JPH0699226A - プレス加工用潤滑処理金属板 - Google Patents
プレス加工用潤滑処理金属板Info
- Publication number
- JPH0699226A JPH0699226A JP4276624A JP27662492A JPH0699226A JP H0699226 A JPH0699226 A JP H0699226A JP 4276624 A JP4276624 A JP 4276624A JP 27662492 A JP27662492 A JP 27662492A JP H0699226 A JPH0699226 A JP H0699226A
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- JP
- Japan
- Prior art keywords
- metal plate
- wax
- patterns
- press
- coating
- Prior art date
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- Pending
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- Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
- Shaping Metal By Deep-Drawing, Or The Like (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
- Lubricants (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【構成】 ワックスを塗布した金属板において、該ワッ
クスが点、円、線等の幾何学模様あるいはその他の造形
模様を規則的又は不規則的に配置した形態に不連続に塗
布され、金属板素地が断続的に露出している。 【効果】 厳しい条件のプレス成形を行う場合でも優れ
たプレス加工性を示し、その後のスポット溶接性、接着
性、脱脂性に優れた金属板特にアルミニウム板を提供す
ることができる。
クスが点、円、線等の幾何学模様あるいはその他の造形
模様を規則的又は不規則的に配置した形態に不連続に塗
布され、金属板素地が断続的に露出している。 【効果】 厳しい条件のプレス成形を行う場合でも優れ
たプレス加工性を示し、その後のスポット溶接性、接着
性、脱脂性に優れた金属板特にアルミニウム板を提供す
ることができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はプレス加工用潤滑処理金
属板に関するものであり、特に脱脂性、スポット溶接
性、接着性等を向上させた潤滑処理金属板に関するもの
である。なお、本出願において、「アルミニウム板」と
はアルミニウム板及びアルミニウム合金板を意味する。
属板に関するものであり、特に脱脂性、スポット溶接
性、接着性等を向上させた潤滑処理金属板に関するもの
である。なお、本出願において、「アルミニウム板」と
はアルミニウム板及びアルミニウム合金板を意味する。
【0002】
【従来の技術】従来、アルミニウム板等の金属板のプレ
ス加工、特に自動車用や電気部品のような深絞り加工を
行う場合には加工の直前に金属板表面に潤滑油として鉱
物油、動植物油脂、合成油又はこれらの混合物あるいは
これらを各々エマルジョン化したものを塗布するのが一
般的である。
ス加工、特に自動車用や電気部品のような深絞り加工を
行う場合には加工の直前に金属板表面に潤滑油として鉱
物油、動植物油脂、合成油又はこれらの混合物あるいは
これらを各々エマルジョン化したものを塗布するのが一
般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記潤
滑油として低粘度の潤滑油を使用すると、成形条件の厳
しい場合には油膜が破れてしわや破断が発生するなどの
問題が生じる。一方、成形性を重要視して高粘度油を使
用した場合には金型回りに生じた汚れが除去しにくいこ
と及び潤滑油がアルミニウム板に塗布しにくく脱脂性や
ハンドリング性が悪い等の問題が生じている。この対策
として近年、潤滑油に代わり合成樹脂系あるいはワック
