右後輪53,63が固定された(Xs
r=0)状態において、第3,第4スレーブB3,B4
からマスタ部Aへ伝達される力の比、すなわち合成後輪
転舵反力Fsrに対する操舵反力Fmの比を後輪力逆送
比βrとして定義すれば、この力逆送比βrは(式1
5)より次式で表わされる。
βr=Fm/Fsr=Ksfr/Kmf・・ ・(式24) なお、上記(式24)で示されるように、この力逆送比
βrは、係数Ksfrが正(又は負)のとき、正(又は
負)となる。そして、この力逆送比βrを変更すること
は、同一合成後輪転舵反力Fsrに対し操舵反力Fmを
変更することを意味し、後述の実施例では、この力逆送
比βrは操舵特性を示す選択可能でかつ車速に応じて変
化するパラメータとして扱われる。
さらに、操舵反力Fmと回転変位量Xmとの比を操舵弾
性係数Qmとし、合成前輪転舵反力(前輪転舵力)Fs
fと合成前輪回転変位量Xsfとの比を前輪転舵弾性係
数Qsfとし、かつ合成後輪転舵反力(後輪転舵力)F
srと合成後輪回転変位量Xsrとの比を後輪転舵弾性
係数Qsrとすれば、次式が成立する Qm=Fm/Xm ・・・(式25) Qsf=Fsf/Xsf・・・(式26) Qsr=Fsr/Xsr・・・(式27) なお、前輪転舵弾性係数Qsfは左右前輪33,43の
タイヤと路面との間の摩擦により決定される定数であ
り、後輪転舵弾性係数Qsrは左右後輪53,63のタ
イヤと路面との間の摩擦により決定される定数である。
一方、回転変位量Xmは、(式15),(式16),
(式18),(式19),(式21),(式23),
(式24)に基づき、 Xm=Xsf/αf+(Cm・βf+Csf /αf)・Fsf+Cm・βr+Fs r・・・(式28) のように表され、かつ同回転変位量Xmは、(式1
5),(式17),(式18),(式20),(式2
2),(式23),(式24)に基づき、 Xm=Xsr/αr+(Cm・βr+Csr /αr)・Fsr+Cm・βf・Fs f・・・(式29) のようにも表される。ここで、左右前輪33,43が固
定され、(Xsf=O)かつ左右後輪53,63が路面
と接触していない(Fsr=O)状態における前輪弾性
係数Qsfを値Qsf∽とすれば、値Qsf∽は、(式
15),(式23),(式28)より、 Qsf∽=αf・βf/(αf・βf・Cm +Csf+αf・βr・Cm・F sr/Fsf)・・・(式30) のように表される。また、左右前輪33,43が路面に
接触しておらず(Fsf=O)かつ左右後輪53,63
が固定された(Xsr=O)状態における後輪弾性係数
Qsrを値Qsr∽とすれば、値Qsr∽は、(式1
5),(式24),(式29)より、 Qsr∽=αr・βr/(αr・βr・Cm +Csr+αr・βf・Cm・F sf/Fsr)・・・(式31) のように表される。そして、操舵弾性係数Qmを前輪弾
性係数Qsf及び後輪弾性係数Qsrを用いて表すと、
操舵弾性係数Qmは、上記(式15),(式23),
(式24),(式26)〜(式31)に基づき のように表される。ここで、値Qsf∽が左右前輪3
3,43が固定された状態における前輪弾性係数である
ことを考えると、値Qsf∽は通常時の前輪弾性係数Q
sfに比べて極めて大きく(Qsf∽>>Qsf)な
り、また値Qsr∽が左右後輪53,63が固定された
状態における後輪弾性係数であることを考えると、値Q
sr∽は通常時の後輪弾性係数Qsrに比べて極めて大
きく(Qsr∽>>Qsr)なるので、上記(式32)
は次式のように変形される。
Qm=αf・βf・Qsf+αr・βr・Q sr・・・(式33) そして、これらの積αf・βf及び積αr・βrを各々
変更することは、操舵弾性係数Qm、すなわち操舵軸2
1の同一回転変位量Xmに対して必要とされる操舵力F
mの変更を意味し、後述の実施例では、これらの積αf
・βf及び積αr・βrは各々操舵特性を示す選択可能
でかつ車速に応じて変化するパラメータとして扱われ
る。
上記(式21)〜(式24)により逆に係数Kmpf,
Kmpr,Ksff,Ksfrを求めると、係数Kmp
f,Kmpr,Ksff,Ksfrは次式のようにな
る。
Kmpf=αf・Kspf・・・(式34) Kmpr=αr・Kspr・・・(式35) Ksff=βf・Kmf・・・(式36) Ksfr=βr・Kmf・・・(式37) ここで、係数Kspf,Kspr,Kmf,Kmfは各
々係数Kmpf,Kmpr,Ksff,Ksfrに対す
る相対的な値であるので、後述の実施例において定数と
して定義し、係数Kmpf,Kmpr,Ksff,Ks
frを各々前輪ステアリングギヤ比αf,後輪ステアリ
ングギヤ比αr,前輪力逆送比βf及び後輪力逆送比β
rにより変化する値として扱う。
C.具体的実施例 上記のように、前輪ステアリングギヤ比αf,後輪ステ
アリングギヤ比αr,前輪力逆送比βf及び後輪力逆送
比βrに基づいて、係数Kmpf,Kmpr,Ksf
f,Ksfrをマイクロコンピュータによって演算し
て、左右前輪33,43及び左右後輪53,63を各々
転舵制御する本発明の具体的実施例を図面を用いて説明
すると、第5図は運転者が操作するマスタ部Aと、左右
前輪33,43を各々転舵する第1スレーブ部B1及び
第2スレーブ部B2と、左右後輪53,63を各々転舵
する第3スレーブ部B3及び第4スレーブ部B4と、マ
スタ部A、第1乃至第4スレーブ部B1〜B4を電気的
に制御する電気制御装置Cとを備えた車両用動力舵取装
置を示している。マスタ部A、第1乃至第4スレーブ部
B1〜B4は、第2図の基本構成とほぼ同じに構成され
ているので、同一部分には同一符号を付して詳述しな
い。
マスタ部Aは操舵ハンドル20,操舵軸21,操舵軸モ
ータ22,操舵変位量センサ23及び操舵力センサ24
を備えている。操舵変位量センサ23は、操舵軸21の
回転に応じて中点の接地された抵抗器23a上を摺動す
る摺動子23bと、抵抗器23aの両端に接続された電
圧源23cとを備え、摺動子23bの左(又は右)回転
により操舵軸21の基準位置に対する回転角に比例した
操舵変位量Ymを表わす正(又は負)の電圧信号を出力
する。操舵力センサ24は、操舵軸21に粘着され同軸
21の捩れ量に応じて抵抗値の変化する歪みゲージ24
aと、この歪みゲージ24aを一辺として固定抵抗24
b,24c,24dで形成されるブリッジ回路と、歪み
ゲージ24a,抵抗24bの接続点及び抵抗24c,2
4dの接続点間に接続された電圧源24eから成る。こ
の操舵力センサ24は歪みゲージ24a,抵抗24dの
接続点から操舵ハンドル20の左(又は右)回転に応じ
操舵軸21に発生する捩れ量に比例した操舵力Fmを表
す正(又は負)の電圧信号を出力している。なお、抵抗
24b,24cの接続点は接地されている。
第1スレーブ部B1は左前輪転舵軸モータ30,ピニオ
ン31,左前輪転舵軸32,左前輪33、ラック軸3
4、タイロッド35、ナックルアーム36、左前輪転舵
変位量センサ37、左前輪転舵反力センサ38及び車体
と左前輪33間に配設された左前輪33近傍の車体の上
下変位量を検出する左前輪車高センサ39を備えてい
る。左前輪転舵変位量センサ37は、左前輪転舵軸32
の回転に応じて中点の接地された抵抗器37a上を摺動
する摺動子37bと、抵抗37aの両端に接続された電
圧源37cとを備え、摺動子37bの右(又は左)回転
すなわち左前輪33の左(又は右)転舵により左前輪転
舵軸32の回転角に比例した左前輪転舵変位量Ysf1
を表わす正(又は負)の電圧信号を出力する。左前輪転
舵反力センサ38は、左前輪転舵軸32に粘着され同軸
32の捩れ量に応じて抵抗値の変化する歪みゲージ38
aと、この歪みゲージ38aを一辺として固定抵抗38
b,38c,38dで形成されるブリッジ回路と、歪み
ゲージ38a、抵抗38bの接続点及び抵抗38c,3
8dの接続点間に接続された電圧源38eから成る。左
前輪転舵反力センサ38は歪みゲージ38a,抵抗38
dの接続点から左前輪33の左(又は右)転舵に応じ前
輪転舵軸32に発生する捩れ量に比例した左前輪転舵反
力Fsf1を表す正(又は負)の電圧信号を出力してい
る。なお、抵抗38b,38cの接続点は接地されてい
る。左前輪車高センサ39は左前輪33近傍の車体の上
下動により抵抗器39a上を摺動する摺動子39bと、
抵抗器39aの両端に接続された電圧源39cとを備
え、摺動子39bから左前輪33近傍の車体の上方向
(又は下方向)への変位すなわち同車輪33が路面に弱
く(又は強く)押しつけられているとき、正(又は負)
の第1車高値H1を示す電圧信号を出力する。
第2スレーブ部B2は第1スレーブ部B1と同様に構成
され、右前輪転舵軸モータ40,ピニオン41,右前輪
転舵軸42,右前輪42、ラック軸44、タイロッド4
5、ナックルアーム46,右前輪転舵変位量センサ4
7、右前輪転舵反力センサ48及び右前輪車高センサ4
9を備えている。右前輪転舵変位量47は、抵抗器47
a、摺動子47b及び電圧源47cにより左前輪転舵変
位量センサ37と同じように構成され、右前輪43の左
(又は右)転舵により右前輪転舵軸42の回転角に比例
した右前輪転舵変位量Ysf2を表す正(又は負)の電
圧信号を出力する。右前輪転舵反力センサ48は、歪み
ゲージ48a,固定抵抗48b,48c,48d及び電
圧源48eにより左前輪転舵反力センサ38と同じよう
に構成され、右前輪43の左(又は右)転舵に応じ右前
輪転舵軸42に発生する捩れ量に比例した右前輪転舵反
力Fsf2を表す正(又は負)の電圧信号を出力してい
る。右前輪車高センサ49は、抵抗器49a,摺動子4
9b及び電圧源49cにより左前輪車高センサ39と同
じように構成され、右前輪43近傍の車体の上方向(又
は下方向)への変位に応じて正(又は負)の第2車高値
H2を示す電圧信号を出力する。
第3スレーブ部B3及び第4スレーブ部B4も各々第1
スレーブ部B1と同様に構成され、各々左右後輪転舵軸
モータ50,60、ピニオン51,61、左右後輪転舵
軸52,62、左右後輪53,63、ラック軸54,6
4、タイロッド55,65、ナックルアーム56,6
6、左右後輪転舵変位量センサ57,67、左右後輪転
舵反力センサ58,68及び左右後輪車高センサ59,
69を備えている。左右後輪転舵変位量センサ57,6
7は、各々抵抗器57a,67a、摺動子57b,67
b及び電圧源57c,67cにより左前輪転舵変位量セ
ンサ37と同じように構成され、左右後輪53,63の
各左(又は右)転舵により、左右後輪転舵軸52,62
の各回転角に比例した左右後輪転舵変位量Ysf1,Y
sf2を表す正(又は負)の電圧信号を各々出力する。
左右後輪転舵反力センサ58,68は、各々歪みゲージ
58a,68a、固定抵抗58b,58c,58d,6
8b,68c,68d及び電圧源58e,68eにより
左前輪転舵反力センサ38と同じように構成され、左右
後輪53,63の各左(又は右)転舵に応じ、左右後輪
転舵軸52,62に発生する捩れ量に比例した各左右後
輪転舵反力Fsr1,Fsr2を表す正(又は負)の電
圧信号を各々出力する。左右後輪車高センサ59,69
は、各々抵抗器59a,69a、摺動子59b,69b
及び電圧源59c,69cにより左前輪車高センサ39
と同じように構成され、左右後輪53,63の各々近傍
の車体の上方向(又は下方向)への変位に応じて正(又
は負)の第3,第4車高値H3,H4を示す電圧信号を
出力する。
電気制御装置Cは操舵変位センサ23からの操舵変位量
Ym,操舵力センサ24からの操舵力(又は操舵軸反
力)Fm,左右前輪転舵変位量センサ37,47からの
各左右前輪転舵変位量Ysf1,Ysf2,左右前輪転
舵反力センサ38,48からの各左右前輪転舵反力(又
は左右前輪転舵力)Fsf1,Fsf2、左右前輪車高
センサ39,49からの各第1,第2車高値H1,H
2、左右後輪転舵変位量センサ57,67からの各左右
後輪転舵変位量Ysr1,Ysr2,左右後輪転舵反力
センサ58,68からの各左右後輪転舵反力(又は後輪
転舵力)Fsr1,Fsr2、左右後輪車高センサ5
9,69からの各第3,第4車高値H3,H4、及び変
速機の出力軸の回転をピックアップし、車速に対応した
ピックアップ信号を発生する車速センサ100からの車
速Vを入力して、操舵軸モータ22の回転制御量Mm、
左右前輪転舵軸モータ30,40の各回転制御量Msf
1,Msf2及び左右後輪転舵軸モータ50,60の各
回転制御量Msr1,Msr2を算出するマイクロコン
ピュータ101を備えている。