ス系の皮膜を金属表面に塗布する固体潤滑膜法も用いら
れてきている。しかしながら成形性を向上させるために
は一定量以上の塗布が必要であり、又固体潤滑膜法は十
分なプレス成形性を有するものの、プレス加工後のスポ
ット溶接性、接着性が著しく低下するという現象があ
る。更に、固体潤滑皮膜の処理量が多過ぎると脱脂処理
液を劣化させやすくなり、その結果脱脂処理が不十分と
なるとプレス加工後に行なわれる表面処理加工において
妨げとなり表面処理ができず、また塗装ムラが生じる等
の不具合いが発生する。本発明は、かかる状況に鑑みて
なされたものであり、厳しい条件のプレス成形を行う場
合においても絞り成形性を損なう事なく、又、プレス加
工後のスポット溶接性、接着性、脱脂性をも損なわない
アルミニウム板を提供するものである。
滑油として低粘度の潤滑油を使用すると、成形条件の厳
しい場合には油膜が破れてしわや破断が発生するなどの
問題が生じる。一方、成形性を重要視して高粘度油を使
用した場合には金型回りに生じた汚れが除去しにくいこ
と及び潤滑油がアルミニウム板に塗布しにくく脱脂性や
ハンドリング性が悪い等の問題が生じている。この対策
として近年、潤滑油に代わり合成樹脂系あるいはワック
ス系の皮膜を金属表面に塗布する固体潤滑膜法も用いら
れてきている。しかしながら成形性を向上させるために
は一定量以上の塗布が必要であり、又固体潤滑膜法は十
分なプレス成形性を有するものの、プレス加工後のスポ
ット溶接性、接着性が著しく低下するという現象があ
る。更に、固体潤滑皮膜の処理量が多過ぎると脱脂処理
液を劣化させやすくなり、その結果脱脂処理が不十分と
なるとプレス加工後に行なわれる表面処理加工において
妨げとなり表面処理ができず、また塗装ムラが生じる等
の不具合いが発生する。本発明は、かかる状況に鑑みて
なされたものであり、厳しい条件のプレス成形を行う場
合においても絞り成形性を損なう事なく、又、プレス加
工後のスポット溶接性、接着性、脱脂性をも損なわない
アルミニウム板を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】発明者らは、金属板表面
に予めワックスの固体潤滑皮膜を形成するに際して、不
連続皮膜とすることにより前記目的を達成し得ると考
え、かかる固体潤滑皮膜について塗膜厚さ及び塗膜被覆
のパターンの影響をプレス加工性、溶接性、接着性、脱
脂性について創意研究を重ねた結果、ここに本発明をな
したものである。
に予めワックスの固体潤滑皮膜を形成するに際して、不
連続皮膜とすることにより前記目的を達成し得ると考
え、かかる固体潤滑皮膜について塗膜厚さ及び塗膜被覆
のパターンの影響をプレス加工性、溶接性、接着性、脱
脂性について創意研究を重ねた結果、ここに本発明をな
したものである。
【0005】すなわち、本発明は請求項1記載の如く、
ワックスを塗布した金属板において、該ワックスが点、
円、線等の幾何学模様あるいはその他の造形模様を規則
的又は不規則的に配置した形態に連続または不連続に塗
布され、金属板素地が断続的に露出していることを特徴
とするプレス加工性、脱脂性、スポット溶接性、接着性
に優れたプレス加工用潤滑処理金属板であり、また請求
項2記載の如く、ワックスを塗布した金属板において、
その塗布面積が金属板表面の1%以上80%未満であ
り、かつ該塗布模様が模様同士の間隙が0.5mm以上
の略平行な直線・曲線等の線群であることを特徴とする
請求項1記載のプレス加工用潤滑処理金属板であり、ま
た請求項3記載の如く、ワックスを塗布した金属板にお
いて、その塗布面積が金属板表面の1%以上80%未満
であり、かつ該塗布模様が模様同士の未塗布部分1個当
りの面積が0.25mm2 以上の格子であることを特徴
とする請求項1記載のプレス加工用潤滑処理金属板であ
り、また請求項4記載の如く、ワックスを塗布した金属
板において、その塗布面積が金属板表面の1%以上80
%未満であり、かつ該塗布模様が模様同士の未塗布部分
の最接する間隔が0.5mm以上の点・円、正方形等の
分散した模様であることを特徴とする請求項1記載のプ
レス加工用潤滑処理金属板であり、また請求項5記載の
如く、ワックスを塗布した金属板において、塗布部分の
塗膜厚さが0.1μm以上10μm以下であることを特
徴とする請求項1ないし請求項4記載のプレス加工用潤