マイクロコンピュータ101は、上記各センサ23,2
4,37,38,39,47,48,49,57,5
8,59,67,68,69,100からの検出値を入
力する入力ポート101aと、第6図に示されたフロー
チャートに対応するプログラム及びプログラムの実行に
必要な定数を記憶する読出し専用メモリ(以下単にRO
Mという)101bと、プログラムを実行する中央処理
装置(以下単にCPUという)101cと、プログラム
の実行に必要な変数を一時的に記憶する書込み可能メモ
リ(以下単にRAMという)101dと、プログラムの
実行により算出された操舵軸モータ22の回転制御量M
m、左右前輪転舵軸モータ30,40の各回転制御量M
sf1お,Msf2及び左右後輪転舵軸モータ50,6
0の各回転制御量Msr1,Msr2を出力する出力ポ
ート101eと、これらの入力ポート101a,ROM
101b,CPU101c,RAM101d及び出力ポ
ート101eを各々共通に接続するバス101fを備え
ている。入力ポート101aには、各センサ23,2
4,37,38,39,47,48,49,57,5
8,59,67,68,69,100からマルチプレク
サ102を介して供給されるアナログ信号をディジタル
信号に変換するアナログディジタル変換器(以下単にA
/D変換器という)103が接続され、マルチプレクサ
102は各センサ23,24,37,28,39,4
7,48,49,57,58,59,67,68,6
9,100からのアナログ信号を、CPU101cから
入力ポート101aを介して供給される制御信号に応じ
て、時分割的にA/D変換器103に選択出力し、A/
D変換器103がこの制御信号に同期してこの出力信号
をディジタル信号に変換して、入力ポート101aに供
給している。マルチプレクサ102と各センサ23,2
4,37,38,39,47,48,49,57,5
8,59,67,68,69,との間には各々バッファ
アンプ104a,104b,104c,104d,10
4e,104f,104g,104h,104i,10
4j,104k,104l,104m,104nが接続
されている。また、マルチプレクサ102と車速センサ
100との間には、車速センサ100からのピックアッ
プ信号を矩形波信号に波形整形する波形整形回路100
aと、この矩形波信号を入力し同信号の周波数に比例し
た電圧値を示す電圧信号に変換する周波数/電圧変換器
(以下単にf/V変換器という)100bと、f/V変
換器100bの出力をマルチプレクサ102に供給する
バッファアンプ100cが接続されている。さらに、入
力ポート101aには、車速に応じて変化する3種類の
操舵特性(ライトモード,ノーマルモード,スポーツモ
ード)の内の1種類を運転者が選択するためのセレクト
スイッチ105が接続されている。出力ポート101e
には、操舵軸モータ22の回転制御量Mmをディジタル
アナログ変換するディジタルアナログ換器(以下単にD
/A変換器という)106aが接続されて、D/A変換
器106aは回転制御量Mmをアナログ信号に変換して
パワーアンプ107aを介して操舵軸モータ22を制御
している。また、同出力ポート101eには左右前輪転
舵軸モータ30,40の各回転制御量Msf1,Msf
2及び左右後輪転舵軸モータ50,60の各回転制御量
Msr1,Msr2を各々ディジタルアナログ変換する
D/A変換器106b,106c,106d,106e
が接続されて、D/A変換器106b,106c,10
6d,106eは各回転制御量Msf1,Msf2及び
各回転制御量Msr1,Msr2を各々アナログ信号に
変換してパワーアンプ107b,107c,107d,
107eを介して左右前輪転舵軸モータ30,40及び
左右後輪転舵軸モータ50,60を各々制御している。
さらに、出力ポート101eにはセレクトスイッチ10
5の選択操舵特性を表示する表示器105aが接続され
ている。
上記のように構成された車両用動力舵取装置の動作を第
6図に示されたフローチャートを用いて説明すると、イ
グニッションスイッチの投入により、CPU101cは
プログラムの実行をステップ200から開始し、プログ
ラムはステップ201に進む。
ステップ201にて、CPU101cはセレクトスイッ
チ105の選択状態を入力して、セレクトスイッチ10
5がライトモードを選択している場合モード選択フラグ
Sを“0”に設定し、ノーマルモードを選択している場
合モード選択フラグSを“1”に設定し、スポーツモー
ドを選択している場合モード選択フラグSを“2”に設
定して、このモード選択フラグSをRAM101dに一
時的に記憶する。ステップ201のモード選択情報の入
力後、CPU101cは、ステップ202にてこのモー
ド選択情報を出力ポート101eを介して表示器105
aに出力して表示器105aにて選択された操舵特性モ
ードを点灯表示し、プログラムをステップ203,20
4,205に進める。CPU101cは、ステップ20
3にて操舵変位量センサ23から操舵変位量Ym、操舵
力センサ24から操舵力(又は操舵反力)Fm、左右前
輪転舵変位量センサ37,47から各左右前輪転舵変位
量Ysf1,Ysf2、左右前輪転舵反力センサ38,
48から各左右前輪転舵反力(又は前輪転舵力)Fsf
1,Fsf2、左右後輪転舵変位量センサ57,67か
ら各左右後輪転舵変位量Ysr1,Ysr2、及び左右
後輪転舵反力センサ58,68から各左右後輪転舵反力
(又は後輪転舵力)Fsr1,Fsr2を入力してRA
M101dに各々記憶し、ステップ204にて左右前輪
車高センサ39,49及び左右後輪車高センサ59,6
9から第1乃至第車高値H1,H2,H3,H4を入力
してRAM101dに記憶し、ステップ205にて車速
センサ100から車速Vを入力してRAM101dに記
憶して、プログラムをステップ206に進める。
ステップ206にて、CPU101cは車速VをRAM
101dから読出し、車速Vに対する前輪及び後輪トー
イン補正量ΔTf,ΔTrを算出してRAM101dに
記憶する。これらトーイン補正量ΔTf,ΔTrは、第
7A図のトーイン補正量特性グラフに示されるように、
車速Vの増加に比例して増加するもので、車速Vにより
トーイン補正量ΔTf,ΔTrを算出するパラメータは
各々プログラムとともにROM101bに記憶されてい
る。次に、CPU101cはステップ207にて各車高
値H1,H2,H3,H4をRAM101dから読出
し、各車高値H1,H2,H3,H4に対する第1乃至
第4バウンド補正量ΔZ1,ΔZ2,ΔZ3,Δ4を算
出して、RAM101dに各々記憶する。これらの第1
乃至第4バウンド補正量ΔZ1,ΔZ2,ΔZ3,ΔZ
4は、本実施例では第7B図のバウンド補正量特性グラ
フに示されるように、各車高値H1,H2,H3,H4
が小さいすなわち左右前輪33,43及び左右後輪5
3,63が各々路面に強く押しつけられているとき負の
値となり、各車高値H1,H2,H3,H4が大きいす
なわち左右前輪33,43及び左右後輪53,63が路
面に弱く押しつけられているとき正の値となるもので、
左右前輪、33,43及び左右後輪53,63の路面に
押しつけられる力が大きい程タイヤの切れ角が転舵機構
の転舵量に比して車両の内側になることを各々補正する
ものである。なお、バウンド補正量を示すパラメータは
各車両のサスペンションのジオメトリーにより異なり、
車体が上下に振動したときの左右前輪33,43及び左
右後輪53,63の各タイヤの切れ角変化特性より求
め、ROM101bにテーブルとして予め記憶されてい
る。ステップ207の演算後、CPU101cはステッ
プ208にて左右前輪転舵変位量Ysf1,Ysf2及
び左右後輪転舵変位量Ysr1,Ysr2を、前輪トー
イン補正量ΔTf及び後輪トーイン補正量ΔTr、第1
乃至第4バウンド補正量ΔZ1,ΔZ2,ΔZ3,ΔZ
4により各々補正して、第1乃至第4補正転舵変位量Y
sf11,Ysf12,Ysr11,Ysr12を下記
(式38)〜(式41)により算出してRAM101d
に記憶する。
Ysf11=Ysf1+ΔTf+ΔZ1・・ ・(式38) Ysf12=Ysf2−ΔTf−ΔZ2・・ ・(式39) Ysr11=Ysr1+ΔTr+ΔZ3・・ ・(式40) Ysr12=ysr2−ΔTr−ΔZs・・ ・(式41) ステップ208の演算後、CPU101cはステップ2
09にてモード選択フラグSを読出してモード選択フラ
グSの値によりモード判別を行い、モード選択フラグS
が“0”である場合操舵特性としてライトモードが選択
されていると判断してステップ210の実行に移り、モ
ード選択フラグSが“1”である場合操舵特性としてノ
ーマルモードが選択されていると判断してステップ21
1の実行に移り、モード選択フラグSが“2”である場
合操舵特性としてスポーツモードが選択されていると判
断してステップ212の実行に移る。
ステップ210,211,212の演算においては、C
PU101cは、各々車速VをRAM101dから読出
して、この車速Vと操舵特性モードの種類に基づいて、
第7C図乃至第7F図の特性図に示された前輪ステアリ
ングギヤ比αf、後輪ステアリングギヤ比αr、上記比
αfと前輪力逆送比βfとの積αf・βf及び上記比α
rと後輪力逆送比βrとの積αr・βrをROM101
b内に設けられたパラメータテーブルから各々読出して
各比αf,αrを各々求めるとともに、各比αf,αr
で各積αf・βf,αr・βrを除して各比βf,βr
を算出する。第7C図の特性図は車速Vに対する各モー
ドの前輪ステアリングギヤ比αfの値の変化を示してお
り、これらの各比αfは全てのモードにおいて車速Vが
変化してもほぼ一定の値となるが、ライトモードL及び
スポーツモードSではノーマルモードNに比べ大きな値
である。これはライトモードL及びスポーツモードSに
おける操舵量とノーマルモードNにおける操舵量が同じ
であっても、ライトモードL及びスポーツモードSにお
ける左右前輪転舵量がノーマルモードNにおける左右前
輪転舵量に比して大きくなることを意味する。第7D図
の特性図は車速Vに対する各モードの後輪ステアリング
ギヤαrの値の変化を示しており、全てのモードにおい
て、これらの各比αrは、車速Vが零から大きくなるに
つれて、負から正に連続的に変化し、かつこれらの各比
αrの絶対値の最大値は各比αfの値の1/3程度の値
である。また、これらの各比αrは、ノーマルモード
N、ライトモードL、スポーツモードSの順にそれらの
値が零となる車速値が大きくなる。これにより、低車速
領域にて左右後輪53,63は左右前輪33,43に対
し逆相に転舵され、高車速領域にて左右後輪53,63
は左右前輪33,43に対し同相に転舵され、かつノー
マルモードN、ライトモードL、スポーツモードSの順
に車速が大きくなるまで左右後輪53,63は左右前輪
33,43に対し逆相に転舵される。なお、左右後輪5
3,63の転舵量は左右前輪33,43の転舵量の1/
3程度となる。第7E図及び第7F図の特性図は車速V
に対する各モードの前輪ステアリング比αfと前輪力逆
送比βfとの積αf・βf及び後輪ステアリング比αr
と前輪力逆送比βfとの積αr・βrの各値の変化を示
している。これらの積αf・βf及び積αr・βrは、
全てのモードにおいて、車速Vが小さいときには一定の
値となり、車速Vの増加によりライトモードL,ノーマ
ルモードN,スポーツモードSの順に大きくなる勾配を
もって増加する。これは車速Vの増加により操舵ハンド
ル20を回動するために必要とされる操舵力が徐々に大
きくなることを意味するとともに、ライトモードL,ノ
ーマルモードN,スポーツモードSの順にこの操舵力が
大きくなることを意味する。
上記ステップ210(又は211,212)にて前後輪
ステアリングギア比αf,αrr及び前後輪力逆送比β
f・βrの演算後、プログラムはステップ213に進
み、CPU101cはステップ213にて係数Kmp
f,Kmpr,Ksff,Ksfrを、上記前後輪ステ
アリングギア比αf,αrと上記前後輪力逆送比βf,
βrとROM101bに記憶されている係数Kspf,
Kspr,Kmfに基づいて、(式34)乃至(式3
7)に示される演算を実行することにより、算出する。
次に、ステップ214にて、CPU101cは操舵軸モ
ータ22の回転制御量Mm、左右前輪転舵軸モータ3
0,40の各回転制御量Msf1,Msf2及び左右後
輪転舵軸モータ50,60の各回転制御量Msr1,M