滑処理金属板であり、また請求項6記載の如く、該金属
板がアルミニウム板であることを特徴とする請求項1な
いし請求項5記載のプレス加工用潤滑処理金属板であ
る。
ワックスを塗布した金属板において、該ワックスが点、
円、線等の幾何学模様あるいはその他の造形模様を規則
的又は不規則的に配置した形態に連続または不連続に塗
布され、金属板素地が断続的に露出していることを特徴
とするプレス加工性、脱脂性、スポット溶接性、接着性
に優れたプレス加工用潤滑処理金属板であり、また請求
項2記載の如く、ワックスを塗布した金属板において、
その塗布面積が金属板表面の1%以上80%未満であ
り、かつ該塗布模様が模様同士の間隙が0.5mm以上
の略平行な直線・曲線等の線群であることを特徴とする
請求項1記載のプレス加工用潤滑処理金属板であり、ま
た請求項3記載の如く、ワックスを塗布した金属板にお
いて、その塗布面積が金属板表面の1%以上80%未満
であり、かつ該塗布模様が模様同士の未塗布部分1個当
りの面積が0.25mm2 以上の格子であることを特徴
とする請求項1記載のプレス加工用潤滑処理金属板であ
り、また請求項4記載の如く、ワックスを塗布した金属
板において、その塗布面積が金属板表面の1%以上80
%未満であり、かつ該塗布模様が模様同士の未塗布部分
の最接する間隔が0.5mm以上の点・円、正方形等の
分散した模様であることを特徴とする請求項1記載のプ
レス加工用潤滑処理金属板であり、また請求項5記載の
如く、ワックスを塗布した金属板において、塗布部分の
塗膜厚さが0.1μm以上10μm以下であることを特
徴とする請求項1ないし請求項4記載のプレス加工用潤
滑処理金属板であり、また請求項6記載の如く、該金属
板がアルミニウム板であることを特徴とする請求項1な
いし請求項5記載のプレス加工用潤滑処理金属板であ
る。
【0006】すなわち本発明は、ワックスの固体潤滑剤
を金属板表面に点、円、線等の幾何学模様あるいはその
他造形模様を規則的にまたは不規則に金属板表面に塗布
し乾燥させるなどして固体潤滑皮膜とすることにより、
プレス加工性に優れ、かつプレス加工後のスポット溶接
性、接着性、脱脂性に優れた金属板特にアルミニウム板
を得るものである。
を金属板表面に点、円、線等の幾何学模様あるいはその
他造形模様を規則的にまたは不規則に金属板表面に塗布
し乾燥させるなどして固体潤滑皮膜とすることにより、
プレス加工性に優れ、かつプレス加工後のスポット溶接
性、接着性、脱脂性に優れた金属板特にアルミニウム板
を得るものである。
【0007】
【作用】以下、本発明の各構成要素について説明する。
ワックス固体潤滑剤は潤滑性を付与したものであれば特
に種類は限定しないが、プレス後の脱脂性に優れる水溶
性のものが望ましく、組成としては高級脂肪酸のエステ
ル、アミン類およびこれらの金属塩が成形性、脱脂性の
点から好ましい。次に上記ワックス固体潤滑剤を点、
円、線等の幾何学模様或いはその他造形模様状に規則的
又は不規則的に特定量塗布するのは、金属板全面に一様
にワックス固体潤滑剤を塗布した場合、プレス成形性に
は良好に働くがスポット溶接や接着が出来ないという問
題があり、又溶接性、接着性を得るために塗布量を少な
くしすぎると逆にプレス成形性が劣り製品に割れやしわ
が発生し製品とならない等の問題が生じる。そこでプレ
ス成形性と脱脂性、溶接性、接着性とを同時に満足させ
る為、上記したごとくワックス固体潤滑剤を連続または
不連続に塗布し金属素地が部分的に露出しているように
するのである。すなわち具体的には図1に示す通り、
(a)格子状、(b)平行線状、(c)同心円状、
(d)円状などのように塗布すればよい。ここで(a)
(b)のような直線状の塗布の場合に等間隔でなくと
も、また直交していなくてもよく、また線の太さも均一
でなくともよい。また(c)では同心円でなくとも円周
状のパターンが互いに交差しあう模様などでもよい。ま
た(d)の面状塗布においては円形だけでなく☆★○◎
◇◆□■△▲+*などの模様を規則的にまたは不規則に
配置したパターンとしても良い。ワックスの全塗布面積
が金属板表面の1%以上80%未満すなわち塗布部分と
未塗布部分との面積の比が4:1から1:99以内とす
るのは、1%未満では十分なプレス成形性が得られず割
れやしわが発生し易く、また80%以上ではスポット溶
接性、接着性が劣る欠点があるためである。またワック
ス固体潤滑材の塗布模様同士の接線の間隙を0.5mm
以上とするのは、これ未満では全面に均一に塗布した状
態と変わらず、スポット溶接性、接着性に対する効果が
殆ど見られないためである。該塗布模様が略平行な直線
・曲線等の線群である場合、模様同士の間隙が0.5m
m未満では充分なプレス成形性を有するもののプレス後
のスポット溶接性、接着性が著しく低下し、満足する性
能が得られない。また、該塗布模様が格子の場合、模様
同士の未塗布部分1個当りの面積が0.25mm2 未満
では充分なプレス成形性を有するもののプレス後のスポ
ット溶接性、接着性が著しく低下し、満足する性能が得
られない。また、該塗布模様が点・円、正方形等の分散
した模様である場合、模様同士の未塗布部分の最接する
間隔が0.5mm未満であると充分なプレス成形性を有
するもののプレス後のスポット溶接性、接着性が著しく
低下し、満足する性能が得られない。さらにワックス固
体潤滑剤の塗布部分の塗膜厚さが0.1μm以上10μ
m以下とするのは、0.1μm未満では十分なプレス成
形性が得られず割れやしわが発生し易い、又、10μm
を超えるとこれ以上固体潤滑剤を厚く塗布してもプレス
成形性が向上せず、又コスト的にも不利となるからであ
る。潤滑処理金属板の基板として鋼板を用いた場合は、
防錆油程度の低粘度油でも十分なプレス成形性やその後
のスポット溶接性、接着性が得られるため、本発明の効
果は顕著では無いのに対して、基板がアルミニウム及び
アルミニウム合金の場合には本発明は著しい効果を示
す。アルミニウム合金基板は特に種類は限定されずいず
れのアルミニウム板およびアルミニウム合金板を用いる
ことができるが、なかでもAl−Mg系の5000系合
金、Al−Mg−Si系の6000系合金からなるアル
ミニウム板での効果が大きく特に好ましい。
ワックス固体潤滑剤は潤滑性を付与したものであれば特
に種類は限定しないが、プレス後の脱脂性に優れる水溶
性のものが望ましく、組成としては高級脂肪酸のエステ
ル、アミン類およびこれらの金属塩が成形性、脱脂性の
点から好ましい。次に上記ワックス固体潤滑剤を点、
円、線等の幾何学模様或いはその他造形模様状に規則的
又は不規則的に特定量塗布するのは、金属板全面に一様
にワックス固体潤滑剤を塗布した場合、プレス成形性に
は良好に働くがスポット溶接や接着が出来ないという問
題があり、又溶接性、接着性を得るために塗布量を少な
くしすぎると逆にプレス成形性が劣り製品に割れやしわ
が発生し製品とならない等の問題が生じる。そこでプレ
ス成形性と脱脂性、溶接性、接着性とを同時に満足させ
る為、上記したごとくワックス固体潤滑剤を連続または
不連続に塗布し金属素地が部分的に露出しているように
するのである。すなわち具体的には図1に示す通り、
(a)格子状、(b)平行線状、(c)同心円状、
(d)円状などのように塗布すればよい。ここで(a)
(b)のような直線状の塗布の場合に等間隔でなくと
も、また直交していなくてもよく、また線の太さも均一
でなくともよい。また(c)では同心円でなくとも円周
状のパターンが互いに交差しあう模様などでもよい。ま
た(d)の面状塗布においては円形だけでなく☆★○◎
◇◆□■△▲+*などの模様を規則的にまたは不規則に
配置したパターンとしても良い。ワックスの全塗布面積
が金属板表面の1%以上80%未満すなわち塗布部分と
未塗布部分との面積の比が4:1から1:99以内とす
るのは、1%未満では十分なプレス成形性が得られず割
れやしわが発生し易く、また80%以上ではスポット溶
接性、接着性が劣る欠点があるためである。またワック
ス固体潤滑材の塗布模様同士の接線の間隙を0.5mm
以上とするのは、これ未満では全面に均一に塗布した状
態と変わらず、スポット溶接性、接着性に対する効果が
殆ど見られないためである。該塗布模様が略平行な直線
・曲線等の線群である場合、模様同士の間隙が0.5m
m未満では充分なプレス成形性を有するもののプレス後
のスポット溶接性、接着性が著しく低下し、満足する性
能が得られない。また、該塗布模様が格子の場合、模様
同士の未塗布部分1個当りの面積が0.25mm2 未満
では充分なプレス成形性を有するもののプレス後のスポ
ット溶接性、接着性が著しく低下し、満足する性能が得