sr2を上記算出係数Kmpf,Kmpr,Ksff,
Ksfr、上記係数Kspf,Kspr,Kmf、及び
操舵変位量Ym、操舵力(又は操舵反力)Fm、左右前
輪転舵変位量Ysf1,Ysf2、左右後輪転舵変位量
Ysr1,Ysr2、左右前輪転舵反力(又は転舵力)
Fsf1,Fsf2、及び左右後輪転舵反力Fsr1,
Fsr2に基づいて下記(式42)乃至(式45)に示
される演算を実行することにより算出する。
Mm=Kmf・Fm−Ksff・(Fsf1+F sf2)−Ksfr・(Fsr1+Fsr 2)・・・(式42) Msf1=Kmpf・Ym−Kspf・Ysf1 ・・・(式43) Msf2=Kmpf・Ym−Kspf・Ysf2 ・・・(式44) Msr1=Kmpr・Ym−Kspr・Ysr1 ・・・(式45) Msr2=Kmpr・Ym−Kspr・Ysr2 ・・・(式46) ステップ214の演算後、プログラムはステップ215
に進み、CPU101cは操舵軸21の回転制御量M
m、左右前後輪転舵軸32,42の各回転制御量Msf
1,Msf2及び左右後輪転舵軸52,62の各回転制
御量Msr1,Msr2を表す制御信号を出力ポート1
01eを介して各々D/A変換器106a,106b,
106c,106d,106eに出力する。D/A変換
器106a,106b,106c,106d,106e
は各々パワーアンプ107a,107b,107c,1
07d,107eを介して操舵軸モータ22、左右前輪
転舵軸モータ30,40及び左右後輪転舵軸モータ5
0,60の各回転を制御する。操舵軸21の回転が制御
される動作、左右前輪転舵軸32,42、及び左右後輪
転舵軸52,62の各回転が制御されて左右前輪33,
43及び左右後輪53,63が転舵される動作は基本構
成で説明した動作と同じである。
しかし、左右前輪転舵軸32,42及び左右後輪転舵軸
52,62の各回転位置は、左右前輪転舵変位量Ysf
1,Ysf2及び左右後輪転舵変位量Ysr1,Ysr
2を各々補正した第1乃至第4補正転舵変位量Ysf1
1,Ysf12,Ysr11,Ysr12により決定さ
れるので、左右前輪33,43及び左右後輪53,63
の転舵量は各々前後輪トーイン補正量ΔTf,ΔTr,
第1乃至第4バウンド補正量ΔZ1,ΔZ2,ΔZ3,
ΔZ4により補正することになる。すなわち、左前輪3
3及び左後輪53の転舵は、制御量Kmpf・Ym,K
mpr・Ymと制御量Kspf・Ysf11,Kspr
・Ysr11が各々一致する位置で静止するが、第1及
び第3補正転舵変位量Ysf11,Ysr11は、各々
(式38),(式40)に示すように左前輪転舵変位量
Ysf1及び左後輪転舵変位量Ysr1よりΔTf+Δ
Z1及びΔTr+ΔZ3だけ大きく設定されており、か
つ本実施例では左方向への転舵を正としているので、左
前輪33及び左後輪53の左方向への各転舵量は各々Δ
Tf+ΔZ1及びΔTr+ΔZ3に相当する分小さくな
る。これにより、左前輪33及び左後輪53の転舵がΔ
T+ΔZ1及びΔTr+ΔZ3に相当する分右方向すな
わち車輪の内側に補正される。この場合、これらのKs
pf・ΔTf及びKspr・ΔTrは、左前輪33及び
右後輪53の各トーイン角を車速に応じて大きくするこ
とを各々意味し、Kspf・ΔZ1及びKspr・ΔZ
3は、左前輪33及び左後輪53が各々路面に強く押し
つけられているときには、ΔZ1及びΔZ3が各々負に
なるので、左前輪33及び左後輪53を左方向すなわち
車両の外側に転舵するように補正することを各々意味
し、かつ左前輪33及び左後輪53が路面に弱く押しつ
けられたときには、ΔZ1及びΔZ3が各々正になるの
で、左前輪33及び左後輪53を右方向すなわち車両の
内側に転舵するように補正することを各々意味する。ま
た、右前輪43及び右後輪63の転舵は、制御量Kmp
f・Ym,Kmpr・Ymと制御量Kspf・Ysf1
2,Kspr・Ksr12が各々一致する位置で静止す
るが、第2及び4補正転舵変位量Ysf12,Ysr1
2は、各々(式39),(式41)に示すように、右前
輪転舵変位量Ysf2及び右後輪転舵変位量Ysr2よ
りΔTf+ΔZ2及びΔTr+ΔZ4だけ小さく設定さ
れており、かつ本実施例では左方向へ転舵を正としてい
るので、右前輪43及び右後輪63の左方向への各転舵
量は各々ΔTf+ΔZ2及びΔTr+ΔZ4に相当する
分大きくなる。これにより、右前輪43及び右後輪63
の各転舵が各々ΔTf+ΔZ2及びΔTr+ΔZ4に相
当する分左方向すなわち車両の内側に補正される。この
場合、これらのKspf・ΔTf及びKspr・ΔTr
は右前輪43及び右後輪63の各トーイン角を車速に応
じて大きくすることを各々意味し、Kspf・ΔZ2及
びKspr・ΔZ4は、右前輪43及び右後輪63が各
々路面に強く押しつけられているときには、ΔZ2及び
ΔZ4が各々負になるので、右前輪43及び右後輪63
を右方向すなわち車両の外側に転舵するように補正する
ことを各々意味し、かつ右前輪43及び右後輪63が各
々路面に弱く押しつけられるときには、ΔZ2及びΔZ
4が各々正になるので、右前輪43及び右後輪63を左
方向すなわち車両の内側に転舵するように補正すること
を各々意味する。
上記ステップ215の演算後、プログラムはステップ2
16に進み、CPU101cはステップ216にて操舵
変位量YmをRAM101dから読出して、操出変位量
Ymの絶対値|Ym|が所定の小さな値W以下である、
すなわち車両が略直進状態にあるか否かを判別する。こ
の判別においてCPU101cが、「YES」すなわち
操舵変位量Ymの絶対値|Ym|が上記値W以下である
との判断をすると、ステップ201の演算の実行に戻っ
てステップ201〜209,210(又は211,21
2),213〜216の循環演算を実行し、「NO」す
なわち操出変位量Ymの絶対値|Ym|が上記値Wより
大きいと判断するステップ203の演算の実行に戻って
ステップ203〜209,210(又は211,21
2),213〜216の循環演算を実行して操舵軸2
1、左右前輪転舵軸32,42及び左右後輪転舵軸5
2,62の各回転制御を行う。このように、車両が略直
進状態にあるときには、プログラムがステップ201を
通過してモードの変更を可能とし、車両が旋回状態にあ