られない。また、該塗布模様が点・円、正方形等の分散
した模様である場合、模様同士の未塗布部分の最接する
間隔が0.5mm未満であると充分なプレス成形性を有
するもののプレス後のスポット溶接性、接着性が著しく
低下し、満足する性能が得られない。さらにワックス固
体潤滑剤の塗布部分の塗膜厚さが0.1μm以上10μ
m以下とするのは、0.1μm未満では十分なプレス成
形性が得られず割れやしわが発生し易い、又、10μm
を超えるとこれ以上固体潤滑剤を厚く塗布してもプレス
成形性が向上せず、又コスト的にも不利となるからであ
る。潤滑処理金属板の基板として鋼板を用いた場合は、
防錆油程度の低粘度油でも十分なプレス成形性やその後
のスポット溶接性、接着性が得られるため、本発明の効
果は顕著では無いのに対して、基板がアルミニウム及び
アルミニウム合金の場合には本発明は著しい効果を示
す。アルミニウム合金基板は特に種類は限定されずいず
れのアルミニウム板およびアルミニウム合金板を用いる
ことができるが、なかでもAl−Mg系の5000系合
金、Al−Mg−Si系の6000系合金からなるアル
ミニウム板での効果が大きく特に好ましい。
【0008】かくして得られたアルミニウム板材は、そ
の表面にワックス固体潤滑剤皮膜が形成されているの
で、従来のプレス油によって与えられるプレス加工用潤
滑剤と同様な潤滑作用があり、優れたプレス加工性を有
している。したがって、従来行われていたプレス加工の
前処理である潤滑油塗油工程は全く不要となり、本発明
に係るアルミニウム板をそのままプレス加工に供するこ
とができる。なお、ワックス固体潤滑剤を用いた本発明
に係る潤滑処理金属板は、ピンプル等の対策で洗浄油
(低粘度の鉱油)を使用する場合もまったく問題ない。
の表面にワックス固体潤滑剤皮膜が形成されているの
で、従来のプレス油によって与えられるプレス加工用潤
滑剤と同様な潤滑作用があり、優れたプレス加工性を有
している。したがって、従来行われていたプレス加工の
前処理である潤滑油塗油工程は全く不要となり、本発明
に係るアルミニウム板をそのままプレス加工に供するこ
とができる。なお、ワックス固体潤滑剤を用いた本発明
に係る潤滑処理金属板は、ピンプル等の対策で洗浄油
(低粘度の鉱油)を使用する場合もまったく問題ない。
【0009】ワックス固体潤滑皮膜をアルミニウム板表
面に塗布する代表的な方法としては、ロールコーター、
静電塗布、スプレー、ノズル滴下、シルクスクリーン印
刷、スタンプ、凸版印刷等があり、どの方法を利用して
もかまわない。上記の方法により固体潤滑剤をアルミニ
ウム板表面に塗布したのち乾燥・焼付けをする。固体潤
滑剤がワックスの場合は、自然乾燥もしくは50〜12
0℃程度の温度で乾燥する。乾燥時間は10〜60秒程
度が良い。乾燥温度が高すぎるとアルミニウム板が熱処
理を施された形となり強度低下等の性能の劣化を引き起
こす恐れがあるため、50〜120℃程度の温度で乾燥
するのが望ましい。
面に塗布する代表的な方法としては、ロールコーター、
静電塗布、スプレー、ノズル滴下、シルクスクリーン印
刷、スタンプ、凸版印刷等があり、どの方法を利用して
もかまわない。上記の方法により固体潤滑剤をアルミニ
ウム板表面に塗布したのち乾燥・焼付けをする。固体潤
滑剤がワックスの場合は、自然乾燥もしくは50〜12
0℃程度の温度で乾燥する。乾燥時間は10〜60秒程
度が良い。乾燥温度が高すぎるとアルミニウム板が熱処
理を施された形となり強度低下等の性能の劣化を引き起
こす恐れがあるため、50〜120℃程度の温度で乾燥
するのが望ましい。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。J
IS5182相当のAl−4.5wt%Mg合金のO材
からなる板厚1.0mmの軟質アルミニウム合金板表面
にスタンプを使用して表2に示すパターンでワックス
(ジョンソン#700)の固形潤滑膜を設けた。なお皮
膜乾燥は50℃×60秒で行なった。なおプレス油を塗
布したものを従来例とし、その40℃での粘度(センチ
ストークス)をパターン欄に示す。塗布面積は全面積に
対する比率(%)であり、塗膜厚の単位はμmである。
ただしプレス油を用いた従来例では塗膜厚のかわりに塗
油量(g/m2)を示す。各供試材に対して、表1に示