るときにはプログラムがステップ201を通過しないよ
うにしてモードの変更を不可能とすることによって、前
後輪ステアリングギヤ比αf,αrにより決定される左
右前輪33,43及び左右後輪53,63の転舵軸の不
連続な変化並びにこれらの比αf,αrと前後輪力逆送
比βf,βrとの各積αf・βf,αr・βrにより決
定される操舵力(又は操舵反力)の不連続な変化をなく
すことができる。
上記のような動作説明でも理解されるように、上記実施
例においてはステップ203,213〜215の演算に
より操舵ハンドル20の回動操作に応じて左右前輪3
3,43及び左右後輪53,63を各々独立に転舵し、
この左右前輪33,43及び左右後輪53,63の各転
舵により発生する左右前輪転舵反力Fsf1,Fsf2
及び左右後輪転舵反力Fsr1,Fsr2を操舵反力と
して操舵ハンドル20に逆送するようにしたので、運転
者は左右前輪33,43及び左右後輪53,63の各転
舵に応じて、操舵反力、保舵反力及び操舵ハンドルの復
元力を感じながら車両を運転できる。また、この操舵反
力はステップ205,210(又は211,212)の
演算により車速Vの増加に従って増加するので、操縦安
定性が良好となる。さらに、前後輪ステアリングギヤ比
αf,αr及びこれらの比αf,αrと前後輪力逆送比
βf,βrとの各積αf・βf,αr・βrの特性をス
テップ201,209の演算により選択可能としたの
で、運転者の個性に応じて又は車両の運転状態に応じて
操舵ハンドル20の回転操舵に伴う左右前輪33,43
及び左右後輪後輪53,63の各転舵量及び操舵力(操
舵反力)を変更することができる。
また、車体が上下に振動して左右前輪33,43及び左
右後輪53,63の各タイヤの切れ角が変化(バウンド
ステア変化又はバンプステア変化)した場合でも、ステ
ップ204,207,208の演算により上記変化が補
正されるようにしたので車両の操縦安定性が良好とな
る。さらに、ステップ205,206,208の演算に
より車速Vが大きくなるに従って、トーイン角を大きく
するようにしたので、中高速走行車両の直進性が向上す
る。
d.変形例 次に、上記具体的実施例の第1,第2スレーブ部B1,
B2又は第3,第4スレーブ部B3,B4の変形例を図
面を用いて説明すると、第8図は第5図の左右前輪3
3,43又は左右後輪53,63に各々対応する左右車
輪120,140を各々転舵する第5,第6スレーブ部
B5,B6を示している。
第5スレーブ部B5は、油圧ポンプ(図示しない)の吐
出油がサーボ弁121を介して付与される油圧シリンダ
122と、油圧シリンダ122に駆動されて左車輪12
0を転舵する左車輪転舵軸123と、同軸123の転舵
変位量Ys10を検出する左車輪転舵変位量センサ12
4と、左車輪120から左車輪転舵軸123に付与され
る左車輪転舵反力Fs10を検出する左車輪転舵反力セ
ンサ125と、第5車高センサ126を備えている。サ
ーボ弁121は、その中立位置にてサーボ軸121aに
固着されたスプール121b,121c,121dにて
リザーバ(図示しない)に接続された導管P10,油圧
ポンプに接続された導管P11,リバーザに接続された
導管P12を各々閉止し、第1位置に切換えられたとき
サーボ軸121aを図示左方向へ変位させることによっ
て、導管P11から供給される圧油を導管P13を介し
て油圧シリンダ122の右室122aへ供給し、かつ油
圧シリンダ122の左室122bに接続された導管P1
4からの油を導管P10を介してリザーバに導く。ま
た、サーボ弁121は、その第2位置に切換えられたと
き、サーボ軸121aを図示右方向へ変位させることに
よって、導管P11から供給される圧油を導管P14介
して左室122bへ供給し、かつ右室122aに接続さ
れた導管P13からの油を導管P12を介してリザーバ
に導く。サーボ軸121aの左(又は右)方向への変位
は、サーボ軸121aの一端に設けられ、第5図のマイ
クロコンピュータ101及びD/A変換器106b(又
は106d)からパワーアンプ107b(又は107
d)を介して供給される上記具体的実施例の回転制御量
Msf1(又はMsr1)に対応する制御信号Ms10
によって駆動制御されるソレノイド又はモータから成る
リニアアクチュエータ127によって制御される。
油圧シリンダ122は、サーボ弁121から供給される
圧油により油圧シリンダ122内を摺動するピストン1
22cを備え、このピストン122cの摺動によりピス
トン122cに固着された左車輪転舵軸123をその軸
方向に変位させる。また、左車輪転舵軸123は、タイ
ロッド128及びナックルアーム129を介して左車輪
120に連結されており、左車輪転舵軸123の変位に
より、左車輪120を転舵する。左車輪転舵変位量セン
サ124は、左車輪転舵軸123の変位に応じて中点の
接地された抵抗器124a上を摺動する摺動子124b
と、抵抗器124aの両端に接続された電圧源124c
とを備え、摺動子124bの左(又は右)変位により左
車輪転舵軸123の左車輪転舵変位量Ys10を表す正
(又は負)の電圧信号を、第5図のバッファアンプ10
4c(104i)を介してマイクロコンピュータ101
に出力している。左車輪転舵反力センサ125は、左車
輪転舵軸123に粘着され同軸123の引張り及び圧縮
に応じて抵抗値の変化する歪みゲージ125aと、歪み
ゲージ125aを一辺として固定抵抗125b,125
c,125dで形成されるブリッジ回路と、歪みゲージ
125a,抵抗125bの接続点及び抵抗125c,1
25dの接続点間に接続された電圧源125eから成
り、抵抗125b,125cの接続点は接地されてい
る。この左車輪転舵反力センサ125は、歪みゲージ1
25a,抵抗125dの接続点から左車輪123の左
(又は右)転舵に応じて、左車輪転舵軸123の歪みゲ
ージ125aの粘着された部分に発生する圧縮(又は引
張り)歪み量に比例した左車輪転舵反力(転舵力)Fs
10を表す正(又は負)の電圧信号を第5図のバッファ
アンプ104d(又は104j)を介してマイクロコン
ピュータ101に出力している。第5車高センサ126
は、抵抗器126a,摺動子126b及び電源126c