す絞り条件により図2に示すTZP絞り試験を施し、
W.Engeihardtにより開発された絞り性の評
価方法であるT値[エンゲルハルト値](%)によりプ
レス成形性を評価した。ここで、TZP絞り試験とは図
2(1)に示すごとく試験片をダイス、ブランクホルダ
ーの間にセットし、図2(2)に示すごとく深絞りを行
い、その途中のポンチ力が最大となった直後において図
2(3)に示すごとく試験片フランジ部を拘束し、なお
もポンチを進ませてカップを強制的に破断させるもので
ある。この過程におけるポンチ力−ストローク曲線は図
3に示す曲線を描き、ここでカップ底の破断力Pabは
カップ壁の構造的強さのため潤滑剤の種類を変えても変
化は無く材料固有となるが、最大深絞り力Pzは絞り力
のため潤滑剤の性質によって変化することが知られてい
る。したがって、潤滑性に応じて T値(エンゲルハルト値)=((Pab−Pz)/Pa
b)×100% が変わってくる。Pzが小さいものすなわちT値が大き
い潤滑剤ほど深絞りに適する潤滑剤であり、より複雑な
絞り作業を可能にするものである。
IS5182相当のAl−4.5wt%Mg合金のO材
からなる板厚1.0mmの軟質アルミニウム合金板表面
にスタンプを使用して表2に示すパターンでワックス
(ジョンソン#700)の固形潤滑膜を設けた。なお皮
膜乾燥は50℃×60秒で行なった。なおプレス油を塗
布したものを従来例とし、その40℃での粘度(センチ
ストークス)をパターン欄に示す。塗布面積は全面積に
対する比率(%)であり、塗膜厚の単位はμmである。
ただしプレス油を用いた従来例では塗膜厚のかわりに塗
油量(g/m2)を示す。各供試材に対して、表1に示
す絞り条件により図2に示すTZP絞り試験を施し、
W.Engeihardtにより開発された絞り性の評
価方法であるT値[エンゲルハルト値](%)によりプ
レス成形性を評価した。ここで、TZP絞り試験とは図
2(1)に示すごとく試験片をダイス、ブランクホルダ
ーの間にセットし、図2(2)に示すごとく深絞りを行
い、その途中のポンチ力が最大となった直後において図
2(3)に示すごとく試験片フランジ部を拘束し、なお
もポンチを進ませてカップを強制的に破断させるもので
ある。この過程におけるポンチ力−ストローク曲線は図
3に示す曲線を描き、ここでカップ底の破断力Pabは
カップ壁の構造的強さのため潤滑剤の種類を変えても変
化は無く材料固有となるが、最大深絞り力Pzは絞り力
のため潤滑剤の性質によって変化することが知られてい
る。したがって、潤滑性に応じて T値(エンゲルハルト値)=((Pab−Pz)/Pa
b)×100% が変わってくる。Pzが小さいものすなわちT値が大き
い潤滑剤ほど深絞りに適する潤滑剤であり、より複雑な
絞り作業を可能にするものである。
【0011】また、スポット溶接性はプレス加工後の製
品を用いてスポット溶接機により通電電流範囲を測定
し、通電電流範囲の広いものを○、狭いが通電するもの
を△、通電範囲のないものを×とした。脱脂性は日本パ
ーカライジング(株)製FCL−4460の2.5%液
を用い処理温度45℃、2分浸漬後、水道水流水中に5
分さらしたのちの水濡れ性を100分率で評価した。接
着性は熱硬化型エポキシ系接着剤による接着性を評価
し、十分接着するものを○、接着するがやや弱いものを
△、接着しないものを×とした。評価結果を表2に示
す。
品を用いてスポット溶接機により通電電流範囲を測定
し、通電電流範囲の広いものを○、狭いが通電するもの
を△、通電範囲のないものを×とした。脱脂性は日本パ
ーカライジング(株)製FCL−4460の2.5%液
を用い処理温度45℃、2分浸漬後、水道水流水中に5
分さらしたのちの水濡れ性を100分率で評価した。接
着性は熱硬化型エポキシ系接着剤による接着性を評価
し、十分接着するものを○、接着するがやや弱いものを
△、接着しないものを×とした。評価結果を表2に示
す。
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】表2より明らかなように、本発明例はいず
れも、従来のプレス油のみを用いた比較例にくらべ成形
性は良好でT値が5%以上あり優れている。又、成形後
のスポット溶接性、脱脂性にも優れている。No.W−
10、W−11は従来行なわれている潤滑油を用いたも