により、第5図の第1車高センサ39(又は第3車高セ
ンサ59)と同様に構成され、左車輪120近傍の車体
の第5車高値H5を表す電圧信号を第5図のバッファア
ンプ104e(又は104k)を介してマイクロコンピ
ュータ101に出力している。
第6スレーブ部B6は、第5スレーブ部B5と同様に構
成され、右車輪140、サーボ弁141、油圧シリンダ
142、右車輪転舵軸143、右車輪転舵変位量センサ
144、右車輪転舵反力センサ145、第6車高センサ
146、リニアアクチュエータ147、タイロッド14
8及びナックルアーム149を備えている。サーボ弁1
41は、サーボ軸141a及びスプール141b,14
1c,141dによりサーボ弁121と同様に構成さ
れ、第5図のマイクロコンピュータ101及びD/A変
換器106c(又は106e)からパワーアンプ107
c(又は107e)を介して供給される上記具体的実施
例の回転制御量Msr1(又はMsr2)に対応する制
御信号Ms20によって、リニアアクチュエータ147
を介して駆動制御される。油圧シリンダ142は、右室
142a,左室142b及びピストン142cにより油
圧シリンダ122と同様に構成され、サーボ弁141か
らの圧油供給により右車輪転舵軸143を変位させて右
車輪140を転舵する。サーボ弁141及び油圧シリン
ダ142に接続された導管P20,P21,P22,P
23,P24は各々導管P10,P11,P12,P1
3,P14に対応する。右車輪転舵変位量センサ144
は、抵抗器144a,摺動子144b及び電圧源144
cにより左車輪転舵変位量センサ124と同様に構成さ
れ、摺動子144bの左(又は右)変位により右車輪転
舵軸143の右車輪転舵変位量Ys20を表す正(又は
負)の電圧信号を、第5図バッファアンプ104f(又
は104l)を介してマイクロコンピュータ101に出
力している。右車輪転舵反力センサ145は歪みゲージ
145a,固定抵抗145b,145c,145d及び
電圧源145eにより左車輪転舵反力センサ125と同
様に構成され、右車輪140の左(又は右)転舵に応じ
て右車輪転舵反力(転舵力)Fs20を表す正(又は
負)の電圧信号を第5図のバッファアンプ104g(又
は104m)を介してマイクロコンピュータ101に出
力している。第6車高センサ146は、抵抗器146
a,摺動子146b及び電圧源146cにより第5車高
センサ126と同様に構成され、右車輪140の近傍の
車体の第6車高値H6を表す電圧信号を第5図のバッフ
ァアンプ104h(又は104n)を介してマイクロコ
ンピュータ101に出力している。
上記のように構成した第5,6スレーブ部B5,6の動
作を説明すると、リニアアクチュエータ127,147
には第5図のマイクロコンピュータ101から、上記具
体的実施例における各回転制御量Msf1(又はMsf
2)及びMsr1(又はMsr2)に代えて、リニアア
クチュエータ127,147を駆動制御する制御量Ms
10,Ms20に対応した制御信号が各々供給される。
なお、制御量Ms10及びMs20は、リニアアクチュ
エータ127,147の各特性に応じて各々決定される
ものであり、実質的に回転制御量Msf1(又はMsr
2),Msr1(又はMsr2)と同等である。リニア
アクチュエータ127,147に供給される各制御信号
レベルが各々正(又は負)であるとき、サーボ軸121
a,141aは各々左(又は右)方向に変位して、油圧
ポンプからの油圧を油圧シリンダ122,142の各右
室122a,142a(又は122b,142b)に供
給する。これらの圧油供給により、ピストン122c,
142c及び左右車輪転舵軸123,143は各々左
(又は右)方向に変位してタイロッド128,148及
びナックルアーム129,149を介して左右車輪12
0,140を各々左(又は右)方向に転舵する。これら
の左右車輪転舵軸123,143の各転舵変位量Ys1
0,Ys20は各々左右車輪転舵軸変位量センサ12
4,144によって検出されマイクロコンピュータ10
1に送出される。このとき、左右車輪120,140は
各々路面から上記転舵を阻止する図示右(又は左)方向
へ働く転舵反力を受けて、これらの各転舵反力はナック
ルアーム129,149及びタイロッド128,148
を介して左右車輪転舵軸123,143に各々伝達され
る。これらの転舵軸123,143に伝達される各転舵
反力Fs10,Fs20は、各々油圧シリンダ122,
142による力と逆方向に働くことになり、左車輪転舵
軸123には転舵反力(転舵力)Fs10に応じた圧縮
(又は引張り)歪みが生じ、右車輪転舵軸143には転
舵反力(転舵力)Fs20に応じた引張り(又は圧縮)
歪みが生じる。これらの左右車輪転舵軸123,143
の歪み量に比例した転舵反力(転舵力)Fs10,Fs
20は各々左右車輪転舵反力センサ125,145によ
って検出されてマイクロコンピュータ101に送出され
る。第5,第6車高センサ126,146が第5,第6
車高値H5,H6をマイクコンピュータ101に供給す
る動作は、上記具体的実施例の動作と同じである。これ
により、上記具体的実施例に係る第1,第2スレーブB
1,B2又は第3,第4スレーブ部B3,B4をこれら
を変形例である第5,第6スレーブB5,B6で置換し
ても、上記具体的実施例と同様な効果が達成される。
e.その他の変形例 上記具体的実施例においては、各モード毎の前輪ステア
リングギヤ比αfは、車速Vが変化しても、ほぼ一定の
値となるようにしたが、第7C図の特性図において、車
速Vが小さいとき各モードの前輪ステアリングギヤ比α
fが若干大きくなるようにし、また車速Vが大きいとき
同比αfが若干小さくなるようにしてもよい。これによ
り、車両の低速走行時には操舵ハンドル20の操舵量が
小さくても、左右前輪33,43の操舵量が大きくなっ
て車両旋回のための運転車の負担が軽減され、かつ、車
両の高速走行時には操舵ハンドル20の操舵量が左右前
輪33,43の転舵量へ与える影響が小さくなって高速
走行車両の走行安定性が良好となる。
さらに、前輪ステアリングギヤ比αf及び後輪ステアリ
ングギヤ比αrは、操舵変位量Ymの変化をも考慮し
て、決定されるようにしてもよい。この場合、CPU1