のであり、T値も小さくまたベタツキ、汚れという問題
がある。これに対して本発明例であるNo.W−1〜W
−6はプレス油に対してT値は良好である。又、No.
W−7〜W−9のものは塗布面積、塗膜厚さ等が本発明
の条件から外れている比較例であり、T値が小さかった
り通電性が悪いなど満足する性能が得られていない。
れも、従来のプレス油のみを用いた比較例にくらべ成形
性は良好でT値が5%以上あり優れている。又、成形後
のスポット溶接性、脱脂性にも優れている。No.W−
10、W−11は従来行なわれている潤滑油を用いたも
のであり、T値も小さくまたベタツキ、汚れという問題
がある。これに対して本発明例であるNo.W−1〜W
−6はプレス油に対してT値は良好である。又、No.
W−7〜W−9のものは塗布面積、塗膜厚さ等が本発明
の条件から外れている比較例であり、T値が小さかった
り通電性が悪いなど満足する性能が得られていない。
【0015】
【効果】以上述べたように、本発明によれば、適切なる
ワックス固体潤滑皮膜を有することにより厳しい条件の
プレス成形を行う場合でも優れたプレス加工性を示し、
その後のスポット溶接性、接着性、脱脂性を損なわない
優れた金属板特にアルミニウム板を提供することができ
る。本発明はワックス固体潤滑皮膜による潤滑であるこ
とから、従来のようなプレス加工用潤滑油を不要とし、
従って潤滑油により金型や金型周辺の汚れやベタツキな
どの問題もない。また油塗布工程も不要となる。さら
に、固体潤滑剤として水溶性ワックスを用いた場合には
プレス加工後において通常の脱脂処理を施すことにより
固体潤滑皮膜は容易に除去できるため、本発明に係る潤
滑皮膜が成形後の塗装その他の表面処理においても妨げ
となることはない。
ワックス固体潤滑皮膜を有することにより厳しい条件の
プレス成形を行う場合でも優れたプレス加工性を示し、
その後のスポット溶接性、接着性、脱脂性を損なわない
優れた金属板特にアルミニウム板を提供することができ
る。本発明はワックス固体潤滑皮膜による潤滑であるこ
とから、従来のようなプレス加工用潤滑油を不要とし、
従って潤滑油により金型や金型周辺の汚れやベタツキな
どの問題もない。また油塗布工程も不要となる。さら
に、固体潤滑剤として水溶性ワックスを用いた場合には
プレス加工後において通常の脱脂処理を施すことにより
固体潤滑皮膜は容易に除去できるため、本発明に係る潤
滑皮膜が成形後の塗装その他の表面処理においても妨げ
となることはない。
【図1】固体潤滑剤の塗布パターンの例である。
【図2】TZP絞り試験法を示す模式図である。
【図3】TZP絞り試験におけるポンチ力−ストローク
曲線である。
曲線である。
1 パンチ 2 しわ押え 3 ダイス 4 ブランクホルダー 5 供試材ブランク A フランジの拘束点 Pz 最大深絞り力 Pab カップ底の破断力
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10N 40:24 50:02
Claims (6)
- 【請求項1】 ワックスを塗布した金属板において、該
ワックスが点、円、線等の幾何学模様あるいはその他の
造形模様を規則的又は不規則的に配置した形態に連続ま
たは不連続に塗布され、金属板素地が断続的に露出して
いることを特徴とするプレス加工性、脱脂性、スポット
溶接性、接着性に優れたプレス加工用潤滑処理金属板。 - 【請求項2】 ワックスを塗布した金属板において、そ
の塗布面積が金属板表面の1%以上80%未満であり、
かつ該塗布模様が模様同士の間隙が0.5mm以上の略
平行な直線・曲線等の線群であることを特徴とする請求
項1記載のプレス加工用潤滑処理金属板。 - 【請求項3】 ワックスを塗布した金属板において、そ
の塗布面積が金属板表面の1%以上80%未満であり、
かつ該塗布模様が模様同士の未塗布部分1個当りの面積
が0.25mm2 以上の格子であることを特徴とする請
求項1記載のプレス加工用潤滑処理金属板。 - 【請求項4】 ワックスを塗布した金属板において、そ
の塗布面積が金属板表面の1%以上80%未満であり、
かつ該塗布模様が模様同士の未塗布部分の最接する間隔
が0.5mm以上の点・円、正方形等の分散した模様で
あることを特徴とする請求項1記載のプレス加工用潤滑
処理金属板。 - 【請求項5】 ワックスを塗布した金属板において、塗
布部分の塗膜厚さが0.1μm以上10μm以下である
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4記載のプレス
加工用潤滑処理金属板。 - 【請求項6】 該金属板がアルミニウム板であることを
特徴とする請求項1ないし請求項5記載のプレス加工用
潤滑処理金属板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4276624A JPH0699226A (ja) | 1992-09-21 | 1992-09-21 | プレス加工用潤滑処理金属板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4276624A JPH0699226A (ja) | 1992-09-21 | 1992-09-21 | プレス加工用潤滑処理金属板 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0699226A true JPH0699226A (ja) | 1994-04-12 |
Family
ID=17572037
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4276624A Pending JPH0699226A (ja) | 1992-09-21 | 1992-09-21 | プレス加工用潤滑処理金属板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0699226A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0949043A (ja) * | 1995-08-07 | 1997-02-18 | Sky Alum Co Ltd | しごき加工性に優れた成形加工用アルミニウム合金圧延板 |
JP2004314106A (ja) * | 2003-04-14 | 2004-11-11 | Olympus Corp | 加工油塗布装置およびこの塗布装置を有するプレス加工装置とこれを用いたプレス加工方法 |
KR101011039B1 (ko) * | 2010-01-28 | 2011-01-26 | 임현래 | 홀로그램이 구현된 금속재 3차원 성형물 제조방법 |
JP2013159676A (ja) * | 2012-02-03 | 2013-08-19 | Kobe Steel Ltd | 成形加工用アルミニウム板 |
JP2014042657A (ja) * | 2012-08-27 | 2014-03-13 | Dainippon Printing Co Ltd | 革製品クリーナー及びその製造方法 |
-
1992
- 1992-09-21 JP JP4276624A patent/JPH0699226A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0949043A (ja) * | 1995-08-07 | 1997-02-18 | Sky Alum Co Ltd | しごき加工性に優れた成形加工用アルミニウム合金圧延板 |
JP2004314106A (ja) * | 2003-04-14 | 2004-11-11 | Olympus Corp | 加工油塗布装置およびこの塗布装置を有するプレス加工装置とこれを用いたプレス加工方法 |
JP4523238B2 (ja) * | 2003-04-14 | 2010-08-11 | オリンパス株式会社 | 加工油塗布装置 |
KR101011039B1 (ko) * | 2010-01-28 | 2011-01-26 | 임현래 | 홀로그램이 구현된 금속재 3차원 성형물 제조방법 |
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JP2014042657A (ja) * | 2012-08-27 | 2014-03-13 | Dainippon Printing Co Ltd | 革製品クリーナー及びその製造方法 |
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