01cは、ステップ210(又は211,212)の演
算において、同ステップ210(又は211,212)
にて算出した各比αf,αrに、ステップ203にて入
力した操舵変位量Ymの絶対値|Ym|の増加に応じて
増加するパラメータを乗算する。これにより、同絶対置
|Ym|が大きくなるに従って、各比αf,αrの絶対
値|αf|,|αr|は大きくなるので、操舵ハンドル
20の操舵量が大きくなるに従って左右前輪33,43
及び左右後輪53,63の転舵量の変化分が大きくな
る。その結果、車両旋回のために、操舵ハンドル20の
操作を行う運転者の負担が軽減される。
また、上記具体的実施例においては、左右前輪転舵軸3
2,42及び左右後輪転舵軸52,62の各回転位置
は、各々左右前輪転舵変位量センサ37,47及び左右
後輪転舵変位量センサ57,67からの各左右前輪転舵
変位量Ysf1,Ysf2及びYsr1,Ysr2を、
各々左右前輪転舵軸モータ30,40及び左右後輪転舵
軸モータ50,60にフィードバックすることによっ
て、制御されるようにしたが、本発明では、左右前輪転
舵軸モータ30,40及び左右後輪転舵軸モータ50,
60が各々ステップモータで構成されるようにし、マイ
クロコンピュータ101が、操舵変位量センサ23から
の操舵変位量Ymに応じたこれらのモータ30,40,
50,60の目標回転ステップ数を算出し、この算出結
果に基づいてこれらのモータ30,40,50,60の
回転変位量が制御されるようにすれば、上記フィードバ
ック制御は不要となる。
また、上記具体的実施例においては、左右前輪33,4
3が独立の左右前輪転舵軸モータ30,40により制御
されるようにしたが、左前輪33及び右前輪43が単一
のモータで制御されるようにしてもよい。さらに、本発
明においては、左右前輪33,43は、同前輪33,4
3と操舵ハンドル20とを機械的に連結した前輪転舵機
構により転舵されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
第1図は特許請求の範囲に記載した発明の構成に対応す
る図、第2図は本発明に係る車両用動力舵取装置の基本
構成を示す図、第3図は第2図に示された基本構成にお
ける制御状態を表す制御ブロック図、4図は第3図の制
御ブロック図を簡略化した制御ブロック図、第5図は本
発明の具体的実施例を示す車両用動力舵取装置の概略
図、第6図は第5図のマイクロコンピュータで実行され
るプログラムのフローチャート、第7A図乃至第7F図
は本発明の具体的実施例における操舵特性を示す図、第
8図は第5図の第1,第2スレーブ部又は第3,第4ス
レーブ部の変形例を示す図である。 符号の説明 20……操舵ハンドル、21……操舵軸、22……操舵
軸モータ、23……操舵変位量センサ、24……操舵力
センサ、30,40,50,60……転舵軸モータ、3
2,42,52,62,123,143……転舵軸、3
3,43,53,63,120,140……車輪、3
7,47,57,67,124,144……転舵変位量
センサ、38,48,58,68,125,145……
転舵反力センサ、39,49,59,69,126,1
46……車高センサ、100……車速センサ、101…
…マイクロコンピュータ、105……セレクトスイッ
チ、121,141……サーボ弁、122,142……
油圧シリンダ、127,147……リニアアクチュエー
タ。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】操舵ハンドルの回動に応じて前輪及び左右
    後輪を各々独立に転舵する前後輪転舵車の動力舵取装置
    において、操舵ハンドルに結合した操舵軸と、該操舵軸
    を回転駆動する操舵軸アクチュエータと、前記操舵軸の
    回動に応じて前輪を転舵する前輪転舵制御手段と、左後
    輪に機械的に結合されて左後輪を転舵する左後輪転舵機
    構と、右後輪に機械的に結合されて右後輪を転舵する右
    後輪転舵機構と、操舵ハンドルから前記操舵軸に付与さ
    れる操舵力を検出する操舵力センサと、左後輪から前記
    左後輪転舵機構に付与される左後輪転舵反力を検出する
    左後輪転舵反力センサと、右後輪から前記右後輪転舵機
    構に付与される右後輪転舵反力を検出する右後輪転舵反
    力センサと、前記操舵軸の基準位置からの回転角を操舵
    変位量として検出する操舵変位量センサと、前記操舵力
    センサ出力に基づいて前記検出操舵力の増加に応じて増
    加しかつ前記操舵軸を操舵力の付与される方向へ回転さ
    せる第1制御量を決定する第1制御量決定手段と、前記
    左後輪転舵反力センサ及び右後輪転舵反力センサ出力に
    基づいて前記検出左後輪転舵反力及び前記検出右後輪転
    舵反力を加算した合成力の増加に応じて増加しかつ前記
    操舵軸を前記基準位置に復帰させる方向へ回転させる第
    2制御量を決定する第2制御量決定手段と、前記第1制
    御量及び第2制御量を合成した操舵軸回転制御信号を前
    記操舵軸アクチュエータに出力して前記操舵軸の回転を
    制御する操舵軸回転制御信号出力手段と、前記操舵変位
    量センサ出力に基づいて左右後輪の目標転舵量を各々表
    す第1目標転舵量及び第2目標転舵量を決定する後輪目
    標転舵量決定手段と、前記決定第1目標転舵量に応じた
    左後輪転舵制御信号を左後輪転舵機構に出力して左後輪
    の転舵量が前記決定第1目標転舵量になるように前記左
    後輪転舵機構を制御する左後輪転舵制御信号出力手段
    と、前記決定第2目標転舵量に応じた右後輪転舵制御信
    号を前記右後輪転舵機構に出力して右後輪の転舵量が前
    記決定第2目標転舵量になるように前記右後輪転舵機構
    を制御する右後輪転舵制御信号出力手段とを備えたこと
    を特徴とする前後輪転舵車の動力舵取装置。
JP18649885A 1985-08-23 1985-08-23 前後輪転舵車の動力舵取装置 Expired - Lifetime JPH069984B2 (ja)

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